JP2004236654A - 食品用増粘・ゲル化剤組成物およびそれを含有する食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷凍耐性および耐熱性に優れたゲル状食品、増粘された液状食品およびそのための食品用増粘・ゲル化剤を提供する。
【構成】ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とする食品用増粘・ゲル化剤組成物。
【選択図】 なし
【構成】ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とする食品用増粘・ゲル化剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェヌグリークガムを含むことを特徴とする新規な食品用増粘・ゲル化剤組成物に関するものである。更に詳しくは、冷凍耐性と耐熱性に優れた増粘・ゲル化剤組成物および該組成物を含有することを特徴とする食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特開平4−20250号公報
【特許文献2】特開2000−197451公報
【特許文献3】特開2002−315518公報
【特許文献4】特開平8−56570号公報
【非特許文献1】「食品多糖類〜乳化.ゲル化の知識」、國崎直道・佐野征男著、幸書房、2001年発行
【0004】
フェヌグリークガムは、1年草のマメ科の植物であるフェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)の種子の胚乳である。フェヌグリークは中近東、アフリカ、インドで栽培され、食用や薬用に用いられてきたが、その種子はカレーの香辛料として広く用いられている。
【0005】
フェヌグリークガムは、ローカストビーンガムやグアガム等の従来から知られているガム類と同じく、成分中にガラクトマンナンを含む物質であって、従来増粘剤として作用することは知られていたが、食品用のゲル化剤として用いられたことはない。
【0006】
また、増粘多糖類の中には、それ単独ではゲル化しないキサンタンガムや、ゲル化効果が弱いものとしてιカラギーナンがある。特にιカラギーナンは、ローカストビーンガムを併用してもゲル化効果が増強されることがない(【非特許文献1】)。そこで現在では、塩類を併用する方法が汎用されている。しかしながら、塩類を用いると、食味自体に影響を与えるという問題がある。
【0007】
さらに、新たな食品を求める消費者のニーズは高く、ゼリー、プリン、ババロア、クリーム、ペースト、スープ、ドレッシングなどのゲル状食品や増粘された液状食品等も例外ではない。これらの食品も様々なものが開発、商品化されているが、それらのほとんどは0℃〜15℃の低温状態か、あるいは常温で流通している。その理由は、ゲル状食品や増粘された液状食品を冷凍すると、ゲル状食品や増粘された液状食品組織中の水分が氷結するため、ゲルや増粘状態が破壊されるためである。ゲル状食品等には、一部冷凍流通されているものもあるが、それらは、味質、食感などが制限されているものである。また、得られたゼリー状食品や増粘された液状食品を加熱殺菌してレトルト処理するとゲルが破壊されたり、離水したり、層分離するなどの耐熱性に乏しいものも多かった。
【0008】
また、胡麻は栄養価に優れた食材として様々な食品に用いられているが、胡麻ペーストは常温で液状であり、油分が経時的に分離してくる等の問題がある。
【0009】
ゲル状食品の冷凍耐性を高める方法として、特許文献1には、甘み成分として複数の糖、もしくは糖と糖アルコールを併用することが記載されているが、糖度が55%以上となるように糖等を添加しなければならず、味質の点で問題があった。
【0010】
特許文献2には、流動性デザート用冷菓として、増粘多糖類含有冷菓と水性媒体の混合により、流動性のあるデザートを調整する方法が記載されているが、調整前の増粘多糖類含有冷菓と調整後の流動性デザート用冷菓とでは、全く食感が異なる。
【0011】
特許文献3には、冷凍耐性に優れたゲルを調整する方法として、単糖、および二糖にアルギン酸ナトリウムを添加する方法が記載されているが、アルギン酸ナトリウムには耐酸性、耐熱性がない。
【0012】
特許文献4には、乳化剤と糊料を用いて胡麻ペーストをスプレッド化する技術が開示されているが、冷凍耐性に関する記載がなく、またモノグリセライド等の乳化剤の添加を必要としている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、フェヌグリークガムを食品用増粘・ゲル化剤として用いることを試みたが、フェヌグリークガム単独ではゲル化しないことが分かった。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、それ単独ではゲル化効果のないフェヌグリークガムを用いた、新規な食品用増粘・ゲル化剤組成物を提供することにある。
【0015】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、食感や食味の変化がなく、耐熱性および冷凍耐性に優れた食品用増粘・ゲル化剤組成物および耐熱性および冷凍耐性に優れたゲル状食品または増粘された液状食品を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために様々な増粘多糖類を組み合わせて増粘・ゲル化剤を調整し、その冷凍耐性等の物性を調べた。その結果、フェヌグリークガムと特定の増粘多糖類を組み合わせることにより、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち本発明は、
(1)ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とする食品用増粘・ゲル化剤組成物、
(2)ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とする増粘された液状食品、
(3)さらに油分を含むことを特徴とする(2)に記載された増粘された液状食品、
(4)前記油分が胡麻ペーストであることを特徴とする(3)に記載された液状食品、
(5)ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とするゲル状食品、
(6)さらに油分を含むことを特徴とする(5)に記載されたゲル状食品、
(7)前記油分が胡麻ペーストであることを特徴とする(6)に記載されたゲル状食品、
に関するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の増粘・ゲル化剤組成物において、必須成分として用いられるフェヌグリークガムとは、下記のようなものである。
【0019】
すなわち、フェヌグリークガムとは、1年草のマメ科の植物であるフェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)の種子の胚乳である。
【0020】
本発明において用いられるフェヌグリークガムは、フェヌグリークの種子の胚乳を精製したものであり、フェヌグリークガムに含まれる主要成分はガラクトマンナンである。フェヌグリークガムはその精製の度合いにより、ガラクトマンナンの含有率が異なるが、本発明に用いるフェヌグリークガムとしては、ガラクトマンナンが80%以上含まれているものが、不純物が少なく、ゲル化が十分行われる点で好ましい。なお、フェヌグリークガム単独では、ゲル化効果が認められない。
【0021】
ローカストビーンガムの主要成分であるガラクトマンナンのガラクトースとマンノースの構成比が1:4であるのに対して、フェヌグリークガムに含まれるガラクトマンナンは、ガラクトースとマンノースの構成比が1:1であるところに特徴がある。
【0022】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物の他の必須成分は、ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムである。
【0023】
本発明における、ιカラギーナンとは、紅藻類より抽出された多糖類であり、ガラクトースがβ−1,3結合した構造を持っている。カラギーナンにはκ、λ、ι、μ、ν、θ、ζ、πの8成分があることが見いだされているが、商業的に汎用されているのはκ、λ、ιの3種類である。そのうち、ゲル化するのはκ、ιカラギーナンである。κカラギーナンがガラクトース基2つに対して1つ、λカラギーナンがガラクトース基2つに対して3つの半エステル化した硫酸基を持つのに対し、ιカラギーナンはガラクトース基2つに対して2つの硫酸基を持つ。κカラギーナンが脆くて硬い、離水傾向の大きいゲルを形成するのに対し、ιカラギーナンは弾力のある離水傾向の少ないゲルを形成し、カリウム、カルシウムなどのカチオン存在下でゲル強度が増大する。
【0024】
本発明における、キサンタンガムとは、キサントモナス・キャンペストリスが菌体外に産出する多糖類で、β−D−グルコースが1→4結合したアンヒドログルコースにアセチル化したD−マンノース、D−グルクロン酸、D−マンノースからなる側鎖が結合した構造を持っている。キサンタンガム単独では、ゲル化効果が認められない。
【0025】
本発明の増粘・ゲル化剤は、冷凍耐性、耐熱性に優れており、さらに乳化安定性にも優れている。従って、油分を含有する食材に本発明の増粘・ゲル化剤を添加した場合、モノグリセライド等の乳化剤を添加しなくても、安定な増粘・ゲル化構造を形成する。油分を添加した場合も、冷凍耐性、耐熱性に優れ、離水することもない。
【0026】
なお、本発明における油分とは、人間が摂取して消化吸収、栄養源として利用できる脂肪酸エステルであり、動物及び植物由来の双方を指す。例として、胡麻油、サラダ油、カカオ脂、乳脂等を挙げることができる。
【0027】
特に油分としてペースト状の胡麻油を選択して本発明の増粘・ゲル化剤を添加した場合は、冷蔵時ふわふわとしたムース様食感のゲルを形成するが、冷凍時もその食感は損なわれないため、アイスクリームとしても食用可能である。
【0028】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物において、何故ιカラギーナンやキサンタンガムにフェヌグリークガムを併用することによりゲル化効果が認められるのか詳細な理由は不明であるが、静電気的な作用(例えば表面電荷)等の物理的要因が考えられる。
【0029】
フェヌグリークガムとιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムの配合割合は、重量比で1:9〜9:1、好ましくは1:9〜1:1の範囲である。
【0030】
本発明の食品用ゲル化剤組成物は用いる食品によりその添加量は異なるが、たとえば0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲で適宜選択すればよい。
【0031】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物により形成されたゲルは粘性があり、のびるような食感のある柔らかいゲルである。
【0032】
また、本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物を用いて調製されたゲル状食品や増粘された液状食品を加熱溶解し、再度冷却しても食感やゲル強度にほとんど影響がない。すなわち耐熱性に優れたゲル状食品や増粘された液状食品を得ることができる。
【0033】
また本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物を用いて調製したゲル状食品や増粘された液状食品を、一度冷凍し、解凍しても、その食感は、冷凍前とほとんど変わらない。すなわち冷凍耐性に優れたゲル状食品や増粘された液状食品を得ることができる。
【0034】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤を適用できる食品としては、例えば各種ゼリー、ババロア、プリン、茶碗蒸し、テリーヌ等のゲル状食品やクリーム、ペースト、スープ、サラダドレッシング等の増粘された液状食品を挙げることができる。
【0035】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物を用いてゲル状食品を製造するには、例えば煮こごり風ゼリーを製造する方法として以下の方法が挙げられる。
【0036】
まずフェヌグリークガム、キサンタンガム、デキストリン、食塩を粉体で混合し、水に分散させた後、90℃程度に加熱して溶解する。次いで、約50℃〜70℃まで冷ました後、醤油、酒等の調味料を添加して冷却すればよい。
【0037】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、表中の「%」は、重量に基づくものである。
【0038】
実施例1
フェヌグリークガムまたはιカラギーナンの単品と、フェヌグリークガムとιカラギーナンとの併用系におけるゲル強度を調べた。測定用サンプルの調整方法およびゲル強度の測定方法は、以下の通りである。その結果を表1に示す。
【0039】
(測定用サンプルの調製法)
(a)フェヌグリークガム単品、(b)ιカラギーナン単品、(c)フェヌグリークガムとιカラギーナンの混合物それぞれに、デキストリンを3.5重量%の割合で加えて粉体のまま混合する。混合物を純水中に分散させ、スターラーを用いて攪拌する。分散液に、液中の(a)成分、(b)成分、(c)成分の添加量(重量%)が所定の値になるように純水を加えて重量調整し、90℃で5分間加熱して溶解する。得られた溶液をゲル強度測定容器に流し入れ、一晩5℃の冷蔵庫で冷却し、ゲル強度を測定する。
【0040】
(ゲル強度の測定条件)
・測定装置:RHEO METER CR−200D(商品名、(株)サン科学製)
・ロータ:φ=10mm
・荷重:2Kg
*ゲル強度:荷重をかけた時ゲルが壊れない最大圧力
*破断長さ:荷重をかけた時、最大圧力に達するまでの長さ
【0041】
(表中の略語の意味)
・F:フェヌグリークガム
・Cι:ιカラギーナン
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示した結果から明らかなように、フェヌグリークガムとιカラギーナンを併用することにより、ゲル化効果が相乗的に増加することが分かる。
【0044】
実施例2
実施例1においてフェヌグリークガムとιカラギーナンを併用して調製したサンプルを100℃で30分加熱した後、再度冷却してゲル強度を測定した。その結果を表2に示す。なお、ゲル強度の測定条件は実施例1に準じた。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示した結果から明らかなように、1度調製したゲルを100℃で30分加熱した後、再び冷却しても、物性はほとんど変化していないことが分かる。
【0047】
すなわち、フェヌグリークガムとιカラギーナンを併用して調製したゲルは、耐熱性に優れていることが分かる。
【0048】
実施例3
フェヌグリークガムとキサンタンガムとの併用系におけるゲル強度を調べた。その結果を表3に示す。なお、測定用サンプルの調製方法とゲル強度の測定条件は実施例1に準じた。
【0049】
(表中の略語の意味)
・F:フェヌグリークガム
・X:キサンタンガム
【0050】
【表3】
【0051】
表3に示した結果から明らかなように、フェヌグリークガム、キサンタンガムとも単独ではゲル化しないが、両者を混合することにより柔らかいゲルを形成することが分かる。
【0052】
実施例4
表4に示した組成に基づいて、胡麻ムースを調製した。まず、増粘・ゲル化剤(キサンタンガム単独またはキサンタンガム−フェヌグリークガム併用)を水の一部に加えた後、85℃で5分間加熱した。別に黒胡麻ペーストを50℃に加温した。加温した増粘・ゲル化剤と砂糖を含む水を70℃まで冷却後、黒胡麻ペーストを加え、更に残りの水を加えて重量調整し、混合した。その後、カップに注ぎ密封後、5℃まで冷却して胡麻ムースを調製した。
【0053】
得られた胡麻ムースの製造直後のゲル強度と破断長さを測定し、その結果を表5に示す。
【0054】
得られた胡麻ムースを−30℃で冷凍し、その後解凍した後のゲル強度と破断長さの測定結果を表6に示す。
【0055】
また、得られた胡麻ムースを121℃、20分の条件でレトルト処理した後のゲル強度と破断長さの測定結果を表7に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
表5〜表7に示した結果から明らかなように、キサンタンガム単独で調製した胡麻ムースは、冷凍後解凍時に離水し、レトルト処理をしても2層に分離してしまう。それに対し、キサンタンガムとフェヌグリークガムを併用して調製した胡麻ムースは、冷凍耐性に優れ、レトルト処理をしても分離することがなかった。さらに、キサンタンガムとフェヌグリークガムを併用して調製した胡麻ムースは冷凍しても、柔らかくムース状食感を有し、冷凍時にそのまま食することができた。
【0061】
なお、フェヌグリークガム単独では、ゲル化せず、胡麻ムースを得ることができなかった。
【0062】
実施例5
表8に示した組成に基づいてチョコレートクリーム(C1、C2)を調製した。まず、増粘・ゲル化剤、砂糖を水の一部に加えた後、85℃で5分間加熱した。別に、固形チョコレートを50℃に加温した。加温した増粘・ゲル化剤と砂糖を含む水を70℃まで冷却後、加温した固形チョコレートを加え、更に残りの水を加えて重量調整し、混合した。その後、カップに注ぎ密封後、5℃まで冷却してチョコレートクリームを調製した。調製直後の粘度を併せて表8に示す。
【0063】
得られたチョコレートクリームを−30℃で冷凍し、その後解凍した後の粘度を表9に、120℃、20分の条件でレトルト処理したものの粘度を表10に示す。
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
表8〜表10に示した結果から明らかなように、本発明の増粘・ゲル化剤組成物を用いて調製したチョコレートクリームは冷凍耐性に優れており、レトルト処理後も分離せず耐熱性にも優れていることが分かった。
【0068】
実施例6
表11に示した組成に基づいて、フレンチドレッシングを調製した。増粘ゲル化剤、砂糖、クエン酸ナトリウム、塩を混合し、水の一部に加え、攪拌した。更に食酢、サラダ油を加えて攪拌した。次いでクエン酸を用いてpH調整を行い、更に残りの水を加えて重量調整した。その後ホモジナイズし、85℃で5分間加熱し、粘度測定用容器に注ぎ、25℃まで冷却してフレンチドレッシングを調製した。得られたフレンチドレッシングを−30℃で冷凍し、冷凍前の粘度と冷凍後解凍した時の粘度を測定し、併せて表11に示した。
【0069】
耐熱性を調べるため、121℃、20分の条件でレトルト処理した直後の状態と、レトルト後2週間保存したときの状態を調べた結果を表12に併せて示す。
【0070】
【表11】
【0071】
表11に示した結果から明らかなように、酸性で塩を含む食品においても本発明の増粘・ゲル化剤を添加することにより冷凍耐性および耐熱性に優れたフレンチドレッシングを得ることができる。フェヌグリークガム単独、またはキサンタンガム単独を用いたフレンチドレッシングは冷凍耐性はあるものの、耐熱性に劣るものであった。
【0072】
実施例7
表12に示した処方に基づいて、フェヌグリークガム、キサンタンガム、デキストリン、NaClを粉体のまま混合し、半量の水に分散させて、90℃で5分間加熱した。約50℃〜70℃まで冷ました後、残りの水および調味料(醤油、酒)を加え重量調整を行った。その後、一晩5℃の冷蔵庫で冷却し、総菜系の煮こごり風ゼリーを調製した。
【0073】
【表12】
【0074】
実施例8
表13に記載した処方に基づいて、フェヌグリークガム、ιカラギーナン、デキストリン、NaClを粉体のまま混合し、半量の水に分散させ、90℃で5分間加熱した(溶液1)。小麦粉、カレー粉を残りの半量の水に加え、約50℃〜70に加熱しながら攪拌溶解した(溶液2)。溶液1に溶液2を加えて、5℃に冷却して総菜系のカレーゼリーを調製した。得られたカレーゼリーのゲル強度、破断長さを実施例1に準じて測定した。その結果を表13に併せて示す。
【0075】
【表13】
【0076】
【発明の効果】
本発明により、従来ゲル化剤として用いられていなかったフェヌグリークガムにιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとを併用することにより、従来になかった新規な食品用増粘・ゲル化剤組成物を得ることができる。
【0077】
また、本発明の増粘・ゲル化剤を用いることにより、冷凍耐性および耐熱性に優れたゲル状食品および増粘された液状食品を得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェヌグリークガムを含むことを特徴とする新規な食品用増粘・ゲル化剤組成物に関するものである。更に詳しくは、冷凍耐性と耐熱性に優れた増粘・ゲル化剤組成物および該組成物を含有することを特徴とする食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
【特許文献1】特開平4−20250号公報
【特許文献2】特開2000−197451公報
【特許文献3】特開2002−315518公報
【特許文献4】特開平8−56570号公報
【非特許文献1】「食品多糖類〜乳化.ゲル化の知識」、國崎直道・佐野征男著、幸書房、2001年発行
【0004】
フェヌグリークガムは、1年草のマメ科の植物であるフェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)の種子の胚乳である。フェヌグリークは中近東、アフリカ、インドで栽培され、食用や薬用に用いられてきたが、その種子はカレーの香辛料として広く用いられている。
【0005】
フェヌグリークガムは、ローカストビーンガムやグアガム等の従来から知られているガム類と同じく、成分中にガラクトマンナンを含む物質であって、従来増粘剤として作用することは知られていたが、食品用のゲル化剤として用いられたことはない。
【0006】
また、増粘多糖類の中には、それ単独ではゲル化しないキサンタンガムや、ゲル化効果が弱いものとしてιカラギーナンがある。特にιカラギーナンは、ローカストビーンガムを併用してもゲル化効果が増強されることがない(【非特許文献1】)。そこで現在では、塩類を併用する方法が汎用されている。しかしながら、塩類を用いると、食味自体に影響を与えるという問題がある。
【0007】
さらに、新たな食品を求める消費者のニーズは高く、ゼリー、プリン、ババロア、クリーム、ペースト、スープ、ドレッシングなどのゲル状食品や増粘された液状食品等も例外ではない。これらの食品も様々なものが開発、商品化されているが、それらのほとんどは0℃〜15℃の低温状態か、あるいは常温で流通している。その理由は、ゲル状食品や増粘された液状食品を冷凍すると、ゲル状食品や増粘された液状食品組織中の水分が氷結するため、ゲルや増粘状態が破壊されるためである。ゲル状食品等には、一部冷凍流通されているものもあるが、それらは、味質、食感などが制限されているものである。また、得られたゼリー状食品や増粘された液状食品を加熱殺菌してレトルト処理するとゲルが破壊されたり、離水したり、層分離するなどの耐熱性に乏しいものも多かった。
【0008】
また、胡麻は栄養価に優れた食材として様々な食品に用いられているが、胡麻ペーストは常温で液状であり、油分が経時的に分離してくる等の問題がある。
【0009】
ゲル状食品の冷凍耐性を高める方法として、特許文献1には、甘み成分として複数の糖、もしくは糖と糖アルコールを併用することが記載されているが、糖度が55%以上となるように糖等を添加しなければならず、味質の点で問題があった。
【0010】
特許文献2には、流動性デザート用冷菓として、増粘多糖類含有冷菓と水性媒体の混合により、流動性のあるデザートを調整する方法が記載されているが、調整前の増粘多糖類含有冷菓と調整後の流動性デザート用冷菓とでは、全く食感が異なる。
【0011】
特許文献3には、冷凍耐性に優れたゲルを調整する方法として、単糖、および二糖にアルギン酸ナトリウムを添加する方法が記載されているが、アルギン酸ナトリウムには耐酸性、耐熱性がない。
【0012】
特許文献4には、乳化剤と糊料を用いて胡麻ペーストをスプレッド化する技術が開示されているが、冷凍耐性に関する記載がなく、またモノグリセライド等の乳化剤の添加を必要としている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、フェヌグリークガムを食品用増粘・ゲル化剤として用いることを試みたが、フェヌグリークガム単独ではゲル化しないことが分かった。
【0014】
本発明が解決しようとする課題は、それ単独ではゲル化効果のないフェヌグリークガムを用いた、新規な食品用増粘・ゲル化剤組成物を提供することにある。
【0015】
さらに、本発明が解決しようとする課題は、食感や食味の変化がなく、耐熱性および冷凍耐性に優れた食品用増粘・ゲル化剤組成物および耐熱性および冷凍耐性に優れたゲル状食品または増粘された液状食品を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために様々な増粘多糖類を組み合わせて増粘・ゲル化剤を調整し、その冷凍耐性等の物性を調べた。その結果、フェヌグリークガムと特定の増粘多糖類を組み合わせることにより、上記課題が解決されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0017】
すなわち本発明は、
(1)ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とする食品用増粘・ゲル化剤組成物、
(2)ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とする増粘された液状食品、
(3)さらに油分を含むことを特徴とする(2)に記載された増粘された液状食品、
(4)前記油分が胡麻ペーストであることを特徴とする(3)に記載された液状食品、
(5)ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とするゲル状食品、
(6)さらに油分を含むことを特徴とする(5)に記載されたゲル状食品、
(7)前記油分が胡麻ペーストであることを特徴とする(6)に記載されたゲル状食品、
に関するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の増粘・ゲル化剤組成物において、必須成分として用いられるフェヌグリークガムとは、下記のようなものである。
【0019】
すなわち、フェヌグリークガムとは、1年草のマメ科の植物であるフェヌグリーク(Trigonella foenum−graecum)の種子の胚乳である。
【0020】
本発明において用いられるフェヌグリークガムは、フェヌグリークの種子の胚乳を精製したものであり、フェヌグリークガムに含まれる主要成分はガラクトマンナンである。フェヌグリークガムはその精製の度合いにより、ガラクトマンナンの含有率が異なるが、本発明に用いるフェヌグリークガムとしては、ガラクトマンナンが80%以上含まれているものが、不純物が少なく、ゲル化が十分行われる点で好ましい。なお、フェヌグリークガム単独では、ゲル化効果が認められない。
【0021】
ローカストビーンガムの主要成分であるガラクトマンナンのガラクトースとマンノースの構成比が1:4であるのに対して、フェヌグリークガムに含まれるガラクトマンナンは、ガラクトースとマンノースの構成比が1:1であるところに特徴がある。
【0022】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物の他の必須成分は、ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムである。
【0023】
本発明における、ιカラギーナンとは、紅藻類より抽出された多糖類であり、ガラクトースがβ−1,3結合した構造を持っている。カラギーナンにはκ、λ、ι、μ、ν、θ、ζ、πの8成分があることが見いだされているが、商業的に汎用されているのはκ、λ、ιの3種類である。そのうち、ゲル化するのはκ、ιカラギーナンである。κカラギーナンがガラクトース基2つに対して1つ、λカラギーナンがガラクトース基2つに対して3つの半エステル化した硫酸基を持つのに対し、ιカラギーナンはガラクトース基2つに対して2つの硫酸基を持つ。κカラギーナンが脆くて硬い、離水傾向の大きいゲルを形成するのに対し、ιカラギーナンは弾力のある離水傾向の少ないゲルを形成し、カリウム、カルシウムなどのカチオン存在下でゲル強度が増大する。
【0024】
本発明における、キサンタンガムとは、キサントモナス・キャンペストリスが菌体外に産出する多糖類で、β−D−グルコースが1→4結合したアンヒドログルコースにアセチル化したD−マンノース、D−グルクロン酸、D−マンノースからなる側鎖が結合した構造を持っている。キサンタンガム単独では、ゲル化効果が認められない。
【0025】
本発明の増粘・ゲル化剤は、冷凍耐性、耐熱性に優れており、さらに乳化安定性にも優れている。従って、油分を含有する食材に本発明の増粘・ゲル化剤を添加した場合、モノグリセライド等の乳化剤を添加しなくても、安定な増粘・ゲル化構造を形成する。油分を添加した場合も、冷凍耐性、耐熱性に優れ、離水することもない。
【0026】
なお、本発明における油分とは、人間が摂取して消化吸収、栄養源として利用できる脂肪酸エステルであり、動物及び植物由来の双方を指す。例として、胡麻油、サラダ油、カカオ脂、乳脂等を挙げることができる。
【0027】
特に油分としてペースト状の胡麻油を選択して本発明の増粘・ゲル化剤を添加した場合は、冷蔵時ふわふわとしたムース様食感のゲルを形成するが、冷凍時もその食感は損なわれないため、アイスクリームとしても食用可能である。
【0028】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物において、何故ιカラギーナンやキサンタンガムにフェヌグリークガムを併用することによりゲル化効果が認められるのか詳細な理由は不明であるが、静電気的な作用(例えば表面電荷)等の物理的要因が考えられる。
【0029】
フェヌグリークガムとιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムの配合割合は、重量比で1:9〜9:1、好ましくは1:9〜1:1の範囲である。
【0030】
本発明の食品用ゲル化剤組成物は用いる食品によりその添加量は異なるが、たとえば0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%の範囲で適宜選択すればよい。
【0031】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物により形成されたゲルは粘性があり、のびるような食感のある柔らかいゲルである。
【0032】
また、本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物を用いて調製されたゲル状食品や増粘された液状食品を加熱溶解し、再度冷却しても食感やゲル強度にほとんど影響がない。すなわち耐熱性に優れたゲル状食品や増粘された液状食品を得ることができる。
【0033】
また本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物を用いて調製したゲル状食品や増粘された液状食品を、一度冷凍し、解凍しても、その食感は、冷凍前とほとんど変わらない。すなわち冷凍耐性に優れたゲル状食品や増粘された液状食品を得ることができる。
【0034】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤を適用できる食品としては、例えば各種ゼリー、ババロア、プリン、茶碗蒸し、テリーヌ等のゲル状食品やクリーム、ペースト、スープ、サラダドレッシング等の増粘された液状食品を挙げることができる。
【0035】
本発明の食品用増粘・ゲル化剤組成物を用いてゲル状食品を製造するには、例えば煮こごり風ゼリーを製造する方法として以下の方法が挙げられる。
【0036】
まずフェヌグリークガム、キサンタンガム、デキストリン、食塩を粉体で混合し、水に分散させた後、90℃程度に加熱して溶解する。次いで、約50℃〜70℃まで冷ました後、醤油、酒等の調味料を添加して冷却すればよい。
【0037】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されることはない。なお、表中の「%」は、重量に基づくものである。
【0038】
実施例1
フェヌグリークガムまたはιカラギーナンの単品と、フェヌグリークガムとιカラギーナンとの併用系におけるゲル強度を調べた。測定用サンプルの調整方法およびゲル強度の測定方法は、以下の通りである。その結果を表1に示す。
【0039】
(測定用サンプルの調製法)
(a)フェヌグリークガム単品、(b)ιカラギーナン単品、(c)フェヌグリークガムとιカラギーナンの混合物それぞれに、デキストリンを3.5重量%の割合で加えて粉体のまま混合する。混合物を純水中に分散させ、スターラーを用いて攪拌する。分散液に、液中の(a)成分、(b)成分、(c)成分の添加量(重量%)が所定の値になるように純水を加えて重量調整し、90℃で5分間加熱して溶解する。得られた溶液をゲル強度測定容器に流し入れ、一晩5℃の冷蔵庫で冷却し、ゲル強度を測定する。
【0040】
(ゲル強度の測定条件)
・測定装置:RHEO METER CR−200D(商品名、(株)サン科学製)
・ロータ:φ=10mm
・荷重:2Kg
*ゲル強度:荷重をかけた時ゲルが壊れない最大圧力
*破断長さ:荷重をかけた時、最大圧力に達するまでの長さ
【0041】
(表中の略語の意味)
・F:フェヌグリークガム
・Cι:ιカラギーナン
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示した結果から明らかなように、フェヌグリークガムとιカラギーナンを併用することにより、ゲル化効果が相乗的に増加することが分かる。
【0044】
実施例2
実施例1においてフェヌグリークガムとιカラギーナンを併用して調製したサンプルを100℃で30分加熱した後、再度冷却してゲル強度を測定した。その結果を表2に示す。なお、ゲル強度の測定条件は実施例1に準じた。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示した結果から明らかなように、1度調製したゲルを100℃で30分加熱した後、再び冷却しても、物性はほとんど変化していないことが分かる。
【0047】
すなわち、フェヌグリークガムとιカラギーナンを併用して調製したゲルは、耐熱性に優れていることが分かる。
【0048】
実施例3
フェヌグリークガムとキサンタンガムとの併用系におけるゲル強度を調べた。その結果を表3に示す。なお、測定用サンプルの調製方法とゲル強度の測定条件は実施例1に準じた。
【0049】
(表中の略語の意味)
・F:フェヌグリークガム
・X:キサンタンガム
【0050】
【表3】
【0051】
表3に示した結果から明らかなように、フェヌグリークガム、キサンタンガムとも単独ではゲル化しないが、両者を混合することにより柔らかいゲルを形成することが分かる。
【0052】
実施例4
表4に示した組成に基づいて、胡麻ムースを調製した。まず、増粘・ゲル化剤(キサンタンガム単独またはキサンタンガム−フェヌグリークガム併用)を水の一部に加えた後、85℃で5分間加熱した。別に黒胡麻ペーストを50℃に加温した。加温した増粘・ゲル化剤と砂糖を含む水を70℃まで冷却後、黒胡麻ペーストを加え、更に残りの水を加えて重量調整し、混合した。その後、カップに注ぎ密封後、5℃まで冷却して胡麻ムースを調製した。
【0053】
得られた胡麻ムースの製造直後のゲル強度と破断長さを測定し、その結果を表5に示す。
【0054】
得られた胡麻ムースを−30℃で冷凍し、その後解凍した後のゲル強度と破断長さの測定結果を表6に示す。
【0055】
また、得られた胡麻ムースを121℃、20分の条件でレトルト処理した後のゲル強度と破断長さの測定結果を表7に示す。
【0056】
【表4】
【0057】
【表5】
【0058】
【表6】
【0059】
【表7】
【0060】
表5〜表7に示した結果から明らかなように、キサンタンガム単独で調製した胡麻ムースは、冷凍後解凍時に離水し、レトルト処理をしても2層に分離してしまう。それに対し、キサンタンガムとフェヌグリークガムを併用して調製した胡麻ムースは、冷凍耐性に優れ、レトルト処理をしても分離することがなかった。さらに、キサンタンガムとフェヌグリークガムを併用して調製した胡麻ムースは冷凍しても、柔らかくムース状食感を有し、冷凍時にそのまま食することができた。
【0061】
なお、フェヌグリークガム単独では、ゲル化せず、胡麻ムースを得ることができなかった。
【0062】
実施例5
表8に示した組成に基づいてチョコレートクリーム(C1、C2)を調製した。まず、増粘・ゲル化剤、砂糖を水の一部に加えた後、85℃で5分間加熱した。別に、固形チョコレートを50℃に加温した。加温した増粘・ゲル化剤と砂糖を含む水を70℃まで冷却後、加温した固形チョコレートを加え、更に残りの水を加えて重量調整し、混合した。その後、カップに注ぎ密封後、5℃まで冷却してチョコレートクリームを調製した。調製直後の粘度を併せて表8に示す。
【0063】
得られたチョコレートクリームを−30℃で冷凍し、その後解凍した後の粘度を表9に、120℃、20分の条件でレトルト処理したものの粘度を表10に示す。
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
表8〜表10に示した結果から明らかなように、本発明の増粘・ゲル化剤組成物を用いて調製したチョコレートクリームは冷凍耐性に優れており、レトルト処理後も分離せず耐熱性にも優れていることが分かった。
【0068】
実施例6
表11に示した組成に基づいて、フレンチドレッシングを調製した。増粘ゲル化剤、砂糖、クエン酸ナトリウム、塩を混合し、水の一部に加え、攪拌した。更に食酢、サラダ油を加えて攪拌した。次いでクエン酸を用いてpH調整を行い、更に残りの水を加えて重量調整した。その後ホモジナイズし、85℃で5分間加熱し、粘度測定用容器に注ぎ、25℃まで冷却してフレンチドレッシングを調製した。得られたフレンチドレッシングを−30℃で冷凍し、冷凍前の粘度と冷凍後解凍した時の粘度を測定し、併せて表11に示した。
【0069】
耐熱性を調べるため、121℃、20分の条件でレトルト処理した直後の状態と、レトルト後2週間保存したときの状態を調べた結果を表12に併せて示す。
【0070】
【表11】
【0071】
表11に示した結果から明らかなように、酸性で塩を含む食品においても本発明の増粘・ゲル化剤を添加することにより冷凍耐性および耐熱性に優れたフレンチドレッシングを得ることができる。フェヌグリークガム単独、またはキサンタンガム単独を用いたフレンチドレッシングは冷凍耐性はあるものの、耐熱性に劣るものであった。
【0072】
実施例7
表12に示した処方に基づいて、フェヌグリークガム、キサンタンガム、デキストリン、NaClを粉体のまま混合し、半量の水に分散させて、90℃で5分間加熱した。約50℃〜70℃まで冷ました後、残りの水および調味料(醤油、酒)を加え重量調整を行った。その後、一晩5℃の冷蔵庫で冷却し、総菜系の煮こごり風ゼリーを調製した。
【0073】
【表12】
【0074】
実施例8
表13に記載した処方に基づいて、フェヌグリークガム、ιカラギーナン、デキストリン、NaClを粉体のまま混合し、半量の水に分散させ、90℃で5分間加熱した(溶液1)。小麦粉、カレー粉を残りの半量の水に加え、約50℃〜70に加熱しながら攪拌溶解した(溶液2)。溶液1に溶液2を加えて、5℃に冷却して総菜系のカレーゼリーを調製した。得られたカレーゼリーのゲル強度、破断長さを実施例1に準じて測定した。その結果を表13に併せて示す。
【0075】
【表13】
【0076】
【発明の効果】
本発明により、従来ゲル化剤として用いられていなかったフェヌグリークガムにιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとを併用することにより、従来になかった新規な食品用増粘・ゲル化剤組成物を得ることができる。
【0077】
また、本発明の増粘・ゲル化剤を用いることにより、冷凍耐性および耐熱性に優れたゲル状食品および増粘された液状食品を得ることができる。
Claims (7)
- ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とする食品用増粘・ゲル化剤組成物。
- ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とする増粘された液状食品。
- さらに油分を含むことを特徴とする請求項2に記載された増粘された液状食品。
- 前記油分が胡麻ペーストであることを特徴とする請求項3に記載された液状食品。
- ιカラギーナンおよび/またはキサンタンガムとフェヌグリークガムを含むことを特徴とするゲル状食品。
- さらに油分を含むことを特徴とする請求項5に記載されたゲル状食品。
- 前記油分が胡麻ペーストであることを特徴とする請求項6に記載されたゲル状食品。
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