JP2004242130A - 映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法 - Google Patents
映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法を提供する。
【解決手段】信号発生装置1は、映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生するものであり、シーケンス管理部2と、基準信号発生手段3と、映像信号発生手段4と、音声信号発生手段5とを含む構成とし、映像信号発生手段4が、サンプリングクロック発生部の基準信号に基づいて、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像となる前記測定用映像信号を発生させることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】信号発生装置1は、映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生するものであり、シーケンス管理部2と、基準信号発生手段3と、映像信号発生手段4と、音声信号発生手段5とを含む構成とし、映像信号発生手段4が、サンプリングクロック発生部の基準信号に基づいて、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像となる前記測定用映像信号を発生させることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送路を通過する映像信号と音声信号の時間的なずれを計測するための信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョンのように映像と音声を同時に扱う場合、映像と音声のタイミングは一致していなくてはならない。ところがテレビジョン信号の中継において、これらの信号をそれぞれ衛星回線と地上回線等の異なる伝送路を用いて伝送する場合や、デジタル化した映像信号を圧縮処理して伝送する場合には、受信側において映像と音声にずれが生じ、いわゆるリップシンクずれとして知られている現象が起こる。この映像と音声の伝送時間差は、一般に映像が音声に対して遅れて伝送されるために起こり、視聴者に極めて奇異な印象を与える結果となっていた。
【0003】
以上の問題を解消するために、従来は作業者が映像と音声をモニタし、視覚と聴覚とによりずれ補正のための時間差を把握し、それに基づいて映像信号または音声信号の遅延制御を行っていた。しかし、この方法は特別な機器を要しない反面、調整に熟練と勘を要する上にこれらの作業は長時間かかるものであり、即座に計測して具体的な数値データを得ることができず、また作業者によって結果が異なるという問題があった。
【0004】
そのため、送信される映像信号および音声信号にそれぞれ直接検出信号を挿入し、受信側において前記2つの検出信号の到着タイミングから伝送時間差を計測し表示する方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照。)。ただし、この方法では回線の送信端末に信号発生器、受信端末に時間差測定器を接続する必要があり、必ず両者を一揃いにして使用しなくてはならない。
【0005】
一方、伝送時間差を定量的に計測する方法として、送信される映像信号および音声信号に検出信号を直接挿入するのでなく、送信側において発生させた現実の映像および音声による信号を受信側において検出する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法は、送信側において点滅走査を繰り返す複数個の発光点と、特定の発光点の点滅に同期して発生する音源とを備えた装置を用い、この映像をテレビジョンカメラにより撮影すると共に、音声をマイクにより収音して、それぞれ映像信号および音声信号として送信し、受信側において前記音声を検出した時点で送信された映像信号を静止させると共にディスプレイ上に表示し、この静止画像上の発光点の位置と音声が一致した特定の発光点との位置関係を視認することにより伝送時間差を計測するものである。
【0006】
また、前記特許文献2記載の方法とは異なるやり方で送信側において発生させた現実の映像および音声による信号を受信側において検出し、伝送時間差を解析する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。これは、送信側においてカチンコによる輝度の変化と音声の発生を同時に行う装置を用い、この映像をテレビジョンカメラにより撮影すると共に、音声をマイクにより収音してそれぞれ映像信号および音声信号として送信し、受信側において前記映像信号をディスプレイ上に映像として表示すると共に、音声信号をスピーカから再生し、これらの輝度の変化および音声を検出してその時点でパルス信号を発生させ、その時間差から伝送時間差を計測するものである。
【0007】
一方、回線の送信側において同期して発生した映像と音声の変化を受信側に到着した映像と音声から検出する計測装置において、受信側のディスプレイ上に表示された映像の輝度変化をディスプレイおよび計測装置本体から分離した手持ち可能なブローブの検出部により検出すると共に、受信側の音声信号の音量変化を検出することにより、回線上を伝送される音声信号と映像信号の相互の遅延量および前後関係を計測するものもある(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−236513号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開平5−219459号公報(第2−4頁)
【特許文献3】
特開平10−285483号公報(第2−5頁)
【特許文献4】
特開2001−326950号公報(第2−13頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来技術のうち、前記特許文献1においては、回線の送信端末に信号発生器、受信端末に時間差測定器を必ず両者を一揃いにして配置しなくてはならない他、これらの装置は何れも小型・軽量ではなく、可搬性に乏しいため使い勝手に難があった。更にテレビジョン方式によっては対応する信号発生器がない場合もあり、使用できるテレビジョン方式が限られるという問題があった。
【0010】
前記特許文献2記載の方法は伝送時間差の計測単位が特定された発光点同士の間隔により決定されるため、きめ細かい計測結果が得られない問題があった。また、計測はあくまでもディスプレイ上の静止画像発光点の位置と、音声と一致した特定の発光点との位置関係の判定が、最終的には、映像は眼で、音声は耳でという人間の感覚により実行されるので、正確に判断することは困難であった。また映像信号または音声信号の時間差の計測結果をデータとして外部に出力することができないので遅延制御の自動化ができないという問題があった。
【0011】
一方、前記特許文献3記載の方法においては、ディスプレイ上における輝度の変化を正確に且つ容易に検出するという課題の認識がなく、そのための手段の開示もなかった。そのため、送信側においては輝度の変化が生じる部分を正確に画面の中央に位置するように撮影する必要があり、受信側においては検出部分と計測・表示部分が一体となった計測装置本体をディスプレイに接近させなければならず、実用性に問題があった。
【0012】
また、以上の前記特許文献2および特許文献3記載の方法に共通する問題として、計測装置と対をなす専用の映像・音声発生源が必ず必要であり、スピーカからの再生音声が使用出来ない状況の場合に対応出来ないという問題があった。
【0013】
一方、前記特許文献4記載の装置では、受信側で、手動によるブローブ操作が必要であり、自動的に遅延量を計測できるわけではなく、プローブの位置のずれにより、正確な計測が困難であるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、前記事情に鑑みて、従来の方法における、不充分な測定精度、測定結果のばらつき、あるいは、測定の操作性・作業性等の問題を解決するために、テレビジョン信号で用いる映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置は、テレビジョン信号で用いる映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる信号発生装置であって、基準信号発生手段と、映像信号発生手段と、音声信号発生手段と、を備える構成とした。
【0016】
かかる構成によれば、基準信号発生手段で発生させた基準信号に基づいて、映像信号発生手段が測定用映像信号として、具体的には、テレビジョン信号の有効走査区間を縦方向に複数に分割した場合、各分割区間内で異なる信号で、例えば、白信号、もしくは黒信号で走査することにより、白黒の縦縞パターン映像を映像・音声伝送時間差測定用の映像信号として出力する。一方、測定用音声信号は、任意の音声波形を測定用映像信号に同期して映像・音声伝送時間差測定用の音声信号として出力することができるが、これらの信号の時系列的な順序関係を正確にかつ容易に把握するためには、異なるパターン映像とその各々に対応する音声波形とが1:1の対応になるような音声波形を出力することが好ましい。
【0017】
また、請求項2に記載の信号発生装置は、請求項1に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置において、前記映像信号発生手段が前記基準信号に基づいて複数のパターン映像となる測定用映像信号をそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせた繰り返し信号を順次発生させ、前記音声信号発生手段は、前記測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させる構成とした。
【0018】
かかる構成によれば、測定用映像信号として複数のパターン映像とそれに対応し、かつ、同期した音声波形をもつ測定用音声信号とを一緒に順次繰り返し発生できる。これによって、パターン映像を繰り返し発生させて、映像・音声伝送時間差を順次測定し、その平均値を出す等の処理により、信頼性の高い測定を行うことができるようになる。
【0019】
請求項3に記載の信号発生装置は、請求項2に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置において、前記映像信号発生手段が前記繰り返し信号を複数組み合わせて発生させ、前記音声信号発生手段は、前記測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させる構成とした。
【0020】
かかる構成によれば、信号発生装置は、複数のパターン映像となる測定用映像信号を、それぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて繰り返し発生させた信号を、複数組み合わせて発生することができる。測定用音声信号は、測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形として出力される。映像・音声信号が伝送路を通過したとき各信号に誤差が発生する場合、および再撮像により発生する画角の誤差がある場合、前記誤差をデータ処理により除去して正確に信号解析するためには、このように発生させるパターン映像およびそれと同期する音声波形の種類とその繰り返し方とを、映像・音声信号の取り扱われる状況にあわせて、適宜選択できるようにしておくことが望ましい。なお、ここで、画角とは、再撮像時の有効視野角を表したものである。
【0021】
また、請求項4に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生方法は、テレビジョン信号で用いる映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生方法であって、基準信号発生ステップと、映像信号発生ステップと、音声信号発生ステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
かかる方法によれば、まず、基準信号発生ステップにより測定用映像信号と測定用音声信号とを同期させるための基準となる基準信号が発生する。次に、この基準信号に基づいて、映像信号発生ステップにより、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査してパターン映像が測定用映像信号として外部に出力される。一方、音声信号発生ステップでは、測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形が測定用音声信号として外部に出力される。従って、測定用映像信号として、複数のパターン映像がそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて順次繰り返し発生する。また、これらの順次繰り返して発生する複数のパターン映像に予め定めた一連のシーケンス番号を付与することで、一連のシーケンス番号により、制御可能な測定用映像信号と、それに対応し同期した音声波形をもつ測定用音声信号とが発生する。ここで便宜上、伝送時間差測定開始(測定開始)および伝送時間差測定終了(測定終了)を意味する信号を予め測定用映像信号および測定用音声信号の適当なシーケンス番号にそれぞれ割り当てておく。以後、シーケンス番号で制御可能なパターン映像を映像シーケンス、そして、そのパターン映像に対応しそれに同期する音声波形を音声シーケンスと記述することとする。
【0023】
請求項5に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置は、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる測定用映像信号と、この測定用映像信号に同期して前記パターン映像に対応した音声波形をもつ測定用音声信号とが伝送路を通過することで生じる伝送時間差を解析するための信号解析装置であって、映像信号受信手段と、音声信号受信手段と、タイミング発生手段と、映像データ解析手段と、音声データ検出手段と、演算処理手段とを備える構成とした。
【0024】
かかる構成によれば、信号発生装置から出力され、伝送路を通過した測定用映像信号および測定用音声信号が、信号解析装置の映像信号受信手段および音声信号受信手段にそれぞれ入力される。次に、映像データ解析手段が、タイミング発生手段の受信タイミング信号に基づき、映像信号受信手段から測定用映像信号を受信し、フレームまたはフィールドの先頭を特定する映像タイミング情報を生成し、演算処理手段に出力する。一方、音声データ検出手段は、タイミング発生手段の基準信号に基づき、音声波形を特定する音声タイミング情報を演算処理手段に出力する。そして、演算処理手段では、受信した映像タイミング情報および音声タイミング情報に基づいて、適宜、測定データの解析を行って、パターン映像の位置を決定し、測定用映像信号と測定用音声信号の伝送時間差を計算することができる。従って、特に、再撮像時に問題となる撮像サイズおよび画角ならびに信号レベルなどにバラツキが大きい場合でも、自動的にかつ正確に伝送時間差を測定することが可能となる。
【0025】
さらに、請求項6に記載の信号解析装置は、請求項5に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置において、映像データ解析手段が、受信した複数の前記パターン映像に対応する測定用映像信号から各フレームまたはフィールドの映像データを検出する映像データ検出手段と、映像データを分析して映像タイミング情報を出力する映像データ分析手段とを備える構成とした。ここで、映像データとは、各パターン映像のシーケンス番号とその受信タイミング、および、測定開始と測定終了の受信タイミング、を含むデータとする。
【0026】
かかる構成によれば、測定用映像信号は、映像データ検出手段によって受信され、各フレームまたはフィールドの映像データが検出される。そして、映像データ分析手段は、この映像データを分析して、映像タイミング情報を演算処理手段に出力することができる。すなわち、映像データ解析手段により、測定用映像信号の各フレームまたはフィールドの受信タイミングを決定し、さらに、複数のパターン映像が発生されたとき、受信した順序も分析することができる。
【0027】
また、請求項7に記載の信号解析装置は、請求項5または請求項6に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置において、前記測定用映像信号を分析し、少なくとも輝度および画角を含む映像情報を出力する映像分析手段を備える構成とした。
【0028】
かかる構成によれば、測定用映像信号は、映像分析手段によって受信され、特に再撮像の映像信号の場合、複数のパターン映像を発生させることで、繰り返し発生されるパターン映像の最初のいくつかのフレームまたはフィールドで、撮像サイズや画角、信号レベルが一定ではないために起こる不安定な場合でも、正確にそれらの現象を捉え、画像を解析することができる。従って、音声信号はそのままで、映像信号を表示したディスプレイを撮影機で撮像すなわち再撮像して出力される映像信号が受信機に送られる場合に映像信号が伝送に伴って劣化しても、それらを分析するために必要な映像情報を映像データ検出手段に与えることができる。
【0029】
そして、請求項8に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析方法は、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる測定用映像信号と、この測定用映像信号に同期して前記パターン映像に対応した音声波形をもつ測定用音声信号とを伝送路を通過させ、これらの伝送時間差を解析するための信号解析方法であって、タイミング発生ステップと、信号受信ステップと、映像データ解析ステップと、音声データ検出ステップと、演算処理ステップとを含むことを特徴とする。
【0030】
かかる方法によれば、まず、タイミング発生ステップにより受信タイミング信号が発生し、これに基づき、信号受信ステップが、伝送路を通過してきた測定用映像信号と測定用音声信号とをそれぞれ受信する。映像データ解析ステップでは、受信タイミング信号に基づいて、測定用映像信号からフレームまたはフィールドの位置を特定する映像タイミング情報を生成する。一方、音声データ検出ステップでは、測定用音声信号および受信タイミング信号に基づいて、音声波形を特定する音声タイミング情報を検出する。そして、演算処理ステップにおいて、各々のパターン映像に基づく映像タイミング情報および音声タイミング情報を分析し、所定のデータ処理を施して伝送時間差を算出する。従って、異なる映像パターンのそれぞれに対して伝送時間差が測定できるだけでなく、繰り返し測定により平均化などの演算処理を加えることで測定精度を上げることができる。これによって、同一パターン映像を繰り返し発生させて、映像・音声伝送時間差を順次測定し、その平均値を出す、あるいは、平均値からかけ離れた測定値を除外する等の統計処理により、信頼性の高い測定値を得ることができるようになる。また、異なるパターン映像を繰り返す場合であれば、それぞれのパターン映像に対する映像・音声伝送時間差を測定することができるため、映像信号に大きな影響を与える伝送路の伝送特性をより詳しく評価することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(信号発生装置の構成)
【0032】
図1は、本発明における映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置の構成を示したブロック図である。信号発生装置1は、映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生するものである。図1に示すように、信号発生装置1は、シーケンス管理部2と、基準信号発生手段3と、映像信号発生手段4と、音声信号発生手段5とを含む構成とした。
【0033】
シーケンス管理部2は、映像信号発生手段4および音声信号発生手段5に対し、図示されていない入力手段を介して入力された伝送時間差測定開始の指令および所定のパターン映像のシーケンス番号を出力するものである。
【0034】
基準信号発生手段(サンプリングクロック発生部)3は、測定用映像信号と測定用音声信号とを同期させる基準信号(サンプリングクロック)を発生するものである。ここで、基準信号発生手段3は、例えば、一般的な発信器等により構成される。ここでは、基準信号の周波数は、映像信号用民生機器で一般的に用いられる色副搬送周波数FSC(Frequency of Subcarrier)の4倍の周波数(以後、4FSCと書く)を標準周波数として使用することができる。
【0035】
映像信号発生手段4は、基準信号に基づいてテレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる前記測定用映像信号を発生させるものであり、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41と、映像データ読み出し部42と、D/Aコンバータ43とから構成されている。映像信号発生手段4は、種々のパターン映像を発生させることが可能であるが、ここでは、一例として、有効走査線区間を縦に5分割し、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像を測定用映像信号として発生させるが、分割の仕方および走査する信号については、伝送路の特性および映像の品質にあわせて適宜変更することが可能である。
【0036】
水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41は、基準信号発生手段3で発生した基準信号に基づいて、パターン映像の水平同期信号および垂直同期信号を出力するための水平カウンタおよび垂直カウンタを発生させるものである。
【0037】
映像データ読み出し部42は、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41の水平カウンタおよび垂直カウンタに基づき、シーケンス管理部2から入力されたシーケンス番号に対応するパターン映像を生成し、そのデジタル映像データをデジタル出力するものである。ここでは、垂直カウンタをカウントすることで有効走査線を検出し、水平カウンタをカウントすることでその有効走査線区間を分別し、それぞれの区間で異なる信号を出力することでパターン映像を生成する。
【0038】
D/Aコンバータ43は、映像データ読み出し部42からデジタル映像データを受信し、測定用映像信号をアナログ出力するものである。
【0039】
このような構成にすることにより、映像信号発生手段4は、基準信号発生手段3で発生した基準信号に基づいて、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像となる前記測定用映像信号を発生させることができる。なお、映像信号発生手段4は、シーケンス管理部2からシーケンス番号が入力されることで、それに対応する複数のパターン映像を測定用映像信号としてそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて順次繰り返し発生させることができる構成となっている。
【0040】
音声信号発生手段5は、測定用映像信号に同期して、パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させるものであり、音声サンプリング周波数発生部51と、音声データ読み出し部52と、オーディオD/Aコンバータ53とから構成される。
【0041】
音声サンプリング周波数発生部51は測定用音声信号のデジタル音声データ作成のためのサンプリング周波数(Fs)の信号を出力するもので、分周器から構成されている。なお、分周の仕方は、音声データをサンプリングするのに十分な周波数が得られるものであればよく、例えば基準信号が前記4FSCであれば、256分周で十分であるが、分周率は信号発生装置の他の部品との適合性を考慮して適宜決めることが可能である。
【0042】
音声データ読み出し部52は、シーケンス管理部2からパターン映像のシーケンス番号を受信し、それに対応する所定のデジタル音声データを出力するものである。
【0043】
オーディオD/Aコンバータ53は、音声データ読み出し部52からデジタル音声データを受信し、測定用音声信号をアナログ出力するものである。
【0044】
このような構成にすることにより、音声発生手段5は、測定用映像信号に同期して、そのパターン映像に対応し、かつ、同期した音声波形を測定用音声信号として発生させることができる。
【0045】
[パターン映像および音声波形の対応の例]
ここで、映像信号発生手段4が発生する測定用映像信号のパターン映像および音声信号発生手段5が発生する測定用音声信号の音声波形の対応について図2を参照(適宜、図1も参照)しながら、説明する。図2は、有効走査線区間を縦に5分割し、各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像の例である。ここでは、シーケンス番号00(SEQ00)からシーケンス番号13(SEQ13)までの、パターン映像とそれに対応した音声波形の一例が示されている。同図では、有効走査線区間を縦に5分割した各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像に関し、白信号の区間を数字1に、黒信号の区間を数字0に対応させることにより、画面の最も左を最低位ビット(LSB)、画面の最も右を最高位ビット(MSB)とする2進5桁の数を形成した。そして、LSBから4桁目までを一連のシーケンスの順序を表すことに用い、MSBは誤り訂正用の偶数パリティビットとしてある。ここで、MSBに奇数パリティビットを使用してもよい。
【0046】
音声信号は、それぞれのパターン映像のビットの割り当てと同じとし、その波形は図2に対応するパターン映像と対にして示した。このようにすることにより、音声信号は、前記映像信号の最初のタイミングと同期し、かつ、音声信号データは、映像信号のシーケンス番号に対応したシリアルデータで構成されることになる。
【0047】
従って、LSBから4桁までの2進数を10進数で表した数がフレームまたはフィールドのシーケンス番号となる。例えば、フレームまたはフィールドのシーケンス番号2の場合(SEQ02)、シーケンス番号2は、10010という2進5桁の数で表され、画面では図2のSEQ02に示されるように左から黒白黒黒白の縦縞のパターン映像となる。同様にして、図2のように、SEQ00からSEQ13までのパターン映像とそれに対応する音声波形とがつくられる。
【0048】
図3に、一例として、基準信号発生手段4がシーケンス管理部2からシーケンス番号01(SEQ01)の出力を受信し、インターレースで走査する場合、1フレームが2フィールドで構成され、そのうちの1フィールド目のパターン映像の画面を示す。同図中、太枠で囲まれた部分(F1)が有効走査区間であり、縦に5分割され、左から白黒黒黒白で走査され、また、▽のタイミングを映像信号の開始点とした。
【0049】
(信号発生装置の動作)
次に、本実施形態にかかる信号発生装置1の動作について、図1を参照して、説明する。まず、測定用映像信号と測定用音声信号とを同期させる基準信号が基準信号発生手段3から出力され、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41および音声サンプリング周波数発生部51に入力される。
【0050】
次に、この基準信号が映像信号発生手段4において、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41に入力され、発生した水平カウンタおよび垂直カウンタが映像データ読み出し部42に入力される。映像データ読み出し部42は、シーケンス管理部2からパターン映像のシーケンス番号を読み取り、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41から出力される水平カウンタおよび垂直カウンタに基づいて水平同期信号および垂直同期信号、輝度および色度を含むデジタル映像データを出力する。D/Aコンバータ43は、このデジタル映像データを受信し、測定用映像信号としてアナログ出力する。
【0051】
一方、音声発生手段5では、基準信号発生手段3のサンプリングクロックを音声サンプリング周波数発生部51の分周器により分周して、その信号はサンプリング周波数(Fs)で音声データ読み出し部52に入力される。次に、音声信号データ読み出し部52が、シーケンス管理部2から送られてくるパターン映像のシーケンス番号を読み取り、対応する音声波形の音声データを作成し、デジタル音声データを出力する。オーディオD/Aコンバータ53はこのデジタル音声データを受信し、測定用音声信号としてアナログ出力する。
【0052】
[パターン映像および音声波形の発生方法の例]
次に、図4を参照して、パターン映像および音声波形の発生方法の例について説明する。図4は、信号発生装置1から、図2に示された測定用映像信号および測定用音声信号を適宜選択して発生させる方法について、フローチャートで例示したものである。
【0053】
まず、操作者が図示していない入力手段を介してシーケンス管理部2に対して、シーケンスの繰り返し回数等を含んだ測定開始指令を入力する(ステップS21)。
【0054】
シーケンス管理部2から、映像データ読み出し部42および音声データ読み出し部52に対し、伝送時間差測定開始を意味する特定のシーケンス番号を、測定開始の信号(測定開始信号)として、所定回数回繰り返して発生する(ステップS22)。ここでは、伝送時間差測定開始は、SEQ11とSEQ13とを対応させ、それらを交互に所定回数繰り返して出力するものとする。こうして、SEQ11およびSEQ13のシーケンス番号に対応した測定用映像信号および測定用音声信号が信号発生装置1から交互に所定回数繰り返されて出力される。
【0055】
次に、シーケンス管理部2から、一連の測定用映像SEQ00〜SEQ07のパターン映像のシーケンス番号を、測定用の信号として(測定用信号)、順次、映像信号発生手段4および音声信号発生手段5に対して発生する(ステップS23)。これにより、SEQ00〜SEQ07のシーケンス番号に対応した測定用映像信号および測定用音声信号が信号発生装置1から順次出力される。
【0056】
そして、シーケンス管理部2において、一連の測定用映像信号EQ00〜SEQ07のパターン映像のシーケンス番号の出力の繰り返し回数が所定の回数になったかどうか、すなわちそれらの出力を継続するかどうかを判定し(ステップS24)、所定の繰り返し回数に達していない場合(ステップS24のNo)は、ステップ23に戻って、SEQ00〜SEQ07のシーケンス番号を出力する。一方、SEQ00〜SEQ07のパターン映像のシーケンス番号の出力の繰り返し回数が所定の繰り返し回数に達した場合(ステップS24のYes)は、測定終了信号発生ステップ(ステップS25)へ進む。こうして、SEQ00〜SEQ07のシーケンス番号に対応した測定用映像信号および測定用音声信号が信号発生装置1から順次所定回数繰り返し出力される。
【0057】
シーケンス管理部2から、映像データ読み出し部42および音声データ読み出し部52に対し、伝送時間差測定終了を意味する所定のパターン映像のシーケンス番号を所定回数出力して、測定終了信号を発生し、(ステップS25)、測定を終了する。ここでは、伝送時間差測定終了にSEQ10を対応させてあり、このシーケンス番号に対応した測定用映像信号および測定用音声信号が信号発生装置1から所定回数出力される。
【0058】
前記パターン映像発生方法において、1つのシーケンス番号に対して伝送時間差を測定するためには、理論上は1フレームだけパターン映像を出力すれば十分であるが、再撮像の場合も考慮して、実用的には、4フレーム(所要時間約133mS)繰り返してパターン映像を出力する。もちろん、この繰り返し回数は、信号の状態によって適宜増減することが可能である。
【0059】
(信号解析装置の構成)
次に、図5を参照して、信号解析装置の構成について説明する。図5は、本発明における映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置の構成を示したブロック図である。信号解析装置6は、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像となる測定用映像信号と、この測定用映像信号に同期して前記パターン映像に対応した音声波形をもつ測定用音声信号とが伝送路を通過することで生じる伝送時間差を解析する装置である。図5に示すように、信号解析装置6は、映像信号受信手段7と、音声信号受信手段8と、タイミング発生手段9と、映像データ解析手段70と、音声データ検出手段81と、演算処理手段90と、映像分析手段75と、計測値表示手段91と、遅延量制御手段92と、から構成されている。
【0060】
映像信号受信手段7は、測定用映像信号を受信するもので、受信後、それを映像データ解析手段70および映像分析手段75に出力する。音声信号受信手段8は、測定用音声信号を受信し、音声データ検出手段81に出力するものである。ここで、映像信号受信手段7および音声信号受信手段8は、受信したそれぞれの測定用映像信号および測定用音声信号の信号状態に合わせて、増幅器、低域通過フィルタ、広域通過フィルタ、帯域通過フィルタ等を適宜組み合わせたものを使用することで、信号レベルを調整し、信号解析に影響を与えるノイズを効率的に除去することができる。
【0061】
タイミング発生手段9は、映像データ解析手段70および音声データ検出手段81に、それぞれ測定用映像信号および測定用音声信号の受信タイミング信号を与えるものである。タイミング発生手段9は、基準信号発生手段3(図1参照)と同様に一般的な発信器等から構成される。
【0062】
映像データ解析手段70は、受信タイミング情報および測定用映像信号を受信し、フレームまたはフィールドの先頭を特定する映像タイミング情報を演算処理手段90に出力するものである。ここで、映像データ解析手段70は、映像データ検出手段71および映像データ分析手段72から構成されている。なお、入力された映像タイミング情報には、画角と輝度とに関する情報があり、画角に関する情報から画面のパターン映像の縦と横の比率あるいは映像の歪みを検出し、輝度に関する情報から各区間の白もしくは黒のパターンを検出する。
【0063】
映像データ検出手段71は、映像信号受信手段7および映像分析手段75から、それぞれ測定用映像信号および映像情報を受信し、複数のパターン映像に対応する測定用映像信号から各フレームまたはフィールドの映像データを検出し、各パターン映像のシーケンス番号および受信タイミングを映像データ分析手段72へ出力するとともに、測定開始および測定終了の受信タイミングを演算処理手段90に出力する。
【0064】
映像データ分析手段72は、受信した各パターン映像のシーケンス番号および受信タイミングを分析して映像タイミング情報を演算処理手段90に出力する。
【0065】
映像分析手段75は、受信した測定用映像信号を分析し、少なくとも輝度および画角を含む映像情報を映像データ検出手段71に出力するものである。ここでは、受信した映像信号が、再撮像により画像劣化を伴う場合に主として用いられるものである。
【0066】
音声データ検出手段81は、測定用音声信号および受信タイミング信号を受信し、音声波形を特定する音声タイミング情報を検出し、演算処理手段90に出力するものである。
【0067】
演算処理手段90は、映像タイミング情報、音声タイミング情報および測定開始および測定終了の受信タイミングを受信し、これらに所定の信号解析の処理をして伝送時間差を計算するものである。なお、この演算処理手段90での伝送時間差を計算するプロセスについては、後記する。
【0068】
計測値表示手段91は、伝送時間差の値とその単位とを外部のディスプレイ、例えば液晶素子やLED素子に表示するためのインターフェースで構成される。これによって、視覚的に遅延量を見ることができる。また、遅延量制御手段92は、外部の伝送時間遅延装置を遠隔制御するためのインターフェースで構成されている。これによって、例えば、放送局側の既存の音声遅延装置が自動調整できる。
【0069】
(信号解析装置の動作)
次に、本発明にかかる信号解析装置6の動作について、図5を参照して、説明する。まず、測定用映像信号および測定用音声信号の基準信号である受信タイミング信号がタイミング発生手段9により、映像データ検出手段71および音声データ検出手段81に入力される。
【0070】
次に、測定用映像信号および測定用音声信号(図1参照)が、それぞれ、直接あるいは伝送路を経由して、映像信号受信手段7と音声信号受信手段8に入力される。そして、映像信号受信手段7で受信された測定用映像信号は、映像データ検出手段71および映像分析手段75に入力される。また、音声信号受信手段8で受信された測定用音声信号は、音声データ検出手段81に入力される。
【0071】
まず、映像データ検出手段71では、受信した受信タイミング信号および測定用映像信号に基づいて、入力された測定用映像信号から映像シーケンスを読み出し、映像シーケンス番号、測定開始および測定終了のシーケンス番号を検出する。そして、映像シーケンス番号および受信タイミングが映像データ分析手段72に入力され、測定開始および測定終了の受信タイミングが演算処理手段90に入力される。
【0072】
また、映像信号受信手段7で受信した測定用映像信号が、再撮像により画像劣化を伴う場合には、映像分析手段75が、測定開始と、輝度と、画角と、シーケンス番号検出のためのサンプリングポイントと、を検出し、さらに、再撮像の画角変化等を解析・検出して、これらの情報が映像情報として映像データ検出手段71に入力される。
【0073】
次に、映像データ分析手段72では、映像データ検出手段71から入力された映像データに基づき、複数回繰り返し検出された映像シーケンス番号と受信タイミングを分析し、当該シーケンスの先頭映像の受信タイミングを、図6に示される受信タイミング決定プロセスにより、決定する。(図6の受信タイミング決定プロセスの詳細については、後記する)。そして、モニタの残像特性などを考慮して複数回繰り返し検出された映像シーケンス番号の先頭フレームまたはフィールドを決定するためのデータを作成し、受信タイミングとともに映像タイミング情報として演算処理手段90に入力される。
【0074】
一方、音声データ検出手段81は、受信した受信タイミング信号および測定用音声信号に基づいて、音声シーケンスを読み出して音声シーケンス番号を検出して、受信タイミングを図6に示される受信タイミング決定プロセスにより決定する。(図6の受信タイミング決定プロセスの詳細については、後記する)。そして、音声シーケンス番号と音声タイミングを含む音声タイミング情報が、演算処理手段90に入力される。
【0075】
演算処理手段90は、受信した映像情報、映像タイミング情報および音声タイミング情報に基づき、パターン映像の先頭フレームまたはフィールドを決定し、測定用映像信号と測定用音声信号の伝送時間差を、図7の伝送時間差計算プロセスにより計算する。(図7の伝送時間差計算プロセスの詳細については、後記する)。この結果は、計測値表示手段91から外部にディスプレイされるとともに、遅延量測定手段92から自動調整機能を有する外部の伝送時間遅延装置に対して計測結果を送出する。
【0076】
[受信タイミング決定プロセスの一例]
次に、図6を参照(適宜、図5も参照)して、受信タイミング決定プロセスについて説明する。図6は、受信タイミング決定プロセスの一例を示すフローチャートである。ここで、映像データ分析手段72における受信タイミングの決定および音声データ検出手段81における音声シーケンス受信タイミングの決定は、同じプロセスによって実行できることを利用しているため、全体のプロセスが簡略化された。また、図6およびその説明において、映像シーケンスまたは音声シーケンスを単にシーケンス、映像シーケンス番号または音声シーケンス番号を単にシーケンス番号、そして映像または音声の受信タイミングを単に受信タイミングと記述することとする。
【0077】
まず、映像データ分析手段72で映像シーケンスを読み取り、そして、音声データ検出手段81で音声シーケンスを読み取る(ステップS61)。
【0078】
次に、読み取った各々のシーケンスから各々のシーケンス番号と受信タイミングとを検出する(ステップS62)。
【0079】
次に、各々のシーケンス番号と受信タイミングの測定値に不備がないどうかを確認する(ステップS63)。ここで、検出された各々のシーケンス番号と受信タイミングが、ノイズ等により誤りを含んでいないこと、かつ、検出された各々のシーケンス番号が、信号発生器で出力した各々のシーケンス番号、すなわち、SEQ11、13、00から07および10のいずれかひとつの番号であるとき、各々のシーケンスのデータには、不備がないと判断し(ステップS63のYesの場合)、次のステップへ進み、不備があると判断されたとき(ステップS63のNoの場合)、ステップS61に戻り、次のシーケンスを読み取る。
【0080】
各々のシーケンス番号毎に、同じシーケンス番号の受信タイミングをすべて拾い出し、それらの平均値と分散を計算する(ステップS64)。
【0081】
各々のシーケンス番号で、該当する受信タイミングをすべて読み出し、そのすべてがそのシーケンス番号に属する受信タイミングの分散が許容範囲に入っていれば(ステップS65のYesの場合)、次のステップへ進み、外れていれば(ステップS65のNoの場合)、バラツキの大きな受信タイミングをすべて除外して(ステップS68)、ステップS64に戻る。
【0082】
次に、すべてのシーケンス番号に対し、対応する受信タイミングを参照し、欠落している、あるいは他のシーケンス番号に対応する受信タイミングの検出数に比べて著しく多い、あるいは、少ないといったことがあれば(ステップS66のNoの場合)、測定異常の表示をして(ステップS69)、測定終了する。そうではない場合(ステップS66のYesの場合)、測定は正常と判断し、次のステップに進む。
【0083】
各々のシーケンス番号毎に、対応する受信タイミングをすべて取り出し、それらの平均を再計算し(ステップS67)、終了する。このようにすることにより、映像シーケンスおよび音声シーケンスのそれぞれのシーケンス番号に対応する受信タイミングが、該当する平均値として、決定される。
【0084】
[伝送時間差計算プロセスの一例]
次に、図7を参照(適宜、図5も参照)して、演算処理手段90における伝送時間差の決定プロセスについて説明する。図7は伝送時間差の決定プロセスの一例を示す。
【0085】
まず、演算処理手段90が、映像データ検出手段71から映像データを受信し(ステップS91)、さらに映像データ分析手段72から映像タイミング情報を受信する(ステップS92)。
【0086】
また、演算処理手段90が、音声データ検出手段81から音声タイミング情報を受信する(ステップS93)。
【0087】
次に、演算処理手段90は、複数サイクル繰り返された各シーケンスの映像のシーケンス番号と受信タイミングの分散伏況に応じたデータ処理を施して、映像の受信タイミングを決定する(ステップS94)。ここで、データ処理とは、かけ離れたデータを不採用とし、有効なデータの平均値をとる等の統計的処理をすることであり、こうすることで、精度の高いデータを得ることができる。
【0088】
一方、演算処理手段90は、複数回繰り返された各シーケンスの音声のシーケンス番号と受信タイミングの分散状況に応じたデータ処理を施して、音声の受信タイミングを決定する(ステップS95)。なお、ここでも、ステップS94と同様に、かけ離れたデータを不採用とし、有効なデータの平均値をとる等の統計的処理が、精度の高いデータを得ることに大きく寄与することはいうまでもない。
【0089】
演算処理手段90において、映像受信タイミングと音声受信タイミングの差を演算し、伝送時間差を計算する(ステップS96)。その後、計測値表示手段91により、伝送時間差を液晶表示素子、LED等適当な表示素子を用いてディスプレイする(ステップS97)。そして、この伝送時間差を補正するために、遅延量制御手段92を用いて、外部の伝送時間遅延装置を遠隔制御する(ステップS98)。
【0090】
なお、図6および図7におけるプロセスは本発明の一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他様々な統計的処理を採用してもよい。
【0091】
また、本発明にかかる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法は、上記に加え、以下に示すような実施の形態もあり、いずれも優れた特性を発揮している。
【0092】
この映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置は、NTSC(National Television System Committee)方式のテレビジョンの映像・音声信号としては平易な信号構成をするパターン映像とそれに同期した音声信号を用い、いかなる伝送路においてでも、それらの伝送時間差を測定することができる。こうすることで、従来の測定・調整作業に対する準備段階も含めたきわめて非効率的な作業に比べて、本発明の信号発生装置および信号解析装置は、送信側では、ボタンひとつでパターン映像とそれに同期した音声信号を発信し、受信側では自動的に伝送時間差を測定することができる。従って、一箇所の受信拠点が複数の回線を扱う場合に、効率的な伝送時間差の測定を求められている現状においては、本発明の信号発生装置および信号解析装置を用いることで作業の効率化・安定化を図ることができる。
【0093】
また、伝送時間差の測定結果について定量的な数値を算出することができるので、長期にわたって使用する伝送路に対してその伝送時間差を継続的に測定することで、伝送路の信頼性の判断にも用いることができる。
【0094】
再撮像における伝送時間差の測定は、大規模番組などのシステムで、個々の伝送時間差ではなく全体的なシステムの伝送時間差を測定する際に有効な手段である。通常、ストロボ発光器で行っていた再撮像手法の結果は、受信側での人間による測定であり、誤差がありばらつきが大きいのに対して、映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法は、定量的で正確かつ再現性のある測定結果を簡便に得ることを可能にするものである。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明にかかる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法は、以下に示すように優れた効果を奏する。
【0096】
請求項1の本発明にかかる信号発生装置によれば、映像信号発生手段が測定用映像信号として、例えば、テレビジョン信号の有効走査区間を縦方向に複数に分割し、各分割区間内で白信号、もしくは黒信号で走査して得られる白黒の縦縞パターン映像のような非常に単純な画像を映像・音声伝送時間差測定用の映像信号として出力することが可能になる。これにより、出力側の信号発生装置の構成が単純化され、さらに、その後の信号解析も容易にかつ正確になり、短時間で伝送時間差が正確に測定できるという効果が認められる。また、ここで発生する映像・音声信号は伝送路を通過させてから、通常のテレビの映像・音声端子に接続することで、伝送時間差を、実際に、目と耳で体感することができるという効果もあげられる。
【0097】
請求項2の本発明にかかる信号発生装置によれば、測定用映像信号として複数のパターン映像とそれに対応し、かつ、同期した音声波形をもつ測定用音声信号とを一緒に順次繰り返し発生することが可能になるため、従来のように、単発的あるいは手動で測定用映像信号および音声信号を発生する必要がなくなり、効率的な伝送時間差測定作業が可能となるという著しい効果がある。
【0098】
請求項3の本発明にかかる信号発生装置によれば、複数のパターン映像となる測定用映像信号を、それぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて繰り返し発生させた信号を、さらに組み合わせて発生することができる。また、測定用音声信号は、測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形として出力される。従って、映像・音声信号が伝送路を通過したとき各信号に誤差が発生する場合、および再撮像により発生する画角の誤差がある場合、このように発生させるパターン映像およびそれと同期する音声波形の種類とその繰り返し方とを、映像・音声信号の取り扱われる状況にあわせて、適宜選択できるようにしてあるため、前記誤差をデータ処理により除去して、正確に信号解析することができるという効果がある。
【0099】
請求項4にかかる本発明の信号発生方法においては、測定用映像信号として、複数のパターン映像をそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて順次繰り返し発生し、一連のシーケンス番号で制御可能な映像シーケンスとして出力することが可能になる。従って、一連のシーケンス番号で制御可能な測定用映像信号とそれに対応し、かつ、同期した音声波形をもつ測定用音声信号を発生することが可能になるため、映像・音声データにその時系列的情報を付加する必要がなくなる。また、ここで、伝送時間差計測開始および伝送時間差計測完了信号を予め測定用映像信号および測定用音声信号に割り当てておくことも可能なため、通常よく行われるトリガ・パルスを発生させるための装置も不要となるなどの効果もある。
【0100】
請求項5にかかる本発明の信号解析装置は、前記の信号発生装置および前記の信号発生方法により発生した測定用映像信号および測定用音声信号を本信号解析装置に直接ないし伝送路を通過させてから入力することにより、特に、再撮像時に問題となる撮像サイズおよび画角ならびに輝度などに不確定要素が大きい信号が入力されても、自動的に伝送時間差を正確に解析することが可能となるという大きな効果が認められる。このことにより、実際の放送局の番組収録時での音声遅延装置における伝送時間差を自動調整できるようになるという著しい効果がある。
【0101】
請求項6にかかる本発明の信号解析装置では、音声信号はそのままで、映像信号を表示したディスプレイを撮影機で撮像すなわち再撮像して出力される映像信号が受信機に送られる場合に映像信号が伝送に伴って劣化しても、それらを分析することが可能となるため、種々の伝送特性をもった経路を通過して、歪んだり、ノイズが増えたりして劣化した映像・音声信号の伝送時間差測定が可能になるという大きな効果がある。
【0102】
請求項7にかかる本発明の信号解析装置では、特に、再撮像の映像信号の場合、複数のパターン映像を構成することではじめのパターン映像で撮像サイズや画角、輝度が一定ではないという不確定要素を検出し、正確に解析することが可能となる。このこと により、放送現場でやむをえず再撮像を用いなければならないような状況でも、迅速にかつ正確に映像・音声伝送時間差を測定できるという実用上大きな効果がある。
【0103】
請求項8にかかる本発明の解析法方法では、異なる映像パターンのそれぞれに対して伝送時間差が測定できるだけでなく、繰り返し測定により平均化などの演算処理を加えることで測定精度を上げることが可能になる。このことにより、測定結果の妥当性を含めて、映像・音声伝送時間差の正確な評価とそれを補正するための装置の制御が可能になるという大きな効果が生まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる信号発生装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる信号発生装置で用いられるシーケンス番号で関係付けられたパターン映像を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる映像信号のフィールドを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる測定用映像信号および測定用音声信号を適宜選択して発生させる方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態にかかる信号解析装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる受信タイミング決定プロセスを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態にかかる伝送時間差計算プロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ……信号発生装置
2 ……シーケンス管理部
3 ……基準信号発生手段(サンプリングクロック発生部)
4 ……映像信号発生手段
41……水平カウンタ・垂直カウンタ発生部
42……映像データ読み出し部
43……D/Aコンバータ
5 ……音声信号発生手段
51……音声サンプリング周波数発生部
52……音声データ読み出し部
53……オーディオD/Aコンバータ
6 ……信号解析装置
7 ……映像信号受信手段
70……映像データ解析手段
71……映像データ検出手段
72……映像データ分析手段
75……映像分析手段
8 ……音声信号受信手段
81……音声データ検出手段
90……演算処理手段
91……計測値表示手段
92……遅延量制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送路を通過する映像信号と音声信号の時間的なずれを計測するための信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレビジョンのように映像と音声を同時に扱う場合、映像と音声のタイミングは一致していなくてはならない。ところがテレビジョン信号の中継において、これらの信号をそれぞれ衛星回線と地上回線等の異なる伝送路を用いて伝送する場合や、デジタル化した映像信号を圧縮処理して伝送する場合には、受信側において映像と音声にずれが生じ、いわゆるリップシンクずれとして知られている現象が起こる。この映像と音声の伝送時間差は、一般に映像が音声に対して遅れて伝送されるために起こり、視聴者に極めて奇異な印象を与える結果となっていた。
【0003】
以上の問題を解消するために、従来は作業者が映像と音声をモニタし、視覚と聴覚とによりずれ補正のための時間差を把握し、それに基づいて映像信号または音声信号の遅延制御を行っていた。しかし、この方法は特別な機器を要しない反面、調整に熟練と勘を要する上にこれらの作業は長時間かかるものであり、即座に計測して具体的な数値データを得ることができず、また作業者によって結果が異なるという問題があった。
【0004】
そのため、送信される映像信号および音声信号にそれぞれ直接検出信号を挿入し、受信側において前記2つの検出信号の到着タイミングから伝送時間差を計測し表示する方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照。)。ただし、この方法では回線の送信端末に信号発生器、受信端末に時間差測定器を接続する必要があり、必ず両者を一揃いにして使用しなくてはならない。
【0005】
一方、伝送時間差を定量的に計測する方法として、送信される映像信号および音声信号に検出信号を直接挿入するのでなく、送信側において発生させた現実の映像および音声による信号を受信側において検出する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法は、送信側において点滅走査を繰り返す複数個の発光点と、特定の発光点の点滅に同期して発生する音源とを備えた装置を用い、この映像をテレビジョンカメラにより撮影すると共に、音声をマイクにより収音して、それぞれ映像信号および音声信号として送信し、受信側において前記音声を検出した時点で送信された映像信号を静止させると共にディスプレイ上に表示し、この静止画像上の発光点の位置と音声が一致した特定の発光点との位置関係を視認することにより伝送時間差を計測するものである。
【0006】
また、前記特許文献2記載の方法とは異なるやり方で送信側において発生させた現実の映像および音声による信号を受信側において検出し、伝送時間差を解析する方法も提案されている(例えば、特許文献3参照。)。これは、送信側においてカチンコによる輝度の変化と音声の発生を同時に行う装置を用い、この映像をテレビジョンカメラにより撮影すると共に、音声をマイクにより収音してそれぞれ映像信号および音声信号として送信し、受信側において前記映像信号をディスプレイ上に映像として表示すると共に、音声信号をスピーカから再生し、これらの輝度の変化および音声を検出してその時点でパルス信号を発生させ、その時間差から伝送時間差を計測するものである。
【0007】
一方、回線の送信側において同期して発生した映像と音声の変化を受信側に到着した映像と音声から検出する計測装置において、受信側のディスプレイ上に表示された映像の輝度変化をディスプレイおよび計測装置本体から分離した手持ち可能なブローブの検出部により検出すると共に、受信側の音声信号の音量変化を検出することにより、回線上を伝送される音声信号と映像信号の相互の遅延量および前後関係を計測するものもある(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特開平5−236513号公報(第2−4頁)
【特許文献2】
特開平5−219459号公報(第2−4頁)
【特許文献3】
特開平10−285483号公報(第2−5頁)
【特許文献4】
特開2001−326950号公報(第2−13頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上の従来技術のうち、前記特許文献1においては、回線の送信端末に信号発生器、受信端末に時間差測定器を必ず両者を一揃いにして配置しなくてはならない他、これらの装置は何れも小型・軽量ではなく、可搬性に乏しいため使い勝手に難があった。更にテレビジョン方式によっては対応する信号発生器がない場合もあり、使用できるテレビジョン方式が限られるという問題があった。
【0010】
前記特許文献2記載の方法は伝送時間差の計測単位が特定された発光点同士の間隔により決定されるため、きめ細かい計測結果が得られない問題があった。また、計測はあくまでもディスプレイ上の静止画像発光点の位置と、音声と一致した特定の発光点との位置関係の判定が、最終的には、映像は眼で、音声は耳でという人間の感覚により実行されるので、正確に判断することは困難であった。また映像信号または音声信号の時間差の計測結果をデータとして外部に出力することができないので遅延制御の自動化ができないという問題があった。
【0011】
一方、前記特許文献3記載の方法においては、ディスプレイ上における輝度の変化を正確に且つ容易に検出するという課題の認識がなく、そのための手段の開示もなかった。そのため、送信側においては輝度の変化が生じる部分を正確に画面の中央に位置するように撮影する必要があり、受信側においては検出部分と計測・表示部分が一体となった計測装置本体をディスプレイに接近させなければならず、実用性に問題があった。
【0012】
また、以上の前記特許文献2および特許文献3記載の方法に共通する問題として、計測装置と対をなす専用の映像・音声発生源が必ず必要であり、スピーカからの再生音声が使用出来ない状況の場合に対応出来ないという問題があった。
【0013】
一方、前記特許文献4記載の装置では、受信側で、手動によるブローブ操作が必要であり、自動的に遅延量を計測できるわけではなく、プローブの位置のずれにより、正確な計測が困難であるという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、前記事情に鑑みて、従来の方法における、不充分な測定精度、測定結果のばらつき、あるいは、測定の操作性・作業性等の問題を解決するために、テレビジョン信号で用いる映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために創案されたものであり、まず、請求項1に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置は、テレビジョン信号で用いる映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる信号発生装置であって、基準信号発生手段と、映像信号発生手段と、音声信号発生手段と、を備える構成とした。
【0016】
かかる構成によれば、基準信号発生手段で発生させた基準信号に基づいて、映像信号発生手段が測定用映像信号として、具体的には、テレビジョン信号の有効走査区間を縦方向に複数に分割した場合、各分割区間内で異なる信号で、例えば、白信号、もしくは黒信号で走査することにより、白黒の縦縞パターン映像を映像・音声伝送時間差測定用の映像信号として出力する。一方、測定用音声信号は、任意の音声波形を測定用映像信号に同期して映像・音声伝送時間差測定用の音声信号として出力することができるが、これらの信号の時系列的な順序関係を正確にかつ容易に把握するためには、異なるパターン映像とその各々に対応する音声波形とが1:1の対応になるような音声波形を出力することが好ましい。
【0017】
また、請求項2に記載の信号発生装置は、請求項1に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置において、前記映像信号発生手段が前記基準信号に基づいて複数のパターン映像となる測定用映像信号をそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせた繰り返し信号を順次発生させ、前記音声信号発生手段は、前記測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させる構成とした。
【0018】
かかる構成によれば、測定用映像信号として複数のパターン映像とそれに対応し、かつ、同期した音声波形をもつ測定用音声信号とを一緒に順次繰り返し発生できる。これによって、パターン映像を繰り返し発生させて、映像・音声伝送時間差を順次測定し、その平均値を出す等の処理により、信頼性の高い測定を行うことができるようになる。
【0019】
請求項3に記載の信号発生装置は、請求項2に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置において、前記映像信号発生手段が前記繰り返し信号を複数組み合わせて発生させ、前記音声信号発生手段は、前記測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させる構成とした。
【0020】
かかる構成によれば、信号発生装置は、複数のパターン映像となる測定用映像信号を、それぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて繰り返し発生させた信号を、複数組み合わせて発生することができる。測定用音声信号は、測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形として出力される。映像・音声信号が伝送路を通過したとき各信号に誤差が発生する場合、および再撮像により発生する画角の誤差がある場合、前記誤差をデータ処理により除去して正確に信号解析するためには、このように発生させるパターン映像およびそれと同期する音声波形の種類とその繰り返し方とを、映像・音声信号の取り扱われる状況にあわせて、適宜選択できるようにしておくことが望ましい。なお、ここで、画角とは、再撮像時の有効視野角を表したものである。
【0021】
また、請求項4に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生方法は、テレビジョン信号で用いる映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生方法であって、基準信号発生ステップと、映像信号発生ステップと、音声信号発生ステップと、を含むことを特徴とする。
【0022】
かかる方法によれば、まず、基準信号発生ステップにより測定用映像信号と測定用音声信号とを同期させるための基準となる基準信号が発生する。次に、この基準信号に基づいて、映像信号発生ステップにより、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査してパターン映像が測定用映像信号として外部に出力される。一方、音声信号発生ステップでは、測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形が測定用音声信号として外部に出力される。従って、測定用映像信号として、複数のパターン映像がそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて順次繰り返し発生する。また、これらの順次繰り返して発生する複数のパターン映像に予め定めた一連のシーケンス番号を付与することで、一連のシーケンス番号により、制御可能な測定用映像信号と、それに対応し同期した音声波形をもつ測定用音声信号とが発生する。ここで便宜上、伝送時間差測定開始(測定開始)および伝送時間差測定終了(測定終了)を意味する信号を予め測定用映像信号および測定用音声信号の適当なシーケンス番号にそれぞれ割り当てておく。以後、シーケンス番号で制御可能なパターン映像を映像シーケンス、そして、そのパターン映像に対応しそれに同期する音声波形を音声シーケンスと記述することとする。
【0023】
請求項5に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置は、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる測定用映像信号と、この測定用映像信号に同期して前記パターン映像に対応した音声波形をもつ測定用音声信号とが伝送路を通過することで生じる伝送時間差を解析するための信号解析装置であって、映像信号受信手段と、音声信号受信手段と、タイミング発生手段と、映像データ解析手段と、音声データ検出手段と、演算処理手段とを備える構成とした。
【0024】
かかる構成によれば、信号発生装置から出力され、伝送路を通過した測定用映像信号および測定用音声信号が、信号解析装置の映像信号受信手段および音声信号受信手段にそれぞれ入力される。次に、映像データ解析手段が、タイミング発生手段の受信タイミング信号に基づき、映像信号受信手段から測定用映像信号を受信し、フレームまたはフィールドの先頭を特定する映像タイミング情報を生成し、演算処理手段に出力する。一方、音声データ検出手段は、タイミング発生手段の基準信号に基づき、音声波形を特定する音声タイミング情報を演算処理手段に出力する。そして、演算処理手段では、受信した映像タイミング情報および音声タイミング情報に基づいて、適宜、測定データの解析を行って、パターン映像の位置を決定し、測定用映像信号と測定用音声信号の伝送時間差を計算することができる。従って、特に、再撮像時に問題となる撮像サイズおよび画角ならびに信号レベルなどにバラツキが大きい場合でも、自動的にかつ正確に伝送時間差を測定することが可能となる。
【0025】
さらに、請求項6に記載の信号解析装置は、請求項5に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置において、映像データ解析手段が、受信した複数の前記パターン映像に対応する測定用映像信号から各フレームまたはフィールドの映像データを検出する映像データ検出手段と、映像データを分析して映像タイミング情報を出力する映像データ分析手段とを備える構成とした。ここで、映像データとは、各パターン映像のシーケンス番号とその受信タイミング、および、測定開始と測定終了の受信タイミング、を含むデータとする。
【0026】
かかる構成によれば、測定用映像信号は、映像データ検出手段によって受信され、各フレームまたはフィールドの映像データが検出される。そして、映像データ分析手段は、この映像データを分析して、映像タイミング情報を演算処理手段に出力することができる。すなわち、映像データ解析手段により、測定用映像信号の各フレームまたはフィールドの受信タイミングを決定し、さらに、複数のパターン映像が発生されたとき、受信した順序も分析することができる。
【0027】
また、請求項7に記載の信号解析装置は、請求項5または請求項6に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置において、前記測定用映像信号を分析し、少なくとも輝度および画角を含む映像情報を出力する映像分析手段を備える構成とした。
【0028】
かかる構成によれば、測定用映像信号は、映像分析手段によって受信され、特に再撮像の映像信号の場合、複数のパターン映像を発生させることで、繰り返し発生されるパターン映像の最初のいくつかのフレームまたはフィールドで、撮像サイズや画角、信号レベルが一定ではないために起こる不安定な場合でも、正確にそれらの現象を捉え、画像を解析することができる。従って、音声信号はそのままで、映像信号を表示したディスプレイを撮影機で撮像すなわち再撮像して出力される映像信号が受信機に送られる場合に映像信号が伝送に伴って劣化しても、それらを分析するために必要な映像情報を映像データ検出手段に与えることができる。
【0029】
そして、請求項8に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析方法は、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる測定用映像信号と、この測定用映像信号に同期して前記パターン映像に対応した音声波形をもつ測定用音声信号とを伝送路を通過させ、これらの伝送時間差を解析するための信号解析方法であって、タイミング発生ステップと、信号受信ステップと、映像データ解析ステップと、音声データ検出ステップと、演算処理ステップとを含むことを特徴とする。
【0030】
かかる方法によれば、まず、タイミング発生ステップにより受信タイミング信号が発生し、これに基づき、信号受信ステップが、伝送路を通過してきた測定用映像信号と測定用音声信号とをそれぞれ受信する。映像データ解析ステップでは、受信タイミング信号に基づいて、測定用映像信号からフレームまたはフィールドの位置を特定する映像タイミング情報を生成する。一方、音声データ検出ステップでは、測定用音声信号および受信タイミング信号に基づいて、音声波形を特定する音声タイミング情報を検出する。そして、演算処理ステップにおいて、各々のパターン映像に基づく映像タイミング情報および音声タイミング情報を分析し、所定のデータ処理を施して伝送時間差を算出する。従って、異なる映像パターンのそれぞれに対して伝送時間差が測定できるだけでなく、繰り返し測定により平均化などの演算処理を加えることで測定精度を上げることができる。これによって、同一パターン映像を繰り返し発生させて、映像・音声伝送時間差を順次測定し、その平均値を出す、あるいは、平均値からかけ離れた測定値を除外する等の統計処理により、信頼性の高い測定値を得ることができるようになる。また、異なるパターン映像を繰り返す場合であれば、それぞれのパターン映像に対する映像・音声伝送時間差を測定することができるため、映像信号に大きな影響を与える伝送路の伝送特性をより詳しく評価することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(信号発生装置の構成)
【0032】
図1は、本発明における映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置の構成を示したブロック図である。信号発生装置1は、映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生するものである。図1に示すように、信号発生装置1は、シーケンス管理部2と、基準信号発生手段3と、映像信号発生手段4と、音声信号発生手段5とを含む構成とした。
【0033】
シーケンス管理部2は、映像信号発生手段4および音声信号発生手段5に対し、図示されていない入力手段を介して入力された伝送時間差測定開始の指令および所定のパターン映像のシーケンス番号を出力するものである。
【0034】
基準信号発生手段(サンプリングクロック発生部)3は、測定用映像信号と測定用音声信号とを同期させる基準信号(サンプリングクロック)を発生するものである。ここで、基準信号発生手段3は、例えば、一般的な発信器等により構成される。ここでは、基準信号の周波数は、映像信号用民生機器で一般的に用いられる色副搬送周波数FSC(Frequency of Subcarrier)の4倍の周波数(以後、4FSCと書く)を標準周波数として使用することができる。
【0035】
映像信号発生手段4は、基準信号に基づいてテレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる前記測定用映像信号を発生させるものであり、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41と、映像データ読み出し部42と、D/Aコンバータ43とから構成されている。映像信号発生手段4は、種々のパターン映像を発生させることが可能であるが、ここでは、一例として、有効走査線区間を縦に5分割し、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像を測定用映像信号として発生させるが、分割の仕方および走査する信号については、伝送路の特性および映像の品質にあわせて適宜変更することが可能である。
【0036】
水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41は、基準信号発生手段3で発生した基準信号に基づいて、パターン映像の水平同期信号および垂直同期信号を出力するための水平カウンタおよび垂直カウンタを発生させるものである。
【0037】
映像データ読み出し部42は、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41の水平カウンタおよび垂直カウンタに基づき、シーケンス管理部2から入力されたシーケンス番号に対応するパターン映像を生成し、そのデジタル映像データをデジタル出力するものである。ここでは、垂直カウンタをカウントすることで有効走査線を検出し、水平カウンタをカウントすることでその有効走査線区間を分別し、それぞれの区間で異なる信号を出力することでパターン映像を生成する。
【0038】
D/Aコンバータ43は、映像データ読み出し部42からデジタル映像データを受信し、測定用映像信号をアナログ出力するものである。
【0039】
このような構成にすることにより、映像信号発生手段4は、基準信号発生手段3で発生した基準信号に基づいて、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像となる前記測定用映像信号を発生させることができる。なお、映像信号発生手段4は、シーケンス管理部2からシーケンス番号が入力されることで、それに対応する複数のパターン映像を測定用映像信号としてそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて順次繰り返し発生させることができる構成となっている。
【0040】
音声信号発生手段5は、測定用映像信号に同期して、パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させるものであり、音声サンプリング周波数発生部51と、音声データ読み出し部52と、オーディオD/Aコンバータ53とから構成される。
【0041】
音声サンプリング周波数発生部51は測定用音声信号のデジタル音声データ作成のためのサンプリング周波数(Fs)の信号を出力するもので、分周器から構成されている。なお、分周の仕方は、音声データをサンプリングするのに十分な周波数が得られるものであればよく、例えば基準信号が前記4FSCであれば、256分周で十分であるが、分周率は信号発生装置の他の部品との適合性を考慮して適宜決めることが可能である。
【0042】
音声データ読み出し部52は、シーケンス管理部2からパターン映像のシーケンス番号を受信し、それに対応する所定のデジタル音声データを出力するものである。
【0043】
オーディオD/Aコンバータ53は、音声データ読み出し部52からデジタル音声データを受信し、測定用音声信号をアナログ出力するものである。
【0044】
このような構成にすることにより、音声発生手段5は、測定用映像信号に同期して、そのパターン映像に対応し、かつ、同期した音声波形を測定用音声信号として発生させることができる。
【0045】
[パターン映像および音声波形の対応の例]
ここで、映像信号発生手段4が発生する測定用映像信号のパターン映像および音声信号発生手段5が発生する測定用音声信号の音声波形の対応について図2を参照(適宜、図1も参照)しながら、説明する。図2は、有効走査線区間を縦に5分割し、各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像の例である。ここでは、シーケンス番号00(SEQ00)からシーケンス番号13(SEQ13)までの、パターン映像とそれに対応した音声波形の一例が示されている。同図では、有効走査線区間を縦に5分割した各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像に関し、白信号の区間を数字1に、黒信号の区間を数字0に対応させることにより、画面の最も左を最低位ビット(LSB)、画面の最も右を最高位ビット(MSB)とする2進5桁の数を形成した。そして、LSBから4桁目までを一連のシーケンスの順序を表すことに用い、MSBは誤り訂正用の偶数パリティビットとしてある。ここで、MSBに奇数パリティビットを使用してもよい。
【0046】
音声信号は、それぞれのパターン映像のビットの割り当てと同じとし、その波形は図2に対応するパターン映像と対にして示した。このようにすることにより、音声信号は、前記映像信号の最初のタイミングと同期し、かつ、音声信号データは、映像信号のシーケンス番号に対応したシリアルデータで構成されることになる。
【0047】
従って、LSBから4桁までの2進数を10進数で表した数がフレームまたはフィールドのシーケンス番号となる。例えば、フレームまたはフィールドのシーケンス番号2の場合(SEQ02)、シーケンス番号2は、10010という2進5桁の数で表され、画面では図2のSEQ02に示されるように左から黒白黒黒白の縦縞のパターン映像となる。同様にして、図2のように、SEQ00からSEQ13までのパターン映像とそれに対応する音声波形とがつくられる。
【0048】
図3に、一例として、基準信号発生手段4がシーケンス管理部2からシーケンス番号01(SEQ01)の出力を受信し、インターレースで走査する場合、1フレームが2フィールドで構成され、そのうちの1フィールド目のパターン映像の画面を示す。同図中、太枠で囲まれた部分(F1)が有効走査区間であり、縦に5分割され、左から白黒黒黒白で走査され、また、▽のタイミングを映像信号の開始点とした。
【0049】
(信号発生装置の動作)
次に、本実施形態にかかる信号発生装置1の動作について、図1を参照して、説明する。まず、測定用映像信号と測定用音声信号とを同期させる基準信号が基準信号発生手段3から出力され、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41および音声サンプリング周波数発生部51に入力される。
【0050】
次に、この基準信号が映像信号発生手段4において、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41に入力され、発生した水平カウンタおよび垂直カウンタが映像データ読み出し部42に入力される。映像データ読み出し部42は、シーケンス管理部2からパターン映像のシーケンス番号を読み取り、水平カウンタ・垂直カウンタ発生部41から出力される水平カウンタおよび垂直カウンタに基づいて水平同期信号および垂直同期信号、輝度および色度を含むデジタル映像データを出力する。D/Aコンバータ43は、このデジタル映像データを受信し、測定用映像信号としてアナログ出力する。
【0051】
一方、音声発生手段5では、基準信号発生手段3のサンプリングクロックを音声サンプリング周波数発生部51の分周器により分周して、その信号はサンプリング周波数(Fs)で音声データ読み出し部52に入力される。次に、音声信号データ読み出し部52が、シーケンス管理部2から送られてくるパターン映像のシーケンス番号を読み取り、対応する音声波形の音声データを作成し、デジタル音声データを出力する。オーディオD/Aコンバータ53はこのデジタル音声データを受信し、測定用音声信号としてアナログ出力する。
【0052】
[パターン映像および音声波形の発生方法の例]
次に、図4を参照して、パターン映像および音声波形の発生方法の例について説明する。図4は、信号発生装置1から、図2に示された測定用映像信号および測定用音声信号を適宜選択して発生させる方法について、フローチャートで例示したものである。
【0053】
まず、操作者が図示していない入力手段を介してシーケンス管理部2に対して、シーケンスの繰り返し回数等を含んだ測定開始指令を入力する(ステップS21)。
【0054】
シーケンス管理部2から、映像データ読み出し部42および音声データ読み出し部52に対し、伝送時間差測定開始を意味する特定のシーケンス番号を、測定開始の信号(測定開始信号)として、所定回数回繰り返して発生する(ステップS22)。ここでは、伝送時間差測定開始は、SEQ11とSEQ13とを対応させ、それらを交互に所定回数繰り返して出力するものとする。こうして、SEQ11およびSEQ13のシーケンス番号に対応した測定用映像信号および測定用音声信号が信号発生装置1から交互に所定回数繰り返されて出力される。
【0055】
次に、シーケンス管理部2から、一連の測定用映像SEQ00〜SEQ07のパターン映像のシーケンス番号を、測定用の信号として(測定用信号)、順次、映像信号発生手段4および音声信号発生手段5に対して発生する(ステップS23)。これにより、SEQ00〜SEQ07のシーケンス番号に対応した測定用映像信号および測定用音声信号が信号発生装置1から順次出力される。
【0056】
そして、シーケンス管理部2において、一連の測定用映像信号EQ00〜SEQ07のパターン映像のシーケンス番号の出力の繰り返し回数が所定の回数になったかどうか、すなわちそれらの出力を継続するかどうかを判定し(ステップS24)、所定の繰り返し回数に達していない場合(ステップS24のNo)は、ステップ23に戻って、SEQ00〜SEQ07のシーケンス番号を出力する。一方、SEQ00〜SEQ07のパターン映像のシーケンス番号の出力の繰り返し回数が所定の繰り返し回数に達した場合(ステップS24のYes)は、測定終了信号発生ステップ(ステップS25)へ進む。こうして、SEQ00〜SEQ07のシーケンス番号に対応した測定用映像信号および測定用音声信号が信号発生装置1から順次所定回数繰り返し出力される。
【0057】
シーケンス管理部2から、映像データ読み出し部42および音声データ読み出し部52に対し、伝送時間差測定終了を意味する所定のパターン映像のシーケンス番号を所定回数出力して、測定終了信号を発生し、(ステップS25)、測定を終了する。ここでは、伝送時間差測定終了にSEQ10を対応させてあり、このシーケンス番号に対応した測定用映像信号および測定用音声信号が信号発生装置1から所定回数出力される。
【0058】
前記パターン映像発生方法において、1つのシーケンス番号に対して伝送時間差を測定するためには、理論上は1フレームだけパターン映像を出力すれば十分であるが、再撮像の場合も考慮して、実用的には、4フレーム(所要時間約133mS)繰り返してパターン映像を出力する。もちろん、この繰り返し回数は、信号の状態によって適宜増減することが可能である。
【0059】
(信号解析装置の構成)
次に、図5を参照して、信号解析装置の構成について説明する。図5は、本発明における映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置の構成を示したブロック図である。信号解析装置6は、テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で白信号、もしくは黒信号で走査して得られるパターン映像となる測定用映像信号と、この測定用映像信号に同期して前記パターン映像に対応した音声波形をもつ測定用音声信号とが伝送路を通過することで生じる伝送時間差を解析する装置である。図5に示すように、信号解析装置6は、映像信号受信手段7と、音声信号受信手段8と、タイミング発生手段9と、映像データ解析手段70と、音声データ検出手段81と、演算処理手段90と、映像分析手段75と、計測値表示手段91と、遅延量制御手段92と、から構成されている。
【0060】
映像信号受信手段7は、測定用映像信号を受信するもので、受信後、それを映像データ解析手段70および映像分析手段75に出力する。音声信号受信手段8は、測定用音声信号を受信し、音声データ検出手段81に出力するものである。ここで、映像信号受信手段7および音声信号受信手段8は、受信したそれぞれの測定用映像信号および測定用音声信号の信号状態に合わせて、増幅器、低域通過フィルタ、広域通過フィルタ、帯域通過フィルタ等を適宜組み合わせたものを使用することで、信号レベルを調整し、信号解析に影響を与えるノイズを効率的に除去することができる。
【0061】
タイミング発生手段9は、映像データ解析手段70および音声データ検出手段81に、それぞれ測定用映像信号および測定用音声信号の受信タイミング信号を与えるものである。タイミング発生手段9は、基準信号発生手段3(図1参照)と同様に一般的な発信器等から構成される。
【0062】
映像データ解析手段70は、受信タイミング情報および測定用映像信号を受信し、フレームまたはフィールドの先頭を特定する映像タイミング情報を演算処理手段90に出力するものである。ここで、映像データ解析手段70は、映像データ検出手段71および映像データ分析手段72から構成されている。なお、入力された映像タイミング情報には、画角と輝度とに関する情報があり、画角に関する情報から画面のパターン映像の縦と横の比率あるいは映像の歪みを検出し、輝度に関する情報から各区間の白もしくは黒のパターンを検出する。
【0063】
映像データ検出手段71は、映像信号受信手段7および映像分析手段75から、それぞれ測定用映像信号および映像情報を受信し、複数のパターン映像に対応する測定用映像信号から各フレームまたはフィールドの映像データを検出し、各パターン映像のシーケンス番号および受信タイミングを映像データ分析手段72へ出力するとともに、測定開始および測定終了の受信タイミングを演算処理手段90に出力する。
【0064】
映像データ分析手段72は、受信した各パターン映像のシーケンス番号および受信タイミングを分析して映像タイミング情報を演算処理手段90に出力する。
【0065】
映像分析手段75は、受信した測定用映像信号を分析し、少なくとも輝度および画角を含む映像情報を映像データ検出手段71に出力するものである。ここでは、受信した映像信号が、再撮像により画像劣化を伴う場合に主として用いられるものである。
【0066】
音声データ検出手段81は、測定用音声信号および受信タイミング信号を受信し、音声波形を特定する音声タイミング情報を検出し、演算処理手段90に出力するものである。
【0067】
演算処理手段90は、映像タイミング情報、音声タイミング情報および測定開始および測定終了の受信タイミングを受信し、これらに所定の信号解析の処理をして伝送時間差を計算するものである。なお、この演算処理手段90での伝送時間差を計算するプロセスについては、後記する。
【0068】
計測値表示手段91は、伝送時間差の値とその単位とを外部のディスプレイ、例えば液晶素子やLED素子に表示するためのインターフェースで構成される。これによって、視覚的に遅延量を見ることができる。また、遅延量制御手段92は、外部の伝送時間遅延装置を遠隔制御するためのインターフェースで構成されている。これによって、例えば、放送局側の既存の音声遅延装置が自動調整できる。
【0069】
(信号解析装置の動作)
次に、本発明にかかる信号解析装置6の動作について、図5を参照して、説明する。まず、測定用映像信号および測定用音声信号の基準信号である受信タイミング信号がタイミング発生手段9により、映像データ検出手段71および音声データ検出手段81に入力される。
【0070】
次に、測定用映像信号および測定用音声信号(図1参照)が、それぞれ、直接あるいは伝送路を経由して、映像信号受信手段7と音声信号受信手段8に入力される。そして、映像信号受信手段7で受信された測定用映像信号は、映像データ検出手段71および映像分析手段75に入力される。また、音声信号受信手段8で受信された測定用音声信号は、音声データ検出手段81に入力される。
【0071】
まず、映像データ検出手段71では、受信した受信タイミング信号および測定用映像信号に基づいて、入力された測定用映像信号から映像シーケンスを読み出し、映像シーケンス番号、測定開始および測定終了のシーケンス番号を検出する。そして、映像シーケンス番号および受信タイミングが映像データ分析手段72に入力され、測定開始および測定終了の受信タイミングが演算処理手段90に入力される。
【0072】
また、映像信号受信手段7で受信した測定用映像信号が、再撮像により画像劣化を伴う場合には、映像分析手段75が、測定開始と、輝度と、画角と、シーケンス番号検出のためのサンプリングポイントと、を検出し、さらに、再撮像の画角変化等を解析・検出して、これらの情報が映像情報として映像データ検出手段71に入力される。
【0073】
次に、映像データ分析手段72では、映像データ検出手段71から入力された映像データに基づき、複数回繰り返し検出された映像シーケンス番号と受信タイミングを分析し、当該シーケンスの先頭映像の受信タイミングを、図6に示される受信タイミング決定プロセスにより、決定する。(図6の受信タイミング決定プロセスの詳細については、後記する)。そして、モニタの残像特性などを考慮して複数回繰り返し検出された映像シーケンス番号の先頭フレームまたはフィールドを決定するためのデータを作成し、受信タイミングとともに映像タイミング情報として演算処理手段90に入力される。
【0074】
一方、音声データ検出手段81は、受信した受信タイミング信号および測定用音声信号に基づいて、音声シーケンスを読み出して音声シーケンス番号を検出して、受信タイミングを図6に示される受信タイミング決定プロセスにより決定する。(図6の受信タイミング決定プロセスの詳細については、後記する)。そして、音声シーケンス番号と音声タイミングを含む音声タイミング情報が、演算処理手段90に入力される。
【0075】
演算処理手段90は、受信した映像情報、映像タイミング情報および音声タイミング情報に基づき、パターン映像の先頭フレームまたはフィールドを決定し、測定用映像信号と測定用音声信号の伝送時間差を、図7の伝送時間差計算プロセスにより計算する。(図7の伝送時間差計算プロセスの詳細については、後記する)。この結果は、計測値表示手段91から外部にディスプレイされるとともに、遅延量測定手段92から自動調整機能を有する外部の伝送時間遅延装置に対して計測結果を送出する。
【0076】
[受信タイミング決定プロセスの一例]
次に、図6を参照(適宜、図5も参照)して、受信タイミング決定プロセスについて説明する。図6は、受信タイミング決定プロセスの一例を示すフローチャートである。ここで、映像データ分析手段72における受信タイミングの決定および音声データ検出手段81における音声シーケンス受信タイミングの決定は、同じプロセスによって実行できることを利用しているため、全体のプロセスが簡略化された。また、図6およびその説明において、映像シーケンスまたは音声シーケンスを単にシーケンス、映像シーケンス番号または音声シーケンス番号を単にシーケンス番号、そして映像または音声の受信タイミングを単に受信タイミングと記述することとする。
【0077】
まず、映像データ分析手段72で映像シーケンスを読み取り、そして、音声データ検出手段81で音声シーケンスを読み取る(ステップS61)。
【0078】
次に、読み取った各々のシーケンスから各々のシーケンス番号と受信タイミングとを検出する(ステップS62)。
【0079】
次に、各々のシーケンス番号と受信タイミングの測定値に不備がないどうかを確認する(ステップS63)。ここで、検出された各々のシーケンス番号と受信タイミングが、ノイズ等により誤りを含んでいないこと、かつ、検出された各々のシーケンス番号が、信号発生器で出力した各々のシーケンス番号、すなわち、SEQ11、13、00から07および10のいずれかひとつの番号であるとき、各々のシーケンスのデータには、不備がないと判断し(ステップS63のYesの場合)、次のステップへ進み、不備があると判断されたとき(ステップS63のNoの場合)、ステップS61に戻り、次のシーケンスを読み取る。
【0080】
各々のシーケンス番号毎に、同じシーケンス番号の受信タイミングをすべて拾い出し、それらの平均値と分散を計算する(ステップS64)。
【0081】
各々のシーケンス番号で、該当する受信タイミングをすべて読み出し、そのすべてがそのシーケンス番号に属する受信タイミングの分散が許容範囲に入っていれば(ステップS65のYesの場合)、次のステップへ進み、外れていれば(ステップS65のNoの場合)、バラツキの大きな受信タイミングをすべて除外して(ステップS68)、ステップS64に戻る。
【0082】
次に、すべてのシーケンス番号に対し、対応する受信タイミングを参照し、欠落している、あるいは他のシーケンス番号に対応する受信タイミングの検出数に比べて著しく多い、あるいは、少ないといったことがあれば(ステップS66のNoの場合)、測定異常の表示をして(ステップS69)、測定終了する。そうではない場合(ステップS66のYesの場合)、測定は正常と判断し、次のステップに進む。
【0083】
各々のシーケンス番号毎に、対応する受信タイミングをすべて取り出し、それらの平均を再計算し(ステップS67)、終了する。このようにすることにより、映像シーケンスおよび音声シーケンスのそれぞれのシーケンス番号に対応する受信タイミングが、該当する平均値として、決定される。
【0084】
[伝送時間差計算プロセスの一例]
次に、図7を参照(適宜、図5も参照)して、演算処理手段90における伝送時間差の決定プロセスについて説明する。図7は伝送時間差の決定プロセスの一例を示す。
【0085】
まず、演算処理手段90が、映像データ検出手段71から映像データを受信し(ステップS91)、さらに映像データ分析手段72から映像タイミング情報を受信する(ステップS92)。
【0086】
また、演算処理手段90が、音声データ検出手段81から音声タイミング情報を受信する(ステップS93)。
【0087】
次に、演算処理手段90は、複数サイクル繰り返された各シーケンスの映像のシーケンス番号と受信タイミングの分散伏況に応じたデータ処理を施して、映像の受信タイミングを決定する(ステップS94)。ここで、データ処理とは、かけ離れたデータを不採用とし、有効なデータの平均値をとる等の統計的処理をすることであり、こうすることで、精度の高いデータを得ることができる。
【0088】
一方、演算処理手段90は、複数回繰り返された各シーケンスの音声のシーケンス番号と受信タイミングの分散状況に応じたデータ処理を施して、音声の受信タイミングを決定する(ステップS95)。なお、ここでも、ステップS94と同様に、かけ離れたデータを不採用とし、有効なデータの平均値をとる等の統計的処理が、精度の高いデータを得ることに大きく寄与することはいうまでもない。
【0089】
演算処理手段90において、映像受信タイミングと音声受信タイミングの差を演算し、伝送時間差を計算する(ステップS96)。その後、計測値表示手段91により、伝送時間差を液晶表示素子、LED等適当な表示素子を用いてディスプレイする(ステップS97)。そして、この伝送時間差を補正するために、遅延量制御手段92を用いて、外部の伝送時間遅延装置を遠隔制御する(ステップS98)。
【0090】
なお、図6および図7におけるプロセスは本発明の一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、その他様々な統計的処理を採用してもよい。
【0091】
また、本発明にかかる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法は、上記に加え、以下に示すような実施の形態もあり、いずれも優れた特性を発揮している。
【0092】
この映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置は、NTSC(National Television System Committee)方式のテレビジョンの映像・音声信号としては平易な信号構成をするパターン映像とそれに同期した音声信号を用い、いかなる伝送路においてでも、それらの伝送時間差を測定することができる。こうすることで、従来の測定・調整作業に対する準備段階も含めたきわめて非効率的な作業に比べて、本発明の信号発生装置および信号解析装置は、送信側では、ボタンひとつでパターン映像とそれに同期した音声信号を発信し、受信側では自動的に伝送時間差を測定することができる。従って、一箇所の受信拠点が複数の回線を扱う場合に、効率的な伝送時間差の測定を求められている現状においては、本発明の信号発生装置および信号解析装置を用いることで作業の効率化・安定化を図ることができる。
【0093】
また、伝送時間差の測定結果について定量的な数値を算出することができるので、長期にわたって使用する伝送路に対してその伝送時間差を継続的に測定することで、伝送路の信頼性の判断にも用いることができる。
【0094】
再撮像における伝送時間差の測定は、大規模番組などのシステムで、個々の伝送時間差ではなく全体的なシステムの伝送時間差を測定する際に有効な手段である。通常、ストロボ発光器で行っていた再撮像手法の結果は、受信側での人間による測定であり、誤差がありばらつきが大きいのに対して、映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法は、定量的で正確かつ再現性のある測定結果を簡便に得ることを可能にするものである。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明にかかる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置およびその方法、並びに信号解析装置およびその方法は、以下に示すように優れた効果を奏する。
【0096】
請求項1の本発明にかかる信号発生装置によれば、映像信号発生手段が測定用映像信号として、例えば、テレビジョン信号の有効走査区間を縦方向に複数に分割し、各分割区間内で白信号、もしくは黒信号で走査して得られる白黒の縦縞パターン映像のような非常に単純な画像を映像・音声伝送時間差測定用の映像信号として出力することが可能になる。これにより、出力側の信号発生装置の構成が単純化され、さらに、その後の信号解析も容易にかつ正確になり、短時間で伝送時間差が正確に測定できるという効果が認められる。また、ここで発生する映像・音声信号は伝送路を通過させてから、通常のテレビの映像・音声端子に接続することで、伝送時間差を、実際に、目と耳で体感することができるという効果もあげられる。
【0097】
請求項2の本発明にかかる信号発生装置によれば、測定用映像信号として複数のパターン映像とそれに対応し、かつ、同期した音声波形をもつ測定用音声信号とを一緒に順次繰り返し発生することが可能になるため、従来のように、単発的あるいは手動で測定用映像信号および音声信号を発生する必要がなくなり、効率的な伝送時間差測定作業が可能となるという著しい効果がある。
【0098】
請求項3の本発明にかかる信号発生装置によれば、複数のパターン映像となる測定用映像信号を、それぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて繰り返し発生させた信号を、さらに組み合わせて発生することができる。また、測定用音声信号は、測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形として出力される。従って、映像・音声信号が伝送路を通過したとき各信号に誤差が発生する場合、および再撮像により発生する画角の誤差がある場合、このように発生させるパターン映像およびそれと同期する音声波形の種類とその繰り返し方とを、映像・音声信号の取り扱われる状況にあわせて、適宜選択できるようにしてあるため、前記誤差をデータ処理により除去して、正確に信号解析することができるという効果がある。
【0099】
請求項4にかかる本発明の信号発生方法においては、測定用映像信号として、複数のパターン映像をそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせて順次繰り返し発生し、一連のシーケンス番号で制御可能な映像シーケンスとして出力することが可能になる。従って、一連のシーケンス番号で制御可能な測定用映像信号とそれに対応し、かつ、同期した音声波形をもつ測定用音声信号を発生することが可能になるため、映像・音声データにその時系列的情報を付加する必要がなくなる。また、ここで、伝送時間差計測開始および伝送時間差計測完了信号を予め測定用映像信号および測定用音声信号に割り当てておくことも可能なため、通常よく行われるトリガ・パルスを発生させるための装置も不要となるなどの効果もある。
【0100】
請求項5にかかる本発明の信号解析装置は、前記の信号発生装置および前記の信号発生方法により発生した測定用映像信号および測定用音声信号を本信号解析装置に直接ないし伝送路を通過させてから入力することにより、特に、再撮像時に問題となる撮像サイズおよび画角ならびに輝度などに不確定要素が大きい信号が入力されても、自動的に伝送時間差を正確に解析することが可能となるという大きな効果が認められる。このことにより、実際の放送局の番組収録時での音声遅延装置における伝送時間差を自動調整できるようになるという著しい効果がある。
【0101】
請求項6にかかる本発明の信号解析装置では、音声信号はそのままで、映像信号を表示したディスプレイを撮影機で撮像すなわち再撮像して出力される映像信号が受信機に送られる場合に映像信号が伝送に伴って劣化しても、それらを分析することが可能となるため、種々の伝送特性をもった経路を通過して、歪んだり、ノイズが増えたりして劣化した映像・音声信号の伝送時間差測定が可能になるという大きな効果がある。
【0102】
請求項7にかかる本発明の信号解析装置では、特に、再撮像の映像信号の場合、複数のパターン映像を構成することではじめのパターン映像で撮像サイズや画角、輝度が一定ではないという不確定要素を検出し、正確に解析することが可能となる。このこと により、放送現場でやむをえず再撮像を用いなければならないような状況でも、迅速にかつ正確に映像・音声伝送時間差を測定できるという実用上大きな効果がある。
【0103】
請求項8にかかる本発明の解析法方法では、異なる映像パターンのそれぞれに対して伝送時間差が測定できるだけでなく、繰り返し測定により平均化などの演算処理を加えることで測定精度を上げることが可能になる。このことにより、測定結果の妥当性を含めて、映像・音声伝送時間差の正確な評価とそれを補正するための装置の制御が可能になるという大きな効果が生まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる信号発生装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる信号発生装置で用いられるシーケンス番号で関係付けられたパターン映像を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる映像信号のフィールドを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる測定用映像信号および測定用音声信号を適宜選択して発生させる方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態にかかる信号解析装置の全体構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる受信タイミング決定プロセスを示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態にかかる伝送時間差計算プロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 ……信号発生装置
2 ……シーケンス管理部
3 ……基準信号発生手段(サンプリングクロック発生部)
4 ……映像信号発生手段
41……水平カウンタ・垂直カウンタ発生部
42……映像データ読み出し部
43……D/Aコンバータ
5 ……音声信号発生手段
51……音声サンプリング周波数発生部
52……音声データ読み出し部
53……オーディオD/Aコンバータ
6 ……信号解析装置
7 ……映像信号受信手段
70……映像データ解析手段
71……映像データ検出手段
72……映像データ分析手段
75……映像分析手段
8 ……音声信号受信手段
81……音声データ検出手段
90……演算処理手段
91……計測値表示手段
92……遅延量制御手段
Claims (8)
- テレビジョン信号で用いる映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置であって、
前記測定用映像信号と前記測定用音声信号とを同期させるための基準となる基準信号を発生させる基準信号発生手段と、
前記基準信号に基づいて前記テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる前記測定用映像信号を発生させる映像信号発生手段と、
前記測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させる音声信号発生手段と、
を備えていることを特徴とする映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置。 - 前記映像信号発生手段は、前記基準信号に基づいて複数のパターン映像となる測定用映像信号をそれぞれ単独でまたはそれらを組み合わせた繰り返し信号を順次発生させ、前記音声信号発生手段は、前記測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させることを特徴とする請求項1に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置。
- 前記映像信号発生手段は、前記繰り返し信号を複数組み合わせて発生させ、前記音声信号発生手段は、前記測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させることを特徴とする請求項2に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号発生装置。
- テレビジョン信号で用いる映像信号と音声信号とが伝送路を通過したときに発生する伝送時間差を測定するための測定用映像信号および測定用音声信号を発生させる映像・音声伝送時間差測定用の信号発生方法であって、
前記測定用映像信号と前記測定用音声信号とを同期させるための基準となる基準信号を発生させる基準信号発生ステップと、
前記基準信号に基づいて前記テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる前記測定用映像信号を発生させる映像信号発生ステップと、
前記測定用映像信号に同期して、前記パターン映像に対応した音声波形を前記測定用音声信号として発生させる音声信号発生ステップと、
を含むことを特徴とする映像・音声伝送時間差測定用の信号発生方法。 - テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数の分割区間とし、各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる測定用映像信号と、この測定用映像信号に同期して前記パターン映像に対応した音声波形をもつ測定用音声信号とが伝送路を通過することで生じる伝送時間差を解析するための信号解析装置であって、
前記測定用映像信号を受信する映像信号受信手段と、
前記測定用音声信号を受信する音声信号受信手段と、
前記測定用映像信号および前記測定用音声信号の基準信号となる受信タイミング信号を発生するタイミング発生手段と、
前記受信タイミング信号に基づいて、前記測定用映像信号からフレームまたはフィールドの位置を特定する映像タイミング情報を生成する映像データ解析手段と、
前記測定用音声信号および前記受信タイミング信号に基づいて、音声波形を特定する音声タイミング情報を検出する音声データ検出手段と、
前記映像タイミング情報および前記音声タイミング情報に基づいて、前記伝送時間差を算出する演算処理手段と、
を備えていることを特徴とする映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置。 - 前記映像データ解析手段は、受信した複数の前記パターン映像に対応する前記測定用映像信号から各フレームまたはフィールドの映像データを検出する映像データ検出手段と、前記映像データを分析して前記映像タイミング情報を出力する映像データ分析手段とを備えることを特徴とする請求項5に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置。
- 前記測定用映像信号を分析し、少なくとも輝度および画角を含む映像情報を出力する映像分析手段を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の映像・音声伝送時間差測定用の信号解析装置。
- テレビジョン信号の有効走査区間を予め定めた数に分割し各分割区間で異なる信号で走査して得られるパターン映像となる測定用映像信号と、この測定用映像信号に同期して前記パターン映像に対応した音声波形をもつ測定用音声信号とを伝送路を通過させ、これらの伝送時間差を解析するための信号解析方法であって、
前記測定用映像信号および前記測定用音声信号の基準信号となる受信タイミング信号を発生するタイミング発生ステップと、
前記受信タイミング信号に基づいて、前記測定用映像信号および前記測定用音声信号を受信する信号受信ステップと、
前記受信タイミング信号に基づいて、前記測定用映像信号からフレームまたはフィールドの位置を特定する映像タイミング情報を生成する映像データ解析ステップと、
前記測定用音声信号および前記受信タイミング信号に基づいて、音声波形を特定する音声タイミング情報を検出する音声データ検出ステップと、
前記映像タイミング情報および前記音声タイミング情報に基づいて、前記伝送時間差を算出する演算処理ステップと、
を備えていることを特徴とする映像・音声伝送時間差測定用の信号解析方法。
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