JP2004241198A - 燃料電池スタック及び燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】スタック間の圧力変化にバラツキが少なく、また効率的に熱エネルギー及び電気エネルギーを回収することが可能な燃料電池スタック及び燃料電池システムを提供する。
【解決手段】燃料電池スタックは、略同一平面上に配設される、高分子膜と電極の接合体群と、前記接合体群のそれぞれの電極を支持する電極支持体群と、前記電極支持体群の、高分子膜を挟んだ一方の側の電極支持体を介して前記接合体に水素を供給する水素供給手段と、他方の側の電極支持体を介して前記接合体に酸素を供給する酸素供給手段と、を有する。
【選択図】 図3
【解決手段】燃料電池スタックは、略同一平面上に配設される、高分子膜と電極の接合体群と、前記接合体群のそれぞれの電極を支持する電極支持体群と、前記電極支持体群の、高分子膜を挟んだ一方の側の電極支持体を介して前記接合体に水素を供給する水素供給手段と、他方の側の電極支持体を介して前記接合体に酸素を供給する酸素供給手段と、を有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素と酸素から電力を取り出す燃料電池スタック及びその燃料電池を用いた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素と酸素から水を生成する反応を利用して電気を生成する、いわゆる燃料電池が提案され、各種研究開発が行われている。燃料電池を構成する1つの燃料電池セルにおいて、反応により生じる水素電極と酸素電極間の電位差は、通常1V弱程度である。したがって、実用上は複数の燃料電池セルを積層して直列に接続することにより燃料電池スタックを構成し、電圧を所望のレベルに調整して用いられる。このような燃料電池を開示している先行技術文献としては、以下のようなものが挙げられる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−6715 (図1)
【0004】
特許文献1は、電極と高分子膜の接合体からそれぞれ構成される複数の燃料電池セルが積層方向積層されて構成された燃料電池スタックを開示している。特許文献1では、各燃料電池セルの各部材にボルトが挿通される貫通孔が形成されており、ボルトにより締め付けることによって各燃料電池セル間及び燃料電池セル内の各層間の密着を保つように構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料電池スタックを家庭用電源として交流200V連系に必要な電圧を確保するためには、282V以上望ましくは350V程度の直流電圧を得る必要がある。特許文献1において、このような電圧を得るためには、400〜500セル以上の積層が必要となる。このように膨大な数のセルが積層方向に積層されたスタックをボルトにより共締めすると、スタック全体の温度が変化したときに、共締め用のボルト、電極部材および各セルを仕切るセパレータの温度膨張係数の差異により、スタック間及び層間の圧力変化が顕著になってしまう。これにより、共締め初期に想定されたシール用の締め付け圧力及び各層間の電気的接触に適した圧力で各層間を締め付けることができないという問題がある。
【0006】
また、層の数が膨大であるため、セパレータ自身に歪みがあると各セルを均一に締め付けることができない。したがって、燃料電池の各セル間の発電能力に大きなバラツキが生じやすくなってしまい、既定の出力が得られないおそれがある。
【0007】
また、各セル間に配置されるセパレータは、導電性を有している必要があるため、セパレータ用素材のコストが上昇してしまい、燃料電池スタックのコストが高くなってしまう。また、セパレータが導電性であるため、安全面及び漏電を考慮して、セパレータを外界から絶縁しなければならず、コストアップの要因となる。
【0008】
また、特許文献1の燃料電池スタックは、多数のセルを積層方向に積層しているため、スタック表面からの放熱量が少なく、熱が内部にこもってしまい、セル内部で不均一な温度分布が生じてしまう。このような温度分布は、セル内での発電能力にバラツキが生じ、高分子膜での発電効率が低下してしまう。
【0009】
本発明は、上記諸問題に鑑みてなされものであり、燃料電池セル間の圧力変化にバラツキが少なく、また効率的に熱エネルギー及び電気エネルギーを回収することが可能な燃料電池スタック及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1記載の燃料電池スタックは、略同一平面上に配設される、高分子膜と電極の接合体群と、前記接合体群のそれぞれの電極を支持する電極支持体群と、前記電極支持体群の、高分子膜を挟んだ一方の側の電極支持体を介して前記接合体に水素を供給する水素供給手段と、他方の側の電極支持体を介して前記接合体に酸素を供給する酸素供給手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項1記載の燃料電池スタックによれば、高分子膜と電極の接合体群は、略同一平面上に配設されており、電極支持体を介して接合体に供給される水素及び酸素をもとに発電を行う。したがって、接合体を積層方向に積層することなく燃料電池スタックを構成することができ、多数の燃料電池セルを並べる場合であっても、積層方向に積層される層(部材)の数が少なくてすむ。よって、共締め初期に想定されたシール用の締め付け圧力及び各層間の電気的接触に適した圧力で各層間を共締めすることが可能となり、常に安定した性能を引き出すことが可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項1記載の燃料電池スタックによれば、積層される層の数を少なくすることができるので、発熱する電極表面からスタック表面までの距離を短くすることが可能となる。したがって、熱が内部にこもることなく、効率的且つ安定的な発電及び放熱を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の請求項2記載の燃料電池スタックは、請求項1記載の燃料電池スタックであって、前記接合体が、1枚の高分子膜に複数の電極が貼付されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2記載の燃料電池スタックによれば、1枚の高分子膜に複数の電極が貼付されているので、容易に接合体群を略同一平面上に配設することが可能となる。また、部品点数が減少するので、容易に接合体を組み付けることが可能となり、組み付け作業効率が向上する。
【0015】
本発明の請求項3記載の燃料電池スタックは、請求項1または2記載の燃料電池スタックであって、前記水素供給手段及び酸素供給手段のそれぞれは、前記電極の大きさに合わせて一方向に並行した複数の長孔を有する流路形成板と、前記長孔に対して垂直方向に並行し、その一部が外部と連通している複数の長溝を有する支持体と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項3記載の燃料電池スタックによれば、水素及び酸素は、流路形成板に形成された複数の長孔を介して水素及び酸素を一方向に供給し、支持体に形成された複数の長溝を介して長孔に対し垂直方向に供給される。したがって、それぞれ一方向に形成された長溝または長孔を有する2種の構造物を重ね合わせるだけで、燃料電池スタック内の多方向に水素及び酸素を効率的に流し、安定して電極に水素及び酸素を供給することができる。
【0017】
本発明の請求項4記載の燃料電池スタックは、請求項3記載の燃料電池スタックであって、前記支持体が、絶縁体であることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項4記載の燃料電池スタックによれば、支持体の上下に積層方向に電気を通す必要がないので、前記支持体が導電性である必要がない。また、支持体が絶縁体であることにより、略同一平面上に隣接する電極同士がショートするおそれがない。また、支持体により燃料電池スタックの内部と外部が絶縁されるため、燃料電池スタックの外部に漏電することがない。したがって、燃料電池スタックの配置場所等に特に制限を設けることなく、安全に燃料電池スタックを利用することが可能となる。また、従来の燃料電池スタックのように高価な導電性の素材を使用する必要がないため、コストダウンを図ることも可能でなる。
【0019】
本発明の請求項5記載の燃料電池スタックは、請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池スタックであって、前記電極支持体の周囲に、シール部材を配設したことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項5記載の燃料電池スタックによれば、前記電極支持体の周囲に配設されたシール部材により燃料電池スタックの密閉性を高めることができる。これにより、内部から水素及び酸素の漏れのない、また外部から内部にゴミ等の異物、空気、水分等が侵入することのない燃料電池スタックを提供することが可能となる。
【0021】
本発明の請求項6記載の燃料電池スタックは、請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池スタックであって、系統連系電圧のピーク電圧の1.1倍〜1.5倍の直流電圧を出力することを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項6記載の燃料電池スタックによれば、系統連系電圧のピーク電圧の1.1倍〜1.5倍の直流電圧を出力するので、昇圧回路等を介して昇圧することなく、後段に接続されたコンバータを用いて直流を交流に変換することにより、系統連系に必要な電圧を系統に出力することが可能となる。
【0023】
本発明の請求項7記載の燃料電池システムは、請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを内部に収容する貯湯槽、前記貯湯槽に一定の水が貯留されるように給水する給水手段と、前記貯湯槽内に貯留された温水を前記貯湯槽外へ取り出す給湯手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項7記載の燃料電池システムによれば、貯湯槽内部に供給された水を燃料電池スタックからの排熱により直接加温することが可能となる。この加温された水(湯)を取り出して利用することにより、発電と同時に発生する熱を効率的に変換し、水を加温するコジェネレーションシステムとしての燃料電池システムを容易に構成することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る燃料電池スタック及び燃料電池システムの実施の形態について説明する。
【0026】
(第1実施形態)
以下、図1乃至図5を参照しながら、本発明に係る第1実施形態の燃料電池スタックを詳細に説明する。図1は、本実施形態の燃料電池スタックの上面図であり、図2は、同燃料電池スタックの側面図であり、図3は、燃料電池スタックの分解斜視図であり、図4は、薄膜電極集積体を示す上面図であり、図5は、薄膜電極集積体の部分拡大図である。
【0027】
本実施形態の燃料電池スタック1は、後述する複数の構成部材が一方向に積層されて構成されたほぼ直方体形状の燃料電池であり(以下、各構成部材が積層される方向を単に「積層方向」と呼ぶ)、この複数の構成部材を貫通する複数の貫通孔101を介してボルト102及びナット103により複数箇所共締めされたものである(図1及び図2参照)。本実施形態の燃料電池スタック1は、電極間の電解質として高分子ポリマーが用いられた高分子固体電解質型燃料電池(PEFC)である。
【0028】
図3に示すように、燃料電池スタック1は、支持体10上に流路形成板20、陰極支持体31,32,33(電極支持体群30)、ゴムパッキン40、薄膜電極集積体50、ゴムパッキン60、陽極支持体71,72,73(電極支持体群70)、流路形成板80、そして支持体90を順に積層した構造を有している。
【0029】
以下、燃料電池スタック1を構成する各部材について順に説明を行う。
【0030】
燃料電池スタック1の積層方向両端に配置された支持体10,90は、平面視ほぼ長方形状を有し、これら支持体10,90間に配置される各種構成部材を狭持し、支持体10,90間の各種機能層を保護する最外壁である。支持体10,90は、絶縁性の素材で構成されており、支持体10,90間の構成部材と外部とを絶縁している。
【0031】
支持体10の内側面には、水素を支持体長手方向に流す流路として機能する溝1,12が並行に形成されている。そして、この溝11の一端は、支持体長手方向の一端面に設けられた流入口13と連通しており、流入口13から水素を溝11に供給可能に構成されている。また、溝12の一端は、支持体長手方向の他端面(流入口13とは反対側)に設けられた排出口14と連通しており、排出口14から水素を排出可能に可能に構成されている。また、支持体10には、溝11及び溝12が形成された領域から外れた位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101aがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通できるように構成されている。
【0032】
一方、支持体90の内側面には、空気を支持体長手方向に流す流路として機能する溝91,92が、支持体10の溝11,12と同様に形成されている。溝91の一端は、支持体長手方向の一端面に設けられた流入口93と連通しており、流入口93から空気を溝91に供給可能に構成されている。また、溝92の一端は、支持体90の長手方向他端面に設けられた排出口94と連通しており、排出口94から空気を排出可能に可能に構成されている。また、支持体90には、溝91及び溝92が形成された領域から外れた位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101gが設けられている。
【0033】
支持体10の内側面上に配置された流路形成板20は、絶縁部材で構成された板状部材である。支持体10及び流路形成板20の各接触面は、鏡面仕上げとされており、支持体10と流路形成板20との間から溝11,12を流れる水素が燃料電池スタック1の外部に漏れないように重ね合わせられている。また、流路形成板20には、支持体10の複数の挿通孔101aに対応した位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101bがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通できるように構成されている。
【0034】
流路形成板20には、それぞれ複数のスリット21からなる複数のスリット群22,23,24が所定間隔おきに形成されている。各スリット群22,23,24を構成するスリット21は、それぞれが支持体10の溝11,12とほぼ直交して交差する長孔に構成されており、支持体10の溝11と溝12とを連通している。また、各スリット群22,23,24を構成するスリット21は、支持体10側とは反対側に配置される陰極支持体31,32,33の略矩形形状に対応した領域に開口している。
各スリット21は、スリット群22,23,24の陰極支持体側が、陰極支持体31,32,33によりそれぞれ覆われている。これにより、支持体10の流入口13から流入した水素が溝11から流路形成板20のスリット21を介して各陰極支持体31,32,33まで流れる。すなわち、支持体10及び流路形成板20は、各陰極支持体31,32,33に水素を供給する水素供給手段を構成している。
【0035】
流路形成板20上に配置された陰極支持体31,32,33は、多孔性の物質で構成されており、スリット21を介して流入する水素を積層方向に通過させる(図4及び図5参照)。これにより、水素は、後述する陰極52a,52b,52cとの界面まで流れる。
本実施形態における水素流路とは、流入口13から流入した水素が溝11からスリット21及び各陰極支持体31,32,33を介して陰極52a,52b,52cとの界面までの流路およびスリット21から溝12を介して排出口14までの流路を指す。
【0036】
また、陰極支持体31,32,33は、導電性の部材であり、この陰極支持体31,32,33に対して流路形成板20と反対側に隣接配置された陰極52a,52b,52cと面接触し、電気的に接続されている。陰極支持体31,32,33は、陰極52a,52b,52c及び流路形成板20と接触する領域から張り出した突起部31a,32a,33aを有しており、後述の燃料電池セル1a,1b,1cにおける陰極端子としてそれぞれ機能し、電気的接続が容易に構成されている。
【0037】
また、支持体90の内側面上に配置された流路形成板80は、流路形成板20と同様に絶縁部材で構成された板状部材である。支持体90及び流路形成板80の各接触面は、鏡面仕上げとされており、支持体90と流路形成板80との間から溝91,92を流れる空気が燃料電池スタック1の外部に漏れないように重ね合わせられている。また、流路形成板80には、支持体90の複数の挿通孔101gに対応した位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101fがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通できるように構成されている。
【0038】
流路形成板80には、複数のスリット81からなる複数のスリット群82,83,84が所定間隔おきに形成されている。各スリット群82,83,84を構成するスリット81は、それぞれ支持体90の溝91,92とほぼ直交して交差しする長孔に構成されており、支持体90の溝91と溝92とを連通している。また、スリット群82,83,84を構成するスリット81は、支持体90とは反対側に配置される陽極支持体71,72,73の略矩形形状に対応した領域に開口している。
各スリット81は、各スリット群82,83,84の陰極支持体側が陽極支持体71,72,73によりそれぞれ覆われている。これにより、支持体90の流入口93から流入した空気が溝91から流路形成板80のスリット81を介して各陽極支持体71,72,73まで流れる。すなわち、支持体90及び流路形成板80は、各陰極支持体41,42,43に空気とともに酸素を供給する酸素供給手段を構成している。
【0039】
流路形成板80上に配置された陽極支持体71,72,73は、多孔性の物質で構成されており、スリット81を介して流入する空気を積層方向に通過させ、後述する陽極53a,53b,53cとの界面まで流す(図4及び図5参照)。
本実施形態における空気流路(酸素流路)は、流入口93から流入した空気が溝91からスリット81及び各陽極支持体71,72,73を介して陽極53a,53b,53cとの界面までの流路およびスリット81から溝92を介して排出口94までの流路を指す。
【0040】
また、陽極支持体71,72,73は、導電性の部材であり、陽極支持体71,72,73に対して流路形成板80と反対側に隣接配置された陽極53a,53b,53cと面接触し、電気的に接続されている。陽極支持体71,72,73は、図1に示すように、陽極53a,53b,53c及び流路形成板80と接触する領域から張り出した突起部71a,72a,73aを有しており、後述の燃料電池セル1a,1b,1cにおける陽極端子として機能し、電気的接続が容易に構成されている。
【0041】
陰極支持体31,32,33と陽極支持体71,72,73との間には、薄膜電極集積体50がゴムパッキン40とゴムパッキン60とに狭持された状態で配置されている。
【0042】
ゴムパッキン40は、シリコンゴム等を素材としてなる弾性部材であり、陰極支持体31,32,33及び流路形成板20上に配置される。ゴムパッキン40は、ボルト102の締結時に、その締結力により挟まれて積層方向に適宜つぶされる。この結果、水素流路が燃料電池スタック1の外界から封止され、気密に保たれる。
ゴムパッキン40には、陰極支持体31,32,33に対応した位置に陰極52a,52b,52cのサイズ及び形状に応じた開口41,42,43がそれぞれ設けられており、後述する陰極52a,52b,52cと陰極支持体31,32,33とがそれぞれ面接触するように構成されている。また、ゴムパッキン40には、流路形成板20の挿通孔101bに対応した位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101cがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通できるように構成している。
【0043】
ゴムパッキン60は、ゴムパッキン40と同様にシリコンゴム等を素材としてなる弾性部材であり、陽極支持体71,72,73及び流路形成板80上に配置される。ゴムパッキン60は、ボルト102の締結時にその締結力により挟まれて積層方向に適宜つぶされる。この結果、空気流路が燃料電池スタック1の外界から封止され、気密に保たれる。
ゴムパッキン60には、陽極支持体71,72,73に対応した位置に陽極53a,53b,53cのサイズ及び形状に応じた開口61,62,63がそれぞれ設けられており、後述する陽極53a,53b,53cと陽極支持体71,72,73とがそれぞれ面接触するようにしている。また、ゴムパッキン60には、流路形成板80の挿通孔101fに対応した位置に、貫通孔101の一部を構成する挿通孔101eが設けられており、ボルト102が挿通されるを挿通できるように構成している。
【0044】
薄膜電極集積体50は、MEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ばれ、図3及び図4に示すように、固体高分子膜51の両面に陰極52a,52b,52c(図3には図示せず)と陽極53a,53b,53cが互いに対応して配置されたものである。陰極52a,52b,52cは、それぞれがゴムパッキン60の開口41,42,43内に位置し、陰極支持体31,32,33にそれぞれ面接触している。同様に、陽極53a,53b,53cは、それぞれがゴムパッキン60の開口62,63,64内に位置し、陽極支持体40,41,42とそれぞれ面接触している。
【0045】
ここで、薄膜電極集積体50は、固体高分子膜51とその両面に対応して配置されて対をなす陰極52a及び陽極53aとからなる接合体、固体高分子膜51とその両面に対応して配置されて対をなす陰極52b及び陽極53bとからなる接合体、ならびに、固体高分子膜51とその両面に対応して配置されて対をなす陰極52c及び陽極53cとからなる接合体が、同一平面上に配設された接合体群である。
本実施形態では、固体高分子膜を共通として、その両面にそれぞれ複数の陰極および陽極を互いに対応して配置させる構造としているが、別々の固体高分子膜にそれぞれ陰極および陽極を設けて構成される複数の接合体を略同一平面上に配設する構造であってもよい。
【0046】
陰極52a,52b,52cは、それぞれ固体高分子膜51上に、スクリーン印刷等により塗布形成されている。陰極52a,52b,52cは、多孔質膜であって、陰極支持体31,32,33を通過した水素を通過させて陰極52a,52b,52cと固体高分子膜51との界面まで通すように構成されている。
【0047】
陰極52a、52b、52cと固体高分子膜51との界面には、図5に示すように、白金,白金合金、白金を含む混合物等からなる触媒110が分散されている。陰極52a,52b,52c内を通ってきた水素は、この界面で触媒110を介して水素イオンと電子に電離する。生成された水素イオンは、固体高分子膜51に、そして電子は、陰極支持体31,32,33にそれぞれ移動する。
【0048】
固体高分子膜51は、パーフルオロスルホン酸系等の高分子電解質ポリマーを素材として構成された薄膜である。陰極52a, 52b,52cとの界面で生成された水素イオンは、固体高分子膜51内を通って、陽極53a,53b,53cとの界面に移動する。
この固体高分子膜51は、隣接する電極間(例えば52aと53b間、52bと53c間)には水素イオンをほとんど伝導することはなく、実質的に隣接する電極間は絶縁されている。
【0049】
陽極53a,53b,53cは、陰極同様に、それぞれ固体高分子膜51上に、スクリーン印刷等により塗布形成されている。陽極53a,53b,53cは、多孔質膜であって、陽極支持体71,72,73を通過した空気(酸素)を通過させて、陽極53a,53b,53cと固体高分子膜51との界面まで酸素を通す。
また、陽極53a,53b,53cには、陽極支持体71,72,73を介して流入した電子が流れ込む。酸素は、この界面にて水素イオンと流れ込んだ電子と共に反応し、水が生成される。
【0050】
ここで、燃料電池スタック中で発電を行うために必要な部材の最小集合体を燃料電池セルであるとする。具体的には、固体高分子膜を介して対向する2つの電極を1つの接合体として、接合体と、その接合体の陰極に水素を供給する水素流路の構成部材と、その接合体の陽極に空気とともに酸素を供給する酸素流路の構成部材とを有して燃料電池セルが構成される。
【0051】
本実施形態では、燃料電池セル1aは、固体高分子膜51とその両面に配置された一対の陰極52a及び陽極53aとからなる接合体(薄膜電極集積体50の一部)と、陰極支持体31と、陽極支持体71と、流路形成板20,80と、支持体10,90とを有して構成される。ここで、固体高分子膜51,流路形成板20,80及び支持体10,90については、陰極52a及び陰極53aの厚さ方向に対応する部位が燃料電池セル1aに対応する。
【0052】
また、燃料電池セル1bは、固体高分子膜51とその両面に配置された一対の陰極52b及び陽極53bとからなる接合体(薄膜電極集積体50の一部)と、陰極支持体32と、陽極支持体72と、流路形成板20,80と、及び支持体10,90とを有して構成される。ここで、固体高分子膜51,流路形成板20,80及び支持体10,90については、陰極52b及び陰極53bの厚さ方向に対応する部位が燃料電池セル1bに対応する。
【0053】
同様に、燃料電池セル1cは、固体高分子膜51とその両面に配置された一対の陰極52c及び陽極53cとからなる接合体(薄膜電極集積体50の一部)と、陰極支持体33と、陽極支持体73と、流路形成板20,80と、支持体10,90とを有して構成される。ここで、固体高分子膜51,流路形成板20,80及び支持体10,90については、陰極52c及び陰極53cの厚さ方向に対応する部位が燃料電池セル1cに対応する。
【0054】
燃料電池セル1a,1b,1cは、図1,図2及び図3に示すように、各構成部材の積層方向と略垂直な平面上に配列された構造、すなわち積層方向と略垂直な一方向に併設された構造となっている。
【0055】
ここで、ボルト102を挿通する複数の貫通孔101は、図1、図2及び図3に示すように各燃料電池セル1a,1b,1cの各領域の四隅に対応して設けられている。ボルト102の締結は、薄膜電極集積体50内部の電気抵抗及び薄膜電極集積体50と陰極支持体31,32,33及び陽極支持体71,72,73との接触部の電気抵抗が適当となるような圧力で行われる。
【0056】
したがって、押しつけ圧力が大きすぎると、薄膜電極集積体50が機械的に破壊されてしまい、また押しつけ圧力が小さすぎると薄膜電極集積体50内部の電気抵抗または接触部の電気抵抗が大きくなってしまうので、出力電圧が低下してしまう。
また、ボルト102の締結は、ゴムパッキン40,60が適当な量つぶれることにより所定の封止能力を発揮できる程度の強さで行う。ここでは、ボルト102のそれぞれの締結力を適宜変更することにより、各燃料電池セル1a,1b,1c毎に圧力調整を行うことができる。
【0057】
また、図1及び図2に示すように、陰極支持体31の突起部31aと陽極支持体72の突起部72a、及び陰極支持体32の突起部72aと陽極支持体73の突起部73aは、それぞれ配線104により電気的に接続されている。このように、隣接するセルの陰極支持体と陽極支持体は、順次外部配線により接続され、各燃料電池セル1a,1b,1cは電気的に直列に接続されている。また、スタック長手方向の両端に位置する突起部71aと33aは、それぞれが配線105により外部に接続され、突起部71aと突起部33a間の電圧が出力される直流電圧として取り出される。
【0058】
本実施形態では、燃料電池セルが3個の場合について説明を行ったが、実際には、用いられる電圧を出力するために必要な個数だけ複数の燃料電池セルを積層方向とは垂直な一方向に配置して用いる。例えば、一つの燃料電池セルが1Vの電圧を生じさせる場合には、家庭用で用いる場合、少なくとも141個または282個以上の燃料電池セルを配置し、100V交流または200V交流を生成することとなる。ここで、好ましくは、燃料電池スタック1は、下流側に接続される系統連系電圧のピーク電圧の1.1倍〜1.5倍の電圧を出力するように構成することが好ましく、また1.25倍であることがさらに好ましい。このような電圧を出力することにより、後段に接続されるD/A変換回路は、昇圧のためのDC/DCコンバータが不要となり、回路構成が簡略化される。ここで、系統連系電圧のピーク電圧とは、商用の100V交流の場合、最大電圧(約141V)を指す。
【0059】
次に、本実施形態の燃料電池スタック1を用いた発電について説明する。
【0060】
まず、水素が流入口13から供給される。供給された水素は、溝11からスリット21を介して溝12に流れる過程で、陰極支持体31,32,33に送られる。陰極支持体31,32,33に達した水素は、陰極支持体31,32,33及び陰極52a,52b,52cを積層方向に通過して、陰極52a,52b,52cと固体高分子膜51との界面まで移動する。そして、陰極52a,52b,52cと固体高分子膜51との界面に分散された触媒110によって電離し、水素イオンと電子に分かれる。
【0061】
上述の水素の流入と同時に、空気が流入口93から供給される。供給された空気は、溝91からスリット81を介して溝92に流れる過程で、陽極支持体71,72,73に送られる。陽極支持体71,72,73に達した空気は、陽極支持体71,72,73及び陽極53a,53b,53cを積層方向に通過して、陽極53a,53b,53cと固体高分子膜51との界面まで移動する。そして、空気中の酸素が、陰極側で生成され電位差(電圧)により陽極支持体71,72,73を介して流入した電子と、陰極側から固体高分子膜を通過して流入した水素イオンと共に反応し、水が生成される。
燃料電池スタック1は、この各燃料電池セル1a,1b,1cでの反応過程において生じる電圧を取り出すことにより発電を行う。
【0062】
以上、本実施形態によれば、複数の燃料電池セル1a,1b,1cを有する燃料電池スタック1は、各燃料電池セル1a,1b,1cの積層方向中央に配設される接合体が略同一平面上に配設された構造となっており、また燃料電池スタック1は、それぞれが燃料電池セル1a,1b,1cの四隅をボルト102及びナット103により適当な圧力で固定されている。
したがって、ボルト102による締結力を各燃料電池セル1a,1b,1c毎に容易に調節することが可能であり、燃料電池セルの性能向上及び封止能力向上のための締結力を容易に最適化することが可能である。特に、数百個以上の燃料電池セルを積層する従来のスタック構造では、千枚程度の層が存在するため各層間の圧力を均一化させることが困難であったが、本実施形態の燃料電池スタックは、たかだか数枚程度の層をボルトにより締結するため、容易に層間の圧力を最適化することが可能である。また、燃料電池スタックの使用による径年変化により、最適な圧力値がスライドしても、締結力を適宜調整することにより、容易に最適な圧力値に変更してやることが可能である。
【0063】
また、本実施形態によれば、1枚の固体高分子膜51に複数の電極が貼付されるので、容易に接合体群を略同一平面上に配設することが可能となる。また、固体高分子膜51を各燃料電池セル1a,1b,1c間で共有することにより、部品点数が減少するので、容易に電極を組み付け接合体を構成することが可能となり、組み付け作業効率が向上する。
【0064】
また、本実施形態によれば、水素及び酸素は、支持体10,90に形成された複数の溝11,12,91,92及び流路形成板20,80に形成された複数のスリット21,81を介して水素及び酸素を陰極支持体31,32,33及び陽極支持体71,72,73にそれぞれ供給される。したがって、燃料電池スタック1内の水素流路及び空気流路(酸素流路)に沿って水素及び酸素を循環させることにより、各電極に円滑に水素及び酸素を供給することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態によれば、支持体10,90及び流路形成板20,80が絶縁体であるため、略同一平面上に隣接する電極同士がショートするおそれがない。また、支持体10,90により燃料電池スタック1の内部と外部が容易に絶縁されるので、燃料電池スタック1の外部に漏電することがない。したがって、燃料電池スタック1の配置場所等に特に制限を設けることなく、安全に燃料電池スタック1を利用することが可能となる。また、従来のように高価な導電性の素材を用いて支持体を構成する必要がないため、燃料電池スタックの製造コストを削減することも可能である。
【0066】
また、本実施形態によれば、ゴムパッキン40,60がつぶされて燃料電池スタック1の内部を外部から封止することにより燃料電池スタック1の密閉性の高めることができる。これにより、燃料電池スタック1の内部から水素及び酸素の漏れのない、また燃料電池スタック1の外部から内部にゴミ等の異物、空気、水分等が侵入することのない燃料電池スタック1を提供することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、固体高分子膜51の両側面にのみゴムパッキンを配置したが、これに限られるものではなく、例えば、支持体10,90と流路形成板20,80の間、流路形成板20,80と陰極支持体31,32,33または陽極支持体71,72,73との間にゴムパッキンを挟み、シール能力を高めるように構成してもよい。
【0068】
また、流路形成板20,80を排し、支持体10の溝11及び溝12または支持体90の溝91及び溝92を接続し連通する複数の縦溝を支持体10,90に形成することにより、水素流路及び空気流路をそれぞれ形成するようにしてもよい。
【0069】
また、燃料電池スタック1の層間の締め付けは、ボルト102とナット103以外の各種締結手段を用いて行ってもよい。例えば、支持体10,90の両側面を万力やクリップ等の各種締結手段を用いて締め付けてもよい。
【0070】
(第2実施形態)
以下、図6を参照しながら、本発明に係る第2実施形態の燃料電池スタックを説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態において既出の構成要素については、重複を避けるため説明を省略する。
【0071】
図6は、本発明に係る第2実施形態の燃料電池スタック2を示す分解斜視図である。燃料電池スタック2は、第1実施形態における燃料電池スタック1の構成から陰極支持体31,32,33及び陽極支持体71,72,73およびゴムパッキン60,40を排し、さらに薄膜電極集積体50を以下に説明する薄膜電極集積体120で置き換えたものである。
【0072】
すなわち、薄膜電極集積体120は、固体高分子膜121の両面に陰極122と陽極125、陰極123と陽極126、及び陰極124と陽極127とをそれぞれ対応して配置したものである。陰極122,123,124は、それぞれ流路形成板20のスリット群22,23,24を介して水素を受け取り可能に配置されている。一方、陽極125,126,127は、それぞれ流路形成板80のスリット群82,83,84を介して空気を受け取り可能に配置されている。
【0073】
固体高分子膜121は、第1実施形態に記載の固体高分子膜51よりも厚く、弾性変形可能に構成されている。また、固体高分子膜121は、流路形成板20の挿通孔101bに対応した位置に複数の挿通孔101hがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通可能に構成されている。すなわち、固体高分子膜121は、ボルト102による締結によって流路形成板20及び80間に挟まれたときに(組立状態で)、ボルト105の締結力により所定量つぶされて、水素流路及び空気(酸素)流路を外界からシールするシール部材(第1実施形態のゴムパッキン40,60)の役割を兼ねるように構成されている。
【0074】
各電極122,123,124,125,126,127は、それぞれが固体高分子膜121の上端縁から張り出した突起部122a,123a,124a,125a,126a,127aをそれぞれ有している。このように構成されることで、隣接する燃料電池セルの突起部同士が外部配線により接続することができ、第1実施形態と同様に各燃料電池セル間が直列に接続されるように構成されている。本実施形態では、第1実施形態と異なり、電極122,123,124,125,126,127は、陰極支持体31,32,33および陰極支持体71,72,73を備えていないので、所定の厚みを持ち突起部122a,123a,124a,125a,126a,127aの破壊を免れる程度の強度を有していることが好ましい。
【0075】
本実施形態によれば、固体高分子膜121がゴムパッキンの役割を果たし、また陰極支持体31,32,33及び陽極支持体71,72,73を用いることなく、隣接する電極間の接続を行うようにした。このような構成を採ることにより、部品点数を減らすことが可能であるので、燃料電池スタックの製作工数を減らすことが可能となる。
【0076】
(第3実施形態)
以下、図7及び図8(a),(b)を参照しながら、本発明に係る第3実施形態の燃料電池スタックを説明する。なお、以下の説明では、既出の構成要素については、重複を避けるため説明を省略する。
【0077】
図7は、本発明に係る第3実施形態の燃料電池スタック3を示す分解斜視図である。燃料電池スタック3は、第2実施形態の燃料電池スタック2の薄膜電極集積体120を薄膜電極集積体130で置き換えたものである。
【0078】
薄膜電極集積体130は、固体高分子膜131の両面に陰極132と陽極135、陰極133と陽極136、及び陰極134と陽極137とをそれぞれ対応して配置したものである。陰極132,133,134は、流路形成板20のスリット群22,23,24を介して水素を受け取り可能にそれぞれ配置されている。一方、陽極135,136,137は、それぞれ流路形成板80のスリット群82,83,84を介して空気を受け取り可能に配置されている。
【0079】
固体高分子膜131は、第2実施形態に記載の固体高分子膜121と同様に弾性変形可能に構成されている。また、固体高分子膜121は、流路形成板20の挿通孔101bに対応した位置に複数の挿通孔101hがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通可能に構成されている。すなわち、固体高分子膜131は、ボルト102による締結によって流路形成板20及び80間に挟まれたときに(組立状態で)、ボルト102の締結力により所定量つぶされて、水素流路及び空気(酸素)流路を外界からシールするシール部材(第1実施形態のゴムパッキン40,60)の役割を兼ねるように構成されている。
【0080】
図8(a)は、本実施形態の電極集積体130の表裏両面を便宜上示す説明図であり、図8(b)は、本実施形態の電極集積体130の一部拡大斜視図である。固体高分子膜131には、積層方向に貫通する貫通孔141,142,143,144が燃料電池セル毎に形成されている。
【0081】
本実施形態では、図8(b)において拡大して示すように、陰極132に連続して設けられた接続部132aと隣接する燃料電池セルの陽極136に連続して設けられた接続部136aとが貫通孔142を介して接続されており、また陰極133に連続して設けられた接続部133aと隣接する燃料電池セルの陽極137に連続して設けられた接続部137aとが、貫通孔143を介して接続された構造となっている。このように、本実施形態では、隣接する燃料電池セル間の陽極と陰極同士は、固体高分子膜131内、すなわち燃料電池スタック2内部で電気的に直列に接続されている。
【0082】
以上、本実施形態によれば、隣接する燃料電池セル同士は、燃料電池スタック内部で直列に接続されているので、電極支持体等の突起部を露出させることなく、また外部配線を用いることなく、燃料電池セル間を電気的に接続することが可能である。
【0083】
なお、上記説明においては、貫通孔142内で接続部132a及び136aが貫通孔142の一部を埋めるように接続されているが、貫通孔142内に接続部132a及び136aを圧入して貫通孔をすべて埋めるように構成してもよい。
【0084】
(第4実施形態)
以下、図9及び図10を参照しながら、本発明に係る第4実施形態の燃料電池システムを説明する。なお、以下の説明では、既出の構成要素については、重複を避けるため説明を省略する。
【0085】
図9は、本発明に係る第4実施形態の燃料電池システム200を示す図である。燃料電池システム200は、例えば、家屋に隣接または家屋内に設置される家庭用のコジェネレーションシステムとして用いられるものである。
【0086】
この燃料電池システム200は、水素を生成する水素供給手段としての水素発生装置210と、内部に水(湯)222を貯留する貯湯槽220と、貯湯槽220に一定の水(湯)222が貯留されるように給水する給水機223と、貯湯槽220内に貯留され、温められた水(湯)222を貯湯槽220外へ取り出す給湯機225と、貯湯槽220内の水(湯)222内に固定配置された燃料電池スタック1(2,3)と、燃料電池230から出力される直流出力を交流出力に変換し、商用電源系統に出力する変換回路260とを備えている。
【0087】
水素発生装置210は、燃料電池スタック1(2,3)が発電を行うときに原料の一つとして用いる水素を発生させる装置である。水素発生装置210の水素発生方式としては、メタン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素またはメタノール等の不飽和炭化水素を改質して水素を発生させる方式、ガソリンを改質して水素を発生させる方式、天然ガスを改質して水素を発生させる方式、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族化合物の水素化誘導体から水素を得る方式等があり、各種方式を用いて水素を得るように構成してもよい。
【0088】
また、水素発生装置210としては、高圧容器に水素を直接貯蔵したもの、水素吸蔵合金タンクに水素を貯蔵したもの、高圧の液体水素タンクに液体水素を貯蔵したもの等で構成することも可能である。
この水素発生装置210は、発生させた水素を燃料電池スタック1(2,3)に供給する。また、水素発生装置210で発生した熱は、図示せぬ熱交換器等を介して熱エネルギーとして取り出すことも可能である。例えば、水素発生装置210で発生した熱を用いて、次述の貯湯槽220の水(湯)を温めるようにしても良い。
【0089】
貯湯槽220は、その内部に水(湯)222を蓄えた水槽であり、本燃料電池システムの排熱回収システムの一部を構成している。貯湯槽220の内部には、燃料電池スタック1(2,3)が水(湯)222の中に沈められて収納されている。
ここで、貯湯槽220内の水(湯)222中に沈められる燃料電池スタック1(2)は、燃料電池スタック1(2)から露出している突起部31a,31b,31c,71a,71b,71cが、水(湯)222に濡れないようにカバー部材で覆われている。また、燃料電池スタック1(2,3)は、層間から水(湯)222が燃料電池スタック1(2,3)の内部に侵入しないようにするため、側面及び下面についても、プレート、シール部材等で覆われて構成されている。
燃料電池スタック1(2,3)は、発電により生じた熱をその表面から周囲の水(湯)222に放熱して水(湯)222と直接熱交換を行い、水の温度を上昇させる。これにより、燃料電池スタック1(2,3)の発電により生じた熱エネルギーが貯湯槽内の水の運動エネルギーとして蓄えられる。
【0090】
貯湯槽220には、給水管224を介して、貯湯槽220に水を給水する給水機223と、給湯管226を介して貯湯槽220内部で昇温され温められた水(湯)を貯湯槽220の外部に取り出す給湯機225が隣接して取り付けられている。また、貯湯槽220内部には、水222の水位を測るセンサ227が設けられている。給水機223は、センサ227によって測定された貯湯槽220内部の水位に応じて、適宜水を貯湯槽220内に供給し、貯湯槽220内部の水量が常に一定となるように保つ。給湯機225は、外部からの給湯指示に応じて貯湯槽220内部の湯を取り出し、家屋内部等に供給し、湯として利用できるようにする。
【0091】
変換回路260は、燃料電池スタック1(2,3)が出力した直流を家庭内に供給された商用の系統電力電圧に応じて、交流に変換する変換器である。この変換回路260から出力された交流出力は、家屋内の配線を経由して家屋内外に設置された様々な電気製品に供給される。
【0092】
図10は、変換回路260を示すブロック図である。変換回路260は、インバータ回路261と、連系保護回路262とを備えている。
【0093】
インバータ回路261は、燃料電池スタック1(2,3)から出力された直流電流を交流電流に変換する回路である。ここで、インバータ回路261は、燃料電池スタック1(2,3)から系統連系電圧の1.1〜1.5倍の電圧が送られてくることを前提に設計されており、前段に昇圧用のDC/DCコンバータ等は有しておらず、燃料電池スタック1(2,3)からの直流をそのまま交流に変換し、後段の連系保護装置262を介して外部に出力する。
【0094】
連系保護装置262は、系統側(出力側)及びインバータ回路261からの出力電圧の異常を検出し、異常時にはインバータ回路261を停止させるとともに、系統との連系を速やかに遮断することにより、系統側の安全を確保する装置である。その他、連系保護装置262は、出力周波数の上昇・低下の検出、過不足電圧の検出をはじめ、配電線の停電検出(単独運転検出)等を行う。
【0095】
以上、本実施形態の燃料電池システム200によれば、燃料電池スタック1(2,3)は、貯湯槽220内の水222内に沈められており、発電時の発熱を直接水に伝導する。したがって、熱交換器等の熱交換用の特別な装置を介すことなく直接水を温め湯とすることができるので、構造の複雑かを回避できる。また、燃料電池スタック1(2,3)は、熱交換機等を用いることなく、水222と直接熱交換を行うので、熱変換効率が高く、発生した熱を無駄なく用いて、効率的に水を温めて湯とすることができる。
【0096】
また、燃料電池スタック1(2,3)は、系統連系電圧の1.1〜1.5倍の電圧を出力するように構成されている。したがって、変換回路260に昇圧回路としてのDC/DCコンバータを設けることなく、インバータを構成することが可能となる。このように、燃料電池スタック1(2,3)の出力電圧を予め、系統連系電圧の1.1〜1.5倍と設定しておくことにより、昇圧回路が不要となり、インバータの回路構成を簡素化しインバータのコストダウンを図るが可能となる。
【0097】
上記燃料電池システム200は、家庭用であるとして説明を行ったが、適用範囲はこれに限らず、商業用、工業用等の燃料電池システムとして各種用途に適用することが可能である。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、高分子膜と電極の接合体群は、略同一平面上に配設されており、電極支持体を介して接合体に供給される水素及び酸素をもとに発電を行う。したがって、接合体を積層方向に積層することなく燃料電池スタックを構成することができ、多数の燃料電池セルを並べる場合であっても、積層方向に積層される層の数が少なくてすむ。よって、共締め初期に想定されたシール用の締め付け圧力及び各層間の電気的接触に適した圧力で各層間を共締めすることが可能となり、常に安定した性能を引き出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の燃料電池スタックの上面図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態の燃料電池スタックの側面図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態の燃料電池スタックの分解斜視図である。
【図4】本発明に係る第1実施形態の薄膜電極集積体の上面図である。
【図5】本発明に係る第1実施形態の薄膜電極集積体の部分拡大図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態の燃料電池スタックを示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態の燃料電池スタックを示す分解斜視図である。
【図8】本発明に係る第3実施形態の薄膜電極集積体を示す図であり、(a)は、薄膜電極集積体の両面を示す説明図であり、(b)はその拡大斜視図である。
【図9】本発明に係る第4実施形態の燃料電池システムを示す図である。
【図10】本発明に係る第4実施形態の変換回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,2,3 燃料電池スタック
10,90 支持体
20,80 流路形成板
31,32,33 陰極支持体
40,60 ゴムパッキン
50,120,130 薄膜電極集積体
51,121,131 固体高分子膜
52a〜52c,122〜124,132〜134 陰極
53a〜53c,125〜127,135〜137 陽極
71,72,73 陽極支持体
200 燃料電池システム
210 水素発生装置
220 貯湯槽
222 水
223 給水機
224 給水管
225 給湯機
226 給湯管
227 センサ
260 変換回路
261 インバータ回路
262 連系保護回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素と酸素から電力を取り出す燃料電池スタック及びその燃料電池を用いた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、水素と酸素から水を生成する反応を利用して電気を生成する、いわゆる燃料電池が提案され、各種研究開発が行われている。燃料電池を構成する1つの燃料電池セルにおいて、反応により生じる水素電極と酸素電極間の電位差は、通常1V弱程度である。したがって、実用上は複数の燃料電池セルを積層して直列に接続することにより燃料電池スタックを構成し、電圧を所望のレベルに調整して用いられる。このような燃料電池を開示している先行技術文献としては、以下のようなものが挙げられる。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−6715 (図1)
【0004】
特許文献1は、電極と高分子膜の接合体からそれぞれ構成される複数の燃料電池セルが積層方向積層されて構成された燃料電池スタックを開示している。特許文献1では、各燃料電池セルの各部材にボルトが挿通される貫通孔が形成されており、ボルトにより締め付けることによって各燃料電池セル間及び燃料電池セル内の各層間の密着を保つように構成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃料電池スタックを家庭用電源として交流200V連系に必要な電圧を確保するためには、282V以上望ましくは350V程度の直流電圧を得る必要がある。特許文献1において、このような電圧を得るためには、400〜500セル以上の積層が必要となる。このように膨大な数のセルが積層方向に積層されたスタックをボルトにより共締めすると、スタック全体の温度が変化したときに、共締め用のボルト、電極部材および各セルを仕切るセパレータの温度膨張係数の差異により、スタック間及び層間の圧力変化が顕著になってしまう。これにより、共締め初期に想定されたシール用の締め付け圧力及び各層間の電気的接触に適した圧力で各層間を締め付けることができないという問題がある。
【0006】
また、層の数が膨大であるため、セパレータ自身に歪みがあると各セルを均一に締め付けることができない。したがって、燃料電池の各セル間の発電能力に大きなバラツキが生じやすくなってしまい、既定の出力が得られないおそれがある。
【0007】
また、各セル間に配置されるセパレータは、導電性を有している必要があるため、セパレータ用素材のコストが上昇してしまい、燃料電池スタックのコストが高くなってしまう。また、セパレータが導電性であるため、安全面及び漏電を考慮して、セパレータを外界から絶縁しなければならず、コストアップの要因となる。
【0008】
また、特許文献1の燃料電池スタックは、多数のセルを積層方向に積層しているため、スタック表面からの放熱量が少なく、熱が内部にこもってしまい、セル内部で不均一な温度分布が生じてしまう。このような温度分布は、セル内での発電能力にバラツキが生じ、高分子膜での発電効率が低下してしまう。
【0009】
本発明は、上記諸問題に鑑みてなされものであり、燃料電池セル間の圧力変化にバラツキが少なく、また効率的に熱エネルギー及び電気エネルギーを回収することが可能な燃料電池スタック及び燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1記載の燃料電池スタックは、略同一平面上に配設される、高分子膜と電極の接合体群と、前記接合体群のそれぞれの電極を支持する電極支持体群と、前記電極支持体群の、高分子膜を挟んだ一方の側の電極支持体を介して前記接合体に水素を供給する水素供給手段と、他方の側の電極支持体を介して前記接合体に酸素を供給する酸素供給手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項1記載の燃料電池スタックによれば、高分子膜と電極の接合体群は、略同一平面上に配設されており、電極支持体を介して接合体に供給される水素及び酸素をもとに発電を行う。したがって、接合体を積層方向に積層することなく燃料電池スタックを構成することができ、多数の燃料電池セルを並べる場合であっても、積層方向に積層される層(部材)の数が少なくてすむ。よって、共締め初期に想定されたシール用の締め付け圧力及び各層間の電気的接触に適した圧力で各層間を共締めすることが可能となり、常に安定した性能を引き出すことが可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項1記載の燃料電池スタックによれば、積層される層の数を少なくすることができるので、発熱する電極表面からスタック表面までの距離を短くすることが可能となる。したがって、熱が内部にこもることなく、効率的且つ安定的な発電及び放熱を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の請求項2記載の燃料電池スタックは、請求項1記載の燃料電池スタックであって、前記接合体が、1枚の高分子膜に複数の電極が貼付されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項2記載の燃料電池スタックによれば、1枚の高分子膜に複数の電極が貼付されているので、容易に接合体群を略同一平面上に配設することが可能となる。また、部品点数が減少するので、容易に接合体を組み付けることが可能となり、組み付け作業効率が向上する。
【0015】
本発明の請求項3記載の燃料電池スタックは、請求項1または2記載の燃料電池スタックであって、前記水素供給手段及び酸素供給手段のそれぞれは、前記電極の大きさに合わせて一方向に並行した複数の長孔を有する流路形成板と、前記長孔に対して垂直方向に並行し、その一部が外部と連通している複数の長溝を有する支持体と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項3記載の燃料電池スタックによれば、水素及び酸素は、流路形成板に形成された複数の長孔を介して水素及び酸素を一方向に供給し、支持体に形成された複数の長溝を介して長孔に対し垂直方向に供給される。したがって、それぞれ一方向に形成された長溝または長孔を有する2種の構造物を重ね合わせるだけで、燃料電池スタック内の多方向に水素及び酸素を効率的に流し、安定して電極に水素及び酸素を供給することができる。
【0017】
本発明の請求項4記載の燃料電池スタックは、請求項3記載の燃料電池スタックであって、前記支持体が、絶縁体であることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項4記載の燃料電池スタックによれば、支持体の上下に積層方向に電気を通す必要がないので、前記支持体が導電性である必要がない。また、支持体が絶縁体であることにより、略同一平面上に隣接する電極同士がショートするおそれがない。また、支持体により燃料電池スタックの内部と外部が絶縁されるため、燃料電池スタックの外部に漏電することがない。したがって、燃料電池スタックの配置場所等に特に制限を設けることなく、安全に燃料電池スタックを利用することが可能となる。また、従来の燃料電池スタックのように高価な導電性の素材を使用する必要がないため、コストダウンを図ることも可能でなる。
【0019】
本発明の請求項5記載の燃料電池スタックは、請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池スタックであって、前記電極支持体の周囲に、シール部材を配設したことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項5記載の燃料電池スタックによれば、前記電極支持体の周囲に配設されたシール部材により燃料電池スタックの密閉性を高めることができる。これにより、内部から水素及び酸素の漏れのない、また外部から内部にゴミ等の異物、空気、水分等が侵入することのない燃料電池スタックを提供することが可能となる。
【0021】
本発明の請求項6記載の燃料電池スタックは、請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池スタックであって、系統連系電圧のピーク電圧の1.1倍〜1.5倍の直流電圧を出力することを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項6記載の燃料電池スタックによれば、系統連系電圧のピーク電圧の1.1倍〜1.5倍の直流電圧を出力するので、昇圧回路等を介して昇圧することなく、後段に接続されたコンバータを用いて直流を交流に変換することにより、系統連系に必要な電圧を系統に出力することが可能となる。
【0023】
本発明の請求項7記載の燃料電池システムは、請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックを内部に収容する貯湯槽、前記貯湯槽に一定の水が貯留されるように給水する給水手段と、前記貯湯槽内に貯留された温水を前記貯湯槽外へ取り出す給湯手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項7記載の燃料電池システムによれば、貯湯槽内部に供給された水を燃料電池スタックからの排熱により直接加温することが可能となる。この加温された水(湯)を取り出して利用することにより、発電と同時に発生する熱を効率的に変換し、水を加温するコジェネレーションシステムとしての燃料電池システムを容易に構成することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る燃料電池スタック及び燃料電池システムの実施の形態について説明する。
【0026】
(第1実施形態)
以下、図1乃至図5を参照しながら、本発明に係る第1実施形態の燃料電池スタックを詳細に説明する。図1は、本実施形態の燃料電池スタックの上面図であり、図2は、同燃料電池スタックの側面図であり、図3は、燃料電池スタックの分解斜視図であり、図4は、薄膜電極集積体を示す上面図であり、図5は、薄膜電極集積体の部分拡大図である。
【0027】
本実施形態の燃料電池スタック1は、後述する複数の構成部材が一方向に積層されて構成されたほぼ直方体形状の燃料電池であり(以下、各構成部材が積層される方向を単に「積層方向」と呼ぶ)、この複数の構成部材を貫通する複数の貫通孔101を介してボルト102及びナット103により複数箇所共締めされたものである(図1及び図2参照)。本実施形態の燃料電池スタック1は、電極間の電解質として高分子ポリマーが用いられた高分子固体電解質型燃料電池(PEFC)である。
【0028】
図3に示すように、燃料電池スタック1は、支持体10上に流路形成板20、陰極支持体31,32,33(電極支持体群30)、ゴムパッキン40、薄膜電極集積体50、ゴムパッキン60、陽極支持体71,72,73(電極支持体群70)、流路形成板80、そして支持体90を順に積層した構造を有している。
【0029】
以下、燃料電池スタック1を構成する各部材について順に説明を行う。
【0030】
燃料電池スタック1の積層方向両端に配置された支持体10,90は、平面視ほぼ長方形状を有し、これら支持体10,90間に配置される各種構成部材を狭持し、支持体10,90間の各種機能層を保護する最外壁である。支持体10,90は、絶縁性の素材で構成されており、支持体10,90間の構成部材と外部とを絶縁している。
【0031】
支持体10の内側面には、水素を支持体長手方向に流す流路として機能する溝1,12が並行に形成されている。そして、この溝11の一端は、支持体長手方向の一端面に設けられた流入口13と連通しており、流入口13から水素を溝11に供給可能に構成されている。また、溝12の一端は、支持体長手方向の他端面(流入口13とは反対側)に設けられた排出口14と連通しており、排出口14から水素を排出可能に可能に構成されている。また、支持体10には、溝11及び溝12が形成された領域から外れた位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101aがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通できるように構成されている。
【0032】
一方、支持体90の内側面には、空気を支持体長手方向に流す流路として機能する溝91,92が、支持体10の溝11,12と同様に形成されている。溝91の一端は、支持体長手方向の一端面に設けられた流入口93と連通しており、流入口93から空気を溝91に供給可能に構成されている。また、溝92の一端は、支持体90の長手方向他端面に設けられた排出口94と連通しており、排出口94から空気を排出可能に可能に構成されている。また、支持体90には、溝91及び溝92が形成された領域から外れた位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101gが設けられている。
【0033】
支持体10の内側面上に配置された流路形成板20は、絶縁部材で構成された板状部材である。支持体10及び流路形成板20の各接触面は、鏡面仕上げとされており、支持体10と流路形成板20との間から溝11,12を流れる水素が燃料電池スタック1の外部に漏れないように重ね合わせられている。また、流路形成板20には、支持体10の複数の挿通孔101aに対応した位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101bがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通できるように構成されている。
【0034】
流路形成板20には、それぞれ複数のスリット21からなる複数のスリット群22,23,24が所定間隔おきに形成されている。各スリット群22,23,24を構成するスリット21は、それぞれが支持体10の溝11,12とほぼ直交して交差する長孔に構成されており、支持体10の溝11と溝12とを連通している。また、各スリット群22,23,24を構成するスリット21は、支持体10側とは反対側に配置される陰極支持体31,32,33の略矩形形状に対応した領域に開口している。
各スリット21は、スリット群22,23,24の陰極支持体側が、陰極支持体31,32,33によりそれぞれ覆われている。これにより、支持体10の流入口13から流入した水素が溝11から流路形成板20のスリット21を介して各陰極支持体31,32,33まで流れる。すなわち、支持体10及び流路形成板20は、各陰極支持体31,32,33に水素を供給する水素供給手段を構成している。
【0035】
流路形成板20上に配置された陰極支持体31,32,33は、多孔性の物質で構成されており、スリット21を介して流入する水素を積層方向に通過させる(図4及び図5参照)。これにより、水素は、後述する陰極52a,52b,52cとの界面まで流れる。
本実施形態における水素流路とは、流入口13から流入した水素が溝11からスリット21及び各陰極支持体31,32,33を介して陰極52a,52b,52cとの界面までの流路およびスリット21から溝12を介して排出口14までの流路を指す。
【0036】
また、陰極支持体31,32,33は、導電性の部材であり、この陰極支持体31,32,33に対して流路形成板20と反対側に隣接配置された陰極52a,52b,52cと面接触し、電気的に接続されている。陰極支持体31,32,33は、陰極52a,52b,52c及び流路形成板20と接触する領域から張り出した突起部31a,32a,33aを有しており、後述の燃料電池セル1a,1b,1cにおける陰極端子としてそれぞれ機能し、電気的接続が容易に構成されている。
【0037】
また、支持体90の内側面上に配置された流路形成板80は、流路形成板20と同様に絶縁部材で構成された板状部材である。支持体90及び流路形成板80の各接触面は、鏡面仕上げとされており、支持体90と流路形成板80との間から溝91,92を流れる空気が燃料電池スタック1の外部に漏れないように重ね合わせられている。また、流路形成板80には、支持体90の複数の挿通孔101gに対応した位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101fがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通できるように構成されている。
【0038】
流路形成板80には、複数のスリット81からなる複数のスリット群82,83,84が所定間隔おきに形成されている。各スリット群82,83,84を構成するスリット81は、それぞれ支持体90の溝91,92とほぼ直交して交差しする長孔に構成されており、支持体90の溝91と溝92とを連通している。また、スリット群82,83,84を構成するスリット81は、支持体90とは反対側に配置される陽極支持体71,72,73の略矩形形状に対応した領域に開口している。
各スリット81は、各スリット群82,83,84の陰極支持体側が陽極支持体71,72,73によりそれぞれ覆われている。これにより、支持体90の流入口93から流入した空気が溝91から流路形成板80のスリット81を介して各陽極支持体71,72,73まで流れる。すなわち、支持体90及び流路形成板80は、各陰極支持体41,42,43に空気とともに酸素を供給する酸素供給手段を構成している。
【0039】
流路形成板80上に配置された陽極支持体71,72,73は、多孔性の物質で構成されており、スリット81を介して流入する空気を積層方向に通過させ、後述する陽極53a,53b,53cとの界面まで流す(図4及び図5参照)。
本実施形態における空気流路(酸素流路)は、流入口93から流入した空気が溝91からスリット81及び各陽極支持体71,72,73を介して陽極53a,53b,53cとの界面までの流路およびスリット81から溝92を介して排出口94までの流路を指す。
【0040】
また、陽極支持体71,72,73は、導電性の部材であり、陽極支持体71,72,73に対して流路形成板80と反対側に隣接配置された陽極53a,53b,53cと面接触し、電気的に接続されている。陽極支持体71,72,73は、図1に示すように、陽極53a,53b,53c及び流路形成板80と接触する領域から張り出した突起部71a,72a,73aを有しており、後述の燃料電池セル1a,1b,1cにおける陽極端子として機能し、電気的接続が容易に構成されている。
【0041】
陰極支持体31,32,33と陽極支持体71,72,73との間には、薄膜電極集積体50がゴムパッキン40とゴムパッキン60とに狭持された状態で配置されている。
【0042】
ゴムパッキン40は、シリコンゴム等を素材としてなる弾性部材であり、陰極支持体31,32,33及び流路形成板20上に配置される。ゴムパッキン40は、ボルト102の締結時に、その締結力により挟まれて積層方向に適宜つぶされる。この結果、水素流路が燃料電池スタック1の外界から封止され、気密に保たれる。
ゴムパッキン40には、陰極支持体31,32,33に対応した位置に陰極52a,52b,52cのサイズ及び形状に応じた開口41,42,43がそれぞれ設けられており、後述する陰極52a,52b,52cと陰極支持体31,32,33とがそれぞれ面接触するように構成されている。また、ゴムパッキン40には、流路形成板20の挿通孔101bに対応した位置に、貫通孔101の一部を構成する複数の挿通孔101cがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通できるように構成している。
【0043】
ゴムパッキン60は、ゴムパッキン40と同様にシリコンゴム等を素材としてなる弾性部材であり、陽極支持体71,72,73及び流路形成板80上に配置される。ゴムパッキン60は、ボルト102の締結時にその締結力により挟まれて積層方向に適宜つぶされる。この結果、空気流路が燃料電池スタック1の外界から封止され、気密に保たれる。
ゴムパッキン60には、陽極支持体71,72,73に対応した位置に陽極53a,53b,53cのサイズ及び形状に応じた開口61,62,63がそれぞれ設けられており、後述する陽極53a,53b,53cと陽極支持体71,72,73とがそれぞれ面接触するようにしている。また、ゴムパッキン60には、流路形成板80の挿通孔101fに対応した位置に、貫通孔101の一部を構成する挿通孔101eが設けられており、ボルト102が挿通されるを挿通できるように構成している。
【0044】
薄膜電極集積体50は、MEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ばれ、図3及び図4に示すように、固体高分子膜51の両面に陰極52a,52b,52c(図3には図示せず)と陽極53a,53b,53cが互いに対応して配置されたものである。陰極52a,52b,52cは、それぞれがゴムパッキン60の開口41,42,43内に位置し、陰極支持体31,32,33にそれぞれ面接触している。同様に、陽極53a,53b,53cは、それぞれがゴムパッキン60の開口62,63,64内に位置し、陽極支持体40,41,42とそれぞれ面接触している。
【0045】
ここで、薄膜電極集積体50は、固体高分子膜51とその両面に対応して配置されて対をなす陰極52a及び陽極53aとからなる接合体、固体高分子膜51とその両面に対応して配置されて対をなす陰極52b及び陽極53bとからなる接合体、ならびに、固体高分子膜51とその両面に対応して配置されて対をなす陰極52c及び陽極53cとからなる接合体が、同一平面上に配設された接合体群である。
本実施形態では、固体高分子膜を共通として、その両面にそれぞれ複数の陰極および陽極を互いに対応して配置させる構造としているが、別々の固体高分子膜にそれぞれ陰極および陽極を設けて構成される複数の接合体を略同一平面上に配設する構造であってもよい。
【0046】
陰極52a,52b,52cは、それぞれ固体高分子膜51上に、スクリーン印刷等により塗布形成されている。陰極52a,52b,52cは、多孔質膜であって、陰極支持体31,32,33を通過した水素を通過させて陰極52a,52b,52cと固体高分子膜51との界面まで通すように構成されている。
【0047】
陰極52a、52b、52cと固体高分子膜51との界面には、図5に示すように、白金,白金合金、白金を含む混合物等からなる触媒110が分散されている。陰極52a,52b,52c内を通ってきた水素は、この界面で触媒110を介して水素イオンと電子に電離する。生成された水素イオンは、固体高分子膜51に、そして電子は、陰極支持体31,32,33にそれぞれ移動する。
【0048】
固体高分子膜51は、パーフルオロスルホン酸系等の高分子電解質ポリマーを素材として構成された薄膜である。陰極52a, 52b,52cとの界面で生成された水素イオンは、固体高分子膜51内を通って、陽極53a,53b,53cとの界面に移動する。
この固体高分子膜51は、隣接する電極間(例えば52aと53b間、52bと53c間)には水素イオンをほとんど伝導することはなく、実質的に隣接する電極間は絶縁されている。
【0049】
陽極53a,53b,53cは、陰極同様に、それぞれ固体高分子膜51上に、スクリーン印刷等により塗布形成されている。陽極53a,53b,53cは、多孔質膜であって、陽極支持体71,72,73を通過した空気(酸素)を通過させて、陽極53a,53b,53cと固体高分子膜51との界面まで酸素を通す。
また、陽極53a,53b,53cには、陽極支持体71,72,73を介して流入した電子が流れ込む。酸素は、この界面にて水素イオンと流れ込んだ電子と共に反応し、水が生成される。
【0050】
ここで、燃料電池スタック中で発電を行うために必要な部材の最小集合体を燃料電池セルであるとする。具体的には、固体高分子膜を介して対向する2つの電極を1つの接合体として、接合体と、その接合体の陰極に水素を供給する水素流路の構成部材と、その接合体の陽極に空気とともに酸素を供給する酸素流路の構成部材とを有して燃料電池セルが構成される。
【0051】
本実施形態では、燃料電池セル1aは、固体高分子膜51とその両面に配置された一対の陰極52a及び陽極53aとからなる接合体(薄膜電極集積体50の一部)と、陰極支持体31と、陽極支持体71と、流路形成板20,80と、支持体10,90とを有して構成される。ここで、固体高分子膜51,流路形成板20,80及び支持体10,90については、陰極52a及び陰極53aの厚さ方向に対応する部位が燃料電池セル1aに対応する。
【0052】
また、燃料電池セル1bは、固体高分子膜51とその両面に配置された一対の陰極52b及び陽極53bとからなる接合体(薄膜電極集積体50の一部)と、陰極支持体32と、陽極支持体72と、流路形成板20,80と、及び支持体10,90とを有して構成される。ここで、固体高分子膜51,流路形成板20,80及び支持体10,90については、陰極52b及び陰極53bの厚さ方向に対応する部位が燃料電池セル1bに対応する。
【0053】
同様に、燃料電池セル1cは、固体高分子膜51とその両面に配置された一対の陰極52c及び陽極53cとからなる接合体(薄膜電極集積体50の一部)と、陰極支持体33と、陽極支持体73と、流路形成板20,80と、支持体10,90とを有して構成される。ここで、固体高分子膜51,流路形成板20,80及び支持体10,90については、陰極52c及び陰極53cの厚さ方向に対応する部位が燃料電池セル1cに対応する。
【0054】
燃料電池セル1a,1b,1cは、図1,図2及び図3に示すように、各構成部材の積層方向と略垂直な平面上に配列された構造、すなわち積層方向と略垂直な一方向に併設された構造となっている。
【0055】
ここで、ボルト102を挿通する複数の貫通孔101は、図1、図2及び図3に示すように各燃料電池セル1a,1b,1cの各領域の四隅に対応して設けられている。ボルト102の締結は、薄膜電極集積体50内部の電気抵抗及び薄膜電極集積体50と陰極支持体31,32,33及び陽極支持体71,72,73との接触部の電気抵抗が適当となるような圧力で行われる。
【0056】
したがって、押しつけ圧力が大きすぎると、薄膜電極集積体50が機械的に破壊されてしまい、また押しつけ圧力が小さすぎると薄膜電極集積体50内部の電気抵抗または接触部の電気抵抗が大きくなってしまうので、出力電圧が低下してしまう。
また、ボルト102の締結は、ゴムパッキン40,60が適当な量つぶれることにより所定の封止能力を発揮できる程度の強さで行う。ここでは、ボルト102のそれぞれの締結力を適宜変更することにより、各燃料電池セル1a,1b,1c毎に圧力調整を行うことができる。
【0057】
また、図1及び図2に示すように、陰極支持体31の突起部31aと陽極支持体72の突起部72a、及び陰極支持体32の突起部72aと陽極支持体73の突起部73aは、それぞれ配線104により電気的に接続されている。このように、隣接するセルの陰極支持体と陽極支持体は、順次外部配線により接続され、各燃料電池セル1a,1b,1cは電気的に直列に接続されている。また、スタック長手方向の両端に位置する突起部71aと33aは、それぞれが配線105により外部に接続され、突起部71aと突起部33a間の電圧が出力される直流電圧として取り出される。
【0058】
本実施形態では、燃料電池セルが3個の場合について説明を行ったが、実際には、用いられる電圧を出力するために必要な個数だけ複数の燃料電池セルを積層方向とは垂直な一方向に配置して用いる。例えば、一つの燃料電池セルが1Vの電圧を生じさせる場合には、家庭用で用いる場合、少なくとも141個または282個以上の燃料電池セルを配置し、100V交流または200V交流を生成することとなる。ここで、好ましくは、燃料電池スタック1は、下流側に接続される系統連系電圧のピーク電圧の1.1倍〜1.5倍の電圧を出力するように構成することが好ましく、また1.25倍であることがさらに好ましい。このような電圧を出力することにより、後段に接続されるD/A変換回路は、昇圧のためのDC/DCコンバータが不要となり、回路構成が簡略化される。ここで、系統連系電圧のピーク電圧とは、商用の100V交流の場合、最大電圧(約141V)を指す。
【0059】
次に、本実施形態の燃料電池スタック1を用いた発電について説明する。
【0060】
まず、水素が流入口13から供給される。供給された水素は、溝11からスリット21を介して溝12に流れる過程で、陰極支持体31,32,33に送られる。陰極支持体31,32,33に達した水素は、陰極支持体31,32,33及び陰極52a,52b,52cを積層方向に通過して、陰極52a,52b,52cと固体高分子膜51との界面まで移動する。そして、陰極52a,52b,52cと固体高分子膜51との界面に分散された触媒110によって電離し、水素イオンと電子に分かれる。
【0061】
上述の水素の流入と同時に、空気が流入口93から供給される。供給された空気は、溝91からスリット81を介して溝92に流れる過程で、陽極支持体71,72,73に送られる。陽極支持体71,72,73に達した空気は、陽極支持体71,72,73及び陽極53a,53b,53cを積層方向に通過して、陽極53a,53b,53cと固体高分子膜51との界面まで移動する。そして、空気中の酸素が、陰極側で生成され電位差(電圧)により陽極支持体71,72,73を介して流入した電子と、陰極側から固体高分子膜を通過して流入した水素イオンと共に反応し、水が生成される。
燃料電池スタック1は、この各燃料電池セル1a,1b,1cでの反応過程において生じる電圧を取り出すことにより発電を行う。
【0062】
以上、本実施形態によれば、複数の燃料電池セル1a,1b,1cを有する燃料電池スタック1は、各燃料電池セル1a,1b,1cの積層方向中央に配設される接合体が略同一平面上に配設された構造となっており、また燃料電池スタック1は、それぞれが燃料電池セル1a,1b,1cの四隅をボルト102及びナット103により適当な圧力で固定されている。
したがって、ボルト102による締結力を各燃料電池セル1a,1b,1c毎に容易に調節することが可能であり、燃料電池セルの性能向上及び封止能力向上のための締結力を容易に最適化することが可能である。特に、数百個以上の燃料電池セルを積層する従来のスタック構造では、千枚程度の層が存在するため各層間の圧力を均一化させることが困難であったが、本実施形態の燃料電池スタックは、たかだか数枚程度の層をボルトにより締結するため、容易に層間の圧力を最適化することが可能である。また、燃料電池スタックの使用による径年変化により、最適な圧力値がスライドしても、締結力を適宜調整することにより、容易に最適な圧力値に変更してやることが可能である。
【0063】
また、本実施形態によれば、1枚の固体高分子膜51に複数の電極が貼付されるので、容易に接合体群を略同一平面上に配設することが可能となる。また、固体高分子膜51を各燃料電池セル1a,1b,1c間で共有することにより、部品点数が減少するので、容易に電極を組み付け接合体を構成することが可能となり、組み付け作業効率が向上する。
【0064】
また、本実施形態によれば、水素及び酸素は、支持体10,90に形成された複数の溝11,12,91,92及び流路形成板20,80に形成された複数のスリット21,81を介して水素及び酸素を陰極支持体31,32,33及び陽極支持体71,72,73にそれぞれ供給される。したがって、燃料電池スタック1内の水素流路及び空気流路(酸素流路)に沿って水素及び酸素を循環させることにより、各電極に円滑に水素及び酸素を供給することが可能となる。
【0065】
また、本実施形態によれば、支持体10,90及び流路形成板20,80が絶縁体であるため、略同一平面上に隣接する電極同士がショートするおそれがない。また、支持体10,90により燃料電池スタック1の内部と外部が容易に絶縁されるので、燃料電池スタック1の外部に漏電することがない。したがって、燃料電池スタック1の配置場所等に特に制限を設けることなく、安全に燃料電池スタック1を利用することが可能となる。また、従来のように高価な導電性の素材を用いて支持体を構成する必要がないため、燃料電池スタックの製造コストを削減することも可能である。
【0066】
また、本実施形態によれば、ゴムパッキン40,60がつぶされて燃料電池スタック1の内部を外部から封止することにより燃料電池スタック1の密閉性の高めることができる。これにより、燃料電池スタック1の内部から水素及び酸素の漏れのない、また燃料電池スタック1の外部から内部にゴミ等の異物、空気、水分等が侵入することのない燃料電池スタック1を提供することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態では、固体高分子膜51の両側面にのみゴムパッキンを配置したが、これに限られるものではなく、例えば、支持体10,90と流路形成板20,80の間、流路形成板20,80と陰極支持体31,32,33または陽極支持体71,72,73との間にゴムパッキンを挟み、シール能力を高めるように構成してもよい。
【0068】
また、流路形成板20,80を排し、支持体10の溝11及び溝12または支持体90の溝91及び溝92を接続し連通する複数の縦溝を支持体10,90に形成することにより、水素流路及び空気流路をそれぞれ形成するようにしてもよい。
【0069】
また、燃料電池スタック1の層間の締め付けは、ボルト102とナット103以外の各種締結手段を用いて行ってもよい。例えば、支持体10,90の両側面を万力やクリップ等の各種締結手段を用いて締め付けてもよい。
【0070】
(第2実施形態)
以下、図6を参照しながら、本発明に係る第2実施形態の燃料電池スタックを説明する。なお、以下の説明では、第1実施形態において既出の構成要素については、重複を避けるため説明を省略する。
【0071】
図6は、本発明に係る第2実施形態の燃料電池スタック2を示す分解斜視図である。燃料電池スタック2は、第1実施形態における燃料電池スタック1の構成から陰極支持体31,32,33及び陽極支持体71,72,73およびゴムパッキン60,40を排し、さらに薄膜電極集積体50を以下に説明する薄膜電極集積体120で置き換えたものである。
【0072】
すなわち、薄膜電極集積体120は、固体高分子膜121の両面に陰極122と陽極125、陰極123と陽極126、及び陰極124と陽極127とをそれぞれ対応して配置したものである。陰極122,123,124は、それぞれ流路形成板20のスリット群22,23,24を介して水素を受け取り可能に配置されている。一方、陽極125,126,127は、それぞれ流路形成板80のスリット群82,83,84を介して空気を受け取り可能に配置されている。
【0073】
固体高分子膜121は、第1実施形態に記載の固体高分子膜51よりも厚く、弾性変形可能に構成されている。また、固体高分子膜121は、流路形成板20の挿通孔101bに対応した位置に複数の挿通孔101hがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通可能に構成されている。すなわち、固体高分子膜121は、ボルト102による締結によって流路形成板20及び80間に挟まれたときに(組立状態で)、ボルト105の締結力により所定量つぶされて、水素流路及び空気(酸素)流路を外界からシールするシール部材(第1実施形態のゴムパッキン40,60)の役割を兼ねるように構成されている。
【0074】
各電極122,123,124,125,126,127は、それぞれが固体高分子膜121の上端縁から張り出した突起部122a,123a,124a,125a,126a,127aをそれぞれ有している。このように構成されることで、隣接する燃料電池セルの突起部同士が外部配線により接続することができ、第1実施形態と同様に各燃料電池セル間が直列に接続されるように構成されている。本実施形態では、第1実施形態と異なり、電極122,123,124,125,126,127は、陰極支持体31,32,33および陰極支持体71,72,73を備えていないので、所定の厚みを持ち突起部122a,123a,124a,125a,126a,127aの破壊を免れる程度の強度を有していることが好ましい。
【0075】
本実施形態によれば、固体高分子膜121がゴムパッキンの役割を果たし、また陰極支持体31,32,33及び陽極支持体71,72,73を用いることなく、隣接する電極間の接続を行うようにした。このような構成を採ることにより、部品点数を減らすことが可能であるので、燃料電池スタックの製作工数を減らすことが可能となる。
【0076】
(第3実施形態)
以下、図7及び図8(a),(b)を参照しながら、本発明に係る第3実施形態の燃料電池スタックを説明する。なお、以下の説明では、既出の構成要素については、重複を避けるため説明を省略する。
【0077】
図7は、本発明に係る第3実施形態の燃料電池スタック3を示す分解斜視図である。燃料電池スタック3は、第2実施形態の燃料電池スタック2の薄膜電極集積体120を薄膜電極集積体130で置き換えたものである。
【0078】
薄膜電極集積体130は、固体高分子膜131の両面に陰極132と陽極135、陰極133と陽極136、及び陰極134と陽極137とをそれぞれ対応して配置したものである。陰極132,133,134は、流路形成板20のスリット群22,23,24を介して水素を受け取り可能にそれぞれ配置されている。一方、陽極135,136,137は、それぞれ流路形成板80のスリット群82,83,84を介して空気を受け取り可能に配置されている。
【0079】
固体高分子膜131は、第2実施形態に記載の固体高分子膜121と同様に弾性変形可能に構成されている。また、固体高分子膜121は、流路形成板20の挿通孔101bに対応した位置に複数の挿通孔101hがそれぞれ設けられており、ボルト102を挿通可能に構成されている。すなわち、固体高分子膜131は、ボルト102による締結によって流路形成板20及び80間に挟まれたときに(組立状態で)、ボルト102の締結力により所定量つぶされて、水素流路及び空気(酸素)流路を外界からシールするシール部材(第1実施形態のゴムパッキン40,60)の役割を兼ねるように構成されている。
【0080】
図8(a)は、本実施形態の電極集積体130の表裏両面を便宜上示す説明図であり、図8(b)は、本実施形態の電極集積体130の一部拡大斜視図である。固体高分子膜131には、積層方向に貫通する貫通孔141,142,143,144が燃料電池セル毎に形成されている。
【0081】
本実施形態では、図8(b)において拡大して示すように、陰極132に連続して設けられた接続部132aと隣接する燃料電池セルの陽極136に連続して設けられた接続部136aとが貫通孔142を介して接続されており、また陰極133に連続して設けられた接続部133aと隣接する燃料電池セルの陽極137に連続して設けられた接続部137aとが、貫通孔143を介して接続された構造となっている。このように、本実施形態では、隣接する燃料電池セル間の陽極と陰極同士は、固体高分子膜131内、すなわち燃料電池スタック2内部で電気的に直列に接続されている。
【0082】
以上、本実施形態によれば、隣接する燃料電池セル同士は、燃料電池スタック内部で直列に接続されているので、電極支持体等の突起部を露出させることなく、また外部配線を用いることなく、燃料電池セル間を電気的に接続することが可能である。
【0083】
なお、上記説明においては、貫通孔142内で接続部132a及び136aが貫通孔142の一部を埋めるように接続されているが、貫通孔142内に接続部132a及び136aを圧入して貫通孔をすべて埋めるように構成してもよい。
【0084】
(第4実施形態)
以下、図9及び図10を参照しながら、本発明に係る第4実施形態の燃料電池システムを説明する。なお、以下の説明では、既出の構成要素については、重複を避けるため説明を省略する。
【0085】
図9は、本発明に係る第4実施形態の燃料電池システム200を示す図である。燃料電池システム200は、例えば、家屋に隣接または家屋内に設置される家庭用のコジェネレーションシステムとして用いられるものである。
【0086】
この燃料電池システム200は、水素を生成する水素供給手段としての水素発生装置210と、内部に水(湯)222を貯留する貯湯槽220と、貯湯槽220に一定の水(湯)222が貯留されるように給水する給水機223と、貯湯槽220内に貯留され、温められた水(湯)222を貯湯槽220外へ取り出す給湯機225と、貯湯槽220内の水(湯)222内に固定配置された燃料電池スタック1(2,3)と、燃料電池230から出力される直流出力を交流出力に変換し、商用電源系統に出力する変換回路260とを備えている。
【0087】
水素発生装置210は、燃料電池スタック1(2,3)が発電を行うときに原料の一つとして用いる水素を発生させる装置である。水素発生装置210の水素発生方式としては、メタン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素またはメタノール等の不飽和炭化水素を改質して水素を発生させる方式、ガソリンを改質して水素を発生させる方式、天然ガスを改質して水素を発生させる方式、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族化合物の水素化誘導体から水素を得る方式等があり、各種方式を用いて水素を得るように構成してもよい。
【0088】
また、水素発生装置210としては、高圧容器に水素を直接貯蔵したもの、水素吸蔵合金タンクに水素を貯蔵したもの、高圧の液体水素タンクに液体水素を貯蔵したもの等で構成することも可能である。
この水素発生装置210は、発生させた水素を燃料電池スタック1(2,3)に供給する。また、水素発生装置210で発生した熱は、図示せぬ熱交換器等を介して熱エネルギーとして取り出すことも可能である。例えば、水素発生装置210で発生した熱を用いて、次述の貯湯槽220の水(湯)を温めるようにしても良い。
【0089】
貯湯槽220は、その内部に水(湯)222を蓄えた水槽であり、本燃料電池システムの排熱回収システムの一部を構成している。貯湯槽220の内部には、燃料電池スタック1(2,3)が水(湯)222の中に沈められて収納されている。
ここで、貯湯槽220内の水(湯)222中に沈められる燃料電池スタック1(2)は、燃料電池スタック1(2)から露出している突起部31a,31b,31c,71a,71b,71cが、水(湯)222に濡れないようにカバー部材で覆われている。また、燃料電池スタック1(2,3)は、層間から水(湯)222が燃料電池スタック1(2,3)の内部に侵入しないようにするため、側面及び下面についても、プレート、シール部材等で覆われて構成されている。
燃料電池スタック1(2,3)は、発電により生じた熱をその表面から周囲の水(湯)222に放熱して水(湯)222と直接熱交換を行い、水の温度を上昇させる。これにより、燃料電池スタック1(2,3)の発電により生じた熱エネルギーが貯湯槽内の水の運動エネルギーとして蓄えられる。
【0090】
貯湯槽220には、給水管224を介して、貯湯槽220に水を給水する給水機223と、給湯管226を介して貯湯槽220内部で昇温され温められた水(湯)を貯湯槽220の外部に取り出す給湯機225が隣接して取り付けられている。また、貯湯槽220内部には、水222の水位を測るセンサ227が設けられている。給水機223は、センサ227によって測定された貯湯槽220内部の水位に応じて、適宜水を貯湯槽220内に供給し、貯湯槽220内部の水量が常に一定となるように保つ。給湯機225は、外部からの給湯指示に応じて貯湯槽220内部の湯を取り出し、家屋内部等に供給し、湯として利用できるようにする。
【0091】
変換回路260は、燃料電池スタック1(2,3)が出力した直流を家庭内に供給された商用の系統電力電圧に応じて、交流に変換する変換器である。この変換回路260から出力された交流出力は、家屋内の配線を経由して家屋内外に設置された様々な電気製品に供給される。
【0092】
図10は、変換回路260を示すブロック図である。変換回路260は、インバータ回路261と、連系保護回路262とを備えている。
【0093】
インバータ回路261は、燃料電池スタック1(2,3)から出力された直流電流を交流電流に変換する回路である。ここで、インバータ回路261は、燃料電池スタック1(2,3)から系統連系電圧の1.1〜1.5倍の電圧が送られてくることを前提に設計されており、前段に昇圧用のDC/DCコンバータ等は有しておらず、燃料電池スタック1(2,3)からの直流をそのまま交流に変換し、後段の連系保護装置262を介して外部に出力する。
【0094】
連系保護装置262は、系統側(出力側)及びインバータ回路261からの出力電圧の異常を検出し、異常時にはインバータ回路261を停止させるとともに、系統との連系を速やかに遮断することにより、系統側の安全を確保する装置である。その他、連系保護装置262は、出力周波数の上昇・低下の検出、過不足電圧の検出をはじめ、配電線の停電検出(単独運転検出)等を行う。
【0095】
以上、本実施形態の燃料電池システム200によれば、燃料電池スタック1(2,3)は、貯湯槽220内の水222内に沈められており、発電時の発熱を直接水に伝導する。したがって、熱交換器等の熱交換用の特別な装置を介すことなく直接水を温め湯とすることができるので、構造の複雑かを回避できる。また、燃料電池スタック1(2,3)は、熱交換機等を用いることなく、水222と直接熱交換を行うので、熱変換効率が高く、発生した熱を無駄なく用いて、効率的に水を温めて湯とすることができる。
【0096】
また、燃料電池スタック1(2,3)は、系統連系電圧の1.1〜1.5倍の電圧を出力するように構成されている。したがって、変換回路260に昇圧回路としてのDC/DCコンバータを設けることなく、インバータを構成することが可能となる。このように、燃料電池スタック1(2,3)の出力電圧を予め、系統連系電圧の1.1〜1.5倍と設定しておくことにより、昇圧回路が不要となり、インバータの回路構成を簡素化しインバータのコストダウンを図るが可能となる。
【0097】
上記燃料電池システム200は、家庭用であるとして説明を行ったが、適用範囲はこれに限らず、商業用、工業用等の燃料電池システムとして各種用途に適用することが可能である。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、高分子膜と電極の接合体群は、略同一平面上に配設されており、電極支持体を介して接合体に供給される水素及び酸素をもとに発電を行う。したがって、接合体を積層方向に積層することなく燃料電池スタックを構成することができ、多数の燃料電池セルを並べる場合であっても、積層方向に積層される層の数が少なくてすむ。よって、共締め初期に想定されたシール用の締め付け圧力及び各層間の電気的接触に適した圧力で各層間を共締めすることが可能となり、常に安定した性能を引き出すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の燃料電池スタックの上面図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態の燃料電池スタックの側面図である。
【図3】本発明に係る第1実施形態の燃料電池スタックの分解斜視図である。
【図4】本発明に係る第1実施形態の薄膜電極集積体の上面図である。
【図5】本発明に係る第1実施形態の薄膜電極集積体の部分拡大図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態の燃料電池スタックを示す分解斜視図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態の燃料電池スタックを示す分解斜視図である。
【図8】本発明に係る第3実施形態の薄膜電極集積体を示す図であり、(a)は、薄膜電極集積体の両面を示す説明図であり、(b)はその拡大斜視図である。
【図9】本発明に係る第4実施形態の燃料電池システムを示す図である。
【図10】本発明に係る第4実施形態の変換回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,2,3 燃料電池スタック
10,90 支持体
20,80 流路形成板
31,32,33 陰極支持体
40,60 ゴムパッキン
50,120,130 薄膜電極集積体
51,121,131 固体高分子膜
52a〜52c,122〜124,132〜134 陰極
53a〜53c,125〜127,135〜137 陽極
71,72,73 陽極支持体
200 燃料電池システム
210 水素発生装置
220 貯湯槽
222 水
223 給水機
224 給水管
225 給湯機
226 給湯管
227 センサ
260 変換回路
261 インバータ回路
262 連系保護回路
Claims (7)
- 略同一平面上に配設される、高分子膜と電極の接合体群と、
前記接合体群のそれぞれの電極を支持する電極支持体群と、
前記電極支持体群の、高分子膜を挟んだ一方の側の電極支持体を介して前記接合体に水素を供給する水素供給手段と、
他方の側の電極支持体を介して前記接合体に酸素を供給する酸素供給手段と、を有することを特徴とする燃料電池スタック。 - 前記接合体群が、1枚の高分子膜に複数の電極が貼付されて構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
- 前記水素供給手段及び酸素供給手段のそれぞれは、
前記電極の大きさに合わせて一方向に並行した複数の長孔を有する流路形成板と、
前記長孔に対して垂直方向に並行し、その一部が外部と連通している複数の長溝を有する支持体と、
を備えていることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池スタック。 - 前記支持体が、絶縁体であることを特徴とする請求項3記載の燃料電池スタック。
- 前記電極支持体の周囲に、シール部材を配設したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池スタック。
- 系統連系電圧のピーク電圧の1.1倍〜1.5倍の直流電圧を出力することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池スタック。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックを内部に収容する貯湯槽と、
前記貯湯槽に一定の水が貯留されるように給水する給水手段と、
前記貯湯槽内に貯留された温水を前記貯湯槽外へ取り出す給湯手段と、
を有することを特徴とする燃料電池システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003027319A JP2004241198A (ja) | 2003-02-04 | 2003-02-04 | 燃料電池スタック及び燃料電池システム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006107900A (ja) * | 2004-10-05 | 2006-04-20 | Dainippon Printing Co Ltd | 平面型の高分子電解質型燃料電池用のセパレータ |
JP2006244852A (ja) * | 2005-03-03 | 2006-09-14 | Hitachi Ltd | 燃料電池及びそれを搭載した電子機器 |
-
2003
- 2003-02-04 JP JP2003027319A patent/JP2004241198A/ja active Pending
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JP2006244852A (ja) * | 2005-03-03 | 2006-09-14 | Hitachi Ltd | 燃料電池及びそれを搭載した電子機器 |
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