JP2004244364A - ヒドロキシアルキルメタクリレートの製造方法 - Google Patents

ヒドロキシアルキルメタクリレートの製造方法 Download PDF

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恭宏 新谷
Hitoshi Nakahara
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Abstract

【課題】メタクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキルメタクリレートを製造する方法において、ジエステルの生成や、MMAの混入等による製品純度の低下等を招くことが少なく、さらに、このヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマーやその(共)重合体の色相悪化を招くことも少ない、高品質ヒドロキシアルキルメタクリレートを得る方法を提供する。
【解決手段】原料メタクリル酸として、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メタクロレイン、およびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種を接触気相酸化することによって得られたものであって、かつ、前記メタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量がメタクリル酸に対して50重量ppm以下であるものを用い、さらに、反応触媒としてクロム化合物を用いる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒の存在下でメタクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキルメタクリレートを製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒドロキシアルキルメタクリレートの原料として用いられるメタクリル酸は、様々な方法で製造されている。その具体例としては、アセトンを原料としてアセトンシアノヒドリンを経て、メタクリル酸メチル(以下、「MMA」と称する)を製造する際に、中間体として得られるメタクリルアミドサルフェート(以下、「MAS」と称する)を硫酸触媒の存在下で加水分解してメタクリル酸を得る方法や、t−ブタノールからメタクリロニトリルを経てMMAを製造する際に、中間体として得られるメタクリルアミドサルフェートを硫酸触媒の存在下で加水分解してメタクリル酸を得る方法、または、MMAを加水分解してメタクリル酸を得る方法、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メタクロレイン、およびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種を接触気相酸化することによって直接メタクリル酸を得る方法等が知られている。
【0003】
しかし、メタクリル酸を得るための上記諸方法のうち、MASやMMAの加水分解を行う方法は、工程が複雑であるため経済的に不利であるばかりでなく、MASやMMAを加水分解する際に触媒として用いられる硫酸やアルカリ金属類がメタクリル酸中にわずかながら混入する可能性がある。これら硫酸やアルカリ金属類は、ヒドロキシアルキルメタクリレートの不均化反応(エステル交換反応)の触媒としても作用するため、これら硫酸やアルカリ金属類の混入したメタクリル酸を原料としてヒドロキシアルキルメタクリレートを製造した場合、反応工程、熟成工程、蒸留工程等においてヒドロキシアルキルメタクリレートの不均化反応が起こり、副生物としてアルキレングリコールジメタクリレート(以下、「ジエステル」と称する)が生成する。このジエステルの量が増大すると、上記反応工程および生成したヒドロキシアルキルメタクリレートの熟成工程、蒸留工程等において、原料メタクリル酸や、目的生成物であるヒドロキシアルキルメタクリレートの重合が促進され、装置閉塞などのトラブルの原因となる。また、上記ジエステルは、その蒸気圧が、目的生成物であるヒドロキシアルキルメタクリレートの蒸気圧と近似しているため、いったん生成すると以後の分離がほとんど不可能になる。そして、ジエステルの含有量が多いヒドロキシアルキルメタクリレートを原料モノマーとして使用し、それを単独重合したり、他の共重合可能なモノマーと共重合したりすると、得られる(共)重合体に「にごり」が発生したり、(共)重合時にゲル化が起きたりする場合もあった。
【0004】
また、MMAを加水分解してメタクリル酸を得る上記方法では、メタクリル酸中に微量のMMAが混入する可能性がある。MMAは、ヒドロキシアルキルメタクリレートと比べて軽沸点物質であるため、このMMAが混入したメタクリル酸をヒドロキシアルキルメタクリレートの原料として用いた場合、特別に軽沸点物分離工程を行わない限り、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートの製品中にMMAが混入する。このMMAは、分子内に不飽和結合を含有しているが、反応性の水酸基を持たないため、ヒドロキシアルキルメタクリレートの有する水酸基を、他の化合物、たとえば、イソシアネート化合物と付加反応させたり、カルボン酸やその無水物とエステル化反応させたりする場合に、これらの反応が起こらず、これらの製品の純度を低下させたり、ヒドロキシアルキルメタクリレートを単独重合させた場合に得られる重合体の親水性等を低下させたりする。
【0005】
一方、接触気相酸化により得られたメタクリル酸を使用してヒドロキシアルキルメタクリレートを製造する場合、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)の色相が悪化するという問題や、そのモノマーを単独重合させたり他の共重合可能なモノマーと共重合させたりして得られる(共)重合体(2次製品)の色相が悪化するという問題があった(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特公平7−64787号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、触媒の存在下でメタクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキルメタクリレートを製造するプロセスにおいて、ジエステルの生成や、MMAの混入等による製品純度の低下等を招くことが少なく、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)の色相悪化を招くことが少なく、さらに、ヒドロキシアルキルメタクリレートの2次製品である(共)重合体の色相悪化を招くことが少ない、高品質のヒドロキシアルキルメタクリレートを得ることができる方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下のことを実験で確認して本発明を完成させた。すなわち、原料メタクリル酸として、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メタクロレイン、およびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれた少なくとも1種を接触気相酸化することによって得られたものを用いれば、この原料メタクリル酸はMMAを経ずに上記イソブチレン等の接触気相酸化により直接得られたものであるため、MMAの混入がなくなる。また、MMAを経ないので、MMAを加水分解するための硫酸触媒やアルカリ金属類触媒を使用する必要がなくなり、これら硫酸やアルカリ金属類の触媒作用により促進されるジエステルの生成が抑えられる。その結果、製品純度の低下等を招くことが少なくなり、高品質のヒドロキシアルキルメタクリレートを得ることができることがわかった。
【0009】
また、本発明者は、接触気相酸化により得られたメタクリル酸を使用してヒドロキシアルキルメタクリレートを製造する場合において、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)の色相が悪化する原因や、そのモノマーを単独重合させたり他の共重合可能なモノマーと共重合させたりすると、得られる(共)重合体(2次製品)の色相が悪化する原因について検討した。その結果、接触気相酸化により得られたメタクリル酸中には、微量の副生アセトニルアセトンが含まれていることに着目した。そして、上記原料メタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量をメタクリル酸に対して50重量ppmという特定量以下に抑えるとともに、メタクリル酸とアルキレンオキシドとの反応に用いる触媒としてクロム化合物を選択すれば、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)の色相悪化が少なくなるとともに、かかるモノマーから得られる(共)重合体(2次製品)の色相悪化が少なくなり、より高品質のヒドロキシアルキルメタクリレートを得ることができることがわかった。このように、原料メタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量をメタクリル酸に対して50重量ppmとし、かつ、メタクリル酸とアルキレンオキシドとの反応に用いる触媒としてクロム化合物を選択することが重要であり、メタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は上記条件を満たしているが触媒としてクロム化合物は用いない場合や、触媒としてクロム化合物を用いているがメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は上記条件を満たしていない場合には本発明の効果が発揮できない。
【0010】
したがって、本発明にかかるヒドロキシアルキルメタクリレートの製造方法は、触媒の存在下でメタクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキルメタクリレートを製造する方法において、前記メタクリル酸が、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メタクロレイン、およびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種を接触気相酸化することによって得られたものであり、前記メタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量がメタクリル酸に対して50重量ppm以下であって、かつ、前記触媒がクロム化合物であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
初めに、本発明に係る特徴的な製造方法を好ましく適用することができるヒドロキシアルキルメタクリレートの製造プロセスの概略を説明する。
まず、メタクリル酸とアルキレンオキシドとを、触媒の存在下で付加反応させる。この付加反応は反応率が100%に満たないことが多く、反応終了時の反応液中には未反応のメタクリル酸やアルキレンオキシド等が残存する場合が一般的である。そこで、上記の反応液は、反応終了後、これら未反応原料等を反応液中から除去するための工程へと導かれる。そして、続く最終段階として、蒸留等による精製が行われて、目的のヒドロキシアルキルメタクリレートが得られる。
【0012】
以下、メタクリル酸とアルキレンオキシドとの、触媒の存在下での付加反応工程について説明する。
本発明を実施するにあたり、上記メタクリル酸とアルキレンオキシドとの反応における原料の仕込み量は、メタクリル酸1モルに対して、アルキレンオキシド1.0モル以上が好ましい範囲であり、より好ましくは1.0〜10モル、さらに好ましくは1.0〜5.0モル、特に好ましくは1.0〜3.0モル、最も好ましくは1.0〜2.0モルである。アルキレンオキシドの仕込み量が1.0モル未満の場合には、反応率が低下し、副生成物が増加するので好ましくない。また、アルキレンオキシドの仕込み量が多すぎると、特に、10モルを超えると、経済的に好ましくない。
【0013】
本発明において用いることが出来るメタクリル酸は、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メタクロレイン、およびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種を接触気相酸化することによって得られたものである。これについては、後で詳しく述べる。
また、本発明において用いることが出来るアルキレンオキシドは、特に限定はされないが、好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4のアルキレンオキシドであり、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドが挙げられ、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドであり、特に好ましくはエチレンオキシドである。
【0014】
本発明において、触媒の存在下におけるメタクリル酸とアルキレンオキシドとの反応は、この種の反応に一般的に用いられている方法に従って行うことができる。
例えば、バッチ式で反応を行う場合、メタクリル酸中に液状のアルキレンオキシドを導入して行ってもよいし、このとき、溶媒中にメタクリル酸を溶解させてからアルキレンオキシドを導入してもよい。この際、アルキレンオキシドは、一括して、あるいは連続的にまたは間欠的に添加してもよい。また、メタクリル酸についても、初期に一括して仕込む必要は必ずしも無く、いくつかに分割して添加することもできる。また、アルキレンオキシドとメタクリル酸とを同時に、連続的にまたは間欠的に添加してもよい。そして、この種の反応においてよく行われるように、アルキレンオキシド、メタクリル酸の導入後も反応を継続させて、いわゆる熟成を行い、反応を完結させることもできる。
【0015】
また、連続式で反応を行う場合には、メタクリル酸と液状のアルキレンオキシドを管型、槽型などの反応器内に連続的に投入し、連続的に反応液を反応器から抜き出して行われる。この際、触媒は、原料とともに連続的に供給し、反応液とともに連続的に抜き出してもよいし、管型などの反応器の場合には、固体触媒を反応器内に充填して使用する、いわゆる固定床形式で使用してもよい。また、槽型の反応器の場合には、固体触媒を反応器内で反応液とともに流動させて使用する、いわゆる流動床形式で使用してもよい。また、これら連続反応の場合には、反応液の一部を循環させる形態をとってもよい。
【0016】
原料メタクリル酸と原料アルキレンオキシドの反応器への投入については、それぞれ別々の投入ラインから投入してもよいし、反応器へ投入する前に、配管、又は、ラインミキサー、ミキシングタンクなどで予め混合してから投入してもよい。また、反応器出口液を反応器入口へ循環させる場合や、未反応のアルキレンオキシドや未反応のメタクリル酸を回収再利用する場合には、これらの液を原料メタクリル酸、原料アルキレンオキシドと混合してから反応器へ投入してもよい。しかし、メタクリル酸とアルキレンオキシドを別々の投入ラインから反応液中に投入した場合、メタクリル酸の投入口付近では反応液中のモル比がメタクリル酸過剰になるので、好ましくは、反応器へ投入する前に、それぞれの原料を配管などで予め混合してから投入するのがよい。
【0017】
反応温度は、通常、40〜130℃の範囲で行うことが好ましく、より好ましくは50〜120℃の範囲、さらに好ましくは60〜110℃の範囲である。反応温度が40℃よりも低ければ、反応の進行が遅くなって実用レベルから離れてしまい、一方、反応温度が130℃よりも高ければ、副生成物が多くなったり、メタクリル酸や生成物であるヒドロキシアルキルメタクリレートの重合等が起こったりするので好ましくない。
また、この反応において反応を温和に進行させることなどを目的として、溶媒中で反応を行ってもよい。溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘプタン、オクタンなどの一般的なものを用いることができる。反応時の系内圧力は、使用する原料の種類や混合比にもよるが、一般には加圧下で行われる。
【0018】
また、反応の際には、一般に用いられている重合防止剤を安定剤として使用することができる。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のフェノール化合物;N−イソプロピル−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−パラ−フェニレンジアミン等のパラフェニレンジアミン類;チオジフェニルアミン、フェノチアジン等のアミン化合物;ジブチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅等のジアルキルジチオカルバミン酸銅塩類;2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4−ジプロピルアゼチジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、6−アザ−7,7−ジメチル−スピロ(4,5)デカン−6−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシル、4,4’,4”−トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)ホスファイト等のN−オキシル化合物などが例示される。重合防止剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。重合防止剤の添加量は、メタクリル酸に対して0.0001〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.001〜0.5重量%である。
【0019】
また、必要に応じ、さらに分子状酸素を併用すれば、重合防止効果がさらに向上する。
本発明においては、さらに、未反応のアルキレンオキシド、および/または、未反応のメタクリル酸を回収し、ヒドロキシアルキルメタクリレートの反応原料として再利用してもよい。このように、未反応回収原料を反応原料に再利用することにより、製造コストの一層の低減化を図ることができる。なお、回収した未反応原料中にはヒドロキシアルキルメタクリレートが含まれていてもよく、また、発生反応熱量の制御の面からヒドロキシアルキルメタクリレートを回収原料と混合してから反応器へ投入してもよいが、反応器へ投入されるヒドロキシアルキルメタクリレートの量が多くなると、ジエステルなどの副生物の生成量が多くなるため、回収原料中に含まれるヒドロキシアルキルメタクリレートの量は、回収原料酸、および、フレッシュで投入される原料酸の総量に対して重量基準で4.0倍以下であることが好ましく、さらに好ましくは2.0倍以下である。より好ましくは1.0倍以下である。
【0020】
本発明においては、メタクリル酸とアルキレンオキシドとの反応に用いる触媒としてクロム(Cr)化合物を用いることが重要である。
このように触媒としてクロム(Cr)化合物を用いることにより、後に詳述する原料メタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量の50重量ppm以下への低減と組み合わせることによって、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)の色相悪化が少なくなるとともに、かかるモノマーから得られる(共)重合体(2次製品)の色相悪化が少なくなり、より高品質のヒドロキシアルキルメタクリレートを得るという効果が発揮できる。触媒としてクロム(Cr)化合物を用いない場合、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)の色相が悪化し、かかるモノマーから得られる(共)重合体(2次製品)の色相が悪化し、高品質のヒドロキシアルキルメタクリレートを得ることが困難となる。
【0021】
前記クロム(Cr)化合物は、クロム(Cr)原子を分子内に有する化合物で、かつ、反応液に可溶であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、塩化クロム、アセチルアセトンクロム、蟻酸クロム、酢酸クロム、アクリル酸クロム、メタクリル酸クロム、重クロム酸ソーダ、ジブチルジチオカルバミン酸クロムなどが挙げられる。
本発明においては、上述のクロム(Cr)化合物に、さらにアミン化合物を触媒として併用してもよい。
上記アミン化合物は、アミン官能基を分子内に有する化合物であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トリアルキルアミン類、ピリジン等の環状アミン類およびその4級塩などの均一系アミン化合物や、3級アミノ基、4級アンモニウム基、およびピリジニウム基等の塩基性官能基を少なくとも1種含有する塩基性アニオン交換樹脂などの不均一系アミン化合物が挙げられ、好ましくは、3級アミノ基、4級アンモニウム基、およびピリジニウム基等の塩基性官能基を少なくとも1種含有する塩基性アニオン交換樹脂であり、より好ましくは、3級アミノ基、4級アンモニウム基、およびピリジニウム基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含有する塩基性アニオン交換樹脂である。
【0022】
本発明において、触媒として、上記アミン化合物を併用することにより、触媒活性に相乗効果が見られ、反応転化率が高くなる上、反応選択率も高くなる、などの効果が得られる。
また、前記触媒としてのクロム化合物は、使用後に回収してもよく、その回収した触媒を再利用してもよい。
本発明の実施に用いる上記触媒の量は特に限定されないが、不均一触媒でバッチ反応の場合には、原料メタクリル酸に対して5〜50重量%の範囲で用いることが普通である。特に好ましくは、10〜30重量%の範囲で用いる。また、連続反応の場合で、槽型反応器などで流動床形式で使用する場合は、反応液の体積に対して、通常30〜90vol%、好ましくは50〜80vol%の範囲で用いる。また、管型反応器などで固定床形式で使用する場合には、液空間速度(LHSV:h−1)で好ましくは0.05〜15、より好ましくは0.2〜8の範囲で反応原料を含んだ液を通液する。一方、均一触媒の場合には、原料メタクリル酸に対して、0.01〜10モル%の範囲で用いることが普通であり、特に好ましくは0.04〜3モル%の範囲で用いる。
【0023】
本発明においては、得られた粗ヒドロキシアルキルメタクリレートについて、必要に応じ、さらに精製を行ってもよい。精製方法としては、特に限定されないが、例えば、蒸留による精製が挙げられる。より具体的には、例えば、汎用の蒸留塔、充填塔や泡鐘塔、多孔板塔などの精留塔などを用いる蒸留が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、蒸留精製に他の精製手段を併用してもよい。
本発明のヒドロキシアルキルメタクリレートの製造方法は、前述したように、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メタクロレイン、およびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種を接触気相酸化することによって得られたメタクリル酸を原料メタクリル酸として用いることを特徴とする。
【0024】
上記接触気相酸化は、この種の接触気相酸化に一般的に用いられている触媒、方法、装置、条件等により行うことができる。
接触気相酸化法としては、特に限定されないが、イソブチレン、t−ブタノール、またはメチル−t−ブチルエーテルから接触気相酸化法によりメタクリル酸を製造する場合には、一旦、イソブチレン、t−ブタノール、またはメチル−t−ブチルエーテルを触媒の存在下で接触気相酸化してメタクロレインに変換(以下、「前段反応」と称することがある)し、次いで、このメタクロレインを触媒の存在下で接触気相酸化してメタクリル酸に変換(以下、「後段反応」と称することがある)する、いわゆる2段階の酸化反応が一般に採用されている。
【0025】
また、接触気相酸化に用いられる触媒としては、特に限定されないが、前期前段反応に使用する触媒としては、ビスマス、モリブデン、および鉄を含有してなる酸化物触媒が一般的であり、前記後段反応に使用する触媒としては、モリブデンおよびリンを含有してなる酸化物触媒が一般的である。
本発明で使用することができるメタクリル酸は、接触気相酸化法で製造されたものであれば、特に限定されないが、その精製方法については、以下に挙げる方法が一般的である。
すなわち、接触気相酸化反応器より出るメタクリル酸含有反応生成ガスの冷却凝縮操作によって得られたメタクリル酸水溶液を、まず該水溶液に含まれる軽沸点物質、例えば、メタクロレイン、アセトンなどを蒸留または放散操作によって除去し、次いで、得られたメタクリル酸水溶液を抽出工程、溶剤分離工程、軽沸点物分離工程、重質物分離工程、および/または再蒸留精製工程で処理し精製される。抽出工程で使用される抽出溶剤としては、実質的に水不溶性で、水と共沸組成を形成するものが挙げられる。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類や酢酸エステル、メタクリル酸メチルなどのエステル類、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、および、イソホロン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類が挙げられ、これらの中でも特に、芳香族炭化水素類および脂肪族炭化水素類が好適に使用される。また、抽出装置、抽出条件等についても特に限定されず、通常の方法を用いることが出来る。
【0026】
さらに、ヒドロキシアルキルメタクリレートの原料として使用されるメタクリル酸は、メタクリル酸中のアセトニルアセトンの含有量が50重量ppm以下であれば、これらの精製工程を経た、いわゆる精製メタクリル酸であってもよいし、原料コスト低減の面から精製工程途中、あるいは精製工程を経ないメタクリル酸、いわゆる粗製メタクリル酸であってもよい。
本発明者は、接触気相酸化により得られたメタクリル酸中には微量の副生アセトニルアセトンが含まれていることに着目し、本発明の製造方法では、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)や、そのモノマーを単独重合させたり他の共重合可能なモノマーと共重合させたりした場合に得られる(共)重合体(2次製品)の色相悪化を抑えるために、前述のごとくクロム化合物を触媒として用いることに加えて、さらに、原料メタクリル酸のアセトニルアセトン含有量がメタクリル酸に対して50重量ppm以下のものを使用することが重要であることを見出した。好ましくは30重量ppm以下、より好ましくは10重量ppm以下、さらに好ましくは5重量ppm以下のものを使用する。原料メタクリル酸のアセトニルアセトン含有量がメタクリル酸に対して50重量ppmを超えると、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)の色相が悪化し、かかるモノマーから得られる(共)重合体(2次製品)の色相が悪化し、高品質のヒドロキシアルキルメタクリレートを得ることが困難となる。
【0027】
ヒドロキシアルキルメタクリレートという特定のメタクリル酸エステルは、例えば、自動車等の塗料、粘着剤、インク、コンタクトレンズ等のレンズ類などを用途とする重合体の原料モノマーなどとして有用である。しかしながら、従来は、ヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)や、そのモノマーを単独重合させたり他の共重合可能なモノマーと共重合させたりした場合に得られる(共)重合体(2次製品)の色相が非常に悪くなる場合があり、安定的に色相の良好な重合体を得ることが出来なかった。したがって、例えば、特に良好な色相が求められる用途には用いることが困難であった。そこで鋭意検討した結果、ヒドロキシアルキルメタクリレートを製造する原料として接触気相酸化して得られたメタクリル酸を用いるとともに、そのメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量を特定のレベル、すなわち、50重量ppmという特定のレベル以下に制御し、なおかつ、メタクリル酸とアルキレンオキシドとの反応に用いる触媒としてクロム化合物を選択することによって、安定的に色相の良好なモノマー(1次製品)や(共)重合体(2次製品)とすることが可能なヒドロキシアルキルメタクリレートが製造できることを見出したのである。本発明においては50重量ppm以下というレベルを設定したこと、および、触媒としてクロム化合物を選択したことに大きな意義があり、50重量ppmを超えるレベルではたとえ触媒としてクロム化合物を選択しても本発明の効果が十分に発現できず、触媒としてクロム化合物を選択しない場合にはたとえ50重量ppm以下というレベルであっても本発明の効果は十分に発揮できないのである。
【0028】
原料メタクリル酸のアセトニルアセトン含有量をメタクリル酸に対して50重量ppm以下に抑えるための方法としては、特に限定はされないが、たとえば、メタクリル酸製造工程のうち、酸化反応器のガス出口部空間に、空隙率が30〜99.9容量%となるように固体充填物を充填したり、酸化反応器の出口ガスが300℃を超えた場合に0.01〜10秒間で300℃以下に急冷したりする方法や、精製工程のひとつである溶剤抽出工程において溶剤の種類を変える方法等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例と比較例を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
前段反応用触媒としてモリブデン系複合酸化物を使用し、後段反応用触媒としてモリブデン−リン系ヘテロポリ酸を基盤とする触媒を使用して、イソブチレンを水蒸気の存在下で空気による接触気相酸化反応を行う際、前段反応を340℃で行い、後段反応を310℃で行った後、酸化反応器出口ガス部に急冷ゾーンを設け、酸化反応出口ガスを0.03秒間で260℃に急冷させた。さらに得られた反応生成ガスを冷却凝縮することによって、メタクリル酸含有水溶液を得た。
【0030】
このメタクリル酸含有水溶液からメタクロレインなどの軽沸点物質を蒸留除去して、メタクリル酸35重量%を含むメタクリル酸水溶液を得た。
次いで、この水溶液を回転円板塔からなる抽出塔に導き、抽出溶剤としてn−ヘプタンを用い、連続的に向流抽出を行った。その後、溶剤分離塔に導き、n−ヘプタンを除去した後、軽沸点物分離塔で軽沸点物質を除去し、さらに重質物分離塔で重質物質を除去し、メタクリル酸を得た。
このメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は27重量ppmであった。容量2リットルの攪拌機付きSUS−316製オートクレーブ内を窒素で置換した後、上記メタクリル酸844g、触媒として酢酸クロム2.4g、および重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.13gを仕込んだ。
【0031】
オートクレーブ内を70℃に昇温させた後、エチレンオキシド475gを等速で3時間かけて供給した。この間、反応温度を70℃に維持した。
エチレンオキシド供給終了後、反応温度を80℃に昇温して反応を継続させた。3時間経過した時点で、未反応メタクリル酸濃度が0.06重量%となっていたので、反応液を冷却した。
引き続いて、上記反応で得られたヒドロキシエチルメタクリレート含有反応液900gを容量1.0リットルのSUS−316製蒸留釜に仕込み、重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.16gを添加した。
【0032】
蒸留釜をオイルバスで加熱し、バッチ蒸留を行った。蒸留条件としては、蒸留釜内圧を7.0hPa、オイルバス温度を75〜90℃とし、さらに毎時250ミリリットルの空気を蒸留釜に導入しながら実施した。
この蒸留によって、色相(APHA)が3のヒドロキシエチルメタクリレートが得られた。
上記蒸留で得られたヒドロキシエチルメタクリレートを、ブタノール溶媒中で溶液重合を行った。重合開始剤として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、「AIBN」と称することがある)を使用し、重合条件としては、95℃、5時間で実施した。
【0033】
この重合反応で得られた重合物の色相(APHA)経時テスト(80℃、3日間)を行ったところ、テスト前の色相が20だったものが、テスト後には25となっていた。
結果を表1にまとめた。
(実施例2)
接触気相酸化法によるメタクリル酸の製造において、酸化反応器出口部に固体充填物としてシリカアルミナ(球状、外径10mm)を空隙率37容量%となるように充填し、酸化反応器出口ガスを急冷しなかった以外は、実施例1と同様の方法を行い、メタクリル酸を得た。得られたメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は46重量ppmであった。
【0034】
このメタクリル酸を使用して、実施例1と同様の方法でヒドロキシエチルメタクリレートを製造した。得られたヒドロキシエチルメタクリレートの色相(APHA)は3であった。
このヒドロキシエチルメタクリレートを実施例1と同様の方法で溶液重合を行い、得られた重合物の色相(APHA)経時テスト(80℃、3日間)を行ったところ、テスト前の色相が20だったものが、テスト後には30となっていた。
結果を表1にまとめた。
(実施例3)
接触気相酸化法によるメタクリル酸の製造において、実施例1と同様の方法を行い、メタクリル酸を得た。得られたメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は27重量ppmであった。
【0035】
容量2リットルの攪拌機付きSUS−316製オートクレーブ内を窒素で置換した後、上記メタクリル酸847g、触媒として酢酸クロム1.7g、および重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.17gを仕込んだ。
オートクレーブ内を80℃に昇温させた後、プロピレンオキシド589gを等速で3時間かけて供給した。この間、反応温度を80℃に維持した。
プロピレンオキシド供給終了後、反応温度を90℃に昇温し、反応を継続した。3時間経過した時点で、未反応メタクリル酸濃度が0.05重量%となっていたので、反応液を冷却した。
【0036】
引き続いて、上記反応で得られたヒドロキシプロピルメタクリレート含有反応液900gを容量1.0リットルのSUS−316製蒸留釜に仕込み、重合防止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.2gを添加した。
蒸留釜をオイルバスで加熱し、バッチ蒸留を行った。蒸留条件としては、蒸留釜内圧を7.0hPa、オイルバス温度を80〜90℃とし、さらに毎時250ミリリットルの空気を蒸留釜に導入しながら実施した。
この蒸留によって、色相(APHA)が5のヒドロキシプロピルメタクリレートが得られた。
【0037】
上記蒸留で得られたヒドロキシプロピルメタクリレートを、茶褐色ガラス瓶に入れ、一定温度で保存し、色相(APHA)経時テスト(60℃、28日間)を行ったところ、テスト前の色相が5だったものが、テスト後には7となっていた。
結果を表1にまとめた。
(実施例4)
接触気相酸化法によるメタクリル酸の製造において、供給原料としてイソブチレンの代わりにメチル−t−ブチルエーテルを使用し、酸化反応器出口ガス部を0.02秒間で240℃に急冷させた以外は実施例1と同様の方法を行い、メタクリル酸を得た。得られたメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は5重量ppmであった。
【0038】
得られたメタクリル酸を使用して、実施例3と同様の方法でヒドロキシプロピルメタクリレートを製造した。
得られたヒドロキシプロピルメタクリレートの色相(APHA)は3であった。
このヒドロキシプロピルメタクリレートについて、実施例3と同様の方法で色相(APHA)経時テスト(60℃、28日間)を行ったところ、テスト前の色相が3だったものが、テスト後には6となっていた。
結果を表1にまとめた。
【0039】
(比較例1)
接触気相酸化法によるメタクリル酸の製造において、酸化反応器出口の反応ガスを急冷しない以外は、実施例1と同様の方法でメタクリル酸を製造した。得られたメタクリル酸中のアセトニルアセトンの含有量は117重量ppmであった。
このメタクリル酸を使用して、実施例1と同様の方法でヒドロキシエチルメタクリレートを製造した。
得られたヒドロキシエチルメタクリレートの色相(APHA)は18であった。
【0040】
このヒドロキシエチルメタクリレートを実施例1と同様の方法で溶液重合を行い、得られた重合物の色相テスト(80℃、3日間)を行ったところ、テスト前の色相が30であったものが、テスト後には60となっていた。
実施例1と比較して、117重量ppmという多量のアセトニルアセトンを含むメタクリル酸を用いた場合、ヒドロキシエチルメタクリレートや重合物の色相を悪化させる結果となった。
結果を表1にまとめた。
(比較例2)
接触気相酸化法によるメタクリル酸の製造において、実施例1と同様の方法を行い、メタクリル酸を得た。得られたメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は27重量ppmであった。
【0041】
このメタクリル酸とエチレンオキシドとを反応させてヒドロキシエチルメタクリレートを製造する際、反応触媒としてメタクリル酸鉄25gを用いた以外は実施例1と同様の方法でヒドロキシエチルメタクリレートを製造した。
得られたヒドロキシエチルメタクリレートの色相(APHA)は20であった。
このヒドロキシエチルメタクリレートを実施例1と同様の方法で溶液重合を行い、得られた重合物の色相テスト(80℃、3日間)を行ったところ、テスト前の色相が30であったものが、テスト後には70となっていた。
【0042】
実施例1と比較して、反応触媒としてメタクリル酸鉄を用いた場合、ヒドロキシエチルメタクリレートや重合物の色相を悪化させる結果となった。
結果を表1にまとめた。
(比較例3)
接触気相酸化法によるメタクリル酸の製造において、実施例2と同様の方法を行い、メタクリル酸を得た。得られたメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は46重量ppmであった。
このメタクリル酸とエチレンオキシドとを反応させてヒドロキシエチルメタクリレートを製造する際、反応触媒としてメタクリル酸鉄25gを用いた以外は実施例2と同様の方法でヒドロキシエチルメタクリレートを製造した。
【0043】
得られたヒドロキシエチルメタクリレートの色相(APHA)は30であった。
このヒドロキシエチルメタクリレートを実施例1と同様の方法で溶液重合を行い、得られた重合物の色相テスト(80℃、3日間)を行ったところ、テスト前の色相が35であったものが、テスト後には110となっていた。
実施例2と比較して、反応触媒としてメタクリル酸鉄を用いた場合、ヒドロキシエチルメタクリレートや重合物の色相を悪化させる結果となった。
結果を表1にまとめた。
【0044】
(比較例4)
接触気相酸化法によるメタクリル酸の製造において、実施例3と同様の方法を行い、メタクリル酸を得た。得られたメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は27重量ppmであった。
このメタクリル酸とプロピレンオキシドとを反応させてヒドロキシプロピルメタクリレートを製造する際、反応触媒としてメタクリル酸鉄27gを用いた以外は実施例3と同様の方法でヒドロキシプロピルメタクリレートを製造した。
得られたヒドロキシプロピルメタクリレートの色相(APHA)は15であった。
【0045】
このヒドロキシプロピルメタクリレートを実施例3と同様の方法で色相(APHA)経時テスト(60℃、28日間)を行ったところ、テスト前の色相が15だったものが、テスト後には70となっていた。
実施例3と比較して、反応触媒としてメタクリル酸鉄を用いた場合、ヒドロキシプロピルメタクリレートの色相を悪化させる結果となった。
結果を表1にまとめた。
(比較例5)
接触気相酸化法によるメタクリル酸の製造において、実施例4と同様の方法を行い、メタクリル酸を得た。得られたメタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量は5重量ppmであった。
【0046】
このメタクリル酸とプロピレンオキシドとを反応させてヒドロキシプロピルメタクリレートを製造する際、反応触媒としてメタクリル酸鉄27gを用いた以外は実施例3と同様の方法でヒドロキシプロピルメタクリレートを製造した。
得られたヒドロキシプロピルメタクリレートの色相(APHA)は10であった。
このヒドロキシプロピルメタクリレートを実施例3と同様の方法で色相(APHA)経時テスト(60℃、28日間)を行ったところ、テスト前の色相が10だったものが、テスト後には40となっていた。
【0047】
実施例4と比較して、反応触媒としてメタクリル酸鉄を用いた場合、ヒドロキシプロピルメタクリレートの色相を悪化させる結果となった。
結果を表1にまとめた。
【0048】
【表1】
Figure 2004244364
【0049】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、触媒の存在下でメタクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキルメタクリレートを製造するプロセスにおいて、上記原料メタクリル酸として、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メタクロレイン、およびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種を接触気相酸化することによって得られたものを用いるため、ジエステルの生成や、MMAの混入等による製品純度の低下等を招くことが少なく、高品質のヒドロキシアルキルメタクリレートを得ることができる。
【0050】
本発明の方法では、さらに、上記原料メタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量をメタクリル酸に対して50重量ppmという特定量以下に抑えるとともに、メタクリル酸とアルキレンオキシドとの反応に用いる触媒としてクロム化合物を選択すれば、得られるヒドロキシアルキルメタクリレートのモノマー(1次製品)の色相悪化が少なくなるとともに、かかるモノマーから得られる(共)重合体(2次製品)の色相悪化が少なくなり、より高品質のヒドロキシアルキルメタクリレートを得ることができる。

Claims (1)

  1. 触媒の存在下でメタクリル酸とアルキレンオキシドとを反応させてヒドロキシアルキルメタクリレートを製造する方法において、
    前記メタクリル酸が、イソブチレン、t−ブタノール、メチル−t−ブチルエーテル、メタクロレイン、およびイソブチルアルデヒドからなる群から選ばれる少なくとも1種を接触気相酸化することによって得られたものであり、
    前記メタクリル酸中のアセトニルアセトン含有量がメタクリル酸に対して50重量ppm以下であって、かつ、前記触媒がクロム化合物である
    ことを特徴とする、ヒドロキシアルキルメタクリレートの製造方法。
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