JP2004244888A - 襖表張機 - Google Patents

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Abstract

【目的】作業者の体への負担を軽減するとともに、より効率的で良好な襖の表張りが可能となる襖表張機を提供する。
【構成】襖表張機1は襖枠13を載置する張付ベース6が昇降自在また、襖表張機1内から外部に引き出し可能に構成されている。張付ベース6の上方には襖紙を張り付けるための襖紙張付弾性体3を具備し、襖表張機1の上部には作業台2を構成している。張付ベース6は引き出しベース8に設けられ、引き出しベース8に対してバネ9で受けられ、バネ圧で浮いた状態となっており、駆動装置で引き出し自在とされ、また、昇降ベース5の昇降により張付ベース6も昇降する構成とされている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は襖表張機に関するものである。さらに詳しくは、この発明は、襖紙を襖に貼り付けする際に能率のよい襖表張機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、襖紙を貼り付けるための襖表張機の提案が種々なされている。実公平4−32219号に知られている襖張り装置は、襖を縦方向に載置して襖紙を貼り付けるために縦型襖表張機として知られている。また実公平4−2307号のように襖を水平方向に載置して襖紙を貼り付ける横型の襖表張機も知られている。これらの襖表張機は、載置した襖に弾性材を押付け、もしくは弾性材に襖を押しつけることによって襖の框面に襖紙を貼り付けるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
縦型襖表張機の場合は、襖紙を貼り付ける襖の框面に糊を塗布することは襖表張機に載置してすることができるが、襖紙を襖に合わせた大きさに切断する工程や、襖紙を襖に重ねる前に水糊や水で濡らした状態とするために、別にテーブルを設置する必要があった。
【0004】
横型襖表張機においては、実開平4−2307号にて襖表張機の上側が作業台となっているものが知られている。この、襖表張機において、襖を載置する押板が引き出しできる構成となっているが、上面の作業台と高低差がある位置で引き出される構造となっており、襖を載置させたり取り上げる際に、作業者に常に中腰となる姿勢を強いるものであった。また押板に襖を載置してから框面に糊を塗布するには、これも作業者に中腰を強いる姿勢であり、長時間するには作業者にかなりの負担をかけてしまうことになっていた。別の作業台を設置するにはスペース的な問題があり、効率的に作業を行いたいという要望があり、改善が望まれていた。
【0005】
以上のように襖の表張りの作業効率、生産性の向上を図るためには、作業者の体への負担を軽減させ、より効率よく確実で良好な襖表張りが行える襖表張機の実現が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は、襖枠に襖紙を張り付けるための襖表張機において、上部に作業台を具備し、襖枠を載置する張付ベースを具備し、上記張付ベースは襖表張機の機内から機外へ移動が可能であって、機外へ移動している状態で作業台と同じもしくはほぼ同じ高さまで上昇することを特徴とする襖表張機である。
【0007】
襖枠を載置する張付ベースが襖表張機上部に設けられた作業台と同じ高さ、もしくはほぼ同じ高さまで上昇するため、作業台を2台並べた状態と等しく、襖紙及び受け紙の裁断や糊塗布、さらには襖枠への糊塗布や襖枠自体の移動が効率よくでき、作業者が中腰になって作業を行わなくてもよくなる。
【0008】
本発明の請求項2は、張付ベースが柵状もしくは格子状と構成されていることを特徴とする請求項1記載の襖表張機である。張付ベースが柵状もしくは格子状と構成されているために襖枠を襖紙張付弾性体に押しつけた際に、開いている空間部分に弾性体が入りやすい構成となっており確実に襖紙を框面に張付できる。平板に比べて柵状もしくは格子状になっている方が押圧力が少なくてすむため動力源を比較的小さくすることが可能ともなり機械自体のコストを下げることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の襖表張機の実施の形態の一例を、図面に沿って説明する。図1は本発明の襖表張機の要部構成図である。この襖表張機1は襖枠13を載置する張付ベース6が昇降自在また、襖表張機1内から外部に引き出し可能に構成されている。張付ベース6の上方には襖紙11を張り付けるための襖紙張付弾性体3を具備し、襖表張機1の上部には作業台2を構成している。この作業台2において、襖表張工程の前準備として襖紙11の裁断や、受け紙12の裁断、古い襖紙の剥離作業、襖紙11への糊付け作業、受け紙12の貼付け作業などを行うのである。
【0010】
襖紙張付弾性体3は、襖紙11を襖枠13の框16部分に弾性変形して押しつけることができる素材で耐久性があるものなら特に限定はしないが、例えばポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、フォームラバー、スポンジゴムなどの厚い弾性部材等の素材を使用することが好ましい。また、襖紙張付弾性体3を鉄板または木板などに固定して襖表張機1に設置しておくようにし、万一襖紙張付弾性体3の交換が必要になった場合でも、メンテナンスしやすい設置をしておくことが望ましい。
【0011】
そして襖表張機1の両側には、襖紙11や受け紙12を掛けておく紙保持ガイド18を設けてもいる。
【0012】
襖紙11を貼り付けする張付ベース6について説明する。図2及び図3に示すように、張付ベース6は引き出しベース8に設けられ、引き出しベース8に対してバネ9で受けられ、バネ圧で浮いた状態となっている。この状態で例えばモータ等の駆動装置7によって襖表張機1内に格納したり、襖表張機1外へ引き出したりすることが可能に構成されている。引き出しの際には駆動装置7の駆動により前後スライドレール10でガイドされ引き出しベース8が移動する結果、張付ベース6が引き出される。前後スライドレール10は本襖表張機1の引き出しベース左右下部にそれぞれ設けている。
【0013】
そして上記スライドレール10が、左右に設けた昇降ベース5にそれぞれ設置された構成とされ、この昇降ベース5が、例えばモータ等の駆動装置4で昇降する構成となっている。図3に示すように張付ベース6は寸法aだけバネ9によって昇降ベース5から浮いた状態を保持するように構成されている。このため襖枠13を載置しても、昇降ベース5には接触することなく駆動装置7で張付ベース6は引き出しが可能となっている。
【0014】
張付ベース6を襖表張機1から引き出した状態で昇降ベース5を上昇させると、作業台2とほぼ同じ高さまで張付ベース6が上昇する。張付ベース6を引き込んだ状態で昇降ベース5押し上げると、張付ベース6を襖紙張付弾性体3に押圧し、この時にバネ9が圧縮され、更に昇降ベース5を押し上げると昇降ベース5と張付ベース6が接触した状態となり、昇降ベース5で張付ベース6を襖紙張付弾性体3に対して押しつける状態となる。上記のように、張付ベース6を襖紙張付弾性体3に押し当てる際に前後スライドレール10等にはバネ9が隙間a分縮むだけの圧縮力以上の負荷がかからないようにしているのである。もちろん、張付ベース6の上には加工する襖枠13、襖紙11、受け紙12を載置するため、その重量によって隙間aの寸法は若干変化するものの、想定される最も重い襖を載せても隙間が少しできるだけのバネとしておけばよいのである。
【0015】
次に、以下に、本発明の襖表張機の使用方法について説明すると、まず、作業開始時は張付ベース6は襖表張機1の内部に格納された状態にしておく。この状態で、襖表張機1の上面を一つの作業台として、作業台2を利用して襖紙11を裏返して広げてその上に襖枠13を置き、襖紙11が襖枠13より全周にわたって所定の寸法だけ大きくなるように裁断する。この大きく裁断する寸法は襖枠13の厚みより少し少ない寸法にするのが一般的である。複数枚の作業を行うために裁断した襖紙11は紙保持ガイド18へ掛けておくとよい。
【0016】
次に襖枠13と襖紙11の間に入れる受け紙12を襖枠13と同じ巾に裁断する。このとき襖枠13が受け紙12よりも大きい場合には、通常では複数枚の受け紙12を端部が重なり合うようにして張り付けるようにされている(図5参照)ので必要枚数の受け紙12の裁断を下準備として行う。
【0017】
操作スイッチ14a、14bまたはフットスイッチ15を押すと、張付ベース6が駆動装置7により前方に引き出され、さらに昇降ベース5が上昇して、張付ベース6の上面が作業台2とほぼ同じ高さに移動して停止する。
【0018】
作業台2の上にある襖枠13を引出し式の張付ベース6の上に載置させて操作スイッチ14a、14bまたはフットスイッチ15を押すと、張付ベース6が機体1の内部に格納される。もちろん張付ベース6は引き出したままの状態で作業を進めてもよい。
【0019】
作業台2の上にある受け紙12を襖表張機1の両側にある紙保持ガイド18に張り付ける襖の順にかけておき、作業台2の上で襖紙11に刷毛で薄く溶いた糊または水を十分に塗り込んでしわを伸ばし、その上にあらかじめ襖枠13の大きさに裁断しておいた受け紙12を載せて、軽く貼着した状態にする。
【0020】
このとき張付ベース6は襖表張機1の内部に格納されているので、前方には作業の邪魔になるものはなく、襖表張機1の後方、左右はもちろん、前方からも作業ができる。この際に、複数枚の受け紙12を使用する場合は図5に示すように受け紙12の端部を重ね合わせるようにして、襖枠13の全面に受け紙12が配置されるように置く。
【0021】
操作スイッチ14a、14bまたはフットスイッチ15を押すと再度、襖枠13が載置された張付ベース6が前方に引き出されて作業台2とほぼ同じ高さまで上昇する。次に、襖枠13の框16全周に糊を刷毛などで塗布するのであるが、張付ベース6は図4に示すように柵状になっているので、框16が柵17の間にくるように置いておけば、柵17が邪魔にならないので効率よく糊を塗布することができる。張付ベース6が作業台2とほぼ同じ高さにあるので、あまり腰をかがめる必要がないので、作業者の腰に負担をかけることなく作業することができる。
【0022】
襖枠13の糊塗布作業が完了すると、受け紙12が貼着された襖紙11を反転させて襖枠13からはみ出る寸法が均等になるように位置調整しながら襖枠13の上に載せ、操作スイッチ14a、14bまたはフットスイッチ15を押すと、張付ベース6が下降して襖表張機1内部に引き込まれ、さらに上昇して襖紙11、受け紙12、襖枠13は襖紙張付弾性体3に押し付けられ、あらかじめ設定しておいた位置で停止する。上昇する襖枠13の上面を光電センサ等で検知し、検知してからどれだけ上昇して停止させるかを制御しておくようにするのである。そうしておくと、襖枠13の厚みが変わった場合でも張付のための停止位置は常に一定にできる。
【0023】
襖枠13が襖紙張付弾性体3に押しつけられた状態を図6に示す。このとき張付ベース6が柵状になっているため、柵17のないところにおいては襖紙張付弾性体3は襖枠13の厚み以上に張付ベース6に食い込む状態となり、襖枠13を置く際に襖枠13の框16の真下に柵17がないように置いておけば、框16にも十分に横向きの押圧力が加わっているので框16への襖紙11の貼付けが確実となるのである。
【0024】
この張付ベース6はステンレスパイプ、木材、プラスチック樹脂など様々な材料で製作することが可能であり、また格子状に組み合わせても同様の効果が得られる。
【0025】
あらかじめ設定しておいた時間だけ襖枠13を押しつけた状態を保持した後、張付ベース6は下降して操作スイッチ14a部に取り付けられたブザー19で貼付けの完了を知らせる。操作スイッチ14a、14bまたはフットスイッチ15を押すと、張付ベース6が前方に引き出され、さらに上昇して作業台2とほぼ同じ高さで停止する。
【0026】
これで襖表張行程は終了し、張付ベース6から襖紙11、受け紙12を貼着した襖枠13を取り出して乾燥の工程に移る。そしてさらに別の襖枠13を張付ベース6に載置して襖表張の工程を繰り返して表張する襖全てに表張を行うのである。
【0027】
上記においては、あらかじめ決められたステップが順次進行する自動的な動作で説明したが、手動操作式とすることもできる。必要に応じて自動的な動作と手動で動かす動作を切り替えるようにしておくのが好ましい。
【0028】
また、襖と同様に表面に紙やビニルクロスを貼り付けた戸などの貼り着け作業を行うのにも利用でき、上記の例に限定されることなく、各々の諸手段の構造、配置については様々な態様が可能である。さらに本襖表張機の使い勝手を考慮し、操作スイッチ等は適宜複数設置したりフットスイッチ等を使用するなどして作業者がどの立ち位置でも運転操作ができるようにしておくことも望ましい態様である。
【0029】
【発明の効果】
この発明において、張付ベースのスライド機構が、襖枠を襖紙張付弾性体で押圧する際の昇降ベースに取り付けられているため、張付ベースが襖表張機内にある時は襖枠を襖紙張付弾性体で押圧するための下板となって昇降し、手前に引出されて襖表張機外にある時は作業台とほぼ同じ高さまで上昇することで、作業者が襖枠を作業台から張付ベースの上に移動させる際の労力を低減させるとともに、襖枠の框に糊を付ける際などの作業に使用する第二の作業台としても使用できる。
【0030】
張付ベースが柵状になっていることで、襖枠を襖紙張付弾性体で押圧した時には柵のないところでは襖紙張付弾性体は襖枠の厚み以上に食い込むことが可能となるため、襖枠を置く際に襖の框部分の下に柵がないように置けば、框部分にも十分に押圧力が加わり框の貼り付けもきれいに行うことができる。ちょうど柵の部分では弾性体が襖の厚み以上に食い込まないことになるが、全体で見ると柵のある部分の方が圧倒的に少ないため何ら問題はない。さらに、襖紙張付弾性体が襖枠の厚み以上まで押し込む際には平板に比べて柵状になっている方が押圧力が少なくてすむため動力源を比較的小さくすることが可能となったり、耐久性の面でも条件が良くなる。
【0031】
以上詳しく説明した通り、この発明によって、作業者の体への負担を軽減するとともに、より効率的で良好な襖の表張りが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置について例示した要部構成図である。
【図2】本発明の装置について例示した側面図である。
【図3】本発明の柵状の張付ベースについて例示したの斜視図である。
【図4】本発明の実施例の機構を説明する正面図である。
【図5】襖の貼付けを説明する斜視図である。
【図6】軟質材板が襖枠を押圧する際の説明図である。
【符号の説明】
1 襖表張機
2 作業台
3 襖紙張付弾性体
4 駆動装置
5 昇降ベース
6 張付ベース
7 駆動装置
8 引き出しベース
9 バネ
10 前後スライドレール
11 襖紙
12 受け紙
13 襖枠
14a,14b 操作スイッチ
15 フットスイッチ
16 框
17 柵
18 紙保持ガイド
19 ブザー

Claims (2)

  1. 襖枠に襖紙を張り付けるための襖表張機において、上部に作業台を具備し、襖枠を載置する張付ベースを具備し、上記張付ベースは襖表張機の機内から機外へ移動が可能であって、機外へ移動している状態で作業台と同じもしくはほぼ同じ高さまで上昇することを特徴とする襖表張機。
  2. 張付ベースが柵状もしくは格子状と構成されていることを特徴とする請求項1記載の襖表張機。
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