JP2004237696A - 固有振動周期測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】インク滴の飛行軌跡Lと第1交差点P1で交差する第1軌道O1上、及び、インク滴の飛行軌跡Lと第1交差点P1とは異なる第2交差点P2で交差する第2軌道O2上に測定用の光を射出する発光部3と、発光部3が射出した光を受光し、吐出されたインク滴が第1軌道O1上の光を遮ることで第1パルスを出力し、インク滴が第2軌道O2上の光を遮ることで第2パルスを出力する受光部5と、発光部3からの光を反射する反射部4とを備え、インク滴の飛行軌跡Lの一側に発光部3及び受光部5を配置すると共に、発光部3及び受光部5とはインク滴の飛行軌跡Lを挟んで反対側に測定用の光を反射する反射部4を配置し、発光部3から射出された第1軌道上O1の光を反射部4によって第2軌道O2上に反射して受光部5に受光させるように構成した。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体噴射ヘッドから吐出される液滴の飛行速度を測定し、得られた飛行速度を用いて圧力発生室内の液体の固有振動周期を算出する固有振動周期測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
圧力発生室内の液体をノズル開口から液滴として吐出させる液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
【0003】
このような液体噴射ヘッドでは、圧力発生室内の液体に圧力を与える圧力発生手段として圧電振動子を用いたものや発熱素子を用いたものがある。
例えば、圧電振動子を用いた液体噴射ヘッドでは、圧力発生室を部分的に区画する弾性板を圧電振動子等の圧力発生手段を駆動させることで圧力発生室内の液体圧力を変動させ、この液体圧力の変動によってノズル開口から液滴を吐出させる。
また、発熱素子を用いた液体噴射ヘッドでは、発熱素子を圧力発生室に配設し、この発熱素子を急激に加熱することで液体を沸騰させて圧力発生室内に気泡を発生させる。そして、この気泡によって圧力発生室内の液体を加圧し、ノズル開口から液滴を吐出させている。
即ち、これらの液体噴射ヘッドでは、何れも圧力発生室内の液体圧力を変動させることによって液滴を吐出している。
【0004】
この種の液体噴射ヘッドにおいて、圧力発生室内の液体には、圧力発生手段による液体の圧力の変動に伴って、例えば圧力発生室の形状やインクの圧縮性等によって定まる固有振動周期の圧力振動が励起される。そして、この種の液体噴射ヘッドにおいて、液滴の吐出タイミングは、圧力発生室内の液体の固有振動周期に基づいて設定され、液滴の吐出を効率よく行えるように構成されている。
【0005】
ところで、この種の液体噴射ヘッドは、極めて微細な加工や組み立てによって構成されている。このため、圧力発生室の形状やノズル開口の大きさ等の液体の固有振動周期に影響する要素が液体噴射ヘッド毎にばらつき易く、これに伴い圧力発生室内の液体の固有振動周期にもばらつきが生じてしまう。従って全ての液体噴射ヘッドを同じ波形形状の駆動信号で駆動すると、固有振動周期のばらつきに応じて液滴の吐出特性も液体噴射ヘッド毎でばらついてしまう。
そのため、液体噴射ヘッド毎に圧力発生室内の液体に励起される固有振動周期を測定し、測定された固有振動周期に基づいて駆動信号を設定するのが望ましい。
【0006】
固有振動周期を測定する方法としては、例えば、ノズル開口から液滴を吐出させ、吐出された液滴の飛行速度を測定し、得られた飛行速度と駆動信号との相関関係から固有振動周期を算出する方法がある。
【0007】
このような固有振動周期の測定に使用される液滴の飛行速度を測定する装置としては様々なものが挙げられるが、例えば、特許文献1に開示されているような方式のものがある。
この特許文献1に開示されているものは、発光部と受光部の組からなる2組の検出手段(第1及び第2の検出手段)を設け、各検出手段の発光部から発せられる光を、液体噴射ヘッド(記録ヘッド)から吐出された液滴が順次遮ることにより各検出手段の受光部から液滴の通過を検出するように構成されている。そして、第1の検出手段の通過から第2の検出手段の通過までの時間と各検出手段間の距離に基づいて液滴の速度を導出するようになっている。
【0008】
また、上記検出手段を1組だけ設け、液体噴射ヘッドと検出手段間の距離を高精度に制御可能に構成したものもある。この構成の場合、液体噴射ヘッドと検出手段間の距離を互いに異なる第1の距離と第2の距離とに設定し、それぞれ設定した距離において吐出した液滴の通過を検出手段によって検出し、検出時刻の差と、第1の距離及び第2の距離の間の差とに基づいて液滴の速度を導出するようになっている。
【0009】
【特許文献1】
特開平3−71265号公報(第3頁,第2図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の場合、検出手段を2組用意する必要があるため、その分コストを必要とする問題があった。
また、後者の場合、液体噴射ヘッド又は検出手段を高精度に移動させる機構及び制御が必要となり、検出手段が1組であっても構造が複雑となる課題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置構成を簡素化し且つ低コスト化が可能な固有振動周期測定装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせてノズル開口から液滴を吐出可能に構成した液体噴射ヘッドの前記圧力発生室内の液体に励起される圧力振動の固有振動周期を測定する固有振動周期測定装置において、
前記ノズル開口から吐出される液滴の飛行速度を測定する速度測定手段と、
該速度測定手段によって得られた液滴の飛行速度に基づいて前記圧力振動の固有振動周期を演算する固有振動周期演算手段とを備え、
前記速度測定手段は、
前記液滴の飛行軌跡と第1交差点で交差する第1軌道上、及び、前記液滴の飛行軌跡と前記第1交差点とは異なる第2交差点で交差する第2軌道上に測定用の光を射出する発光部と、
該発光部が射出した測定用の光を受光し、吐出された液滴が前記第1軌道上の光を遮ることで第1パルスを出力し、該液滴が前記第2軌道上の光を遮ることで第2パルスを出力する受光部と、
該受光部から出力される第1パルスと第2パルスの時間差、及び、前記第1交差点から前記第2交差点までの交差距離に基づいて液滴の飛行速度を演算する速度演算部とを備え、
前記液滴の飛行軌跡の一側に前記発光部及び受光部を配置すると共に、当該発光部及び受光部とは液滴の飛行軌跡を挟んで反対側に測定用の光を反射する反射部を配置し、前記発光部から射出された第1軌道上の光を反射部によって第2軌道上に反射して前記受光部に受光させるように構成したことを特徴とする。
【0013】
本発明は、発光部、反射部、及び受光部を上記のような構成にしたので、簡単な構成で液滴の速度を測定することができ、もって装置の低コスト化に寄与することができる。
【0014】
上記構成において、ノズル開口の位置と交差距離との関係を規定した交差距離テーブルを備え、
前記速度演算部は、各ノズル開口毎の液滴の飛行速度を算出する際に前記交差距離テーブルを参照して各ノズル開口に対応した交差距離を選択することが好ましい。
この発明によれば、各ノズル開口毎に対応した交差距離を容易に選択することができ、さらに、仕様が異なる液体噴射ヘッドへの対応も容易である。
【0015】
また、上記構成において、前記発光部はレーザー光源により構成されていることが好ましい。また、前記受光部はフォトダイオードにより構成されていることが好ましい。
【0016】
また、前記第1軌道上の光又は前記第2軌道上の光のうち何れか前記液体噴射ヘッドにより近い方が該液体噴射ヘッドのノズル形成面に略平行となるように前記発光部、前記反射部、及び、前記受光部を配置することもできる。
これにより、上側の軌道上の光をより液体噴射ヘッドに近づけることができるので、狭いスペースに装置を設置する場合でも第1交差点、第2交差点間の交差距離を十分にとることができ、支障なく測定を行うことができる。
なお、「略平行」とは、必ずしも完全に平行であることを意味するものではなく、平行状態から多少の幅をもった範囲も含むことを意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の固有振動周期測定装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の固有振動周期測定装置1は、本発明の液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)2を測定対象としている。この記録ヘッド2は、液体状のインク(本発明における液体の一種)を液滴の状態で吐出させ、記録紙等の印刷記録媒体上に文字や画像を記録するインクジェット式プリンタ(画像記録装置)に搭載されるものである。
【0019】
固有振動周期測定装置1は、発光部3、反射部4、及び受光部5からなる光学系6と、記録ヘッド2内の圧電振動子15(図2参照)を駆動するための複数種類の駆動信号COMを発生する駆動信号発生部7と、インク滴(液滴の一種)の飛行速度を演算する速度演算部として機能すると共に圧力発生室30(図2参照)内のインクの固有振動周期Tcを演算する固有振動周期演算手段としても機能する制御部8により概略構成される。
【0020】
ここで、上記記録ヘッド2の構造について、図2を用いて説明する。例示した記録ヘッド2は、複数の圧電振動子15、固定板16、及び、フレキシブルケーブル17等をユニット化した振動子ユニット18と、この振動子ユニット18を収納可能なケース19と、ケース19の先端面に接合される流路ユニット20を備えている。
【0021】
ケース19は、振動子ユニット18を収納し固定するための収納空部21を内部に形成した合成樹脂製のブロック状部材である。この収納空部21は、ケース19の高さ方向を貫通する空部であり、収納される振動子ユニット18の数と同じ数だけ設けられる。そして、振動子ユニット18は、圧電振動子15の先端面を収納空部21の先端側開口に臨ませた状態で収納され、固定板16が収納空部21を区画するケース内壁面に接着されている。
【0022】
圧電振動子15は、圧力発生手段の一種であり、入力された電気エネルギーに応じて変形する電気機械変換素子の一種でもある。本実施形態の圧電振動子15は、30μm〜100μm程度の極めて細い幅の櫛歯状に切り分けられている。また、この圧電振動子15は、圧電体と内部電極とを交互に積層して構成された積層型の圧電振動子であり、圧電体と内部電極との間の電位差に応じ、電界方向と直交する方向に伸縮する。各圧電振動子15は、所謂片持ち梁の状態で固定板16上に取り付けられている。即ち、各圧電振動子15の基端側部分を固定板16上に接合することで、自由端部分を固定板16の縁よりも外側に突出させている。そして、各圧電振動子15の先端面は、それぞれ流路ユニット20の島部23に接合されている。また、フレキシブルケーブル17は、固定板16とは反対側となる基端側部分の表面で各圧電振動子15と電気的に接続されている。
【0023】
流路ユニット20は、流路形成基板25を間に挟んでノズルプレート26を流路形成基板25の一方の表面に配置し、弾性板27をノズルプレート26とは反対側となる他方の表面に配置して接着することで構成されている。
【0024】
上記のノズルプレート26は、ドット形成密度に対応したピッチで複数のノズル開口28−1…28−nを列状に開設したステンレス鋼製の薄いプレートであり、本発明のノズル形成面の一種である。本実施形態では、例えば180dpiのピッチで96個のノズル開口28が開設され、これらのノズル開口28によってノズル列を構成している。
【0025】
上記の流路形成基板25は、ノズルプレート26の各ノズル開口28と同じピッチで圧力発生室30となる空部及びインク供給口31となる溝部を複数形成すると共に、共通インク室32となる空部を形成した板状の部材である。上記の圧力発生室30は、ノズル開口28の列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室である。インク供給口31は、共通インク室32と圧力発生室30との間を連通する流路幅の狭い溝である。また、圧力発生室30内における共通インク室32から最も離れた位置には、ノズル開口28と圧力発生室30とを連通するためのノズル連通口33を板厚方向に貫通させた状態で設けている。
【0026】
弾性板27は、支持板35の表面に樹脂フィルム等の弾性体膜36を積層した二重構造である。そして、この弾性板27には、圧力発生室30の一方の開口面を封止するダイヤフラム部37が設けられると共に、共通インク室32の一方の開口面を封止するコンプライアンス部38が設けられている。そして、ダイヤフラム部37は、圧力発生室30に対応した部分の支持板35を環状にエッチング加工することで作製され、弾性体膜36のみの弾性部37´と圧電振動子15が接合される島部23とが設けられている。また、コンプライアンス部38は、共通インク室32に対応する部分の支持板35をエッチング加工で除去し、弾性体膜36のみとしている。
【0027】
上記構成の記録ヘッド2では、駆動信号COMに基づいて圧電振動子15が素子長手方向に伸縮して圧力発生室30の容積を変化させる。これにより圧力発生室30内のインクに圧力変動を生じさせ、この圧力変動を利用してノズル開口28からインク滴を吐出するように構成されている。
【0028】
ここで、吐出されたインク滴の飛行速度は、吐出タイミングにおけるメニスカス(ノズル開口28で露出しているインクの自由表面)の状態、具体的には、メニスカスの張力に応じて変化するものと考えられる。例えば、メニスカスが圧力発生室30側に大きく引き込まれた状態では、吐出方向側に働くメニスカスの張力が大きいので、このタイミングでインク滴を吐出すると飛行速度が高くなる。これは、弓の弦を大きく引っ張った方が、小さく引っ張ったときよりも矢の飛行速度が高速になるのと同じ理由である。従って、逆に、メニスカスが吐出側に大きく盛り上がった状態では、メニスカスの張力は圧力発生室30側に働くので、このタイミングでインク滴を吐出すると飛行速度は低くなる。
【0029】
メニスカスの状態は、圧力発生室30内のインクに励起される固有振動周期Tcで変化するため、インク滴の飛行速度の変化の周期は固有振動周期Tcに対応する。本実施形態においては、吐出タイミングを少しずつずらしながらインク滴を吐出し、それぞれのタイミングでのインク滴の飛行速度を測定し、この飛行速度の変化の周期を利用して圧力発生室30内のインクの固有振動周期Tcを算出するように構成されている。この点の詳細については後述する。
【0030】
上記記録ヘッド2の圧電振動子15を駆動してインク滴を吐出させるための駆動信号COMは、駆動信号発生部7から発生される。この駆動信号発生部7は、図3に示すように、制御部8によって定められた波形形状の駆動信号COMを発生するように構成されている。そして、駆動信号発生部7は、制御部8からのラッチ信号LATをトリガとして駆動信号COMを発生して記録ヘッド2の圧電振動子15に供給するようになっている。
【0031】
上記駆動信号COMは、最低電位VLから最大電位VPまで一定の勾配で電位を上昇させる膨張要素s1と、最大電位VPを一定時間維持する膨張ホールド要素s2と、最大電位VPから最低電位VLまで一定勾配で電位を下降させる吐出要素s3とから構成されている。この駆動信号COMによって圧電振動子15が駆動されると、各ノズル開口28からインク滴が吐出される。
【0032】
なお、膨張要素s1の継続時間、即ち、圧電振動子15への供給時間は、圧力発生室30内のインクに固有振動周期Tcの圧力振動を励起させ得る時間に設定される。そして、圧力振動を効率よく励起させるという目的からすれば、この供給時間は、固有振動周期Tcの設計値以下に設定されることが好ましく、設計値の1/2以下に設定されるのがより好ましい。
【0033】
また、駆動信号発生部7は、複数種類の駆動信号COMを発生するように構成されている。そして、各駆動信号COM毎に、膨張ホールド要素s2の継続時間、即ち、膨張ホールド要素s2の圧電振動子15への供給時間が少しずつ異なるように設定されている。即ち、駆動信号COM毎に膨張ホールド要素s2の継続時間を変えることによって、吐出タイミングが異なるようになっている。この膨張ホールド要素s2の継続時間は、測定されるインク滴の飛行速度について2つの極大値(図5参照)が特定できるような時間の範囲内で設定されている。
【0034】
なお、駆動信号COMとしては図3に示すものには限らない。例えば、図4に示すような波形形状のものを用いることも可能である。この図4の駆動信号COMは、中間電位VMから最大電位VPまで一定の勾配で電位を上昇させる膨張要素ss1と、最大電位VPを一定時間維持する膨張ホールド要素ss2と、最大電位VPから最低電位VLまで一定の急勾配で電位を下降させる吐出要素ss3と、この最低電位VLを一定時間維持する収縮ホールド要素ss4と、最低電位VLから中間電位Vmまで一定勾配で電位を上昇させる制振要素ss5とから構成されている。
この場合においても、駆動信号発生部7は、膨張ホールド要素ss2の継続時間が少しずつ異なるように設定した複数種類の駆動信号COMを出力する。
【0035】
上記記録ヘッド2から吐出されるインク滴の飛行速度は、光学系6と制御部8とにより構成される速度測定手段によって測定される。本実施形態においては、光学系6を、測定用の光(レーザー光)を射出するレーザー光源として機能する発光部3と、この光を反射する反射部4と、反射部4によって反射された光を受光する受光部5とにより構成し、発光部3からの光を反射部4によって反射して受光部5に受光させるように各部を配置した点に特徴を有する。以下、この光学系6の詳細について説明する。
【0036】
光学系6において、発光部3は半導体レーザにより、受光部5はフォトダイオードにより、反射部4は反射鏡によりそれぞれ構成されている。本実施形態においては、発光部3及び受光部5と、各ノズル開口28−1…28−nから吐出されるインク滴の飛行軌跡L1…Ln(以下、適宜、インク滴飛行領域と総称する)との間、及び、反射部4とインク滴飛行領域との間に、それぞれ遮蔽板40a,40bが配置されており、霧状になったインク滴(インクミスト)が各部に付着し難いようになっている。また、この各遮蔽板40a,40bには、光の通過を妨げないように開口部41a,41b,41cが設けられている。
【0037】
上記発光部3は、飛行軌跡L(L1…Ln)に対してそれぞれ第1交差点P1(P1−1…P1−n)で交差する第1軌道O1、及び、この第1交差点P1とは異なる第2交差点P2(P2−1…P2−n)で交差する第2軌道O2に測定用の光を射出するように構成されている。そして、発光部3から射出された第1軌道O1上の光を反射部4によって第2軌道O2上に反射して受光部5に受光させるように各部の位置や向きが設定されている。
【0038】
また、発光部3及び受光部5は、インク滴飛行領域に対して一側(図1では左側)に配置され、反射部4は、発光部3及び受光部5とはインク滴飛行領域を挟んで反対側(図1では右側)に配置されている。このように発光部3及び受光部5を同じ側に配置した構成としたので、発光部と受光部がインク滴飛行領域を挟んで互いに反対側に配置される従来の構成と比較して、配線の取り回しが容易となる。
【0039】
上記受光部5は、発光部3が射出した測定用の光(第2軌道O2上の光)を受光すると共に、ノズル開口28から吐出されたインク滴が軌道O1,O2上の光を遮ることにより受光が中断されると、これに応じてパルス波形を出力するように構成されている。具体的には、図3に示すように、駆動信号COMが圧電振動子15に供給されることによりインク滴が吐出され、このインク滴が第2交差点P2において第2軌道O2上の光を遮ると、受光部5は、第2パルスPL2を出力する。その後交差点P2,P1間の距離(交差距離)xを飛行したインク滴が第1交差点P1において第1軌道O1上の光を遮ると、受光部5は、第1パルスPL1を出力するようになっている。
【0040】
以上のように光学系6を構成することにより、従来のものと比較してより簡単な構成で液滴の速度を測定することが可能となり、もって装置の低コスト化に寄与することができる。
【0041】
次に、上記制御部8について説明する。制御部8は、駆動信号発生部7、発光部3、及び受光部5と電気的に接続されており、各部を制御するように構成されている。この制御部8は、各種制御や計算等を行うCPU10、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM11、各種データの記憶等を行うRAM12、及び、不揮発性の情報記憶部13(例えばEEPROM)等を備えている。
CPU10は、ROM11に記憶された動作プログラムに基づいて固有振動周期測定装置1の各部を制御する。このCPU10は、各ノズル開口28から吐出されたインク滴が軌道O1,O2の光を遮ることにより受光部5から出力されるパルスPL1,PL2に基づいて、各ノズル開口28から吐出されるインク滴の飛行速度を算出する。具体的には、第2パルスPL2の立ち上がりタイミングから第1パルスPL1の立ち上がりタイミングまでの時間Δtと、第2交差点P2から第1交差点P1までの交差距離xとを用いて、計算式v=x/Δtによって液体滴速度vを算出するようになっている。
なお、時間Δtの求め方としては、上記のように両パルスPL1,PL2の立ち上がりタイミングに基づくものに限らず、両パルスPL1,PL2の立ち下がりタイミング等、他のタイミングに基づいて求めるようにしても良い。
【0042】
ここで、第1軌道O1と第2軌道O2との間の距離は、発光部3及び受光部5側から反射部4側に近づくにつれて徐々に短くなっていく。したがって、第1交差点P1−1…P1−nと第2交差点P2−1…P2−nとの間の交差距離x1…xnも各ノズル開口28−1…28−n毎に異なる。このため、制御部8は、各ノズル開口28の位置と交差距離xとの関係を規定した交差距離テーブルを情報記憶部13に記憶している。そして、CPU10は、インク滴の飛行速度vを算出する際、この交差距離テーブルを参照して各ノズル開口28に対応した交差距離xを選択するようになっている。
これにより、各ノズル開口28毎の交差距離xを容易に選択することができ、さらに、測定対象となるヘッドの仕様が変わった場合でも容易に対応することが可能となる。
【0043】
また、CPU10、即ち、制御部8は、算出したインク滴の飛行速度と駆動信号COMの膨張ホールド要素s2(ss2)の継続時間との関係に基づいて、圧力発生室30内のインクの固有振動周期Tcを演算する。
【0044】
以下、固有振動周期Tcの測定についての動作を説明する。
まず、インク滴の飛行速度の測定が行われる。制御部8は発光部3を制御して、インク滴飛行領域、即ち、第1軌道O1上に測定用の光を射出させる。発光部3から射出された第1軌道O1上の光は、反射部4によって第2軌道O2上に反射され、受光部5によって受光される。測定期間中においては、発光部3からは測定用の光が常時射出された状態となる。
【0045】
この状態で、駆動信号発生部7は、制御部8からの制御に基づいて駆動信号COMを記録ヘッド2の圧電振動子15に送る。圧電振動子15はこの駆動信号COMに基づいて伸縮し、ノズル開口28からインク滴を吐出させる。
吐出されたインク滴は飛行軌跡L上を飛行し、まず第2交差点P2において第2軌道O2上の光を遮断する。これにより受光部5による受光が中断され、受光部5からは第2パルスPL2が出力される。その後、インク滴は第2交差点P2から距離xだけ飛行して第1交差点P1において第1軌道O1上の光を遮断する。受光部5はこれに応じて第1パルスPL1を出力する。これにより、制御部8は、図3に示すように、2つのパルスPL1,PL2を得る。
【0046】
そして、制御部8(CPU10)は、2つのパルスPL1,PL2の立ち上がりタイミングの時間差Δtと、交差距離テーブルの各ノズル開口28に対応する交差距離xとに基づいて、インク滴の飛行速度v(=x/Δt)を算出する。
【0047】
このようにして、膨張ホールド要素s2の継続時間が異なる各駆動信号COM毎にインク滴の飛行速度が測定される。そして、制御部8は、測定結果を基に膨張ホールド要素s2の継続時間を横軸とし飛行速度を縦軸としたプロットグラフを作成する。図5は、このプロットグラフの一例を示している。
【0048】
制御部8は、作成したプロットグラフに基づいて、インク滴の飛行速度vについて2つの極大値を特定する。図5の例の場合、E1,E2がこの2つの極大値に相当する。そして極大値E1に対応する継続時T1と極大値E2に対応する継続時間T2との差を、圧力発生室30内のインクに励起される圧力振動の固有振動周期Tcとして出力する。
【0049】
図6は、本発明の第2実施形態における固有振動周期測定装置1の構成を示す図である。この第2の実施形態においては光学系6の各部のレイアウトが上記第1実施形態とは異なる。即ち、第1軌道O1上の光又は第2軌道O2の光のうち何れか記録ヘッド2により近い方、即ち、図6の例では第2軌道O2上の光がノズルプレート26に略平行となるように発光部3、反射部4、及び、受光部5を配置してある。その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。本実施形態において、第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してあり、その詳細な説明は省略する。
この第2実施形態によれば、上側の光(第2軌道O2上の光)をより記録ヘッド2に近づけることができるので、狭いスペースに光学系6を設置する場合でも交差点P1,P2間の距離xを十分にとることができ、支障なく測定を行うことができる。
【0050】
ところで、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。
発光部3と受光部5に関し、上記実施形態においては、記録ヘッド2により近い方(上側)に受光部5を配置し、記録ヘッド2からより遠い方(下側)に発光部3を配置するようにしたが、これらを上下逆の配置、即ち、発光部3を記録ヘッド2により近い方に配置し、受光部5を記録ヘッド2からより遠い方に配置することも可能である。
【0051】
反射部4に関し、上記実施形態においては反射鏡によって構成した例を示したが、反射鏡に替えてプリズムによって構成することもできる。これにより、第1軌道O1上の光及び第2軌道O2上の光を互いに平行に揃えることができ、交差点P1,P2間の交差距離xを全てのノズル開口28に対して同一の値に定めることが出来る。従って、より高精度にインク滴の飛行速度を測定することが可能となると共に、飛行速度の計算時に交差距離テーブルを参照する必要が無くなり、制御が容易となる。
【0052】
以上では、測定対象の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明の固有振動周期測定装置は、他の液体噴射ヘッドを測定対象とすることができる。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固有振動周期測定装置の構成を説明する図である。
【図2】記録ヘッドの部分拡大断面図である。
【図3】駆動信号発生部が出力する駆動信号COMと、受光部が出力するパルス波形を説明する図である。
【図4】駆動信号発生部が出力する駆動信号COMの他の例を示す図である。
【図5】駆動信号COMの膨張ホールド要素の継続時間とインク滴の飛行速度との関係を示したプロットグラフの一例を示す図である。
【図6】第2実施形態における固有振動周期測定装置の構成を説明する図である。
【符号の説明】
1…固有振動周期測定装置,2…記録ヘッド,3…発光部,4…反射部,5…受光部,6…光学系,7…駆動信号発生部,8…制御部,10…CPU,11…ROM,12…RAM,13…情報記憶部,15…圧電振動子,16…固定板,17…フレキシブルケーブル,18…振動子ユニット,19…ケース,20…流路ユニット,21…収納空部,23…島部,25…流路形成基板,26…ノズルプレート,27…弾性板,28…ノズル開口,30…圧力発生室,31…インク供給口,32…共通インク室,33…ノズル連通口,35…支持板,36…弾性体膜,37…ダイヤフラム部,38…コンプライアンス部,40…遮蔽板,41…開口部
Claims (5)
- 圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせてノズル開口から液滴を吐出可能に構成した液体噴射ヘッドの前記圧力発生室内の液体に励起される圧力振動の固有振動周期を測定する固有振動周期測定装置において、
前記ノズル開口から吐出される液滴の飛行速度を測定する速度測定手段と、
該速度測定手段によって得られた液滴の飛行速度に基づいて前記圧力振動の固有振動周期を演算する固有振動周期演算手段とを備え、
前記速度測定手段は、
前記液滴の飛行軌跡と第1交差点で交差する第1軌道上、及び、前記液滴の飛行軌跡と前記第1交差点とは異なる第2交差点で交差する第2軌道上に測定用の光を射出する発光部と、
該発光部が射出した測定用の光を受光し、吐出された液滴が前記第1軌道上の光を遮ることで第1パルスを出力し、該液滴が前記第2軌道上の光を遮ることで第2パルスを出力する受光部と、
該受光部から出力される第1パルスと第2パルスの時間差、及び、前記第1交差点から前記第2交差点までの交差距離に基づいて液滴の飛行速度を演算する速度演算部とを備え、
前記液滴の飛行軌跡の一側に前記発光部及び受光部を配置すると共に、当該発光部及び受光部とは液滴の飛行軌跡を挟んで反対側に測定用の光を反射する反射部を配置し、前記発光部から射出された第1軌道上の光を反射部によって第2軌道上に反射して前記受光部に受光させるように構成したことを特徴とする固有振動周期測定装置。 - ノズル開口の位置と交差距離との関係を規定した交差距離テーブルを備え、
前記速度演算部は、各ノズル開口毎の液滴の飛行速度を算出する際に前記交差距離テーブルを参照して各ノズル開口に対応した交差距離を選択することを特徴とする請求項1に記載の固有振動周期測定装置。 - 前記発光部はレーザー光源により構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固有振動周期測定装置。
- 前記受光部はフォトダイオードにより構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の固有振動周期測定装置。
- 前記第1軌道上の光又は前記第2軌道上の光のうち何れか前記液体噴射ヘッドにより近い方が該液体噴射ヘッドのノズル形成面に略平行となるように前記発光部、前記反射部、及び、前記受光部を配置したことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の固有振動周期測定装置。
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