JP2004236789A - 自動消火装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】天ぷら火災等を自動的かつ的確に消火できる簡易な構成の自動消火装置を提供する。
【解決手段】レンジ近傍の壁の適所に設置されるハウジングに、可燃性素材の中空体に消火剤を充填して形成された消火剤充填部材の、下端に開口を有する収容部を設ける。前面上部に熱感知機構を設ける。熱感知機構に連動して落下する重り部材と重り部材受部を設ける。重り部材の落下に伴って重り部材と係合可能に形成された舌片を、収容部の開口を閉鎖可能に上下方向に回動可能に取り付ける。舌片を保持する保持手段と、舌片が下方に回動したときに所定角度で係止させる係止手段を設ける。熱感知機構によって異常な火炎による熱が感知されると、重り部材が落下して舌片と係合し、保持手段が解除され、舌片が下方に回動して所定角度で係止される。形成された斜面を消火剤充填部材が転がり落ちる。
【選択図】 図3
【解決手段】レンジ近傍の壁の適所に設置されるハウジングに、可燃性素材の中空体に消火剤を充填して形成された消火剤充填部材の、下端に開口を有する収容部を設ける。前面上部に熱感知機構を設ける。熱感知機構に連動して落下する重り部材と重り部材受部を設ける。重り部材の落下に伴って重り部材と係合可能に形成された舌片を、収容部の開口を閉鎖可能に上下方向に回動可能に取り付ける。舌片を保持する保持手段と、舌片が下方に回動したときに所定角度で係止させる係止手段を設ける。熱感知機構によって異常な火炎による熱が感知されると、重り部材が落下して舌片と係合し、保持手段が解除され、舌片が下方に回動して所定角度で係止される。形成された斜面を消火剤充填部材が転がり落ちる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動消火装置に係り、特に家庭用のレンジで天ぷら火災等が発生した場合に自動的に消火し、或いは初期消火を補助することのできる自動消火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家庭用レンジで天ぷら火災等が発生した場合に自動的に消火する方法としては、電力を利用したものが多く、電源を必要とし、かつ構成が複雑である。また、いずれも噴射ノズルから消火剤を噴射する方式なので、通常の手動式消火器同様に消火剤が散乱し、或いは天ぷら油等が飛び散って周辺を汚してしまうという欠点があった(特許文献1及び2参照)。
【0003】
電力を使用しない自動消火器としては、天井から懸吊する支線を繋いだ消火剤入り袋を二つに開く容器に納め、針金で天井に保持拘束し、拘束手段にテグスを併用し、にぎり部に形状記憶合金を架けた鋏の刃をテグス仕掛けし、該可燃容器を天井に拘束し温度が常温から上昇すると形状記憶合金の応力で鋏がテグスを切断し容器が開き、消火剤入り袋が直下の発火点上に降下懸吊され、火炎熱で袋が開き消火剤が散布され消火する天井に取り付ける自動消火器が提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
実開昭63−174858号公報
【特許文献2】
特開平6−254175号公報
【特許文献3】
実開平8−161号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記実開平8−161号公報に示される自動消火器は、天井に取り付ける構成なので、最近のシステムキッチン等で汎用されているレンジフードが設けられている場合には不向きである。また、各種機能部材が露出して設けられているので、油等で汚れて硬化してしまう可能性があり、その場合には、消火剤入り袋を収納した容器が開かないことも想定される。さらに、実際の天ぷら火災等の場合には、火炎によって煽られてしまい、消火剤入り袋が天ぷら鍋等の発火点上に的確に降下懸吊されないことも考えられる。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために提案されたもので、その目的は、電力を使用しない簡単な構成であり、的確に天ぷら火災等を消火でき、かつ消火後に周辺を汚すことのない自動消火装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の自動消火装置は、可燃性素材の中空体に消火剤を充填して形成された消火剤充填部材を収容可能な、下端に開口を有する収容部を備え、レンジ近傍の壁の適所に設置されるハウジングと、
このハウジングの前面上部に設けられた熱感知機構と、
この熱感知機構に連動して、前記ハウジング内の前記収容部とは異なる空間を落下する重り部材と、
この重り部材を受けるための重り部材受部と、
底部及び側部を有する断面略コ字状の舌片であって、前記重り部材の落下に伴って該重り部材と係合可能に形成され、かつ前記収容部の前記開口を閉鎖可能に該収容部の下方に上下方向に回動可能に取り付けられて、前記側部が前記ハウジング内に収容され、前記底部が前記ハウジングの前面の一部を構成する舌片と、
この舌片を前記ハウジングの前面の一部として保持する保持手段と、
前記舌片が下方に回動したときに該舌片を所定角度で係止させ、該舌片の前記底部によって、下方に傾斜する斜面を形成させる係止手段とを備え、
前記熱感知機構によって、異常な火炎による熱が感知されると、前記重り部材が落下し、該重り部材が前記舌片と係合することで、該舌片の前記保持手段が解除され、該舌片が下方に回動して前記係止手段によって所定角度で係止され、該舌片によって形成された下方に傾斜する斜面を、前記消火剤充填部材が転がり落ちることを特徴とする。
【0008】
ここで、「レンジ近傍の壁の適所」とは、天ぷら火災等によって本発明の自動消火装置の熱感知機構が適切に作動し、かつ舌片から転がり落ちる消火剤充填部材が天ぷら鍋等の中に的確に入るような位置を指す。
舌片が、「重り部材の落下に伴って該重り部材と係合可能」とは、重り部材が作動前の状態で保持されているときは、舌片と重り部材は係合せず、重り部材が落下すると、係合するようになることを意味する。例えば、舌片の側部及び/又は底部が下方に向かうに従い、重り部材の落下空間に近づくような傾斜部を有するように舌片を形成することで達成することができる。
【0009】
「舌片をハウジングの前面の一部として保持する保持手段」は、「重り部材が舌片と係合すること」で解除される必要があり、例えば、マグネット等を利用することができる。
「舌片が下方に回動したときに該舌片を所定角度で係止させ、該舌片の底部によって、下方に傾斜する斜面を形成させる係止手段」としては、例えば、該舌片の底部が当接することで、所定角度で係止させるように、ハウジングの下端に適切な角度で突設された剛性部材を採用することができる。
【0010】
このように、電力を利用せずに重りの落下によって作動する構成なので、簡易であり、かつ電力が不要である。壁に設置する構成なので、天井に設置する場合に比し、取り付け及び/又は取り外し、掃除等がし易く便利である。消火剤充填部材、重り部材等がハウジング内に収容される構成なので、これら各部材を油汚れ等から保護することができる。また、舌片の底部によって形成される斜面を消火剤充填部材が転がり落ちる構成であり、かつ舌片に側部が設けられているので、消火剤充填部材が適切に案内されて的確に天ぷら鍋等の中に入る。また、消火剤充填部材が天ぷら鍋内に落下する際に、火炎によって可燃性素材の中空体が燃えて消火剤が散布されるので、消火剤を噴射する場合と異なり、消火剤が散乱し、或いは天ぷら油等が飛び散って周辺を汚してしまうことがない。消火剤の使用期限が過ぎた場合には、消火剤充填部材を交換するだけでよく、維持管理が簡便である。なお、ハウジング上部に蓋体を設けると、各種機能部材をほこり等から保護することができ、さらに好適である。
【0011】
ここで、熱感知機構は、重り部材を落下させる機構であればいずれの構成でもよいが、請求項2に記載の構成とすることができる。すなわち、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動消火装置において、前記熱感知機構が、前記ハウジング前面を貫通して突設された筒体と、この筒体の中に挿通され、前記重り部材に連結される線状部材と、この線状部材に連結され、前記筒体の先端に係止可能な可燃性の熱感知体とで構成され、異常な火炎による熱で前記熱感知体が燃えることで、該熱感知体の前記筒体先端への係止状態が解除されることを特徴とする。
【0012】
ここで「筒体の先端に係止可能な可燃性の熱感知体」としては、筒体の内径より大きい外径を有し、重り部材を支えるのに十分な程度に剛性かつ可燃性の素材で形成された中空体、例えば、釣り用の浮きのようなものを採用することができる。
このような構成としたので、通常のときは、熱感知体が筒体の先端に係止され、線状部材で連結された重り部材が保持されている。そして、天ぷら火災のような異常な火炎による熱で熱感知体が燃えると、係止状態が解除され、線状部材に連結された重り部材が落下する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の自動消火装置において、前記筒体の下面の少なくとも一部に切り欠き部を有し、かつ前記線状部材が可燃性であることを特徴とする。このような構成にすると、熱感知体が燃える前又は燃えると同時に線状部材が燃え、ひいては連結されている重り部材が落下する。従って、重り部材の作動を促進し、かつ確実にすることができる。
【0014】
さらに、請求項4に記載のように、前記筒体を、ハウジング前面に対して水平よりも所定角度上向きに配設することができる。このような手段を講じると、重り部材が落下する際に、線状部材が筒体の下縁等に引っ掛かることなく、スムーズに重り部材が落下しうる。従って、本自動消火装置の作動を確実かつ迅速にすることができる。
【0015】
ここで、舌片の保持手段を解除し、舌片を下方に回動させて下方に傾斜する斜面を形成させるための、重り部材と舌片との係合は、いずれの手段によって達成してもよいが、請求項5に記載の構成とすることができる。すなわち、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動消火装置において、前記重り部材と前記舌片との係合が、該舌片の前記側部の上縁に該重り部材が当接することで達成されることを特徴とする。
【0016】
すなわち、舌片の側部が下方に向かうに従い、重り部材の落下空間に近づくような傾斜部を有するように舌片を形成することで、舌片の側部の上縁に重り部材を当接させることができる。このような構成によれば、舌片の側部上縁に、落下する重り部材が当接するので、重り部材の重さで舌片が下方に強く押し下げられ、ひいては舌片の保持手段が解除され、さらに舌片が下方に押し下げられる。なお、舌片の側部上縁の少なくとも重り部材が当接する部分にフランジを設け、重り部材が当接する面積を大きくすると、重り部材の効力が確実に発揮されるので好適である。
【0017】
また、請求項6に記載のように、前記重り部材と前記舌片との係合が、該重り部材に突部を設け、この突部が該舌片の底部に当接することで達成される構成とすることができる。
すなわち、舌片の底部が下方に向かうに従い、重り部材の落下空間に近づくような傾斜部を有するように舌片を形成することで、舌片の底部に重り部材の突部を当接させることができる。このような構成によれば、舌片の底部に、落下する重り部材の突部が当接するので、重り部材の重さで舌片が下方に強く押し下げられ、ひいては舌片の保持手段が解除され、さらに舌片が下方に押し下げられる。なお、この場合は、重り部材受部に、突部を係止可能な切り欠きを設けることにより、重り部材を確実に受けることができ、好適である。
【0018】
ここで、消火剤は、通常用いられているリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の適宜の消火剤を使用できるが、請求項7に記載の発明のように、ハロン又はその代替品を使用することができる。これら消火剤は消火効力が高いので、少量の薬剤及び/又は少数の消火剤充填部材で消火を達成することができる。また半永久的に使用できるので、消火剤充填部材の交換の手間を省くことができ、至便である。
【0019】
また、請求項8に記載の発明のように、前記ハウジングの外観を、果物又は野菜の形状又は絵柄に模して形成することができる。例えば、イチゴ、リンゴ、レモン、スイカ等の果物、又はトマト、ピーマン等の野菜を模して形成することができる。このような手段を講じると、意匠的に優れ、本自動消火装置の主な購買層である主婦の需要を喚起することができる。
【0020】
さらに、請求項9に記載の発明のように、消火剤充填部材を球形状又は円柱形状で形成することができる。このような手段を講じると、消火剤充填部材が転がり易く、消火を迅速に達成することができる。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動消火装置に使用可能な前記消火剤充填部材である。このように、消火剤充填部材自体を提供することで、一般の人でも容易に消火剤充填部材を適宜交換及び/又は補充することができ、本自動消火装置の維持管理が容易である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の自動消火装置の設置状態を示す側面図である。図2は、本発明の一実施形態の外観を示し、(A)が正面図、(B)が側面図である。図3は、その内部構造の説明図であり、(A)が蓋体を除いた平面図、(B)が側断面図である。本自動消火装置1は、レンジ30近傍の壁31の適所に設置されるハウジング2を備える。ハウジング2は、後述する消火剤充填部材20の収容部3を有する。この収容部3は、下端に開口3aを有して形成されている。なお、本実施形態では、ハウジング2は鋼製である。
【0023】
ハウジング2の前面上部には、熱感知機構4が設けられている。熱感知機構4は、ハウジング2の前面に貫通して突設された筒体5と、この筒体5の中を挿通され、後述する重り部材8に連結される線状部材6と、この線状部材6に連結された熱感知体7とで構成される。筒体5は、その下面に切り欠き部5aを有し、この部分では線状部材6が露出されている。また、筒体5は、図2(B)に示されるように、ハウジング2の前面に対して水平よりも角度α上向きに配設されている。これは、重り部材8が落下するときに線状部材6が筒体5の下縁5bに引っ掛かかることなく、迅速に作動させるためである。また、重り部材8の効果を高めることもできる。角度αとしては、例えば10°程度を採用することができる。なお、筒体5をハウジング2の前面に対して水平に配設してもよい。
【0024】
線状部材6は、可燃性の丈夫な素材で形成され、例えば、プラスチック製の細いチェーン、建築用のビニル製水糸等を使用することができる。線状部材6には、熱感知体7が連結されている。この熱感知体7は、重り部材8を支えるのに十分な程度に剛性かつ可燃性の素材で形成され、図3(A)に示されるように、筒体5の内径d1よりも大きい外径d2を有する中空体であり、筒体5の先端5cに係止されている。
【0025】
線状部材6には、重り部材8が連結されている。この重り部材8は、ハウジング2内の消火剤充填部材20の収容部3とは異なる空間2aを落下するように設けられている。そして、下方には、落下時に重り部材8を受けるための重り部材受部9が設けられている。
【0026】
ハウジング2の前面には、断面略コ字状の舌片10が配設されている。この舌片10は、底部11と側部12とを有して形成され、収容部3の開口3aを閉鎖可能に収容部3の下方に蝶番13を介して上下方向に回動可能に取り付けられ、通常は、底部11がハウジング2の前面の一部を構成している。そして、重り部材8が落下すると、側部12の上縁12a(図3及び図4(A)参照)に重り部材8が当接し、舌片10が下方に押し下げられる構成になっている。ここで、図4(B)に示されるように、側部12の上縁にフランジ12bを設けて重り部材8の当接する面積を広くすると、重り部材8の効果を高めることができる。
【0027】
図4に示されるように、舌片10の側部12の適所には、舌片10をハウジング2の前面の一部として保持するためのマグネット14が配設されている。このマグネット14が、請求項1に記載の保持手段に相当する。ハウジング2が鉄鋼以外の素材で形成されている場合は、ハウジング2の内面の対応箇所に鋼製部材を設けることにより(図示せず)、同様に機能させることができる。また、保持手段はマグネットに限定されず、重り部材8により舌片10が押下されることで解除されるいずれの構成でもよい。例えば、側部12の適所に窪み部を設け、かつハウジング2の内面の対応箇所にスプリングを設け、このスプリングの付勢力で舌片10を保持する構成とすることができる(図示せず)。
【0028】
そして、ハウジング2の下端には、舌片10を所定角度で係止させるための係止部材15が突設されている。所定角度は、図1に示されるように、本自動消火装置1が作動して舌片10が押下されたときに、消火剤充填部材20が転がり易く、かつ天ぷら鍋32の中に的確に入るような角度である。なお、この係止部材15が、請求項1に記載の係止手段に相当する。しかし、係止手段はこれに限定されない。なお、ハウジング2の上端には、蓋体16が開閉自在に設けられている。
【0029】
消火剤充填部材20は、図5に示されるような球形状(A)又は円柱形状(B)の可燃性の中空体に消火剤を充填して形成されている。消火剤としては、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等、通常消火剤として用いられている薬剤を使用できる。また、ハロン又はその代替品のような薬剤も使用できる。この場合は、消火能力が高いので、少量の薬剤及び/又は少数の消火剤充填部材20の使用で足りる。
【0030】
本自動消火装置1は、図1に示されるように、レンジ30近傍の壁31の適所、すなわち、作動されたときに消火剤充填部材20が天ぷら鍋32の中に的確に入るような位置に設置される。特に、レンジフード33の下方に設置すると、換気扇34の吸引力により、天ぷら鍋32から生じた火炎による熱を熱感知体7及び/又は線状部材6が感知し易くなり、より迅速に本自動消火装置1が作動するので好適である。
【0031】
このように設置された自動消火装置1は、以下のように作動する。
すなわち、天ぷら鍋等から生じた火炎の熱により熱感知体7及び/又は線状部材6が燃えると、重り部材8は支えがなくなるので、その自重により落下する。そして、重り部材8が舌片10の側部12の上縁12aに当接する。落下する重り部材8に舌片10が下方に強く押下されると同時に、マグネット14による保持が解除され、さらに舌片10が下方に傾斜する(図6参照)。それによって、消火剤充填部材20が下方に転がり、天ぷら鍋32の中に落下する。消火剤充填部材20を形成する中空体が燃えて中に充填されている消火剤が散布され、火炎が消火される。その間に、重り部材8は、重り部材受部9内に受けられる。なお、本自動消火装置と警報器を連動させ、或いは警報器を別途に設けると、火災の発生を家人に迅速に知らせることができ、好適である。
【0032】
なお、本実施形態で示した各構成は、本発明の範囲内で種々変更できるものであり、例えば、重り部材8と舌片10との係合は、図7に示されるような構成とすることができる。すなわち、重り部材8に凸部8aを設け、この凸部8aが舌片10の底部11と係合する構成とすることができる。この場合は、図7(B)に示されるように、重り部材受部9に、切り欠き部9aを設けて突部8aが合わされる構成とする。また、図8のように、重り部材8がさらにテーパ部8bを有する形状とすることもできる。この場合は、重り部材受部9は、図8(B)及び(C)に示されるように、凸部8a及びテーパ部8bに合わせる構成とする。
【0033】
また、図9に示されるように、例えばイチゴの絵柄を模して外観を形成することができ、意匠的に優れ、購買意欲を惹起することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動消火装置は、電力を使用しない簡単な構成である。また、消火剤充填部材を的確に火炎まで導くことができるので、天ぷら火災等を迅速かつ確実に消火することができる。さらに、消火剤充填部材が天ぷら鍋等内に落下する際に火炎によって可燃性素材の中空体が燃えて消火剤が散布されるので、消火剤を噴射する場合と異なり、消火剤が散乱し、或いは天ぷら油等が飛び散って周辺を汚してしまうことがない。また、適宜消火剤充填部材を交換又は補充すればよく、維持管理が簡便である。さらに、壁に設置する構成なので、取り付け及び/又は取り外しが容易であり、掃除等もし易く便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動消火装置の設置状態を示す側面図である。
【図2】本発明の自動消火装置の一実施形態の外観を示し、(A)が正面図、(B)が側面図である。
【図3】図2の自動消火装置の内部構造の説明図であり、(A)が蓋体を除いた平面図、(B)が側断面図である。
【図4】舌片の構造を説明するための斜視図であり、(A)が側部上縁にフランジのない場合、(B)が側部上縁にフランジを設けた場合を示す。
【図5】消火剤充填部材の形状を示す斜視図であり、(A)が球形状、(B)が円柱形状を示す。
【図6】図2の自動消火装置が作動した状態を示し、(A)が正面図、(B)が側面図である。
【図7】他実施形態の重り部材の説明図であり、(A)が重り部材の斜視図、(B)が重り部材受部を示す正面図、(C)が舌片との係合関係を示す側断面図である。
【図8】他実施形態の重り部材の説明図であり、(A)が重り部材の斜視図、(B)が重り部材受部を示す正面図、(C)が舌片との係合関係を示す側断面図である。
【図9】他実施形態の外観を示す正面図である。
【符号の説明】
1 自動消火装置
2 ハウジング
3 収容部
3a 開口
4 熱感知機構
5 筒体
5a 切り欠き部
6 線状部材
7 熱感知体
8 重り部材
8a 突部
9 重り部材受部
10 舌片
11 底部
12 側部
12a 側部の上縁
13 蝶番
14 マグネット
15 係止部材
20 消火剤充填部材
30 レンジ
31 壁
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動消火装置に係り、特に家庭用のレンジで天ぷら火災等が発生した場合に自動的に消火し、或いは初期消火を補助することのできる自動消火装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、家庭用レンジで天ぷら火災等が発生した場合に自動的に消火する方法としては、電力を利用したものが多く、電源を必要とし、かつ構成が複雑である。また、いずれも噴射ノズルから消火剤を噴射する方式なので、通常の手動式消火器同様に消火剤が散乱し、或いは天ぷら油等が飛び散って周辺を汚してしまうという欠点があった(特許文献1及び2参照)。
【0003】
電力を使用しない自動消火器としては、天井から懸吊する支線を繋いだ消火剤入り袋を二つに開く容器に納め、針金で天井に保持拘束し、拘束手段にテグスを併用し、にぎり部に形状記憶合金を架けた鋏の刃をテグス仕掛けし、該可燃容器を天井に拘束し温度が常温から上昇すると形状記憶合金の応力で鋏がテグスを切断し容器が開き、消火剤入り袋が直下の発火点上に降下懸吊され、火炎熱で袋が開き消火剤が散布され消火する天井に取り付ける自動消火器が提案されている(特許文献3参照)。
【0004】
【特許文献1】
実開昭63−174858号公報
【特許文献2】
特開平6−254175号公報
【特許文献3】
実開平8−161号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記実開平8−161号公報に示される自動消火器は、天井に取り付ける構成なので、最近のシステムキッチン等で汎用されているレンジフードが設けられている場合には不向きである。また、各種機能部材が露出して設けられているので、油等で汚れて硬化してしまう可能性があり、その場合には、消火剤入り袋を収納した容器が開かないことも想定される。さらに、実際の天ぷら火災等の場合には、火炎によって煽られてしまい、消火剤入り袋が天ぷら鍋等の発火点上に的確に降下懸吊されないことも考えられる。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するために提案されたもので、その目的は、電力を使用しない簡単な構成であり、的確に天ぷら火災等を消火でき、かつ消火後に周辺を汚すことのない自動消火装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の自動消火装置は、可燃性素材の中空体に消火剤を充填して形成された消火剤充填部材を収容可能な、下端に開口を有する収容部を備え、レンジ近傍の壁の適所に設置されるハウジングと、
このハウジングの前面上部に設けられた熱感知機構と、
この熱感知機構に連動して、前記ハウジング内の前記収容部とは異なる空間を落下する重り部材と、
この重り部材を受けるための重り部材受部と、
底部及び側部を有する断面略コ字状の舌片であって、前記重り部材の落下に伴って該重り部材と係合可能に形成され、かつ前記収容部の前記開口を閉鎖可能に該収容部の下方に上下方向に回動可能に取り付けられて、前記側部が前記ハウジング内に収容され、前記底部が前記ハウジングの前面の一部を構成する舌片と、
この舌片を前記ハウジングの前面の一部として保持する保持手段と、
前記舌片が下方に回動したときに該舌片を所定角度で係止させ、該舌片の前記底部によって、下方に傾斜する斜面を形成させる係止手段とを備え、
前記熱感知機構によって、異常な火炎による熱が感知されると、前記重り部材が落下し、該重り部材が前記舌片と係合することで、該舌片の前記保持手段が解除され、該舌片が下方に回動して前記係止手段によって所定角度で係止され、該舌片によって形成された下方に傾斜する斜面を、前記消火剤充填部材が転がり落ちることを特徴とする。
【0008】
ここで、「レンジ近傍の壁の適所」とは、天ぷら火災等によって本発明の自動消火装置の熱感知機構が適切に作動し、かつ舌片から転がり落ちる消火剤充填部材が天ぷら鍋等の中に的確に入るような位置を指す。
舌片が、「重り部材の落下に伴って該重り部材と係合可能」とは、重り部材が作動前の状態で保持されているときは、舌片と重り部材は係合せず、重り部材が落下すると、係合するようになることを意味する。例えば、舌片の側部及び/又は底部が下方に向かうに従い、重り部材の落下空間に近づくような傾斜部を有するように舌片を形成することで達成することができる。
【0009】
「舌片をハウジングの前面の一部として保持する保持手段」は、「重り部材が舌片と係合すること」で解除される必要があり、例えば、マグネット等を利用することができる。
「舌片が下方に回動したときに該舌片を所定角度で係止させ、該舌片の底部によって、下方に傾斜する斜面を形成させる係止手段」としては、例えば、該舌片の底部が当接することで、所定角度で係止させるように、ハウジングの下端に適切な角度で突設された剛性部材を採用することができる。
【0010】
このように、電力を利用せずに重りの落下によって作動する構成なので、簡易であり、かつ電力が不要である。壁に設置する構成なので、天井に設置する場合に比し、取り付け及び/又は取り外し、掃除等がし易く便利である。消火剤充填部材、重り部材等がハウジング内に収容される構成なので、これら各部材を油汚れ等から保護することができる。また、舌片の底部によって形成される斜面を消火剤充填部材が転がり落ちる構成であり、かつ舌片に側部が設けられているので、消火剤充填部材が適切に案内されて的確に天ぷら鍋等の中に入る。また、消火剤充填部材が天ぷら鍋内に落下する際に、火炎によって可燃性素材の中空体が燃えて消火剤が散布されるので、消火剤を噴射する場合と異なり、消火剤が散乱し、或いは天ぷら油等が飛び散って周辺を汚してしまうことがない。消火剤の使用期限が過ぎた場合には、消火剤充填部材を交換するだけでよく、維持管理が簡便である。なお、ハウジング上部に蓋体を設けると、各種機能部材をほこり等から保護することができ、さらに好適である。
【0011】
ここで、熱感知機構は、重り部材を落下させる機構であればいずれの構成でもよいが、請求項2に記載の構成とすることができる。すなわち、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動消火装置において、前記熱感知機構が、前記ハウジング前面を貫通して突設された筒体と、この筒体の中に挿通され、前記重り部材に連結される線状部材と、この線状部材に連結され、前記筒体の先端に係止可能な可燃性の熱感知体とで構成され、異常な火炎による熱で前記熱感知体が燃えることで、該熱感知体の前記筒体先端への係止状態が解除されることを特徴とする。
【0012】
ここで「筒体の先端に係止可能な可燃性の熱感知体」としては、筒体の内径より大きい外径を有し、重り部材を支えるのに十分な程度に剛性かつ可燃性の素材で形成された中空体、例えば、釣り用の浮きのようなものを採用することができる。
このような構成としたので、通常のときは、熱感知体が筒体の先端に係止され、線状部材で連結された重り部材が保持されている。そして、天ぷら火災のような異常な火炎による熱で熱感知体が燃えると、係止状態が解除され、線状部材に連結された重り部材が落下する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の自動消火装置において、前記筒体の下面の少なくとも一部に切り欠き部を有し、かつ前記線状部材が可燃性であることを特徴とする。このような構成にすると、熱感知体が燃える前又は燃えると同時に線状部材が燃え、ひいては連結されている重り部材が落下する。従って、重り部材の作動を促進し、かつ確実にすることができる。
【0014】
さらに、請求項4に記載のように、前記筒体を、ハウジング前面に対して水平よりも所定角度上向きに配設することができる。このような手段を講じると、重り部材が落下する際に、線状部材が筒体の下縁等に引っ掛かることなく、スムーズに重り部材が落下しうる。従って、本自動消火装置の作動を確実かつ迅速にすることができる。
【0015】
ここで、舌片の保持手段を解除し、舌片を下方に回動させて下方に傾斜する斜面を形成させるための、重り部材と舌片との係合は、いずれの手段によって達成してもよいが、請求項5に記載の構成とすることができる。すなわち、請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動消火装置において、前記重り部材と前記舌片との係合が、該舌片の前記側部の上縁に該重り部材が当接することで達成されることを特徴とする。
【0016】
すなわち、舌片の側部が下方に向かうに従い、重り部材の落下空間に近づくような傾斜部を有するように舌片を形成することで、舌片の側部の上縁に重り部材を当接させることができる。このような構成によれば、舌片の側部上縁に、落下する重り部材が当接するので、重り部材の重さで舌片が下方に強く押し下げられ、ひいては舌片の保持手段が解除され、さらに舌片が下方に押し下げられる。なお、舌片の側部上縁の少なくとも重り部材が当接する部分にフランジを設け、重り部材が当接する面積を大きくすると、重り部材の効力が確実に発揮されるので好適である。
【0017】
また、請求項6に記載のように、前記重り部材と前記舌片との係合が、該重り部材に突部を設け、この突部が該舌片の底部に当接することで達成される構成とすることができる。
すなわち、舌片の底部が下方に向かうに従い、重り部材の落下空間に近づくような傾斜部を有するように舌片を形成することで、舌片の底部に重り部材の突部を当接させることができる。このような構成によれば、舌片の底部に、落下する重り部材の突部が当接するので、重り部材の重さで舌片が下方に強く押し下げられ、ひいては舌片の保持手段が解除され、さらに舌片が下方に押し下げられる。なお、この場合は、重り部材受部に、突部を係止可能な切り欠きを設けることにより、重り部材を確実に受けることができ、好適である。
【0018】
ここで、消火剤は、通常用いられているリン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等の適宜の消火剤を使用できるが、請求項7に記載の発明のように、ハロン又はその代替品を使用することができる。これら消火剤は消火効力が高いので、少量の薬剤及び/又は少数の消火剤充填部材で消火を達成することができる。また半永久的に使用できるので、消火剤充填部材の交換の手間を省くことができ、至便である。
【0019】
また、請求項8に記載の発明のように、前記ハウジングの外観を、果物又は野菜の形状又は絵柄に模して形成することができる。例えば、イチゴ、リンゴ、レモン、スイカ等の果物、又はトマト、ピーマン等の野菜を模して形成することができる。このような手段を講じると、意匠的に優れ、本自動消火装置の主な購買層である主婦の需要を喚起することができる。
【0020】
さらに、請求項9に記載の発明のように、消火剤充填部材を球形状又は円柱形状で形成することができる。このような手段を講じると、消火剤充填部材が転がり易く、消火を迅速に達成することができる。
【0021】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動消火装置に使用可能な前記消火剤充填部材である。このように、消火剤充填部材自体を提供することで、一般の人でも容易に消火剤充填部材を適宜交換及び/又は補充することができ、本自動消火装置の維持管理が容易である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の自動消火装置の設置状態を示す側面図である。図2は、本発明の一実施形態の外観を示し、(A)が正面図、(B)が側面図である。図3は、その内部構造の説明図であり、(A)が蓋体を除いた平面図、(B)が側断面図である。本自動消火装置1は、レンジ30近傍の壁31の適所に設置されるハウジング2を備える。ハウジング2は、後述する消火剤充填部材20の収容部3を有する。この収容部3は、下端に開口3aを有して形成されている。なお、本実施形態では、ハウジング2は鋼製である。
【0023】
ハウジング2の前面上部には、熱感知機構4が設けられている。熱感知機構4は、ハウジング2の前面に貫通して突設された筒体5と、この筒体5の中を挿通され、後述する重り部材8に連結される線状部材6と、この線状部材6に連結された熱感知体7とで構成される。筒体5は、その下面に切り欠き部5aを有し、この部分では線状部材6が露出されている。また、筒体5は、図2(B)に示されるように、ハウジング2の前面に対して水平よりも角度α上向きに配設されている。これは、重り部材8が落下するときに線状部材6が筒体5の下縁5bに引っ掛かかることなく、迅速に作動させるためである。また、重り部材8の効果を高めることもできる。角度αとしては、例えば10°程度を採用することができる。なお、筒体5をハウジング2の前面に対して水平に配設してもよい。
【0024】
線状部材6は、可燃性の丈夫な素材で形成され、例えば、プラスチック製の細いチェーン、建築用のビニル製水糸等を使用することができる。線状部材6には、熱感知体7が連結されている。この熱感知体7は、重り部材8を支えるのに十分な程度に剛性かつ可燃性の素材で形成され、図3(A)に示されるように、筒体5の内径d1よりも大きい外径d2を有する中空体であり、筒体5の先端5cに係止されている。
【0025】
線状部材6には、重り部材8が連結されている。この重り部材8は、ハウジング2内の消火剤充填部材20の収容部3とは異なる空間2aを落下するように設けられている。そして、下方には、落下時に重り部材8を受けるための重り部材受部9が設けられている。
【0026】
ハウジング2の前面には、断面略コ字状の舌片10が配設されている。この舌片10は、底部11と側部12とを有して形成され、収容部3の開口3aを閉鎖可能に収容部3の下方に蝶番13を介して上下方向に回動可能に取り付けられ、通常は、底部11がハウジング2の前面の一部を構成している。そして、重り部材8が落下すると、側部12の上縁12a(図3及び図4(A)参照)に重り部材8が当接し、舌片10が下方に押し下げられる構成になっている。ここで、図4(B)に示されるように、側部12の上縁にフランジ12bを設けて重り部材8の当接する面積を広くすると、重り部材8の効果を高めることができる。
【0027】
図4に示されるように、舌片10の側部12の適所には、舌片10をハウジング2の前面の一部として保持するためのマグネット14が配設されている。このマグネット14が、請求項1に記載の保持手段に相当する。ハウジング2が鉄鋼以外の素材で形成されている場合は、ハウジング2の内面の対応箇所に鋼製部材を設けることにより(図示せず)、同様に機能させることができる。また、保持手段はマグネットに限定されず、重り部材8により舌片10が押下されることで解除されるいずれの構成でもよい。例えば、側部12の適所に窪み部を設け、かつハウジング2の内面の対応箇所にスプリングを設け、このスプリングの付勢力で舌片10を保持する構成とすることができる(図示せず)。
【0028】
そして、ハウジング2の下端には、舌片10を所定角度で係止させるための係止部材15が突設されている。所定角度は、図1に示されるように、本自動消火装置1が作動して舌片10が押下されたときに、消火剤充填部材20が転がり易く、かつ天ぷら鍋32の中に的確に入るような角度である。なお、この係止部材15が、請求項1に記載の係止手段に相当する。しかし、係止手段はこれに限定されない。なお、ハウジング2の上端には、蓋体16が開閉自在に設けられている。
【0029】
消火剤充填部材20は、図5に示されるような球形状(A)又は円柱形状(B)の可燃性の中空体に消火剤を充填して形成されている。消火剤としては、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム等、通常消火剤として用いられている薬剤を使用できる。また、ハロン又はその代替品のような薬剤も使用できる。この場合は、消火能力が高いので、少量の薬剤及び/又は少数の消火剤充填部材20の使用で足りる。
【0030】
本自動消火装置1は、図1に示されるように、レンジ30近傍の壁31の適所、すなわち、作動されたときに消火剤充填部材20が天ぷら鍋32の中に的確に入るような位置に設置される。特に、レンジフード33の下方に設置すると、換気扇34の吸引力により、天ぷら鍋32から生じた火炎による熱を熱感知体7及び/又は線状部材6が感知し易くなり、より迅速に本自動消火装置1が作動するので好適である。
【0031】
このように設置された自動消火装置1は、以下のように作動する。
すなわち、天ぷら鍋等から生じた火炎の熱により熱感知体7及び/又は線状部材6が燃えると、重り部材8は支えがなくなるので、その自重により落下する。そして、重り部材8が舌片10の側部12の上縁12aに当接する。落下する重り部材8に舌片10が下方に強く押下されると同時に、マグネット14による保持が解除され、さらに舌片10が下方に傾斜する(図6参照)。それによって、消火剤充填部材20が下方に転がり、天ぷら鍋32の中に落下する。消火剤充填部材20を形成する中空体が燃えて中に充填されている消火剤が散布され、火炎が消火される。その間に、重り部材8は、重り部材受部9内に受けられる。なお、本自動消火装置と警報器を連動させ、或いは警報器を別途に設けると、火災の発生を家人に迅速に知らせることができ、好適である。
【0032】
なお、本実施形態で示した各構成は、本発明の範囲内で種々変更できるものであり、例えば、重り部材8と舌片10との係合は、図7に示されるような構成とすることができる。すなわち、重り部材8に凸部8aを設け、この凸部8aが舌片10の底部11と係合する構成とすることができる。この場合は、図7(B)に示されるように、重り部材受部9に、切り欠き部9aを設けて突部8aが合わされる構成とする。また、図8のように、重り部材8がさらにテーパ部8bを有する形状とすることもできる。この場合は、重り部材受部9は、図8(B)及び(C)に示されるように、凸部8a及びテーパ部8bに合わせる構成とする。
【0033】
また、図9に示されるように、例えばイチゴの絵柄を模して外観を形成することができ、意匠的に優れ、購買意欲を惹起することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の自動消火装置は、電力を使用しない簡単な構成である。また、消火剤充填部材を的確に火炎まで導くことができるので、天ぷら火災等を迅速かつ確実に消火することができる。さらに、消火剤充填部材が天ぷら鍋等内に落下する際に火炎によって可燃性素材の中空体が燃えて消火剤が散布されるので、消火剤を噴射する場合と異なり、消火剤が散乱し、或いは天ぷら油等が飛び散って周辺を汚してしまうことがない。また、適宜消火剤充填部材を交換又は補充すればよく、維持管理が簡便である。さらに、壁に設置する構成なので、取り付け及び/又は取り外しが容易であり、掃除等もし易く便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動消火装置の設置状態を示す側面図である。
【図2】本発明の自動消火装置の一実施形態の外観を示し、(A)が正面図、(B)が側面図である。
【図3】図2の自動消火装置の内部構造の説明図であり、(A)が蓋体を除いた平面図、(B)が側断面図である。
【図4】舌片の構造を説明するための斜視図であり、(A)が側部上縁にフランジのない場合、(B)が側部上縁にフランジを設けた場合を示す。
【図5】消火剤充填部材の形状を示す斜視図であり、(A)が球形状、(B)が円柱形状を示す。
【図6】図2の自動消火装置が作動した状態を示し、(A)が正面図、(B)が側面図である。
【図7】他実施形態の重り部材の説明図であり、(A)が重り部材の斜視図、(B)が重り部材受部を示す正面図、(C)が舌片との係合関係を示す側断面図である。
【図8】他実施形態の重り部材の説明図であり、(A)が重り部材の斜視図、(B)が重り部材受部を示す正面図、(C)が舌片との係合関係を示す側断面図である。
【図9】他実施形態の外観を示す正面図である。
【符号の説明】
1 自動消火装置
2 ハウジング
3 収容部
3a 開口
4 熱感知機構
5 筒体
5a 切り欠き部
6 線状部材
7 熱感知体
8 重り部材
8a 突部
9 重り部材受部
10 舌片
11 底部
12 側部
12a 側部の上縁
13 蝶番
14 マグネット
15 係止部材
20 消火剤充填部材
30 レンジ
31 壁
Claims (10)
- 可燃性素材の中空体に消火剤を充填して形成された消火剤充填部材を収容可能な、下端に開口を有する収容部を備え、レンジ近傍の壁の適所に設置されるハウジングと、
このハウジングの前面上部に設けられた熱感知機構と、
この熱感知機構に連動して、前記ハウジング内の前記収容部とは異なる空間を落下する重り部材と、
この重り部材を受けるための重り部材受部と、
底部及び側部を有する断面略コ字状の舌片であって、前記重り部材の落下に伴って該重り部材と係合可能に形成され、かつ前記収容部の前記開口を閉鎖可能に該収容部の下方に上下方向に回動可能に取り付けられて、前記側部が前記ハウジング内に収容され、前記底部が前記ハウジングの前面の一部を構成する舌片と、
この舌片を前記ハウジングの前面の一部として保持する保持手段と、
前記舌片が下方に回動したときに該舌片を所定角度で係止させ、該舌片の前記底部によって、下方に傾斜する斜面を形成させる係止手段とを備え、
前記熱感知機構によって、異常な火炎による熱が感知されると、前記重り部材が落下し、該重り部材が前記舌片と係合することで、該舌片の前記保持手段が解除され、該舌片が下方に回動して前記係止手段によって所定角度で係止され、該舌片によって形成された下方に傾斜する斜面を、前記消火剤充填部材が転がり落ちることを特徴とする自動消火装置。 - 前記熱感知機構が、前記ハウジング前面を貫通して突設された筒体と、この筒体の中に挿通され、前記重り部材に連結される線状部材と、この線状部材に連結され、前記筒体の先端に係止可能な可燃性の熱感知体とで構成され、異常な火炎による熱で前記熱感知体が燃えることで、該熱感知体の前記筒体先端への係止状態が解除されることを特徴とする請求項1に記載の自動消火装置。
- 前記筒体の下面の少なくとも一部に切り欠き部を有し、かつ前記線状部材が可燃性であることを特徴とする請求項2に記載の自動消火装置。
- 前記筒体が、ハウジング前面に対して水平よりも所定角度上向きに配設されることを特徴とする請求項2又は3に記載の自動消火装置。
- 前記重り部材と前記舌片との係合が、該舌片の前記側部の上縁に該重り部材が当接することで達成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動消火装置。
- 前記重り部材と前記舌片との係合が、該重り部材に突部を設け、この突部が該舌片の底部に当接することで達成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動消火装置。
- 前記消火剤が、ハロン又はその代替品であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の自動消火装置。
- 前記ハウジングの外観を、果物又は野菜の形状又は絵柄に模して形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の自動消火装置。
- 前記消火剤充填部材が、球形状又は円柱形状であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の自動消火装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の自動消火装置に使用可能な前記消火剤充填部材。
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2003
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