JP2004237429A - 機能デバイスとその製造方法、垂直磁気記録媒体、磁気記録再生装置及び情報処理装置 - Google Patents
機能デバイスとその製造方法、垂直磁気記録媒体、磁気記録再生装置及び情報処理装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】柱状の部材と該柱状の部材を取り囲む領域を含む構造体を用意する工程、該構造体から該柱状の部材を除去して多孔質体を形成する工程、及び該多孔質体に機能性材料を充填する工程を有する機能デバイスの製造方法。前記構造体は、第1の材料を含み構成される前記柱状の部材が、第2の材料を含み構成される前記領域に取り囲まれており、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれている。前記第1の材料がアルミニウムであり、前記第2の材料がシリコンあるいはシリコンとゲルマニウムの混合物である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔を有する構造体(多孔質体)に機能性材料を充填して形成される機能デバイス及びその製造方法に関し、具体的には電子デバイス、光デバイス、及び記録デバイスなどに関するものである。
【0002】
【背景技術】
近年、機能デバイスの構成部材として微細構造体への関心が高まっている。
こうした微細構造体の作製手法としては、フォトリソグラフィーなどの微細パターン形成技術を代表される半導体加工技術によって直接的に微細構造体を作製する手法が挙げられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、上述の半導体加工技術とは別に、材料の自己組織化(self−organization)現象を利用する手法がある。即ち、自然に形成される規則的な構造をべースに、新規な微細構造体を実現しようというものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−55545号公報(第3頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この自己組織化現象あるいは自己形成化現象を利用する手法では、ミクロンオーダーは勿論、ナノオーダーの構造体を実現できる可能性があるため、多くの研究が行われているものの、その手法は十分に確立されているとはいえず、新規な微細構造体の提供やその製造方法の確立が求められているのが実情である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、機能デバイスの構成部材となり得る新規な構造体を提供すると共に、それを利用した機能デバイス及びその製造方法等を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
本発明に係る機能デバイスの製造方法は、柱状の部材と該柱状の部材を取り囲む領域を含む構造体を用意する工程、該構造体から該柱状の部材を除去して多孔質体を形成する工程、及び該多孔質体に機能性材料を充填する工程を有することを特徴とする。
【0008】
ここで、前記構造体は、第1の材料を含み構成される前記柱状の部材が、第2の材料を含み構成される前記領域に取り囲まれており、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれていてもよい。
【0009】
また、前記柱状の部材の直径が50nm以下であったり、前記柱状の部材間の中心間距離が30nm以下であってもよい。
前記第1の材料がアルミニウムであり、前記第2の材料がシリコンあるいはシリコンとゲルマニウムの混合物とすることができる。
【0010】
前記機能性材料とは、例えば導電性材料、磁性材料、発光材料、半導体材料である。また前記多孔質体が有する柱状の孔の深さ方向の長さと、該孔を取り囲む領域の厚さが実質的に等しくすることもできる。
【0011】
また、本発明に係る機能デバイスは、柱状の部材とそれを取り囲む領域を含み構成される構造体から、該柱状の部材を除去して得られる多孔質体に機能性材料を充填して得られることを特徴とする。
【0012】
前記構造体は、第1の材料を含み構成される前記柱状の部材が、第2の材料を含み構成される前記領域に取り囲まれており、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれていてもよい。
前記多孔質体が有する柱状の孔の深さ方向の長さと、該孔を取り囲む領域の厚さが実質的に等しくすることができる。
【0013】
また、本発明に係る機能デバイスは、多孔質体に機能性材料を充填して得られる機能デバイスであって、該多孔質体は、複数の柱状の孔とそれを取り囲む領域を備え、該領域はC、Si、Geあるいはこれらの組み合わせ材料を含み構成される非晶質領域であることを特徴とする。
【0014】
ここで、前記非晶質領域は、酸化物を含む領域であってもよい。多孔質全体が酸化物でも、多孔質体全体ではなく、孔壁側面が主として酸化物になっていてもよい。
本発明によれば、前記柱状の孔を実質的に分岐していない構造にすることができる。
【0015】
前記複数の孔同士の平均中心間距離が30nm以下であったり、前記柱状の孔の径が20nm以下であるのが好ましい。
本発明によれば、前記複数の孔の深さ方向が実質的に同一でにすることができる。
ここで、前記酸化物非晶質領域には、アルミニウムが含まれていてもよい。
また、前記多孔質体は基板上に形成されており、前記柱状の孔の深さ方向が、該基板に対して略垂直である事も好ましいものである。
【0016】
また、本発明に係る垂直磁気記録媒体は、基板上に下地層と記録層を有する磁気記録媒体であって、該記録層は磁性材料を含み構成される柱状の部材と、シリコン、SiGe、あるいはこれらの酸化物を含み構成され、且つ該柱状の部材を取り囲む領域とを備え、該下地層は該基板の面内方向に正方状の結晶配列を有し、且つ該柱状の部材は該基板の垂直方向にc軸配向したL10 規則構造からなる硬磁性体部分を含むことを特徴とする。
【0017】
該柱状の部材のL10 規則構造からなる硬磁性体部分は、MPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分としてもよい。
該L10 規則構造からなる硬磁性体部分は、Ag,Pd,Ir,Rh,Cu,Cr,P,Bのうち少なくとも1つ以上の元素を含んでいてもよい。
【0018】
該柱状の部材のL10 規則構造からなる硬磁性体部分を除く部分は、基板面に対して平行に正方状の結晶配列を有する構造物であってもよい。
該柱状の部材のL10 規則構造からなる硬磁性体部分を除く部分は、fcc構造またはL12 規則構造であってもよい。
該柱状の部材のfcc構造部分は貴金属、CuとNiFeのいずれかを主成分とする構造からなり、L12 規則構造部分はM3 Pt(M=Fe,Ni)またはMPt3 (M=Co,Fe)を主成分とする構造からなってもよい。
【0019】
該柱状の部材のL12 規則構造部分がFe3 PtまたはFePt3 からなってもよい。
該柱状の部材の上部から下地層にかけて、Fe3 PtからなるL12 規則構造/FePtからなるL10 規則構造/下地層、またはFePtからなるL10 規則構造/FePt3 からなるL12 規則構造/下地層の順で配置されていてもよい。
【0020】
該細孔を有する酸化シリコンを成分とする層は、(AlX Si1−X )Y O1−Y からなり、X=0.01〜0.2の範囲であってもよい。
該細孔中に充填されている柱状の部材の平均直径が1〜9nmの範囲で、平均間隔が3〜10nmの範囲であってもよい。
該細孔を有するSiGe酸化物を成分とする層は、(Alx (Siy Ge1−y )1−x )z O1−z からなり、X=0.01〜0.2、0<y<1の範囲であってもよい。
【0021】
該細孔に充填されている柱状の部材の平均直径の範囲が1〜15nmの範囲で、平均間隔が3〜20nmの範囲であってもよい。
該下地層は、fcc構造、またはL10 、L11 、L12 の各規則構造のいずれかを有していてもよい。
【0022】
該下地層が、貴金属、Cu、NiFeのいずれかを主成分とするfcc構造、MPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とするL10 規則構造、CuPtを主成分とするL11 規則構造、あるいはM3 Pt(M=Fe,Ni)またはMPt3 (M=Co,Fe)を主成分とするL12 規則構造のいずれかを有していてもよい。
【0023】
該下地層から柱状の部材までがエピタキシャル成長されていてもよい。
該下地層の下にMgO(001)層が配置されていてもよい。
該下地層の下に軟磁性層を有していてもよい。
該細孔がハニカム配列していてもよい。
また、本発明は上記した垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置や、それを使用した情報処理装置を含むものである。
【0024】
また、本発明に係る垂直磁気記録媒体の製造方法は、基板上に下地層と記録層を有する垂直磁気記録媒体の製造方法において、該基板の面内方向に正方状の結晶配列を有する下地層を形成する工程、該下地層上に基板垂直方向に立ったアルミニウムを成分とする柱状アルミニウム部分と、該柱状アルミニウム部分の側面を囲むように配置されるシリコンを成分とするシリコン部分あるいはSiGeを成分とするあるいはSiGe部分を有する構造体を形成する工程、該構造体の柱状アルミニウム部分を除去して細孔を形成し、該シリコン部分あるいは該SiGe部分の酸化を行う工程、該細孔中にMPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とする部分を電着により形成した後、アニールを行い、基板垂直方向にc軸配向したL10 規則構造からなる硬磁性体部分を含む柱状の部材を備えた記録層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る垂直磁気記録媒体は、基板上に軟磁性層と記録層を有する磁気記録媒体であって、該軟磁性層が柱状の軟磁性体と該軟磁性体を取り囲む非磁性体領域を含み構成されていることを特徴とする。
【0026】
ここで、前記非磁性材料はAlx Si1−x (x=0.01〜0.2)またはその酸化物を主成分として含有していてもよい。
前記非磁性材料はAlx Si1−x (x=0.01〜0.2)と柱状軟磁性体の構成材料を主成分として含有していてもよい。
【0027】
ここで、前記柱状軟磁性体の平均直径が1〜9nm、平均間隔が3〜10nmであったり、前記柱状軟磁性体の形状が円柱状であってもよい。
前記柱状軟磁性体はNiFeからなっていてもよい。
前記基板と軟磁性層との間に単層または2層以上の非磁性導電膜からなる下地層が設けられていてもよい。
前記軟磁性層と記録層との間に単層または2層以上の非磁性導電膜からなる下地層が設けられていてもよい。
【0028】
また、本発明に係る垂直磁気記録媒体の製造方法は、基板と、該基板上に配置されている軟磁性層と記録層を有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、基板上にアルミニウムを主成分とする柱状構造部分と該柱状構造部分の周囲を取り囲むように配置されるシリコンを主成分とする非磁性領域を形成する工程、該アルミニウムを主成分とする柱状構造部分を柱状軟磁性体に置換して軟磁性層を形成する工程を有することを特徴とする。
【0029】
また、本発明に係る磁気記録媒体の製造方法は、第1の材料を含み構成される柱状の部材と、第2の材料を含み構成され、該柱状構造体を取り囲む領域を有する構造体であって、且つ該構造体には該第の材料が該第1と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれている該構造体を用意する第1の工程、該構造体から該柱状の部材を除去する第2の工程、及び前記第2の工程により形成される多孔質体に磁性材料を充填する第3の工程を有することを特徴とする。
【0030】
また、本発明に係る磁気記録媒体は、基板と記録層を含み構成される磁気記録媒体であって、該記録層は磁性材料を含み構成される柱状の部材と、該柱状の部材を取り囲むシリコン、SiGeあるいはこれらの酸化物を成分とする領域とを備えていることを特徴とする。
【0031】
【発明の実施の形態】
(1)柱状の部材を有する構造体、及びその製造方法
まず、本発明に適用できる柱状の部材を有する構造体について図1を用いて説明する。
【0032】
同図において、1000は柱状の部材、1002は柱状の部材を取り囲む領域、1001はそれらを含む構造体であり、柱状の部材1000が領域1002に分散している様子が示されている。なお、1003は基板である。
【0033】
本発明においては柱状の部材を除去して、当該除去により形成される孔内に機能性材料を充填するため、構造体1002から柱状の部材1003を選択的に除去できることが重要である。ここで、選択的に除去とは、実質的に柱状の部材が除去可能であればよく、柱状の部材の除去に際し、それを取り囲む領域が部分的に除去されることも含み、更には柱状の部材が完全に除去されるのではなく部分的に残留する場合をも含むものである。
【0034】
図1における構造体1001は、第1の材料を含み構成される柱状の部材1000が、第2の材料を含み構成される領域1002に取り囲まれており、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれていることが好ましい。発明者らの検討によると、上記割合の範囲であれば、実質的に柱状の部材がそれを取り囲むマトリックス領域に分散した構造体の実現が可能であった。なお、構造体が形成される下地の基板形状にもよるが、該基板形状が水平であれば柱状の部材は、当該基板に垂直な配置をとる。
【0035】
上記割合は、構造体を構成する前記第1の材料と第2の材料の全量に対する前記第2の材料の割合のことであり、好ましくは25atomic%以上65atomic%以下、より好ましくは30atomic%以上60atomic%以下である。上記割合は例えば誘導結合型プラズマ発光分析法で定量分析することにより得られる。
【0036】
なお、実質的に柱状形状が実現していればよく、例えば柱状の部材の成分として第2の材料が含まれていてもよいし、前記領域に第1の材料が含まれていてもよい。また、上記柱状の部材やその周囲の領域に酸素、アルゴンなどが少量含まれていてもよい。
【0037】
ここで第1の材料としては、AlやAuやAgやMgなどが挙げられる。第2の材料としては、Si、Ge、SiとGeの混合物(以降、Six Ge1−x (0<x<1)と記載することがある。)、あるいはCなどが挙げられる。特に第2の材料としては、非晶質となり得る材料であることが望ましい。
【0038】
また、第1及び第2の材料としては、両者の成分系相平衡図において、共晶点を有する材料(いわゆる共晶系の材料)であることが好ましい。特に共晶点が300℃以上好ましくは400℃以上であるのがよい。
【0039】
なお、第1の材料と第2の材料として好ましい組み合わせとしては、第1の材料としてAlを用い、第2の材料としてSiを用いる形態、あるいは第1の材料としてAlを用い、第2の材料としてSix Ge1−x (0<x<1)を用いる形態が挙げられる。
【0040】
前記柱状の部材は、少なくとも一部が多結晶であり、前記柱状の部材を取り囲む領域は、非晶質であることが望ましい。第2の材料としてSiやSiGeを用いた場合、当該領域は主として非晶質となる。前記柱状の部材の平面形状としては円形あるいは楕円形状である。
【0041】
前記構造体には、前記第2の材料を含み構成されるマトリックス中に複数の前記柱状の部材が分散していることになる。柱状の部材の径(平面形状が円の場合は直径)は、主として前記構造体の組成(即ち、前記第2の材料の割合)に応じて制御可能であるが、その平均径は、0.5nm以上50nm以下、好ましくは1nm以上20nm以下、さらに好ましくは2nm以上10nm以下である。特に20nm未満の径であることが好適である。ここで平均径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される柱状の部分を、その写真から直接、あるいはコンピュータで画像処理して、導出される値である。もっとも、用いる材料や組成あるいは、構造体の用途によって最適な径や下記間隔は変動し得る。
【0042】
また、複数の柱状の部材間の中心間距離は、2nm以上30nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下、更に好ましくは5nm以上15nm以下である。勿論、中心間距離の下限として上記2Rは柱状構造体どうしが接触しない間隔は最低限備えている必要がある。なお、上記第2の材料(即ち、柱状の部材を取り囲む領域の構成材料)として、複数の元素の混合物(例えば、Six Ge1−x )を用いれば、その混合比の割合によっても上記中心間距離の制御が可能となる。
【0043】
また、前記構造体は、膜状の構造体であることが好ましく、かかる場合、前記柱状の部材は膜の面内方向に対して略垂直になるように前記第2の材料を含み構成されるマトリックス中に分散していることになる。膜状構造体の膜厚としては、特に限定されるものではないが、1nm〜100μmの範囲で適用できる。プロセス時間等を考慮してより現実的な膜厚としては、1nm〜1μm程度である。特に300nm以上の膜厚でも柱状構造が維持されていることが好ましい。また、柱状の部材は、厚さ方向(長さ方向)に対しては、実質的に分岐をもたない構造である。
【0044】
柱状の部材の深さ方向の長さと、それを取り囲む領域の厚さとは実質的に等しくなるので、当該柱状の部材を除去して得られる多孔質体においては、柱状の孔の深さ方向の長さと該孔を取り囲む領域の厚さが実質的に等しくすることが可能である。
【0045】
前記構造体は膜状の構造体であることが好ましく、基板上に当該構造体が設けられていてもよい。基板(図1における1003)としては、特に限定されるものではないが、絶縁物や表面に絶縁層を有する基板であったり、石英ガラスなどの絶縁性基板、シリコン基板、ガリウム砒素、あるいはインジウム燐などの半導体基板、アルミニウムなどの金属基板あるいは支持部材としての基板上に上記構造体が形成できるのであれば、フレキシブル基板(例えばポリイミド樹脂など)も用いることができる。また、カーボン基板や、SOI基板、P型、N型、高抵抗、低抵抗のシリコン基板も適用可能である。
【0046】
このような構造体1002の製造方法に関して説明する。
説明に際して柱状の部材を構成する材料としてアルミニウムを、それを取り囲む領域を構成する材料としてシリコンを例にとり説明する。
【0047】
本発明に係る構造体は非平衡状態で成膜する方法を利用して作製することができる。その代表例がスパッタリング法による成膜である。具体的には、図2に示すようにスパッタリング装置内にアルミニウムのターゲット基板2003上にシリコン片(シリコンチップ)2002を配置し、アルゴン雰囲気下でスパッタリングを行うと基板1003表面に、本発明に係る構造体が成膜される。成膜されて得られる構造体におけるシリコンの量(第2の材料)が構造体中のアルミニウムとシリコンの全量に対して、20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれていれば、実質的に柱状の部材がそれを取り囲むマトリックス領域に分散した構造体が実現されていた。なお、図2における2000は、Arプラズマである。
【0048】
成膜方法としては、スパッタリング法が好ましいが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)、イオンプレーティング法をはじめとする非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。スパッタリング法で行う場合には、マグネトロンスパッタリング、RFスパッタリング、ECRスパッタリング、DCスパッタリング法を用いることができる。スパッタリング法で行う場合は、アルゴンガス雰囲気中で反応装置内の圧力を0.2から1Pa程度にして成膜を行うのがよい。スパッタリングの際には、ターゲット原料として前記第1の材料と第2の材料をそれぞれ別途用意しても良いが、予め所望の割合で第1の材料と第2の材料が焼成されたターゲット材料を用いてもよい。なお、スパッタリング法で行う場合には、特に膜が成長する基板自体に、プラズマが接しない状態でスパッタリングを行うことが好ましい。
【0049】
また、基板上に形成される前記構造体は、基板温度を、300℃以下、好適には20℃以上200℃以下にして形成され、特に100℃以上150℃以下で形成されることが好ましい。
【0050】
(2)次に、本発明に適用できる構造体における第1の材料(第1の材料は、柱状の部材を構成する。)と第2の材料(第2の材料は、柱状の部材を取り囲む領域を構成する。)の割合について説明する。
【0051】
本発明に記載の多孔質体が提供できるようになったのは、本発明者らの鋭意努力により以下に説明する構造体が得られたからである。上記同様図2を用いて説明する。
【0052】
ガラス基板1003上に、RFマグネトロンスパッタリング法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して55atomic%含んだアルミニウムシリコン混合膜(即ち、本発明に適用できる構造体)を約200nm形成する。
【0053】
ターゲットには、図2に示すように、4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップ13を8枚おいたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温とした。
【0054】
なお、ここではターゲット2003として、アルミニウムターゲット上にシリコンチップ13を8枚置いたものを用いたが、シリコンチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタ条件により変化し、アルミニウムシリコン混合膜の組成が約55atomic%近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとアルミニウムの粉末を焼結したターゲットを用いても良い。
【0055】
次に、このようにして得られたアルミニウムシリコン混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量(atomic%)を分析した。その結果、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量は約55atomic%であった。なお、ここでは測定の都合上、基板として、カーボン基板上に堆積したアルミニウムシリコン混合膜を用いた。
【0056】
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、アルミニウムシリコン混合膜を観察した。シリコンに囲まれた円形のアルミニウムナノ構造体が二次元的に配列していた。アルミニウムナノ構造体部分の孔径は3nmであり、その平均中心間間隔は7nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察した所、高さは200nmであり、それぞれのアルミニウムナノ構造体部分はお互いに独立していた。
【0057】
また、X線回折法でこの試料を観察した所、結晶性を示すシリコンのピークは確認できず、シリコンは非晶質であった。なお、アルミニウムの結晶性を示すピークが複数確認でき、少なくともアルミニウムの一部は多結晶であることが示された。
【0058】
従って、シリコンに周囲を囲まれた間隔2Rが7nm、径2rが3nm、高さLが200nmのアルミニウム細線を含んだアルミニウムシリコンナノ構造体を作製することができた。
【0059】
このように、アルミニウムシリコン混合膜をスパッタ法などの非平衡状態で物質を形成する成膜法で形成することで、基板表面上のシリコンマトリックス内に数nmスケールのアルミニウム量子ドットあるいはアルミニウム量子細線などのアルミニウムナノ構造体を有するアルミニウムシリコンナノ構造体を形成することを、本発明者らは見出した。
【0060】
(比較例)
また、比較試料Aとして、ガラス基板上に、スパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して15atomic%含んだアルミニウムシリコン混合膜を約200nm形成した。ターゲットには、4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップ13を2枚おいたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温とした。
【0061】
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、比較試料Aを観察した。基板真上方向から見た表面の形状は、アルミニウム部分は円形状にはなっておらず、アルミニウムが連続的に繋がった形状になっていた。即ち、アルミニウムの柱状構造体がシリコン領域内に均質に分散した微細構造体となっていなかった。さらに、その大きさは10nmを遥かに超えていた。また、断面をFE−SEMにて観察した所、アルミニウム部分の幅は15nmを超えていた。なお、このようにして得られたアルミニウムシリコン混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量(atomic%)を分析した。その結果、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量は約15atmic%であった。
【0062】
さらに、比較試料Bとして、ガラス基板上に、スパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して75atomic%含んだアルミニウムシリコン混合膜を約200nm形成した。ターゲットには、4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップ13を14枚おいたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温とした。
【0063】
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、比較試料Bを観察した。基板真上方向から見た試料表面には、アルミニウム部分を観察することができなかった。また、断面をFE−SEMにて観察しても、明確にアルミニウム部分を観察することができなかった。なお、このようにして得られたアルミニウムシリコン混合膜をICP(誘導結合型プラズマ発光分析)にて、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量(atomic%)を分析した。その結果、シリコンのアルミニウムとシリコンの全量に対する分量は約75atomic%であった。
【0064】
また、比較試料Aを作製した場合と、シリコンチップの枚数の条件のみを変え、アルミニウムシリコン混合体の全量に対するシリコンの割合が、20atomic%、35atomic%、50atomic%、60atomic%、70atomic%である試料を作製した。アルミニウムの柱状構造体がシリコン領域内に分散した微細構造体となっている場合を○、なっていない場合を×としたものを以下に示す。なお、柱状構造体の均一性という点では、シリコンの割合が30以上60atomic%であることが好ましい。また、シリコンの割合が65や70atomic%の場合は、アルミニウムの結晶性が低く、アモルファス状態に近くなっていた。
【0065】
【表1】
【0066】
このように、アルミニウムとシリコンの全量に対するシリコン含有量を、20atomic%以上70atomic%以下に調整することで、アルミニウムの柱状構造体がシリコン領域内に分散した構造体が実現できる。アルミニウムとシリコンの組成を変化させることで、柱状構造体の孔径の制御が可能であり、また、直線性に優れたアルミニウム細線の作製が可能になる。なお、構造の確認には、SEMの他にもTEM(透過型電子顕微鏡)等を利用するのがよい。
【0067】
さらに、比較試料Cとして、ガラス基板上に、スパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して55atomic%含んだアルミニウムシリコン混合膜を約200nm形成した。ターゲットには、4インチのアルミニウムターゲット上に15mm角のシリコンチップ13を8枚おいたものを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は350℃とした。
【0068】
FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、比較試料Cを観察した。基板真上方向から見た試料表面には、大きなアルミニウムの塊が確認できた。また、エックス線回折測定により、シリコンが結晶化していることが確認された。つまり、柱状構造を有するアルミニウムナノ構造体を確認することができず、シリコン領域も非晶質ではなく結晶化していた。即ち、基板温度が高すぎると、より安定な状態に変化してしまうため、このようなアルミニウムナノ構造体を形成する膜成長ができていないと思われる。
【0069】
なお、柱状の部材が分散した構造体を得る為に、ターゲットの組成をAl:Si=55:45などに設定することも好ましい形態である。
第1の材料としてアルミニウムを、第2の材料としてシリコンを用いた場合を説明したが、第1あるいは第2の材料として適用できる既述の材料を用いた場合も同様であった。
【0070】
上述の構造体から柱状の部材を選択的に除去することにより多孔質体が形成される。当該除去は、エッチングや陽極酸化などにより行うことができる。細孔形成後、あるいは細孔形成と同時に、酸化処理を行なってもよい。なお、第1の材料として例えばアルミニウムを用いた場合は、得られる多孔質体に含まれる第1の材料(例えばアルミニウム)の含有量は酸素を除くすべての元素に対して、0.01〜20atomic%の範囲であり、好ましくは0.1〜10atomic%の範囲である。
【0071】
(3)多孔質体への機能性材料の充填
(第1の実施形態:機能デバイス)
上述した構造体1001から柱状の部材1000を除去することにより多孔質体が形成される。本発明においては、柱状の部材を構成する第1の材料と、その周りの領域を構成する第2の材料とを、除去の際の選択比が十分に取れるような材料の組み合わせで実現できているため、上記多孔質体が得られる。除去方法としては、ウェットエッチングやドライエッチング、あるいは陽極酸化処理などが該当する。好適な材料の組み合わせとしては、例えば第1の材料としてアルミニウム、第2の材料としてシリコン(あるいはシリコンとゲルマニウムの混合体)などである。ウェットエッチング場合は、燐酸、塩酸、硫酸などの酸が好適である。選択比が取れるのであれば、アルカリ等を用いることも可能である。
【0072】
なお、多孔質体を形成する前記領域1002を、前記構造体から前記柱状の部材1000を除去する前、除去の途中、あるいは除去した後に、酸化処理したり窒化処理することも必要に応じて行うことができる。また、細孔を形成後、当該細孔を拡大する処理を行うこともできる。これにより、細孔径の制御が可能となる。
【0073】
柱状の部材が除去された部分が孔となっている多孔質体の当該孔の部分に機能性材料を充填する。ここで、機能性材料とは、導電性材料、磁性材料、発光材料、半導体材料、絶縁性材料など、どのような機能デバイスを形成したいかにより種々選択できる。なお、本発明において、多孔質体の孔内へ充填するとは、孔を所望の材料で完全に埋め尽くすことは勿論、必要に応じて孔の深さ方向全部ではなく、所望の深さまで充填したり、孔の内壁表面を主として上記機能性材料で被覆することも含むものである。なお、多孔質体上面にマスクなどのパターン形成部材を配置して、複数の細孔の内、充填する部分と充填しない部分に領域分けすることも可能である。
【0074】
上述した構造体1001から多孔質体を形成する前には、当該多孔質体の孔の部分は、柱状の部材1000で充填されていることになるが、多孔質体形成後に充填される機能性材料としては、上記柱状の部材の構成材料と異なるものであることが望ましい。
多孔質体への機能性材料の充填方法としては、蒸着法やCVD法やスパッタリング法、電着法やメッキ法などがある。
【0075】
こうして、種々の機能性材料を充填することにより機能デバイスが実現される。機能材料として磁気記録材料を適用すれば記録デバイスが実現され、メタルなどの導電性材料を適用すれば、電極などの導電部材としては勿論、量子ドット、量子細線、量子細線トランジスタ、単電子トランジスタ、あるいは単電子メモリなどの電子デバイスが実現され、発光材料を充填すれば発光デバイスが実現される。勿論、充填する際に複数種類の材料を充填することも可能である。なお、サイズに関しては種々のデバイスに応じてその好適な値は定まるが、上述した多孔質体の細孔の平均孔径が20nm以下であり、細孔同士の平均間隔が30nm以下であることも好ましい。
【0076】
以下、上述の構造体1001から当該柱状の部材を除去して得られる多孔質体に機能性材料を充填する場合(A)、除去後(あるいは除去中)に酸化処理して得られる多孔質体に機能性材料を充填する場合(B)、除去工程を陽極酸化によって行い、そこで得られる多孔質体に機能性材料を充填する場合(C)に分けて説明しておく。
【0077】
(A)上述した構造体から柱状の部材をエッチングして除去して得られる多孔質体は、ナノオーダーの細孔を有することになる。このようなナノホール内に金属や半導体等を充填する技術や、ナノホールのレプリカ技術を用いることより、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサ、さらには、量子細線、MIM素子などの量子効果デバイスを含むさまざまデバイスの提供が可能となる。
【0078】
なお、微小細孔を、基板に垂直に、かつ、非常に高密度に作製した構造は、量子効果を利用したデバイスへの応用、あるいは超高密度記録媒体を作製する為には重要である。例えば、孔径が10nm以下のナノホールを間隔15nm以下で形成し、その中に金属や半導体などの電気伝導材料を形成することで単電子メモリ、単電子トランジスタなどの量子効果デバイスに適応できる。
【0079】
また、本実施形態に係る発明のシリコンナノ構造体の細孔に、伝導性材料を充填することで、量子効果を利用した単電子メモリ、単電子トランジスタなどとして応用することができる。さらには、磁性体を充填することで磁気記録媒体(ここでいう磁気記録媒体には、長手記録方式あるいは垂直方式で用いられる記録媒体はもとより、磁気記録のみならず、光磁気記録媒体としての利用も考えられる。以降も同様である。)としても応用することができる。例えば、本発明のシリコンナノ構造体は、それ自体発光デバイス、光デバイス、マイクロデバイスなどの機能材料として使用可能である。
【0080】
以下、図19を用いて、単電子メモリの模式図を示す。上述した構造体1001から柱状の部材を除去し、当該箇所に導電性材料、例えばアルミニウムや金や白金や銅を充填した場合である。
【0081】
2191は基板、2192は絶縁体(例えば酸化シリコン)、2193は柱状の導電性材料が例えばシリコン中に分散した構造体、2194はドレイン領域、2195はゲート絶縁領域、2196はゲート電極、2197はソース領域である。
【0082】
図19のようにアルミニウムを量子ドットとすることで、量子ドットに蓄積された電荷の影響によりチャネル部分の電気的特性を制御することができる。また、量子ドットには長い時間電荷を蓄積できるので、電源も切っては情報が消えない不揮発性メモリを形成できる。なお、柱状の部材が分散した構造体が得られるのであれば、他の材料を利用することもできる。
このように量子効果を利用した単電子メモリ、あるいは同様な原理を用いて、単電子トランジスタなどとしても利用することができる。
【0083】
(B)つぎに、多孔質体が酸化処理(勿論、窒化処理等により絶縁性化してもよい。)されている場合に、機能性材料を充填し、機能デバイスを作製する場合について説明する。
【0084】
多孔質体が有するナノホール内に金属や半導体等を充填する技術や、ナノホールのレプリカ技術を用いることより、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサ、さらには、量子細線、MIM素子などの量子効果デバイスの提供が可能となる。
【0085】
例えば、直径が10nm以下のナノホールを間隔15nm以下で形成し、その中に金属や半導体などの電気伝導材料を形成することで単電子メモリ、単電子トランジスタなどの量子効果デバイスに適応できる。さらに、磁性体金属を充填することで、超高密度記録媒体としても応用できる。
【0086】
細孔の平均孔径が10nm以下、好ましくは1〜9nmであり、かつ、平均間隔が15nm以下、好ましくは3〜10nmであることにより、量子効果が室温等でも十分に観測可能になり、ナノ構造体のデバイスへの応用範囲をより拡大させることができる。また、ナノ構造体を構成する材料がシリコン酸化物とすることで、細孔内に電気伝導材料あるいは半導体材料を充填した場合、お互いが電気的に絶縁され、トンネル電流の観測やクーロンブロケード、バンドギャップの拡大、エネルギー準位の離散化などの量子効果が期待でき、ナノ構造体のデバイスへの応用範囲をより拡大させることができる。
【0087】
また、本実施形態に係る発明のシリコン酸化物ナノ構造体は、細孔下部に絶縁体などの膜が形成されないため、基板と細孔が直接つなげることが可能である。また、本発明のシリコン酸化物ナノ構造体の細孔に、伝導性材料を充填することで、量子効果を利用した単電子メモリ、単電子トランジスタなどとして応用することができる。また、磁性体を充填することで高密度記録媒体としても使用できる。
【0088】
また、本発明は、シリコン酸化物中の細孔をさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げるものである。例えば、本発明のシリコン酸化物ナノ構造体は、それ自体発光デバイス、光デバイス、マイクロデバイスなどの機能材料として使用可能である。
【0089】
(C)上述した構造体から柱状の部材を除去するに際して、陽極酸化処理により多孔質体を形成した場合に、当該多孔質体内へ機能性材料を充填することに関して説明する。
【0090】
陽極酸化により得られる多孔質体のナノホール内に金属や半導体等を充填する技術や、ナノホールのレプリカ技術を用いることより、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサ、さらには、量子細線、MIM素子などの量子効果デバイスの提供が可能となる。
【0091】
例えば、直径が10nm以下のナノホールを間隔15nm以下で形成し、その中に金属や半導体などの電気伝導材料を形成することで単電子メモリ、単電子トランジスタなどの量子効果デバイスに適応できる。さらに、磁性体金属を充填することで、超高密度記録媒体としても応用できる。
【0092】
また、本実施形態に係る発明のシリコン酸化物ナノ構造体の細孔に、伝導性材料を充填することで、量子効果を利用した単電子メモリ、単電子トランジスタなどとして応用することができる。さらに、磁性体材料を充填することで高密度記録媒体としても応用することができる。また、本実施形態に係る発明は、シリコン酸化物中の細孔をさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げるものである。
【0093】
なお、多孔質体を形成するために用いられる構造体、即ち柱状の部材を有する構造体の材料としては、既述のものを用いることができる。
【0094】
柱状の部材を構成する第1の材料としては、AlやAuなどが挙げられる。当該柱状の部材を取り囲む領域を構成する第2の材料としては、Si、Ge、SiとGeの混合物(以降、Six Ge1−x (0<x<1)と記載することがある。)、あるいはCなどが挙げられる。特に第2の材料としては、非晶質となり得る材料であることが望ましい。なお、後述の実施例では、主としてAlとSiを用いた場合について説明しているが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
【0095】
(第2の実施形態:配向下地+AlSiやAlSiGeなど)
以下では、機能デバイスとして磁気記録デバイス(具体的には、磁気記録媒体)や、磁気記録再生装置、さらには該磁気記録再生装置を用いた情報処理装置について説明する。
【0096】
まず、磁気記録デバイスに関して簡単に説明しておく。
近年の情報処理の飛躍的な増大に伴って、磁気ディスク装置などの情報記録技術も大幅な大容量化が求められている。特にハードディスクにおいては現在単位面積当たりの記録情報量が年率60%を超える勢いで増加している。今後も情報記録量の増大が望まれており、また携帯用などの記録装置としても小型化、高密度化が望まれている。
【0097】
従来利用されてきたハードディスク用磁気記録媒体は水平磁気記録方式であり、磁化はディスク表面に平行に記録されている。この水平磁気記録方式では高密度化に伴い磁区内の反磁界を抑え、且つ磁化状態を検出させるため媒体上方に磁界を出すために磁気記録層を薄くしていく必要がある。そのため磁性微粒子1つ当たりの体積が極度に小さくなり、超常磁性効果が発生しやすい傾向にある。すなわち磁化方向を安定させているエネルギーが熱エネルギーより小さくなり、記録された磁化が時間とともに変化し、記録を消してしまうことが起こる。このため近年では水平磁気記録に代わって記録層の膜厚を大きくとれる垂直磁気記録方式へ移行する研究が盛んに行われている。
【0098】
垂直磁気記録用の媒体としては、単層の磁気記録層を用いるタイプと高透磁率な軟磁性層を裏打ち層としてその上に硬磁性な記録層を用いる2層タイプが提案されている。後者の場合は、垂直磁気ヘッドからの磁界を記録層へ集中させ、磁界を軟磁性層に水平に通してヘッド側へ戻す磁気回路を構成するものである。
【0099】
図13の従来型垂直磁気記録媒体の説明図を用いて、以下に詳しく説明する。基板5541としてはガラスやアルミニウムの他、カーボン基板やプラスティック基板、Si基板などが使用可能であり、アルミ基板の場合は硬度を確保するため図13(a)に示すようにNiP層5542をめっき法などにより下地層として作製しておくことが多い。裏打ち層5543としては高透磁率なNiFe合金(パーマロイ)などが数μm〜数10μmの厚みで用いられる。記録層5544としては一般にCo−Cr合金が用いられており、スパッタリング法で作製すると、図13(b)に示す様に、Co組成が多いコア部5546とその周りのCr組成が比較的多いシェル部5547に分離された状態で成長する。コア部5546は円柱に近い形状であり六方稠密格子構造(以下、hcp構造という)を有する硬磁性となり、記録部分となる。シェル部5547はCr組成が多く軟磁性、もしくは非磁性的な特性になり隣接するコア部同士の相互作用を弱める役割も果たす。コア部5546ではc軸が基板面に垂直方向を向いており、結晶磁気異方性の作用により磁化は基板面に垂直方向を向くようになる。上記記録層5544にはCo−Cr以外にTa、Pt、Rh、Pd、Ti、Nb、Hfなどを添加することが行われている。
【0100】
今後さらなる高記録密度化に対しては、Co−Cr系ではコア部分5546の微細化が困難であることが予想される。また、微細化に伴い超常磁性効果が顕著になることから、近年注目されているCoPt,FePt,FePdのL10 規則合金が今後有力な材料であると考えられている。特に、前記規則合金を微粒子化して、それらを非磁性母体中に分散させた膜(グラニュラー膜)にし、Co−Cr系の磁性粒子の微細化に伴う超常磁性効果に耐えうる媒体も提案されている(特開2001−273622号公報)。
【0101】
しかし、規則合金の配向までは完全に制御されておらず、垂直磁気記録媒体としては、配向性の制御が必要となっている。
また、図13には示されていないが、記録層5544と裏打ち層5543の間に、記録層の結晶性を高める目的で下地層の成膜を行ったり、記録層5544と裏打ち層5543の磁気的結合を若干弱める為に酸化物などの下地層を成膜することが行われている(特開平7−73429号公報参照)。
また、記録媒体の表面には保護層45を薄く成膜しておくことが一般的であり、材料としてはカーボンの他カーバイト、窒化物などが検討されている。
【0102】
上記従来のスパッタリングにより成膜されたCoCr系記録層では磁性微粒子の直径が十数nmと大きく、形状にばらつきが多かった。また、L10 規則構造を有するグラニュラー膜では、磁性粒子の配向性の制御が困難であり、また体積、大きさを均一に保つことも困難であった。L10 規則構造を有するMPt(M=Co,Fe,Ni)微結晶のサイズ、あるいは各微粒子のバラツキはそのまま微粒子の保持力のバラツキに反映され、記録媒体としての特性を悪くする。勿論、微結晶の結晶軸の方位のバラツキも特性を悪くする原因となっている。
【0103】
本実施形態2に係る発明は、この様な問題点に鑑みてなされたものである。
具体的には、本実施形態2に係る磁気記録媒体に関する発明は、基板上に下地層及び記録層を有する磁気記録媒体であって、該記録層は磁性材料を含み構成される柱状の部材と、該柱状の部材を取り囲む酸化シリコン(あるいはSiGe酸化物)を成分とする領域を備え、該下地層は該基板の面内方向に正方状の結晶配列を有し、且つ該柱状の部材は該基板の垂直方向にc軸配向したL10 規則構造からなる硬磁性体部分を含むものである。
【0104】
上記領域は、必要に応じて酸化物にしておけばよく、非酸化物であってもよい。なお、多孔質体全体ではなく、細孔壁の壁面が選択的に酸化物となっていてもよい。
【0105】
以下に、本実施形態に係る発明の垂直磁気記録媒体の構成について説明する。特に、本実施形態に係る発明は、記録層の部分に、図1に示した構造体1001を利用した点に特徴がある。
【0106】
ここでいう構造体とは、第1の材料を含み構成される柱状の部材1000が、第2の材料を含み構成される領域1002に取り囲まれており、且つ該構造体から該柱状の部材が選択的に除去可能なものである。特に、該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれていることが望ましい。なお、以下では、第1の材料としてアルミニウムを、第2の材料としてシリコン(あるいはシリコンとゲルマニウムの混合物)を用いた場合に説明するが、上記構造体から既述のように柱状の部材が選択的に除去できるのであれば、材料の選択や各材料の混合比は適宜設定可能である。
【0107】
<磁気記録媒体の構成>
本発明の垂直磁気記録媒体を図面に基づいて説明する。図3は本発明の磁気記録媒体の実施態様の一例を示す模式図である。さらに、図4は本発明の垂直磁気記録媒体における記録層の実施態様の一例を示す模式図である。
【0108】
図3において、3010は基板、3011は下地層A、3012は軟磁性層、3013は下地層B、3014は記録層、3015は保護層、3016は潤滑層である。また、図4において、4020は非磁性体部分、4021は柱状構造物部分、4022は柱状構造物の直径、4023は柱状構造物の間隔、4024は細孔である。図4の下地層405は、図3の下地層A3011、軟磁性層3012、下地層B3013をまとめて示したものである。
【0109】
本発明では、基板3010の上には順に下地層A3011、軟磁性層3012、下地層B3013、記録層3014、保護層3015、そして潤滑層3016が配置されている。
【0110】
特に記録層3014においては、非磁性体部分4020と柱状構造物部分(柱状の部材)4021からなる。それら柱状構造物の直径4022は、第2の材料としてシリコンを選択した場合には、例えば1〜9nmの範囲であり、柱状構造物の間隔4023が、例えば3〜10nmの範囲の値で配置される。
【0111】
なお、第2の材料としてシリコンとゲルマニウムの混合物を用いる場合は、例えば柱状構造物の直径22は、1〜15nmの範囲であり、柱状構造物の間隔23は、例えば3〜20nmの範囲の値である。
【0112】
本発明において、記録層4014の形成方法は、下地層上に基板垂直方向に立ったアルミニウムを成分とする柱状アルミニウム部分と、該柱状アルミニウム部分の側面を囲むように配置されるシリコン(あるいはSiGe)を成分とするシリコン部分(あるいはSiGe部分)を有する構造体を形成し、該構造体の柱状アルミニウム部分を除去して細孔を形成し、シリコン(あるいはSiGe)を成分とするシリコン部分(あるいはSiGe部分)を酸化して酸化シリコン(あるいはSiGe酸化物)とした後、該細孔中に硬磁性体部分を含む柱状構造物を充填して記録層を形成する。
【0113】
本発明に用いるアルミニウムシリコン構造体について、図5を用いて説明する。なお、以下では第2の材料としてシリコンを選択した場合を例にとり説明するが、シリコンの代わりにSiGeを用いることもできる。
【0114】
アルミニウムシリコン構造体5034は、柱状アルミニウム部分5031が基板垂直方向に真直ぐ立っており、その円柱の側面を囲むようにシリコン部分5030が配置された構造を有することが特徴である。なお、アルミニウム部分にはシリコンが、シリコン部分にはアルミニウムが僅かに混入している。また、この構造体を形成するには、アルミニウムとシリコンの非平衡状態における同時成膜を行うことが好ましい。また、柱状アルミニウム部分5031は基板垂直方向に真直ぐ立っており、リン酸等のシリコンが溶解せず、柱状アルミニウム部分5031が溶解するような酸やアルカリに浸漬することで柱状アルミニウム部分5031を主として選択的に溶解、除去できることが特徴である。
【0115】
また、このアルミニウムシリコン構造体を硫酸等の水溶液中で陽極酸化することでも柱状アルミニウム部分31を除去することが可能である。このとき、シリコン部分5030は陽極酸化中に酸化され、(AlX Si1−X )Y O1−Y となる。そこで、xの範囲はx=0.01〜0.2の範囲に入ることが好ましい。また、陽極酸化の終了は、下地層へ細孔が到達した時点から30〜60secの間に終了することが好ましい。または、陽極酸化の電流値が極小値に達した時点まで陽極酸化を行っても良い。
【0116】
なお、第2の材料としてSiGeを用いた場合には、SiGe部分5030は陽極酸化中に酸化され、(Alp (Siq Ge1−q )1−p )r O1−r となる。そこで、pの範囲は0<p≦0.2、qの範囲は0<q<1の範囲に入ることが好ましい。また、好ましくは、0<p≦0.1である。また、qの範囲は0≦q≦1とすることも可能である。また、酸化状態は0.334≦r≦0.9の範囲であり、好ましくは、0.334≦r≦0.5の範囲である。
【0117】
このアルミニウムシリコン構造体は、組成にも依存するが柱状アルミニウムの直径5032の範囲が1nm〜9nmで、柱状アルミニウムの間隔5033の範囲が3nm〜10nmであるのがよい。なお、Al−SiGeの構造体の場合は、組成にも依存するが柱状Alの直径5032の範囲が1nm〜15nmで、柱状Alの間隔5033の範囲が3nm〜20nmであることを特徴とする。
【0118】
本実施形態に係る発明では、図4の柱状構造物部分4021をL10 規則構造を有するMPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とする硬磁性体とすることにより、高密度記録や十分な信号検出がより好適に行える。柱状構造物の直径4022としては1〜9nmの範囲(第2の材料にSiGeを用いる場合は、1〜15nmの範囲)、柱状構造物の間隔4023は3〜10nmの範囲(第2の材料にSiGeを用いる場合は、3〜20nmの範囲)が好適であり、その円柱のアスペクト比は2〜10程度であることが望ましい。特に好ましくは、柱状構造物の直径4022は3〜7nm(第2の材料にSiGeを用いる場合は、5〜10nm)で、柱状構造物の間隔4023は4〜8nmの範囲(第2の材料にSiGeを用いる場合は、7〜12nm)である。
【0119】
細孔(ナノホール)4024の断面形状は、円形であることが好ましく、各々の断面が均一であることが好ましい。また、柱状構造物は、下地層に対して直線的で、かつ垂直に立っていることが望ましい。
【0120】
また、非磁性体部分4020は、(AlX Si1−X )Y O1−Y からなるが、このときのxの範囲は、x=0.01〜0.2であることが好ましい。なお、第2の材料にSiGeを用いる場合は、非磁性体部分は、(Alx (Siy Ge1−y )1−x )z O1−z からなるが、このときのxの範囲は0<x≦0.2でyの範囲は0<y<1であることが好ましい。また、好ましくは、0<x≦0.1である。また、yの範囲は0≦y≦1とすることも可能である。また、酸化状態は0.334≦z≦0.9の範囲であり、好ましくは、0.334≦z≦0.5の範囲である。
【0121】
また、細孔中に充填物を埋め込むには真空蒸着法やCVD法やスパッタリング法なども利用可能であるが、アスペクト比が大きな細孔へ埋め込むには電着法が好ましい。電着法で積層膜を作製するには電着途中で電着液を変える方法以外にも、電解電位の異なるイオンを含む溶液中でパルス電着する方法が可能である。すなわち電解電位の大きいCoイオンが含まれる電着溶液にPtやCuやNiなど電解電位の小さいイオンを小さい比率で加えておき、電解電位の小さいイオンのみを低電圧で析出させた後、高電圧で濃度の濃いCoを析出させることが可能である。L10 規則構造を有するMPt(M=Co,Fe,Ni)の形成においてもパルス電着で積層膜を成膜後、熱処理してもよい。
【0122】
また、記録層4014の下部に位置する下地層B3013としては各種の金属が利用可能であるが、細孔中に電着法により積層膜を作製するには電着制御性の観点からfcc構造であるPt,Pd,Cu,Ir,Rhやその他の貴金属とそれらの合金で基板垂直方向に(001)配向していることが好ましい。また、この配向をとる範囲内であれば、主な成分以外に、W,Nb,Ti,Si,Oなどを一種類以上含んでも良い。さらに、L10 、L11 またはL12 の各規則構造のいずれかを有し、基板面内方向に正方状に結晶配列した膜を下地層B3013としても良い。具体的には、MPt(M=Co,Fe,Ni)、FePd、TiAl、CuAuを主成分とするL10 規則構造、またはCuPtを主成分とするL11 規則構造、またはCu3 Au、Al3 Ti、FePd3 、Ni3 X(X=Fe,Mn,Al)、Pt3 X(X=Co,Fe,Mn,Ag,Al)、PtX3 (X=Ag,Au,Fe,Mn,Ni)を主成分とするL12 規則構造等から選択してもよい。さらに、これら下地層B3013の配向制御のために(001)配向したMgOを挿入することが好ましい。
【0123】
ここでの基板の面内方向に正方状に結晶配列した膜(層)というのは、fcc構造では基板垂直方向に(001)配向した膜(層)であり、L10 ,L12 規則構造では基板垂直方向が{001}面で構成されている膜(層)、つまりc軸が立っている膜(層)であり、L11 規則構造では、基板垂直方向が{001}面で構成されている膜(層)である場合を指す。
【0124】
なお、本発明において、L10 規則構造とは図10(a)に示す構造である。L11 規則構造とは図10(b)に示す構造である。L12 規則構造とは図10(c)に示す構造である。
また、本明細書中記載のfccとは面心立方(face centered cubic)の略である。
【0125】
また、上記の記録層3014における柱状構造物部分4021の構成としては、上部から下地層B3013との接点にかけて、例えば図6および図7に示す様に、硬磁性体(L10 規則構造)6051(図6(a))、または硬磁性体(L10 規則構造)6051/非磁性体6054(図6(b))、または硬磁性体(L10 規則構造)6051/軟磁性体6055(図6(c))、または硬磁性体(L10 規則構造)6051/軟磁性体6055/非磁性体6054(図6(e))、または硬磁性体(L10 規則構造)6051/非磁性体6054/軟磁性体6055(図6(d))という形態をとることが可能である。
【0126】
ここで、硬磁性体(L10 規則構造)は基板垂直方向にc軸配向しており、非磁性体及び軟磁性体は基板垂直方向に(001)配向したfcc構造をもつことを特徴とする。また、硬磁性体(L10 規則構造)部分は、MPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とし、Ag,Pd,Ir,Rh,Cu,Cr,P,Bのうち一種類以上を含んでいても良い。また、非磁性体部分は、fcc構造で貴金属とCuのいずれかを主成分とし、基板垂直方向に(001)配向していることが好ましい。また、主成分の貴金属とCu以外に、W,Nb,Ti,Si,Oなどを一種類以上含んでも良い。
【0127】
また、軟磁性体部分は、NiZ Fe1−Z を主成分とし、Zの範囲は0.65から0.91であることが好ましく、さらに一部Ag,Pd,Ir,Rh,Cu,Cr,P,Bなどを含んでも良い。非磁性体部分は、Al,Si,Geのうち一つまたは複数の酸化物、窒化物、またシリコン、カーボンなどが好ましい。
【0128】
さらに、上記の硬磁性体(L10 規則構造)、非磁性体、軟磁性体以外にもL12 規則構造部分が存在することも可能である。例えば、柱状構造物の構成が上からL12 規則構造(Fe3 Pt)/L10 規則構造(FePt)(図7(f))やL10 規則構造(FePt)/L12 規則構造(FePt3 )(図7(g))のような場合が可能である。このとき、各構造間の境界は明瞭であっても良いし、順次変化していても良い。特にアニールによる相互拡散の影響の結果で出現する可能が高く、この場合には規則相間の境界は不明瞭になると考えられる。
【0129】
さらに、上記柱状構造物部分は、エピタキシャルに成長させたものが好ましいが、これは、下地層B13のfcc構造、またはL10 規則構造、L11 規則構造またはL12 規則構造の基板面内方向に正方状に結晶配列した面に影響を受けて、柱状構造物部分がある結晶方位を保ったまま成長することを意味している。これは、単結晶でない場合、さらに下地層B13との格子不整合の場合等を否定するものではない。さらに、熱処理により高度に基板垂直方向にL10 規則構造のc軸を配向させることも可能である。このとき、下地層B3013と柱状構造物部分4021は一部相互拡散を生じてもかまわない。
【0130】
上記の基板3010としては、ガラス、アルミニウム、カーボン、プラスティック、Siなどを基板として使用することが好ましい。また、アルミニウム基板の場合は硬度を確保するためにNiP膜をメッキ法などにより下地層として形成しておくことが望ましい。
【0131】
また、基板3010と下地層B3013の間に軟磁性層3012を裏打ち層として形成することが有効であるが、そのとき軟磁性層3012の形成に必要であれば下地層A3011を挿入しておくことが好ましい。また、その裏打ち層としては、NiZ Fe1−Z を主成分とする膜が使用可能であり、Zの範囲は0.65から0.91であることが望ましく、さらに一部Ag,Pd,Ir,Rh,Cu,Cr,P,Bなどを含んでも良い。また、このとき下からMgO層、下地層A3011、軟磁性層3012、下地層B3013という順番、または軟磁性層3012、MgO層、下地層B3013という順番でもよく、軟磁性層はNiZ Fe1−Z の場合(001)配向していることが好ましいが、その他の軟磁性体も採用可能であるためアモルファスなど他の状態であってもよい。
【0132】
また、磁気記録媒体の上部表面は、ダイヤモンドスラリー等を用いた精密研磨されており、そのRms(2乗平均の平方根)は1nm以下である。さらに表面には保護層3015を形成することが好ましく、ヘッドとの摩擦に対して耐磨耗性を持たせるために、カーボンの他カーバイト、窒化物等の高硬度の非磁性材料を用いることが有効である。
【0133】
また、潤滑層はPFPE(パーフルオロポリエーテル)を塗布することが好ましい。
【0134】
なお、多孔質体の形成は、上述の構造体の陽極酸化ではなく、エッチングにより行うこともできる。また、多孔質は必要に応じて酸化物であればよく、非酸化物であってもよい。例えば、多孔質体がアモルファスシリコンであったり、細孔壁が選択的に酸化物となっている構成も可能である。
【0135】
<垂直磁気記録媒体の製造方法>
以下、本実施形態に係る発明の垂直磁気記録媒体の製造方法について詳細に説明する。
なお、柱状の部材とそれを取り囲む領域を有する構造体(図1の1001)において、当該領域を構成する第2の材料としてシリコンを選択する場合について説明するが、他の材料、例えばSiGeを選択した場合も同様に適用できる。
【0136】
図11は、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法の一実施態様を示す工程図である。図11において、本実施形態に係る垂直磁気記録媒体の製造方法は、基板上に、該基板垂直方向に立っている柱状構造物が充填された細孔と、該細孔を有する酸化シリコンを成分とする層を有する記録層を有する垂直磁気記録媒体の製造方法に係るものであり、下記の(a)工程〜(d)工程を有することを特徴とする。
【0137】
(a)工程:基板上に下地層を形成する。
基板上に、基板面に対して平行に正方状の結晶配列を有する下地層を形成する。
(b)工程:次に、非平衡状態でのアルミニウムとシリコンの同時堆積の過程により、前記基板にアルミニウムを成分とする柱状アルミニウム部分と該柱状アルミニウム部分の周囲を取り囲むように配置されるシリコンを成分とするシリコン部分を有するアルミニウムシリコン構造体を形成する。
【0138】
(c)工程:該アルミニウムシリコン構造体の柱状アルミニウム部分を除去して細孔を形成し、シリコンを成分とするシリコン部分の酸化を行う。
(d)工程:該細孔中にMPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とする部分を電着により形成した後、アニールを行い、基板垂直方向にc軸配向したL10 規則構造からなる硬磁性体部分を含む柱状構造物を充填して記録層を形成する。
(e)工程:該記録層上に、保護層および潤滑層を順次形成する。
【0139】
次に、上記の各工程について、順に追って説明する。
(a)工程:下地層形成工程
基板上に、基板面に対して平行に正方状の結晶配列を有する下地層を形成する。
下地層を形成する方法は、スパッタリング法、真空蒸着法、分子線成長法などにより行うことができる。下地層は、1層または2層でもよい。また、図1における様に、基板上に下地層A11と下地層B13の2層を軟磁性層12を介して設けたものでもよい。
【0140】
(b)工程:アルミニウムシリコン構造体の形成工程
次に、非平衡状態でのアルミニウムとシリコンの同時堆積の過程により、前記基板にアルミニウムを成分とする柱状アルミニウム部分と該柱状アルミニウム部分の周囲を取り囲むようにシリコンを成分とするシリコン部分を有するアルミニウムシリコン構造体を形成する。
【0141】
本発明は、特にアルミニウムシリコン構造体を形成する工程に特徴を有し、この工程について以下に説明する。
アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板の下地層上にアルミニウムシリコン構造体を形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を示す。
【0142】
図11に示す様に、下地層5を形成した基板10上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムシリコン構造体6を形成する。アルミニウムシリコン構造体6は、アルミニウムを成分とする組成からなる柱状アルミニウム部分7と、その周囲のシリコンを成分とするシリコン部分8から構成される。
【0143】
図2を再度用いて、非平衡状態で成膜する方法として、スパッタリング法を用いてアルミニウムシリコン構造体を成膜する方法について説明する。なお、図2において、1003が基板、2003がスパッタリングターゲットである。スパッタリング法を用いる場合は、アルミニウムとシリコンの割合を簡単に変化させることができる。
【0144】
図2に示したように、基板1003上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムシリコン構造体を形成する。
【0145】
原料としてのシリコン及びアルミニウムは、図2のようにアルミニウムのターゲット2003上にシリコンチップ2002を配することで達成される(なお、第2の材料にSiGeを用いる場合は、例えば、Si片とGeの片を適量配置するのである)。シリコンチップは、図2では、複数に分けて配置しているが、勿論これに限定されるものではなく、所望の成膜が可能であれば、1つであっても良い。但し、均一なアルミニウムを含む柱状構造体をシリコン領域内に均一に分散させるには、基板1003に対象に配置しておくのがよい。
【0146】
また、所定量のアルミニウムとシリコンとの粉末を焼成して作製したアルミニウムシリコン焼成物を成膜のターゲット材として用いることもできる。
また、アルミニウムターゲットとシリコンターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲットをスパッタリングする方法を用いても良い。
【0147】
形成される膜中のシリコンの量は、アルミニウムとシリコンの全量に対して20〜70atomic%であり、好ましくは25〜65atomic%、さらに好ましくは30〜60atomic%である。シリコン量が斯かる範囲内であれば、シリコン領域内にアルミニウムの柱状構造体が分散したアルミニウムシリコン構造体を得ることができる。(なお、第2の材料としてSiGeを選択した場合には、形成される膜中のSiGeの量は、AlとSiGeの全量に対して20〜70atomic%であり、好ましくは25〜65atomic%、さらに好ましくは30〜60atomic%である。SiGe量がかかる範囲内であれば、SiGe領域内にAlの柱状構造体が分散したAl−SiGe構造体を得ることができる。また、ここでSiGeの組成比はいくつでも良く、組成の違いは、柱状Alの直径や間隔の違いとして反映される。)
【0148】
上記のアルミニウムとシリコンの割合を示すatomic%とは、シリコンとアルミニウムの原子の数の割合を示し、atom%あるいはat%とも記載され、例えば誘導結合型プラズマ発光分析法でアルミニウムシリコン構造体中のシリコンとアルミニウムの量を定量分析したときの値である。
【0149】
なお、上記割合においては、atomic%を単位として用いているが、wt%を単位として用いる場合は、シリコンが20atomic%以上70atomic%以下の場合は、20.65wt%以上70.84wt%以下となる。atomic%からwt%への換算は、アルミニウムの原子量を26.982、シリコンの原子量を28.086としてアルミニウムとシリコンの重量比を求め、(重量比)×(atomic%)の値からwt%に換算することができる。
また、基板温度としては、例えば200℃以下である。
【0150】
なお、このような方法でアルミニウムシリコン構造体を形成すると、アルミニウムとシリコンが準安定状態の共晶型組織となり、アルミニウムが数nmレベルの柱状構造体を形成し、自己組織的に分離する。そのときのアルミニウムはほぼ円柱状形状であり、その孔径は例えば1〜9nmであり、間隔は例えば3〜10nmである。(なお、第2の材料としてSiGeを選択した場合には、その孔径は1〜15nmであり、間隔は3〜20nmである。)
アルミニウムシリコン構造体のシリコンの量は、例えばアルミニウムターゲット上に置くシリコンチップの量を変えることで制御できる。
【0151】
非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度がよい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力であればよい。
【0152】
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタ法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
【0153】
また、成膜する方法としては、シリコンとアルミニウムを同時に形成する同時成膜プロセスを用いても良いし、シリコンとアルミニウムを数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもよい。
【0154】
上記の様にして成膜されたアルミニウムシリコン構造体1001は、アルミニウムを主成分とする組成からなる柱状アルミニウム部分1000と、その周囲のシリコンを主成分とするシリコン部分1002を備える。
【0155】
アルミニウムを含有する柱状アルミニウム部分7の組成は、アルミニウムを主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、シリコン、酸素、アルゴンなどの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、柱状構造体部の成分構成比においてアルミニウムの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。
【0156】
また、柱状アルミニウム部分の周囲を取り囲んでいるシリコン部分8の組成は、シリコンを成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、アルミニウム、酸素、アルゴンなどの各種の元素を含有してもよい。なお、主成分とは、シリコン部分の成分構成比においてシリコンの割合が80atomic%以上、好ましくは80〜98atomic%、さらに好ましくは93〜98atomic%が望ましい。(なお、第2の材料として、SiGeを選択した場合には、柱状Al部分の周囲を取り囲んでいるSiGe部分の組成は、SiGeを成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、Al,O,Arなどの各種の元素を含有してもよい。なお、主成分としては、SiGe部分の成分構成比においてSiGeの割合が80atomic%以上、好ましくは85〜99atomic%の範囲が好ましい。)
【0157】
上記の様に、基板上にアルミニウムとシリコンを同時にスパッタすることで、基板垂直方向に立った無数の柱状アルミニウム部分とその側面を取り囲むように配置されるシリコン部分からなるアルミニウムシリコン構造体が形成される。好ましくは、このときの柱状アルミニウムの直径は1〜9nmであり、その柱状アルミニウム間の間隔は3〜10nmである。これらの直径と間隔はアルミニウムとシリコンとの組成比から決定される。
【0158】
上記の構造体の柱状アルミニウム部分7の周囲を取り囲んでいるシリコン部分8は、硬磁性体の柱状構造物部分21の周囲を取り囲む非磁性材料からなる非磁性体部分20となる。シリコン部分8は、Alx Si1−x の組成からなるのが好ましい。x=0.01〜0.2、好ましくは0.02〜0.07を示す。(なお、第2の材料としてSiGeを選択した場合には、柱状Alの直径は1〜15nmであり、その柱状Al間の間隔は3〜20nmである。これらの直径と間隔はAlとSiとGeとの組成比から決定される。
【0159】
上記の構造体の柱状Al部分7の周囲を取り囲んでいるSiGe部分8は、酸化された後硬磁性体の柱状構造物部分21の周囲を取り囲む非磁性材料からなる非磁性体部分20となる。酸化前のSiGe部分8は、Alx (Siy Ge1−y )1−x の組成からなるのが好ましく、xの範囲は0<x≦0.2で、好ましくは、0<x≦0.1である。またyの範囲は0<y<1であるが、0≦y≦1とすることも可能である。)
【0160】
(c)工程:該構造体に細孔を形成し、シリコン部分を酸化する工程
次に、前記アルミニウムシリコン構造体の柱状アルミニウム部分を除去して細孔を形成し、シリコンを成分とするシリコン部分の酸化を行う。
この工程は次の2つの方法により行なうことができる。
【0161】
第一は酸溶液中における陽極酸化によりアルミニウムを成分とする柱状アルミニウム部分のみをエッチングして細孔を形成する工程である。硫酸などの溶液中での陽極酸化により、柱状アルミニウム部分を溶出させ、微細な細孔を形成する。この場合には、シリコン部分は陽極酸化で酸化され、(Alx Si1−x )OY 1−Y (X=0.01〜0.2)となる。(なお、第2の材料としてSiGeを選択した場合には、SiGe部分は陽極酸化で酸化され、(Alx (Siy Ge1−y )1−x )z O1−z で0<x≦0.2、0<y<1となる。また、好ましくは、0<x≦0.1であり、yの範囲は0≦y≦1とすることも可能である。)
【0162】
第二は、酸溶液中に浸漬してアルミニウムを成分とする柱状アルミニウム部分を選択的にエッチングして細孔を形成する工程である。リン酸のようにシリコンを溶かさずアルミニウムのみを溶かす溶液に浸漬することでアルミニウムを除去し、微細な細孔を形成することが可能である。この場合には、シリコン部分の酸化は、別工程で酸化雰囲気中でのアニールを行って酸化シリコンを生成する。
【0163】
(d)工程:該細孔中に硬磁性体部分を含む柱状構造物を充填し、記録層を形成する工程
次に、前記細孔中にMPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とする部分を電着により形成した後、アニールを行い、基板垂直方向にc軸配向したL10 規則構造からなる硬磁性体部分を含む柱状構造物を充填して記録層を形成する。
【0164】
アニールは、規則合金化のために行う。アニールの方法は、相互拡散を押さえるためRTA(Rapid Thermal Annealing)により行うことが好ましい。
【0165】
この工程では、細孔中に柱状構造物のMPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とする部分を電着する工程の前または後に、基板面に対して平行に正方状の結晶配列を有するfcc構造、L10 またはL12 規則構造のいずれかの構造からなる部分を電着する工程を行ってもよい。
【0166】
また、電着法で充填した場合、細孔の上部に溢れ出した磁性体は、ダイヤモンドスラリー、コロイダルシリカ等を用いた精密研磨を施し、そのRms(2乗平均の平方根)は1nm以下にすることが好ましい。
以上の工程を行うことにより、前述した記録層を形成することができる。
【0167】
(e)工程:該記録層上に、保護層および潤滑層を順次形成する工程
保護層はプラズマCVD法により形成することが好ましい。また、潤滑層はスピンコート、または浸漬して引き上げる方法により形成することが好ましい。
【0168】
本発明の磁気記録媒体は垂直磁気記録媒体として有効であり、磁気記録再生装置として用いるには、図8に示すように、上記磁気記録媒体8061以外に読み取り書き込み磁気ヘッド8063、モーターなどの駆動制御装置、信号処理回路、防塵ケース等を組み込むことが必要である。しかし、磁気記録再生装置において、磁気記録媒体の駆動は回転のみ、磁気ヘッドの駆動は円周上のスライドのみに限定されるものではない。なお、8062は磁気記録媒体駆動部、8065は信号処理部、8064は磁気ヘッド駆動部である。
【0169】
また、前記磁気記録再生装置を情報処理装置として用いるには、図9に示す様に、磁気記録再生装置9072以外にメモリ部9074と演算部9073と電源9075と外部入出力部9076とそれらを接続する配線9077を格納容器9071に納めた情報処理装置を形成することが必要である。情報処理装置において、配線は有線、無線のどちらでも可能である。
【0170】
(第3の実施形態:軟磁性層にAlSiを適用)
本実施形態においては、機能デバイスとして磁気記録デバイス(具体的には、磁気記録媒体)や、磁気記録再生装置、さらには該磁気記録再生装置を用いた情報処理装置について説明する。特に、高密度記録に適した2層垂直磁気記録媒体の軟磁性層に関する発明を説明する。
【0171】
近年の情報処理の飛躍的な増大に伴って、磁気ディスク装置などの情報記録技術も大幅な大容量化が求められている。特にハードディスクにおいては現在単位面積当たりの記録情報量が年率60%を超える勢いで増加している。今後も情報記録量の増大が望まれており、また携帯用などの記録装置としても小型化、高密度化が望まれている。
【0172】
従来利用されてきたハードディスク用磁気記録媒体は長手方向磁気記録方式であり、磁化はディスク表面に平行に記録されている。この長手方向磁気記録方式では高密度化に伴い磁区内の反磁界を抑え、且つ磁化状態の検出に媒体上方に磁界を出すために磁気記録層を薄くしていく必要がある。そのため磁性微粒子1つ当たりの体積が極度に小さくなり、超常磁性効果が発生しやすい傾向にある。すなわち、磁化方向を安定させているエネルギーが熱エネルギーより小さくなり、記録された磁化が時間とともに変化し、記録を消してしまうことが起こる。このため近年では長手方向磁気記録に代わって記録層の膜厚を大きくとれる垂直磁気記録方式へ移行する研究が盛んに行われている。
【0173】
垂直磁気記録方式では、基板垂直方向への膜厚の制限が弱まり、記録領域の縮小に伴う体積の減少が格段に抑制できることが強みである。現在、垂直磁気記録媒体は、単層の磁気記録層を用いるタイプと高透磁率な軟磁性層を裏打ち層としてその上に硬磁性な記録層を用いる2層タイプが提案されている。後者の場合は垂直磁気ヘッドからの磁界を記録層へ集中させ、磁界を軟磁性層に水平に通してヘッド側へ戻す磁気回路を構成するものである。この裏打ち層を用いた2層タイプ(特開平52−78403号公報)では記録再生特性を向上させる効果を示すことが知られている。
【0174】
しかし、裏打ち層である軟磁性層を用いた2層垂直磁気記録媒体では、記録再生において、スパイク状のノイズが観測され、バルクハウゼンノイズと呼ばれている。これは、軟磁性層中に存在する磁壁の状態変化が問題であると考えられており、この磁壁の安定化がノイズを無くすためには必須である。
【0175】
そこで、磁壁の移動を抑える目的でバイアス磁界を印加する方法、また図14に示されるようなグラニュラー膜にすることで磁壁の存在をなくす(特開2001−101644号公報)等の対策が講じられている。特に、磁壁を無くすために軟磁性粒子部分1531と非磁性体部分1530からなるグラニュラー膜にすることは有効であるが、軟磁性粒子部分1531の形状、大きさの分布制御やグラニュラー膜中の粒子密度の制御が非常に難しい。つまり、軟磁性粒子の直径1532と軟磁性粒子の間隔1533を均一化することが望まれる。即ち、上記従来技術においては、グラニュラー膜中の軟磁性粒子の形状、大きさの分布、粒子密度の分布が問題となって、平均透磁率を一様にすることが困難であった。
【0176】
本発明者らは、非磁性母材中に軟磁性材料を分散させるときの形状としては、基板に垂直方向に立った柱状構造が好ましいことを見出した。この場合、基板に垂直方向には膜厚と同じ高さの柱状軟磁性体が存在し、その高さ揺らぎは極度に抑えることが可能である。また、面内方向においても、柱状軟磁性体における直径の揺らぎの小さなものが作製可能である。
【0177】
即ち、本実施形態においては、軟磁性層を構成する部材として、図1により示した構造体1001を適用する。
以下、具体的に本実施形態に係る発明について説明する。
【0178】
第3の実施形態に係る発明は、基板上に軟磁性層と記録層を有する磁気記録媒体であって、該軟磁性層が柱状の軟磁性体と該軟磁性体を取り囲む非磁性体領域を含み構成されていることを特徴とする。ここで、軟磁性体は、前記基板に対して垂直方向に立っていることが好ましい。
【0179】
本実施形態に係る磁気記録媒体に関する発明を図面に基づいて説明する。
図3において、3010は基板、3011は下地層A、3012は軟磁性層、3013は下地層B、3014は記録層、3015は保護層、3016は潤滑層である。また、図15において、1620は非磁性領域、1621は柱状軟磁性体、1622は柱状軟磁性体の直径、1623は柱状軟磁性体の間隔である。
【0180】
基板3010の上に、順に下地層A3011、軟磁性層3012、下地層B3013、記録層3014、保護層3015および潤滑層3016が配置されており、特に軟磁性層3012においては、図15に示すように、非磁性領域1620と柱状軟磁性体1621からなり、それら柱状磁性体の直径1622が1〜9nmの範囲のいずれかで、柱状軟磁性体の間隔1623が3〜10nmの範囲のいずれかの値で配置されている。なお、これらの数値は、図1における構造体1001の第1の材料としてアルミニウム、第2の材料としてシリコンを適用した場合(アルミニウムシリコン混合体)の値である。本実施形態において、軟磁性層を構成する部材として、このアルミニウムシリコン混合体を利用する場合について説明するが、シリコンに代えてSiGeを適用できることは勿論である。
【0181】
上記の下地層A3011は、基板3010と軟磁性層3012との間に設けられた単層または2層以上の非磁性導電膜からなり、軟磁性層3012における柱状軟磁性体1621の形成において、電着法で作製する場合には電極となり、かつ配向性を制御するための役割も担うことが好ましい。特に、Pt,Pd,Cu,Agなどを成分とした金属膜を用いることが好ましい。また、単層膜に限らず、目的により複数の膜を用いることも可能である。
【0182】
上記の下地層B3013は、軟磁性層3012と記録層3014との間に設けられた単層または2層以上の非磁性導電膜からなり、記録層3014における配向性を制御するための役割を担うことが好ましい。特に、Pt,Pd,Cu,Agなどを成分とした金属膜を用いることが好ましい。特に、これらの(111)面、(001)面のように配向性を持たせておくことが好ましい。従って、前もってMgOのような金属膜の配向性も制御する層を追加し、複数の膜を下地層として用いることも可能である。
【0183】
上記の基板3010は、表面が平坦なものであればどのようなものでも使用可能であるが、特にガラス、アルミニウム、カーボン、プラスティック、MgO、Siなどを基板として使用するのが好ましい。アルミニウム基板の場合は硬度を確保するためにNiP膜をメッキ法などにより下地層として形成しておくことが望ましい。
【0184】
上記の軟磁性層3012において、非磁性領域1620はシリコン、またはその酸化物、窒化物などが用いられる。特に、酸素雰囲気中やアンモニア雰囲気中でのアニールによる形成法を用いてもよいが、硫酸、蓚酸、リン酸溶液中などにおける陽極酸化での酸化によってシリコンを酸化しても良い。即ち、柱状のアルミニウムがシリコンの領域に分散した構造体を用意し、当該アルミニウム部分を除去等して当該アルミニウム部分と軟磁性材料とを置換するのである。
【0185】
1621の柱状軟磁性体は、CoFe、NiFeなどからなるのが好ましい。また、非磁性領域1620のシリコン部分は、Alx Si1−x (x=0.01〜0.2)であることが好ましい。また、これらの酸化物であることも好ましく、(Alx Si1−x )y O1−y (x=0.01〜0.2)で、yの値は特に限定するものではない。
【0186】
上記の記録層3014は、Co50Pt50、Fe50Pt50、または(CoFe)50Pt50を主成分とするL10 規則構造を有し、1〜9nm程度の直径の円柱形状からなり、かつ各々は非磁性材料3〜10nmの間隔で分離された構造からなるのが好ましい。また、記録層として、Mx Pt1−x (M=Fe,Co,Ni)の少なくとも1つを含み構成されていてもよい。なお、xの範囲としては、0.3から0.7、より好適には0.4から0.6である。
【0187】
上記の保護層3015は、カーボン膜など、特にDLC(ダイヤモンドライクカーボン)からなるのが好ましい。
上記の潤滑層3016は、ハードディスクに塗布される市販品、またはその類似物などからなるのが好ましい。
【0188】
<垂直磁気記録媒体の製造方法>
以下、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法について詳細に説明する。
図16は、本実施形態に係る発明の垂直磁気記録媒体の製造方法の一実施態様を示す工程図である。図16において、本発明の垂直磁気記録媒体の製造方法は、下記の(a)工程〜(d)工程を有することを特徴とする。
【0189】
(a)工程:基板上に下地層Aを形成する。
(b)工程:次に、非平衡状態でのアルミニウムとシリコンの同時堆積の過程により、前記基板にアルミニウムを主成分とする柱状構造部分と該柱状構造部分の周囲を取り囲むようにシリコンを主成分とする非磁性領域を形成する。
【0190】
(c)工程:該アルミニウムを主成分とする柱状構造部分を柱状軟磁性体に置換する工程からなる。酸溶液中に浸漬してアルミニウムを主成分とする柱状構造部分のみをエッチングして微細柱状空孔を形成するか、あるいは酸溶液中における陽極酸化によりアルミニウムを主成分とする柱状構造部分のみをエッチングして微細柱状空孔を形成し、該微細柱状空孔に軟磁性体を充填して軟磁性層を形成する。
(d)工程:該軟磁性層上に、下地層B、記録層、保護層および潤滑層を順次形成する。
【0191】
次に、上記の各工程について、順に追って説明する。
(a)工程:下地層成膜工程
基板上に下地層Aを形成する。下地層Aの成膜は、Pt,Pd,Cu,Agなどを成分とした金属膜をスパッタリング法により、形成することが好ましい。また、単層膜または複数の膜を用いることもができる。ただし、成膜方法については、平坦に成膜可能であれば手段は選ぶ必要が無く、スパッタリング法に限定するものではない。
【0192】
(b)工程:アルミニウムシリコン層形成工程
次に、非平衡状態でのアルミニウムとシリコンの同時堆積の過程により、前記基板にアルミニウムを主成分とする柱状構造部分と該柱状構造部分の周囲を取り囲むようにシリコンを主成分とするシリコン領域(非磁性領域)を有するアルミニウムシリコン層を形成する。
【0193】
本発明は、特にアルミニウムシリコン層を形成する工程に特徴を有するので、この工程について以下に説明する。
アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板の下地層A上にアルミニウムシリコン層を形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を示す。
【0194】
図12に示す様に、基板3010上に形成した下地層A3011の上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムシリコン層1835を形成する。アルミニウムシリコン層1835は、アルミニウムを主成分とする組成からなるアルミニウム柱状構造体1837と、その周囲のシリコンを主成分とするシリコン領域1838から構成される。
【0195】
図2を用いて、非平衡状態で成膜する方法として、スパッタリング法を用いてアルミニウムシリコン層を成膜する方法について説明する。なお、図2において、1003が基板、2003がスパッタリングターゲットである。スパッタリング法を用いる場合は、アルミニウムとシリコンの割合を簡単に変化させることができる。図2に示したように、基板1003上に、(必要に応じて下地層を介して)非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムシリコン層を形成する。
【0196】
原料としてのシリコン及びアルミニウムは、図2のようにアルミニウムのターゲット2003上にシリコンチップ2002を配することで達成される。シリコンチップは、図2では、複数に分けて配置しているが、勿論これに限定されるものではなく、所望の成膜が可能であれば、1つであっても良い。但し、均一なアルミニウムを含む柱状構造体をシリコン領域内に均一に分散させるには、基板1003に対象に配置しておくのがよい。
【0197】
また、所定量のアルミニウムとシリコンとの粉末を焼成して作製したアルミニウムシリコン焼成物を成膜のターゲット材として用いることもできる。
また、アルミニウムターゲットとシリコンターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲットをスパッタリングする方法を用いても良い。
【0198】
形成される膜中のシリコンの量は、アルミニウムとシリコンの全量に対して20〜70atomic%であり、好ましくは25〜65atomic%、さらに好ましくは30〜60atomic%である。シリコン量が斯かる範囲内であれば、シリコン領域内にアルミニウムの柱状構造体が分散したアルミニウムシリコン層が得られる。
また、基板温度としては、200℃以下であり、好ましくは100℃以下であるのがよい。
【0199】
なお、このような方法でアルミニウムシリコン層を形成すると、アルミニウムとシリコンが準安定状態の共晶型組織となり、アルミニウムが数nmレベルの円柱状構造を形成し、自己組織的にシリコンと分離する。そのときの円柱状形状アルミニウムの直径は1〜10nmであり、間隔は3〜15nmである。
【0200】
アルミニウムシリコン層のシリコンの量は、例えばアルミニウムターゲット上に置くシリコンチップの量を変えることで制御できる。
非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度がよい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力であればよい。
【0201】
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタ法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
【0202】
また、成膜する方法としては、シリコンとアルミニウムを同時に形成する同時成膜プロセスを用いても良いし、シリコンとアルミニウムを数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもよい。
【0203】
上記の様にして成膜されたアルミニウムシリコン層1835は、アルミニウムを主成分とする組成からなるアルミニウム柱状構造体1837と、その周囲のシリコンを主成分とするシリコン領域1838を備える。
【0204】
アルミニウムを含有する柱状構造体部1837の組成は、アルミニウムを主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、シリコン、酸素、アルゴンなどの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、柱状構造体部の成分構成比においてアルミニウムの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。この場合、酸に容易に溶解する成分構成比になっていることが重要である。
【0205】
また、アルミニウム柱状構造体の周囲を取り囲んでいるシリコン領域1838の組成は、シリコンを主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、アルミニウム、酸素、アルゴンなどの各種の元素を含有してもよい。なお、主成分とは、シリコン領域の成分構成比においてシリコンの割合が80atomic%以上、好ましくは80〜98atomic%、さらに好ましくは93〜98atomic%が望ましい。
【0206】
上記の様に、基板上にアルミニウムとシリコンを同時にスパッタリングすることで、基板垂直方向に立った無数の柱状アルミニウムとその側面を取り囲むように配置されるシリコンからなるアルミニウムシリコン層が形成される。好ましくは、このときの柱状アルミニウムの直径は1〜9nmであり、その柱状アルミニウム間の間隔は3〜10nmである。これらの直径と間隔はアルミニウムとシリコンとの組成比から決定される。
【0207】
上記のアルミニウム柱状構造体の周囲を取り囲んでいるシリコン領域1838は、柱状軟磁性体の周囲を取り囲む非磁性材料からなる非磁性領域となる。シリコン領域1838、すなわち非磁性領域は、Alx Si1−x の組成からなるのが好ましい。x=0.01〜0.2、好ましくは0.02〜0.07を示す。勿論、実質的にAlが当該シリコン領域に含まれていないことも好ましい。
【0208】
(c)工程:柱状構造部分を柱状軟磁性体に置換する工程
次に、前記アルミニウムを主成分とする柱状構造部分を柱状軟磁性体に置換する工程を行う。この工程は次の2つの方法により行なうことができる。
【0209】
第一は、酸溶液中に浸漬してアルミニウムを主成分とする柱状構造部分のみをエッチングして微細柱状空孔を形成する工程である。リン酸のようにシリコンを溶かさずアルミニウムのみを溶かす溶液に浸漬することでアルミニウムを除去し、微細な空孔を形成することが可能である。
【0210】
第二は酸溶液中における陽極酸化によりアルミニウムを主成分とする柱状構造部分のみをエッチングして微細柱状空孔を形成する工程である。硫酸などの溶液中での陽極酸化により、アルミニウム部分を溶出させ、微細な空孔を形成する。この場合には、シリコン部分の酸化も達成される。この場合、陽極酸化溶液の温度は何℃でもよく、10℃〜30℃が好ましい。また、濃度においても限定がなく、0.3mol/l〜7mol/lまで使用可能である。さらに、陽極酸化電圧に関しては、10V以下であることが好ましいが、特に下地層A11との密着性が弱い時には、2V以下であることが好ましい。
【0211】
次に、形成された該微細柱状空孔に軟磁性体を充填して軟磁性層を形成する。軟磁性体用のめっき液に浸漬し、めっき法により微細な空孔に軟磁性体を充填することが可能である。つまり、めっき可能である軟磁性体は、すべて用いることができる。特に、CoFe、NiFeはめっきの点から考えて有効である。このとき、下地層A3011は、電解めっきのときには電極として、無電解めっきのときは触媒として作用することが好ましい。
【0212】
また、電着法で充填した場合、微細な空孔の上部に溢れ出した軟磁性体は、ダイヤモンドスラリー、コロイダルシリカ等を用いた精密研磨を施し、そのRms(2乗平均の平方根)は1nm以下にすることが好ましい。
【0213】
(d)工程:該軟磁性層上に、下地層B、記録層、保護層および潤滑層を順次形成する。
上記の下地層Bの成膜はスパッタリング法、保護層の成膜はCVD法、スパッタリング法により形成することが好ましい。また、単層膜または複数の膜を用いることもができる。また、記録層については、本発明の軟磁性層と同様の製造方法で、磁性体をCo50Pt5 0 、Fe50Pt50、または(CoFe)50Pt50等にすることで形成されることが好ましい。また、潤滑層は、潤滑材料に浸漬、またはスピンコートすることで形成することが好ましい。
【0214】
なお、本実施形態においては、軟磁性層を形成するに際して上述のAlSi構造体を利用した場合を説明したが、その他の部分例えば記録層自体もこのAlSi構造体を移用することも勿論可能である。
【0215】
本実施形態に係る垂直磁気記録媒体は、磁気記録再生装置として用いるには、図8に示すように、上記垂直磁気記録媒体8061以外に読み取り書き込み磁気ヘッド8063、モーターなどの駆動制御装置、信号処理回路、防塵ケース等を組み込むことが必要である。しかし、磁気記録再生装置において、垂直磁気記録媒体の駆動は回転のみ、磁気ヘッドの駆動は円周上のスライドのみに限定されるものではない。
【0216】
また、前記磁気記録再生装置を情報処理装置として用いるには、図9に示す様に、磁気記録再生装置9072以外にメモリ部9074と演算部9073と電源9075と外部入出力部9076とそれらを接続する配線9077を有していることが必要である。しかし、情報処理装置において、配線は有線、無線のどちらでも可能である。9071は格納容器である。
【0217】
また、本実施形態に適用できる多孔質体は必要に応じて酸化物であればよく、非酸化物であってもよい。例えば、多孔質体がアモルファスシリコンであったり、細孔壁が選択的に酸化物となっている構成も可能である。
【0218】
【実施例】
(実施例1:発光デバイス)
本実施例においては、図1を用いて説明した構造体1001から柱状の部材1000を除去した部分に発光材料を充填して発光デバイスを作製した場合について説明する。以下では、構造体1001において、柱状の部材を構成する第1の材料としてアルミニウムを、その周りを取り囲む領域にシリコンを用いた場合を例に挙げ説明するが、既述の通り柱状の部材を選択的に当該構造体から除去できるのであれば、種々の材料の選択が可能である。斯かる点は、以降の全ての実施例においても同様である。
【0219】
まず、スパッタリング法を用いて、ガラス基板上にPd20nmを成膜した上に、AlSi構造体を50nm成膜したものを準備した。このとき、AlSi膜の状態は、柱状アルミニウムが基板垂直方向に立っており、その側面を囲うようにシリコンが配置された構造体を自己組織的に形成していることが確認された。柱状アルミニウムの直径は4nmで各々の間隔は7nmであった。これをリン酸5wt%(重量%)に浸漬して、アルミニウム部分をエッチングで除去し、4nmのナノホールを形成した。このとき、ホール底部にはPd層が露出しているので、これを電極としてZnOの電着が可能である。
【0220】
電着は、60℃の硝酸亜鉛水溶液0.1mol/lを用い、陰極に酸化したAlSiナノホールを配置し、電圧−0.5Vで行った。この場合電着は、ホールから溢れた時点で終了し、研磨で溢れた部分を除去した。またAlSiナノホールは、リン酸でのエッチング以外に陽極酸化、酸素雰囲気中でのアニールなどで微細孔を有する(AlX Si1−x )y O1−y 膜をしても使用可能である。
【0221】
さらに、電着液は硫酸亜鉛水溶液に限らず、塩化物系などその他のものでも良い。とくに、水溶液でなく可溶な有機溶媒に0.005mol/l程度というように、少量溶解させたものでも可能である。
【0222】
発光特性を見るために、この試料のフォトルミネッセンス測定を行った。励起光源としてHe−Cdレーザ325nmを使用し、試料上面から、つまりナノホールに平行に入射させ、同じ方向にその発光を取り出した。
【0223】
その結果、ZnOのバルクからの発光が示す波長よりも、本試料からの発光が短波長側に位置することが確認できた。これは、AlSiナノホールにより結晶粒のサイズが制限されることと関係しており、ホールサイズで発光波長を制御可能である。
【0224】
(実施例2:磁性デバイス)
ガラス基板上にPt20nmを成膜した上に、AlSi構造体を50nm成膜したものを準備した。このとき、AlSi膜の状態は、柱状アルミニウムが基板垂直方向に立っており、その側面を囲うようにシリコンが配置された構造体を自己組織的に形成していることが確認された。柱状アルミニウムの直径は4nmで各々の間隔は7nmであった。これを、硫酸水溶液7mol/l、20℃中にて、電圧2Vを印加して陽極酸化を行った。その結果、柱状アルミニウム部分が除去され、シリコン部分が酸化され、微細孔を有する(AlX Si1−x )y O1−y 膜が形成されていた。これらは、多少の揺らぎはあるもののx=0.01〜0.2の範囲であることが組成分析で判明した。次に、水酸化ナトリウム水溶液1mol/l中で2分間浸漬し、微細孔の底部の均一化を行った。これで、ホール底部にはPt層が露出しているので、これを電極として磁性材料の電着を実施した。実施例1同様にリン酸でのエッチングで形成されるAlSiナノホールも使用可能である。
【0225】
まず、NiFeの充填には硫酸ニッケル(II)7水和物と硫酸鉄(II)7水和物を1:1で混合したものを使用し、24℃でAg/AgCl参照極に対して−1.0Vの電圧を印加して電着した。また、FePtの電着には、硫酸鉄(II)7水和物0.3mol/lと6塩化白金酸0.03mol/lを10:1の混合比で使用し、24℃でAg/AgCl参照極に対して−1.5Vの電圧を印加して電着した。
【0226】
これらの、磁気特性をヒステリシス曲線で観測すると、NiFeにおいては10Oe程度の保持力を有し、軟磁性的な特性を示した。また、FePtの場合はアニール処理により規則合金化させたため、13kOeの印加磁場に対して基板垂直方向に6kOeの高い保持力を有し、基板面内方向では保持力が弱く、高い垂直磁気異方性を示した。
このように、図1に示した構造体を用いれば機能デバイスとして、磁気デバイスの提供ができることが分かる。
【0227】
(実施例3)
本実施例は、記録層の製造方法と、それぞれの形状や配向性に関するものである。
表面にMgO膜を形成したガラス基板上に、下地層としてスパッタ蒸着法により貴金属とCuよりPt,Pd,Cu,Ir,Rhを選択し、各5nm別々に成膜し、すべてにAlSi構造体(Al50Si50層(Al50atomic%、Si50atomic%の組成))を200nm成膜したものを準備した。
【0228】
スパッタリングターゲットには、直径4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に、15mm角のシリコンチップを6枚置いたものを用いた。スパッタリング条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温(25℃)とした。
【0229】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップを6枚置いたものを用いたが、シリコンチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタリング条件により変化し、AlSi層の組成が所定のシリコン含有量近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップを置いたものに限定するものではなく、シリコンターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとアルミニウムを焼結したターゲットを用いても良い。
【0230】
このとき、AlSi構造体の状態は、図1に示すように柱状アルミニウム部分が基板垂直方向に立っており、その側面を囲うようにシリコン部分が配置された構造体を自己組織的に形成していることが確認された。柱状アルミニウムの直径は4nmで各々の間隔は7nmであった。
【0231】
次いで、硫酸水溶液7mol/l、20℃中にて、電圧5Vを印加して陽極酸化を行った。その結果、柱状アルミニウム部分が除去され、シリコン部分が酸化され、微細孔を有する(AlX Si1−x )y O1−y 膜が形成された。これらは、多少の揺らぎはあるもののx=0.01〜0.2の範囲であることが組成分析で判明した。次に、水酸化ナトリウム水溶液1mol/l中で2分間浸漬し、微細孔の底部の均一化を行った。このとき、Pt,Pd,Cu,Ir,Rh膜は各々基板垂直方向に対して(001)方向に配向しており、ナノホール底部において各々Pt,Pd,Cu,Ir,Rh面が露出して良好な導電性を持っていた。
【0232】
以上、代表例として下地層がPtの試料に硬磁性体であるCoPtとFePtを細孔中に充填した。ここで、CoPtの電着には、塩化白金酸6水和物0.003mol/l水溶液を5mlと、硫酸コバルト(II)7水和物0.3mol/l、硼酸30g/l、硫酸マグネシウム7水和物50g/lからなる水溶液25mlを混合し、24℃で使用した。FePtの電着では、上記CoPtの溶液の硫酸コバルトを硫酸鉄(II)7水和物0.3mol/lにしたものを用いた。
【0233】
電着は、以上の溶液中にて参照極としてAg/AgClを用いて、−2.0V、−1.2V、−0.6Vで攪拌しながら行った。
さらに、これらの試料を粒径が1/4μmのダイヤモンドスラリーを用いて表面に溢れ出した電着物を研磨し取り除いた。この時、表面のRmsは1nm以下であった。
【0234】
以上の試料を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察すると細孔にCoPt、FePtがそれぞれ存在しており、断面からの観察によりナノホールの直線性も優れていることが確認できた。
これらのICPによる組成分析を行った結果、下地層のPtの影響を考慮すると以下の表2のような組成となった。
【0235】
【表2】
【0236】
以上から、−0.6Vで電着した試料はCoやFeの組成が低く、また、−2.0Vにおいては十分大きく、L10 規則構造の組成から大きくずれていた。−1.2Vにおいては、主にCoPt、FePtともにfcc(002)の回折が見られた。
【0237】
−1.2Vで電着した試料を、真空中、CoPtを700℃、FePtを650℃で十分アニールした後に再度X線回折測定を行った。すると、−1.2Vで電着した試料において、CoPt、FePtともにL10 規則構造(001)と(002)のピークが観察できた。CoPtについて、JCPDSにある粉末試料の回折強度比で校正すると全体の78%が基板垂直方向にc軸が向いており、残りがその他の方向であった。FePtでは74%であった。また、下地層がPt(111)面である場合は、L10 規則構造のCoPt(111)が優先的に現れることからも、下地層をPt(001)にすることで、L10 規則構造のc軸を基板垂直方向に優先的に配向させることが確認できる。
【0238】
(実施例4)
本実施例では、記録層の下部の下地層が規則構造である場合について実施例3と同様の測定を行った。
以下、下地層としてFePtを用いた例について述べる。
【0239】
まず、表面にMgO膜を形成したガラス基板上に、スパッタ装置でL10 規則構造のFePt5nm(膜厚)と、L11 規則構造のCuPt5nmと、L12 規則構造のFePt3 5nmをそれそれ別々に成膜し、その後すべてにスパッタリング法によりAlSi構造体を200nm成膜した。
【0240】
これら3つの試料を実施例1と同様の条件で陽極酸化した。これはPt下地層の場合と同様に正方配列面が基板垂直方向に配向しており、ナノホール底部において、それぞれの下地層の面が露出して良好な導電性を持っていることを確認した。特に、L10 規則構造の場合は、そのc軸が基板垂直方向に配向していることを確認した。
【0241】
以上、下地層がL10 規則構造である場合に対して、硬磁性体であるFePtをナノホール中に充填した。ここで、FePtの電着には、塩化白金酸6水和物0.003mol/l水溶液を5mlと、硫酸鉄(II)7水和物0.3mol/l、硼酸30g/l、硫酸マグネシウム7水和物50g/lからなる水溶液25mlを混合し、24℃で使用した。
【0242】
電着は、以上の溶液中にて参照極としてAg/AgClを用いて、−1.2Vで電着を行った。さらに、これらの試料を粒径が1/4μmのダイヤモンドスラリーを用いて表面に溢れ出した電着物を研磨し取り除いた。この時、表面のRmsは1nm以下であった。
【0243】
X線回折測定の結果、主にfcc構造−FePt(002)のピークを示した。これらの試料を真空中650℃で十分アニールした後に再度X線回折測定を行った。すると、L10 規則構造FePt(001)と(002)のピークが見られ、JCPDSにある粉末試料の回折強度比で校正すると全体の80%が基板垂直方向にc軸が向いていることが確認できる。
以上から、下地層としてL10 規則構造FePtを用いた場合にも優先的にL10 規則構造FePtのc軸が基板垂直方向に配向することが確認できる。
【0244】
(実施例5)
本実施例では、細孔中の充填物の構成における非磁性体、軟磁性体部分の製造方法と配向性、さらにその結果もたらされる硬磁性体(L10 規則構造)部分の配向性に関するものである。
【0245】
まず、充填物の構成には、図6および図7に示す様に、実施例3の硬磁性体(L10 規則構造)のみ(図6(a))以外に、図6(b)の硬磁性体(L10 規則構造)/非磁性体、または図6(c)の硬磁性体(L10 規則構造)/軟磁性体、または図6(d)硬磁性体(L10 規則構造)/非磁性体/軟磁性体、または図6(e)硬磁性体(L10 規則構造)/軟磁性体/非磁性体、または図7(f)硬磁性体(L12 規則構造)/硬磁性体(L10 規則構造)、または図7(g)硬磁性体(L10 規則構造)/硬磁性体(L12 規則構造)などの形態をとることが可能である。
【0246】
まず、実施例3に示すように記録層の下部の下地層にPt,Pd,Cu,Ir,Rhをそれぞれ採用した微細孔を有する試料を5つ準備し、非磁性体、軟磁性体をそれぞれ単独、または両方を積層する場合について電着を行った。その結果、電着後の配向は、下地層のまま保たれており、(001)面に配向していることを確認した。
【0247】
本実施例では、特に下地層がPtの場合について詳細を述べる。
まず、非磁性体としてPtを電着するために、塩化白金酸6水和物からなる0.03mol/l水溶液を使用し、24℃でAg/AgCl参照極に対して−0.5Vの電圧を印加して電着した。
【0248】
軟磁性体としては、NiFeを採用し、硫酸ニッケル(II)7水和物と硫酸鉄(II)7水和物を1:1で混合し、同じく24℃でAg/AgCl参照極に対して−1.0Vの電圧を印加して電着した。
また、別々の浴で双方を一層づつ積層したものを、すなわち非磁性体/軟磁性体、軟磁性体/非磁性体の2種類を、上記の条件のもとに作製した。
【0249】
また、上記のPtとNiFeの電着液を1:10で混合した混合浴で、Ag/AgCl参照極に対して非磁性体層のときは−0.5V、軟磁性体層のときは−1.0Vで電着すると電着液を変えることなく積層が可能となる。だだし、少量は他方の成分が混入することは避けることができない。
【0250】
以上の試料のX線回折による結果により、Pt単体の場合が最も基板垂直方向にfcc(001)配向しており、JCPDSの粉末試料からの回折強度で校正すると94%が配向していることが確認できる。また、どの組み合わせ、特に混合浴からの電着を行った試料においても全体の80%以上が基板垂直方向にfcc(001)配向していることが確認できる。
【0251】
さらに、上記で得られた条件で最後の層に硬磁性体(L10 規則構造)であるFePtを追加した場合のX線回折による結果を示す。FePtの電着条件は実施例3、4における最適条件−1.2Vを用い、その後RTA(Rapid Thermal Annealing)で650℃2min加熱している。これは、非磁性または軟磁性層との相互拡散を抑えるためである。
【0252】
また、図6(b)のような構成の場合、真空中で700℃で1時間アニールすると、例えば充填物のPtとFePtの相互拡散が進み、図7の(g)のようになることを確認した。また、FePtの組成を一対一でなくFeを過剰にすることで、同様のアニールで図7の(f)のようになることを確認した。このように、硬磁性体がL10 規則構造のみでなく、L12 規則構造部分がアニールの効果で出現する場合も確認された。
【0253】
以上の結果、相互拡散の影響が少ない場合には、拡散効果により生じるL12 規則構造FePt3 からの回折ピークはなく、L10 規則構造FePtからの(001)と(002)のピークがみられ、その(002)配向の程度を比較例として、比較例を1としたときの比を表3に示す。
【0254】
【表3】
【0255】
以上より、細孔中の充填物の構成において、非磁性体、軟磁性体層は硬磁性体層のc軸配向性にも影響を与えることが確認できた。おそらく、下地層のPt(001)表面は陽極酸化後、一部酸化している、もしくは一部酸化物が残留していると予想され、これを同じ結晶構造をもつ材料で覆うことで後の層における配向性が向上したと考えられる。また、その他の下地層においても同様の効果が得られる。
【0256】
(実施例6)
本実施例では、下地層の下に配置される軟磁性層に関するものである。
Si基板上に下地層MgO(001)面上にNiFe軟磁性層を膜厚2μmに成膜後、Pt下地層を形成したが、X線回折から基板垂直方向に(001)配向していることが確認できた。さらに、スパッタリング法で200nmのAlSi膜を成膜後、陽極酸化を7mol/l硫酸水溶液中で20℃、印加電圧5Vで行い、記録層の母体を形成した。また、FE−SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)でその断面を観察すると、NiFe層がない場合と同様に細孔の底部は均一であった。
【0257】
さらに、記録層の細孔中にL10 規則構造のFePtを形成した後、保護層のダイヤモンドライクカーボン(DLC)を膜厚4nmに成膜し、PFPE(パーフルオロポリエーテル)からなる潤滑層を形成し磁気記録媒体を形成した。この磁気記録媒体に磁気ヘッドをコンタクトさせて記録を行うと、Pt下地層の下に軟磁性層がない試料と比べると、記録に必要な磁場の強度が0.82倍であり、軟磁性層により磁束集中が促進されることが確認できる。
【0258】
また、記録ビット間の遷移領域の半値幅であるPW50を測定した。軟磁性層がある場合のPW50を1.0として、軟磁性層がない場合と比較した結果、1.03であった。したがって、軟磁性層によりヘッドからの磁束が広がらず遷移領域も鋭くなっていることが確認できる。
以上から、下地層下にNiFe軟磁性体層を挿入することは有効であることが認められる。
【0259】
(実施例7)
本実施例は、図8に示す構成の磁気記録装置に関するものである。
本発明の磁気記録媒体では、充填物の柱状構造物の平均直径が9nm以下で十分小さく、無数の充填物の磁化方向によって情報を記録することが可能である。
【0260】
そこで、本発明の磁気記録媒体を図8のような磁気記録媒体駆動部8062と磁気ヘッド8063と磁気ヘッド駆動部8064と信号処理部8065からなる装置に組み立てることで、磁気記録装置を形成することが可能である。
ただし、本実施例により磁気記録媒体の駆動は回転のみ、磁気ヘッドの駆動は円周上のスライドのみに限定されるものではない。
【0261】
(実施例8)
本実施例は、情報処理装置に関するものである。
前記、実施例7に記載の磁気記録再生装置9072は、情報の出し入れが可能であるため、図9に示すように、前記磁気記録再生装置9072とメモリ部分9074と演算部9073と外部入出力部9076と電源9075と、これらをつなぐ配線9077を格納容器9071に収めた情報処理装置を形成することが可能である。
【0262】
上記の実施例に示す様に、本発明により、AlSiの構造体を用いて作製した細孔に充填される硬磁性体の配向性に関して、平均直径9nm以下の微細孔でのc軸配向を可能にする磁気記録媒体の製造方法を提供できた。これは、下地層にPt,Pd,Cu,Ir,Rhのいずれかを採用し、基板垂直方向に対して(001)配向していることが影響しており、さらにPt,Pd,Cu,Ir,Rhのいずれかの非磁性体層、NiFe軟磁性体層を電着することによってL10 規則構造MPt(M=Co,Fe,Ni)硬磁性体の配向性を向上させることも可能である。
【0263】
以上のように、本発明の構成と製造方法により従来困難とされてきた磁性体の配向性を取り入れた平均直径9nm以下の微細孔を用いた垂直磁気記録媒体を可能にした。また、これを用いた図8、図9のような構成の磁気記録再生装置、情報処理装置も駆動可能である。
【0264】
(実施例9)
本実施例においては、記録層の製造方法と、それぞれの形状や配向性に関するものである。
【0265】
表面にMgO膜を形成したSi基板上に、スパッタ蒸着法により貴金属とCuよりPt,Pd,Cu,Ir,Rhを選択し、各5nm別々に準備し、すべてにAl−SiGe構造体を200nm成膜したものを準備した。このとき、AlとSiGeの組成は、全量に対してSiGeが38atomic%であった。
【0266】
スパッタリングターゲットには、直径4インチ(101.6mm)の円形のAlターゲット上に15mm角のSiチップ2枚とGeチップ2枚を対称に配置したものを用いた。スパッタリング条件は、RF電源を用いて、Ar流量50sccm、放電圧力0.7Pa、投入電力300Wとした。また、基板温度は室温(25℃)とした。
【0267】
なお、ここではターゲットとして、Alターゲット上にSiとGeチップを計4枚置いたものを用いたが、SiとGeチップの枚数と比率は、これに限定されるものではなく、スパッタリング条件により変化し、Al−SiGe構造体の組成が所定のSiGe含有量近辺になればよい。また、ターゲットはAlターゲット上にSiとGeチップを置いたものに限定するものではなく、SiGeターゲットにAlチップを置いたものでも良いし、AlとSiとGeを焼結したものでも良い。また、SiGeのチップをAlターゲット上に置いてもよい。
【0268】
このとき、Al−SiGe膜の状態は、図3に示すように柱状Alが基板垂直方向に立っており、その側面を囲うようにSiGeが配置された構造体を自己組織的に形成していることが確認された。柱状Alの直径は6nmで各々の間隔は10nmであった。これを、硫酸水溶液7mol/l、20℃中にて、電圧2Vを印加して陽極酸化を行った。その結果、柱状Al部分が除去され、SiGe部分が酸化され、微細孔を有するSiGe酸化膜が形成されていた。これらは、多少の揺らぎはあるもののAlが0.02≦x≦0.2で含まれていることが分析で判明した。次に、水酸化ナトリウム水溶液1mol/l中で2分間浸漬し、微細孔の底部の均一化を行った。このとき、Pt,Pd,Cu,Ir,Rh膜は各々基板垂直方向に対して(001)方向に配向しており、ナノホール底部において各々Pt,Pd,Cu,Ir,Rh面が露出して良好な導電性を持っていた。
【0269】
以上、代表例として下地層がPtの試料に硬磁性体であるCoPtとFePtを細孔中に充填した。ここで、CoPtの電着には、塩化白金酸6水和物0.03mol/l水溶液を5mlと、硫酸コバルト(II)7水和物0.3mol/l、硼酸30g/l、硫酸マグネシウム7水和物50g/lからなる水溶液25mlを混合し、24℃で使用した。FePtの電着では、上記CoPtの溶液の硫酸コバルトを硫酸鉄(II)7水和物0.3mol/lにしたものを用いた。
【0270】
電着は、以上の溶液中にて参照極としてAg/AgClを用いて、−2.0V、−1.2V、−0.6Vで攪拌しながら行った。
【0271】
さらに、これらの試料を1/4μmのダイヤモンドスラリーを用いて表面に溢れ出した電着物を研磨し取り除いた。この時、表面のRmsは1nm以下であった。
【0272】
以上の試料を電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察すると細孔にCoPt、FePtがそれぞれ存在しており、断面からの観察によりナノホールの直線性も優れていることが確認できた。
【0273】
これらのICPによる組成分析を行った結果、下地層のPtの影響を考慮すると以下の表4のような組成となった。
【0274】
【表4】
【0275】
以上から、−0.6Vで電着した試料はCoやFeの組成が低く、また、−2.0Vにおいては、十分大きく、L10 規則構造の組成から大きくずれていた。−1.2Vにおいては、主にCoPt、FePtともにfcc(002)の回折が見られた。
【0276】
−1.2Vで電着した試料を真空中CoPtを700℃、FePtを650℃で十分アニールした後に再度X線回折測定を行った。すると、−1.2Vで電着した試料において、CoPt、FePtともにL10 規則構造(001)と(002)のピークが観察できた。CoPtについて、JCPDSにある粉末試料の回折強度比で校正すると全体の78%が基板垂直方向にc軸が向いており、残りがその他の方向であった。FePtでは、72%であった。また、下地層がPt(111)面である場合は、L10 規則構造CoPt(111)が優先的に現れることからも、下地層をPt(001)にすることで、L10 規則構造のc軸を基板垂直方向に優先的に配向させることが確認できる。
【0277】
(実施例10)
本実施例では、記録層下部の下地層が規則構造である場合について実施例9同様の測定を行った。
以下、FePtを例にして述べる。
【0278】
まず、表面にMgO膜を形成したシリコン基板上にスパッタ装置でL10 規則構造:FePt5nmとL11 規則構造のCuPt5nmとL12 規則構造のFePt3 5nmをそれそれ別々に成膜し、その後すべてにスパッタリング法によりAl−SiGe構造体を200nm成膜した。
【0279】
これら3つの試料を実施例1と同様の条件で陽極酸化した。これはPt下地層の場合同様、正方配列面が基板垂直方向に配向しており、ナノホール底部においてそれぞれの下地層の面が露出して良好な導電性を持っていることを確認した。特に、L10 規則構造の場合は、そのc軸が基板垂直方向に配向していることを確認した。
【0280】
以上、下地層がL10 規則構造である場合に対して、硬磁性体であるFePtをナノホール中に充填した。ここで、FePtの電着には、塩化白金酸6水和物0.03mol/l水溶液を5mlと、硫酸鉄(II)7水和物0.3mol/l、硼酸30g/l、硫酸マグネシウム7水和物30g/lからなる水溶液25mlを混合し、24℃で使用した。
【0281】
電着は、以上の溶液中にて参照極としてAg/AgClを用いて、−1.2Vで電着を行った。さらに、これらの試料を粒径が1/4μmのダイヤモンドスラリーを用いて表面に溢れ出した電着物を研磨し取り除いた。この時、表面のRmsは1nm以下であった。
【0282】
X線回折測定の結果、主にfcc構造のFePt(002)のピークを示した。これらの試料を真空中650℃で十分アニールした後に再度X線回折測定を行った。すると、L1o規則構造FePt(001)と(002)のピークが見られ、JCPDSにある粉末試料の回折強度比で校正すると全体の78%が基板垂直方向にc軸が向いていることが確認できる。
以上から、下地層としてL10 規則構造FePtを用いた場合にも優先的にL10 規則構造FePtのc軸が基板垂直方向に配向することが確認できる。
【0283】
(実施例11)
本実施例では、細孔中の充填物の構成における非磁性体、軟磁性体部分の製造方法と配向性、さらにその結果もたらされる硬磁性体(L10 規則構造)部分の配向性に関するものである。
【0284】
まず、充填物の構成には、図6に示す様に、実施例1の硬磁性体(L10 規則構造)のみ(図6(a))以外に、図6(b)の硬磁性体(L10 規則構造)/非磁性体、または図6(c)の硬磁性体(L10 規則構造)/軟磁性体、または図6(d)硬磁性体(L10 規則構造)/非磁性体/軟磁性体、または図6(e)硬磁性体(L10 規則構造)/軟磁性体/非磁性体、または図6(f)硬磁性体(L12 規則構造)/硬磁性体(L10 規則構造)、または図6(g)硬磁性体(L10 規則構造)/硬磁性体(L12 規則構造)などの形態をとることが可能である。
【0285】
まず、実施例9に示すように記録層の下部の下地層にPt,Pd,Cu,Ir,Rhをそれぞれ採用した微細孔を有する試料を5つ準備し、非磁性体、軟磁性体をそれぞれ単独、または両方を積層する場合について電着を行った。その結果、電着後の配向は、下地層のまま保たれており、(001)面に配向していることを確認した。
【0286】
本実施例では、特に下地層がPtの場合について詳細を述べる。
まず、非磁性体としてPtを電着するために、塩化白金酸6水和物からなる0.03mol/l水溶液を使用し、24℃でAg/AgCl参照極に対して−0.5Vの電圧を印加して電着した。
【0287】
軟磁性体としては、NiFeを採用し、硫酸ニッケル(II)7水和物と硫酸鉄(II)7水和物を1:1で混合し、同じく24℃でAg/AgCl参照極に対して−1.0Vの電圧を印加して電着した。
また、別々の浴で双方を一層づつ積層したものを、すなわち非磁性体/軟磁性体、軟磁性体/非磁性体の2種類を、上記の条件のもとに作製した。
【0288】
また、上記のPtとNiFeの電着液を1:10で混合した混合浴で、Ag/AgCl参照極に対して非磁性体層のときは−0.5V、軟磁性体層のときは−1.0Vで電着すると電着液を変えることなく積層が可能となる。だだし、少量は他方の成分が混入することは避けることができない。
【0289】
以上の試料のX線回折による結果により、Pt単体の場合が最も基板垂直方向にfcc(001)配向しており、JCPDSの粉末試料からの回折強度で校正すると93%が配向していることが確認できる。また、どの組み合わせ、特に混合浴からの電着を行った試料においても全体の79%以上が基板垂直方向にfcc(001)配向していることが確認できる。
【0290】
さらに、上記で得られた条件で最後の層に硬磁性体(L10 規則構造)であるFePtを追加した場合のX線回折による結果を示す。FePtの電着条件は実施例1、2における最適条件−1.2Vを用い、その後RTAで650℃2min加熱している。これは、非磁性または軟磁性層との相互拡散を抑えるためである。
【0291】
また、図5(b)のような構成の場合、真空中で700℃で1時間アニールすると、例えば充填物PtとFePtの相互拡散が進み、図5の(g)のようになることを確認した。また、FePtの組成を一対一でなくFeを過剰にすることで、同様のアニールで図5の(f)のようになることを確認した。このように、硬磁性体がL10 規則構造のみでなく、L12 規則構造部分がアニールの効果で出現する場合も確認された。
【0292】
以上の結果、相互拡散影響が少ない場合には、L10 規則構造FePtの(001)と(002)のピークがみられ、(002)配向の程度を比較例として、比較例を1としたときの比を表5に示す。
【0293】
【表5】
【0294】
以上より、細孔中の充填物の構成において、非磁性体、軟磁性体層は硬磁性体層のc軸配向性にも影響を与えることが確認できた。おそらく、下地層のPt(001)表面は陽極酸化後、一部酸化しているもしくは一部酸化物が残留していることが予想され、これを同じ結晶構造をもつ材料で覆うことで後の層における配向性が向上したと考えられる。また、その他の下地層においても同様の効果が得られる。
【0295】
(実施例12)
本実施例では、下地層下に配置される軟磁性層に関するものである。
Si基板上に下地層MgO(001)面上にNiFe軟磁性層2μm成膜後、Pt下地層を形成したがX線回折から基板垂直方向に(001)配向していることが確認できる。さらに、スパッタリング法でAl−SIGe膜30nmを成膜後、陽極酸化を硫酸浴7mol/l中20℃、印加電圧2Vで行い、記録層の母体を形成した。また、FE−SEM(電界放出型走査電子顕微鏡)でその断面を観察すると、NiFe層がない場合と同様細孔底部は均一であった。
【0296】
さらに、記録層の細孔中にL10 規則構造のFePt形成後、保護層のDLCを3nm成膜し、潤滑層を形成した。この媒体に磁気ヘッドをコンタクトさせて記録を行うと、Pt下地層の下に軟磁性層がない試料と比べると、記録に必要な磁場の強度が0.80倍であり、軟磁性層により磁束集中が促進されることが確認できる。
【0297】
また、記録ビット間の遷移領域の半値幅であるPW50を測定した。軟磁性層がある場合のPW50を1.0として軟磁性層がない場合と比較した結果、1.04であった。したがって、軟磁性層によりヘッドからの磁束が広がらず遷移領域も鋭くなっていることが確認できる。
以上から、下地層下に軟磁性体層を挿入することは有効である。
【0298】
(実施例13)
本実施例は、本発明における垂直磁気記録媒体の軟磁性層の構成と製造方法に関するものである。
まず、ガラス基板上にPtを20nm、Al50Si50層(Al50atomic%、Si50atomic%の組成)を300nmの厚さに成膜した。
ガラス基板上に下地層のPtは、スパッタリング法により成膜した。
【0299】
Al50Si50層は、下地層を形成したガラス基板上に、マグネトロンスパッタリング法を用いて、300nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムターゲット上に、15mm角のシリコンチップを6枚置いたものを用いた。スパッタリング条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:1kWとした。また、基板温度は室温(25℃)とした。
【0300】
なお、ここではターゲットとして、アルミニウムターゲット上にシリコンチップを6枚置いたものを用いたが、シリコンチップの枚数はこれに限定されるものではなく、スパッタリング条件により変化し、AlSi層の組成が所定のシリコン含有量近辺になれば良い。また、ターゲットはアルミニウムターゲット上にシリコンチップを置いたものに限定したものではなく、シリコンターゲット上にアルミニウムチップを置いたものでも良いし、シリコンとアルミニウムを焼結したターゲットを用いても良い。
【0301】
これを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察すると、図5に示す様に、柱状アルミニウム部分5031とシリコン部分5030からなる膜が形成されていることが確認された。
【0302】
さらに、リン酸に十分な時間浸漬した後に再度SEMで観察すると、前述の柱状アルミニウム部分41が微細な空孔となっていることが確認された。また、空孔は表面から下地層であるPtまで貫通していることも断面からのSEM観察で確認した。また、Pd,Cu,Ag下地層に対しても同様に形成可能であることを確認した。
【0303】
引き続き、空孔中への軟磁性体の充填を行うために、NiFe電着液を準備した。これは、硫酸ニッケル(II)7水和物と硫酸鉄(II)7水和物を1:1で混合したものである。電着は、24℃でAg/AgCl参照極に対して−1.0Vの電圧を印加して電着した。
【0304】
電着後溢れ出した軟磁性体を研磨し、SEM観察をおこない、すべての空孔が軟磁性体で充填されていることが確認できた。
軟磁性体の直径は6nm、間隔は9nmであった。
【0305】
次に、該軟磁性層上に、下地層のMgO(001)、さらにその上にPt(001)、記録層のFePtのL10 規則合金、保護層のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)および潤滑層を形成して垂直磁気記録媒体を得た。
【0306】
(実施例14)
本実施例は、本発明における垂直磁気記録媒体の軟磁性層の構成ともう一つの製造方法に関するものである。
ガラス基板上にPtを20nm、Tiを1nm、Al50Si50を300nmの厚さに成膜した。もちろん、図5に示されるように、柱状アルミニウム部分5031とシリコン部分5030からなる膜が形成された。
【0307】
ここで、20℃の硫酸水溶液(濃度7mol/l)中で上記の膜を陽極として、陰極をアルミニウム板として、攪拌しながら、5Vの電圧を印加して陽極酸化を行った。
【0308】
陽極酸化の終了は、図17に示す電流値減少開始点から60秒後に終了した。引き続き、水酸化ナトリウム(濃度0.1mol/l)中に30min浸漬し、十分水洗した。その後SEM観察により、空孔が形成されていることを確認した。
【0309】
また、実施例13の場合はシリコン部分5030がそのまま残っていたが、本実施例ではシリコン部分5030が酸化されシリカになっていた。さらに、酸化のため空孔の径は実施例1の場合に比べて、僅かに小さくなっていることも確認した。特に、空孔は下地層のPtまで貫通していることも断面からのSEM観察で確認した。また、Pd,Cu,Ag下地層に対しても同様に形成可能であることを確認した。
【0310】
引き続き、空孔中への軟磁性体の充填を行うために、実施例13と同様のNiFe電着液を準備し、電着は、24℃でAg/AgCl参照極に対して−1.0Vの電圧を印加して電着した。
電着後溢れ出した軟磁性体を研磨し、SEM観察を行うと、すべての空孔が軟磁性体で充填されていることが確認できた。
軟磁性体の直径は5nm、間隔は9nmであった。
【0311】
次に、該軟磁性層上に、下地層のMgO(001)、さらにその上にPt(001)、記録層のFePtのL10 規則合金、保護層のDLC(ダイヤモンドライクカーボン)および潤滑層を形成して垂直磁気記録媒体を得た。
【0312】
(実施例15)
本実施例では、軟磁性層の軟磁性体の分布に関する。
実施例13および14で作製した軟磁性層を形成したものを試料A,Bとし、図14に示すシリカとのグラニュラー膜のものを試料Cとする。すべて、軟磁性層の膜厚は300nmで統一した。
なお、試料Cは、スパッタリング法により作製した。
【0313】
試料Aの柱状軟磁性体の直径分布は5nmを中心として図18のaで示される。試料Bの柱状軟磁性体の直径分布は4nmを中心として図18のbで示される。また、試料Cのグラニュラー膜における軟磁性体粒子の直径は8nmを中心として図18のcで示される。
【0314】
これらの分布を比較するとグラニュラー膜の方が体積に換算すると、直径の揺らぎの3乗となり、柱状形状の場合に比べても体積の揺らぎが大きい。また、垂直磁気記録において、図14に示すように、グラニュラー膜の方が基板または記録領域に対して垂直方向にも軟磁性粒子がランダムに分散している点においても、磁束のパスに不均一を生じさせることがわかる。
【0315】
(実施例16)
本実施例は、再生時のノイズに関する。
実施例15と同様の試料A,B,Cで適度な膜厚にすることで飽和磁束密度Bsを一定にしたものを準備して、それぞれA’、B’,C’とした。また、軟磁性層を連続膜にしたものをD’として準備した。記録層は、CoCrPtの厚さ30nmの膜で統一した。
【0316】
これらを単磁極ヘッドで書き込んだ後に記録パターンをGMRヘッドで読み取ると、D’はスパイク状ノイズが頻繁に出現したが、A’,B’,C’はスパイク状ノイズが少なかった。これは、磁壁が存在しないことに対応していると考えられる。
【0317】
次に、これらA’,B’,C’における記録ビット間の遷移領域の半値幅であるPW50を測定した。A’を1.0とした場合、B’,C’のそれはそれぞれ0.98、1.04であった。これは、軟磁性層の軟磁性粒子の分布による不均一に関係している。
以上から、軟磁性層の軟磁性体の直径、もしくは体積の揺らぎによる局所的なBsの不均一がノイズの低減を阻害していることが分かる。
【0318】
(実施例17)
本実施例は、磁気記録再生装置に関するものである。
上記の各実施例15、16で試みたように本発明の垂直磁気記録媒体は、従来の軟磁性層に比べてスパイク状ノイズが格段に減少しており、低ノイズで記録再生することが可能である。そこで、本発明の垂直磁気記録媒体を、図8のような磁気記録媒体駆動部8062と磁気ヘッド8063と磁気ヘッド駆動部8064と信号処理部8065からなる装置に組み立てることで、磁気記録装置を形成することが可能である。ただし、本実施例により磁気記録媒体の駆動は回転のみ、磁気ヘッドの駆動は円周上のスライドのみに限定されるものではない。
【0319】
(実施例18)
本実施例は、情報処理装置に関するものである。
前記、実施例17に示す磁気記録再生装置は、情報の出し入れが可能であるため、図9に示すように、前記磁気記録再生装置9072とメモリ部分9074と演算部9073と外部入出力部9076と電源9075とこれらをつなぐ配線9077を格納容器9071に収めた情報処理装置を形成することが可能である。
【0320】
【発明の効果】
本発明によれば、柱状の部材とそれを取り囲む領域を含み構成される構造体から、該柱状の部材を除去して得られる多孔質体に機能性材料を充填することにより種々の機能デバイスの提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に適用される柱状の部材とそれを取り囲む領域を含み構成される構造体の模式図である。
【図2】本発明に適用される構造体の製造方法を模式的に示すものである。
【図3】本発明に係る機能デバイスの一例を模式的に示した図である。
【図4】本発明に適用される構造体の模式図である。
【図5】本発明に適用される構造体の模式図である。
【図6】本発明に係る孔内への充填材料の例を示す図である。
【図7】本発明に係る孔内への充填材料の例を示す図である。
【図8】本発明の磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置を示す模式図である。
【図9】本発明の磁気記録再生装置を用いた情報処理装置の概念図である。
【図10】各規則構造を示す模式図である。
【図11】本発明に係る磁気記録媒体の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
【図12】本発明を説明する為の模式図である。
【図13】従来技術を説明する為の模式図である。
【図14】磁気記録媒体における従来技術の一例を示す模式図である。
【図15】本発明を説明する為の模式図である。
【図16】本発明に係る機能デバイスの製造方法を説明する為の模式図である。
【図17】本発明に係る実施例を説明する為の図である。
【図18】本発明に係る実施例を説明する為の図である。
【図19】本発明に係る機能デバイスを説明する為の模式図である。
【符号の説明】
1000 柱状の部材
1001 構造体
1002 領域
1003 基板
Claims (50)
- 柱状の部材と該柱状の部材を取り囲む領域を含む構造体を用意する工程、該構造体から該柱状の部材を除去して多孔質体を形成する工程、及び該多孔質体に機能性材料を充填する工程を有することを特徴とする機能デバイスの製造方法。
- 前記構造体は、第1の材料を含み構成される前記柱状の部材が、第2の材料を含み構成される前記領域に取り囲まれており、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれている請求項1記載の機能デバイスの製造方法。
- 前記柱状の部材の直径が50nm以下である請求項1あるいは2記載の機能デバイスの製造方法。
- 前記柱状の部材間の中心間距離が30nm以下である請求項1あるいは2記載の機能デバイスの製造方法。
- 前記第1の材料がアルミニウムであり、前記第2の材料がシリコンあるいはシリコンとゲルマニウムの混合物である請求項2に記載の機能デバイスの製造方法。
- 前記機能性材料が、導電性材料、磁性材料、発光材料、半導体材料を含む請求項1乃至5のいずれかの項に記載の機能デバイスの製造方法。
- 前記多孔質体が有する柱状の孔の深さ方向の長さと、該孔を取り囲む領域の厚さが実質的に等しい請求項1乃至6のいずれかの項に記載の機能デバイスの製造方法。
- 柱状の部材とそれを取り囲む領域を含み構成される構造体から、該柱状の部材を除去して得られる多孔質体に機能性材料を充填して得られることを特徴とする機能デバイス。
- 前記構造体は、第1の材料を含み構成される前記柱状の部材が、第2の材料を含み構成される前記領域に取り囲まれており、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれている請求項8記載の機能デバイス。
- 前記第1の材料がアルミニウムであり、前記第2の材料がシリコンあるいはシリコンとゲルマニウムの混合物である請求項8あるいは9に記載の機能デバイス。
- 前記機能性材料が、導電性材料、磁性材料、発光材料、半導体材料を含む請求項8乃至10のいずれかの項に記載の機能デバイス。
- 前記多孔質体が有する柱状の孔の深さ方向の長さと、該孔を取り囲む領域の厚さが実質的に等しい請求項8乃至11のいずれかの項に記載の機能デバイス。
- 多孔質体に機能性材料を充填して得られる機能デバイスであって、該多孔質体は、複数の柱状の孔とそれを取り囲む領域を備え、該領域はC、Si、Geあるいはこれらの組み合わせ材料を含み構成される非晶質領域であることを特徴とする機能デバイス。
- 前記非晶質領域は、酸化物を含む領域である請求項13記載の機能デバイス。
- 前記柱状の孔は、実質的に分岐していない請求項13記載の機能デバイス。
- 前記複数の孔同士の平均中心間距離が30nm以下である請求項13から15のいずれかに記載の機能デバイス。
- 前記柱状の孔の径が20nm以下である請求項13から16のいずれかに記載の機能デバイス。
- 前記複数の孔の深さ方向が実質的に同一である請求項13から17のいずれかに記載の機能デバイス。
- 前記酸化物非晶質領域には、アルミニウムが含まれている請求項13から18のいずれかに記載の機能デバイス。
- 前記多孔質体は基板上に形成されており、前記柱状の孔の深さ方向が、該基板に対して略垂直である請求項13から19のいずれかに記載の機能デバイス。
- 基板上に下地層と記録層を有する磁気記録媒体であって、該記録層は磁性材料を含み構成される柱状の部材と、シリコン、SiGe、あるいはこれらの酸化物を含み構成され、且つ該柱状の部材を取り囲む領域とを備え、該下地層は該基板の面内方向に正方状の結晶配列を有し、且つ該柱状の部材は該基板の垂直方向にc軸配向したL10 規則構造からなる硬磁性体部分を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体。
- 該柱状の部材のL10 規則構造からなる硬磁性体部分は、MPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とする請求項21に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該L10 規則構造からなる硬磁性体部分は、Ag,Pd,Ir,Rh,Cu,Cr,P,Bのうち少なくとも1つ以上の元素を含んでいる請求項21に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該柱状の部材のL10 規則構造からなる硬磁性体部分を除く部分は、基板面に対して平行に正方状の結晶配列を有する構造物である請求項21乃至23のいずれかの項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該柱状の部材のL10 規則構造からなる硬磁性体部分を除く部分は、fcc構造またはL12 規則構造である請求項21乃至23のいずれかの項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該柱状の部材のfcc構造部分は貴金属、CuとNiFeのいずれかを主成分とする構造からなり、L12 規則構造部分はM3 Pt(M=Fe,Ni)またはMPt3 (M=Co,Fe)を主成分とする構造からなる請求項25に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該柱状の部材のL12 規則構造部分がFe3 PtまたはFePt3 からなる請求項26に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該柱状の部材の上部から下地層にかけて、Fe3 PtからなるL12 規則構造/FePtからなるL10 規則構造/下地層、またはFePtからなるL10 規則構造/FePt3 からなるL12 規則構造/下地層の順で配置されていることを特徴とする請求項21乃至27のいずれかの項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該細孔を有する酸化シリコンを成分とする層は、(AlX Si1−X )Y O1−Y からなり、X=0.01〜0.2の範囲であることを特徴とする請求項21に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該細孔中に充填されている柱状の部材の平均直径が1〜9nmの範囲で、平均間隔が3〜10nmの範囲であることを特徴とする請求項21に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該細孔を有するSiGe酸化物を成分とする層は、(Alx (Siy Ge1−y )1−x )z O1−z からなりX=0.01〜0.2、0<y<1の範囲であることを特徴とする請求項21に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該細孔に充填されている柱状の部材の平均直径の範囲が1〜15nmの範囲で、平均間隔が3〜20nmの範囲であることを特徴とする請求項21に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該下地層は、fcc構造、またはL10 、L11 、L12 の各規則構造のいずれかを有することを特徴とする請求項21に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該下地層が、貴金属、Cu、NiFeのいずれかを主成分とするfcc構造、MPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とするL10 規則構造、CuPtを主成分とするL11 規則構造、あるいはM3 Pt(M=Fe,Ni)またはMPt3 (M=Co,Fe)を主成分とするL12 規則構造のいずれかを有することを特徴とする請求項21または31に記載の垂直磁気記録媒体。
- 該下地層の下にMgO(001)層が配置されていることを特徴とする請求項21に記載の垂直磁気記録媒体。
- 請求項21乃至35のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置。
- 請求項21乃至36のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置を使用した情報処理装置。
- 基板上に下地層と記録層を有する垂直磁気記録媒体の製造方法において、
該基板の面内方向に正方状の結晶配列を有する下地層を形成する工程、
該下地層上に基板垂直方向に立ったアルミニウムを成分とする柱状アルミニウム部分と、該柱状アルミニウム部分の側面を囲むように配置されるシリコン、SiGeを含む領域を有する構造体を形成する工程、
該構造体の柱状アルミニウム部分を除去して細孔を形成し、該シリコン部分あるいは該SiGe部分の酸化を行う工程、
該細孔中にMPt(M=Co,Fe,Ni)を主成分とする部分を電着により形成した後、アニールを行い、基板垂直方向にc軸配向したL10 規則構造からなる硬磁性体部分を含む柱状の部材を備えた記録層を形成する工程を含むことを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。 - 基板上に軟磁性層と記録層を有する磁気記録媒体であって、該軟磁性層が柱状の軟磁性体と該軟磁性体を取り囲む非磁性体領域を含み構成されていることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
- 前記非磁性材料はAlx Si1−x (x=0.01〜0.2)またはその酸化物を主成分として含有する請求項39に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記非磁性材料はAlx Si1−x (x=0.01〜0.2)と柱状軟磁性体の構成材料を主成分として含有する請求項39に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記柱状軟磁性体の平均直径が1〜9nm、平均間隔が3〜10nmである請求項39に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記柱状軟磁性体はNiFeからなる請求項39乃至42のいずれかの項に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記基板と軟磁性層との間に単層または2層以上の非磁性導電膜からなる下地層が設けられている請求項39に記載の垂直磁気記録媒体。
- 前記軟磁性層と記録層との間に単層または2層以上の非磁性導電膜からなる下地層が設けられている請求項39に記載の垂直磁気記録媒体。
- 請求項39乃至45のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置。
- 請求項39乃至46のいずれかに記載の垂直磁気記録媒体を用いた磁気記録再生装置を使用した情報処理装置。
- 基板と、該基板上に配置されている軟磁性層と記録層を有する垂直磁気記録媒体の製造方法であって、基板上にアルミニウムを主成分とする柱状構造部分と該柱状構造部分の周囲を取り囲むように配置されるシリコンを主成分とする非磁性領域を形成する工程、該アルミニウムを主成分とする柱状構造部分を柱状軟磁性体に置換して軟磁性層を形成する工程を有することを特徴とする垂直磁気記録媒体の製造方法。
- 第1の材料を含み構成される柱状の部材と、第2の材料を含み構成され、該柱状構造体を取り囲む領域を有する構造体であって、且つ該構造体には該第2の材料が該第1と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれている該構造体を用意する第1の工程、該構造体から該柱状の部材を除去する第2の工程、及び前記第2の工程により形成される多孔質体に磁性材料を充填する第3の工程を有することを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。
- 基板と記録層を含み構成される磁気記録媒体であって、該記録層は磁性材料を含み構成される柱状の部材と、該柱状の部材を取り囲むシリコン、SiGeあるいはこれらの酸化物を成分とする領域とを備えていることを特徴とする磁気記録媒体。
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