JP2004244667A - 真空アーク蒸着装置および磁気記録媒体 - Google Patents

真空アーク蒸着装置および磁気記録媒体 Download PDF

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Norihisa Nagata
徳久 永田
Akira Saito
明 斎藤
Mineo Oka
峰夫 岡
Kazuhiro Kusakawa
和大 草川
Akiyasu Kumagai
明恭 熊谷
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Abstract

【課題】成膜時における成膜面へのパーティクルの流入をより顕著に低減可能な真空アーク蒸着装置を実現すること。
【解決手段】ステンレスパイプの内側に、成膜面に流入しようとするパーティクルの軌道を遮って、アーク放電により発生したパーティクルが真空成膜チャンバへ流入することを阻止するためのバッフル構造を備える。バッフル構造は、平板状のリング部材である薄板20が、隣り合う薄板20が互いに平行になるようにして薄板20の内周部と外周部、円周方向には90度ずつ4箇所の計8本のワイヤー21で結合されたものである。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は真空アーク蒸着装置および磁気記録媒体に関し、特に詳細には、耐摺動部材または耐摩耗部材のコーティングに用いられる硬質被膜を形成するために用いられる真空アーク蒸着装置、および、該硬質被膜および該硬質被膜を保護膜として有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐摺動部材または耐摩耗部材のコーティングに用いられる硬質被膜のうち、カーボンを用いたものとしてダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)膜がある。DLC膜は、表面平滑性に優れ、硬さも大きいことから表面被膜として適している。
【0003】
そのような硬質被膜を形成するために、スパッタリング法、プラズマCVD法、または真空アーク蒸着法等が用いられてきている。従来の真空アーク蒸着装置の一例であるフィルタード・カソーディック・アーク(FCA)蒸着装置の構成例を図1に示す。
【0004】
図1の構成例において、アーク源Saで発生させた陰極物質プラズマPを、1/4円弧状に湾曲した磁気フィルター10を用いて、真空成膜チャンバ14に収容された被成膜基板13まで陰極物質プラズマビームPbとして誘導し、被成膜基板13上に陰極物質イオンから膜を形成する。この真空アーク蒸着装置において陰極物質として炭素(グラファイト)を用いた場合、形成される膜は水素を含まず、sp結合炭素に富んだ硬さの大きいテトラヘドラル・アモルファス・カーボン(ta−C)になることが知られている。
【0005】
磁気フィルター10はコアパイプ11およびコアパイプ11に巻いた電磁石コイル12から成る。アーク放電時には陰極ターゲット16からは陰極物質イオンの他にパーティクルも発生する。原理的には磁気フィルター10は荷電粒子である電子および陰極物質イオンのみを誘導し、パーティクルは誘導しないが、実際には磁気フィルター10内を反射して成膜面に入り込むパーティクルが存在する。このようにパーティクルが成膜面に流入することは、形成した膜を耐摺動部材または耐摩耗部材の表面被膜として用いる場合に好ましくない。
【0006】
成膜面へのパーティクルの流入を防ぐ方法として、特許文献1にバッフルが示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−335837号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
パーティクルはバッフルに衝突して除去され得るが、その効果は充分とは言えず、より顕著にその効果を得るためには、バッフルの形状を特定化する必要があると考えられる。
【0009】
本発明の目的は、成膜時における成膜面へのパーティクルの流入をより顕著に低減できる特定形状のバッフルを有するプラズマ誘導手段を備えた真空アーク蒸着装置、および、該真空アーク蒸着装置を用いて成膜される高硬度の被膜を有する磁気記録媒体を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明では、真空に排気される真空室と、該真空室に収容される基体に成膜するための成膜原料を陰極ターゲットとしてアーク放電する放電手段と、前記真空室と前記放電手段の間に配設されており、前記アーク放電により発生した陰極物質プラズマを、コイルに通電されて発生した磁場により前記真空室に誘導して前記基体に蒸着させるための筒状のプラズマ誘導手段とを備えた真空アーク蒸着装置において、前記プラズマ誘導手段の内側に配設されており、前記アーク放電により発生したパーティクルが前記真空室へ流入することを阻止するために所定の位置関係で配置された複数の面を含んでなるパーティクル阻止手段を備える真空アーク蒸着装置を実施した。
【0011】
また、基体と、該基体上に配置された磁気記録層と、上記の真空アーク蒸着装置を用いて前記磁気記録層上に形成された保護膜とを備えた磁気記録媒体であって、前記保護膜のパーティクル含有量が所定量以下とされている磁気記録媒体を実施した。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
図1の構成例に示した装置を作製した。
【0013】
アーク源Saの陰極16には純度99.999%、直径30mm、厚さ30mmの円柱状のグラファイト(炭素)を用い、これを直流アーク電源Eに接続した。また陰極表面に接触させてアーク放電を開始させるためのストライカー15を設置してある。陰極16、陽極17はアーク放電時の加熱を防ぐために水冷式となっている(図示せず)。
【0014】
磁気フィルター10は外径76mm、内径70mm、曲率半径300mmの1/4円弧状のステンレスパイプ11と、これをコアとして、線径2mmのポリエステル被覆銅線を巻いた電磁石コイル12からなる。電磁石コイル12の単位長さ当たりの巻き数は1000ターン/mである。
【0015】
ステンレスパイプ11の内側に、図2に示す通り、アーク放電時に陰極ターゲットから発生し磁気フィルター10内を反射して成膜面に流入しようとするパーティクルの軌道を遮って、アーク放電により発生したパーティクルが真空成膜チャンバ14(図1)へ流入することを阻止するための構造(以下、バッフル構造)を作製した。このバッフル構造は、外径65mm、内径50mm、厚さ0.2mmの平板状のリング部材である薄板20が、隣り合う薄板20が互いに平行になるようにして薄板20の内周部と外周部、円周方向には90度ずつ4箇所の計8本のワイヤー21で結合されて並設されたものである。ここでは、隣り合う薄板20同士の間隔(板厚を考えない場合の間隔、つまりピッチ)は5mmとした。
【0016】
バッフル構造としては、後述の如く種々の変形例を実施することができる。
【0017】
このようにして成るバッフル構造は、平板状のリング部材である薄板20の外周側端面を覆うように、薄板20とステンレスパイプ11の間に配置されるシールド材22とともに磁気フィルター10の形状に沿って曲げられ、磁気フィルター10への取り付け、取り外しを内部から自在に行なえるようになっている。シールド材22には例えばアルミ箔、銅箔等を使用することができる。
【0018】
磁気フィルター10内に取り付けた場合、その曲率のため厳密にはバッフル構造の隣り合う薄板20同士の相対角度は若干変わるが、ほぼ平行を保っている。ここで、平板状のリング部材である薄板20の材質としてステンレスを用いたが、他の非磁性材料を用いてもよい。
【0019】
真空成膜チャンバ14内には直径65mmのアルミニウムディスクを被成膜基板13として設置した。また、磁気フィルター10と被成膜基板13の間にはシャッター19が設けられている。
【0020】
ストライカー15を陰極16の表面に接触させてアーク放電を開始した後、シャッター19を開けて成膜を行った。アーク放電中の陰極電圧は−30V、放電電流は120Aであり、磁気フィルター10の内部磁場は被成膜基板13に向かう向きで0.01Tとした。また、プラズマビームPbをX方向のラスターコイル18およびY方向のラスターコイル(図示せず)により走査し、被成膜基板13全面に膜を形成した。膜厚は5nmとした。
【0021】
成膜面上のパーティクルを外観検査装置(Surface Defect Analyzer)で評価した。被成膜基板13の直径65mmの成膜面に存在する1μm以上の粒子をパーティクルとしてカウントした。
【0022】
図2のバッフル構造を用いた場合、カウントされたパーティクル数は1400個/面と少なかった。
【0023】
また、実施形態1と同様の構成において、バッフル構造を修正して、平板状のリング部材である薄板20として厚さ1.0mmのものを用いた変形例の場合にも、カウントされたパーティクル数は2400個/面と比較的少なかった。
【0024】
いずれも、成膜実験を繰り返し行った後には、容易にバッフル構造を取り外して交換することができた。したがって、成膜を多く繰り返すとバッフル構造にパーティクルが溜まって、そのパーティクル低減効果が減少することや、成膜の繰り返しにより溜まったパーティクルが剥離して2次的なパーティクルの発生源となることを未然に防止することができる。
【0025】
バッフル構造が磁気フィルタ10の内壁を内側から完全に覆っているため、パーティクルによる磁気フィルター10の内壁の汚染もなかった。したがって、磁気フィルター10自体の清掃を別途必要とせず、メンテナンスが容易となる。
【0026】
(比較例1)
図1に示した装置において、磁気フィルター10内で、ステンレスパイプ11のさらに内側に、外径56mm、内径50mm、曲率半径300mmの1/4円弧状の別のステンレスパイプ(図示せず)を、中心軸を磁気フィルター10の軸方向に合わせて設置し、成膜を行った。ステンレスパイプ11の内側にさらにステンレスパイプを有する点以外は実施形態1と同様の条件である。
【0027】
この場合、カウントされたパーティクル数は250000個/面と非常に多かった。
【0028】
(実施形態2)
図1に示した装置において、図3に示すバッフル構造を用いて成膜を行った。このバッフル構造には、向きの異なる載頭錐体状のリング部材を交互に複数連結して筒状部材としたもの(以下、蛇腹状バッフル構造と称する)を用いた。ここで、リング部材は厚さ0.1mmであり、隣り合う薄板30同士の相対角度が約10度となるように結合させ、外径65mm、内径50mmとなるようにした。内径側の結合部分の詳細な形状は図8(a)に示されており、外径側の結合部分の詳細な形状も同様である。図示したバッフル構造以外は実施形態1と同様の条件とし、蛇腹状バッフル構造は磁気フィルター10に内部から取り付け、取り外しできるようになっている。
【0029】
この場合、カウントされたパーティクル数は2300個/面と比較的少なかった。
【0030】
また、隣り合う薄板30同士の相対角度が約20度となるように結合させ、外径65mm、内径50mmとなるように変形例を実施した場合にも、カウントされたパーティクル数は4700個/面と比較的少なかった。
【0031】
いずれも、成膜実験を繰り返し行った後には、容易にバッフル構造を取り外して交換することができた。したがって、成膜を多く繰り返すとバッフル構造にパーティクルが溜まって、そのパーティクル低減効果が減少することや、成膜の繰り返しにより溜まったパーティクルが剥離して2次的なパーティクルの発生源となることを未然に防止することができる。
【0032】
バッフル構造が磁気フィルタ10の内壁を内側から完全に覆っているため、パーティクルによる磁気フィルター内壁の汚染もなかった。したがって、磁気フィルター10自体の清掃を別途必要とせず、メンテナンスが容易となる。
【0033】
(比較例2)
図1に示した装置において、図4に示すバッフル構造を用いて成膜を行った。図4は、厚さ0.1mmの薄板40で蛇腹状バッフル構造を構成した例を示す。ここで、リング部材は厚さ0.1mmであり、隣り合う薄板40同士の相対角度が約30度となるように結合させ、外径65mm、内径50mmとなるようにした。内径側の結合部分の詳細な形状は図8(a)に示されており、外径側の結合部分の詳細な形状も同様である。図示したバッフル構造以外は実施形態1と同様の条件とした。
【0034】
この場合、カウントされたパーティクル数は20000個/面と多かった。
【0035】
また、隣り合う薄板40同士の相対角度が約45度となるように結合させ、外径65mm、内径50mmとなるように変形例を実施した場合にも、カウントされたパーティクル数は51000個/面と多かった。
【0036】
さらに、隣り合う薄板40同士の相対角度が約90度となるように結合させ、外径65mm、内径50mmとなるように別の変形例を実施した場合には、カウントされたパーティクル数は130000個/面とさらに多かった。
【0037】
実施形態1および2、並びに比較例1および2により得られた、カウントされたパーティクル数と隣り合う薄板同士の相対角度との関係を図5に示す。図5において、(相対角度)=0度のケースは実施形態1を、(相対角度)=10度および20度のケースは実施形態2を、(相対角度)=30度および45度および90度のケースは比較例2および変形例を、(相対角度)=180度のケースは比較例1を、それぞれ示している。
【0038】
図5から、相対角度が20度以下の場合(実施形態1および2)は、アーク源Saから成膜面へ流入するパーティクルを阻止して大幅に低減できることが明らかである。この効果は、磁気フィルター10内を反射して成膜面に流入しようとするパーティクルがバッフル構造に流入し、バッフル構造の内側で対向する薄板20(30)同士の間で反射したパーティクルのほとんどが薄板20(30)の表面に吸着されるまで反射を繰り返し、再び磁気フィルター10内の空間に飛び出すことなく捕獲される作用があり、相対角度が20度以下でこの作用が効果的に発揮されるためである。
【0039】
(比較例3)
図1に示した装置において、ステンレスパイプ11の内側に、図6に示すバッフル構造を構成したものを用いて成膜を行った。このバッフル構造は、ステンレスパイプ11の軸方向と略垂直な向きに所定間隔で複数の凹部61と凸部62が交互に並設されて波型に構成されたステンレスパイプ60である。凹部61と凸部62は薄板を湾曲させて形成され、ここで、ステンレスパイプ60の内側から見て凹んだ部分を凹部61、ステンレスパイプ60の外側から見て凹んだ部分を凸部62とする。凹部61および凸部62の軸方向長さ(板厚を考えない場合の長さ)は2.5mm、波型のピッチは5mmとした。ここで、凹部61および凸部62の対向する壁面同士は平行である。バッフル構造以外は実施形態1と同様の条件である。
【0040】
この場合、カウントされたパーティクル数は22000個/面と多かった。
【0041】
ここで、実施形態1、並びに比較例1および3におけるパーティクル数の突起状構造端面比率依存性を図7に示す。ここで、突起状構造端面とは、実施形態1における薄板20または比較例3における凸部62の磁気フィルター10の中心部側の端面である。比較例1における突起状構造端面とは、ステンレスパイプ11とは別のステンレスパイプの内面である。
【0042】
薄板20の端面は図8(a)に示すように、凸部62の端面は図8(b)に示すようにそれぞれ半円状になっている。そこで、磁気フィルター10の軸方向の端面の長さdの2/3のみがパーティクルを成膜面へ向けて反射させる実効的な端面になり得ると仮定し、磁気フィルター内壁面に対する面積比率として突起状構造端面比率を算出した。
【0043】
図7を参照すると、実施形態1では、板厚0.2mmと間隔5mmと上記比率から(端面比率)=(0.2*2/3)/5=0.026、実施形態1の変形例では同様に計算して(端面比率)=0.133となり、これらのとき、パーティクル数は前述の通り良好な値(それぞれ1400個、2400個)が得られた。比較例3では、凸部62の軸方向長2.5mmと波型のピッチ5mmと上記比率から(端面比率)=(2.5*2/3)/5=0.333となり、このとき、パーティクル数は前述の通り22000個であった。比較例1では、ステンレスパイプ11とは別のステンレスパイプの内面は軸方向にフラットであることから(端面比率)=1と考え、このとき、パーティクル数は前述の通り250000個であった。
【0044】
上記端面はパーティクルを成膜面へ向けて反射させる面となり得るが、突起状構造端面比率が0.2以下の場合(実施形態1)は、パーティクルが成膜面まで到達する確率を非常に小さいものとすることができ、成膜面へのパーティクルの流入を大幅に低減可能なことが明らかである。
【0045】
(比較例4)
図1に示した装置において、図2に示すバッフル構造の隣り合う薄板20同士の間隔(板厚を考えない場合の間隔、つまりピッチ)を10mmとしたバッフル構造を用いて成膜を行った。バッフル構造以外は実施形態1と同様の条件である。
【0046】
この場合、カウントされたパーティクル数は32000個/面と多かった。
【0047】
また、薄板間の間隔を15mmとした変形例の場合には、カウントされたパーティクル数は110000個/面と多かった。
【0048】
ここで、実施形態1および比較例4におけるパーティクル数の突起状構造依存性を図9に示す。ここで、突起状構造とは以下に説明する寸法aと寸法bの比率を言い、図10に示すように、aは実施形態1または比較例4における薄板20または40の磁気フィルター断面径方向の長さ、bは磁気フィルター軸方向の間隔(=ピッチ)である。
【0049】
実施形態1では、a=7.5mm、b=5mmから(a/b)=1.5となり、このとき、パーティクル数は前述の通り良好な値(1400個)が得られた。比較例4では、a=7.5mm、b=10mmから(a/b)=0.75となり、このとき、パーティクル数は前述の通り32000個であった。比較例4の変形例では、a=7.5mm、b=15mmから(a/b)=0.5となり、このとき、パーティクル数は前述の通り110000個であった。
【0050】
a/b≧1の場合(実施形態1の場合に該当し、薄板20の平行に延伸する面と面の間隔が、両面が磁気フィルタ10の軸方向に対して略垂直な向きに延伸する距離と等しいか、または該対向する距離より小さい場合)に、成膜面へのパーティクルの流入を大幅に低減可能なことが明らかである。
【0051】
bがaよりも大きい場合、パーティクルがバッフル構造の底に反射して飛び出してくる確率が大きくなるため、a/b≧1とすることが望ましいと考えられる。
【0052】
なお、実施形態1において、aは陰極物質プラズマビームの通過を妨げない程度の長さとなっている。
【0053】
(実施形態3)
図1に示した装置において、図11に示すバッフル構造を用いて成膜を行った。このバッフル構造には、向きの揃った複数の載頭錐体状のリング部材である薄板110をワイヤー112で連結して、薄板110の面が磁気フィルタ10の軸方向に対して約45度傾いた状態で並設されたものを用いた。
【0054】
実施形態3のバッフル構造は、両端の直径の異なるステンレス製の複数の薄板110(内径D1=50mm、外径D2=65mm、板幅D=10.6mm)が、隣り合う薄板110同士が平行になるようにして薄板110の内周部と外周部、円周方向には90度ずつ4箇所の計8本のワイヤー112で結合されたものである。ここで、薄板110同士の磁気フィルター10の軸方向の間隔(板厚を考えない場合の間隔、つまりピッチ)は5mmとした。
【0055】
このようにして成るバッフル構造は、薄板110の外周側端面を覆うように、薄板110とステンレスパイプ11の間に配置されるシールド材115とともに磁気フィルター10の形状に沿って曲げられ、内部から磁気フィルター10への取り付け、取り外しができるようになっている。バッフル構造以外は実施形態1と同様の条件である。
【0056】
この場合、カウントされたパーティクル数は970個/面と少なかった。
【0057】
また、成膜実験を繰り返し行った後には、容易にバッフル構造を取り外して交換することができた。したがって、成膜を多く繰り返すとバッフル構造にパーティクルが溜まって、そのパーティクル低減効果が減少することや、成膜の繰り返しにより溜まったパーティクルが剥離して2次的なパーティクルの発生源となることを未然に防止することができる。
【0058】
バッフル構造が磁気フィルタ10の内壁を内側から完全に覆っているため、パーティクルによる磁気フィルター10の内壁の汚染もなかった。したがって、磁気フィルター10自体の清掃を別途必要とせず、メンテナンスが容易となる。
【0059】
(実施形態4)
実施形態1乃至3のいずれかの真空アーク蒸着装置を用い、真空成膜チャンバ14に収容された磁気記録層まで形成されたディスクを被成膜基板13として、その上に保護膜を形成して磁気記録媒体を製造することができる。
【0060】
このようにして形成された保護膜は、陰極物質としてグラファイト(炭素)を用いていることから、水素を含まず、sp結合炭素に富んだ高硬度のテトラヘドラル・アモルファス・カーボンからなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る真空アーク蒸着装置の構成を示す図である。
【図2】平板状のリング部材を並設したバッフル構造を備える実施形態1の構成図である。
【図3】向きの異なる載頭錐体状のリング部材を交互に複数連結して筒状部材とした蛇腹状バッフルを備える実施形態2の構成図である。
【図4】比較のために、隣り合う薄板間の相対角度を30度とした蛇腹状バッフルの構成図である。
【図5】パーティクル低減効果の隣り合う薄板がなす相対角度依存性を示した図である。
【図6】比較例3におけるバッフル構造(波型状バッフル)の構成図である。
【図7】パーティクル低減効果の磁気フィルター内壁面に対する突起状構造端面比率依存性を示した図である。
【図8】実施形態1、並びに比較例3におけるパーティクル数の突起状構造端面比率について説明する図である。
【図9】パーティクル低減効果の薄板長さa/ピッチb依存性を示した図である。
【図10】パーティクル低減効果の薄板長さa/ピッチb依存性を説明するための図である。
【図11】実施形態3におけるバッフル構造の構成図である。
【符号の説明】
10 磁気フィルター
11 コアパイプ(ステンレスパイプ)
12 電磁石コイル
13 被成膜基板
14 真空成膜チャンバ
15 ストライカー
16 陰極(陰極ターゲット)
17 陽極
18 ラスターコイル
19 シャッター
20,30,40,110 薄板
21,112 ワイヤー
22,115 シールド材
60 ステンレスパイプ
61 凹部
62 凸部

Claims (16)

  1. 真空に排気される真空室と、
    該真空室に収容される基体に成膜するための成膜原料を陰極ターゲットとしてアーク放電する放電手段と、
    前記真空室と前記放電手段の間に配設されており、前記アーク放電により発生した陰極物質プラズマを、コイルに通電されて発生した磁場により前記真空室に誘導して前記基体に蒸着させるための筒状のプラズマ誘導手段と
    を備えた真空アーク蒸着装置において、
    前記プラズマ誘導手段の内側に配設されており、前記アーク放電により発生したパーティクルが前記真空室へ流入することを阻止するために所定の位置関係で配置された複数の面を含んでなるパーティクル阻止手段を備えたことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  2. 請求項1に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記パーティクル阻止手段は、所定角度で対向する第1および第2の反射面が複数対、前記プラズマ誘導手段の軸方向と略垂直な向きに配設されてなり、前記第1の反射面に入射した前記パーティクルが前記第1の反射面と前記第2の反射面の間で反射されることで、前記パーティクルが前記第1および/または第2の反射面に吸着される構成とされることを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  3. 請求項2に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記パーティクル阻止手段は、前記略垂直な向きに所定間隔で並設された複数のリング部材と、該複数のリング部材を前記所定間隔で連結する連結手段とを含み、該複数のリング部材がそれぞれ前記第1および第2の反射面を有することを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  4. 請求項3に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記複数のリング部材は平板状の形状をなしており、
    隣り合うリング部材の前記第1の反射面と前記第2の反射面同士が前記所定角度をなすことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  5. 請求項3に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記複数のリング部材は載頭錐体状の形状をなしており、
    隣り合うリング部材の前記第1の反射面と前記第2の反射面同士が前記所定角度をなすことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  6. 請求項4または5に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記所定角度は略平行であり、
    前記第1の反射面と前記第2の反射面の間隔は、両反射面が前記略垂直な向きに延伸する距離と等しいか、または該延伸する距離より小さい
    ことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  7. 請求項3乃至6のいずれかに記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記パーティクル阻止手段と前記プラズマ誘導手段の間に、前記パーティクル阻止手段を覆うシールド部材を配設されてなることを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  8. 請求項2に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記パーティクル阻止手段は筒状部材であり、該筒状部材の内側に、前記略垂直な向きに所定間隔で複数の凸部が並設されており、該複数の凸部がそれぞれ前記第1および第2の反射面を有することを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  9. 請求項8に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記筒状部材は、前記プラズマ誘導手段の内壁を内側から完全に覆うことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  10. 請求項8または9に記載の真空アーク蒸着装置において、前記複数の凸部のうち、隣り合う凸部の前記第1の反射面と前記第2の反射面同士が前記所定角度をなすことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  11. 請求項10に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記所定角度は20度以下であり、
    前記第1の反射面と前記第2の反射面の間隔は、両反射面が前記略垂直な向きに延伸する距離と等しいか、または該延伸する距離より小さく、さらに、
    前記複数の凸部の前記軸方向の長さの合計の2/3と、前記パーティクル阻止手段の前記軸方向の長さの比が1/5以下である
    ことを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  12. 請求項11に記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記所定角度は略平行であることを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれかに記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記パーティクル阻止手段は、前記プラズマ誘導手段に対して着脱自在とされていることを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれかに記載の真空アーク蒸着装置において、
    前記成膜原料は炭素であることを特徴とする真空アーク蒸着装置。
  15. 基体と、該基体上に配置された磁気記録層と、請求項1乃至13のいずれかに記載の真空アーク蒸着装置を用いて前記磁気記録層上に形成された保護膜とを備えた磁気記録媒体であって、
    前記保護膜は、パーティクルの含有量が所定量以下とされていることを特徴とする磁気記録媒体。
  16. 基体と、該基体上に配置された磁気記録層と、請求項14に記載の真空アーク蒸着装置を用いて前記磁気記録層上に形成された保護膜とを備えた磁気記録媒体であって、
    前記保護膜は、パーティクルの含有量が所定量以下で、高硬度のテトラヘドラルアモルファスカーボンからなることを特徴とする磁気記録媒体。
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