JP2004236730A - 動脈硬化評価装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】動脈硬化指数算出手段78により、脈波伝播速度情報決定手段70により決定された脈波伝播速度情報と血圧値決定手段60により決定された血圧値とに基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数CAVIが算出されるので、生体16の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数CAVIが非侵襲で得られる。
【選択図】 図3
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化評価指数を導出することができる動脈硬化評価装置、或いは生体の動脈機能を検査できる動脈機能検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
我が国では、男女共に世界最長寿国となってから久しく、今なお平均寿命は延び続ける反面、老年層において、寝たきりが多いなどの体質の悪さが指摘され、それが社会保障費、医療費の逼迫や破綻の危機発生要因となっていることは言を待たない。致命的な脳発作、心臓発作などの脳・血管系疾患は、死因ではガンに匹敵するほど高率であり、寝たきりの主な原因ともなっている。
【0003】
厚生労働省は「健康日本21」を2000年4 月に策定し、21世紀において実行老齢化に伴う社会基盤の変化と、激増する生活週間病の一次予防を最大目標とする白書を世に送り出した。要約すると、65歳以下の死を早世と規定し、その発病は家庭、社会、国家にとって負担であり損失であり、そして、国民一人一人が自己の健康増進に心がけ、努力するならば、生活習慣病の一次予防は可能と断定している。このような観点からも、生活習慣病である脳・血管系疾患を予防するために、生体の全身にくまなく張り巡らされている血管の健康維持、増進の具体的な方策として、丁度、身長、体重を測定するように、動脈硬化の程度すなわち動脈機能の程度を簡便且つ正確に測定できることが望まれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
これに対し、たとえば特許文献1乃至5に記載されているように、非侵襲の動脈硬化度測定装置が種々提案されている。しかしながら、それら従来の動脈硬化度測定装置は、生体から検出された脈波の形状や、生体の動脈伝播速度に基づいて動脈の硬化状態を評価するものであるが、そのような評価値は動脈壁の硬化状態以外の要因たとえば血圧値や個人差などの影響を大きく受けるので、個人毎に相対的に用いることは可能かもしれないが、必ずしも一般的或いは普遍的な評価値としてことができず、一般性のある正確な評価が困難となっていた。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−119252号公報
【特許文献2】特開平01−259836号公報
【特許文献3】特開平03−015439号公報
【特許文献4】特開平05−038332号公報
【特許文献5】特開2001−137203号公報
【0006】
本発明は以上の事情を背景として為されたものであって、その目的とするところは、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化評価指数が非侵襲で簡便に得られる動脈硬化評価装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の要旨とするところは、生体の動脈硬化の程度を定量的に評価するための動脈硬化評価装置であって、(a) 前記生体から検出された脈波信号に基づいて該生体の動脈を伝播する脈波の伝播速度に関連する脈波伝播速度情報を決定する脈波伝播速度決定手段と、(b) 前記生体に巻回されたカフからの脈波信号に基づいてその生体の血圧値を決定する血圧値決定手段と、(c) 前記脈波伝播速度情報決定手段により決定された脈波伝播速度情報と前記血圧値決定手段により決定された血圧値とに基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数を算出する動脈硬化指数算出手段とを、含むことにある。
【0008】
【発明の効果】
このようにすれば、動脈硬化指数算出手段により、脈波伝播速度情報決定手段により決定された脈波伝播速度情報と血圧値決定手段により決定された血圧値とに基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数が算出されるので、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数が非侵襲で得られる。このようにして得られた動脈硬化指数は、脳・心発作予知や予防、生活習慣病一次予防、個人血管年齢の判定、動脈硬化の推移と血管代謝改善剤など薬効検定のために好適に用いられる。
【0009】
【発明の他の態様】
ここで、好適には、前記前記動脈硬化指数算出手段は、前記脈波伝播速度情報から導かれた、生体血圧値の上昇に伴って非線型的または線型的に増加または減少する血管弾性率関連値と、前記血圧値から導かれた、その血管弾性率関連値とは対称的に生体血圧値の上昇に伴って非線型的または線型的に減少または増加する対称値との積に基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数を算出するものである。たとえば、血管弾性率関連値が非線型的または線型的に増加する場合は、それと対称的に非線型的または線型的に減少する対称値が用いられ、また、血管弾性率関連値が非線型的または線型的に減少する場合は、それと対称的に非線型的または線型的に増加する対称値が用いられる。このようにすれば、脈波伝播速度情報から導かれた血管弾性率関連値と、血圧値から導かれ、その血管弾性率関連値とは対称的に変化する対称値との積は、生体の動脈の硬さを反映した固有の値であるので、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数が非侵襲で得られる。
【0010】
また、好適には、前記血圧値決定手段は、前記脈波伝播速度情報決定手段によって伝播速度が決定される生体の2部位間における動脈の血圧値を決定するものである。このようにすれば、動脈硬化指数の算出の基礎となる伝播速度が決定される生体の2部位間における動脈部位の血圧値もその動脈硬化指数の算出の基礎とされるので、一層正確な動脈硬化指数が得られる。
【0011】
また、好適には、前記脈波伝播速度情報決定手段は、前記生体の2部位間を脈波が伝播する脈波伝播速度を決定するものであり、前記血圧値決定手段は、前記生体に巻回されたカフからのカフ脈波信号を用いてその生体の最高血圧値および最低血圧値を決定するものであり、前記動脈硬化指数算出手段は、前記脈波伝播速度の自乗値と、前記最高血圧値と最低血圧値の比の対数値との積に基づいて前記動脈硬化指数を算出するものである。たとえば、前記動脈硬化評価指数をCAVI、前記最高血圧値をPs、前記最低血圧値をPd、前記生体の2部位間の脈波伝播速度および伝播距離をPWV およびL 、定数を k1 としたとき、前記血圧値決定手段は、式CAVI= k1 ・ln(Ps/Pd) ・PWV2に基づいて動脈硬化評価指数CAVIを算出するものである。このようにすれば、脈波伝播速度情報から導かれた血管弾性率関連値である脈波伝播速度の自乗値と、血圧値から導かれ、その血管弾性率関連値とは対称的に変化する対称値である最高血圧値と最低血圧値の比の対数値との積は、生体の動脈の硬さを反映した固有の値であるので、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数が非侵襲で得られる。
【0012】
また、好適には、前記脈波伝播速度情報決定手段は、前記生体の2部位間を脈波が伝播する脈波伝播速度を決定するものであり、前記血圧値決定手段は、前記生体に巻回されたカフを用いて該生体の最高血圧値および最低血圧値を決定するものであり、前記動脈硬化指数算出手段は、前記最高血圧値と最低血圧値の比の対数値の二乗根値と、前記脈波伝播速度との積に基づいて前記動脈硬化指数を算出するものである。たとえば、前記動脈硬化評価指数をCAVI、前記最高血圧値をPs、前記最低血圧値をPd、前記生体の2部位間の脈波伝播速度および伝播距離をPWV およびL 、定数を k2 としたとき、前記血圧値決定手段は、式CAVI= k2 ・√[ln(Ps/Pd)] ・PWV に基づいて動脈硬化評価指数CAVIを算出するものである。このようにすれば、脈波伝播速度情報から導かれた血管弾性率関連値である脈波伝播速度と、血圧値から導かれ、その血管弾性率関連値とは対称的に変化する対称値である最高血圧値と最低血圧値の比の対数値の自乗根値との積は、生体の動脈の硬さを反映した固有の値であるので、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数が非侵襲で得られる。
【0013】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明が適用された動脈硬化評価装置10の回路構成を説明するブロック図である。
【0014】
図1において、動脈硬化評価装置10は、生体16の左足首12Lおよび右足首12Rの所定部位にそれぞれ巻回される一対の左足首用カフ18Lおよび右足首用カフ18Rと、生体16の左上腕14Rおよび右上腕14Lにそれぞれ巻回される一対の左腕用カフ20Lおよび右腕用カフ20Rと、生体16の大腿部或いは膝窩部にそれぞれ巻回される一対の左大腿用カフ22Lおよび右大腿用カフ22Rとを備えている。これらのカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rは、それが装着されている生体の一部位の動脈を圧迫するための圧迫帯であり、布或いはポリエステル等の伸展性のない素材から成る帯状外袋内に膨張可能なゴム製袋を有している。
【0015】
左右の上腕用カフ20Lおよび20Rは配管PbLおよびPbRを介して空気圧制御回路24Lおよび24Rにそれぞれ接続され、左右の左大腿(左膝窩部)用カフ22Lおよび右大腿(右膝窩部)用カフ22Rは配管PkLおよびPkRを介して空気圧制御回路26Lおよび26Rにそれぞれ接続され、左右の足首用カフ18Lおよび18Rは配管PaLおよびPaRを介して空気圧制御回路28Lおよび28Rにそれぞれ接続されている。
【0016】
上記6つの空気圧制御回路24Lおよび24R、26Lおよび26R、28Lおよび28Rは共通或いは同一の構成を有するので、左上腕用カフ20Lと接続されている空気圧制御回路24Lを代表させて以下にその基本的な構成を説明する。空気圧制御回路24Lは、調圧弁24a、圧力センサ24b、静圧弁別回路24c、脈波弁別回路24d、空気ポンプ24eを備えており、前記配管PbLは圧力センサ24bおよび調圧弁24aに接続されている。また、その調圧弁24aは、配管24fを介して空気ポンプ24eに接続されている。
【0017】
上記調圧弁24aは、たとえば血圧測定のために或いはカフ脈波検出のために、空気ポンプ24ebにより発生させられた圧縮空気の圧力を調圧して左上腕用カフ20L内へ供給してその左上腕用カフ20L内の圧力すなわち生体への圧迫圧力を調圧する。また、たとえば血圧測定或いはカフ脈波検出終了時に圧迫を解放させるために、左上腕用カフ20L内の空気を排気することによりてその左上腕用カフ20Lによる圧迫を解放させる。
【0018】
圧力センサ24bは、左上腕用カフ20L内の圧力を検出してその圧力を表す圧力信号SPb を静圧弁別回路24cおよび脈波弁別回路24dにそれぞれ供給する。静圧弁別回路24cはたとえば1乃至数Hz以下の信号を通過させるローパスフィルタを備え、圧力信号SPに含まれる静的或いは直流的な圧力すなわち左上腕用カフ20Lの圧迫圧力(以下、この圧力を左上腕カフ圧PCbLという)を表すカフ圧信号SKb を周波数的に弁別(抽出)してそのカフ圧信号SKを図示しない A/D変換器を介して電子制御装置38へ供給する。脈波弁別回路24dはたとえば1Hz乃至十数Hz程度の音信号を通過させるバンドパスフィルタを備え、心拍に同期して発生し且つ圧力信号SPに混入している、その圧力信号SPの振動成分である左上腕脈波信号SMを周波数的に弁別(抽出)してその左上腕脈波信号SMを図示しないA/D変換器を介して電子制御装置38へ供給するとともに、上記カフ圧信号SKも図示しないA/D変換器を介して電子制御装置38へ供給する。この左上腕脈波信号SMは、上腕用カフ20Lにより圧迫される左上腕14Lの動脈からの左上腕脈波WBL を表すので、左上腕用カフ20Lおよび空気圧制御回路24Lが左上腕脈波検出装置としても機能している。
【0019】
同様に、空気圧制御回路24Rにおいてその脈波弁別回路24dにより弁別される右上腕脈波信号SMは右上腕脈波WBR であり、右上腕用カフ20Rおよび空 気圧制御回路24Rが右上腕脈波検出装置として機能している。また、空気圧制御回路26Lにおいてその脈波弁別回路24dにより弁別される膝窩脈波信号SMは左膝窩脈波WKR であり、左大腿用カフ22Lおよび空気圧制御回路26Lが左膝窩脈波検出装置として機能している。また、空気圧制御回路26Rにおいてその脈波弁別回路24dにより弁別される膝窩脈波信号SMは右膝窩脈波WK Rであり、右大腿用カフ22Rおよび空気圧制御回路26Rが右膝窩脈波検出装置として機能している。また、空気圧制御回路28Lにおいてその脈波弁別回路24dにより弁別される左足首脈波信号SMは左足首脈波WAL であり、左足首用カフ18Lおよび空気圧制御回路28Lが左足首脈波検出装置として機能している。また、空気圧制御回路28Rにおいてその脈波弁別回路24dにより弁別される右足首脈波信号SMは右足首脈波WAR であり、右足首用カフ18Rおよび空気圧制御回路28Rが右足首脈波検出装置として機能している。
【0020】
前記生体16には、その頸動脈に押圧されてその頸動脈から発生する頸動脈波(圧脈波)WCを検出する頸動脈波センサ30と、鼠蹊部の大腿動脈に押圧されてその股動脈から発生する股動脈波(圧脈波)WKL 、WKR を検出する左右一対の股動脈波センサ32L、32Rと、心臓の真上に装着されてその心臓から発生する心音PGを検出するマイクロホンである心音センサ34とが装着される。それら頸動脈波センサ30、股動脈波センサ32L、32R、心音センサ34からの出力信号は、図示しないA/D変換器を介して電子制御装置38へ供給されるようになっている。また、心電誘導装置36の複数の電極36eが少なくとも生体16の両手首に装着され、検出された心電波形ECG が電子制御装置38へ供給されるようになっている。
【0021】
図2は、上記カフ脈波である左右の上腕脈波WBL 、WBR 、上記カフ脈波である左右の大腿動脈波WKL 、WKR 、上記カフ脈波である左右の足首動脈波WAL 、WAR 、頸動脈波(圧脈波)WC、股動脈波(圧脈波)WKL 、WKR 、心音PG、および心電波形ECG を、共通の時間軸上においてそれぞれ示すタイムチャートである。
【0022】
上記電子制御装置38は、CPU48,ROM50,RAM52,および図示しないI/Oポート等を備えた所謂マイクロコンピュータにて構成されており、CPU48は、ROM50に予め記憶されたプログラムに従ってRAM52の記憶機能を利用しつつ信号処理を実行することにより、I/Oポートから駆動信号を出力して空気ポンプ24eおよび調圧弁24aを制御することにより、血圧測定のために或いはカフ脈波検出のために、カフ18L、18R、20L、20R、22L、22R内の圧力をそれぞれ独立に制御する。また、CPU48は、電子制御装置38に供給される信号に基づいて演算処理を実行することにより、6つのカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rが装着された部位の血圧値をオシロメトリック法に従って測定するとともに、その6つのカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rを生体16の最低血圧値よりも低い値たとえば30乃至60mmHgの範囲内の圧力に維持したときに圧力振動として発生するカフ脈波をそれぞれ検出して表示器54に表示する。また、上腕血圧値および下肢血圧値から上肢下肢血圧比ABIを算出して表示する。さらに、その判定結果に基づいて特定した狭窄部位を表示器54に表示する。表示器54は、光学的に明度或いは色度を変化させる画素が配列された表示面に画像表示する画像表示器或いは紙面上に画像表示するプリンタなどにより構成される。
【0023】
図3は、電子制御装置38の制御機能の要部すなわち生体16の動脈機能を検査のために動脈硬化指数(血管機能値)を算出する制御機能を説明する機能ブロック線図である。図3において、脈波伝播速度情報決定手段60は、生体16の動脈の2部位間の脈波伝播速度に関連する値、たとえば脈波の伝播時間差DT、脈波伝播速度PWV(=L/DT)などの脈波伝播速度情報を算出して決定する。この脈波伝播速度情報決定手段60は、たとえば大動脈弁口部から鼠蹊部までの脈波伝播時間PWV1 を、予め記憶された関係である式(1) から頸動脈波と股( 大腿) 動脈波との間の立ち上がり時間差t1 および心音のII音前成分と頸動脈下行脚切痕との間の時間差tc と、距離l1 とに基づいて) 算出する第1脈波伝播速度算出手段62と、鼠蹊部から膝窩部までの脈波伝播時間PWV2 を、予め記憶された関係である式(2) から股( 大腿) 動脈波と膝窩動脈波との間の立ち上がり時間差t2 と、距離l2 とに基づいて算出する第2脈波伝播速度算出手段64と、大動脈弁口部から足首までの脈波伝播時間PWV3 を、予め記憶された関係である式(3) から心音のII音前成分と上腕動脈波切痕との間の時間差ta および上腕動脈波と足首脈波との間の立ち上がり時間差tb と、距離lm とに基づいて算出する第3脈波伝播速度算出手段66とを備えている。上記距離l1 、距離l2 、距離lm には、実測値或いは身長からの推定値が用いられる。
【0024】
PWV1 =l1 /(t1 +tc ) ・・・(1)
PWV2 =l2 /(t2 ) ・・・(2)
PWV3 =lm /(ta +tb ) ・・・(3)
【0025】
血圧値決定手段70は、生体16の動脈内の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd を、たとえばオシロメトリック法を用いて間接的に測定する。血圧値決定手段70は、左上腕用カフ20Lとこれに接続された空気圧制御回路24Lおよび/または右上腕用カフ20Rとこれに接続された空気圧制御回路24Rを用いて圧迫圧を変化させる過程で発生する脈波の大きさの変化に基づいて左上腕部および/または右上腕部の最高血圧値Psbおよび最低血圧値Pdbをオシロメトリック法を用いて測定する上腕血圧値決定手段72と、左足首用カフ18Lとこれに接続された空気圧制御回路28Lおよび/または右足首用カフ18Rとこれに接続された空気圧制御回路28Rを用いて上記と同様に左足首部および/または右足首部の最高血圧値Psa(=Psk)および最低血圧値Pda(=Pdk)をオシロメトリック法を用いて測定する足首血圧値決定手段74とを備えている。また、血圧値決定手段70は、予め記憶された関係から上記上腕血圧値決定手段72により決定された上腕部の最高血圧値Psbおよび最低血圧値Pdbと、上記足首血圧値決定手段74により決定された足首部の最高血圧値Psaおよび最低血圧値Pdaとに基づいて、上腕部および足首部以外の部位の血圧値、たとえば鼠蹊部の最高血圧値Psiおよび最低血圧値Pdiを算出( 決定) する。たとえば(4) 式は、上記予め記憶された関係のうちの上記鼠蹊部の最高血圧値Psiを求めるためのものである。この(4) 式は、本発明者等が見いだした図4の距離と血圧との間の比例関係を利用して数式化したものである。上記最低血圧値Pdiを求めるための関係も(4) 式と同様にして求められる。
【0026】
Psi=[ Psa( l1 −l2)+Psb( l2 +la)]/( l1 +l2 −la)・・・(4)
【0027】
動脈硬化指数算出手段78は、たとえば、式(5) または式(6) に示す予め記憶された関係から,上記脈波伝播速度情報決定手段60により決定された脈波伝播速度情報たとえば生体16の動脈の2部位間の脈波伝播速度PWVと、上記血圧値決定手段70により決定された好ましくは上記2部位間の動脈内の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd とに基づいて、生体16の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数CAVIを算出する。動脈硬化指数算出手段78は、式(5) を用いる場合には、脈波伝播速度PWVの自乗値と、最高血圧値Ps と最低血圧値Pd の比Ps /Pd の対数値ln(Ps /Pd )との積に基づいて動脈硬化指数CAVIを算出するものであり、式(6) を用いる場合には、脈波伝播速度PWVと、最高血圧値Ps と最低血圧値Pd の比Ps /Pd の対数値ln(Ps /Pd )の2乗根すなわち平方根√[ln(Ps /Pd )]との積に基づいて動脈硬化指数CAVIを算出するものである。
【0028】
CAVI=k1 ・ln(Ps /Pd )・PWV2 ・・・(5)
CAVI=k2 ・√[ln(Ps /Pd )]・PWV ・・・(6)
【0029】
一般に、動脈硬化度に対応する動脈の弾性率(たとえば動脈径寸法をD、血圧変化に由来するその変化量をΔDとすると、D/ΔDで示される)は、動脈管内の血圧の増加に伴って動脈の弾性率が加速度的に非線型的に増加するので、一定の血圧値において正規化した値でないと比較困難であるだけでなく、動脈の変位の実測も超音波画像装置などを用いたとしても大がかりなものとなって測定が困難である。本発明者等は、種々研究を重ねた結果、たとえば図5に示されるように、脈波伝播速度の自乗値PWV2 が動脈内圧に対する変化に関して上記動脈の弾性率によく対応するとともに、最高血圧値Ps と最低血圧値Pd の比Ps /Pd の対数値ln(Ps /Pd )がその脈波伝播速度の自乗値PWV2 に対称的に非線型的に動脈内圧の増加に対して減少し、それら脈波伝播速度の自乗値PWV2 と最高血圧値Ps と最低血圧値Pd の比Ps /Pd の対数値ln(Ps /Pd )との積は、動脈内圧の変化に拘わらず一定値を示し、生体16固有の動脈の硬化状態すなわち動脈機能状態を正確に表すことを見い出した。上記(5) 式はこのような知見に基づいて成立させられたものである。また、上記(6) 式は、(5) 式の右辺のパラメータである自乗値PWV2 および対数値ln(Ps /Pd )を血圧値に対する非線型の函数値から線型の函数値へ変形したものである。このようにしても、動脈内圧の変化に拘わらず一定値を示す動脈硬化指数CAVIを得ることができる。結局、上記動脈硬化指数CAVIを算出するための算出式は、前記脈波伝播速度情報から導かれた、生体血圧値の上昇に伴って非線型的または線型的に増加または減少する血管弾性率関連値と、前記血圧値から導かれた、その血管弾性率関連値とは対称的に生体血圧値の上昇に伴って非線型的または線型的に減少または増加する対称値との積に基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数を算出するものであればよい。脈波伝播速度情報および血管弾性率関連値は、その定義により血圧値に対して増加する変数となったり減少する変数となったりするからである。
【0030】
前記動脈硬化指数算出手段78は、生体16の動脈を局所的或いは全体的に評価できるように動脈硬化指数CAVIを求めることができる。たとえば大動脈乃至総腸骨動脈の動脈硬化指数CAVI1 を予め記憶された式(7) から大動脈弁口部から鼠蹊部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と大動脈弁口部から鼠蹊部までの脈波伝播速度PWV1 とに基づいて算出し、鼠蹊部乃至膝窩部動脈の動脈硬化指数CAVI2 を予め記憶された式(8) から鼠蹊部から膝窩部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と鼠蹊部から膝窩部までの脈波伝播時間PWV2 とに基づいて算出し、大動脈弁口部乃至足首までの動脈硬化指数CAVI3 を予め記憶された式(9) から大動脈弁口部から足首部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と大動脈弁口部から足首までの脈波伝播時間PWV3 とに基づいて算出する。なお、上記大動脈弁口部から鼠蹊部までの間、鼠蹊部から膝窩部までの間、大動脈弁口部から足首部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd は、対象となっていない他の部位の動脈から得られた血圧値、たとえば鼠蹊部から膝窩部までの間に対して上腕血圧値PsbおよびPdbや足首血圧値PsaおよびPdaが用されても一応の精度が得られるので、差し支えない。
【0031】
CAVI1 =k・ln(Ps /Pd )・PWV1 2 ・・・(7)
CAVI2 =k・ln(Ps /Pd )・PWV2 2 ・・・(8)
CAVI3 =k・ln(Ps /Pd )・PWV3 2 ・・・(9)
【0032】
表示手段80は、上記動脈硬化指数算出手段78によって算出された動脈硬化指数CAVI、たとえば大動脈乃至総腸骨動脈の動脈硬化指数CAVI1 、鼠蹊部乃至膝窩部動脈の動脈硬化指数CAVI2 、大動脈弁口部乃至足首までの動脈硬化指数CAVI3 を、表示器54において数字或いはグラフなどにより表示させ、生体16の動脈の硬化状態を客観的に評価する。
【0033】
図6は、前記電子制御装置38の制御機能の要部すなわち生体16の動脈機能を検査のために動脈硬化指数(血管機能値)を算出する制御作動を説明するフローチャートである。図6において、前記脈波伝播速度情報決定手段60に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1では、生体16の脈波伝播速度がたとえば大動脈弁口部から鼠蹊部までの脈波伝播速度PWV1 、鼠蹊部から膝窩部までの脈波伝播時間PWV2 、大動脈弁口部から足首までの脈波伝播時間PWV3 が、予め記憶された関係(1) 、(2) 、(3) から算出される。次いで、前記血圧値決定手段70に対応するS2において、上腕血圧値PsbおよびPdb、足首血圧値PsaおよびPdaなどが算出される。続いて、前記動脈硬化指数算出手段78に対応するS3において、大動脈乃至総腸骨動脈の動脈硬化指数CAVI1 が予め記憶された式(7) から大動脈弁口部から鼠蹊部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と大動脈弁口部から鼠蹊部までの脈波伝播速度PWV1 とに基づいて算出され、生体16の左右毎に鼠蹊部乃至膝窩部動脈の動脈硬化指数CAVI2 が予め記憶された式(8) から鼠蹊部から膝窩部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と鼠蹊部から膝窩部までの脈波伝播時間PWV2 とに基づいて算出され、生体16の左右毎に大動脈弁口部乃至足首までの動脈硬化指数CAVI3 が予め記憶された式(9) から大動脈弁口部から足首部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と大動脈弁口部から足首までの脈波伝播時間PWV3 とに基づいて算出される。そして、S4において、上記動脈硬化指数CAVIの算出が完了したか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合は前記S1以下が繰り返し実行される。しかし、S4の判断が肯定されると、前記表示手段80に対応するS5において、各動脈毎に動脈機能や硬化状態を評価するために、上記S3において各動脈毎にそれぞれ算出された大動脈から総腸骨動脈までの動脈の機能を評価する動脈硬化指数CAVI1 、左右について鼠蹊部から膝窩部までの動脈の機能を評価する一対の動脈硬化指数CAVI2 、左右について大動脈弁口部から足首までの動脈の機能を評価する一対の動脈硬化指数CAVI3 が、表示器54において、生体16或いはその動脈を模式的に示す図形内に或いはその図形上の該当部位に対応させて表示される。たとえば、動脈硬化指数CAVI1 が表示面において大動脈から総腸骨動脈までの動脈を示す位置に表示され、左右一対の動脈硬化指数CAVI2 が鼠蹊部から膝窩部までの左右の動脈を示す位置にそれぞれ表示され、左右一対の動脈硬化指数CAVI3 が大動脈弁口部から足首までの左右の動脈を示す位置に表示される。
【0034】
上述のように、本実施例によれば、動脈硬化指数算出手段78(S3)により、脈波伝播速度情報決定手段70(S2)により決定された脈波伝播速度情報と血圧値決定手段60(S1)により決定された血圧値とに基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数CAVIが算出されるので、生体16の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数CAVIが非侵襲で得られる。このようにして得られた動脈硬化指数CAVIは、脳・心発作予知や予防、生活習慣病一次予防、個人血管年齢の判定、動脈硬化の推移と血管代謝改善剤など薬効検定のために好適に用いられる。
【0035】
また、本実施例によれば、動脈硬化指数算出手段78(S3)は、脈波伝播速度情報から導かれた、生体血圧値の上昇に伴って非線型的または線型的に増加または減少する血管弾性率関連値と、前記血圧値から導かれた、その血管弾性率関連値とは対称的に生体血圧値の上昇に伴って非線型的または線型的に減少または増加する対称値との積に基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数を算出するものである。たとえば、血管弾性率関連値が非線型的または線型的に増加する場合たとえば脈波伝播時間の自乗値PWV2 或いは脈波伝播時間PWVである場合は、それと対称的に非線型的または線型的に減少する対称値たとえばln(Ps /Pd )または√[ln(Ps /Pd )]が用いられ、また、血管弾性率関連値が非線型的または線型的に減少する場合たとえば脈波伝播時間の自乗値−PWV2 或いは脈波伝播時間−PWVである場合は、それと対称的に非線型的または線型的に増加する対称値たとえば−ln(Ps /Pd )または−√[ln(Ps /Pd )]が用いられる。このように、脈波伝播速度情報から導かれた血管弾性率関連値と、血圧値から導かれてその血管弾性率関連値とは対称的に変化する対称値との積は、生体の動脈の硬さを反映した固有の値であるので、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数が非侵襲で得られる。
【0036】
また、本実施例によれば、動脈硬化指数算出手段78(S3)では、予め記憶された式(7) から大動脈弁口部から鼠蹊部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と大動脈弁口部から鼠蹊部までの脈波伝播速度PWV1 とに基づいて大動脈乃至総腸骨動脈の動脈硬化指数CAVI1 が算出され、予め記憶された式(8) から鼠蹊部から膝窩部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と鼠蹊部から膝窩部までの脈波伝播時間PWV2 とに基づいて鼠蹊部乃至膝窩部動脈の動脈硬化指数CAVI2 が生体16の左右毎に算出され、予め記憶された式(9) から大動脈弁口部から足首部までの間の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と大動脈弁口部から足首までの脈波伝播時間PWV3 とに基づいて大動脈弁口部乃至足首までの動脈硬化指数CAVI3 が生体16の左右毎に算出され、表示器54に表示される。上記の大動脈乃至総腸骨動脈の動脈硬化指数CAVI1 は、生体16の加齢傾向を比較的強く反映する特性を持つので、特に血管年齢の判定に好適に用いられる。また、上記鼠蹊部乃至膝窩部動脈の動脈硬化指数CAVI2 は、過去には例がない大腿動脈を評価できるので、大腿狭窄、閉塞病変の早期検査や診断に好適に用いられる。また、上記大動脈弁口部乃至足首までの動脈硬化指数CAVI3 は、上腕および足首にそれぞれ巻回されたカフを用いて得られた、その上腕および足首における最高血圧値Psb、Psaおよび最低血圧値Pdb、Pdaと、その上腕および足首の脈波からの2部位間の脈波伝播速度PWVとから算出されるので、簡便に得られる利点があると共に、大動脈、大腿動脈、下腿動脈を総合した生体16個人の動脈機能の評価が可能となり、精密検査に先立つスクリーニング用として、成人病検診、人間ドッグ、一般クリニック、専門病院を問わず、生活習慣病合併有無程度を推し量る基本検査として価値が高く、好適に用いられる。
【0037】
また、本実施例によれば、血圧値決定手段70は、脈波伝播速度情報決定手段60によって伝播速度PWVが決定される生体の2部位間における動脈の血圧値を決定するものであることから、動脈硬化指数CAVIの算出の基礎となる伝播速度PWVが決定される生体の2部位間における動脈部位の血圧値Ps およびPd もその動脈硬化指数CAVIの算出の基礎とされるので、一層正確な動脈硬化指数が得られる。
【0038】
また、本実施例によれば、脈波伝播速度情報決定手段60は、生体16の動脈上の2部位間を脈波が伝播する脈波伝播速度PWVを生体の16の体表面の2位置から検出された信号に基づいてそれぞれ決定するものであり、血圧値決定手段70は、その生体16の一部に巻回されたカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rのいずれかからのカフ脈波信号を用いてオシロメトリック法により非侵襲でその生体16の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd を決定するものであり、動脈硬化指数算出手段78(S3)は、たとえば式(5) から脈波伝播速度の自乗値PWV2 と、生体16の最高血圧値Ps と最低血圧値Pd の比の対数値ln(Ps /Pd )との積に基づいて、動脈硬化指数CAVIを算出するものである。脈波伝播速度情報から導かれた血管弾性率関連値である脈波伝播速度の自乗値PWV2 と、血圧値から導かれ、その血管弾性率関連値とは対称的に変化する対称値である最高血圧値と最低血圧値の比の対数値ln(Ps /Pd )との積は、生体16の動脈の硬さを反映した固有の値であるので、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数CAVIが非侵襲で得られる。
【0039】
また、本実施例によれば、脈波伝播速度情報決定手段60は、生体16の動脈上の2部位間を脈波が伝播する脈波伝播速度PWVを生体の16の体表面の2位置から検出された信号に基づいてそれぞれ決定するものであり、血圧値決定手段70は、その生体16の一部に巻回されたカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rのいずれかからのカフ脈波信号を用いてオシロメトリック法により非侵襲でその生体16の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd を決定するものであり、動脈硬化指数算出手段78(S3)は、たとえば式(6) から最高血圧値と最低血圧値の比の対数値の二乗根値√[ln(Ps /Pd )]と、脈波伝播速度PWVとの積に基づいて動脈硬化指数CAVIを算出するものである。脈波伝播速度情報から導かれた血管弾性率関連値である脈波伝播速度PWVと、血圧値から導かれ、その血管弾性率関連値とは対称的に変化する対称値である最高血圧値と最低血圧値の比の二乗根値√[ln(Ps /Pd )]との積は、生体16の動脈の硬さを反映した固有の値であるので、生体の動脈硬化の程度を正確に反映した動脈硬化指数が非侵襲で得られる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0041】
たとえば、前述の動脈硬化指数算出手段78において用いられる動脈硬化指数CAVIの算出式は、種々の変形が加えられ得る。また、動脈硬化指数として、正の値だけでなく負の値などが用いられてもよい。また、動脈硬化指数CAVIは、たとえば式(1) 乃至(3) と(7) 乃至(9) とが合体された式から、生体16の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と時間差(t1 +tc )、t2 、或いは(ta +tb )とに基づいて動脈硬化指数CAVI1 乃至CAVI3 が算出されてもよい。
【0042】
また、前述の脈波伝播速度情報決定手段60において、時間差(t1 +tc )、t2 、或いは(ta +tb )や脈波伝播速度PWVが決定される場合には、複数拍の期間内において求められた複数の値の平均値が決定されてもよい。
【0043】
また、前述の実施例の動脈硬化評価装置10においては、血圧値を決定するために複数個のカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rが設けられ、生体16から発生する脈拍同期波を検出するうために、そのカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rや、頸動脈波センサ30、股動脈波センサ32L、32R、心音センサ34、心電誘導装置36が備えられていたが、生体16の血圧値の測定のためには上記カフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rのうちの少なくとも1個が備えられればよいし、生体16の脈波伝播速度情報を検出するためには上記のカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rや、頸動脈波センサ30、股動脈波センサ32L、32R、心音センサ34、心電誘導装置36のうちの少なくとも1対が備えられていればよいのである。すなわち、部位に拘わらず生体16の最高血圧値Ps および最低血圧値Pd と脈波伝播速度PWVとが得られれば、その生体16の動脈機能を評価できる動脈硬化指数CAVIが得られるのである。
【0044】
また、上記脈波伝播速度情報を検出するためのセンサの1つとして、撓骨動脈などに押圧されてその部位の圧脈波を検出する圧脈波センサ、指などに装着されての生体の表皮から光を用いて容積脈波を検出する光電脈波センサ、生体の一部に装着された電極を用いてインピーダンス脈波を検出するインピーダンス脈波センサなどが用いられてもよい。
【0045】
また、前述の実施例の動脈硬化評価装置10において、大腿用カフ22L、22Rを用いて膝窩部の血圧値が測定されてもよいし、たとえば図7に示すように、その大腿用カフ22L、22Rに替えて、左右の膝窩動脈から左膝窩脈波WKR および右膝窩脈波WK Rを検出するための一対の圧脈波センサ82L、82Rが用いられてもよい。
【0046】
また、前述の動脈硬化評価装置10において、カフの装着位置は、前記複数個のカフ18L、18R、20L、20R、22L、22Rの装着位置に限定されない。たとえば指や手首などに装着されても差し支えない。
【0047】
また、前述の動脈硬化評価装置10において、各脈波間の時間差は、立ち上がり点、切痕が基準点として用いられていたが、その基準点は、脈波の最大値(ピーク)時点、最大傾斜点などの他の基準点が用いられてもよい。
【0048】
また、前述の動脈硬化評価装置10において、血圧値決定手段70はオシロメトリック法を用いて血圧測定するものであったが、カフによる圧迫圧変化過程においてコロトコフ音の発生および消滅時のカフ圧を最高血圧値および最低血圧値として決定するコロトコフ音法を用いて血圧測定するものであってもよい。
【0049】
以上、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された動脈硬化評価装置の回路構成の要部を説明するブロック図である。
【図2】図1の動脈硬化評価装置において生体から検出される各脈波形を説明するタイムチャートである。
【図3】図1の動脈硬化評価装置において、電子制御装置の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図4】図3の血圧値決定手段において、足首および上腕部以外の血圧値を決定する算出式を説明する図である。
【図5】図1の動脈硬化指数算出手段において、動脈硬化指数を算出する式の導出経緯を説明する図である。
【図6】図1の動脈硬化評価装置において、電子制御装置の制御作動を説明するフローチャートである。
【図7】本発明の他の実施例において動脈硬化評価装置の回路構成を説明する図であって、図1に相当する図である。
【符号の説明】
10:動脈硬化評価装置
16:生体
60:脈波伝播速度情報決定手段
70:血圧値決定手段
78:動脈硬化指数算出手段
Claims (7)
- 生体の動脈硬化の程度を定量的に評価するための動脈硬化評価装置であって、
前記生体から検出された脈波信号に基づいて該生体の動脈を伝播する脈波の伝播速度に関連する脈波伝播速度情報を決定する脈波伝播速度決定手段と、
前記生体に巻回されたカフからのカフ脈波信号に基づいてその生体の血圧値を決定する血圧値決定手段と、
前記脈波伝播速度情報決定手段により決定された脈波伝播速度情報と前記血圧値決定手段により決定された血圧値とに基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数を算出する動脈硬化指数算出手段と
を、含むことを特徴とする動脈硬化評価装置。 - 前記動脈硬化指数算出手段は、前記脈波伝播速度情報から導かれた、生体血圧値の上昇に伴って非線型的または線型的に増加または減少する血管弾性率関連値と、前記血圧値から導かれた、該血管弾性率関連値とは対称的に生体血圧値の上昇に伴って非線型的または線型的に減少または増加する対称値との積に基づいて前記生体の動脈硬化の程度を示す動脈硬化指数を算出するものである請求項1の動脈硬化評価装置。
- 前記血圧値決定手段は、前記脈波伝播速度情報決定手段によって伝播速度が決定される生体の2部位間における動脈の血圧値を決定するものである請求項1または2の動脈硬化評価装置。
- 前記脈波伝播速度情報決定手段は、前記生体の2部位間を脈波が伝播する脈波伝播速度を決定するものであり、
前記血圧値決定手段は、前記生体に巻回されたカフを用いて該生体の最高血圧値および最低血圧値を決定するものであり、
前記動脈硬化指数算出手段は、前記脈波伝播速度の自乗値と、前記最高血圧値と最低血圧値の比の対数値との積に基づいて前記動脈硬化指数を算出するものである請求項1乃至3のいずれかの動脈硬化評価装置。 - 前記動脈硬化評価指数をCAVI、前記最高血圧値をPs、前記最低血圧値をPd、前記生体の2部位間の脈波伝播速度および伝播距離をPWV およびL 、定数を k1 としたとき、前記血圧値決定手段は、次式
CAVI= k1 ・ln(Ps/Pd) ・PWV2
に基づいて動脈硬化評価指数CAVIを算出するものである請求項4の動脈硬化評価装置。 - 前記脈波伝播速度情報決定手段は、前記生体の2部位間を脈波が伝播する脈波伝播速度を決定するものであり、
前記血圧値決定手段は、前記生体に巻回されたカフを用いて該生体の最高血圧値および最低血圧値を決定するものであり、
前記動脈硬化指数算出手段は、前記最高血圧値と最低血圧値の比の対数値の二乗根と、前記脈波伝播速度との積に基づいて前記動脈硬化指数を算出するものである請求項1乃至3のいずれかの動脈硬化評価装置。 - 前記動脈硬化評価指数をCAVI、前記最高血圧値をPs、前記最低血圧値をPd、前記生体の2部位間の脈波伝播速度および伝播距離をPWV およびL 、定数を k2 としたとき、前記血圧値決定手段は、次式
CAVI= k2 ・√[ln(Ps/Pd)] ・PWV
に基づいて動脈硬化評価指数CAVIを算出するものである請求項6の動脈硬化評価装置。
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