JP2004240089A - 保護フィルム貼着反射型偏光フィルム及び積層偏光フィルム - Google Patents

保護フィルム貼着反射型偏光フィルム及び積層偏光フィルム Download PDF

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卓 本多
Takuya Nishirai
拓也 西来
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Abstract

【課題】検品しやすい状態で保護フィルムが貼着された保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを提供し、さらに、この保護フィルム貼着反射型偏光フィルムに吸収型偏光フィルムが積層された積層偏光フィルムを提供する。
【解決手段】反射型偏光フィルム21の少なくとも片側に、面内位相差値が
30nm以下である保護フィルム22が貼着されている保護フィルム貼着反射型偏光フィルム10が提供される。保護フィルム22として未延伸のフィルムを用いてもよいし、二軸延伸することで面内位相差値を調整したフィルムを用いてもよい。保護フィルムの表面抵抗は、1×1012Ω/□以下であることが好ましい。保護フィルム貼着反射型偏光フィルム10の反射型偏光フィルム21側には、吸収型偏光フィルム23を積層して、積層偏光フィルム11とすることができ、さらにその外側に光学補償フィルム24を積層することもできる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護フィルムが貼着されている保護フィルム貼着反射型偏光フィルムに関するものである。本発明はまた、この保護フィルム貼着反射型偏光フィルムに、さらに吸収型偏光フィルムが積層されている保護フィルム貼着積層偏光フィルムにも関係している。
【0002】
【従来の技術】
偏光光源装置においては、例えば、特開平 6−51399号公報(特許文献1)、特開平 6−324333 号公報(特許文献2)、特表平 9−511844 号公報(特許文献3)などに記載される如く、輝度向上のために反射型偏光フィルムが広く使用されるに至っている。すなわち、反射型偏光フィルムは、ある種の偏光光を透過し、それと反対の性質を示す偏光光を反射するものであり、この反射型偏光フィルムで反射された光を光源装置に戻して再利用することにより、光の利用効率を高め、表示輝度を向上させるのに利用されている。反射型偏光フィルムは、例えば、特開 2001−228332号公報(特許文献4)に記載されるように、吸収型偏光フィルムと組み合わせて使用されることが多い。偏光光源装置は、この特許文献4にも記載されるように、主として液晶表示装置に使用されている。近年、液晶表示装置は、高輝度化、高精細化が進み、品質に対する要求が高くなってきている。それに伴い、反射型偏光フィルムに対する品質要求も厳しくなってきている。
【0003】
一般に光学フィルムは、その表面に傷付き防止用の保護フィルムが貼着された状態で流通しており、反射型偏光フィルムについても、保護フィルムの貼着を求められることがある。保護フィルムは、使用直前に剥がされるものであり、剥離フィルムとかセパレートフィルムとかとも呼ばれる。そして光学フィルムは、出荷前に、あるいは液晶表示装置などの最終製品に組み込まれる前に、欠陥検査を行うのが普通であるが、この欠陥検査は通常、保護フィルム越しに実施されることになる。
【0004】
例えば、吸収型偏光フィルムの場合には、保護フィルム貼着偏光フィルムを照明にかざして、直接、又は検査用の吸収型偏光フィルム越しに目視観察する透過検品と、保護フィルム貼着偏光フィルムを台の上に置き、そのまま、又は、検査用の吸収型偏光フィルムをさらに上に置いた状態で、照明しながら目視観察する反射検品が行われている。ここで、例えば、異物や傷があった場合には、それが暗い吸収型偏光フィルム上の輝点として識別されることになる。
【0005】
かかる吸収型偏光フィルムについては、その検品精度を上げることを目的として、例えば、特開 2000−180628号公報(特許文献5)には、吸収型直線偏光フィルムの両面に貼着される保護フィルム(剥離フィルム)のうち、少なくとも一方は、一軸に配向し、その遅相軸が直線偏光フィルムの吸収軸に対して0±15°の角度、又は90±15°の角度をなすように貼着することが提案されている。また特開 2000−206327号公報(特許文献6)には、吸収型直線偏光フィルムの両面に貼着される保護フィルム(剥離フィルム)を、ともに面内位相差値が30nm以下のものとすることが提案されている。さらに、特開 2000−206335号公報(特許文献7)には、直線偏光フィルムと位相差フィルムとが積層された積層偏光フィルムの両面に貼着される保護フィルム(剥離フィルム)のうち、少なくとも一方は、一軸に配向したものとすることが提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平6−51399号公報
【特許文献2】特開平6−324333号公報
【特許文献3】特表平9−511844号公報
【特許文献4】特開2001−228332号公報
【特許文献5】特開2000−180628号公報
【特許文献6】特開2000−206327号公報
【特許文献7】特開2000−206335号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一方で、反射型偏光フィルムの場合には、一種のハーフミラーとなるため、そこに異物や傷が発生していても、輝点としての欠陥の検出性に劣る。すなわち、反射型偏光フィルム、又はそれが吸収型偏光フィルムに積層されてなる積層偏光フィルムの欠陥検出は、通常の光学フィルムに比べて困難であった。
【0008】
そこで本発明の目的は、検品しやすい状態で保護フィルムが貼着された保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを提供することにある。本発明のもう一つの目的は、この保護フィルム貼着反射型偏光フィルムに吸収型偏光フィルムが積層された積層偏光フィルムを提供することにある。本発明者らは、反射型偏光フィルムに貼着される保護フィルムの特性を規定することで、欠陥の検出性が良好になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の第一の見地からは、反射型偏光フィルムの少なくとも片側に、面内位相差値が30nm以下である保護フィルムが貼着されている保護フィルム貼着反射型偏光フィルムが提供される。保護フィルムの面内位相差値を30nm以下にするために、保護フィルムとして未延伸のフィルムを用いてもよいし、二軸延伸することで面内位相差値を調整したフィルムを用いてもよい。保護フィルムの表面抵抗は、1×1012Ω/□以下であることが好ましい。保護フィルムのヘイズ率は、10%以下であることが好ましい。
【0010】
反射型偏光フィルムは、直線偏光に対して偏光分離機能を有する反射型直線偏光フィルムであってもよいし、円偏光に対して偏光分離機能を有する反射型円偏光フィルムであってもよいが、反射型直線偏光フィルムに対して、本発明は特に有効である。
【0011】
本発明の第二の見地からは、上記第一の見地で特定される保護フィルム貼着反射型偏光フィルムに、吸収型偏光フィルムが積層されてなる保護フィルム貼着積層偏光フィルムが提供される。この保護フィルム貼着積層偏光フィルムには、その吸収型偏光フィルム側に、さらに光学補償フィルムが積層されていてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明を明確にするため、以下に詳細な説明を行う。本発明に係る保護フィルム貼着反射型偏光フィルムの層構成を、図1に断面模式図で示す。この図に示すように、本発明の保護フィルム貼着反射型偏光フィルム10は、反射型偏光フィルム21に、保護フィルム22が貼着されてなるものである。この保護フィルム22は、面内位相差値が30nm以下のものとする。保護フィルム22の面内位相差値を30nm以下に制限することにより、位相差に基づく着色などの目視検査における障害の発生を防ぐことができる。
【0013】
保護フィルム22の材質は、特に限定されず、公知の材質が使用できる。例えば、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレートのようなアクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂のような環状オレフィン樹脂などを包含する合成高分子、また、二酢酸セルロースや三酢酸セルロースのようなセルロース系樹脂などを包含する天然高分子が挙げられる。保護フィルムは、無色透明であることが好ましいが、面の識別などを目的として、欠陥検出性に支障のない範囲で、有色であっても半透明であってもよい。保護フィルムは、その厚みが薄すぎると、反射型偏光フィルムを保護することができず、一方で、その厚みが厚すぎると、剥離が困難になるので、通常その厚みは、10μm 以上250μm 以下であり、好ましくは25μm 以上、また好ましくは100μm 以下である。
【0014】
保護フィルムの面内位相差値を30nm以下にするための方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができる。例えば、溶剤キャスト法によりフィルムを作製することが考えられる。溶剤キャスト法によれば、フィルム製膜時の応力の発生が少ないため、面内位相差が発生しにくい。他の製膜法として、押出法がある。押出法ではフィルムに応力がかかるため、一般にはフィルムに位相差が発生しやすいが、応力により位相差が発現しにくい樹脂を使うことで、押出法によっても面内位相差値が30nm以下のフィルムを作製することができる。例えば、環状ポリオレフィン系樹脂やセルロース系樹脂は、その骨格から位相差が発現しにくいので、これらを使用すれば、押出法によっても、面内位相差値を30nm以下に抑えることができる。これらの方法によっても面内位相差値が30nmを越えた場合には、後処理により、面内位相差値を低くすることができる。一般に、アニール処理といわれる熱処理は、フィルムに熱をかけることでフィルム内の応力を緩和し、面内位相差値を低下させる効果がある。これらの方法は、保護フィルムを未延伸の状態で、面内位相差値を低くする方法である。
【0015】
本発明では、面内位相差値が見かけ上低ければよいので、面内の直交する2方向に延伸する方法により、面内位相差値を30nm以下にすることもできる。すなわち、一般に二軸延伸といわれる方法により、面内の配向方向のバランスを取ることで、面内位相差値を調整できる。フィルムを二軸延伸するためには、一軸延伸されたフィルムをその延伸方向と直交する方向にさらに延伸すればよい。面内位相差値は、直交する二方向への延伸倍率により調整することができる。この場合の具体的方法も特に制限されず、公知の方法を使用することができる。一般には、縦延伸後に引き続き横延伸する方法、又はその逆に、横延伸後に引き続き縦延伸する方法が採用される。
【0016】
保護フィルム自体に粘着性がある場合には、それを反射型偏光フィルムに圧着するだけで、貼着させることができる。例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、それ自身で粘着性を有するので、面内位相差値を30nm以下にできれば、自粘着性の保護フィルムとして使用することができる。しかし、保護フィルムが例えば、ポリエチレンテレフタレートからなる場合には、圧着のみでは貼着することができない。その場合は、保護フィルム又は反射型偏光フィルムに感圧接着剤を塗布することで、貼着できるようになる。感圧接着剤は、押さえるだけで他物質の表面に接着し、これを被接着面から引き剥がすときには、被接着物に強度さえあればほとんど痕跡を残さずに除去できる粘弾性体であって、粘着剤とも呼ばれるものである。
【0017】
感圧接着剤の種類は特に制限されず、公知のアクリル系感圧接着剤、塩化ビニル系感圧接着剤、合成ゴム系感圧接着剤、天然ゴム系感圧接着剤、シリコーン系感圧接着剤などを使用することができる。なかでも、アクリル系感圧接着剤は、簡便に使用できる感圧接着剤の一つである。
【0018】
アクリル系感圧接着剤は、粘着性を付与する低ガラス転移温度の主モノマー成分、接着性や凝集力を付与する高ガラス転移温度のコモノマー成分、及び架橋や接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする共重合体からなる。主モノマー成分としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルのようなアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルのようなメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。またコモノマー成分としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。官能基含有モノマー成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸のようなカルボキシル基含有モノマーや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−メチロールアクリルアミドのようなヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、グリシジルメタクリレートなどが挙げられる。
【0019】
感圧接着剤は、架橋型のものが好ましい。この場合、例えば、エポキシ系化合物、イソシアナート化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド系化合物のような各種架橋剤を添加して架橋させる方法、放射線を照射して架橋させる方法などが適用でき、これらは、官能基の種類に応じて適宜選択される。さらに、感圧接着剤を構成する主ポリマーの重量平均分子量は、好ましくは60万〜200万程度であり、より好ましくは80万以上、また180万以下である。重量平均分子量が60万未満であると、後述する可塑剤の添加量が多い場合に、感圧接着剤の被接着物への密着性や耐久性が低下する。また、重量平均分子量が200万を越えると、特に可塑剤の量が少ない場合に、感圧接着剤の弾性が高くなって柔軟性が低下し、被接着物が収縮応力を発生する場合には、それを吸収、緩和することができなくなる。
【0020】
感圧接着剤には可塑剤を配合するのが好ましい。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、リン酸トリエステル、グリコールエステルのようなエステル類や、プロセスオイル、液状ポリエーテル、液状ポリテルペン、その他の液状樹脂などが挙げられ、これらのうちの1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。さらに感圧接着剤には、必要に応じて例えば、紫外線吸収剤や光安定剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合することもできる。
【0021】
保護フィルムに帯電防止能を付与すれば、保護フィルムを剥離除去する際に発生する剥離帯電が引き起こす剥離面への再付着や埃の付着を防止できるため、帯電防止処理は好ましい表面処理である。帯電防止能を付与するためには、保護フィルム上への帯電防止剤の塗布、保護フィルム内への帯電防止剤の練り込み、感圧接着剤を使用する場合には、感圧接着剤中への帯電防止剤の練り込みなどにより、行うことができる。帯電防止剤には公知の化合物を使用することができ、例えば、アシロイルアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムナイトレート、アシロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムサルフェート、セチルモルホリニウムメトサルフェート、モノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、トリ長鎖アルキルメチルアンモニウム塩、モノアシロイルアミドアルキルトリメチルアンモニウム塩、トリアルキル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム塩のような陽イオン系界面活性剤や、直鎖アルキルリン酸カリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸カリウム塩、アルカンスルフォン酸塩、脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウム、モノアルキルリン酸エステルナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウムのような陰イオン系界面活性剤、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)−N−アルキルアミン、その脂肪酸エステル誘導体、多価アルコール脂肪酸部分エステル類、アルキルアミノカルボン酸塩、カルボキシベタイン、アルキルベタイン、スルフォベタイン、フォスフォベタインのような非イオン系界面活性剤などを挙げることができる。帯電防止能を判断するための表面抵抗値が1×1012Ω/□以下であれば、十分な性能を発揮することができ、この表面抵抗値は低い方がより好ましい。
【0022】
保護フィルムには、必要に応じて易滑性を付与することもできる。ここでいう易滑性とは、例えば、フィルム同士の真空密着を防ぎ、重ね合わされた状態でも1枚ずつ容易に分離することができるようにする処理である。易滑性を出すためには、保護フィルムの表面に微小な凹凸を設けるのが好ましく、そのためには、保護フィルム上に微粒子を含有する層を形成したり、フィルム内部に微粒子を分散させ、部分的に微粒子を突出させる方法、サンドブラスト法やエンボスロールによる形状転写法など、公知の方法を使用することができる。一方で、易滑性を重視するあまり凹凸形状が多くなりすぎると、保護フィルムに拡散性能が生じ、反射型偏光フィルムにある異物の検出能が低下してしまう。したがって、拡散性能を示す尺度であるヘイズ率が10%以下となるようにするのが好ましく、より好ましくは5%以下、さらに好ましくは3%以下である。なお、ヘイズ率とは、(拡散光線透過率/全光線透過率)×100(%)で表される数値であり、常に0%以上の値を取る。
【0023】
保護フィルム上には、必要に応じて防汚性能を付与することもできる。防汚性能とは、例えば、指紋等の油脂の付着を抑え、また、油脂が付着した場合でもそれを容易に拭き取ることができることを意味し、例えば、純水に対する接触角が90°以上、さらには100°以上であることが好ましい。防汚層の材質は特に限定されず、公知の材質を使用することができる。なかでも、有機ケイ素系化合物やフッ素系化合物からなる層は、簡便に使用できる。具体的には、パーフルオロシラン、フルオロカーボン、フルオロアルキル基又はフルオロシクロアルキル基を有する有機ケイ素化合物、含フッ素エポキシ重合体、エポキシ基含有フルオロシリコン重合体、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステル、含フッ素フマル酸ジエステル、含フッ素不飽和二塩基酸ジエステル、末端シラノールの有機ポリシロキサン、フルオロアルキルアシル基含有のポリシロキサン、パーフルオロアルキルアクリレート若しくはパーフルオロアルキルメタクリレートとアルコキシシラン基を有する単量体との共重合体、長鎖のフルオロアルキル基を有するアクリレート若しくはメタクリレートとシリコン含有の重合性不飽和単量体との共重合体、長鎖のパーフルオロアルキル基若しくはパーフルオロアルキルエーテル基を有する有機シラザンの共重合体、フッ素系界面活性剤を含有する化合物などから形成される層が挙げられる。
【0024】
本発明において使用する反射型偏光フィルムとは、ある種の偏光光を透過し、それと反対の性質を有する偏光光を反射するものである。反射型偏光フィルムには、直線偏光に対して偏光分離機能を有する反射型直線偏光フィルムと、円偏光に対して偏光分離機能を有する反射型円偏光フィルムとがある。
【0025】
反射型直線偏光フィルムは、特定振動方向の直線偏光を透過し、それと直交する振動方向の直線偏光を反射するものである。反射型直線偏光フィルムの偏光透過軸とは、特定振動方向の直線偏光がこの偏光フィルムの垂直方向から入射したときに、透過率が最大となる方向をいい、偏光反射軸とは、それと直交する方向をいう。
【0026】
一方、反射型円偏光フィルムは、ある回転方向の円偏光を透過し、それと逆の方向に回転する円偏光を反射するものである。本発明において反射型円偏光フィルムを使用する場合には、1/4波長位相差フィルムを積層することで、透過光線が円偏光から直線偏光に変換されてから吸収型偏光フィルムに到達するようにするのが好ましい。
【0027】
反射型直線偏光フィルムとしては、例えば、ブリュースター角による偏光成分の反射率の差を利用する反射型偏光フィルム(例えば、特表平 6−508449 号公報に記載のもの)、微細な金属線状パターンを施工した反射型偏光フィルム(例えば、特開平 2−308106 号公報に記載のもの)、少なくとも2種の高分子フィルムが積層され、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム(例えば、特表平 9−506837 号公報に記載のもの)、高分子フィルム中に少なくとも2種の高分子で形成される海島構造を有し、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム(例えば、米国特許第 5,825,543号明細書に記載のもの)、高分子フィルム中に粒子が分散しており、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム(例えば、特表平 11−509014号公報に記載のもの)、高分子フィルム中に無機粒子が分散しており、粒子のサイズによる散乱能差に基づく反射率の異方性を利用する反射型偏光フィルム(例えば、特開平 9−297204 号公報に記載のもの)などが挙げられる。
【0028】
これらのうち、少なくとも2種の高分子フィルムが積層され、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型直線偏光フィルムに相当する市販品の例として、 Minnesota Mining and Manufacturing 社(3M社)製の商品名“DBEF”などがあり、この“DBEF”は日本では住友スリーエム株式会社から入手することができる。また、高分子フィルム中に少なくとも2種の高分子で形成される海島構造を有し、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型直線偏光フィルムに相当する市販品の例として、上記3M社製の商品名“DRPF”などがあり、この“DRPF”も日本では住友スリーエム株式会社から入手することができる。
【0029】
一方、反射型円偏光フィルムとしては、例えば、コレステリック液晶による選択反射特性を利用した反射型偏光フィルム(例えば、特開平 3−45906号公報に記載のもの)などが挙げられる。市販されているコレステリック液晶による選択反射特性を利用した反射型円偏光フィルムの例として、メルク(Merck )社製の商品名“Transmax”や、日東電工株式会社製の商品名“ニポックス”などがある。
【0030】
反射型偏光フィルムの厚みは特に限定されないが、液晶表示素子などにこの偏光フィルムを適用する場合には、薄いほうが好ましい。具体的には1mm以下、さらには0.2mm 以下であるのが好ましい。そこで、少なくとも2種の高分子フィルムを積層した、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型直線偏光フィルムや、高分子フィルム中に少なくとも2種の高分子で構成される海島構造を有し、屈折率異方性による反射率の異方性を利用する反射型直線偏光フィルムは、その厚みを薄くできるため、特に好ましい。
【0031】
本発明の第二の見地による保護フィルム貼着積層偏光フィルム11は、図2に断面模式図を示すように、第一の見地による保護フィルム貼着反射型偏光フィルム10に吸収型偏光フィルム23を積層したものである。この場合、吸収型偏光フィルム23は、保護フィルム貼着反射型偏光フィルム10の反射型偏光フィルム21側に積層される。またこの際、吸収型偏光フィルム23は、その偏光透過軸が、反射型偏光フィルム21の偏光透過軸と略平行になるように積層するのが一般的であるが、半透過半反射性能を付与するために、軸をずらして積層してもよい。ここでいう「略平行」とは、平行、すなわち、両者の偏光透過軸のなす角度が0°であるのが最も好ましいが、±5°程度までであれば許容されることを意味する。半透過半反射性能を付与するために軸をずらす場合は、所望の半透過半反射性能が得られるように軸角度を設定すればよい。
【0032】
積層偏光フィルムに使用される吸収型偏光フィルムとは、特定振動方向の直線偏光を透過し、それと直交する方向の直線偏光を吸収するものである。吸収型偏光フィルムの偏光透過軸とは、特定振動方向の直線偏光がその偏光フィルムの垂直方向から入射したときに、透過率が最大となる方向をいう。
【0033】
このような吸収型偏光フィルムとしては、例えば、公知のヨウ素系偏光フィルムや染料系偏光フィルムが使用できる。ヨウ素系偏光フィルムとは、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素錯体が吸着されたフィルムであり、染料系偏光フィルムとは、延伸したポリビニルアルコールフィルムに二色性染料が吸着されたフィルムである。これらの偏光フィルムは、耐久性向上のため、その片面又は両面を高分子フィルムで被覆したものが好ましい。保護のために被覆する高分子の材質としては、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、環状オレフィン系樹脂などが使用できる。
【0034】
吸収型偏光フィルムの厚みは特に限定されないが、液晶表示素子などに本発明の積層偏光フィルムを使用する場合には、吸収型偏光フィルムは薄いほうが好ましい。具体的には1mm以下、さらには0.2mm 以下であるのが好ましい。
【0035】
本発明の保護フィルム貼着積層偏光フィルムには、図3に断面模式図を示すように、吸収型偏光フィルム23の外側に、さらに光学補償フィルム24を積層することができる。光学補償フィルムとは、液晶表示装置において、色補正又は視野角拡大等の画質を向上させるために使用されるフィルムである。例えば、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、又は二酢酸セルロースや三酢酸セルロースのようなセルロース系樹脂を、一軸又は二軸に延伸してなる位相差フィルム(例えば、住友化学工業株式会社製の商品名“スミカライト”シリーズ)や、三酢酸セルロース上に液晶性化合物を配向させて形成してなる位相差フィルム(例えば、富士写真フィルム株式会社製の商品名“WVフィルム”、新日本石油株式会社製の商品名“LCフィルム”及び“NHフィルム”)などを挙げることができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明の具体的な実施の形態を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中にある保護フィルム、反射型偏光フィルム、吸収型偏光フィルム、及び各種薬剤は、次のとおりである。
【0037】
(1)保護フィルム
・面内位相差値が30nm以下である三酢酸セルロースフィルム: 三酢酸セルロースを溶剤キャスト法によりフィルム状に製膜したものであって、面内位相差値は7nmであり、フィルム法線方向に対する位相差値R と、製膜方向を回転軸として30°傾けた角度で測定した位相差値R30との比R/R30は0.51、厚みは80μm であった。
【0038】
・商品名“東洋紡コスモシャイン A4100”: 東洋紡績株式会社が販売する二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムであり、片面に易滑剤と易密着剤が塗工されている厚み50μmのグレードを用いた。面内位相差値は2,507nmであり、フィルム法線方向に対する位相差値R と、遅相軸方向(面内で屈折率の高い方向)を回転軸として30°傾けた角度で測定した位相差値R30との比 R/R30は1.50であった。
【0039】
・商品名“プロテクトテープ #622−C ”: 積水化学工業株式会社が販売するポリエチレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体の2層フィルムであり、厚みは60μm である。このフィルムについて、位相差値の測定を試みたが、面内の位相差ムラが大きく、数値化はできなかった。
【0040】
(2)反射型偏光フィルム
商品名“DBEF”: 住友スリーエム株式会社が販売する多層積層フィルムからなる輝度向上フィルム。このフィルムは、ある方向の直線偏光を透過し、それと直交する方向の直線偏光を反射する。
【0041】
(3)吸収型偏光フィルム
商品名“スミカラン SRW062A”: 住友化学工業株式会社が販売するポリビニルアルコール−ヨウ素系吸収型偏光フィルム。このフィルムは、ある方向の直線偏光を透過し、それと直交する方向の直線偏光を吸収する。
【0042】
(4)易滑剤原液
綜研化学株式会社が販売するポリアクリレート系樹脂である“M−2000”(商品名)の100重量部(溶剤込み)に対し、富士シリシア化学株式会社が販売するシリカ微粒子“サイロホービック 200”(商品名)を 0.1重量部添加して、易滑剤原液とした。
【0043】
(5)帯電防止剤原液
トリアルキル−2−ヒドロキシエチルアンモニウム塩がペンタエリスリトールとエタノールの混合溶剤に溶解したものを、帯電防止剤原液とした。
【0044】
また、以下の例における光線透過率、ヘイズ率及び表面抵抗の測定方法は、次のとおりである。
【0045】
(a)光線透過率及びヘイズ率
スガ試験機株式会社製のヘイズコンピューター“HGM−2DP ”を用いて、光線透過率とヘイズ率を測定した。
【0046】
(b)表面抵抗
三菱化学株式会社製の“ハイレタ UP MCP−HT450 ”を用い、電圧印加時間10秒にて表面抵抗を測定した。
【0047】
実施例1
面内位相差値が7nmの三酢酸セルロースフィルムにアクリル系感圧接着剤を塗布して、片面に粘着性を有する保護フィルムを作製し、その光線透過率及びヘイズ率、並びに感圧接着剤層が設けられていない面の表面抵抗を測定した。結果を表1に示す。この保護フィルムを感圧接着剤層側で反射型偏光フィルム“DBEF”に貼合し、保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを作製した。この保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを、保護フィルムが上側となるように黒色ゴムシート上に置き、卓上電気スタンドにて照明した。そして、保護フィルム貼着反射型偏光フィルムの上に、検査用の偏光フィルムをかざしながら、欠陥の検査を行った。保護フィルムの位相差による着色はほとんどなく、異物の検出が容易であった。
【0048】
比較例1
面内位相差値が7nmの三酢酸セルロースフィルムに替えて、市販の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム“東洋紡コスモシャイン A4100”を使用した以外は、実施例1と同一の操作にて、片面に粘着性を有する保護フィルムを作製し、その光線透過率及びヘイズ率、並びに感圧接着剤層が設けられていない面の表面抵抗を測定した。結果を表1に示す。この保護フィルムを感圧接着剤層側で反射型偏光フィルム“DBEF”に貼合し、保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを作製した。この保護フィルム貼着反射型偏光フィルムにつき、実施例1と同一の操作で欠陥の検査を行った。目視検査するときの見る角度を変えると、保護フィルムの位相差による着色が発生するため、異物の検出に困難が生じた。
【0049】
比較例2
保護フィルムとして、市販のポリエチレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体の2層フィルムからなる“プロテクトテープ #622−C ”を使用した。なお、この保護フィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体に自粘着性があるため、感圧接着剤は不要である。この保護フィルムの光線透過率及びヘイズ率、並びにポリエチレン側の面の表面抵抗を測定した。結果を表1に示す。この保護フィルムのエチレン−酢酸ビニル共重合体側を反射型偏光フィルム“DBEF”に貼合し、保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを作製した。この保護フィルム貼着反射型偏光フィルムにつき、実施例1と同一の操作で欠陥の検査を行った。保護フィルムの透明性が低いため、反射型偏光フィルムの欠陥を検出することができなかった。
【0050】
実施例2
実施例1で作製した粘着性を有する保護フィルムの感圧接着剤が塗布されていない側の面に易滑剤原液を塗工した後、乾燥することにより、表面に微小な凹凸を有する保護フィルムを作製し、その光線透過率及びヘイズ率、並びに易滑剤塗工面の表面抵抗を測定した。結果を表1に示す。この保護フィルムを用いて、実施例1と同一の操作で保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを作製し、検査を行った。保護フィルムの位相差による着色はほとんどなく、また、表面に微小な凹凸が形成されているものの、ヘイズ率が低いため、欠陥の視認性を低下させることはなく、異物の検出が容易であった。さらには、表面に微小な凹凸が存在することにより、保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを複数枚重ね合わせた場合にも、これらのフィルム同士が付着することはなく、作業性が良好であった。
【0051】
実施例3
実施例2で作製した粘着性を有する保護フィルムの感圧接着剤が塗布されていない側の面(易滑剤塗布面)に、帯電防止剤原液を塗工した後、乾燥することにより、帯電防止性能を有する保護フィルムを作製し、その光線透過率及びヘイズ率、並びに帯電防止剤塗工面の表面抵抗を測定した。結果を表1に示す。この保護フィルムを用いて、実施例1と同一の操作で、保護フィルム貼着反射型偏光フィルムを作製し、検査を行った。保護フィルムの位相差による着色はほとんどなく、また、表面に微小な凹凸が形成されているものの、ヘイズ率が低いため、欠陥の視認性を低下させることはなく、異物の検出が容易であった。さらには、検査終了後に保護フィルムを剥離除去したところ、静電気の発生は少なく、剥離後の保護フィルムが静電気により再び反射型偏光フィルムに付着することもなく、作業性が良好であった。
【0052】
【表1】
Figure 2004240089
【0053】
実施例4
実施例1〜3で作製したそれぞれの保護フィルム貼着反射型偏光フィルムの保護フィルムとは反対側の面に、吸収型偏光フィルム“スミカラン SRW062A”を、両者の偏光透過軸が平行になるようにアクリル系感圧接着剤を用いて貼合することで、保護フィルム貼着積層偏光フィルムが作製できる。この保護フィルム貼着積層偏光フィルムは、保護フィルム側からの反射型偏光フィルムの欠陥検査において、実施例1〜3と同等の検出性を与える。
【0054】
【発明の効果】
本発明の保護フィルム貼着反射型偏光フィルムは、保護フィルムが付いた状態であっても、保護フィルム側から容易に反射型偏光フィルムの欠陥検査を行うことができるため、検品の作業性に優れる。また、それに吸収型偏光フィルムを積層してなる保護フィルム貼着積層偏光フィルムの検品性も同等のものとなり、出荷前検査や液晶表示装置への組み込み前の検査における検査時間を短縮でき、欠陥の見落としを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保護フィルム貼着反射型偏光フィルムの層構成を示す断面模式図である。
【図2】保護フィルム貼着積層偏光フィルムの層構成の例を示す断面模式図である。
【図3】保護フィルム貼着積層偏光フィルムが光学補償フィルムを有する場合の層構成を示す断面模式図である。
【符号の説明】
10……保護フィルム貼着反射型偏光フィルム、
11……保護フィルム貼着積層偏光フィルム、
21……反射型偏光フィルム、
22……保護フィルム、
23……吸収型偏光フィルム、
24……光学補償フィルム。

Claims (8)

  1. 反射型偏光フィルムの少なくとも片側に、面内位相差値が30nm以下である保護フィルムが貼着されていることを特徴とする保護フィルム貼着反射型偏光フィルム。
  2. 保護フィルムが未延伸のフィルムである請求項1に記載の保護フィルム貼着反射型偏光フィルム。
  3. 保護フィルムが二軸延伸されたフィルムである請求項1に記載の保護フィルム貼着反射型偏光フィルム。
  4. 保護フィルムの表面抵抗が、1×1012Ω/□以下である請求項1〜3のいずれかに記載の保護フィルム貼着反射型偏光フィルム。
  5. 保護フィルムのヘイズ率が、10%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の保護フィルム貼着反射型偏光フィルム。
  6. 反射型偏光フィルムは、直線偏光に対して偏光分離機能を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の保護フィルム貼着反射型偏光フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の保護フィルム貼着反射型偏光フィルムに、吸収型偏光フィルムが積層されてなることを特徴とする保護フィルム貼着積層偏光フィルム。
  8. 吸収型偏光フィルム側に、さらに光学補償フィルムが積層されている請求項7に記載の保護フィルム貼着積層偏光フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018165840A (ja) * 2014-07-16 2018-10-25 日東電工株式会社 積層光学フィルムの製造方法

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