JP2004242553A - 新規微生物及び排水処理方法 - Google Patents

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大祐 脇田
Takuma Hirose
琢磨 廣瀬
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幹 久保
Masaya Sera
昌也 世良
Takuji Yamanaka
卓司 山中
Shinya Kumagai
信也 熊谷
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Abstract

【課題】常温におけるリパーゼ生産能が非常に高くて、油脂濃度の高い油脂含有排水に対しても常温で高い油脂分解効率を示す新規微生物及びこれを用いた油脂含有排水の処理方法を提供する。
【解決手段】この発明の新規微生物は、バークホルデリア セパシア TPI21菌株またはこれと同一の菌学的性質を有する微生物である。この発明の排水処理方法は、これら微生物と油脂含有排水を接触させることによって排水中の油脂を分解するものである。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、リパーゼ生産能が非常に高くて常温において油脂を高効率で分解できる新規微生物及びこれを用いた排水処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
飲食店、ホテル、レストラン等の業務用厨房や、食品製造工場等からは油脂を含有した水が多く排出される。このような油脂含有排水は、物理化学処理によって油脂分が分離回収され、一般廃棄物として焼却或いは埋め立てによって処理されていた。しかしながら、物理化学処理設備(装置)の維持管理の負担が大きいし、重油を加えた焼却処理の場合には二酸化炭素等を発生することから地球温暖化の原因になることが懸念されるし、埋め立ての場合には土壌や地下水の汚染等の二次汚染を引き起こすことが懸念されるというような様々な問題を抱えていた。
【0003】
そこで、近年、このような油脂が含まれた排水を下水に排出する前に微生物を利用して生物学的に処理する方法が提案されている。例えば活性炭等の浄化材にバチルス属に属する微生物を担持せしめたものを用いて排水中に含まれる油脂を分解処理する方法(特許文献1参照)が開発されており、この微生物製剤は油脂含有排水処理用として市販されている。また、シュードモナス(バークホルデリア) セパシアに属する特定の菌株を用いて排水中に含まれる油脂を分解処理する方法(特許文献2〜4参照)が提案されている。また、シュードモナス エスピーに属する特定の菌株を用いて排水中に含まれる油脂を分解処理する方法(特許文献5、6参照)も知られている。
【0004】
このような微生物製剤を用いる手法を採用すれば、処理コストが安く済む上に、余剰汚泥の発生や臭気の発生も少ない。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−179396号公報(請求項1)
【0006】
【特許文献2】
特開2002−125659号公報(請求項1〜4)
【0007】
【特許文献3】
特開平11−47789号公報(請求項1)
【0008】
【特許文献4】
特開平9−85283号公報(請求項1〜9)
【0009】
【特許文献5】
特開2001−178451号公報(請求項2)
【0010】
【特許文献6】
特開2000−270845号公報(請求項1〜4)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術では次のような問題があった。即ち、前記特許文献1〜3、5、6に記載された技術では、比較的油脂濃度の低い油脂含有排水については分解できるものの、油脂濃度(油脂含有率)が1重量%(10000ppm)を超えるような油脂含有排水に対しては油脂を十分に分解できないという問題があった。即ち、油脂濃度の大きい油脂含有排水に対する分解効率は低かった。飲食店、ホテル、レストラン等の業務用厨房や、食品製造工場等から実際に排出される油脂含有排水の油脂濃度は1重量%(10000ppm)程度もしくはこれ以上である場合が多いので、前記特許文献1〜3、5、6に記載された技術では、このような用途には対応できなかった。なお、特許文献2の実施例では油脂濃度500ppm、特許文献3の実施例では油脂濃度3000ppm、特許文献5の実施例では油脂濃度100ppm、特許文献6の実施例では油脂濃度250ppmでの油脂分解データがそれぞれ記載されている。
【0012】
一方、前記特許文献4に記載された技術では、油脂濃度が1重量%(10000ppm)を超える排水でも十分に油脂の分解を行うことができるが、微生物を培養するのに40℃以上の温度に設定する必要があり、即ち分解処理温度を40℃以上に設定する必要があり、そのための加熱処理設備を要して設備コストが大きくなるし、加熱のための熱エネルギーを要するのでエネルギーコストも高く付くという問題があった。
【0013】
そこで、油脂濃度の高い油脂含有排水中の油脂を常温において高効率で分解できる技術の早期実現が強く望まれていた。
【0014】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、常温におけるリパーゼ生産能が非常に高くて、油脂濃度の高い油脂含有排水に対しても常温で高い油脂分解効率を示す新規微生物及びこれを用いた油脂含有排水の処理方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る新規微生物は、バークホルデリア セパシア TPI21菌株またはこれと同一の菌学的性質を有する微生物(微生物を自然的又は人工的手段によって変異させて得られた変異株も含む)である。これら微生物は、常温でのリパーゼ生産能が非常に高く、油脂濃度の高い油脂含有排水中の油脂を常温下において高い分解効率で分解することができるので、油脂含有排水の処理に好適である。
【0016】
この発明に係る排水処理方法は、油脂含有排水と、バークホルデリア セパシア TPI21菌株またはこれと同一の菌学的性質を有する微生物(微生物を自然的又は人工的手段によって変異させて得られた変異株も含む)を接触させることによって油脂を分解することを特徴とする。この排水処理方法によれば、油脂濃度の高い油脂含有排水中の油脂を常温下において高い分解効率で分解することができる。従って、飲食店、ホテル、レストラン等の業務用厨房や、食品製造工場等から排出される油脂含有排水を短時間で分解処理することができる。また、常温(10〜35℃)で十分に分解処理できるものであり、特に処理のために加温する必要がなくてそのための加熱設備、熱エネルギー等を要しないから、省エネルギー化に貢献できると共に、低コストで排水処理を行うことができる利点がある。
【0017】
なお、前記人工的手段としては、例えば突然変異作出手段、遺伝子組換え、細胞融合等が挙げられる。
【0018】
【発明の実施の形態】
この発明の新規微生物は、京都市の鴨川河川敷の土壌を多数サンプリングし、これらの中からスクリーニングを行うことによって得られた微生物である。
(菌株のスクリーニング)
(一次スクリーニング)
まず、ワッセルマン管に入れた5mLの油脂資化性菌分離用培地(表1参照)に、サンプリングした土壌の懸濁水(濃度1%(w/v))を植菌した。振とう培養機を用いて30℃、180rpmの条件で72時間振とう培養を行った。この後、吸光光度計を用いて濁度を測定し、ブランク(未植菌)と比較して1以上大きいサンプルを有用とした。この有用サンプルをLB寒天培地(表1参照)を用いてシングルコロニーアイソレーションを行い、単一菌株を得た。
(二次スクリーニング)
得られた菌株をLB培地(表1参照)を用いて前培養(30℃、180rpm、24時間)を行い、油脂資化性菌分離用培地(表1参照)に1%(v/v)植菌した。これを30℃、180rpmの条件で24時間培養した後の濁度を測定し、1以上であったものを有用菌株とした。この二次スクリーニングの結果、9菌株が選ばれた。
(三次スクリーニング)
リパーゼ検定培地(表1参照)に前記9菌株を画線し、形成されたハローの大きさ(面積)からリパーゼ生産能を評価し、最も優れた結果が得られた菌株を採取した。こうしてバークホルデリア セパシア TPI21菌株を分離した。
【0019】
【表1】
Figure 2004242553
【0020】
(生化学的同定)
上記のようにして分離された微生物(バークホルデリア セパシア TPI21菌株)の菌学的性質を表2に示す。なお、菌学的性質の試験及び分類方法は、文献「インターナショナル トラスティー オブ バージイズ マニュアル(International Trustee of Bergy`s manual)」の記載に従って行った。
【0021】
【表2】
Figure 2004242553
【0022】
(16SrDNA相同性解析による同定)
2種類のプライマーを用いて、PCR法により本菌株の16SrDNA遺伝子を増幅し、本菌株の塩基配列の解析を行った。この結果を配列表の配列番号1に示す。なお、前記2種類のプライマーの塩基配列を、配列表の配列番号2、配列番号3にそれぞれ示す。本菌株の16SrDNA塩基配列と相同性が高い菌株の検索を、National Center of BiotechnologyInformation(NCBI)がインターネット上で提供するサービスBlast Search(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/blast.cgi )を利用して行った。その結果、本菌株は、バークホルデリア セパシア SH1株と99.8%の相同性を示すことがわかった。
【0023】
上記の菌学的性質および16SrDNAの相同性解析結果から、分離された微生物はバークホルデリア セパシアに属する微生物であると同定した。また、この菌株は、公知の菌株とは明らかに区別されるため、バークホルデリア セパシアに属する新菌株と判断し、これをバークホルデリア セパシア TPI21(Burkholderia cepacia TPI21)菌株と命名し、2003年1月17日に独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託申請したところ、該特許生物寄託センターにおいてバイオセイフティーレベル2に該当するとの判断が下されて受託拒否となった。しかして、特許生物寄託センター長により本TPI21菌株がこのセンターでは受託拒否に該当することを証明する証明書が2003年1月30日に発行された。この証明書は、出願時に願書に添付して提出した。なお、このバークホルデリア セパシア TPI21菌株は、必要な場合において試料の分譲ができるように出願人において保管管理している、即ち特許法施行規則第27条の3第1項第1号〜第3号に掲げた分譲を出願人において保証するものである。
【0024】
この発明の微生物の培養条件について説明する。培地としては、特に限定されず、公知の液体培地、固体培地等を用いることができる。生育温度についての試験結果を表3に示す。この試験は次のようにして行った。即ち、まず、LB培地(表1参照)に菌株を植菌し、30℃、180rpmの条件で17時間前培養を行った。5mLのLB培地、合成下水培地(表1参照)のそれぞれに前記培養液を1%植菌し、各温度条件で48時間培養を行った。培養してから24時間後、48時間後に吸光光度計を用いて濁度(O.D.660 )を測定した。表3から、培養温度としては20〜30℃が最好適であることがわかった。なお、この発明の微生物は、培養温度50℃では生育が認められなかった。
【0025】
【表3】
Figure 2004242553
【0026】
次に、この発明に係る排水処理方法について説明する。この発明の排水処理方法は、油脂含有排水と、バークホルデリア セパシア TPI21菌株またはこれと同一の菌学的性質を有する微生物を接触させることによって排水中の油脂を分解することを特徴とする。
【0027】
この排水処理方法によれば、油脂濃度の低い油脂含有排水中の油脂を常温下において高い分解効率で分解できるのは勿論のこと、油脂濃度の高い油脂含有排水中の油脂をも常温下において高い分解効率で分解することができる。従って、飲食店、ホテル、レストラン等の業務用厨房や、食品製造工場等から排出される油脂含有排水を短時間で分解処理することができる。また、常温(10〜35℃)の全温度域にわたって油脂を十分に分解処理できるものであり、季節を問わず一年中を通じて特に処理のために加温する必要がなくてそのための加熱設備、熱エネルギー等を要しないから、省エネルギー化に貢献できるとともに、低コストで排水処理を行うことができる。
【0028】
また、この排水処理方法によれば、植物性油脂、動物性油脂のいずれも分解することができる。例えば、大豆油、菜種油、コーン油、ゴマ油、オリーブ油、牛油、豚油のいずれも高い分解効率で分解できる。このように様々な種類の油脂のいずれに対しても常温下において高い分解効率で分解することができる。
【0029】
この発明の排水処理方法において、微生物は担体に固定化して用いるようにしても良い。また、処理手法としては、流動床を採用しても良いし、固定床を採用しても良い。
【0030】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0031】
<実施例1>
500mL容量のフラスコに100mLのGG培地(表1参照)を分注し、各油脂を1%(w/v)添加して滅菌した。これに、LB培地で前培養したバークホルデリア セパシア TPI21菌株を植菌し、30℃、100rpmで120時間培養を行った(油脂分解を行った)。油脂としては、サラダ油、オリーブ油、コーン油、ごま油、牛脂、オレイン酸を用いた。
【0032】
<比較例1>
菌株として、バチルス・サブチリス菌(BN菌、明治製菓株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして各油脂の油脂分解を行った。
【0033】
<比較例2>
菌株として「BI−CHEM(バイケム)シリーズ DC−1003FG」(商品名、ノボザイムズ バイオロジカルズ ジャパン株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様にして各油脂の油脂分解を行った。なお、前記「DC−1003FG」は、油脂分解菌の複合菌である。
【0034】
<油脂分解率の測定(クロロホルム・メタノール抽出法)>
120時間培養した後の培養液100mLにクロロホルム・メタノール混合溶液(3:1)を30mL加えた。十分に撹拌した後、遠心チューブに移して20℃、4000rpmで30分間遠心分離した。上層の水層を除去した後、菌層およびクロロホルム層を20mL遠心チューブに移して20℃、10000rpmで10分間遠心分離した。菌層を除去した後、クロロホルム層を5mLサンプリングして乾燥させ、樹脂(残存油分とポリヒドロキシブチレートの混合物)を抽出した。樹脂から残存油分を抽出するため、樹脂に20mLのヘキサンを加え撹拌した後、樹脂を別のシャーレに移し、再度メタノールで洗浄した。ヘキサン及びメタノールを回収して乾燥し、残存油分の乾燥重量(X)を測定した。
【0035】
未植菌のものについても同様にしてヘキサン抽出物及びメタノール抽出物の乾燥重量(総重量)(Y)を測定した。下記算出式により油脂分解率(%)を算出した。これらの結果を表4に示す。
【0036】
100×(Y−X)/Y
【0037】
【表4】
Figure 2004242553
【0038】
表4から明らかなように、この発明のバークホルデリア セパシア TPI21菌株は、サラダ油、オリーブ油、コーン油、ごま油、牛脂、オレイン酸のいずれも常温において高い分解効率で分解することができた。これに対して、比較例1、2では、これら油脂に対する分解効率は低かった。
【0039】
なお、上記クロロホルム・メタノール抽出法は、菌の中に存在する油分も完全に抽出できる抽出法であり、油脂分解率の測定法としては非常に厳しい試験方法である。また、このクロロホルム・メタノール抽出法は、乳化剤や菌体成分に影響されることがなく、この意味において真の油脂分解率を測定できるものである。例えば、前記特許文献2〜6で用いられたヘキサン抽出法では油脂分解率90%の値が得られていても、これをクロロホルム・メタノール抽出法で測定すると50〜60%程度になる。従って、この発明の微生物は、従来のヘキサン抽出法よりも厳しい測定条件であるクロロホルム・メタノール抽出法で測定しても高い油脂分解効率が得られている。
【0040】
<TLC(薄層クロマトグラフ)法による残存油分の解析>
実施例1で油脂としてサラダ油を用いた系について、サラダ油分解後の残存油分の解析をTLC法により行った。前記クロロホルム・メタノール抽出法によって得られたクロロホルム層をサンプルに用いた。シリカゲルプレートを10cm×20cmの大きさに切り出し、このシリカゲルプレートの底辺から1.5cm入り込んだ位置に1.5cm間隔でサンプルを10μL滴下した(図1参照)。サンプルとしては、48時間培養後のもの、72時間培養後のもの、96時間培養後のもの、120時間培養後のものを用いた。なお、参照用としてサラダ油も滴下した(図中において「M」で示す)。次いで、展開溶媒(ヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸=80:20:1)をTLC容器に入れ、さらに前記シリカゲルプレートを入れてパラフィルムで密封した後、30分間静置して溶媒を十分に気化させて容器内を溶媒蒸気で飽和させた。次に、シリカゲルプレートを展開溶媒に漬け、プレートの上端まで溶媒を浸透させた後、このシリカゲルプレートを48時間風乾した。風乾後のシリカゲルプレートをヨウ素で呈色した。この呈色したシリカゲルプレートを図1(ロ)に示す。なお、比較用として示した図1(イ)は、菌株として前記スクリーニング時のサンプル(二次スクリーニングで選ばれた9菌株のうちの1つ(本発明の菌株を除く))を用いた場合の呈色シリカゲルプレートを示すものである。
【0041】
図1から明らかなように、マーカーとして用いたサラダ油のトリアシルグリセロール(トリグリセリド)のスポットは、時間の経過とともに徐々に小さくなった。これはサラダ油が分解されていることを反映している。図1(ロ)に示すように、菌株としてこの発明のバークホルデリア セパシア TPI21菌株を用いた系では、トリグリセリドのスポットは、48時間培養後において顕著に小さくなり、120時間培養後においては該スポットは全く確認されなかった。これに対して、図1(イ)に示すように比較対照の菌株では120時間培養後においてもトリグリセリドのスポットが残存していた。また、図1(イ)(ロ)に示すように、マーカーにはなかった遊離脂肪酸のスポットが48時間培養後において各菌株で確認された。この遊離脂肪酸のスポットは、図1(イ)に示すように比較対照の菌株では小さいのに対して、図1(ロ)に示すようにこの発明のTPI21菌株を用いた系では格段に大きいものであった。これは、この発明のTPI21菌株が生産するリパーゼによってトリグリセリドが速やかに加水分解されて遊離脂肪酸が多く生成したものと考えられる。これにより、この発明のTPI21菌株がリパーゼ生産能に非常に優れていることが示唆される。
【0042】
<リパーゼ活性の評価>
500mL容量のフラスコに100mLのGG培地を分注し、各油脂を1%(w/v)添加して滅菌した。これに、LB培地で前培養したバークホルデリア セパシア TPI21菌株を植菌し、30℃、100rpmで48時間培養を行った。48時間培養した後の培養液を2本のエッペンドルフチューブにそれぞれ1.5mLづつサンプリングし、10000rpmで5分間遠心分離を行い、菌体と培養上澄みに分離した。この培養上澄み1mLを別のエッペンドルフチューブに移し、2本のうち1本を粗酵素液サンプルとし、もう1本は30分間煮沸して酵素ブランクサンプルとした。50mLビーカーに0.05M酢酸緩衝液(pH5.6)9mL、0.1M塩化カルシウム水溶液1mL、オリーブ油2gを入れ、30℃の湯浴につけて5分間余熱した。粗酵素液1mLを加えて30℃、500ppmで60分間撹拌しながら反応させた。100%エタノールを40mL加えて反応を停止させると共に遊離脂肪酸を溶出させた。
【0043】
反応が停止した後、0.05NKOHを用いてpH10.2を終点として滴定を行った。滴定値を検量線と比較して遊離脂肪酸量を求めた。粗酵素液を添加して遊離した脂肪酸の量と、酵素ブランクサンプルを添加して遊離した脂肪酸の量を比較してリパーゼによって遊離した脂肪酸量を算出した。検量線は、100%エタノール100mLに脂肪酸(リノール酸:炭素数18、不飽和結合数2、分子量280.45)1gを溶解し、これを様々な濃度に段階希釈して、それらの脂肪酸を中和滴定するのに必要なアルカリ量(KOH)を求めて作成した。リパーゼ活性の結果を表5に示す。
【0044】
なお、比較対象用として前記スクリーニング時のサンプル(二次スクリーニングで選ばれた9菌株のうちの3つ(本発明の菌株を除く))を用いた場合のリパーゼ活性をそれぞれ参照例1、2、3として表5に示した。
【0045】
【表5】
Figure 2004242553
【0046】
表5から、この発明のバークホルデリア セパシア TPI21菌株は、常温において極めて高いリパーゼ活性を示す(リパーゼ生産能に優れている)ことがわかった。
【0047】
<生分解性プラスチック生産能の評価>
実施例1で120時間培養された後の菌体からクロロホルムを用いて抽出した抽出物をFT−IR測定したところ、この抽出物のFT−IRスペクトルは、ポリヒドロキシブチレート(PHB)のFT−IRスペクトルと高い相同性を示した。菌体を取り除いた培養上澄液からはポリヒドロキシブチレートは検出されなかったことから、ポリヒドロキシブチレートは菌体内に蓄積されていることがわかった。従って、この発明のバークホルデリア セパシア TPI21菌株は、生分解性プラスチックのポリヒドロキシブチレートを生産することができる。この発明のTPI21菌株は、高いリパーゼ活性によって油脂を効率的に脂肪酸に分解し、その後ヒドロキシブチレートに変換する。さらに、β酸化等により分解が進んでいくものと推定される。
【0048】
【発明の効果】
請求項1、2に係る微生物は、常温でのリパーゼ生産能が非常に高く、油脂濃度の高い油脂含有排水中の油脂を常温下において高い分解効率で分解することができる。
【0049】
請求項3、4に係る発明(排水処理方法)によれば、油脂濃度の高い油脂含有排水中の油脂を常温下において高い分解効率で分解することができる。従って、飲食店、ホテル、レストラン等の業務用厨房や、食品製造工場等から排出される油脂含有排水を短時間で分解処理できる。また、常温(10〜35℃)で処理できる方法であるから、特に処理のために加温する必要がなくてそのための加熱設備、熱エネルギー等を要しないから、省エネルギー化に貢献できると共に、低コストで排水処理を行うことができる。
【0050】
【配列表】
Figure 2004242553
Figure 2004242553
Figure 2004242553

【図面の簡単な説明】
【図1】各菌株で油脂を分解した後の残存油分をTLC(薄層クロマトグラフ)法により解析した結果(クロマトグラフ)を示す図であり、(イ)は菌株として二次スクリーニングで選ばれた9菌株のうちの1つ(本発明の菌株以外)を用いた場合、(ロ)は菌株としてこの発明のTPI21菌株を用いた場合をそれぞれ示す。なお、「M」で示す領域はサラダ油(分解処理前)をTLC法により解析したクロマトグラフを示す。

Claims (4)

  1. バークホルデリア セパシア TPI21菌株。
  2. バークホルデリア セパシア TPI21菌株と同一の菌学的性質を有する微生物。
  3. 油脂含有排水と、バークホルデリア セパシア TPI21菌株を接触させることによって油脂を分解することを特徴とする排水処理方法。
  4. 油脂含有排水と、請求項2に記載の微生物を接触させることによって油脂を分解することを特徴とする排水処理方法。
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