JP2004244467A - 路面標示用水性塗料定着剤および路面標示の形成方法 - Google Patents

路面標示用水性塗料定着剤および路面標示の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】路面標示用水性塗料を用いて路面標示を形成する際にその水性塗料からなる塗膜の乾燥を促進させて短時間で強固に定着させることができる路面標示用水性塗料定着剤、ならびにその定着剤を用いて、耐水性および耐久性に優れ、高強度の塗膜を短時間で形成することができる方法を提供する。
【解決手段】水和反応により発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を含む路面標示用水性塗料定着剤およびその定着剤を用いる路面標示の形成方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面標示用水性塗料定着剤および路面標示の形成方法に関し、特に、路面に塗布された路面標示用水性塗料の乾燥時間を短縮し、その塗料の定着を促進する路面標示用水性塗料定着剤、路面標示用水性塗料組成物および該定着剤を用いて、耐水性、タイヤ不着性等に優れる路面標示を形成できる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、舗装道路の路面には、道路交通に関する規制、警戒、案内、指示等の情報を車両の運転者および歩行者に適切に与えるために、各種の区画線または道路標示(以下、「路面標示」という)が塗料を用いて施されている。路面標示用塗料は、道路交通を規制してから交通を可能とするまでの時間(交通規制時間)を短縮するために、塗布後の乾燥速度が早いことが要求されるとともに、交通解放直後の走行車両のタイヤによる塗膜の耐汚れ性に優れることが求められる。そのような塗料として、従前蒸発速度の速いケトン系、エステル系、脂肪族系、芳香族系溶剤等の有機溶剤系を用いたものが使用されてきた。しかしながら、蒸発性の有機溶剤は、塗布後迅速に大気中に揮散することから、環境汚染のひとつとなっており、近年では、より環境負荷の少ない水性路面標示用塗料の開発が望まれていた。
【0003】
水性路面標示用塗料は、これまでに種々開発されてきた。しかし、水性塗料の乾燥時間は塗布される周囲環境の温度、湿度に大きく依存する。特に湿度が高い日には水性塗料は乾燥に数時間から数日を要し交通開放が長くなること、また乾燥時間が長いことから降雨に遭遇して塗膜が溶出、剥離することがある。更に乾燥に至っても塗膜に粘着が残りタイヤによる汚れが発生するなどの不具合から、実際の使用を大きく制限している。
【0004】
上記の水性塗料を路面標示に用いる場合の問題を解決するためにいくつかの試みがなされている。例えば、特許文献1(EP−A−0−200−249号公報)には、水性塗料を塗布後、水溶性塩を接触させる方法が開示されている。しかし、この方法は、塗膜の乾燥速度の向上には効果的であるが、水溶性塩を接触させることによって、塗膜表面が非常に速く乾燥して塗膜表面に皮が張り、塗膜内側のさらなる乾燥が阻害される。そのため、塗膜の表層が乾燥しても塗膜の内側低部は依然として水分が多く中膿みの状態となって、塗膜のずり応力に問題を生じ、また、車両通過によって塗膜が汚染されやすいという問題がある。
【0005】
また、特許文献2(特開平9−23548号公報)には、水を吸収できる固形ポリマー粒子または無機化合物の粒子を含む即乾性の水性道路マーキング塗料、およびその粒子を表面に塗料とともに、または塗布された塗料の上にスプレーし、水性道路マーキング塗料の乾燥を促進する方法が開示されている。そして、固形ポリマーまたは無機化合物の粒子として、イオン交換樹脂ビーズ、超吸水性ゲル、中空球状粒子およびタルクが挙げられている。
【0006】
【特許文献1】
EP−A−0−200−249号公報
【特許文献2】
特開平9−23548号公報
【0007】
しかし、この公報に記載の技術において、水を吸収できる固形ポリマー、超吸収ゲルは、塗膜の乾燥の促進には有効であるが、乾燥塗膜が降雨時等に水を再吸収して塗膜強度に問題を生ずる。また、イオン交換樹脂は、乾燥を促進する効果があるが、その効果は水溶性塩で処理した場合より少なく、また、イオン交換樹脂は高価であるため、コスト上、問題がある。
これら従来提案されている技術は、速乾性の路面標示を形成できるが、いずれも商業的に殆んど行なわれていないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、路面標示用水性塗料を用いて路面標示を形成する際にその水性塗料からなる塗膜の乾燥を促進させて強固に定着させることができる路面標示用水性塗料定着剤、ならびにその定着剤を用いて、耐水性および耐久性に優れ、高強度の塗膜を形成することができる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、非水溶性で水と反応して発熱する無機化合物の粒子を路面標示用水性塗料とともに使用すると、塗布された塗膜の乾燥と耐久性が驚くほど促進されることを見出した。特に、上記粒子を塗膜の表面に散布した場合、粒子が塗膜の表面にのみ接触しているにもかかわらず、塗膜の乾燥は表面から始まり塗膜の厚さ方向の全域に渡って起こることを見出した。このことは、後記の実施例において、塗布された塗料の耐水浸漬試験、散水下の促進耐久性試験、鉛筆硬度試験および塗膜の強伸度試験によって実証されている。
【0010】
すなわち、本発明者らは、下記の構成によって、本発明の目的が達成されることを見出し、本発明に至った。
(1) 水と反応することにより発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を含む路面標示用水性塗料定着剤。
(2) 前記無機化合物粒子が、水和反応により発熱可能な化合物である路面標示用水性塗料定着剤。
(3) 前記無機化合物粒子が、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む粒子である(1)または(2)に記載の路面標示用水性塗料定着剤。
(4) 路面に塗布した路面標示用水性塗料を乾燥し、塗膜の定着を促進する方法であって、(1)に記載の路面標示用水性塗料定着剤を、路面標示用水性塗料とともに路面に塗布、または路面に塗布された路面標示用水性塗料の塗膜上に散布する工程を含む路面標示の形成方法。
(5) 路面標示用水性塗料を路面に塗布する第1工程、塗膜表面にガラスビーズを適用する第2工程、および塗膜とガラスビーズの表面に請求項1に記載の路面標示用水性塗料定着剤を適用する第3工程を含む、(3)に記載の路面標示の形成方法。
(6) 水と反応して発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を含む路面標示用水性塗料定着剤と、路面標示用水性塗料を含む塗料キット。
【0011】
本発明において、「路面」とは、車両通行のための道路舗装面、飛行機の滑走路面、工場内の通行路、自転車道、歩道等の舗装路面、また屋内外の駐車場等の舗装面をも含む。また「舗装」とは、アスファルト舗装、コンクリート舗装、敷石舗装等をいう。
また、本発明において、「路面標示」とは、路面に各種の標示を目的として塗装により形成されるマークであり、特に限定されない。例えば、区画線、横断歩道、はみ出し禁止等を線、文字、記号、模様等によって交通標示を例示することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の路面標示用水性塗料定着剤(以下、「本発明の定着剤」という)および路面の形成方法(以下、「本発明の方法」という)について詳細に説明する。
【0013】
本発明の定着剤は、路面標示用水性塗料の乾燥および定着を促進する成分として、水と反応することにより発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子(以下、単に「無機粒子」という)を含むものである。本発明において、「水と反応することにより発熱可能な」とは、水と混合すると、水和熱あるいは吸着熱を生起することをいう。本発明において、無機粒子は、定着後の形成塗膜の耐水性を確保するため非水溶性であるものが用いられる。詳しくは、無機粒子と水との反応物の溶解度が、0℃において2g/水100g以下のものが好ましい。
【0014】
この無機粒子の具体例として、酸化カルシウム(生石灰)、酸化バリウム、酸化ストロンチウム等、ゼオライト、硫酸カルシウムが挙げられ、これらは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて、本発明の定着剤に主要成分として含有される。特に、水と反応して1Kcal/mol以上の熱量を発生するもので、好ましくは、15Kcal/mol以上の熱量を発生するもので、中でも、商業的に利用可能な無機粒子として、生石灰があげられる。
【0015】
また、無機粒子は、定着後の塗料との反応性および塗膜の仕上がり性を考慮すると平均粒径が5μm〜300μmであることが好ましく、特に5μm〜150μmが好ましい。無機粒子の形状は、特に限定されない。
【0016】
さらに、本発明の定着剤は、前記無機粒子以外に、本発明の目的を阻害しない範囲で、必要に応じて、他の成分を含有していてもよい、例えば、国際特許WO94/29391、ヨーロッパ特許EP−A−0−200−249号明細書、特開平9−23548号公報などに開示されている、酸もしくは塩の溶液、または水を吸収できる固形ポリマー、イオン交換樹脂等の粒子を含んでいてもよい。
【0017】
本発明の定着剤の製造は、前記無機粒子および必要に応じて適宜配合される成分を混合することによって行うことができる。本発明の定着剤において、無機粒子の含有量は、通常、30%以上、好ましくは70%以上の範囲である。
【0018】
本発明の定着剤を適用して、その乾燥・定着を促進できる路面標示用水性塗料は、特に制限されず、本発明の定着剤は、従来、路面標示用に用いられているいずれの水性塗料にも適用することができる。特に、本発明の定着剤は、JIS K5665路面標示用塗料の品質を満足させるための組成等の観点から、60〜85重量%の総固形分を有し、乾燥膜厚で0.2〜0.5mmで塗布する路面標示用水性塗料の乾燥・定着に有用である。
【0019】
路面標示用水性塗料の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、スチレン等のエチレン性不飽和基を有する化合物を重合または共重合してなる樹脂成分、例えば、アクリル酸樹脂、さらに、アルキド樹脂、合成乾性油、合成ラテックス、変性カゼイン、変性デンプン、変性ニカワなどの樹脂成分を、ビヒクル成分とするものが挙げられる。さらに、樹脂は、カルボキシル基、エポキシド基、カルボニル基、アミノ基、炭素−炭素二重結合等の反応性官能基または結合を分子内に導入した重合体であってもよい。
【0020】
また、路面標示用水性塗料は、塗布作業性、着色や塗料物性、塗膜物性を改善するために、添加される各種の添加剤を、適宜、必要に応じて、種類、含有量等を所望の特性に応じて適宜選択し、それぞれ単独、あるいは2種以上を組み合わせてて配合することができる。例えば、二酸化チタン、黄鉛、酸化チタン、亜鉛華、リトポン、黄鉛、チタンイエロー、弁柄、カーボンブラック、シアニンブルー、シアニングリーン、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、縮合アゾ系顔料、モノアゾ系顔料などの有機または無機顔料;炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硅石粉、セライト、クレー、タルク、マイカ、アルミナ、シリカ、クレイ、珪砂、寒水砂等の増量剤、増粘剤、レオロジー改質剤、分散剤、沈降防止剤、凍結防止剤、消泡剤、凝集防止剤、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、ベンジルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート等の造膜助剤、防錆剤、防腐剤、レベリング剤、タレ防止剤、ワックス、植物油、植物油変性アルキド樹脂、フタル酸エステル等の可塑剤、表面調整剤、ハジキ防止剤などが挙げられる。
【0021】
また、路面標示用水性塗料は、溶媒または分散媒として主として水を使用するが、必要に応じて有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤の種類は特に制限されず、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールなどのアルコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類などが使用できる。
【0022】
また、本発明の方法は、路面に塗布した路面標示用水性塗料を乾燥し、塗膜の定着を促進するために、本発明の定着剤を、路面標示用水性塗料とともに路面に塗布、または路面に塗布された路面標示用水性塗料の塗膜上に散布する工程を含む方法である。路面標示用水性塗料の塗布方法は、特に制限されず、スプレー、フローコータ−、刷毛、ローラー等のいずれの方法にしたがって行ってもよい。
【0023】
路面標示用水性塗料への本発明の定着剤の適用方法は、特に制限されず、例えば、下記のいずれの方法にしたがって行ってもよい。
(a)路面に塗布した塗料塗膜の上に、本発明の定着剤を散布する方法
(b)路面に塗布する塗料とともに路面に散布する方法
本発明の定着剤を散布する方法は、粒子粉末を均一に散布するために用いられるいずれの方法にしたがって行ってもよく、特に制限されない。例えば、エアースプレー、エアーレススプレー、圧送スプレー、自然落下散布等の方法にしたがって行うことができる。また、塗料とともに本発明の定着剤を散布する場合には、塗料を塗布するためのスプレー装置における塗料の散布用ファンに直接、本発明の定着剤を供給し、塗料の散布に随伴して定着剤を散布してもよい。
【0024】
本発明の定着剤の塗膜への散布量は、水性塗料の乾燥速度に影響を与え、通常、1〜50g/m程度が好ましく、特に好ましくは5〜20g/mである。散布量が50g/mを超える場合は、塗膜の仕上がりが悪くなる可能性があり、1g/m未満の場合は、塗膜の乾燥・定着効果が少なくなることがある。
【0025】
また、本発明の方法において、路面標示の夜間視認性等を目的として、塗膜表面にガラスビーズを適用してもよい。ガラスビーズを含む塗膜からなる路面標示は、路面標示用水性塗料を路面に塗布する第1工程、塗膜表面にガラスビーズを適用する第2工程、および塗膜とガラスビーズの表面に、本発明の定着剤を適用する第3工程を含む方法にしたがって形成することができる。
【0026】
本発明の方法において、ガラスビーズを適用する方法は、特に制限されないが、(a)塗料を塗布した後、ガラスビーズを散布し、最後に本発明の定着剤を散布する方法、(b)ガラスビーズを散布する前に、本発明の定着剤を散布する方法、および(c)ガラスビーズとともに本発明の定着剤を散布する方法のいずれの方法にしたがってもよい。さらに、ガラスビーズの散布は、塗料を塗布するためのスプレー装置における塗料の散布用ファンに直接、ガラスビーズを供給し、塗料に随伴させて行ってもよい。
【0027】
また、本発明の方法において、塗膜にガラスビースを適用する場合、用いられるガラスビーズは、その粒径により、粒径850〜1500μm程度の球状の大粒径ガラスビーズと、粒径106〜850μm程度の球状の小粒径ガラスビーズとに分類される。これらのガラスビーズは、屈折率を1.5〜2.5程度とすれば、光が当たったときに再帰反射を引き起こし、路面標示の夜間視認性等の向上に有効である。また大粒径ガラスビーズの周りに小粒径ガラスビーズをあらかじめ接着した複合ガラスビーズを用いてもよい
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。なお、実施例および比較例に使用した路面標示用水性塗料Aおよびつや消し内装用塗料Bは、下記の配合処方で調製した。
【0029】
路面標示用水性塗料Aの配合処方
Figure 2004244467
81KU〜83KU 固形分76%、樹脂固形分20%、
分散度 JIS K5600 分布図法60μm以下
【0030】つや消し内装用塗料Bの配合
Figure 2004244467
塗料粘度 81KU〜83KU 固形分60% 樹脂固形分12%
分散度 JIS K5600 分散図法 60μm以下
【0031】
実施例1
(耐水浸漬性試験)
5℃×90%RHの条件下、路面標示用水性塗料Aをアスファルトフェルト紙に乾燥膜厚で250±30μmになるように塗布し、塗布直後に下記の定着剤または無機化合物粉末を15g/mの散布量で塗膜の上に散布して供試体を作製した。さらに、5分、15分、45分および90分の時間養生した供試体を、水に1時間浸漬してから引き上げ、引き上げ直後の塗膜の溶出、剥離を観察するとともに、更にひとさし指で軽く擦り塗料が付着するかどうかを調べ、耐水浸漬性を試験した。
【0032】
定着剤
酸化カルシウム
同和カルファイン(株)製
商品名 Fライム900K
平均粒径 5〜7μm
タルク
富士タルク産業(株)製
商品名 FMタルク
平均粒径 45μm以下
炭酸カルシウム
ケーシー工業(株)製
商品名 KC1000
平均粒径 43μm以下
【0033】
また、比較例として、定着剤または無機化合物粉末を散布しない塗膜(定着処理なし)、さらに、25%塩化カルシウム(和光純薬工業(株)製)水溶液(30g/m)またはイオン交換樹脂(オルガノ(株)製、アンバージェット1200H、30g/m)をそれぞれ散布した塗膜についても、同様の試験を行った。
試験結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
Figure 2004244467
【0035】
表1に示す試験結果のとおり、5℃×90%RHの雰囲気条件で、定着処理しなかった場合は、90分養生しても耐水浸漬性試験で、塗膜の溶出および剥離があったが、酸化カルシウムまたは塩化カルシウム水溶液の散布処理をすることによって、15分で塗膜の溶出、指への塗料の付着がなかった。
また、吸水性無機物であるタルクは、塗膜の速乾化に余り効果がないことが分かった。さらに、水和反応性のない炭酸カルシウムは効果がなく、イオン交換樹脂も乾燥性に効果が見られたが、硬化の発現性が遅いことが分かった。
【0036】
実施例2
(乾燥性試験)
23℃×50%RHの条件下、路面標示用水性塗料Aをアスファルトフェルト紙に乾燥膜厚で250±30μmになるように塗布した。塗布直後に、無機化合物粉末として、実施例1で使用したものと同じ酸化カルシウム粉末およびタルクをそれぞれ散布量15g/mで散布した塗膜について、タイヤ付着性をJISK5665に準拠して試験した。
【0037】
また、比較のために、無機化合物粉末を塗布しなかった塗膜、25%塩化カルシウム水溶液(30g/m)を散布した塗膜についても同時にタイヤ付着性を試験した。
結果を表2に示す。
【0038】
【表2】
Figure 2004244467
【0039】
表2に示す試験結果から、酸化カルシウムまたは塩化カルシウム水溶液を散布した場合、タイヤ付着性を大幅に短縮できることが分かる。
【0040】
実施例3
(促進耐久性試験1)
5℃×40%RHの条件下、路面標示用水性塗料Aを黒皮鋼板に乾燥膜厚で250±30μmになるように塗布した。塗布直後、酸化カルシウム粉末を散布量15g/mおよび25%塩カル水溶液を30g/mをそれぞれ散布処理し、1時間養生した塗膜について、促進耐久性を下記の試験機および方法を用いて評価した。また、比較例として、塗布直後、表面を無処理の状態で、それぞれ1時間、3時間、4時間および24時間、養生した塗膜についても、促進耐久性を評価した。結果を表3に示す。なお、促進耐久性試験は、25分間実施した。
【0041】
試験方法
Figure 2004244467
試験方法:円周状に設置された供試体上を試験輪を通過させる。このとき供試体上に常時散水を行い湿潤状態を保持した。
評価:25分後、1650回タイヤが踏走した後の塗膜の残存率を測定し、走行轍部面積に対しての残存塗膜面積の割合(%)によって評価した。
【0042】
【表3】
Figure 2004244467
【0043】
表3に示す塗膜残存率の測定結果から、酸化カルシウム粉末または塩化カルシウム水溶液を散布後、1時間経過後のタイヤ付着性は、散布処理を施さなかった場合の24時間後のタイヤ付着性におおよそ該当し、効果の発現を早めることができることが分かる。
【0044】
実施例4
(促進耐久性試験2)
5℃×90%RHの条件下、路面標示用水性塗料Aを黒皮鋼板に乾燥膜厚で250±30μmになるように塗布した。塗布直後、塗膜表面に酸化カルシウム粉末を散布量15g/mおよび25%塩化カルシウム水溶液を30g/m散布し、1時間、2時間および3時間養生後の塗膜について、それぞれ実施例3と同様に促進耐久性試験を行い、2分後、132回タイヤが踏走した後の塗膜残存率を測定した。また、比較のために、路面標示用水性塗料Aを塗布直後、塗膜表面に処理を施さなかった塗膜についても、同様の促進耐久性試験を行った。結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
Figure 2004244467
【0046】
表4に示す結果から、低温・多湿時においては、塩化カルシウム水溶液を散布して処理した場合よりも、酸化カルシウム粉末を散布処理した場合の方が、得られる塗膜の耐久性能の発現を速くすることができることが分かる。
【0047】
実施例5
(塗膜硬度試験)
23℃、50%RHの条件下、路面標示用水性塗料Aをガラス板に乾燥膜厚で250±30μmになるように塗布した。塗布直後、酸化カルシウム粉末を15g/mおよび25%塩化カルシウム水溶液を30g/mを散布した塗膜、および散布処理を施さなかった塗膜のそれぞれを23℃、20%RHの雰囲気で乾燥させた。乾燥時間が1日、7日、14日、21日、60日、90日経過時における各塗膜の硬度を、JIS K5400の8.4.2に記載された手かき法にしたがって測定した。結果を表5に示す。
【0048】
【表5】
Figure 2004244467
【0049】
表5に示す結果から、25%塩化カルシウム水溶液で処理した場合は、塗膜内部の硬化が遅く、無処理よりも鉛筆硬度が劣り、これに対して、酸化カルシウムによって処理した場合は、無処理の塗膜に比較して、鉛筆硬度の発現を促進できることが分かる。
【0050】
実施例6
(塗膜の強伸度試験)
23℃、50%RHの条件下、路面標示用塗料Aを乾燥膜厚で250±30μmとなるように離形紙上に塗布し、直後に酸化カルシウム粉末(15mg/m)、25%塩化カルシウム水溶液(30g/m)を散布したものおよび無散布のものを作製した。これを23℃、50%RHの条件下、1日、7日間養生後、ダンベル2号のカッターをもちいて塗膜を打ち抜き(標点間距離50mm、幅10mm)、供試体を作製した。
また、23℃、50%RHの条件下、路面標示用塗料Aを乾燥膜厚で250±30μmとなるように離形紙上に塗布し、直後に酸化カルシウム粉末(15mg/m)および25%塩化カルシウム水溶液(30g/m)を散布したものおよび無散布のものを作製した。これらを23℃、50%RHの条件下で2時間養生後、塗膜を80℃で8時間促進乾燥させた後、ダンベル2号のカッターをもちいて塗膜を打ち抜き、供試体を作製した。
作製したこれらの供試体について、島津製作所製のオートグラフAG−25TBを用いて、23℃、50%RHの条件下で塗膜の強伸度を測定した。引っ張り速度は5mm/min、ロードセル:1KNとした。
結果を表6、図1及び図2に示す。
【0051】
【表6】
Figure 2004244467
【0052】
表6、図1及び図2に示す結果から、無散布の塗膜に対して、25%CaCl水(30g/m)を散布したものは、塗膜の強度発現が遅く、伸びも大きい。一方、CaO(5mg/m)散布の場合には、強度の発現性が速く、硬化を促進させることが分かった。
【0053】
実施例7
(一般塗料における効果)
つや消し内装用塗料Bを、乾燥膜厚で250±30μmになるようにガラス板に塗布した。塗布直後、塗膜表面に酸化カルシウムを15g/m散布した供試体と、散布処理を施さない供試体とを作製し、23℃、85%RHの雰囲気下、5分、10分、30分および60分乾燥させた供試体について、それぞれ耐水浸漬性試験を行なった。結果を表6に示す。
【0054】
【表7】
Figure 2004244467
【0055】
表7に示す結果から、つや消し内装用塗料Bのような一般塗料に、酸化カルシウム粉末を散布処理することにより、硬化を促進することが確認できた。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の定着剤は、路面標示用水性塗料を用いて路面標示を形成する際にその水性塗料からなる塗膜の乾燥を促進させて強固に定着させることができ、乾燥時間を短縮することができる。そのため、本発明の方法によれば、耐水性および耐久性に優れるため、高強度の塗膜からなる路面標示を、短い交通規制時間で形成することができ、しかも、降雨時等に塗膜が溶出または剥離することもなく、また、交通開放直後の通過車両のタイヤ踏走によっても良好な路面標示を形成することができる。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例6の結果を示す図であり、酸化カルシウム粉末処理、塩化カルシウム水溶液処理および無散布での塗膜の最大点応力を示す。
【図2】実施例6の結果を示す図であり、酸化カルシウム粉末処理、塩化カルシウム水溶液処理および無散布での塗膜の破断点ひずみを示す。

Claims (6)

  1. 水と反応することで発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を含む路面標示用水性塗料定着剤。
  2. 前記無機化合物粒子が、水和反応により発熱可能な化合物である請求項1に記載の路面標示用水性塗料定着剤。
  3. 前記無機化合物粒子が、酸化カルシウム、酸化バリウムおよび酸化ストロンチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む粒子である請求項1または2に記載の路面標示用水性塗料定着剤。
  4. 路面に塗布した路面標示用水性塗料を乾燥し、塗膜の定着を促進する方法であって、請求項1に記載の路面標示用水性塗料定着剤を、路面標示用水性塗料とともに路面に塗布、または路面に塗布された路面標示用水性塗料の塗膜上に散布する工程を含む路面標示の形成方法。
  5. 路面標示用水性塗料を路面に塗布する第1工程、塗膜表面にガラスビーズを適用する第2工程、および塗膜とガラスビーズの表面に請求項1に記載の路面標示用水性塗料定着剤を適用する第3工程を含む、請求項4に記載の路面標示の形成方法。
  6. 水と反応して発熱可能な非水溶性の無機化合物粒子を含む路面標示用水性塗料定着剤と、路面標示用水性塗料を含む塗料キット。
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