JP2004239329A - ダイナミックダンパの製造方法及びダイナミックダンパ - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の共振振動数域にチューニングすることができる構造でありながら、成形や回転軸への取付けを簡単に行うことができ、所望の各共振振動数域にそれぞれ正確にチューニングできて、振動抑制効果を十分に得ることができるダイナミックダンパ、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】回転軸Sに圧入外嵌された状態で回転軸Sの振動を抑制する筒型のダイナミックダンパの製造方法であって、径が異なる複数の筒状の質量部材1,2を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材1,2の間、及び、最も内側の質量部材1と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体3A,3Bが加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を隣合う質量部材1,2の間、及び、最も内側の質量部材1と中型の間に供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】回転軸Sに圧入外嵌された状態で回転軸Sの振動を抑制する筒型のダイナミックダンパの製造方法であって、径が異なる複数の筒状の質量部材1,2を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材1,2の間、及び、最も内側の質量部材1と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体3A,3Bが加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を隣合う質量部材1,2の間、及び、最も内側の質量部材1と中型の間に供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸に圧入外嵌された状態で前記回転軸の振動を抑制する筒型のダイナミックダンパの製造方法及びこの方法により製造したダイナミックダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドライブシャフト等の回転軸には回転のアンバランス等に起因して曲げ振動が生じ、この振動がサスペンションを介して車内に伝わって騒音が発生することがある。そこで、筒型のダイナミックダンパを回転軸に圧入外嵌して回転軸の振動を抑制している。つまり、ダイナミックダンパの固有振動数を回転軸の共振振動数にチューニングし、回転軸の振動エネルギーを共振によりダイナミックダンパの振動エネルギーとして吸収することで振動抑制効果を得ている。
【0003】
従来のダイナミックダンパは、筒状の単一の質量部材の内周面や両端部に、回転軸に圧入外嵌する筒状のゴム状弾性体を加硫成形して構成してあり、固有振動数を単一の共振振動数域にしか設定できない構造になっていた。そのために、振動数の異なる複数の振動の入力がある場合、振動抑制効果を十分に得ることができなかった。
【0004】
この問題を解消するために、特許文献1の図1に開示されているように、大小の筒状の質量部材を各別に備えた第1ダンパ部材と第2ダンパ部材から成るダイナミックダンパが提案されている。
【0005】
このダイナミックダンパの第1ダンパ部材は、回転軸に圧入外嵌する筒状の第1ゴム状弾性体を小径の第1質量部材に一体に設けて構成し、第2ダンパ部材は、第1ダンパ部材に圧入外嵌する筒状の第2ゴム状弾性体を大径の第2質量部材に一体に設けて構成してある。第1ゴム状弾性体のばね定数と第2ゴム状弾性体のばね定数とは異なっている。
【0006】
一方、特許文献2に開示されているように、外径がほぼ同一の一対の筒状の質量部材がそれらの軸芯方向に並ぶ状態に、一方の質量部材をばね定数の小さい第1ゴム状弾性体に、他方の質量部材をばね定数の大きい第2ゴム状弾性体に一体に設けたダイナミックダンパも提案されている。
【0007】
上記の特許文献1と特許文献2の技術では、第1ゴム状弾性体と第2ゴム状弾性体のばね定数を異ならせる手段として、いずれも両ゴム状弾性体の形状(肉厚等)を異ならせる手段を取っている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−145117号公報
【特許文献2】
特開平7−208550号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1の技術によれば、ダイナミックダンパを別体の第1ダンパ部材と第2ダンパ部材とで構成してあったために、回転軸への取付けに手間がかかっていた。また、各ダンパ部材に各別に対応した二つの成形型を用いて成形しなければならず、成形に手間がかかっていた。さらに、外側の第2質量部材が第1質量部材に比べて回転軸から遠い位置にあるために、振動によって回転軸の軸芯方向にふらつきやすく、回転軸の軸芯方向における共振点(共振が発生する回転軸部分)から位置ずれして、振動抑制効果を十分得ることができなくなることがあった。
【0010】
上記の特許文献2の技術によれば、一対の質量部材が回転軸の軸芯方向に並んでいるために、少なくとも一方の質量部材が、回転軸の軸芯方向で前記共振点から位置ずれした装着状態になり、振動抑制効果を十分得ることができなくなることがあった。
【0011】
そして、特許文献1と特許文献2のいずれの技術でも、第1ゴム状弾性体の形状と第2ゴム状弾性体の形状を異ならせることで、両者のばね定数を異ならてあったために、設定できるばね定数が限られて、所望のばね定数に正確に設定することができず、振動抑制効果を十分得ることができなくなることがあった。
【0012】
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、複数の共振振動数域にチューニングすることができる構造でありながら、成形や回転軸への取付けを簡単に行うことができ、所望の各共振振動数域にそれぞれ正確にチューニングできて、振動抑制効果を十分に得ることができるダイナミックダンパ、及びその製造方法を提供する点にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1による発明の構成は、回転軸に圧入外嵌された状態で前記回転軸の振動を抑制する筒型のダイナミックダンパの製造方法であって、
径が異なる複数の筒状の質量部材を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体が加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を前記隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に供給する点にある。
【0014】
この製造方法により製造することで、隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体が加硫成形される。その結果、ダイナミックダンパの固有振動数を回転軸の複数の共振振動数域にチューニングすることができる。そして、いずれの質量部材も回転軸の軸芯方向でふらつきにくくなり、回転軸に対して傾斜しにくくなる。これにより、質量部材が回転軸の軸芯方向で回転軸の共振点(共振が発生する回転軸部分)から位置ずれするのを抑制することができる。
【0015】
上記の製造方法では、ゴム状弾性体のばね定数をゴム配合物によって設定するから、形状が同一でも固有振動数が異なったダイナミックダンパをそれぞれ形成することができる。そして、ゴム状弾性体の形状によってばね定数を設定する手段よりも、選択できるばね定数の範囲が広がるとともに、所望のばね定数に正確に設定することができる。しかも、加硫成形の際にゴム配合物を、隣合う筒状の質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に供給するから、加硫成形された各ゴム状弾性体が筒状という単純で簡素な形状になり、ばね定数に製作誤差が出にくくなる。
【0016】
ゴム状弾性体を最も内側の質量部材の全内周面に加硫成形し、前記ゴム状弾性体の全内周面を回転軸の外周面に圧接させる構造では、回転軸に強く固定することができ、締付けバンド等のクランプ部材を不要にすることができて部品点数を少なくすることができ、回転軸への取付け作業における作業工程数を少なくすることができる。そして、回転軸の軸芯方向での質量部材のふらつきや回転軸に対する質量部材の傾斜をより防止しやすくなり、各質量部材が回転軸の軸芯方向で回転軸の共振点から位置ずれするのをより抑制することができる。
【0017】
また、一つの成形型で一体物に成形することができて成形を簡単に行うことができるとともに、複数の部材(例えば従来の第1ダンパ部材と第2ダンパ部材)をそれぞれ回転軸に圧入外嵌する場合に比べると、圧入外嵌を簡単に行うことができる。
【0018】
請求項2による発明の構成は、請求項1による発明の構成において、前記隣合う質量部材の間、及び、前記最も内側の質量部材と中型の間に、カーボンの含有量を異ならせたゴム配合物をそれぞれ供給することで、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体を加硫成形する点にある。
【0019】
この方法により、ゴム状弾性体のばね定数を所望の値に正確に設定することができる。
【0020】
請求項3による発明の構成は、請求項1又は2に記載の製造方法で製造したダイナミックダンパである点にある。
【0021】
この構成により、請求項1又は2の構成による作用と同様の作用を奏することができるダイナミックダンパを提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,図2に、自動車のドライブシャフトS(回転軸に相当)に圧入外嵌された状態でドライブシャフトSの振動を抑制する筒型のダイナミックダンパを示してある。
【0023】
このダイナミックダンパは、径が異なる大小2個の筒状の質量部材1,2を同芯状に配置して、それらの間の全体と、内側の質量部材1の全内周面側と、外側の質量部材2の全外周面側と、両質量部材1,2の両端面側とにゴム状弾性体3を加硫成形して構成してある。
【0024】
両質量部材1,2は軸芯方向の長さ及び肉厚がそれぞれ同一で、肉厚とほぼ同一の長さだけ径方向で間隔が空いている。また、内側の質量部材1の外周面1Aよりも径方向内方側のゴム状弾性体3Aと、前記外周面1Aよりも径方向外方側のゴム状弾性体3Bとのばね定数を異ならせてある。本実施形態では、前者の部分のばね定数を後者のばね定数よりも大きく設定してあるが、これに換えて小さく設定してあってもよい。内側の質量部材1の内周面1B側のゴム状弾性体の厚さT1は両質量部材1,2の間のゴム状弾性体の厚さT2とほぼ同一である。ドライブシャフトSの外周面には前記ゴム状弾性体3Aの全内周面を圧接させてある。
【0025】
上記の構造により、ダイナミックダンパの固有振動数をドライブシャフトの複数の共振振動数域にチューニングすることができる。
【0026】
このダイナミックダンパを製造するに、両質量部材1,2を中型と外型(図示せず)の間でそれらに対して同芯状に配置し、隣合う質量部材1,2の間、内側の質量部材1と中型の間、外側の質量部材2と外型の間、両質量部材1,2の端面の外方側にゴム配合物をそれぞれ供給して製造する。
【0027】
ゴム配合物の供給工程では、内側の質量部材1の外周面1Aよりも径方向内方側のゴム状弾性体3Aと、径方向外方側のゴム状弾性体3Bとのばね定数が異なるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を供給する。各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物は、ゴム配合物中のカーボンの含有量を調節することで生成することができ、このようなゴム配合物をそれぞれ供給することで、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体3A,3Bを加硫成形することができる。
【0028】
つまり、本発明にかかるダイナミックダンパの製造方法は、径が異なる複数の筒状の質量部材1,2を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材1,2の間、及び、最も内側の質量部材1と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体3A,3Bが加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を隣合う質量部材1,2の間、及び、最も内側の質量部材1と中型の間に供給する方法である。
【0029】
この方法で製造したダイナミックダンパをドライブシャフトSに圧入外嵌する。これにより、ダイナミックダンパの固有振動数を複数の共振振動数域にチューニングすることができるとともに、外側の質量部材2の回転軸の軸芯方向でのふらつきを防止して、外側の質量部材2がドライブシャフトSの軸芯方向でドライブシャフトSの共振点から位置ずれするのを抑制することができる。
【0030】
[別実施形態]
径が異なる3個以上の筒状の質量部材を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体が加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を供給してもよい。
【0031】
前記回転軸はドライブシャフトに限られるものではなく、自動車のその他の回転軸であってもよく、自動車以外の装置に設けられた回転軸であってもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の共振振動数域にチューニングすることができる構造でありながら、成形や回転軸への取付けを簡単に行うことができ、所望の各共振振動数域にそれぞれ正確にチューニングできて、振動抑制効果を十分に得ることができるダイナミックダンパ、及びその製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドライブシャフトに圧入外嵌した状態のダイナミックダンパの縦断面図
【図2】図1のA−A断面図
【符号の説明】
1,2 質量部材
3A,3B ゴム状弾性体
S 回転軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸に圧入外嵌された状態で前記回転軸の振動を抑制する筒型のダイナミックダンパの製造方法及びこの方法により製造したダイナミックダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドライブシャフト等の回転軸には回転のアンバランス等に起因して曲げ振動が生じ、この振動がサスペンションを介して車内に伝わって騒音が発生することがある。そこで、筒型のダイナミックダンパを回転軸に圧入外嵌して回転軸の振動を抑制している。つまり、ダイナミックダンパの固有振動数を回転軸の共振振動数にチューニングし、回転軸の振動エネルギーを共振によりダイナミックダンパの振動エネルギーとして吸収することで振動抑制効果を得ている。
【0003】
従来のダイナミックダンパは、筒状の単一の質量部材の内周面や両端部に、回転軸に圧入外嵌する筒状のゴム状弾性体を加硫成形して構成してあり、固有振動数を単一の共振振動数域にしか設定できない構造になっていた。そのために、振動数の異なる複数の振動の入力がある場合、振動抑制効果を十分に得ることができなかった。
【0004】
この問題を解消するために、特許文献1の図1に開示されているように、大小の筒状の質量部材を各別に備えた第1ダンパ部材と第2ダンパ部材から成るダイナミックダンパが提案されている。
【0005】
このダイナミックダンパの第1ダンパ部材は、回転軸に圧入外嵌する筒状の第1ゴム状弾性体を小径の第1質量部材に一体に設けて構成し、第2ダンパ部材は、第1ダンパ部材に圧入外嵌する筒状の第2ゴム状弾性体を大径の第2質量部材に一体に設けて構成してある。第1ゴム状弾性体のばね定数と第2ゴム状弾性体のばね定数とは異なっている。
【0006】
一方、特許文献2に開示されているように、外径がほぼ同一の一対の筒状の質量部材がそれらの軸芯方向に並ぶ状態に、一方の質量部材をばね定数の小さい第1ゴム状弾性体に、他方の質量部材をばね定数の大きい第2ゴム状弾性体に一体に設けたダイナミックダンパも提案されている。
【0007】
上記の特許文献1と特許文献2の技術では、第1ゴム状弾性体と第2ゴム状弾性体のばね定数を異ならせる手段として、いずれも両ゴム状弾性体の形状(肉厚等)を異ならせる手段を取っている。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−145117号公報
【特許文献2】
特開平7−208550号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の特許文献1の技術によれば、ダイナミックダンパを別体の第1ダンパ部材と第2ダンパ部材とで構成してあったために、回転軸への取付けに手間がかかっていた。また、各ダンパ部材に各別に対応した二つの成形型を用いて成形しなければならず、成形に手間がかかっていた。さらに、外側の第2質量部材が第1質量部材に比べて回転軸から遠い位置にあるために、振動によって回転軸の軸芯方向にふらつきやすく、回転軸の軸芯方向における共振点(共振が発生する回転軸部分)から位置ずれして、振動抑制効果を十分得ることができなくなることがあった。
【0010】
上記の特許文献2の技術によれば、一対の質量部材が回転軸の軸芯方向に並んでいるために、少なくとも一方の質量部材が、回転軸の軸芯方向で前記共振点から位置ずれした装着状態になり、振動抑制効果を十分得ることができなくなることがあった。
【0011】
そして、特許文献1と特許文献2のいずれの技術でも、第1ゴム状弾性体の形状と第2ゴム状弾性体の形状を異ならせることで、両者のばね定数を異ならてあったために、設定できるばね定数が限られて、所望のばね定数に正確に設定することができず、振動抑制効果を十分得ることができなくなることがあった。
【0012】
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、複数の共振振動数域にチューニングすることができる構造でありながら、成形や回転軸への取付けを簡単に行うことができ、所望の各共振振動数域にそれぞれ正確にチューニングできて、振動抑制効果を十分に得ることができるダイナミックダンパ、及びその製造方法を提供する点にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1による発明の構成は、回転軸に圧入外嵌された状態で前記回転軸の振動を抑制する筒型のダイナミックダンパの製造方法であって、
径が異なる複数の筒状の質量部材を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体が加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を前記隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に供給する点にある。
【0014】
この製造方法により製造することで、隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体が加硫成形される。その結果、ダイナミックダンパの固有振動数を回転軸の複数の共振振動数域にチューニングすることができる。そして、いずれの質量部材も回転軸の軸芯方向でふらつきにくくなり、回転軸に対して傾斜しにくくなる。これにより、質量部材が回転軸の軸芯方向で回転軸の共振点(共振が発生する回転軸部分)から位置ずれするのを抑制することができる。
【0015】
上記の製造方法では、ゴム状弾性体のばね定数をゴム配合物によって設定するから、形状が同一でも固有振動数が異なったダイナミックダンパをそれぞれ形成することができる。そして、ゴム状弾性体の形状によってばね定数を設定する手段よりも、選択できるばね定数の範囲が広がるとともに、所望のばね定数に正確に設定することができる。しかも、加硫成形の際にゴム配合物を、隣合う筒状の質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に供給するから、加硫成形された各ゴム状弾性体が筒状という単純で簡素な形状になり、ばね定数に製作誤差が出にくくなる。
【0016】
ゴム状弾性体を最も内側の質量部材の全内周面に加硫成形し、前記ゴム状弾性体の全内周面を回転軸の外周面に圧接させる構造では、回転軸に強く固定することができ、締付けバンド等のクランプ部材を不要にすることができて部品点数を少なくすることができ、回転軸への取付け作業における作業工程数を少なくすることができる。そして、回転軸の軸芯方向での質量部材のふらつきや回転軸に対する質量部材の傾斜をより防止しやすくなり、各質量部材が回転軸の軸芯方向で回転軸の共振点から位置ずれするのをより抑制することができる。
【0017】
また、一つの成形型で一体物に成形することができて成形を簡単に行うことができるとともに、複数の部材(例えば従来の第1ダンパ部材と第2ダンパ部材)をそれぞれ回転軸に圧入外嵌する場合に比べると、圧入外嵌を簡単に行うことができる。
【0018】
請求項2による発明の構成は、請求項1による発明の構成において、前記隣合う質量部材の間、及び、前記最も内側の質量部材と中型の間に、カーボンの含有量を異ならせたゴム配合物をそれぞれ供給することで、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体を加硫成形する点にある。
【0019】
この方法により、ゴム状弾性体のばね定数を所望の値に正確に設定することができる。
【0020】
請求項3による発明の構成は、請求項1又は2に記載の製造方法で製造したダイナミックダンパである点にある。
【0021】
この構成により、請求項1又は2の構成による作用と同様の作用を奏することができるダイナミックダンパを提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1,図2に、自動車のドライブシャフトS(回転軸に相当)に圧入外嵌された状態でドライブシャフトSの振動を抑制する筒型のダイナミックダンパを示してある。
【0023】
このダイナミックダンパは、径が異なる大小2個の筒状の質量部材1,2を同芯状に配置して、それらの間の全体と、内側の質量部材1の全内周面側と、外側の質量部材2の全外周面側と、両質量部材1,2の両端面側とにゴム状弾性体3を加硫成形して構成してある。
【0024】
両質量部材1,2は軸芯方向の長さ及び肉厚がそれぞれ同一で、肉厚とほぼ同一の長さだけ径方向で間隔が空いている。また、内側の質量部材1の外周面1Aよりも径方向内方側のゴム状弾性体3Aと、前記外周面1Aよりも径方向外方側のゴム状弾性体3Bとのばね定数を異ならせてある。本実施形態では、前者の部分のばね定数を後者のばね定数よりも大きく設定してあるが、これに換えて小さく設定してあってもよい。内側の質量部材1の内周面1B側のゴム状弾性体の厚さT1は両質量部材1,2の間のゴム状弾性体の厚さT2とほぼ同一である。ドライブシャフトSの外周面には前記ゴム状弾性体3Aの全内周面を圧接させてある。
【0025】
上記の構造により、ダイナミックダンパの固有振動数をドライブシャフトの複数の共振振動数域にチューニングすることができる。
【0026】
このダイナミックダンパを製造するに、両質量部材1,2を中型と外型(図示せず)の間でそれらに対して同芯状に配置し、隣合う質量部材1,2の間、内側の質量部材1と中型の間、外側の質量部材2と外型の間、両質量部材1,2の端面の外方側にゴム配合物をそれぞれ供給して製造する。
【0027】
ゴム配合物の供給工程では、内側の質量部材1の外周面1Aよりも径方向内方側のゴム状弾性体3Aと、径方向外方側のゴム状弾性体3Bとのばね定数が異なるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を供給する。各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物は、ゴム配合物中のカーボンの含有量を調節することで生成することができ、このようなゴム配合物をそれぞれ供給することで、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体3A,3Bを加硫成形することができる。
【0028】
つまり、本発明にかかるダイナミックダンパの製造方法は、径が異なる複数の筒状の質量部材1,2を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材1,2の間、及び、最も内側の質量部材1と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体3A,3Bが加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を隣合う質量部材1,2の間、及び、最も内側の質量部材1と中型の間に供給する方法である。
【0029】
この方法で製造したダイナミックダンパをドライブシャフトSに圧入外嵌する。これにより、ダイナミックダンパの固有振動数を複数の共振振動数域にチューニングすることができるとともに、外側の質量部材2の回転軸の軸芯方向でのふらつきを防止して、外側の質量部材2がドライブシャフトSの軸芯方向でドライブシャフトSの共振点から位置ずれするのを抑制することができる。
【0030】
[別実施形態]
径が異なる3個以上の筒状の質量部材を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体が加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を供給してもよい。
【0031】
前記回転軸はドライブシャフトに限られるものではなく、自動車のその他の回転軸であってもよく、自動車以外の装置に設けられた回転軸であってもよい。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の共振振動数域にチューニングすることができる構造でありながら、成形や回転軸への取付けを簡単に行うことができ、所望の各共振振動数域にそれぞれ正確にチューニングできて、振動抑制効果を十分に得ることができるダイナミックダンパ、及びその製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】ドライブシャフトに圧入外嵌した状態のダイナミックダンパの縦断面図
【図2】図1のA−A断面図
【符号の説明】
1,2 質量部材
3A,3B ゴム状弾性体
S 回転軸
Claims (3)
- 回転軸に圧入外嵌された状態で前記回転軸の振動を抑制する筒型のダイナミックダンパの製造方法であって、
径が異なる複数の筒状の質量部材を中型に対して同芯状に配置し、隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体が加硫成形されるように、各ばね定数にそれぞれ対応したゴム配合物を前記隣合う質量部材の間、及び、最も内側の質量部材と中型の間に供給するダイナミックダンパの製造方法。 - 前記隣合う質量部材の間、及び、前記最も内側の質量部材と中型の間に、カーボンの含有量を異ならせたゴム配合物をそれぞれ供給することで、互いに異なるばね定数のゴム状弾性体を加硫成形する請求項1記載のダイナミックダンパの製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法で製造したダイナミックダンパ。
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JP2003027776A JP2004239329A (ja) | 2003-02-05 | 2003-02-05 | ダイナミックダンパの製造方法及びダイナミックダンパ |
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---|---|---|---|---|
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CN103398103A (zh) * | 2013-08-08 | 2013-11-20 | 常熟市董浜镇徐市鸿磊五金机械厂 | 抗震动轴套 |
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-
2003
- 2003-02-05 JP JP2003027776A patent/JP2004239329A/ja not_active Withdrawn
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