JP2004243194A - 水処理用膜処理装置 - Google Patents

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裕充 太田
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Abstract

【課題】スペーサやストレーナに細菌やカビが発生するのを長期間に亘って効果的に抑制することができ、しかも、装置性能を低下させるおそれのない水処理用膜処理装置を提供する。
【解決手段】陽極12を備える陽極室11と陰極14を備える陰極室13の間に、カチオン交換膜15とアニオン交換膜16を交互に配置し、これらの交換膜によって区画された脱塩室17と濃縮室18を交互に形成してなる電気式脱イオン装置において、少なくとも濃縮室18に、抗菌性スぺーサ202を装着する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気式脱イオン装置や逆浸透装置等の水処理用膜処理装置に係り、特に装置内部の細菌やカビ等の発生を防止した水処理用膜処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、脱イオン水の製造や海水の脱塩化等に際して、電気式脱イオン装置や逆浸透装置といった様々な水処理用膜処理装置が使用されている。
【0003】
代表的な電気式脱イオン装置(EDI:Electrodeionization)は、アニオン交換膜とカチオン交換膜で形成される間隙に、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とを充填して脱塩室とし、この脱塩室に被処理水を通過させるとともに、アニオン交換膜およびカチオン交換膜を介して、被処理水の流れに対し垂直となる方向に直流電流を作用させ、アニオン交換膜およびカチオン交換膜の外側に流れている濃縮水中に被処理水に含まれているイオンを電気的に排除しながら脱イオン水を生成するもので、一般に、次のように構成されている。
【0004】
すなわち、複数のアニオン交換膜とカチオン交換膜とを交互に配置し、それらの間隙の一つおきにアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を充填して脱塩室とするとともに、脱塩室の隣に位置する交換樹脂を充填していない間隙を濃縮水を流すための濃縮室とする。濃縮室には、濃縮水の流路を確保するためスペーサを配置する。また、脱塩室にはアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂の流出を防止するためストレーナを配置する。そして、これらの両側に直流電流を印加するための陰極および陽極をそれぞれ配設する。
【0005】
このような電気式脱イオン装置においては、被処理水中に含まれるイオンが電気的に除去されるため、脱塩室内にイオン交換樹脂を充填しているにもかかわらず、それらの薬品による再生処理が不要であり、品質の良い脱イオン水を連続的に効率よく製造することができるという特長を有している(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特許第3009221号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記電気式脱イオン装置においては、長期間使用している間に、濃縮室のスペーサや脱塩室のストレーナに細菌やカビ(真菌)が繁殖し、この繁殖した菌やその代謝物によって流路が閉塞されることがあった。流路が閉塞されると、装置の運転に必要な圧力が異常上昇し、装置が正常に稼動しなくなるおそれがある。
【0008】
この対策としては、スペーサやストレーナを定期的に洗浄して発生した細菌やカビを除去することが考えられるが、作業に膨大な時間や費用がかかるだけでなく、一旦発生した細菌やカビを完全に除去することは非常に困難であるため効果の面からも実用的ではない。また、濃縮水に抗菌・抗かび効果のある薬剤を加えることも考えられるが、この方法も効果の点で実用性に乏しい。そのうえ、薬剤によって装置の性能が低下するおそれもある。
【0009】
このような状況から、スペーサやストレーナにおける細菌やカビの繁殖を防止することができ、しかも、装置性能を低下させるおそれもない電気式脱イオン装置の要望が高まっている。
【0010】
なお、細菌やカビの問題は、同様のスペーサを備えたいわゆる極性転換方式電気透析装置(EDR:Electrodialysis Reversal)や、スパイラル型逆浸透装置、UF膜装置等の装置でも発生している。このため、これらについても、同様の要望が高まっている。
【0011】
本発明者らはかかる要望に応えるべく鋭意研究を重ねた結果、細菌やカビの繁殖の主たる原因が、スペーサやストレーナの構造および環境にあり(すなわち、スペーサやストレーナの構造が細菌やカビの付着しやすい構造であり、また、環境がそれらの増殖しやすい環境であるため、一旦スペーサやストレーナ付着した菌が、それらの増殖しやすい環境によって増殖する結果、流路の閉塞を招く)、したがって、スペーサやストレーナに細菌やカビが付着するのを防止することができれば、細菌やカビの増殖による流路の閉塞を未然に防ぐことができるという知見を得た。
【0012】
本発明はこのような知見に基づいてなされたもので、スペーサやストレーナに細菌やカビが発生(付着)するのを長期間に亘って効果的に抑制することができ、しかも、装置性能を低下させるおそれのない水処理用膜処理装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の水処理用膜処理装置は、対向する膜の間に抗菌性スペーサおよび/または抗菌性ストレーナを備えてなることを特徴としている。
【0014】
本発明の水処理用膜処理装置の具体的な構成としては、膜によって脱塩室と濃縮室を交互に形成してなる水処理用膜処理装置において、少なくとも前記濃縮室に抗菌性スペーサおよび/または抗菌性ストレーナを装着した構成が挙げられる。
【0015】
また、陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配置し、これらの交換膜によって脱塩室と濃縮室を交互に形成してなる水処理用膜処理装置において、少なくとも前記濃縮室に抗菌性スペーサおよび/または抗菌性ストレーナを装着した構成が挙げられる。
【0016】
さらに、陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配置し、これらの交換膜によって脱塩室と濃縮室を交互に形成するとともに、前記脱塩室にイオン交換樹脂を充填してなる水処理用膜処理装置において、前記濃縮室に抗菌性スペーサを装着し、前記脱塩室に抗菌性ストレーナを装着した構成が挙げられる。
【0017】
またさらに、陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配置し、これらの交換膜によって脱塩室と濃縮室を交互に形成するとともに、前記脱塩室および濃縮室にそれぞれイオン交換樹脂を充填してなる水処理用膜処理装置において、少なくとも前記濃縮室に抗菌性ストレーナを装着した構成が挙げられる。
【0018】
本発明の水処理用膜処理装置においては、抗菌性スペーサあるいは抗菌性ストレーナを装着したことにより、スペーサあるいはストレーナに、細菌やカビが発生するのを長期間に亘って効果的に抑制することができ、しかも、スペーサあるいはストレーナ自身に抗菌性を持たせているので、装置性能の低下も抑制される。
【0019】
本発明において、抗菌性スペーサあるいは抗菌性ストレーナは、抗菌剤を含有するゴム・プラスチック材料からなるものであってもよい。
【0020】
抗菌剤としては、抗菌性金属イオンおよび有機系抗菌剤が例示される。
【0021】
抗菌性金属イオンは、多孔質の無機微粒子に担持させるようにしてもよく、これにより、抗菌性金属イオンのスペーサ等内における安定性が増し、細菌やカビ等の発生がより長期間に亘って抑制することが可能になるとともに、装置性能の低下もより確実に防止することができる。多孔質の無機微粒子としては、ゼオライトが例示される。抗菌性金属イオンとしては、銅、銀および亜鉛の群より選ばれる少なくとも1種の金属イオンが好ましい。
【0022】
また、有機系抗菌剤としては、ジメチルフェニルスルファミドを主成分とするものが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態の電気式脱イオン装置(EDI)を概略的に示す断面図である。
図1において、11は、陽極12を備えた陽極室、13は、陰極14を備えた陰極室である。これらの陽極室11および陰極室13の間には、カチオン交換膜15とアニオン交換膜16が交互に配設され、陽極側がアニオン交換膜16で区画され陰極側がカチオン交換膜15で区画された脱塩室17と、陽極側がカチオン交換膜15で区画され陰極側がアニオン交換膜16で区画された濃縮室18が交互に形成されている。各脱塩室17にはアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂19が充填され、その周縁部にはアニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂19の脱塩室17からの流出を防止するための抗菌性ストレーナ201が装着されている。また、各濃縮室18と、陽極室11および陰極室13には、抗菌性スペーサ202が装着されている。
【0025】
本発明において、抗菌性ストレーナ201および抗菌性スペーサ202は、例えば抗菌剤を練り込んだゴム・プラスチック材料により形成されるが、その形状や大きさ等は、液体の流れに支障をきたさず、かつ、ストレーナあるいはスペーサとしての機能を発揮するものであれば、特に制限されるものではない。
【0026】
ゴム・プラスチック材料としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のエステル系熱可塑性樹脂、ナイロン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン・プロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらのなかでも、ポリエチレン、ポリプロピレンが、価格や強度、耐薬品性、成形加工性、柔軟性等の点から好ましい。
【0027】
また、このようなゴム・プラスチック材料に含有させる抗菌剤は、特に制限されるものではなく、一般に知られる無機系抗菌剤および有機系抗菌剤のなかから1種以上を任意に選択して使用することができるが、なかでも、無機系抗菌剤としては、銅、銀、亜鉛等の抗菌性金属イオンが好ましく、また、有機系抗菌剤としては、ジメチルフェニルスルファミドを有効成分とする抗菌剤が好ましい。特に、後者のジメチルフェニルスルファミドを有効成分とする抗菌剤は、各種の菌に広く優れた抗菌性を発揮するうえ、安全性に優れ、かつ、熱や化学物質に安定でゴム・プラスチック材料に練り込んでも特性が損なわれることがないことから、より好ましい。
【0028】
なお、抗菌性金属イオンとしては、なかでも、抗菌・防カビ効果の高い銅イオンおよび銀イオンが好ましい。
【0029】
抗菌性金属イオンは、ゼオライトのような多孔質の無機微粒子に担持させて、ゴム・プラスチック材料に練り込み、成形する方法を用いることが好ましい。抗菌性金属イオンを担持させた無機微粒子を素材に練り込んで形成されたストレーナ201あるいはスペーサ202は、抗菌性金属イオンが濃縮水中に溶出し拡散することがほとんどなく、長期に亘る抗菌・防カビ効果が期待できるとともに、装置性能への影響も極めて小さいものとなる。
【0030】
抗菌性金属イオンを担持させる多孔質の無機微粒子としては、ゼオライトの他、シリカゲル、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、リン酸ジルコニウム等が挙げられるが、特にゼオライトが、抗菌性金属イオンの保持安定性に優れることから、好ましく使用される。また、この無機微粒子は、平均粒子径が10μm以下であることが好ましく、平均粒子径が1〜5μmであるとより好ましい。平均粒子径が10μmを超えると分散性が低下し、スペーサやストレーナの成形が困難になったり、強度が低下するおそれがある。
【0031】
抗菌性金属イオンを担持させた無機微粒子は、素材の合成樹脂等に対し、抗菌性金属イオンの含有量が全体の0.3〜1重量%の範囲になるように添加することが好ましい。抗菌性金属イオンの含有量が全体の0.3重量%に満たない量では、抗菌・防カビ効果が十分に得られない場合があり、また、逆に1重量%を超えるような量では、無機微粒子の配合量が多くなって成形が困難になるおそれがある。
【0032】
一方、ジメチルフェニルスルファミドを有効成分とする有機系抗菌剤は、細菌やカビ等の細胞膜を構成する酵素の働きを阻害することにより抗菌・防カビ効果を発揮するもので、市販品としては、例えばエプロ社製のインナーミル(商品名)が挙げられる。このジメチルフェニルスルファミドを有効成分とする有機系抗菌剤は、その濃度が0.15〜1重量%の範囲になるように添加することが好ましい。濃度が0.15重量%未満では、抗菌・防カビ効果が十分に得られない場合があり、また、1重量%を超えても効果はさほど変わらない。
【0033】
本実施形態の電気式脱イオン装置においては、陽極12と陰極14との間に電圧を印加し、被処理水供給口A1から脱塩室17へ被処理水を供給し、濃縮水供給口B1から濃縮室18へ濃縮水を供給し、電極水供給口C1、D1から陽極室11および陰極室13へそれぞれ電極水を供給すると、脱塩室17へ供給された被処理水は脱塩室17を流下する間に不純物イオンが除かれ、脱イオン水排出口A2から排出される。また、濃縮室18へ供給された濃縮水は各濃縮室18を流下する間に脱塩室17からアニオン交換膜16あるいはカチオン交換膜15を介して移動してくる不純物イオンを受け取り、不純物イオンを濃縮した濃縮水として濃縮水排出口B2から排出される。さらに、電極水供給口C1、D1から陽極室11および陰極室13へそれぞれ供給された電極水は電極水排出口C2、D2から排出される。
【0034】
本実施形態によれば、脱塩室17に抗菌性ストレーナ201が装着され、また、濃縮室18、陽極室11および陰極室13内に抗菌性スペーサ202が装着されているため、長期間使用しても、従来のように、ストレーナ201やスペーサ202に細菌やカビが発生することはなく、被処理水や、濃縮水、電極水の流路が閉塞されることはない。したがって、ストレーナ201やスペーサ202に対し洗浄等のメンテナンス作業を行うことなく長期に亘る運転が可能である。しかも、抗菌剤は、濃縮水や電極水等に溶出拡散することが少ないため、装置性能の低下も抑制される。特に、抗菌性金属イオンの場合、多孔質の無機微粒子に担持させることにより、ストレーナ201やスペーサ202内における安定性を向上させることができ、抗菌・防カビ効果が長期間持続するようになるとともに、装置性能の低下もより抑制することができる。
【0035】
なお、細菌やカビは特に濃縮室18において繁殖しやすいため、脱塩室17における抗菌性ストレーナ201や陽極室11および陰極室13における抗菌性スペーサ202は、本発明において、必ずしも必須のものではないが、それらを装着することにより、万一の細菌やカビの発生を抑え、装置の信頼性をより向上させることができる。
【0036】
次に本発明の他の実施の形態について説明する。
【0037】
図2は、本発明の他の実施形態に係る電気式脱イオン装置(EDI)を概略的に示す断面図であり、図1に共通する部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0038】
本実施形態の電気式脱イオン装置は、図1に示す実施形態において、濃縮室18に、抗菌性スペーサ202に代えて、アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂19を充填するとともに、その周縁部に抗菌性ストレーナ201を装着した構造となっている。
【0039】
このように構成される電気式脱イオン装置においても、脱塩室17および濃縮室18に抗菌性ストレーナ201が装着され、また、陽極室11および陰極室13内に抗菌性スペーサ202が装着されているため、長期間使用しても、従来のように、ストレーナ201やスペーサ202に細菌やカビ等が発生することはなく、被処理水や、濃縮水、電極水の流路が閉塞されることはない。したがって、ストレーナ201やスペーサ202に対し洗浄等のメンテナンス作業を行うことなく長期に亘る運転が可能である。しかも、抗菌剤は、濃縮水や電極水等に溶出拡散することが少ないため、装置性能の低下も抑制される。
【0040】
なお、本装置においても、脱塩室17における抗菌性ストレーナ201や陽極室11および陰極室13における抗菌性スペーサ202は、本発明において、必ずしも必須のものではないが、それらを装着することにより、万一の細菌やカビの発生を抑え、装置の信頼性をより向上させることができる。
【0041】
図3は、本発明のさらに他の実施形態に係る逆浸透装置に用いられる膜モジュールの組立て構造を一部切欠いて示す図である。
【0042】
図3において、31は、内部に透水性膜支持材32を内蔵した封筒状の逆浸透膜であり、その開放側の一端に付設した各透水性膜支持材32と連通する円筒状集水管33を中心に、抗菌性スペーサ203を介してスパイラル状に巻き付けることにより膜モジュール30が形成される。図示は省略したが、逆浸透装置は、このような膜モジュール30を1個乃至複数個、ベッセル内に直列に組込んで構成される。
【0043】
抗菌性スペーサ203は、前述した実施形態における抗菌性スペーサ202と同様の材料により形成される。但し、逆浸透膜31は非常に薄く、抗菌剤として抗菌性金属イオンを使用した場合に、膜が酸化分解されてしまうことから、抗菌性金属イオン以外の抗菌剤を使用することが好ましい。
【0044】
このような膜モジュール30においては、加圧された被処理水が、抗菌性スペーサ203が配置された逆浸透膜31の間を貫流し、その間に逆浸透膜31を透過して不純物イオンが除かれた透過水は透水性膜支持材32の中に浸透して、これに連通する集水管33に集水され、膜透過水排出口33aから排出される。一方、逆浸透膜31の間を貫流する間に濃縮された濃縮水は、逆浸透膜31の間から系外へ排出される。なお、図3において、E1、E2およびE3は、それぞれ被処理水、膜透過水および濃縮水の各流れ方向を示す。
【0045】
このような膜モジュール30を備えた逆浸透装置においても、逆浸透膜31の間に抗菌性スペーサ203が装着されているため、長期間使用しても、従来のように、スペーサ203に細菌やカビ等が発生することはなく、被処理水(濃縮水)の流路が閉塞されることはない。したがって、スペーサ203に対し洗浄等のメンテナンス作業を行うことなく長期に亘る運転が可能である。しかも、抗菌剤は、濃縮水に溶出拡散することが少ないため、装置性能の低下も抑制される。
【0046】
なお、本発明は、以上説明した電気式脱イオン装置や逆浸透装置に限らず、極性転換方式電気透析装置やUF膜装置などの各種の水処理用膜処理装置に広く適用できることはいうまでもない。
【0047】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0048】
実施例1
インナーミル(エプロ社製 商品名)を0.15重量%添加したポリプロピレン樹脂を用いて、メッシュ状のスペーサを作製し、図1に示した電気式脱イオン装置の各濃縮室18に装着した。
【0049】
実施例2
AgイオンおよびCuイオン含有ゼオライトのバクテキラー(カネボー化成社製 商品名)を0.3重量%添加したポリプロピレン樹脂を用いて、メッシュ状のスペーサを作製し、図1に示した電気式脱イオン装置の各濃縮室18に装着した。
【0050】
比較例1
抗菌剤を未配合とした以外は同様に作製した従来タイプのスペーサを、図1に示した電気式脱イオン装置の各濃縮室18に装着した。
【0051】
上記実施例1、2および比較例1の各装置を90日間連続運転させ、濃縮水の循環流量の変化を調べた。
【0052】
結果は図4に示した通りで、比較例1では、運転開始後ほぼ30日を経過した頃から急激な濃縮水の循環流量の減少が認められたのに対し、抗菌性スペーサを装着した実施例1および実施例2では、90日の運転期間を通じて濃縮水の循環流量が大きく減少することはなかった。
【0053】
なお、90日経過後の比較例1のスペーサには、細菌やカビ、それらの代謝物と思われる付着物が肉眼で観察された。一方、実施例1および実施例2のスペーサでは、それらを肉眼で観察することはできなかった。
【0054】
実施例3
インナーミル(エプロ社製 商品名)を0.15重量%添加したポリプロピレン樹脂を用いて、メッシュ状のスペーサを作製し、図3に示した膜モジュールを組立てた。さらに、この膜モジュールをベッセル内に装着し、逆浸透装置を組立てた。
【0055】
比較例2
抗菌剤を未配合とした以外は同様に作製した従来タイプのスペーサを用いて、実施例2と同様の逆浸透装置を組立てた。
【0056】
上記実施例3および比較例2の各装置を90日間連続運転させ、供給水と濃縮水の差圧の変化を調べた。
【0057】
結果は図5に示した通りで、比較例2では、運転開始後ほぼ25日を経過した頃から差圧の増大が認められたのに対し、抗菌性スペーサを装着した実施例3では、90日の運転期間を通じて差圧はほとんど変化することはなかった。
【0058】
なお、90日経過後の比較例2のスペーサには、細菌やカビ、それらの代謝物と思われる付着物が肉眼で観察された。一方、実施例3のスペーサでは、それらを肉眼で観察することはできなかった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の水処理用膜処理装置によれば、スぺーサあるいはストレーナにおける細菌やカビの発生を長期間に亘って効果的に抑制することができ、しかも、装置性能の低下も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の電気式脱イオン装置を概略的に示す断面図。
【図2】本発明の他の実施形態の電気式脱イオン装置を概略的に示す断面図。
【図3】本発明のさらに他の実施形態の逆浸透装置に用いられる膜モジュールの組立て構造を概略的に示す図。
【図4】本発明の実施例について測定した濃縮水の循環流量の変化を示すグラフ。
【図5】本発明の実施例について測定した供給水と濃縮水の差圧の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
11……陽極室、12……陽極、13……陰極室、14……陰極、15……カチオン交換膜、16……アニオン交換膜、17……脱塩室、18……濃縮室、19……アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂
201……抗菌性ストレーナ、202,203………抗菌性スペーサ
31……逆浸透膜

Claims (13)

  1. 対向する膜の間に抗菌性スペーサおよび/または抗菌性ストレーナを備えてなることを特徴とする水処理用膜処理装置。
  2. 膜によって脱塩室と濃縮室を交互に形成してなる水処理用膜処理装置において、
    少なくとも前記濃縮室に抗菌性スペーサおよび/または抗菌性ストレーナを装着したことを特徴とする水処理用膜処理装置。
  3. 陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配置し、これらの交換膜によって脱塩室と濃縮室を交互に形成してなる水処理用膜処理装置において、
    少なくとも前記濃縮室に抗菌性スペーサおよび/または抗菌性ストレーナを装着したことを特徴とする水処理用膜処理装置。
  4. 陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配置し、これらの交換膜によって脱塩室と濃縮室を交互に形成するとともに、前記脱塩室にイオン交換樹脂を充填してなる水処理用膜処理装置において、
    前記濃縮室に抗菌性スペーサを装着し、前記脱塩室に抗菌性ストレーナを装着したことを特徴とする水処理用膜処理装置。
  5. 抗菌性スペーサおよび抗菌性ストレーナは、抗菌剤を含有するゴム・プラスチック材料からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の水処理用膜処理装置。
  6. 陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配置し、これらの交換膜によって脱塩室と濃縮室を交互に形成するとともに、前記脱塩室および濃縮室にそれぞれイオン交換樹脂を充填してなる水処理用膜処理装置において、
    少なくとも前記濃縮室に抗菌性ストレーナを装着したことを特徴とする水処理用膜処理装置。
  7. 抗菌性ストレーナは、抗菌剤を含有するゴム・プラスチック材料からなることを特徴とする請求項6記載の水処理用膜処理装置。
  8. 抗菌剤は、抗菌性金属イオンを含むことを特徴とする請求項5または7記載の水処理用膜処理装置。
  9. 抗菌剤は、抗菌性金属イオンを担持させた多孔質の無機微粒子を含むことを特徴とする請求項8記載の水処理用膜処理装置。
  10. 多孔質の無機微粒子は、ゼオライトであることを特徴とする請求項9記載の水処理用膜処理装置。
  11. 抗菌性金属イオンは、銅、銀および亜鉛の群より選ばれる少なくとも1種の金属イオンであることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項記載の水処理用膜処理装置。
  12. 抗菌剤は、有機系抗菌剤を含むことを特徴とする請求項5または7記載の水処理用膜処理装置。
  13. 有機系抗菌剤は、ジメチルフェニルスルファミドを有効成分とするものであることを特徴とする請求項12記載の水処理用膜処理装置。
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