JP2004239979A - 強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法および光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】周期性がよくかつ良好なエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法およびこの二次元フォトニック結晶を使用した光素子を提供する。
【解決手段】酸化物単結晶からなる基板と非晶質酸化物または半導体からなる二次元周期構造部によってモールドを構成し、このモールド上に結晶化温度より低い温度で化学的気相成長法でアモルファス膜を形成し、このアモルファス膜を結晶化温度以上に加熱させることによって、エピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】酸化物単結晶からなる基板と非晶質酸化物または半導体からなる二次元周期構造部によってモールドを構成し、このモールド上に結晶化温度より低い温度で化学的気相成長法でアモルファス膜を形成し、このアモルファス膜を結晶化温度以上に加熱させることによって、エピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光素子などに使用される二次元フォトニック結晶に関し、より詳しくは、強誘電体薄膜からなる二次元フォトニック結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の波長程度の周期構造を有するフォトニック結晶は、フォトニックバンドギャップを持ち、これを利用することによって高効率かつ小型の光素子を作成可能であることから近年注目されている。
【0003】
フォトニック結晶は二次元あるいは三次元周期構造を持ち、現在のところ半導体を用いて周期構造を作成する方法が多く提案されている。半導体でフォトニック結晶を作成した場合、帯域波長は一定であり、これを変化させることはできない。
【0004】
これに対し、液晶を用いたフォトニック結晶が検討されている。液晶は電界を印加することによって屈折率が変化する性質を持つため、帯域波長が変化する光デバイスを作成することが可能である。しかし、液晶を用いた場合には電界の変化に対する応答速度がミリ秒オーダーであり、より高い応答速度が求められている。
【0005】
そこで、電界の変化に対してナノ秒オーダーで応答する強誘電体薄膜を用いたフォトニック結晶が特許文献1や特許文献2などにおいて提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−72414号公報
【特許文献2】
特開2000−284136号公報
【特許文献3】
特開平9−329722号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
強誘電体薄膜は電気光学効果や非線型光学効果などの性質を持ち、従来から光スイッチや光変調素子などに用いられている。強誘電体薄膜を光学素子に応用する場合には、低伝播損失化を図ることと、単結晶並みの光学特性を持つ薄膜の作製が不可欠である。
【0008】
低伝播損失化のためには強誘電体薄膜をエピタキシャル膜とすることが有効であり、LiTaO3、PbTiO3、BaTiO3、PbZrXTi(1−X)O3(PZT)などのエピタキシャル強誘電体薄膜の製造法としては、MOCVD法、RF−マグネトロンスパッタリング法などを用いる気相エピタキシャル成長法が従来からある。
【0009】
このうちMOCVD法では、SrTiO3、LiTaO3、サファイア(Al2O3)などの基板上にエピタキシャル強誘電体薄膜を成膜することが可能である。これらの材料からなる平坦な基板上にエピタキシャル強誘電体薄膜を成膜し、イオンミリングや反応性イオンエッチングなどによって二次元周期構造にパターニングして、強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を製造するという方法が考えられる。しかしこの方法では、二次元フォトニック結晶を光素子として使用する場合に要求されるサブミクロンオーダーの周期構造をアスペクト比よく形成することは難しい。またこれらの方法で強誘電体薄膜をパターニングするには塩素系の反応性の高いガスを用いるため、管理が難しい。
【0010】
あるいは、二次元周期構造を持つモールド上にMOCVD法によってエピタキシャル強誘電体薄膜を成膜するという方法も考え得るが、上述のSrTiO3などはエッチング等によって加工することが難しく、これらの材料でサブミクロンオーダーの二次元周期構造を持つモールドを作製することは困難である。
【0011】
また、RF−マグネトロンスパッタリング法は、立体的な構造物上にエピタキシャル膜を成膜することはできるが段差被覆性が悪く、モールドの二次元周期構造の精密な反転構造を形成することが難しいという問題があった。
【0012】
有機金属化合物のゾル液を塗布した後、加熱処理によって薄膜を得る固相成長法(ゾルゲル法)があり、例えば特許文献3の技術などがある。
【0013】
ゾルゲル法によって作製されるエピタキシャル強誘電体薄膜を二次元周期構造にするためには、イオンミリングや反応性イオンエッチングなどによって強誘電体薄膜をパターニングする方法がある。しかしこの方法では、上述したようにサブミクロンオーダーの周期構造をアスペクト比よく形成することは難しい、使用する塩素系ガスの管理が難しいといった問題がある。
【0014】
別の方法としては、特許文献1に記載されているように、Siなどの微細加工が可能な材料を用いて周期構造を有するモールドを作製し、このモールドを用いて周期構造を有するエピタキシャル膜を成膜する方法がある。しかしこの方法では、ゲル中に含まれる有機成分を乾燥、分解する際にゲルの不均一な収縮が発生するために周期構造を精密に形成することが難しく、フィルタ特性などのフォトニック結晶の特性を十分に発揮できないという問題がある。加えて、ゾルゲル法で一度の熱処理でエピタキシャル結晶性を維持できる限界の厚みには限界があり、その限界を超えた場合には結晶が無配向化してしまい、結晶粒界での散乱によって伝播損失が増大する。二次元フォトニック結晶を光デバイスとして用いる場合には、光を閉じ込めるために一定以上の厚みが必要であり、その厚みとしては一般には500nm以上の厚みを有することが好ましいとされる。しかしながら、ゾルゲル法によってエピタキシャル結晶性を維持しつつ500nmを超える膜を成膜することは現状ではできていない。
【0015】
特許文献2に記載された方法では、周期構造を持ったモールドにMOCVD法によって成膜する方法が開示されているが、具体的な成膜条件は開示されておらず、十分な膜厚のエピタキシャル膜を得ることはできない。
【0016】
そこで本発明の目的は、周期性がよくかつ良好なエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法は、二次元周期構造を有するモールド上に強誘電体薄膜を形成してなる強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法であって、前記モールド上に化学的気相成長法によって結晶化温度より低い温度でアモルファス膜を形成し、結晶化温度よりも高い温度に加熱して前記アモルファス膜をエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜とすることを特徴とする。
【0018】
化学的気相成長法(MOCVD法)によって、結晶化温度よりも低い温度でモールド上に原料を供給すると、原料ガスに含まれる有機成分はモールド上で揮発分解し、モールド上には金属イオンと酸素イオンが混合されたアモルファス膜が形成される。ここで、結晶化温度とは、原料が強誘電体薄膜として結晶化するために必要とする温度を指す。この温度よりも低い温度で成膜することにより、原料はただちに強誘電体薄膜とはならず、結晶化していないアモルファス膜の状態となる。
【0019】
次に、結晶化温度よりも高い温度に加熱してアモルファス膜をエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜とする。この方法により、例えば500nm以上といった十分な膜厚を持ったエピタキシャル強誘電体薄膜を一回の成膜工程でモールド上に形成することができる。
【0020】
このとき、前記モールドの表面の少なくとも一部はぺロブスカイト型構造を有する酸化物単結晶からなることが好ましい。エピタキシャル成長では、下地になるモールドの結晶構造の影響を受けて結晶成長するため、強誘電体の3軸配向膜をエピタキシャル成長させるためには、モールドの表面のうち少なくとも一部はぺロブスカイト型構造を有することが好ましい。ぺロブスカイト型構造を有する物質として、具体的にはSrTiO3単結晶を用いることができる。
【0021】
また、本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法は、二次元周期構造を有するモールド上に強誘電体薄膜を形成してなる強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法であって、前記モールドは少なくとも最上層が酸化物単結晶である基板と、非晶質酸化物または半導体からなる二次元周期構造部とからなり、前記モールド上に化学的気相成長法によってエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜を形成することを特徴とする。
【0022】
強誘電体薄膜をエピタキシャル成長させるためには、下地となる基板の少なくとも最上層が酸化物単結晶である必要がある。しかし、ここで例えばモールドの全体を酸化物単結晶で形成した場合、すなわち、基板と二次元周期構造部とを酸化物単結晶で一体的に形成した場合、強誘電体薄膜は下面だけではなく側面にも配向して結晶成長する虞があるため、光素子として用いたときに散乱損失が少ない3軸配向膜を形成することが難しい。
【0023】
そこで本発明では、モールドを、少なくとも最上層が酸化物単結晶からなる基板と、非晶質酸化物または半導体からなる二次元周期構造部とで形成する。基板表面の酸化物単結晶からの結晶化活性化エネルギーと、非晶質酸化物または二次元周期構造部の結晶化活性化エネルギーとでは、基板表面からの結晶化活性化エネルギーのほうが低いため、基板からの結晶成長が選択的に起こる。これにより、3軸配向したエピタキシャル強誘電体薄膜を得ることができる。
【0024】
非晶質酸化物としては例えばSiO2を用いることができ、半導体としてはSiやGaAsを用いることができる。
【0025】
なお、本明細書において「化学的気相成長法によってエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜を形成する」とは、化学的気相成長法によって結晶化温度以上の温度でエピタキシャル強誘電体薄膜を形成する場合に加えて、化学的気相成長法によってアモルファス膜を形成した後にアモルファス膜を結晶化させてエピタキシャル強誘電体薄膜を得る場合も含むものとする。
【0026】
本発明では、前記基板はぺロブスカイト型構造を有する酸化物単結晶からなることが好ましい。本発明の方法では、強誘電体薄膜は基板から選択的に結晶化するためである。
【0027】
ただし、基板は必ずしもぺロブスカイト型構造を有する物質でなければならないものではなく、結晶構造が異なるがぺロブスカイト型構造化合物が(011)方位にエピタキシャル成長するR面サファイア(Al2O3)単結晶基板などを使用することも可能である。また、LiTaO3単結晶基板もぺロブスカイト型構造化合物をエピタキシャル成長させることができる。
【0028】
さらに前記基板はぺロブスカイト型構造を有する導電性の酸化物単結晶からなることが好ましい。
【0029】
強誘電体は外部からの電界によって屈折率が変化する性質を持つが、基板を導電性の物質とすれば、基板を電界を印加するするための電極として用いることができる。
【0030】
導電性を有する酸化物単結晶基板として具体的には、NbやLaを添加したSrTiO3基板などを用いることができる。
【0031】
また、前記基板は複数の層からなり、そのうちの少なくとも一層は導電性を有する物質であることが好ましい。
【0032】
基板の中にある導体層を、強誘電体薄膜に電界を印加するための電極として用いることができる。
【0033】
また、前記基板は複数の層からなり、そのうちの少なくとも最上層はぺロブスカイト型構造を有する単結晶であることが好ましい。本発明の方法では、強誘電体薄膜は基板から選択的に結晶化するためである。
【0034】
また、強誘電体薄膜としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)またはチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)を好適に用いることができる。チタン酸ジルコン酸鉛およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛は、ぺロブスカイト型構造を有する強誘電体である。
【0035】
さらに本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法は、強誘電体薄膜上にさらに導電性物質からなる上部電極を形成することを特徴とする。
【0036】
導電性の基板、あるいは基板の中の導電性を有する層を下部電極とし、上部電極と下部電極の間に発生させた電界を変化させることにより、強誘電体薄膜の屈折率を変化させることができる。
【0037】
さらにまた、このような方法で製造した強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を光素子として利用することにより、外部から電界を印加することによって帯域波長をナノ秒オーダーで変化させることができ、かつ損失の少ない光素子を得ることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下において図を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造工程を示す模式断面図である。
【0039】
まず、図1(a)に示す酸化物単結晶からなる基板10を用意し、図1(b)に示すようにCVD法や火炎堆積法などにより厚みが0.5〜3μm程度の非晶質酸化物膜20aを形成する。非晶質酸化物膜20aの代わりに半導体膜を用いてもよい。
【0040】
酸化物単結晶の基板10としては、ぺロブスカイト型構造を有する材質を用いることが好ましく、SrTiO3などが使用可能であるが、より好ましくは基板材料の格子定数がその上に形成される強誘電体の格子定数より小さくなるような、SrTiO3もしくはNbやLaを添加した導電性のSrTiO3を使用する。
【0041】
ぺロブスカイト型構造を有する基板10を用いることが好ましい理由は、基板10が強誘電体薄膜と同じ結晶構造を有することにより、結晶構造の異なる基板10を用いる場合に比べて基板と強誘電体薄膜の格子定数の差が小さくなり、エピタキシャル結晶化を容易に進行させることができるからである。
【0042】
また、格子定数が強誘電体薄膜の格子定数よりも小さい基板10を用いることが好ましい理由は、強誘電体薄膜の、基板に平行な軸の結晶格子が圧縮され、これに伴って基板10に垂直な軸は伸張して分極軸が基板に垂直方向に揃いやすくなるからである。
【0043】
なお、ぺロブスカイト型構造を有する材料ではなくても、イルメナイト構造を有するLiNbO3、LiTaO3や、サファイア(Al2O3)からなる基板を用いることも可能である。
【0044】
次に、フォトリソグラフィーによって所定形状のレジスト膜を形成し、反応性イオンエッチングなどによって非晶質酸化物膜20aの一部を除去する。これにより、非晶質酸化物膜は図1(c)に示すように二次元方向に一定の周期を持った、二次元周期構造部20bとなる。基板10と、この二次元周期構造部20bとでモールド30を構成している。
【0045】
二次元周期構造部20bは例えば円柱状の非晶質酸化物膜が三角格子状、あるいは正方格子状などに規則正しく配列された構造とすることができる。また、一部分に円柱の配列が不規則になっている部分を設けることもできる。本明細書では、一部分において周期構造が乱されているものも含めて二次元周期構造と呼ぶこととする。
【0046】
次に、このモールド30上にMOCVD法によってアモルファス膜を形成する。このとき、モールド30の温度は300℃〜450℃とすることが好ましい。モールド30の温度が300℃未満であると膜中に未分解の有機成分や炭素原子が残存する虞がある。また、450℃を超える場合には原料をモールド30上に供給したときにただちに結晶化が起こる虞がある。
【0047】
アモルファス膜の原料としては、Ba,Sr,Pb,La,K,Ti,Zr,Nb,Taなどの金属アルコキシドまたは金属塩を用いることができる。
【0048】
また、成膜速度は200nm/min以下が好ましく、表面の平滑性と結晶性の良好な薄膜を成膜するという観点からは100nm/min以下がより好ましい。
【0049】
次に、アモルファス膜を、基板10からの結晶化が優先的に起こる600℃〜800℃に加熱し、アモルファス膜を結晶化させて図1(d)に示すようにエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜40を得る。強誘電体薄膜40は例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)などである。
【0050】
この方法によれば、ゾルゲル法と異なりアモルファス膜中にはエピタキシャル成長を阻害する有機成分を含まないため、膜厚が500nmを超えていてもエピタキシャル結晶性を損なうことはない。また、アモルファス膜を結晶化する際の体積変化はほとんど起こらないため、強誘電体薄膜40は精度のよい二次元周期構造となる。
【0051】
図2(a)はYカットLiNbO3基板上に上記の方法でPZT膜を成膜したときのXRD回析パターンである。PZT膜の回析ピークは面方位(112)に関係する回析ピークのみが認められる。また、図2(b)はこのときの極点図であるが、PZT膜が3軸配向していることがわかる。
【0052】
また、図3にはZカットLiNbO3基板上に上記の方法でPZT膜を成膜したときのXRD回析パターンを示す。回析ピークから、PZT膜は面方位(111)に配向していることがわかる。なお、この場合にも極点図から、PZT膜は3軸配向膜となっていることを確認した。
【0053】
さらに、図4にはR面サファイア(Al2O3)基板にPZTを成膜したときのXRD回析パターンを示す。回析ピークから、PZT膜は面方位(011)に配向していることがわかる。なお、この場合にも極点図から、PZT膜は3軸配向膜となっていることを確認した。
【0054】
非晶質酸化物からなる二次元周期構造部20bは特に除去する必要はないが、除去する場合には以下のように行う。二次元周期構造部20bを除去する工程について図5を参照しつつ説明する。なお以下の工程においては、二次元周期構造部20bを除去すると共に、強誘電体薄膜30上に上部電極を形成しているが、上部電極は必ずしも必要ではなく、また、上部電極を適当な別の方法によって形成することも可能である。
【0055】
まず、図5(a)に示すように、表面の凹凸を埋めるためにスピンコートによってレジスト膜50を形成する。このときレジスト膜50の材質は強誘電体膜40とエッチング速度が同じものを選択する必要がある。
【0056】
次に、図5(b)に示すようにイオンミリングなどの等方性エッチングにより、二次元周期構造部20bの上面が露出するまでエッチバックする。
【0057】
次に、リフトオフ法などの適当な公知の技術によって、図5(c)に示すように強誘電体薄膜40の上に上部電極60を形成する。上部電極60の材料としては例えばSrRuO3を用いることができる。
【0058】
そして、反応性イオンエッチングによって二次元周期構造部20bを選択的に除去して、図5(d)に示すような強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶となる。なおこのときの反応性イオンエッチングでは、従来の技術とは違って強誘電体薄膜40をエッチングするのではないため、エッチングガスとして、反応性が高く管理が難しいCl系のガスを用いる必要はない。
【0059】
【実施例】
(実施例1)ここで、再び図1を参照してより具体的に本発明の第1の実施例について説明する。
【0060】
まず、図1(a)にあるように、Nbを添加した単結晶SrTiO3からなる基板10を用意する。この基板10は導電性であるので、後に説明する下部電極を兼ねることになる。
【0061】
次に、図1(b)に示すように基板10上に非晶質のSiO2からなる二次元周期構造部20bを形成する。Nb添加単結晶SrTiO3からなる基板10と非晶質のSiO2からなる二次元周期構造部20bとでモールド30を構成している。
【0062】
次に、図1(c)に示すように、PZTからなる強誘電体薄膜40を成膜する。具体的には、400℃に加熱したモールド30上に、Pb(DPM)2,Zr(O−t−Bu)4,Ti(O−i−Pr)4を原料として膜形成速度40nm/minの条件でアモルファス膜を形成し、酸素フロー中500℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、一定時間保持したのち冷却することでアモルファス膜を結晶化させてエピタキシャルPZT膜を成膜する。
【0063】
このとき、強誘電体薄膜40はモールド30の底面である酸化物単結晶(Nb添加SrTiO3)の基板10から選択的に結晶成長し、3軸配向したエピタキシャル結晶となる。
【0064】
そして、上述の方法(図5(a)〜(c)参照)で二次元周期構造部20bを除去した後、強誘電体薄膜40上に上部電極60となる導電性の膜を成膜する。上部電極60の材料としては、例えばSrRuO3を用いることができる。
【0065】
このようにして、図5(d)に示すような、下部電極(ここでは、基板10が下部電極となっている)と上部電極60との間に印加される電界に応じて強誘電体膜40の屈折率が変化し、ナノ秒オーダーの応答速度で帯域波長を変化させることのできる強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を得ることができる。
【0066】
(実施例2)図6は本発明の第2の実施例の各工程を示す模式断面図である。まず、図6(a)に示すように絶縁性のYカットLiNbO3単結晶11を用意する。次に、図6(b)に示すようにLiNbO3単結晶11上にエピタキシャルSrRuO3膜12、エピタキシャルPbZr0.65Ti0.35O3膜13を成膜した。本実施例では基板10はY板LiNbO3単結晶11、SrRuO3膜12、PbZr0.65Ti0.35O3膜13からなる3層構造であり、最上層のPbZr0.65Ti0.35O3膜13はぺロブスカイト型構造の単結晶である。
【0067】
なお、SrRuO3は導電性の物質で、ぺロブスカイト型構造化合物であり、YカットLiNbO3上で(112)方位でエピタキシャル成長するPZTと同じ結晶構造を有している。このSrRuO3膜13は下部電極となる。
【0068】
基板10が2層以上の多層構造を有する場合、そのうちの少なくとも一層は下部電極として機能し得る導電性の材料であることが好ましい。また、基板10の最上層はぺロブスカイト型構造を有する単結晶であることが好ましい。
【0069】
次に、基板10の上面、すなわちぺロブスカイト型構造を有する単結晶となっている面に非晶質のSiO2からなる二次元周期構造部20bを形成し、図6(c)に示すモールド30を完成させる。さらに、図6(d)に示すようにモールド30上にPbZr0.55Ti0.45O3からなる強誘電体膜40を成膜する。このとき、強誘電体薄膜40は、二次元周期構造部20bが形成されている面に成膜する。
【0070】
次に、上述した方法あるいはその他の適当な方法によって二次元周期構造部20bを除去し、強誘電体薄膜40上にSrRuO3からなる上部電極60を成膜して強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を得ることができる。
【0071】
本実施例において、前記の2種類のPZT膜(PbZr0.65Ti0.35O3膜13およびPbZr0.55Ti0.45O3からなる強誘電体膜40)の具体的な成膜方法は実施例1と同様であるが、原料へのキャリアガスの供給量を調整して原料の蒸発割合を異ならせることによってPZT中のZrとTiの比率を設定できる。PZTにおいては、屈折率がZrとTiのモル比によって変化し、Ti/(Zr+Ti)の値が大きいほど屈折率が大きくなる。すなわち、基板10表面のPbZr0.65Ti0.35O3膜13よりもPbZr0.55Ti0.45O3からなる強誘電体薄膜40のほうが屈折率が大きく、光が二次元周期構造体(強誘電体薄膜40)側に集中し、基板10側への光の漏洩が抑えられる。
【0072】
基板10の第1層目としてはR面のサファイア(Al2O3)基板を用いることもできる。このときには、二種類のPZT膜は共に(011)方位でエピタキシャル成長することになる。
【0073】
(実施例3)次に本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を利用した光素子の例として光導波路について説明する。
【0074】
図7(a)は光導波路を示す平面図であり、図7(b)はb−b線断面図である。図7(a)および(b)において、光導波路は基板10、強誘電体薄膜40、上部電極60とからなり、強誘電体膜40および上部電極60には正方格子状に円柱孔90が形成されている。この光導波路は実施例1の方法によって製造されたものであり、すなわち、基板10はNb添加単結晶SrTiO3、強誘電体薄膜40はPZT、上部電極60はSrRuO3からなる。
【0075】
屈折率もしくは誘電率が周期的に変化する二次元フォトニック結晶は電磁波に対する干渉作用を示し、特定周波数領域の電磁波を遮断する。この場合、禁止帯はフォトニックバンドギャップと呼ばれる。この作用を利用し、このような導波路は所定周波数帯の電磁波の透過を遮断するカットオフフィルタなどとして用いることができる。
【0076】
従来の半導体などからなる二次元フォトニック結晶では、減衰される所定の周波数は、二次元周期構造の寸法やこれを形成する材料の屈折率によってあらかじめ定められている。これに対し本発明の光導波路では、上部電極60と下部電極(ここでは基板10が下部電極となる)とによって印加される電界によって強誘電体膜40の屈折率が変化するから、通過帯域を変化させることのできる光導波路が実現される。
【0077】
図7(c)には別の光導波路の例を示し、図7(d)はそのd−d線断面図である。ここでは、円柱孔90が配置されていない線状欠陥80が設けられており、線状欠陥80が途中で分岐されている。入射光90はこの分岐部分で分岐することになり、この光導波路は分波路として機能している。
【0078】
本発明の光素子では、通過帯域を変化させることができ、かつ、強誘電体薄膜40はエピタキシャル成長した単結晶であることから、伝播損失の少ない光素子となっている。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法によれば、モールド上にMOCVD法によって強誘電体薄膜をエピタキシャル成長させて単結晶膜とすることによって、結晶粒界での散乱損失のない強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を得ることができる。
【0080】
また、本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を光素子に用いることにより、通過帯域を変化させることができ、かつ、伝播損失の少ない光素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法の各工程を示す模式断面図である。
【図2】YカットLiNbO3からなる基板上にPZT膜を成膜したときのXRD回析パターンおよび極点図である。
【図3】ZカットLiNbO3からなる基板上にPZT膜を成膜したときのXRD回析パターンである。
【図4】R面サファイア基板上にPZTを成膜したときのXRD回析パターンである。
【図5】二次元周期構造部を除去すると共に上部電極を形成する工程を示す模式断面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法の各工程を示す模式断面図である。
【図7】本発明に係る光素子の一例として、光導波路を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
10 基板
11 LiNbO3単結晶
12 SrRuO3膜
13 PbZr0.65Ti0.35O3膜
20a 非晶質酸化物膜
20b 二次元周期構造部
30 モールド
40 強誘電体薄膜
50 レジスト膜
60 上部電極
70 円柱孔
80 線状欠陥
90 入射光
【発明の属する技術分野】
本発明は、光素子などに使用される二次元フォトニック結晶に関し、より詳しくは、強誘電体薄膜からなる二次元フォトニック結晶に関する。
【0002】
【従来の技術】
光の波長程度の周期構造を有するフォトニック結晶は、フォトニックバンドギャップを持ち、これを利用することによって高効率かつ小型の光素子を作成可能であることから近年注目されている。
【0003】
フォトニック結晶は二次元あるいは三次元周期構造を持ち、現在のところ半導体を用いて周期構造を作成する方法が多く提案されている。半導体でフォトニック結晶を作成した場合、帯域波長は一定であり、これを変化させることはできない。
【0004】
これに対し、液晶を用いたフォトニック結晶が検討されている。液晶は電界を印加することによって屈折率が変化する性質を持つため、帯域波長が変化する光デバイスを作成することが可能である。しかし、液晶を用いた場合には電界の変化に対する応答速度がミリ秒オーダーであり、より高い応答速度が求められている。
【0005】
そこで、電界の変化に対してナノ秒オーダーで応答する強誘電体薄膜を用いたフォトニック結晶が特許文献1や特許文献2などにおいて提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−72414号公報
【特許文献2】
特開2000−284136号公報
【特許文献3】
特開平9−329722号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
強誘電体薄膜は電気光学効果や非線型光学効果などの性質を持ち、従来から光スイッチや光変調素子などに用いられている。強誘電体薄膜を光学素子に応用する場合には、低伝播損失化を図ることと、単結晶並みの光学特性を持つ薄膜の作製が不可欠である。
【0008】
低伝播損失化のためには強誘電体薄膜をエピタキシャル膜とすることが有効であり、LiTaO3、PbTiO3、BaTiO3、PbZrXTi(1−X)O3(PZT)などのエピタキシャル強誘電体薄膜の製造法としては、MOCVD法、RF−マグネトロンスパッタリング法などを用いる気相エピタキシャル成長法が従来からある。
【0009】
このうちMOCVD法では、SrTiO3、LiTaO3、サファイア(Al2O3)などの基板上にエピタキシャル強誘電体薄膜を成膜することが可能である。これらの材料からなる平坦な基板上にエピタキシャル強誘電体薄膜を成膜し、イオンミリングや反応性イオンエッチングなどによって二次元周期構造にパターニングして、強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を製造するという方法が考えられる。しかしこの方法では、二次元フォトニック結晶を光素子として使用する場合に要求されるサブミクロンオーダーの周期構造をアスペクト比よく形成することは難しい。またこれらの方法で強誘電体薄膜をパターニングするには塩素系の反応性の高いガスを用いるため、管理が難しい。
【0010】
あるいは、二次元周期構造を持つモールド上にMOCVD法によってエピタキシャル強誘電体薄膜を成膜するという方法も考え得るが、上述のSrTiO3などはエッチング等によって加工することが難しく、これらの材料でサブミクロンオーダーの二次元周期構造を持つモールドを作製することは困難である。
【0011】
また、RF−マグネトロンスパッタリング法は、立体的な構造物上にエピタキシャル膜を成膜することはできるが段差被覆性が悪く、モールドの二次元周期構造の精密な反転構造を形成することが難しいという問題があった。
【0012】
有機金属化合物のゾル液を塗布した後、加熱処理によって薄膜を得る固相成長法(ゾルゲル法)があり、例えば特許文献3の技術などがある。
【0013】
ゾルゲル法によって作製されるエピタキシャル強誘電体薄膜を二次元周期構造にするためには、イオンミリングや反応性イオンエッチングなどによって強誘電体薄膜をパターニングする方法がある。しかしこの方法では、上述したようにサブミクロンオーダーの周期構造をアスペクト比よく形成することは難しい、使用する塩素系ガスの管理が難しいといった問題がある。
【0014】
別の方法としては、特許文献1に記載されているように、Siなどの微細加工が可能な材料を用いて周期構造を有するモールドを作製し、このモールドを用いて周期構造を有するエピタキシャル膜を成膜する方法がある。しかしこの方法では、ゲル中に含まれる有機成分を乾燥、分解する際にゲルの不均一な収縮が発生するために周期構造を精密に形成することが難しく、フィルタ特性などのフォトニック結晶の特性を十分に発揮できないという問題がある。加えて、ゾルゲル法で一度の熱処理でエピタキシャル結晶性を維持できる限界の厚みには限界があり、その限界を超えた場合には結晶が無配向化してしまい、結晶粒界での散乱によって伝播損失が増大する。二次元フォトニック結晶を光デバイスとして用いる場合には、光を閉じ込めるために一定以上の厚みが必要であり、その厚みとしては一般には500nm以上の厚みを有することが好ましいとされる。しかしながら、ゾルゲル法によってエピタキシャル結晶性を維持しつつ500nmを超える膜を成膜することは現状ではできていない。
【0015】
特許文献2に記載された方法では、周期構造を持ったモールドにMOCVD法によって成膜する方法が開示されているが、具体的な成膜条件は開示されておらず、十分な膜厚のエピタキシャル膜を得ることはできない。
【0016】
そこで本発明の目的は、周期性がよくかつ良好なエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法は、二次元周期構造を有するモールド上に強誘電体薄膜を形成してなる強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法であって、前記モールド上に化学的気相成長法によって結晶化温度より低い温度でアモルファス膜を形成し、結晶化温度よりも高い温度に加熱して前記アモルファス膜をエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜とすることを特徴とする。
【0018】
化学的気相成長法(MOCVD法)によって、結晶化温度よりも低い温度でモールド上に原料を供給すると、原料ガスに含まれる有機成分はモールド上で揮発分解し、モールド上には金属イオンと酸素イオンが混合されたアモルファス膜が形成される。ここで、結晶化温度とは、原料が強誘電体薄膜として結晶化するために必要とする温度を指す。この温度よりも低い温度で成膜することにより、原料はただちに強誘電体薄膜とはならず、結晶化していないアモルファス膜の状態となる。
【0019】
次に、結晶化温度よりも高い温度に加熱してアモルファス膜をエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜とする。この方法により、例えば500nm以上といった十分な膜厚を持ったエピタキシャル強誘電体薄膜を一回の成膜工程でモールド上に形成することができる。
【0020】
このとき、前記モールドの表面の少なくとも一部はぺロブスカイト型構造を有する酸化物単結晶からなることが好ましい。エピタキシャル成長では、下地になるモールドの結晶構造の影響を受けて結晶成長するため、強誘電体の3軸配向膜をエピタキシャル成長させるためには、モールドの表面のうち少なくとも一部はぺロブスカイト型構造を有することが好ましい。ぺロブスカイト型構造を有する物質として、具体的にはSrTiO3単結晶を用いることができる。
【0021】
また、本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法は、二次元周期構造を有するモールド上に強誘電体薄膜を形成してなる強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法であって、前記モールドは少なくとも最上層が酸化物単結晶である基板と、非晶質酸化物または半導体からなる二次元周期構造部とからなり、前記モールド上に化学的気相成長法によってエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜を形成することを特徴とする。
【0022】
強誘電体薄膜をエピタキシャル成長させるためには、下地となる基板の少なくとも最上層が酸化物単結晶である必要がある。しかし、ここで例えばモールドの全体を酸化物単結晶で形成した場合、すなわち、基板と二次元周期構造部とを酸化物単結晶で一体的に形成した場合、強誘電体薄膜は下面だけではなく側面にも配向して結晶成長する虞があるため、光素子として用いたときに散乱損失が少ない3軸配向膜を形成することが難しい。
【0023】
そこで本発明では、モールドを、少なくとも最上層が酸化物単結晶からなる基板と、非晶質酸化物または半導体からなる二次元周期構造部とで形成する。基板表面の酸化物単結晶からの結晶化活性化エネルギーと、非晶質酸化物または二次元周期構造部の結晶化活性化エネルギーとでは、基板表面からの結晶化活性化エネルギーのほうが低いため、基板からの結晶成長が選択的に起こる。これにより、3軸配向したエピタキシャル強誘電体薄膜を得ることができる。
【0024】
非晶質酸化物としては例えばSiO2を用いることができ、半導体としてはSiやGaAsを用いることができる。
【0025】
なお、本明細書において「化学的気相成長法によってエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜を形成する」とは、化学的気相成長法によって結晶化温度以上の温度でエピタキシャル強誘電体薄膜を形成する場合に加えて、化学的気相成長法によってアモルファス膜を形成した後にアモルファス膜を結晶化させてエピタキシャル強誘電体薄膜を得る場合も含むものとする。
【0026】
本発明では、前記基板はぺロブスカイト型構造を有する酸化物単結晶からなることが好ましい。本発明の方法では、強誘電体薄膜は基板から選択的に結晶化するためである。
【0027】
ただし、基板は必ずしもぺロブスカイト型構造を有する物質でなければならないものではなく、結晶構造が異なるがぺロブスカイト型構造化合物が(011)方位にエピタキシャル成長するR面サファイア(Al2O3)単結晶基板などを使用することも可能である。また、LiTaO3単結晶基板もぺロブスカイト型構造化合物をエピタキシャル成長させることができる。
【0028】
さらに前記基板はぺロブスカイト型構造を有する導電性の酸化物単結晶からなることが好ましい。
【0029】
強誘電体は外部からの電界によって屈折率が変化する性質を持つが、基板を導電性の物質とすれば、基板を電界を印加するするための電極として用いることができる。
【0030】
導電性を有する酸化物単結晶基板として具体的には、NbやLaを添加したSrTiO3基板などを用いることができる。
【0031】
また、前記基板は複数の層からなり、そのうちの少なくとも一層は導電性を有する物質であることが好ましい。
【0032】
基板の中にある導体層を、強誘電体薄膜に電界を印加するための電極として用いることができる。
【0033】
また、前記基板は複数の層からなり、そのうちの少なくとも最上層はぺロブスカイト型構造を有する単結晶であることが好ましい。本発明の方法では、強誘電体薄膜は基板から選択的に結晶化するためである。
【0034】
また、強誘電体薄膜としてはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)またはチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)を好適に用いることができる。チタン酸ジルコン酸鉛およびチタン酸ジルコン酸ランタン鉛は、ぺロブスカイト型構造を有する強誘電体である。
【0035】
さらに本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法は、強誘電体薄膜上にさらに導電性物質からなる上部電極を形成することを特徴とする。
【0036】
導電性の基板、あるいは基板の中の導電性を有する層を下部電極とし、上部電極と下部電極の間に発生させた電界を変化させることにより、強誘電体薄膜の屈折率を変化させることができる。
【0037】
さらにまた、このような方法で製造した強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を光素子として利用することにより、外部から電界を印加することによって帯域波長をナノ秒オーダーで変化させることができ、かつ損失の少ない光素子を得ることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下において図を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造工程を示す模式断面図である。
【0039】
まず、図1(a)に示す酸化物単結晶からなる基板10を用意し、図1(b)に示すようにCVD法や火炎堆積法などにより厚みが0.5〜3μm程度の非晶質酸化物膜20aを形成する。非晶質酸化物膜20aの代わりに半導体膜を用いてもよい。
【0040】
酸化物単結晶の基板10としては、ぺロブスカイト型構造を有する材質を用いることが好ましく、SrTiO3などが使用可能であるが、より好ましくは基板材料の格子定数がその上に形成される強誘電体の格子定数より小さくなるような、SrTiO3もしくはNbやLaを添加した導電性のSrTiO3を使用する。
【0041】
ぺロブスカイト型構造を有する基板10を用いることが好ましい理由は、基板10が強誘電体薄膜と同じ結晶構造を有することにより、結晶構造の異なる基板10を用いる場合に比べて基板と強誘電体薄膜の格子定数の差が小さくなり、エピタキシャル結晶化を容易に進行させることができるからである。
【0042】
また、格子定数が強誘電体薄膜の格子定数よりも小さい基板10を用いることが好ましい理由は、強誘電体薄膜の、基板に平行な軸の結晶格子が圧縮され、これに伴って基板10に垂直な軸は伸張して分極軸が基板に垂直方向に揃いやすくなるからである。
【0043】
なお、ぺロブスカイト型構造を有する材料ではなくても、イルメナイト構造を有するLiNbO3、LiTaO3や、サファイア(Al2O3)からなる基板を用いることも可能である。
【0044】
次に、フォトリソグラフィーによって所定形状のレジスト膜を形成し、反応性イオンエッチングなどによって非晶質酸化物膜20aの一部を除去する。これにより、非晶質酸化物膜は図1(c)に示すように二次元方向に一定の周期を持った、二次元周期構造部20bとなる。基板10と、この二次元周期構造部20bとでモールド30を構成している。
【0045】
二次元周期構造部20bは例えば円柱状の非晶質酸化物膜が三角格子状、あるいは正方格子状などに規則正しく配列された構造とすることができる。また、一部分に円柱の配列が不規則になっている部分を設けることもできる。本明細書では、一部分において周期構造が乱されているものも含めて二次元周期構造と呼ぶこととする。
【0046】
次に、このモールド30上にMOCVD法によってアモルファス膜を形成する。このとき、モールド30の温度は300℃〜450℃とすることが好ましい。モールド30の温度が300℃未満であると膜中に未分解の有機成分や炭素原子が残存する虞がある。また、450℃を超える場合には原料をモールド30上に供給したときにただちに結晶化が起こる虞がある。
【0047】
アモルファス膜の原料としては、Ba,Sr,Pb,La,K,Ti,Zr,Nb,Taなどの金属アルコキシドまたは金属塩を用いることができる。
【0048】
また、成膜速度は200nm/min以下が好ましく、表面の平滑性と結晶性の良好な薄膜を成膜するという観点からは100nm/min以下がより好ましい。
【0049】
次に、アモルファス膜を、基板10からの結晶化が優先的に起こる600℃〜800℃に加熱し、アモルファス膜を結晶化させて図1(d)に示すようにエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜40を得る。強誘電体薄膜40は例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)などである。
【0050】
この方法によれば、ゾルゲル法と異なりアモルファス膜中にはエピタキシャル成長を阻害する有機成分を含まないため、膜厚が500nmを超えていてもエピタキシャル結晶性を損なうことはない。また、アモルファス膜を結晶化する際の体積変化はほとんど起こらないため、強誘電体薄膜40は精度のよい二次元周期構造となる。
【0051】
図2(a)はYカットLiNbO3基板上に上記の方法でPZT膜を成膜したときのXRD回析パターンである。PZT膜の回析ピークは面方位(112)に関係する回析ピークのみが認められる。また、図2(b)はこのときの極点図であるが、PZT膜が3軸配向していることがわかる。
【0052】
また、図3にはZカットLiNbO3基板上に上記の方法でPZT膜を成膜したときのXRD回析パターンを示す。回析ピークから、PZT膜は面方位(111)に配向していることがわかる。なお、この場合にも極点図から、PZT膜は3軸配向膜となっていることを確認した。
【0053】
さらに、図4にはR面サファイア(Al2O3)基板にPZTを成膜したときのXRD回析パターンを示す。回析ピークから、PZT膜は面方位(011)に配向していることがわかる。なお、この場合にも極点図から、PZT膜は3軸配向膜となっていることを確認した。
【0054】
非晶質酸化物からなる二次元周期構造部20bは特に除去する必要はないが、除去する場合には以下のように行う。二次元周期構造部20bを除去する工程について図5を参照しつつ説明する。なお以下の工程においては、二次元周期構造部20bを除去すると共に、強誘電体薄膜30上に上部電極を形成しているが、上部電極は必ずしも必要ではなく、また、上部電極を適当な別の方法によって形成することも可能である。
【0055】
まず、図5(a)に示すように、表面の凹凸を埋めるためにスピンコートによってレジスト膜50を形成する。このときレジスト膜50の材質は強誘電体膜40とエッチング速度が同じものを選択する必要がある。
【0056】
次に、図5(b)に示すようにイオンミリングなどの等方性エッチングにより、二次元周期構造部20bの上面が露出するまでエッチバックする。
【0057】
次に、リフトオフ法などの適当な公知の技術によって、図5(c)に示すように強誘電体薄膜40の上に上部電極60を形成する。上部電極60の材料としては例えばSrRuO3を用いることができる。
【0058】
そして、反応性イオンエッチングによって二次元周期構造部20bを選択的に除去して、図5(d)に示すような強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶となる。なおこのときの反応性イオンエッチングでは、従来の技術とは違って強誘電体薄膜40をエッチングするのではないため、エッチングガスとして、反応性が高く管理が難しいCl系のガスを用いる必要はない。
【0059】
【実施例】
(実施例1)ここで、再び図1を参照してより具体的に本発明の第1の実施例について説明する。
【0060】
まず、図1(a)にあるように、Nbを添加した単結晶SrTiO3からなる基板10を用意する。この基板10は導電性であるので、後に説明する下部電極を兼ねることになる。
【0061】
次に、図1(b)に示すように基板10上に非晶質のSiO2からなる二次元周期構造部20bを形成する。Nb添加単結晶SrTiO3からなる基板10と非晶質のSiO2からなる二次元周期構造部20bとでモールド30を構成している。
【0062】
次に、図1(c)に示すように、PZTからなる強誘電体薄膜40を成膜する。具体的には、400℃に加熱したモールド30上に、Pb(DPM)2,Zr(O−t−Bu)4,Ti(O−i−Pr)4を原料として膜形成速度40nm/minの条件でアモルファス膜を形成し、酸素フロー中500℃/minの昇温速度で700℃まで昇温し、一定時間保持したのち冷却することでアモルファス膜を結晶化させてエピタキシャルPZT膜を成膜する。
【0063】
このとき、強誘電体薄膜40はモールド30の底面である酸化物単結晶(Nb添加SrTiO3)の基板10から選択的に結晶成長し、3軸配向したエピタキシャル結晶となる。
【0064】
そして、上述の方法(図5(a)〜(c)参照)で二次元周期構造部20bを除去した後、強誘電体薄膜40上に上部電極60となる導電性の膜を成膜する。上部電極60の材料としては、例えばSrRuO3を用いることができる。
【0065】
このようにして、図5(d)に示すような、下部電極(ここでは、基板10が下部電極となっている)と上部電極60との間に印加される電界に応じて強誘電体膜40の屈折率が変化し、ナノ秒オーダーの応答速度で帯域波長を変化させることのできる強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を得ることができる。
【0066】
(実施例2)図6は本発明の第2の実施例の各工程を示す模式断面図である。まず、図6(a)に示すように絶縁性のYカットLiNbO3単結晶11を用意する。次に、図6(b)に示すようにLiNbO3単結晶11上にエピタキシャルSrRuO3膜12、エピタキシャルPbZr0.65Ti0.35O3膜13を成膜した。本実施例では基板10はY板LiNbO3単結晶11、SrRuO3膜12、PbZr0.65Ti0.35O3膜13からなる3層構造であり、最上層のPbZr0.65Ti0.35O3膜13はぺロブスカイト型構造の単結晶である。
【0067】
なお、SrRuO3は導電性の物質で、ぺロブスカイト型構造化合物であり、YカットLiNbO3上で(112)方位でエピタキシャル成長するPZTと同じ結晶構造を有している。このSrRuO3膜13は下部電極となる。
【0068】
基板10が2層以上の多層構造を有する場合、そのうちの少なくとも一層は下部電極として機能し得る導電性の材料であることが好ましい。また、基板10の最上層はぺロブスカイト型構造を有する単結晶であることが好ましい。
【0069】
次に、基板10の上面、すなわちぺロブスカイト型構造を有する単結晶となっている面に非晶質のSiO2からなる二次元周期構造部20bを形成し、図6(c)に示すモールド30を完成させる。さらに、図6(d)に示すようにモールド30上にPbZr0.55Ti0.45O3からなる強誘電体膜40を成膜する。このとき、強誘電体薄膜40は、二次元周期構造部20bが形成されている面に成膜する。
【0070】
次に、上述した方法あるいはその他の適当な方法によって二次元周期構造部20bを除去し、強誘電体薄膜40上にSrRuO3からなる上部電極60を成膜して強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を得ることができる。
【0071】
本実施例において、前記の2種類のPZT膜(PbZr0.65Ti0.35O3膜13およびPbZr0.55Ti0.45O3からなる強誘電体膜40)の具体的な成膜方法は実施例1と同様であるが、原料へのキャリアガスの供給量を調整して原料の蒸発割合を異ならせることによってPZT中のZrとTiの比率を設定できる。PZTにおいては、屈折率がZrとTiのモル比によって変化し、Ti/(Zr+Ti)の値が大きいほど屈折率が大きくなる。すなわち、基板10表面のPbZr0.65Ti0.35O3膜13よりもPbZr0.55Ti0.45O3からなる強誘電体薄膜40のほうが屈折率が大きく、光が二次元周期構造体(強誘電体薄膜40)側に集中し、基板10側への光の漏洩が抑えられる。
【0072】
基板10の第1層目としてはR面のサファイア(Al2O3)基板を用いることもできる。このときには、二種類のPZT膜は共に(011)方位でエピタキシャル成長することになる。
【0073】
(実施例3)次に本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を利用した光素子の例として光導波路について説明する。
【0074】
図7(a)は光導波路を示す平面図であり、図7(b)はb−b線断面図である。図7(a)および(b)において、光導波路は基板10、強誘電体薄膜40、上部電極60とからなり、強誘電体膜40および上部電極60には正方格子状に円柱孔90が形成されている。この光導波路は実施例1の方法によって製造されたものであり、すなわち、基板10はNb添加単結晶SrTiO3、強誘電体薄膜40はPZT、上部電極60はSrRuO3からなる。
【0075】
屈折率もしくは誘電率が周期的に変化する二次元フォトニック結晶は電磁波に対する干渉作用を示し、特定周波数領域の電磁波を遮断する。この場合、禁止帯はフォトニックバンドギャップと呼ばれる。この作用を利用し、このような導波路は所定周波数帯の電磁波の透過を遮断するカットオフフィルタなどとして用いることができる。
【0076】
従来の半導体などからなる二次元フォトニック結晶では、減衰される所定の周波数は、二次元周期構造の寸法やこれを形成する材料の屈折率によってあらかじめ定められている。これに対し本発明の光導波路では、上部電極60と下部電極(ここでは基板10が下部電極となる)とによって印加される電界によって強誘電体膜40の屈折率が変化するから、通過帯域を変化させることのできる光導波路が実現される。
【0077】
図7(c)には別の光導波路の例を示し、図7(d)はそのd−d線断面図である。ここでは、円柱孔90が配置されていない線状欠陥80が設けられており、線状欠陥80が途中で分岐されている。入射光90はこの分岐部分で分岐することになり、この光導波路は分波路として機能している。
【0078】
本発明の光素子では、通過帯域を変化させることができ、かつ、強誘電体薄膜40はエピタキシャル成長した単結晶であることから、伝播損失の少ない光素子となっている。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法によれば、モールド上にMOCVD法によって強誘電体薄膜をエピタキシャル成長させて単結晶膜とすることによって、結晶粒界での散乱損失のない強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を得ることができる。
【0080】
また、本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を光素子に用いることにより、通過帯域を変化させることができ、かつ、伝播損失の少ない光素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法の各工程を示す模式断面図である。
【図2】YカットLiNbO3からなる基板上にPZT膜を成膜したときのXRD回析パターンおよび極点図である。
【図3】ZカットLiNbO3からなる基板上にPZT膜を成膜したときのXRD回析パターンである。
【図4】R面サファイア基板上にPZTを成膜したときのXRD回析パターンである。
【図5】二次元周期構造部を除去すると共に上部電極を形成する工程を示す模式断面図である。
【図6】本発明の実施例2に係る強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法の各工程を示す模式断面図である。
【図7】本発明に係る光素子の一例として、光導波路を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
10 基板
11 LiNbO3単結晶
12 SrRuO3膜
13 PbZr0.65Ti0.35O3膜
20a 非晶質酸化物膜
20b 二次元周期構造部
30 モールド
40 強誘電体薄膜
50 レジスト膜
60 上部電極
70 円柱孔
80 線状欠陥
90 入射光
Claims (10)
- 二次元周期構造を有するモールド上に強誘電体薄膜を形成してなる強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法であって、
前記モールド上に化学的気相成長法によって結晶化温度より低い温度でアモルファス膜を形成し、結晶化温度よりも高い温度に加熱して前記アモルファス膜をエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜とすることを特徴とする強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。 - 前記モールドの表面のうち、少なくとも一部分はぺロブスカイト型構造を有する酸化物単結晶からなることを特徴とする、請求項1に記載の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。
- 二次元周期構造を有するモールド上に強誘電体薄膜を形成してなる強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法であって、
前記モールドは少なくとも最上層が単結晶である基板と、非晶質酸化物または半導体からなる二次元周期構造部とからなり、前記モールド上に化学的気相成長法によってエピタキシャル結晶性を有する強誘電体薄膜を形成することを特徴とする強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。 - 前記基板はぺロブスカイト型構造を有する酸化物単結晶からなることを特徴とする、請求項3に記載の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。
- 前記基板はぺロブスカイト型構造を有する導電性の酸化物単結晶からなることを特徴とする、請求項3あるいは請求項4に記載の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。
- 前記基板は複数の層からなり、そのうちの少なくとも一層は導電性を有する物質からなることを特徴とする、請求項3に記載の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。
- 前記基板は複数の層からなり、そのうちの少なくとも最上層はぺロブスカイト型構造を有する単結晶からなることを特徴とする、請求項3あるいは請求項6に記載の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。
- 前記強誘電体薄膜はチタン酸ジルコン酸鉛またはチタン酸ジルコン酸ランタン鉛のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし請求項7に記載の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。
- 前記強誘電体薄膜上にさらに導電性物質からなる上部電極を形成することを特徴とする、請求項1ないし請求項8に記載の強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶の製造方法。
- 請求項1ないし請求項9に記載の方法によって製造した強誘電体薄膜二次元フォトニック結晶を用いることを特徴とする光素子。
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