JP2004238805A - 低騒音路肩構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】道路の安全確保と騒音対策の両機能を確保しながら、日照、防犯、景観面の各問題や、商業活動の阻害問題等に配慮することができる低騒音路肩構造を提供すること。
【解決手段】路肩に縁石1を設置する平面道路の路肩構造であり、縁石1の車道2側の側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面11を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】路肩に縁石1を設置する平面道路の路肩構造であり、縁石1の車道2側の側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面11を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低騒音路肩構造、特に、道路の安全確保と騒音対策の両機能を確保しながら、日照、防犯、景観面の各問題や、商業活動の阻害問題等に配慮することができる低騒音路肩構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般の平面道路においては、道路路肩の構造は、図7に示すように、主に歩道6と車道2を段差によって仕切り、車道2を走行する車両が歩道6に進入して歩道6の歩行者に危害を加えることを防止している。具体的には、車道面に対してほぼ直角に20cm程度の高さの段差を設け、車道面より歩道面を高くして車両の乗り上げを防止することにより歩行者の安全を確保している。
さらに、車両の進入を防止する防護柵を歩車道境界に設ける場合には、車道面より高くなった歩道上にガードパイプやガードフェンスなどの防護冊を設置し、歩車道の段差による進入防止と防護柵による進入防止の両方で歩行者の安全を確保している。
また、高速道路などの盛土構造の道路では、路肩部分に走行車両の逸脱防止のために、ガードレールやガードケーブルなどの防護柵が安全施設として設置される。
【0003】
また、道路の騒音対策としては、従来より遮音壁が一般的に用いられている。
遮音壁にはコンクリート板や金属板の遮音板が用いられ、遮音壁に透光性や視界が要求される場合には、ポリカーボネイト板やアクリル板のようなプラスチック製遮音板を使用した遮音壁が設置される。
さらに、コンクリート板や金属板のような遮音性材料の騒音入射面にグラスウール繊維や合成樹脂繊維、金属繊維などの吸音性繊維を組み合わせたり、多孔性セラミックや多孔性コンクリート、発泡コンクリートのような窯業系吸音材を組み合わせた吸音型遮音壁も使用されている。
このように、遮音壁を設置することにより沿道住居の騒音対策を行う場合、遮音壁は回折による低減効果を大きくし伝搬経路差を長くするために、通常、高さ2〜4m程度以上のものが設置される。また、高速道路や交通量の多い国道等で車両騒音レベルが非常に大きいときには、さらに遮音壁を高くして2〜8m程度の高さの遮音壁が使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、道路騒音対策として、このような高さ2〜8mの遮音壁を市街地沿道や住宅に接近したところに設置した場合には、日照の問題や見通しの悪化による防犯上の問題が懸念されたり、商業活動に支障をきたすなどの問題を招来し、市街地や住宅から離れた高速道路や国道等においても田畑の日照や景観上の問題等が発生する。
そのため、市街地沿道や住宅に接近したところでの騒音対策として、高さ0.6m〜1m程度の低層遮音壁が提案されている。
この低層遮音壁は、コンクリートやレンガなどで作られた壁形状のものや、プランタンのように箱型形状のもの、あるいは、金属製のケーシングの中にグラスウール等の吸音材を内蔵させて音の入射面を多孔板としたもの等があり、いずれも歩車道境界付近に設置される高さ0.6m〜1m程度のものである。この低層遮音壁は車道に沿って連続的に設置すれば大きな効果が期待される。
ある研究報告によると沿道住居の騒音レベルを1dB低減させるためには、設置対象沿道長さを300m以上とし、かつ設置対象沿道長さの60%以上にわたっての低層遮音壁が必要との報告がある。
しかし、実際の道路に設置するにあたっては沿道商業施設や商店、駐車場への車の出入り口や、小さな路地道との交差点部分でも設置することができないなど、こまぎれの設置になるため、この研究報告にあるような設置条件を満足できないのが現実である。
【0005】
本発明は、上記従来の道路の遮音構造が有する問題点に鑑み、道路の安全確保と騒音対策の両機能を確保しながら、日照、防犯、景観面の各問題や、商業活動の阻害問題等に配慮することができる低騒音路肩構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の低騒音路肩構造は、路肩に縁石を設置する車道の路肩構造において、縁石の車道側側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面を形成したことを特徴とする。
【0007】
この低騒音路肩構造は、縁石の車道側側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面を形成することから、路肩の段差面への入射音を上方に反射させ、直達音との重複による増幅をなくし、かつ、直達回折音の減衰機能も併せて沿道交通騒音環境の低減を図ることができ、また、高速道路等の盛土構造の道路においては、道路端より住居までの距離ならびに住居の道路面よりの高さ等の状況によっては、従来の高い遮音壁に替わって遮音機能を発揮することができ、これにより、日照問題や景観問題を引き起こすことなく道路騒音を低減することができる。
【0008】
この場合において、前記傾斜面の角度を、110〜150°とすることができる。
【0009】
これにより、路肩の段差面への入射音を効果的に上方に反射させることができる。
【0010】
また、前記傾斜面を、短手方向断面が曲面形状の凹面に形成することができる。
【0011】
これにより、交通騒音の広い角度からの入射に対して一定の上方への反射を行うことができる。
【0012】
また、前記傾斜面を吸音性材料で構成することができる。
【0013】
これにより、縁石の傾斜面への入射音を減衰させ、上方に反射する騒音を低減することができる。
【0014】
また、前記吸音性材料を、多孔性セラミック、多孔性コンクリート又は発泡コンクリート等の窯業系吸音材料としたり、発泡アルミニウム、アルミ繊維又はステンレス繊維成型材等の金属系吸音材料としたり、あるいは、グラスウールやロックウール等の無機質繊維又はポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維吸音材料とすることができる。
【0015】
また、前記傾斜面の車道側に、多数の透孔を有する板状体を車道面に対し略直角になるよう設置することができる。
【0016】
これにより、縁石への車両の乗り上げを効果的に防止し、歩行者の安全を確保することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の低騒音路肩構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に、本発明の低騒音路肩構造の一実施例を示す。
この低騒音路肩構造は、路肩に縁石1を設置する平面道路の路肩構造であり、縁石1の車道2側の側面に、例えば125°、好ましくは110〜150°の角度で上向きに傾斜し、車両の走行音を上方に反射させる傾斜面11を形成している。
【0019】
また、図2は、例えば高速道路のように、車道2を高い位置に設けた高架道路に本発明の低騒音路肩構造を適用した例を示し、縁石1の車道2側の側面に、例えば125°、好ましくは110〜150°の角度で上向きに傾斜し、車両の走行音を上方に反射させる傾斜面11を形成している。
【0020】
これらの場合、交通騒音の広い角度からの入射に対して一定の上方への反射を行う方法として、図3に示すように、傾斜面11を短手方向断面が曲面形状の凹面に形成することができる。この曲面の形状は楕円形状、適当な円弧を含む形状、双曲線形状等の種々の曲面が考えられる。
このように、縁石1の傾斜面11を曲面形状にする場合は、円弧の接線が110〜150°の角度となるように曲面を形成する。
【0021】
また、図4(a)に示すように、縁石1の傾斜面11を吸音性材料5で構成することができ、これにより、縁石1の傾斜面11への入射音を減衰させ、上方に反射する騒音を低減することができる。
例えば、傾斜面11に入射する騒音はコンクリート面や金属面のような反射ではほぼ100%傾斜面11の角度と入射音の角度により決定される上部方向に反射されるが、マンション等の高層建築物が混在する場合や、地形的に道路面よりの高さが異なる住居が存在するような場合や、道路幅が広く騒音発生の車両の走行位置が広範囲にわたるような場合には、固定した傾斜面角度では対策対象物のすべてに対して十分な対策効果が得られないことがある。
この場合、傾斜面11を反射面でなく、吸音材5を取り付けて入射音を吸音減衰し、上方への反射音を減少させることは本発明の路肩構造の効果を発揮する上で、非常に有効である。
傾斜面11に設置する吸音材5には色々な材質のものがあるが、道路の路肩という設置場所を考えると、耐候性に優れ、泥はねや浸水による吸音性の低下が少なく、このような状態から吸音性の復元が早い吸音材で、かつ経済性に優れた吸音材が求められる。
そこで、傾斜面11に設置する吸音材5としては耐久性に優れたセラミック製や多孔性コンクリート等の窯業系吸音材や、金属繊維製吸音材がよい。さらに繊維系吸音材は吸音性に優れ、防水フィルム等の併用により耐久性も保持できることから推奨される。
具体的には、吸音性材料5を多孔性セラミック、多孔性コンクリート又は発泡コンクリート等の窯業系吸音材料としたり、発泡アルミニウム、アルミ繊維又はステンレス繊維成型材等の金属系吸音材料としたり、あるいは、グラスウールやロックウール等の無機質繊維又はポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維吸音材料とすることができる。
【0022】
さらに、図4(b)に示すように、傾斜面11の車道側に、多数の透孔3を有する板状体4を車道面に対し略直角になるよう設置することができる。板状体4は、縁石1を上から覆うような箱状に形成されており、天板部41にも多数の透孔3が形成されている。
平面道路において路肩部分を傾斜させると走行車両の乗り上げ事故が想定されるが、車両乗り上げ防止のため、傾斜面11前方に車道面に対してほぼ直角の角度で板状体4を設けると車両乗り上げ防止に効果的である。
このとき、板状体4の交通騒音入射面に多数の透孔3を設けることにより、交通騒音はこの透孔3を通って傾斜面11に達し、傾斜面角度によって決まる上方に反射される。
なお、板状体4は、車両乗り上げ時の強度に耐える材質で構成され、かつ交通騒音が傾斜面11に入射するのを妨げないような開口率を備えることが望ましい。
具体的には、この板状体4の材質は、鋼板やステンレス鋼板、アルミニウム板や鋳鉄製、鋳鋼製の成型品が好ましく、いずれの材質の場合も透孔の開口率は20〜50%が好ましい。
【0023】
一方、縁石1は、基本的には、従来のプレキャストコンクリート製の縁石ブロックと同様に、歩車道境界の車両進入防止や車両の乗り上げ時の破壊防止を考えたとき、コンクリート製であることが望ましい。
さらに、実際に施工する場合を考えると、施工性の面や車道2に面する傾斜面11の角度を保つためには、品質管理の行き届いた工場でのプレキャストコンクリート製が望ましい。
【0024】
また、縁石1の高さと傾斜面11の角度は、平面道路の場合では、市街地の道路利用の観点から、高さ20cm〜40cm、傾斜面11の角度は車道面に対して110〜150°の角度をもたせるのが望ましい。
盛土構造の高架道路等では、縁石1は、高さ50〜100cmが景観面と騒音の低減効果の点で望ましく、この場合も、傾斜面11の角度は110〜150°が好ましい。
ただし、この縁石1の最適な高さと角度は、道路の車線構成や、住居等の対策対象の道路端からの距離、あるいは対策対象の道路面からの高さ等により、解析により決定される。
【0025】
【実施例】
本発明の低騒音路肩構造の設置効果について音響解析により検証した。
なお、低騒音路肩構造の効果は、回折音の効果と反射音の効果について解析し、それらの和として求めた。
解析は、日本音響学会の研究に示された伝搬式と回折実験式を用いて、道路を走行する車両騒音が道路沿線の歩道6の位置及び沿線住宅を想定した位置について、本発明の路肩構造のと従来の路肩構造についてについて騒音レベルのピーク値を対比して、本発明の路肩構造の騒音低減効果を検証した。
検証に用いた道路の構造は上下2車線の一般の平面道路、及び高速道路を想定した高さ2mの盛土構造の道路について行った。
音源は車両のエンジンの位置として路面よりの高さを設定して行った。
【0026】
(検証結果)
(1)一般の平面道路のケース
一般の平面道路のケースについて、本発明の効果を従来の路肩構造の場合と騒音レベルの差で比較した。
表1及び図5(a)に、回折音についての本発明の効果を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
回折音の低減効果は防音塀の高さが従来の路肩構造と差が少ないため、1dB程度の低減効果がみられるのは道路近くの位置では高さ1m以下、道路より30m離れた位置で高さ4m程度以下の位置である。
【0029】
表2及び図5(b)に、反対車線側の縁石1等による反射音について本発明の効果を示す。
【0030】
【表2】
【0031】
反射音の低減効果は大きく1.5dB以上の低減効果がみられる位置は道路端で高さ3m、道路端より10m後退したところでは高さ5m以下であり、道路端より20m後退したところでは高さ8m以下の範囲となり、非常に広範囲にわたり大きな効果がある。
【0032】
表3及び図5(c)に、回折音と反射音をあわせたときの本発明の効果を示す。
【0033】
【表3】
【0034】
回折音と反射音をあわせた効果は回折音の場合の結果とほぼ同じで、道路騒音の低減効果が1dB程度の認められるのは、道路近くの位置では高さ1m以下、道路より30m離れた位置で高さ4m程度以下の範囲である。
これは回折音と反射音の絶対値の差が大きいためであるが、反射音が高周波成分を多く含んでいることを考慮すると、反射音成分が減少することは、騒音のうるささが著しく緩和され、数値に示されるより遥かに大きい騒音環境の改善効果が期待できる。
【0035】
(2)盛土構造の高架道路のケース
高速道路を想定した高さ2mの盛土構造の高架道路のケースについて、本発明の効果を従来の路肩構造の場合と騒音レベルの差で比較した。
表4及び図6(a)に、回折音についての本発明の効果を示す。
【0036】
【表4】
【0037】
回折音の低減効果は防音塀の高さが従来の路肩構造に較べて多少高いため、効果が1.5dB以上みられるのは道路端から10mの地点では地上高さ4m(道路面より高さ2m)以下、道路より80m離れた位置で地上高さ12m(道路面より高さ10m)以下程度である。
【0038】
表5及び図6(b)に、反対車線側の縁石1等による反射音について本発明の効果を示す。
【0039】
【表5】
【0040】
反射音の低減効果は大きく15dB以上の低減効果がみられる位置は道路端より10m地点で地上高さ6m(道路面より高さ6m)以下、道路端より80m後退したところでは地上高さ15m(道路面より高さ13m)以下程度であり、住宅等の建設が想定される全域にわたって非常に大きな効果がある。
【0041】
表6及び図6(c)に、回折音と反射音をあわせたときの本発明の効果を示す。
【0042】
【表6】
【0043】
回折音と反射音をあわせた効果は回折音の場合の結果とほぼ同じで、道路騒音の低減効果が1.5dB以上みられるのは、道路端から10mの地点では地上高さ4m(道路面より高さ2m)以下、道路より80m離れた地点では地上高さ12m(道路面より高さ10m)以下程度の範囲に効果が認められる。
日本の一般的な住宅構造である二階建住宅の二階居室を想定したとき、地上高は4〜5mであり、この二階居室部分の高さで、道路端から40m程度離れた地点での騒音低減効果は2.5dB以上期待できる。これは従来の騒音対策として従来一般的に用いられる防音塀と比較すると、道路脇に高さ2m程度の防音塀を設置した効果に匹敵するもので、広域的騒音環境の改善に著しい効果を期待できる。
さらに、反射音成分の減少が著しく大きいことは、反射音が高周波成分を多く含んでいることを考慮すると、反射音成分が減少することは騒音のうるささが著しく緩和され、数値に示されるより遥かに大きい騒音環境の改善効果が期待できる。
また、反射音のすべてが走行車両の側に戻らないため、運転者ならびに搭乗者に対する騒音低減効果が大きい。
【0044】
【発明の効果】
本発明の低騒音路肩構造によれば、縁石の車道側側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面を形成することから、路肩の段差面への入射音を上方に反射させ、直達音との重複による増幅をなくし、かつ、直達回折音の減衰機能も併せて沿道交通騒音環境の低減を図ることができ、また、高速道路等の盛土構造の道路においては、道路端より住居までの距離ならびに住居の道路面よりの高さ等の状況によっては、従来の高い遮音壁に替わって遮音機能を発揮することができ、これにより、日照問題や景観問題を引き起こすことなく道路騒音を低減することができる。
【0045】
この場合、前記傾斜面の角度を、110〜150°とすることにより、路肩の段差面への入射音を効果的に上方に反射させることができる。
【0046】
また、前記傾斜面を、短手方向断面が曲面形状の凹面に形成することにより、交通騒音の広い角度からの入射に対して一定の上方への反射を行うことができる。
【0047】
また、前記傾斜面を吸音性材料で構成することにより、縁石の傾斜面への入射音を減衰させ、上方に反射する騒音を低減することができる。
【0048】
この場合、前記吸音性材料を、多孔性セラミック、多孔性コンクリート又は発泡コンクリート等の窯業系吸音材料としたり、発泡アルミニウム、アルミ繊維又はステンレス繊維成型材等の金属系吸音材料としたり、あるいは、グラスウールやロックウール等の無機質繊維又はポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維吸音材料とすることができる。
【0049】
また、前記傾斜面の車道側に、多数の透孔を有する板状体を車道面に対し略直角になるよう設置することにより、縁石への車両の乗り上げを効果的に防止し、歩行者の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低騒音路肩構造を平面道路に適用した実施例を示し、(a)は全体を示す断面図、(b)は縁石付近を示す拡大断面図である。
【図2】本発明の低騒音路肩構造を盛土構造の高架道路に適用した実施例を示し、(a)は全体を示す断面図、(b)は縁石付近を示す拡大断面図である。
【図3】縁石の傾斜面を凹面に形成した例を示し、(a)は平面道路に適用した実施例を示す拡大断面図、(b)は盛土構造の高架道路に適用した実施例を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の低騒音路肩構造を示し、(a)は縁石の傾斜面に吸音性材料を設置した例を示す拡大断面図、(b)は傾斜面の車道側に多数の透孔を有する板状体を設置した例を示す拡大断面斜視図である。
【図5】平面道路における本発明の低騒音路肩構造の効果を示し、(a)回折音の低減効果を示す図、(b)は反射音の低減効果を示す図、(c)は回折音と反射音をあわせた効果を示す図である。
【図6】盛土構造の高架道路における本発明の低騒音路肩構造の効果を示し、(a)回折音の低減効果を示す図、(b)は反射音の低減効果を示す図、(c)は回折音と反射音をあわせた効果を示す図である。
【図7】従来の路肩構造を示し、(a)は全体を示す断面図、(b)は縁石付近を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 縁石
11 傾斜面
2 車道
3 透孔
4 板状体
41 天板
5 吸音材
6 歩道
【発明の属する技術分野】
本発明は、低騒音路肩構造、特に、道路の安全確保と騒音対策の両機能を確保しながら、日照、防犯、景観面の各問題や、商業活動の阻害問題等に配慮することができる低騒音路肩構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般の平面道路においては、道路路肩の構造は、図7に示すように、主に歩道6と車道2を段差によって仕切り、車道2を走行する車両が歩道6に進入して歩道6の歩行者に危害を加えることを防止している。具体的には、車道面に対してほぼ直角に20cm程度の高さの段差を設け、車道面より歩道面を高くして車両の乗り上げを防止することにより歩行者の安全を確保している。
さらに、車両の進入を防止する防護柵を歩車道境界に設ける場合には、車道面より高くなった歩道上にガードパイプやガードフェンスなどの防護冊を設置し、歩車道の段差による進入防止と防護柵による進入防止の両方で歩行者の安全を確保している。
また、高速道路などの盛土構造の道路では、路肩部分に走行車両の逸脱防止のために、ガードレールやガードケーブルなどの防護柵が安全施設として設置される。
【0003】
また、道路の騒音対策としては、従来より遮音壁が一般的に用いられている。
遮音壁にはコンクリート板や金属板の遮音板が用いられ、遮音壁に透光性や視界が要求される場合には、ポリカーボネイト板やアクリル板のようなプラスチック製遮音板を使用した遮音壁が設置される。
さらに、コンクリート板や金属板のような遮音性材料の騒音入射面にグラスウール繊維や合成樹脂繊維、金属繊維などの吸音性繊維を組み合わせたり、多孔性セラミックや多孔性コンクリート、発泡コンクリートのような窯業系吸音材を組み合わせた吸音型遮音壁も使用されている。
このように、遮音壁を設置することにより沿道住居の騒音対策を行う場合、遮音壁は回折による低減効果を大きくし伝搬経路差を長くするために、通常、高さ2〜4m程度以上のものが設置される。また、高速道路や交通量の多い国道等で車両騒音レベルが非常に大きいときには、さらに遮音壁を高くして2〜8m程度の高さの遮音壁が使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、道路騒音対策として、このような高さ2〜8mの遮音壁を市街地沿道や住宅に接近したところに設置した場合には、日照の問題や見通しの悪化による防犯上の問題が懸念されたり、商業活動に支障をきたすなどの問題を招来し、市街地や住宅から離れた高速道路や国道等においても田畑の日照や景観上の問題等が発生する。
そのため、市街地沿道や住宅に接近したところでの騒音対策として、高さ0.6m〜1m程度の低層遮音壁が提案されている。
この低層遮音壁は、コンクリートやレンガなどで作られた壁形状のものや、プランタンのように箱型形状のもの、あるいは、金属製のケーシングの中にグラスウール等の吸音材を内蔵させて音の入射面を多孔板としたもの等があり、いずれも歩車道境界付近に設置される高さ0.6m〜1m程度のものである。この低層遮音壁は車道に沿って連続的に設置すれば大きな効果が期待される。
ある研究報告によると沿道住居の騒音レベルを1dB低減させるためには、設置対象沿道長さを300m以上とし、かつ設置対象沿道長さの60%以上にわたっての低層遮音壁が必要との報告がある。
しかし、実際の道路に設置するにあたっては沿道商業施設や商店、駐車場への車の出入り口や、小さな路地道との交差点部分でも設置することができないなど、こまぎれの設置になるため、この研究報告にあるような設置条件を満足できないのが現実である。
【0005】
本発明は、上記従来の道路の遮音構造が有する問題点に鑑み、道路の安全確保と騒音対策の両機能を確保しながら、日照、防犯、景観面の各問題や、商業活動の阻害問題等に配慮することができる低騒音路肩構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の低騒音路肩構造は、路肩に縁石を設置する車道の路肩構造において、縁石の車道側側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面を形成したことを特徴とする。
【0007】
この低騒音路肩構造は、縁石の車道側側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面を形成することから、路肩の段差面への入射音を上方に反射させ、直達音との重複による増幅をなくし、かつ、直達回折音の減衰機能も併せて沿道交通騒音環境の低減を図ることができ、また、高速道路等の盛土構造の道路においては、道路端より住居までの距離ならびに住居の道路面よりの高さ等の状況によっては、従来の高い遮音壁に替わって遮音機能を発揮することができ、これにより、日照問題や景観問題を引き起こすことなく道路騒音を低減することができる。
【0008】
この場合において、前記傾斜面の角度を、110〜150°とすることができる。
【0009】
これにより、路肩の段差面への入射音を効果的に上方に反射させることができる。
【0010】
また、前記傾斜面を、短手方向断面が曲面形状の凹面に形成することができる。
【0011】
これにより、交通騒音の広い角度からの入射に対して一定の上方への反射を行うことができる。
【0012】
また、前記傾斜面を吸音性材料で構成することができる。
【0013】
これにより、縁石の傾斜面への入射音を減衰させ、上方に反射する騒音を低減することができる。
【0014】
また、前記吸音性材料を、多孔性セラミック、多孔性コンクリート又は発泡コンクリート等の窯業系吸音材料としたり、発泡アルミニウム、アルミ繊維又はステンレス繊維成型材等の金属系吸音材料としたり、あるいは、グラスウールやロックウール等の無機質繊維又はポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維吸音材料とすることができる。
【0015】
また、前記傾斜面の車道側に、多数の透孔を有する板状体を車道面に対し略直角になるよう設置することができる。
【0016】
これにより、縁石への車両の乗り上げを効果的に防止し、歩行者の安全を確保することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の低騒音路肩構造の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1に、本発明の低騒音路肩構造の一実施例を示す。
この低騒音路肩構造は、路肩に縁石1を設置する平面道路の路肩構造であり、縁石1の車道2側の側面に、例えば125°、好ましくは110〜150°の角度で上向きに傾斜し、車両の走行音を上方に反射させる傾斜面11を形成している。
【0019】
また、図2は、例えば高速道路のように、車道2を高い位置に設けた高架道路に本発明の低騒音路肩構造を適用した例を示し、縁石1の車道2側の側面に、例えば125°、好ましくは110〜150°の角度で上向きに傾斜し、車両の走行音を上方に反射させる傾斜面11を形成している。
【0020】
これらの場合、交通騒音の広い角度からの入射に対して一定の上方への反射を行う方法として、図3に示すように、傾斜面11を短手方向断面が曲面形状の凹面に形成することができる。この曲面の形状は楕円形状、適当な円弧を含む形状、双曲線形状等の種々の曲面が考えられる。
このように、縁石1の傾斜面11を曲面形状にする場合は、円弧の接線が110〜150°の角度となるように曲面を形成する。
【0021】
また、図4(a)に示すように、縁石1の傾斜面11を吸音性材料5で構成することができ、これにより、縁石1の傾斜面11への入射音を減衰させ、上方に反射する騒音を低減することができる。
例えば、傾斜面11に入射する騒音はコンクリート面や金属面のような反射ではほぼ100%傾斜面11の角度と入射音の角度により決定される上部方向に反射されるが、マンション等の高層建築物が混在する場合や、地形的に道路面よりの高さが異なる住居が存在するような場合や、道路幅が広く騒音発生の車両の走行位置が広範囲にわたるような場合には、固定した傾斜面角度では対策対象物のすべてに対して十分な対策効果が得られないことがある。
この場合、傾斜面11を反射面でなく、吸音材5を取り付けて入射音を吸音減衰し、上方への反射音を減少させることは本発明の路肩構造の効果を発揮する上で、非常に有効である。
傾斜面11に設置する吸音材5には色々な材質のものがあるが、道路の路肩という設置場所を考えると、耐候性に優れ、泥はねや浸水による吸音性の低下が少なく、このような状態から吸音性の復元が早い吸音材で、かつ経済性に優れた吸音材が求められる。
そこで、傾斜面11に設置する吸音材5としては耐久性に優れたセラミック製や多孔性コンクリート等の窯業系吸音材や、金属繊維製吸音材がよい。さらに繊維系吸音材は吸音性に優れ、防水フィルム等の併用により耐久性も保持できることから推奨される。
具体的には、吸音性材料5を多孔性セラミック、多孔性コンクリート又は発泡コンクリート等の窯業系吸音材料としたり、発泡アルミニウム、アルミ繊維又はステンレス繊維成型材等の金属系吸音材料としたり、あるいは、グラスウールやロックウール等の無機質繊維又はポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維吸音材料とすることができる。
【0022】
さらに、図4(b)に示すように、傾斜面11の車道側に、多数の透孔3を有する板状体4を車道面に対し略直角になるよう設置することができる。板状体4は、縁石1を上から覆うような箱状に形成されており、天板部41にも多数の透孔3が形成されている。
平面道路において路肩部分を傾斜させると走行車両の乗り上げ事故が想定されるが、車両乗り上げ防止のため、傾斜面11前方に車道面に対してほぼ直角の角度で板状体4を設けると車両乗り上げ防止に効果的である。
このとき、板状体4の交通騒音入射面に多数の透孔3を設けることにより、交通騒音はこの透孔3を通って傾斜面11に達し、傾斜面角度によって決まる上方に反射される。
なお、板状体4は、車両乗り上げ時の強度に耐える材質で構成され、かつ交通騒音が傾斜面11に入射するのを妨げないような開口率を備えることが望ましい。
具体的には、この板状体4の材質は、鋼板やステンレス鋼板、アルミニウム板や鋳鉄製、鋳鋼製の成型品が好ましく、いずれの材質の場合も透孔の開口率は20〜50%が好ましい。
【0023】
一方、縁石1は、基本的には、従来のプレキャストコンクリート製の縁石ブロックと同様に、歩車道境界の車両進入防止や車両の乗り上げ時の破壊防止を考えたとき、コンクリート製であることが望ましい。
さらに、実際に施工する場合を考えると、施工性の面や車道2に面する傾斜面11の角度を保つためには、品質管理の行き届いた工場でのプレキャストコンクリート製が望ましい。
【0024】
また、縁石1の高さと傾斜面11の角度は、平面道路の場合では、市街地の道路利用の観点から、高さ20cm〜40cm、傾斜面11の角度は車道面に対して110〜150°の角度をもたせるのが望ましい。
盛土構造の高架道路等では、縁石1は、高さ50〜100cmが景観面と騒音の低減効果の点で望ましく、この場合も、傾斜面11の角度は110〜150°が好ましい。
ただし、この縁石1の最適な高さと角度は、道路の車線構成や、住居等の対策対象の道路端からの距離、あるいは対策対象の道路面からの高さ等により、解析により決定される。
【0025】
【実施例】
本発明の低騒音路肩構造の設置効果について音響解析により検証した。
なお、低騒音路肩構造の効果は、回折音の効果と反射音の効果について解析し、それらの和として求めた。
解析は、日本音響学会の研究に示された伝搬式と回折実験式を用いて、道路を走行する車両騒音が道路沿線の歩道6の位置及び沿線住宅を想定した位置について、本発明の路肩構造のと従来の路肩構造についてについて騒音レベルのピーク値を対比して、本発明の路肩構造の騒音低減効果を検証した。
検証に用いた道路の構造は上下2車線の一般の平面道路、及び高速道路を想定した高さ2mの盛土構造の道路について行った。
音源は車両のエンジンの位置として路面よりの高さを設定して行った。
【0026】
(検証結果)
(1)一般の平面道路のケース
一般の平面道路のケースについて、本発明の効果を従来の路肩構造の場合と騒音レベルの差で比較した。
表1及び図5(a)に、回折音についての本発明の効果を示す。
【0027】
【表1】
【0028】
回折音の低減効果は防音塀の高さが従来の路肩構造と差が少ないため、1dB程度の低減効果がみられるのは道路近くの位置では高さ1m以下、道路より30m離れた位置で高さ4m程度以下の位置である。
【0029】
表2及び図5(b)に、反対車線側の縁石1等による反射音について本発明の効果を示す。
【0030】
【表2】
【0031】
反射音の低減効果は大きく1.5dB以上の低減効果がみられる位置は道路端で高さ3m、道路端より10m後退したところでは高さ5m以下であり、道路端より20m後退したところでは高さ8m以下の範囲となり、非常に広範囲にわたり大きな効果がある。
【0032】
表3及び図5(c)に、回折音と反射音をあわせたときの本発明の効果を示す。
【0033】
【表3】
【0034】
回折音と反射音をあわせた効果は回折音の場合の結果とほぼ同じで、道路騒音の低減効果が1dB程度の認められるのは、道路近くの位置では高さ1m以下、道路より30m離れた位置で高さ4m程度以下の範囲である。
これは回折音と反射音の絶対値の差が大きいためであるが、反射音が高周波成分を多く含んでいることを考慮すると、反射音成分が減少することは、騒音のうるささが著しく緩和され、数値に示されるより遥かに大きい騒音環境の改善効果が期待できる。
【0035】
(2)盛土構造の高架道路のケース
高速道路を想定した高さ2mの盛土構造の高架道路のケースについて、本発明の効果を従来の路肩構造の場合と騒音レベルの差で比較した。
表4及び図6(a)に、回折音についての本発明の効果を示す。
【0036】
【表4】
【0037】
回折音の低減効果は防音塀の高さが従来の路肩構造に較べて多少高いため、効果が1.5dB以上みられるのは道路端から10mの地点では地上高さ4m(道路面より高さ2m)以下、道路より80m離れた位置で地上高さ12m(道路面より高さ10m)以下程度である。
【0038】
表5及び図6(b)に、反対車線側の縁石1等による反射音について本発明の効果を示す。
【0039】
【表5】
【0040】
反射音の低減効果は大きく15dB以上の低減効果がみられる位置は道路端より10m地点で地上高さ6m(道路面より高さ6m)以下、道路端より80m後退したところでは地上高さ15m(道路面より高さ13m)以下程度であり、住宅等の建設が想定される全域にわたって非常に大きな効果がある。
【0041】
表6及び図6(c)に、回折音と反射音をあわせたときの本発明の効果を示す。
【0042】
【表6】
【0043】
回折音と反射音をあわせた効果は回折音の場合の結果とほぼ同じで、道路騒音の低減効果が1.5dB以上みられるのは、道路端から10mの地点では地上高さ4m(道路面より高さ2m)以下、道路より80m離れた地点では地上高さ12m(道路面より高さ10m)以下程度の範囲に効果が認められる。
日本の一般的な住宅構造である二階建住宅の二階居室を想定したとき、地上高は4〜5mであり、この二階居室部分の高さで、道路端から40m程度離れた地点での騒音低減効果は2.5dB以上期待できる。これは従来の騒音対策として従来一般的に用いられる防音塀と比較すると、道路脇に高さ2m程度の防音塀を設置した効果に匹敵するもので、広域的騒音環境の改善に著しい効果を期待できる。
さらに、反射音成分の減少が著しく大きいことは、反射音が高周波成分を多く含んでいることを考慮すると、反射音成分が減少することは騒音のうるささが著しく緩和され、数値に示されるより遥かに大きい騒音環境の改善効果が期待できる。
また、反射音のすべてが走行車両の側に戻らないため、運転者ならびに搭乗者に対する騒音低減効果が大きい。
【0044】
【発明の効果】
本発明の低騒音路肩構造によれば、縁石の車道側側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面を形成することから、路肩の段差面への入射音を上方に反射させ、直達音との重複による増幅をなくし、かつ、直達回折音の減衰機能も併せて沿道交通騒音環境の低減を図ることができ、また、高速道路等の盛土構造の道路においては、道路端より住居までの距離ならびに住居の道路面よりの高さ等の状況によっては、従来の高い遮音壁に替わって遮音機能を発揮することができ、これにより、日照問題や景観問題を引き起こすことなく道路騒音を低減することができる。
【0045】
この場合、前記傾斜面の角度を、110〜150°とすることにより、路肩の段差面への入射音を効果的に上方に反射させることができる。
【0046】
また、前記傾斜面を、短手方向断面が曲面形状の凹面に形成することにより、交通騒音の広い角度からの入射に対して一定の上方への反射を行うことができる。
【0047】
また、前記傾斜面を吸音性材料で構成することにより、縁石の傾斜面への入射音を減衰させ、上方に反射する騒音を低減することができる。
【0048】
この場合、前記吸音性材料を、多孔性セラミック、多孔性コンクリート又は発泡コンクリート等の窯業系吸音材料としたり、発泡アルミニウム、アルミ繊維又はステンレス繊維成型材等の金属系吸音材料としたり、あるいは、グラスウールやロックウール等の無機質繊維又はポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維吸音材料とすることができる。
【0049】
また、前記傾斜面の車道側に、多数の透孔を有する板状体を車道面に対し略直角になるよう設置することにより、縁石への車両の乗り上げを効果的に防止し、歩行者の安全を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の低騒音路肩構造を平面道路に適用した実施例を示し、(a)は全体を示す断面図、(b)は縁石付近を示す拡大断面図である。
【図2】本発明の低騒音路肩構造を盛土構造の高架道路に適用した実施例を示し、(a)は全体を示す断面図、(b)は縁石付近を示す拡大断面図である。
【図3】縁石の傾斜面を凹面に形成した例を示し、(a)は平面道路に適用した実施例を示す拡大断面図、(b)は盛土構造の高架道路に適用した実施例を示す拡大断面図である。
【図4】本発明の低騒音路肩構造を示し、(a)は縁石の傾斜面に吸音性材料を設置した例を示す拡大断面図、(b)は傾斜面の車道側に多数の透孔を有する板状体を設置した例を示す拡大断面斜視図である。
【図5】平面道路における本発明の低騒音路肩構造の効果を示し、(a)回折音の低減効果を示す図、(b)は反射音の低減効果を示す図、(c)は回折音と反射音をあわせた効果を示す図である。
【図6】盛土構造の高架道路における本発明の低騒音路肩構造の効果を示し、(a)回折音の低減効果を示す図、(b)は反射音の低減効果を示す図、(c)は回折音と反射音をあわせた効果を示す図である。
【図7】従来の路肩構造を示し、(a)は全体を示す断面図、(b)は縁石付近を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
1 縁石
11 傾斜面
2 車道
3 透孔
4 板状体
41 天板
5 吸音材
6 歩道
Claims (8)
- 路肩に縁石を設置する車道の路肩構造において、縁石の車道側側面に、上向きに傾斜し車両の走行音を上方に反射させる傾斜面を形成したことを特徴とする低騒音路肩構造。
- 前記傾斜面の角度を、110〜150°としたことを特徴とする請求項1記載の低騒音路肩構造。
- 前記傾斜面を、短手方向断面が曲面形状の凹面に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の低騒音路肩構造。
- 前記傾斜面を吸音性材料で構成したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の低騒音路肩構造。
- 前記吸音性材料を、多孔性セラミック、多孔性コンクリート又は発泡コンクリート等の窯業系吸音材料としたことを特徴とする請求項4記載の低騒音路肩構造。
- 前記吸音性材料を、発泡アルミニウム、アルミ繊維又はステンレス繊維成型材等の金属系吸音材料としたことを特徴とする請求項4記載の低騒音路肩構造。
- 前記吸音性材料を、グラスウールやロックウール等の無機質繊維又はポリエステル繊維やアクリル繊維等の合成繊維吸音材料としたことを特徴とする請求項4記載の低騒音路肩構造。
- 前記傾斜面の車道側に、多数の透孔を有する板状体を車道面に対し略直角になるよう設置したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の低騒音路肩構造。
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-
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- 2003-02-03 JP JP2003026009A patent/JP2004238805A/ja active Pending
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