【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質なホウ化物を効率良く微細に粉砕分散する方法、及びこの方法により得られるホウ化物粒子分散液に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、La等の希土類元素のホウ化物粉末は、固相反応法で合成された後、乾式粉砕法で粉砕されて製造され、特にジェットミル等(特許文献1参照)の高速気流により粉末同士を衝突させて粉砕する方法が一般的である。例えば、6ホウ化ランタンは、ランタン酸化物とホウ素酸化物を炭素の存在下で高温に加熱することにより得られ、その後乾式粉砕装置で粉砕されている。
【0003】
これらホウ化物粉末は、従来から厚膜抵抗ペースト等に使用されており、また微細粒子にすると日射遮蔽用の光学材料として用いるが可能である。即ち、ホウ化物粒子を分散させた膜は、可視光線を透過し、熱エネルギーとして作用する近赤外線を効率よく遮蔽することができるため、住宅や自動車の窓などに適用する日射遮蔽材として好適であることが知られている(特許文献2、3参照)。
【0004】
しかし、La等の希土類元素のホウ化物は硬質であるため、ジェットミル等を用いた乾式粉砕法では微細に粉砕することが難しく、最小粒子径1〜3μm程度の比較的大きな粒子しか得られないという問題があった。また、乾式粉砕法で得たホウ化物粒子は、再凝集を抑えることが困難であった。
【0005】
更に、ジェットミルのような乾式粉砕装置では、大量の高速気流を使用するため大きな動力が必要となり、その装置や粉体捕集装置も大掛かりになるという問題があった。また、硬質なホウ化物を微細に粉砕しようとすると、乾式粉砕装置の摩耗によってホウ化物の粉体中に不純物が混入するという問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−314776号公報
【特許文献2】
特開2000−096034号公報
【特許文献3】
特開平11−181336号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、固相反応法等により得られたミクロンオーダーのホウ化物粉末を、比較的簡単且つ経済的に、日射遮蔽材等の光学的用途に適した800nm以下の粒径に微細化でき、粒子の再凝集を抑えることができるホウ化物粒子の粉砕分散方法を提供することを目的とする。また、その方法により得られるホウ化物粒子分散液、及びその分散液又はそのホウ化物粒子を用いて形成した日射遮蔽材等の光学材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者は、硬質なホウ化物粒子の粉砕方法について鋭意検討を重ねた結果、媒体撹拌ミルの使用により効率的な粉砕が可能となることを見出した。特に、媒体拡散ミルに用いるビーズの大きさや材質を選択することによって、一般的なミクロンオーダーの大きさのホウ化物粉末から、分散粒子径800nm以下、好ましくは100nm以下の微細なホウ化物粒子が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0009】
即ち、本発明が提供するホウ化物粒子の粉砕分散方法は、ミクロンオーダーのホウ化物粒子を溶媒と混合したスラリーを、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、超硬合金から選ばれた少なくとも1種からなる直径3mm以下のビーズ、好ましくは直径1mm以下、更に好ましくは直径0.3mm以下のビーズを用いた媒体撹拌ミルで処理することにより、ホウ化物粒子の平均分散粒子直径を800nm以下、好ましくは200nm以下とすることを特徴とするものである。
【0010】
上記本発明のホウ化物粒子の粉砕分散方法においては、媒体撹拌ミルのベッセル内壁、回転撹拌部表面、その他接液部が、樹脂、ホウ化物、酸化物、窒化物、炭化物、超硬合金から選ばれた少なくとも1種で構成されていることが好ましい。
【0011】
上記本発明のホウ化物粒子の粉砕分散方法において、上記ビーズ、及び/又は上記媒体撹拌ミルのベッセル内壁、回転撹拌部表面、その他接液部は、これらを構成する酸化物がZrO2、Y2O3、SiO2、Al2O3から選ばれた少なくとも1種であること、また窒化物がSi3N4であること、また炭化物がSiCであることが更に好ましい。
【0012】
また、上記ビーズ、及び/又は上記媒体撹拌ミルのベッセル内壁、回転撹拌部表面、その他接液部は、これらを構成するホウ化物が、ホウ化物粒子と同一種であるか、又は同一種のホウ化物を2重量%以上含むことが好ましい。更に、上記媒体撹拌ミルのベッセル内壁、回転撹拌部表面、その他接液部については、これらを構成する樹脂がナイロン、若しくはウレタンであることが好ましい。
【0013】
また、上記本発明のホウ化物粒子の粉砕分散方法において、前記ホウ化物粒子のスラリーは、更に分散剤を含むことができる。
【0014】
上記本発明のホウ化物粒子の粉砕分散方法において、前記ホウ化物粒子は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから選ばれた少なくとも1種の金属元素のホウ化物であることを特徴とする。また、この金属元素のホウ化物においては、金属元素(X)とホウ素(B)の元素比B/Xが4.0〜6.2であることが好ましい。
【0015】
本発明は、また、上記したいずれかの粉砕分散方法により得られたホウ化物粒子分散液を提供するものである。このホウ化物粒子分散液においては、ホウ化物粒子が不定形の粒子であり、その平均分散粒子直径が800nm以下であることが好ましい。
【0016】
上記本発明のホウ化物粒子分散液において、前記ビーズ、及び/又は前記媒体撹拌ミルのベッセル内壁、回転撹拌部表面、その他接液部を構成する材料の摩耗不純物重量(C)は、前記ホウ化物粒子の重量(W)に対する比C/Wで5未満であることが好ましい。
【0017】
更に、本発明は、上記したホウ化物粒子分散液又はそのホウ化物粒子を用いて形成された、日射遮蔽作用を有する光学材料を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明方法で用いる媒体撹拌ミルとは、球状のビーズと共に、被粉砕物である粉体のスラリーを粉砕容器(ベッセル)に投入し、強制的に撹拌させることにより、主にビーズのせん断応力を利用してスラリー中の粒子を粉砕、分散する装置である。その撹拌手段としては、ビーズのせん断応力がスラリーに効率よく伝達されるものであれば良く、その機構や形状は特に限定されない。
【0019】
一般的な媒体撹拌ミルとしては、円筒形のベッセルの中心に高速撹拌機能を持たせたローター等の回転撹拌部を備え、この回転撹拌部の高速回転によりスラリーとビーズの混合物を高速で撹拌する。効率よく高速撹拌するため、回転撹拌部の回転軸には垂直方向や平行方向に伸びた突起物を形成しても良く、またベッセル内壁に突起物を設けることもできる。また、その回転撹拌部の回転軸方向は限定されず、重力方向に対して垂直でも平行でも良く、その中間でも良い。
【0020】
また、比較的粉砕効率が良い媒体撹拌ミルとして、ベッセル内の撹拌回転部とベッセル内壁との間隔が狭いアニュラータイプの媒体撹拌ミルがある。一般に、媒体撹拌ミルのベッセル内でスラリーを撹拌する場合、遠心力でビーズが外周側に押しやられるため、実際に効率よく粉砕分散する部分はベッセル内壁部分である。ベッセル中心部分はビーズの回転スピードも遅く、またビーズ密度も低いので、粉砕効率が悪く、スラリーが長時間中心部付近に滞在しても殆ど粉砕されない。これに対して、アニュラータイプの媒体撹拌ミルは、中心部分へのスラリーの流入を無くし又は抑制して、最も効率の良いベッセル内壁部分にスラリーとビーズを充填させる構造のため、分散効率が良く、粒度分布幅を狭くする効果がある。
【0021】
このような媒体撹拌ミルにはバッチ式のタイプと連続式のタイプがあるが、粉砕分散させるスラリーの目的に合わせて選択可能である。特に連続式のタイプは量産に適しており、大量に処理するスラリーには適している。連続式の媒体撹拌ミルには、スラリーとビーズの分離機構が各種あり、使用するビーズの直径とスラリーの粒子径、スラリーの比重等によって分離機構が決定される。これらの機構には、一般的に、スリットで機械的に分離する方法、ビーズとスラリーの比重差を利用して遠心力で分離する方法、その両者を組み合わせた方法があるが、本発明ではいずれの分離方法を用いても良い。
【0022】
使用するビーズの大きさは特に重要であり、ビーズの直径が小さいほど、粉砕スピードが速く、且つ得られるホウ化物粒子の粒子径も小さくなる。ミクロンオーダーのホウ化物粒子を平均分散粒子直径800nm以下に粉砕するためには、直径が3mm以下のビーズを用いる必要がある。ビーズの直径が3mmを超えると、粉砕の効率も低下する。特に平均分散粒子直径200nm以下の微細なホウ化物粒子になるまで粉砕分散する場合には、好ましくは直径1mm以下、更に好ましくは直径0.3mm以下のビーズが良い。
【0023】
また、ビーズの材質としては、酸化物、窒化物、炭化物等のセラミックスの他、ホウ化物、超硬合金のいずれかを用いる。セラミックスのうち酸化物のビーズでは、ZrO2、Y2O3、SiO2、Al2O3の1種以上が好ましく、窒化物ではSi3N4及び炭化物ではSiCが好ましい。特に、ZrO2にY2O3やCaO等を添加して安定化させた安定化ジルコニアが好ましい。これらは比重が大きく、粉砕効率が高く、摩耗が少ないうえ、摩耗した粒子も透明であるため、粉砕して得られるホウ化物粒子を光学的用途に使用するのに適している。
【0024】
また、ホウ化物からなるビーズは、被粉砕物である高硬度のホウ化物による摩耗を防ぎ、不純物の混入を防ぐために特に有効である。ビーズを構成するホウ化物は、被粉砕物であるホウ化物粒子と同一種であることが好ましいが、同一種のホウ化物を2重量%以上含むものでも良い。更に、耐摩耗性の高いWC等の超硬合金からなるビーズも使用できる。尚、ガラスビーズのように比重の軽いビーズは、高硬度なホウ化物の粉砕には適さない。
【0025】
一方、媒体撹拌ミルのベッセル内壁、回転撹拌部表面、その他接液部の材質については、特に限定されないが、被粉砕物であるホウ化物が高硬度であるため、耐摩耗性に優れた材質が好ましい。具体的には、上記したビーズの材質と同じ、即ち酸化物、窒化物、炭化物等のセラミックスの他、ホウ化物、超硬合金のいずれかを用いることができる。不純物の混入防止のためには、被粉砕物であるホウ化物粒子と同一の材料、例えば6ホウ化ランタンを粉砕分散する場合には、ベッセル内壁等を同じ6ホウ化ランタンで作製することが好ましい。また、耐摩耗性の高い超硬金属や、表面にWCを焼き付けた金属を用いることもできる。
【0026】
特に、ベッセル内壁や回転撹拌部表面の材質として、樹脂を使用することが有効である。樹脂は靭性を備えているため、ホウ化物のような高硬度の粒子スラリーによる摩耗が少ない。具体的には、ナイロン系やウレタン系の樹脂が好ましい。しかし、ウレタン系の樹脂は有機溶剤によって膨潤するため、有機溶剤系スラリーでは使用できず、水系のスラリーに限られる。一方、ナイロン系の樹脂は化学的に安定であるため、有機溶剤系のスラリーでも使用することができる。特に、大気圧下でナイロンモノマーを重合させた高重合ナイロンは、摩耗が少なく、各種の有機溶剤に対して安定なため好ましい材質と言える。
【0027】
本発明方法における被粉砕物であるホウ化物粒子は、従来一般的なミクロンオーダーの大きさの粒子である。また、ホウ化物の種類は、特に限定されるものではないが、日射遮蔽材としての用途には、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sr、Caから選ばれた少なくとも1種の金属元素のホウ化物が好適である。
【0028】
これらのホウ化物におけるホウ素(B)量は、上記金属元素(X)に対する元素比B/Xで3〜20とすることが好ましい。特に、日射遮蔽材のような光学用途に用いて、波長1000nm付近の近赤外線の透過率を選択的に効率良く低下させるには、元素比B/Xが4.0〜6.2の範囲が更に好ましく、B/Xが6のホウ化物が最も好ましい。
【0029】
ホウ化物に混合してスラリーを形成するための溶媒としては、処理後に得られる分散液の使用目的に応じて各種のものが使用でき、例えば、各種アルコールやトルエン、ケトン類等を用いることができる。また、スラリーの濃度は、希薄すぎても粉砕効率が悪く、高すぎると粉砕分散が困難になるため、全スラリーに対する重量割合で2〜70%程度が好ましい。
【0030】
媒体撹拌ミルによる粉砕分散処理の過程で、粒子の再凝集等による分散阻害を防止するため、各種分散剤を使用することが好ましい。分散剤としては、分子構造中にアルコキシド基を持つ化合物、アミノ基を持つ化合物、各種界面活性剤等が使用可能である。これらの分散剤は、粉砕分散されたホウ化物粒子の表面に吸着し、構造障害若しくは静電気的な反発力を利用して、粒子の再凝集を防止することができる。
【0031】
媒体撹拌ミルにおけるローター等の回転撹拌部の回転速度は、ミルの構造やスラリーの種類等によって適宜選定する。一般的なミルの回転速度は6〜20m/秒であるが、回転速度が速いほど粉砕及び分散の速度が早く、より効率的なスラリー製造が可能となる。
【0032】
このような媒体撹拌ミルを用いた本発明方法によれば、ミクロンオーダーのホウ化物粒子を含むスラリーを粉砕分散して、平均分散粒子径が800nm以下のホウ化物粒子の分散液を得ることができる。また、得られるホウ化物粒子の形状は、必ずしも球形ではなく、その殆どが不定形の粒子である。
【0033】
得られるホウ化物粒子の用途が透明性を保持した光学材料である場合には、800nm以下の粒子径とすることが必要である。800nmを超える大きさの粒子では、光を完全に遮蔽するため、透明性を保持できず、可視光線領域の視認性を保持することが難しい。特に、可視光領域の透明性を重視する場合には、ホウ化物粒子の平均分散粒子径を好ましくは200nm以下、更に好ましくは100nm以下とする。
【0034】
ホウ化物粒子の粒子径が200nmよりも大きいと、幾何学散乱又はミー散乱によって、400nm〜780nmの可視光線領域の光を散乱して曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られない。粒子径が200nm以下になると、上記散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、粒子径の減少に伴い散乱が低減して透明性が向上する。更に、粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり、より一層優れた透明性が得られる。
【0035】
上記粉砕分散方法により得られたホウ化物粒子分散液には、ビーズ及び媒体撹拌ミルのベッセル内壁、回転撹拌部表面、その他接液部を構成する材料が粉砕分散中に摩耗され、不純物として混在する場合がある。その場合、ビーズ及び媒体撹拌ミルのベッセル内壁、回転撹拌部表面、その他接液部を構成する材料の分散液中における摩耗不純物重量(C)は、ホウ化物粒子の重量(W)に対する比C/Wで5未満であることが好ましい。この比C/Wが5以上になると、そのホウ化物粒子分散液を用いて作製された膜の曇り(ヘイズ)が大きくなる場合があるため好ましくない。
【0036】
また、上記ごとく得られた分散液又はその800nm以下の平均分散粒子径のホウ化物を用いることにより、日射遮蔽作用を有する光学材料を作製することができる。例えば、上記分散液、若しくは必要に応じて更に有機又は無機バインダー等を添加した塗布液を、ガラス板、樹脂フィルム、樹脂ボード等の基材表面に塗布し、溶媒を蒸発させることによって、日射遮蔽膜を備えた光学材料が得られる。
【0037】
尚、無機バインダーとしては、Si、Ti、Zr、Al、Sn、Inから選ばれた少なくとも1種の化合物、例えばアルコキシド、その加水分解重合物、硝酸塩又は塩化物、若しくはこれらの酸化物超微粒子コロイド等を使用するができる。また、有機バインダーとしては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂のような有機樹脂や、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ビニル系粘着剤、シリコン系粘着剤等の各種粘着剤等を用いることができる。バインダーの硬化方法は、バインダーの種類に合わせて選択すればよく、紫外線硬化、熱硬化、常温硬化等を用いることができる。
【0038】
【実施例】
実施例1
粒子径1〜3μmのLaB6粉末13重量部と、分散剤5重量部と、トルエン82重量部を撹拌混合し、3kgのスラリーを作製した。このスラリーをビーズと共に媒体撹拌ミルに投入し、スラリーを循環させて粉砕分散処理を行った。
【0039】
使用した媒体撹拌ミルは横型円筒形のアニュラータイプであり、ベッセル内壁とローター(回転撹拌部)の材質はZrO2とした。ビーズには、直径0.3mmのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)製のビーズを使用した。ローターの回転速度は12m/秒とし、スラリー流量1kg/分にて、12時間の循環処理を行った。
【0040】
得られた分散液中のホウ化物粒子は、平均分散粒子径が約110nmであり、沈殿せず安定なスラリーが得られた。また、ローターの摩耗量は、重量比で0.62%減少していた。尚、平均分散粒子径は、動的光散乱法を用いた測定装置(ELS−8000:大塚電子株式会社製)により測定した平均値である(以下の実施例及び比較例も同じ)。
【0041】
実施例2
上記実施例1と同じLaB6粉末のスラリーを、横型円筒形のアニュラータイプの媒体撹拌ミルを用いて処理したが、ベッセル内壁及びローターの材質はナイロン(MCナイロン:日本ポリペンコ株式会社製)とした。ビーズは実施例1と同じく、直径0.3mmのイットリア安定化ジルコニア(YSZ)製のビーズを使用した。ローターの回転速度は12m/秒とし、スラリー流量を1kg/分として、12時間の循環処理を行った。
【0042】
得られた分散液中のホウ化物粒子は、平均分散粒子径が約110nmであり、沈殿せず安定なスラリーが得られた。また、ローターの摩耗量は、重量比で0.12%減少していた。ベッセル内壁及びローターの材質としてナイロンを使用することにより、ZrO2製の上記実施例1と比較して、ローター等の摩耗量を減少させることができた。
【0043】
実施例3
上記実施例1と同じLaB6粉末のスラリーを、横型円筒形のアニュラータイプの媒体撹拌ミルを用いて処理した。媒体撹拌ミルのベッセル内壁及びローターの材質はMCナイロンとし、ビーズは直径0.3mmのYSZビーズを使用した。ローターの回転速度は15m/秒とした。スラリー流量は1kg/分とし、スラリーを循環させ12時間循環処理をした。
【0044】
その結果、得られた分散液中のホウ化物粒子は、平均分散粒子径が約80nmであり、沈殿せず安定なスラリーが得られた。また、ローターの摩耗量は重量比で0.14%減少していた。このように、ローターの回転速度を早くすることにより、分散効率が向上し、同じ処理時間でも平均分散粒子径を更に小さくすることが可能であった。
【0045】
また、この分散液を透過型電子顕微鏡で観察したところ、実際観察されたホウ化物粒子の粒子径は殆どが5〜30nm程度であった。この電子顕微鏡写真を図1に示す。このように、媒体撹拌ミルを使用してホウ化物粒子を処理することで、粒径が数nm〜数十nmの微細粒子に粉砕分散できることが分かった。
【0046】
比較例1
上記実施例1と同じLaB6粉末(粒子径1〜3μm)のスラリーについて、粉砕機としてジェットミルを使用し、乾式粉砕法による粉砕処理を12時間実施した。その際、ジェットミル内壁の材質は特に考慮せずに使用した。
【0047】
その結果、得られたホウ化物粒子の平均分散粒子径は約1.2μmであり、ナノオーダーの微細化は困難であった。また、粉砕粉の化学分析を行ったところ、不純物であるFeの増加が認められた。
【0048】
比較例2
直径5mmのYSZ製ビーズを使用した以外は実施例1と同様の方法により、粒子径1〜3μmのLaB6粉末の粉砕分散処理を行った。処理時間160時間としたとき、得られた分散液中のホウ化物粒子は平均分散粒子径が約820nmであった。実施例1と比較して、10倍以上の処理時間であるにもかかわらず、平均分散粒子径は約8倍の大きさであった。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、固相反応法等により得られたLa等のミクロンオーダーのホウ化物粉末を、ジェットミルのような大きな動力と大掛かりな装置を必要とする乾式粉砕法によらずに、比較的簡単且つ経済的に、粒径800nm以下にまで粉砕して微細化することができる。また、本発明により得られるホウ化物粒子は800nm以下の粒径となるため、その粒子又は分散液を用いて、透明性に優れた日射遮蔽材等の光学材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例3により得られたホウ化物粒子の電子顕微鏡写真である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for efficiently pulverizing and dispersing a hard boride into fine particles, and a boride particle dispersion obtained by the method.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a boride powder of a rare earth element such as La is synthesized by a solid-phase reaction method and then pulverized by a dry pulverization method. In particular, the powders are separated by a high-speed airflow of a jet mill or the like (see Patent Document 1). A method of crushing by collision is common. For example, lanthanum hexaboride is obtained by heating lanthanum oxide and boron oxide to a high temperature in the presence of carbon, and then pulverized by a dry pulverizer.
[0003]
These boride powders have been conventionally used for thick film resistance pastes and the like, and when made into fine particles, can be used as an optical material for shielding sunlight. That is, the film in which boride particles are dispersed is capable of transmitting visible light and efficiently shielding near infrared rays acting as heat energy, and thus is suitable as a solar shading material applied to windows of houses and automobiles. It is known that there is (see Patent Documents 2 and 3).
[0004]
However, since boride of a rare earth element such as La is hard, it is difficult to finely pulverize it by a dry pulverization method using a jet mill or the like, and only relatively large particles having a minimum particle diameter of about 1 to 3 μm can be obtained. There was a problem. Further, it was difficult to suppress re-aggregation of boride particles obtained by the dry grinding method.
[0005]
Further, in a dry pulverizer such as a jet mill, a large amount of high-speed airflow is used, so that a large power is required, and there is a problem that the device and the powder collecting device are also large. Further, when the hard boride is to be finely pulverized, there is a problem that impurities are mixed into the boride powder due to wear of the dry pulverizer.
[0006]
[Patent Document 1]
JP 2001-314776 A [Patent Document 2]
JP 2000-096034 A [Patent Document 3]
JP-A-11-181336
[Problems to be solved by the invention]
In view of such a conventional situation, the present invention provides a micron-order boride powder obtained by a solid-phase reaction method or the like, in a relatively simple and economical manner, at a wavelength of 800 nm suitable for optical use such as a solar shading material. An object of the present invention is to provide a method for pulverizing and dispersing boride particles which can be reduced to the following particle size and can suppress reaggregation of particles. It is another object of the present invention to provide a boride particle dispersion obtained by the method, and an optical material such as a solar shading material formed using the dispersion or the boride particles.
[0008]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies on a method of pulverizing hard boride particles, the inventors have found that efficient pulverization is possible by using a medium stirring mill. Particularly, by selecting the size and material of the beads used in the medium diffusion mill, fine boride particles having a dispersed particle diameter of 800 nm or less, preferably 100 nm or less can be obtained from a general boride powder having a size on the order of microns. The present invention has been found, and the present invention has been accomplished.
[0009]
That is, the method for pulverizing and dispersing boride particles provided by the present invention is a method in which a slurry obtained by mixing micron-order boride particles with a solvent is mixed with at least one selected from oxides, nitrides, carbides, borides, and cemented carbides. The average dispersed particle diameter of boride particles is 800 nm or less, preferably by treating with a medium stirring mill using beads having a diameter of 3 mm or less composed of seeds, preferably 1 mm or less, more preferably 0.3 mm or less. Is characterized by being 200 nm or less.
[0010]
In the method for pulverizing and dispersing the boride particles of the present invention, the inner wall of the vessel of the medium stirring mill, the surface of the rotary stirring section, and other liquid contact parts are selected from resins, borides, oxides, nitrides, carbides, and cemented carbides. It is preferable that it is composed of at least one of the above.
[0011]
In the method for pulverizing and dispersing boride particles according to the present invention, the beads and / or the inner wall of the vessel of the medium stirring mill, the surface of the rotary stirring section, and other liquid contact parts are made of oxides of ZrO 2 and Y 2. More preferably, it is at least one selected from O 3 , SiO 2 , and Al 2 O 3 , the nitride is Si 3 N 4 , and the carbide is SiC.
[0012]
In addition, the beads and / or the inner wall of the vessel of the medium stirring mill, the surface of the rotary stirring section, and the other liquid contacting section may have the same boride as the boride particles or the same type of boride. It is preferable to contain 2% by weight or more of a compound. Further, with respect to the inner wall of the vessel of the medium stirring mill, the surface of the rotating stirrer, and other liquid contact parts, it is preferable that the resin constituting these is nylon or urethane.
[0013]
In the boride particle pulverization and dispersion method of the present invention, the boride particle slurry may further include a dispersant.
[0014]
In the method for pulverizing and dispersing boride particles according to the present invention, the boride particles may be Y, La, Ce, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu, Sr. , Ca is a boride of at least one metal element. Further, in the boride of this metal element, the element ratio B / X of the metal element (X) to boron (B) is preferably 4.0 to 6.2.
[0015]
The present invention also provides a boride particle dispersion obtained by any one of the above-mentioned pulverization and dispersion methods. In this boride particle dispersion, the boride particles are irregularly shaped particles, and the average dispersed particle diameter is preferably 800 nm or less.
[0016]
In the boride particle dispersion liquid according to the present invention, the weight of abrasion impurities (C) of the beads and / or the inner wall of the vessel of the medium stirring mill, the surface of the rotary stirring section, and other materials constituting the liquid contact section is the boride. The ratio C / W to the weight (W) of the particles is preferably less than 5.
[0017]
Further, the present invention provides an optical material having a solar shading effect, formed using the above-mentioned boride particle dispersion or the boride particles.
[0018]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
The medium agitating mill used in the method of the present invention is a method in which, together with spherical beads, a slurry of a powder to be pulverized is charged into a pulverizing vessel (vessel) and forcedly stirred to mainly reduce the shear stress of the beads. It is a device that uses the powder to pulverize and disperse the particles in the slurry. The stirring means may be any as long as the shear stress of the beads can be efficiently transmitted to the slurry, and the mechanism and shape are not particularly limited.
[0019]
As a general medium stirring mill, a rotary stirrer such as a rotor having a high-speed stirring function is provided at the center of a cylindrical vessel, and the mixture of the slurry and the beads is stirred at a high speed by the high-speed rotation of the rotary stirrer. . For efficient high-speed stirring, a projection extending in the vertical or parallel direction may be formed on the rotation axis of the rotary stirring section, or a projection may be provided on the inner wall of the vessel. The direction of the rotation axis of the rotary stirring unit is not limited, and may be perpendicular or parallel to the direction of gravity, or may be intermediate.
[0020]
Further, as a medium stirring mill having relatively good pulverization efficiency, there is an annular type medium stirring mill in which a distance between a stirring rotation unit in a vessel and an inner wall of the vessel is narrow. Generally, when the slurry is stirred in the vessel of the medium stirring mill, the beads are pushed to the outer peripheral side by the centrifugal force, and therefore, the part that is actually efficiently pulverized and dispersed is the inner wall part of the vessel. Since the rotation speed of the beads is low and the bead density is low in the central portion of the vessel, the grinding efficiency is poor. Even if the slurry stays near the central portion for a long time, the slurry is hardly ground. On the other hand, the annular type medium stirring mill eliminates or suppresses the inflow of the slurry into the central portion, and has a structure in which the slurry and beads are filled in the most efficient vessel inner wall portion. This has the effect of narrowing the particle size distribution width.
[0021]
Such a medium stirring mill includes a batch type and a continuous type, and can be selected according to the purpose of the slurry to be pulverized and dispersed. In particular, the continuous type is suitable for mass production, and is suitable for a slurry to be processed in a large amount. There are various types of separation mechanisms for slurry and beads in a continuous medium stirring mill, and the separation mechanism is determined by the diameter of beads used, the particle size of the slurry, the specific gravity of the slurry, and the like. These mechanisms generally include a method of mechanical separation by a slit, a method of separation by centrifugal force using a specific gravity difference between beads and slurry, and a method of combining both. May be used.
[0022]
The size of the beads used is particularly important, the smaller the diameter of the beads, the faster the grinding speed and the smaller the size of the boride particles obtained. In order to pulverize boride particles of micron order to an average dispersed particle diameter of 800 nm or less, it is necessary to use beads having a diameter of 3 mm or less. If the diameter of the beads exceeds 3 mm, the efficiency of pulverization also decreases. In particular, when pulverized and dispersed until fine boride particles having an average dispersed particle diameter of 200 nm or less, beads having a diameter of preferably 1 mm or less, more preferably 0.3 mm or less are preferred.
[0023]
In addition, as a material of the beads, any one of a boride and a cemented carbide is used in addition to ceramics such as oxide, nitride and carbide. Among oxide ceramic beads, at least one of ZrO 2 , Y 2 O 3 , SiO 2 , and Al 2 O 3 is preferable. For nitride, Si 3 N 4 is preferable, and for carbide, SiC is preferable. In particular, stabilized zirconia stabilized by addition of Y 2 O 3 and CaO, etc. ZrO 2 are preferred. These have high specific gravity, high grinding efficiency, low abrasion, and transparent abraded particles, so that boride particles obtained by grinding are suitable for use in optical applications.
[0024]
Further, beads made of a boride are particularly effective for preventing abrasion caused by a high-hardness boride to be crushed and for preventing impurities from being mixed. The boride constituting the beads is preferably of the same kind as the boride particles to be ground, but may contain boride of the same kind in an amount of 2% by weight or more. Further, beads made of cemented carbide such as WC having high wear resistance can be used. Note that beads having a low specific gravity, such as glass beads, are not suitable for pulverizing a high-hardness boride.
[0025]
On the other hand, the material of the inner wall of the vessel of the medium agitating mill, the surface of the rotating agitating section, and other liquid contacting parts are not particularly limited, but since the boride to be pulverized has high hardness, a material having excellent wear resistance is used. preferable. Specifically, any of the same materials as the above-mentioned beads, that is, ceramics such as oxides, nitrides and carbides, borides and cemented carbides can be used. When the same material as the boride particles to be pulverized, for example, lanthanum hexaboride is pulverized and dispersed in order to prevent contamination of impurities, it is preferable that the inner wall of the vessel and the like be made of the same lanthanum hexaboride. . Further, a super hard metal having high wear resistance or a metal whose surface is baked with WC can also be used.
[0026]
In particular, it is effective to use a resin as the material of the inner wall of the vessel and the surface of the rotary stirring section. Since the resin has toughness, abrasion by high-hardness particle slurry such as boride is small. Specifically, a nylon-based or urethane-based resin is preferable. However, since urethane-based resins swell with an organic solvent, they cannot be used in organic solvent-based slurries and are limited to aqueous slurries. On the other hand, nylon-based resins are chemically stable, so that organic solvent-based slurries can be used. In particular, highly polymerized nylon obtained by polymerizing a nylon monomer under atmospheric pressure is a preferable material because it has little wear and is stable to various organic solvents.
[0027]
The boride particles to be pulverized in the method of the present invention are particles generally having a size on the order of microns in the related art. Further, the type of boride is not particularly limited, but for use as a solar shading material, Y, La, Ce, Pr, Nd, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, A boride of at least one metal element selected from Tm, Yb, Lu, Sr, and Ca is preferable.
[0028]
The amount of boron (B) in these borides is preferably 3 to 20 in the element ratio B / X to the metal element (X). In particular, in order to selectively and efficiently lower the transmittance of near-infrared light near a wavelength of 1000 nm for optical applications such as solar shading materials, the element ratio B / X must be in the range of 4.0 to 6.2. Further preferred is a boride having a B / X of 6 is most preferred.
[0029]
As the solvent for mixing with the boride to form a slurry, various solvents can be used depending on the use purpose of the dispersion obtained after the treatment, and for example, various alcohols, toluene, ketones, and the like can be used. . In addition, the concentration of the slurry is too low, the pulverization efficiency is poor, and if it is too high, the pulverization and dispersion become difficult.
[0030]
It is preferable to use various dispersants in order to prevent dispersion inhibition due to reagglomeration of the particles in the course of the pulverization and dispersion treatment by the medium stirring mill. As the dispersant, a compound having an alkoxide group in a molecular structure, a compound having an amino group, various surfactants and the like can be used. These dispersants are adsorbed on the surface of the pulverized and dispersed boride particles, and can prevent reaggregation of the particles by utilizing structural obstacles or electrostatic repulsion.
[0031]
The rotation speed of a rotary stirring unit such as a rotor in a medium stirring mill is appropriately selected depending on the structure of the mill, the type of slurry, and the like. The rotation speed of a general mill is 6 to 20 m / sec, but the higher the rotation speed, the faster the speed of pulverization and dispersion, and more efficient slurry production becomes possible.
[0032]
According to the method of the present invention using such a medium stirring mill, a slurry containing boride particles on the order of microns can be pulverized and dispersed to obtain a dispersion of boride particles having an average dispersed particle diameter of 800 nm or less. . Further, the shape of the obtained boride particles is not necessarily spherical, but most of them are irregular particles.
[0033]
When the application of the obtained boride particles is an optical material maintaining transparency, it is necessary to set the particle diameter to 800 nm or less. Particles having a size exceeding 800 nm completely block light, and therefore cannot maintain transparency, and it is difficult to maintain visibility in the visible light region. In particular, when importance is placed on transparency in the visible light region, the average dispersed particle diameter of the boride particles is preferably 200 nm or less, more preferably 100 nm or less.
[0034]
If the particle size of the boride particles is larger than 200 nm, light in the visible light region of 400 nm to 780 nm is scattered by geometrical scattering or Mie scattering to form a cloudy glass, and clear transparency cannot be obtained. When the particle diameter is 200 nm or less, the above-mentioned scattering is reduced, and the region becomes a Rayleigh scattering region. In the Rayleigh scattering region, the scattered light is reduced in inverse proportion to the sixth power of the particle diameter, so that the scattering is reduced and the transparency is improved as the particle diameter decreases. Further, when the particle diameter is 100 nm or less, the scattered light becomes very small, and more excellent transparency can be obtained.
[0035]
In the boride particle dispersion obtained by the above-mentioned pulverization and dispersion method, the materials constituting the beads and the inner wall of the vessel of the medium stirring mill, the surface of the rotary stirring section, and other liquid contact parts are worn out during the pulverization and dispersion, and are mixed as impurities. There are cases. In this case, the weight of the wear impurities (C) in the dispersion of the beads and the inner wall of the vessel of the medium stirring mill, the surface of the rotary stirring section, and other materials that make up the liquid contact part is expressed by the ratio C / C to the weight (W) of the boride particles. Preferably, W is less than 5. When the ratio C / W is 5 or more, the haze of a film produced using the boride particle dispersion liquid is undesirably increased.
[0036]
Further, by using the dispersion obtained as described above or a boride having an average dispersion particle diameter of 800 nm or less, an optical material having a solar radiation blocking effect can be produced. For example, the above-mentioned dispersion liquid, or a coating liquid to which an organic or inorganic binder or the like is further added, if necessary, is applied to the surface of a base material such as a glass plate, a resin film, and a resin board, and the solvent is evaporated, thereby shielding the solar radiation. An optical material with a film is obtained.
[0037]
As the inorganic binder, at least one compound selected from the group consisting of Si, Ti, Zr, Al, Sn and In, for example, alkoxides, hydrolyzed polymers thereof, nitrates or chlorides, or ultrafine colloids of these oxides Etc. can be used. Examples of the organic binder include organic resins such as acrylic resins, urethane resins, epoxy resins, and fluororesins, and various adhesives such as rubber-based adhesives, acrylic-based adhesives, vinyl-based adhesives, and silicone-based adhesives. Can be used. The method of curing the binder may be selected according to the type of the binder, and ultraviolet curing, heat curing, room temperature curing, or the like can be used.
[0038]
【Example】
Example 1
And LaB 6 powder 13 parts by weight of the particle diameter 1 to 3 [mu] m, a dispersing agent 5 parts by weight, were mixed by stirring 82 parts by weight of toluene to prepare a 3kg slurry. This slurry was put into a medium stirring mill together with the beads, and the slurry was circulated to perform a pulverization / dispersion treatment.
[0039]
The medium stirring mill used was a horizontal cylindrical annular type, and the material of the inner wall of the vessel and the rotor (rotary stirring section) was ZrO 2 . As the beads, beads made of yttria-stabilized zirconia (YSZ) having a diameter of 0.3 mm were used. The rotation speed of the rotor was 12 m / sec, and the circulation treatment was performed at a slurry flow rate of 1 kg / min for 12 hours.
[0040]
The boride particles in the obtained dispersion had an average dispersed particle diameter of about 110 nm, and a stable slurry without precipitation was obtained. Further, the wear amount of the rotor was reduced by 0.62% by weight. The average dispersed particle diameter is an average value measured by a measuring device using a dynamic light scattering method (ELS-8000: manufactured by Otsuka Electronics Co., Ltd.) (the same applies to the following Examples and Comparative Examples).
[0041]
Example 2
The same slurry of LaB 6 powder as in Example 1 above was treated using a horizontal cylindrical annular-type medium stirring mill, and the material of the inner wall of the vessel and the rotor was nylon (MC nylon: manufactured by Nippon Polypenco). . As in Example 1, beads made of yttria-stabilized zirconia (YSZ) having a diameter of 0.3 mm were used. The circulation process was performed for 12 hours at a rotor rotation speed of 12 m / sec and a slurry flow rate of 1 kg / min.
[0042]
The boride particles in the obtained dispersion had an average dispersed particle diameter of about 110 nm, and a stable slurry without precipitation was obtained. Further, the wear amount of the rotor was reduced by 0.12% by weight. By using nylon as the material of the inner wall of the vessel and the rotor, the abrasion amount of the rotor and the like could be reduced as compared with Example 1 made of ZrO 2 .
[0043]
Example 3
The same slurry of LaB 6 powder as in Example 1 above was treated using a horizontal cylindrical annular-type medium stirring mill. The material of the inner wall of the vessel and the rotor of the medium stirring mill was MC nylon, and the beads used were YSZ beads having a diameter of 0.3 mm. The rotation speed of the rotor was 15 m / sec. The slurry flow rate was 1 kg / min, and the slurry was circulated and circulated for 12 hours.
[0044]
As a result, the boride particles in the obtained dispersion had an average dispersed particle diameter of about 80 nm, and a stable slurry without precipitation was obtained. The wear amount of the rotor was reduced by 0.14% by weight. Thus, by increasing the rotation speed of the rotor, the dispersion efficiency was improved, and it was possible to further reduce the average dispersed particle diameter even during the same processing time.
[0045]
Further, when this dispersion was observed with a transmission electron microscope, the particle size of the boride particles actually observed was almost 5 to 30 nm. The electron micrograph is shown in FIG. As described above, it was found that by treating the boride particles using a medium stirring mill, the boride particles can be pulverized and dispersed into fine particles having a particle size of several nm to several tens nm.
[0046]
Comparative Example 1
The slurry of Example 1 and the same LaB 6 powder (particle size 1 to 3 [mu] m), using a jet mill as a grinder, and the pulverized by dry pulverization method was performed 12 hours. At that time, the material of the inner wall of the jet mill was used without particular consideration.
[0047]
As a result, the average dispersion particle diameter of the obtained boride particles was about 1.2 μm, and it was difficult to achieve nano-order fineness. Further, when chemical analysis of the pulverized powder was performed, an increase in Fe as an impurity was observed.
[0048]
Comparative Example 2
A LaB 6 powder having a particle diameter of 1 to 3 μm was subjected to pulverization and dispersion treatment in the same manner as in Example 1 except that YSZ beads having a diameter of 5 mm were used. When the treatment time was 160 hours, the boride particles in the obtained dispersion had an average dispersed particle size of about 820 nm. Compared to Example 1, the average dispersed particle diameter was about 8 times larger than the processing time of 10 times or more.
[0049]
【The invention's effect】
According to the present invention, micron-order boride powders such as La obtained by a solid-phase reaction method or the like can be compared without using a dry milling method requiring a large power and a large-scale apparatus such as a jet mill. It can be easily and economically pulverized to a particle size of 800 nm or less to make it finer. Further, since the boride particles obtained by the present invention have a particle size of 800 nm or less, an optical material having excellent transparency such as a solar shading material can be provided using the particles or the dispersion.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an electron micrograph of boride particles obtained according to Example 3 of the present invention.