JP2004235112A - 電磁波を減少させる電力導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】電磁波を発生させない電線、発熱線、電線と発熱線とを組合わせた
電力導体を提供する。
【解決手段】単相2線式電源に接続する電力導体1を、4本の導線2a、2
b、3a、3bの中心が四角形の角部にそれぞれ配置して1束に集合させて4
芯構造に形成し、これらの導線は2対の導線を平行して集合させ、かつ、その
外周を一つの絶縁被覆4されており、一対の導線に平行する他の一対の導線の
極性を逆に接続可能に構成したことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電気配線、電気コード、暖房用カーペットヒーター、電気機器より発生する電磁波を消去する電力導体と、この電力導体の配線方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
送電線、テレビ、エアコンあるいは電子レンジ等から電磁波が多量に発生していることは周知であり、例えば、国立環境研究所と国立ガンセンターは全国免疫学調査を行なっている。この調査は15歳未満の白血病の子供約350人について、室内の電磁波、送電線までの距離や電気製品の使用状況と、健康な子供約700人について日常生活の電磁波の影響などについて調査したもので、その結果、電磁波の平均値が0.4マイクロステラ(4ミリガウス)を越えると小児白血病の発生率が2倍になることが報告されている(例えば、非特許文献1)。
【0003】
【非特許文献1】
毎日新聞社、2002.9.15発行「サンデー毎日」(第35〜38頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記電磁波に関する記事は、電気機器自体から発生するものを対象としており、直観的にこの電気機器から電磁波が発生してことを感じることが可能である。しかし、本発明者が電磁波について測定したところ、これらの電気機器からは予想通りの電磁波が放射されているが、これらの電気機器のみではなく、
屋内の電気配線や電気機器に接続される電気コード、暖房用カーペットヒーターあるいは電気機器の加熱ヒーターからも微量であるが発生していることが確認されている。
【0005】
従って、コンピュータ作業のようにコンピュータとこれに接続される配線の側に長時間生活しながら電磁波の照射を受けると、その電磁波は微弱であっても、その影響を無視できないことが理解できる。また、電子レンジのように目視により確認できる電気機器の場合は、それよりある距離をおきながら注意して生活することで、電磁波の照射をかなり防ぐことが可能である。
【0006】
しかし、身体に近い位置にある電気配線や調理装置や家電機器に接続される電気コード、暖房用カーペットヒーター、あるいは電気床暖房装置で電磁波のシールド機能を持たないものから離れて生活することは極めて難しい。
【0007】
従って、電気配線や電気コードなどから発生する微弱な電磁波でも、可能な限り低下させることが重要である。
【0008】
電気床暖房装置の場合、面状ヒーターが床構造内に敷設されているが、床面には子供が遊んだり、寝そべったりする機会があることから、本発明者は、その面状ヒータから発生する電磁波の影響があることを考慮して電磁波の強度を測定したところ、製品によって、また、測定する場所によって相違があるものの、100〜180ミリガウス程度の電磁波が発生していることが分かった。
【0009】
そこで本発明者の一人は、この面状ヒーターを使用した電気床暖房装置の電磁波の消去方法を開発し、先に提案している(特願2002−352877 号) 。
【0010】
この発明は同じ特性を持つ二枚の面状発熱体を準備し、これを重ね合わせると共に、2枚の面状発熱体に互いに逆方向に電流を流すように給電部の交流電源に接続し、更に二枚の面状発熱体の相互の位置を調整することによって電磁波を消去するものである。
【0011】
本発明は、前記発明の技術的思想を線条導電体からなる電力導体に適用することを検討した結果得られたものであって、通電中に電磁波を発生させない線条導電体からなる電力導体を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決する手段】
前記目的を達成するための本発明にかかる電力導体は下記のように構成されている。
【0013】
1)単相2線式電源に接続する電力導体を、4本の導線の中心が四角形の角部にそれぞれ配置して1束に集合させて4芯構造に形成し、これらの導線は2対の導線を平行して集合させ、かつ、その外周を一つの絶縁体で被覆されており、一対の導線に平行する他の一対の導線の極性を逆に接続可能に構成したことを特徴としている。
【0014】
2)単相2線式電源に接続する電力導体を、4本の導線の中心が四角形の角部にそれぞれ配置して1束に集合させて4芯構造に形成し、これらの導線は2対の導線を平行して集合させ、かつ、その外周を一つの絶縁体で被覆されており、前記2本の導線を電線として、他の2本の導線を発熱導体として4芯構造に形成し、一対の導線に平行する他の一対の導線の極性を逆に接続可能に構成したことを特徴としている。
【0015】
3)単相2線式電源に接続する電力導体を、4本の導線の中心が四角形の角部にそれぞれ配置して1束に集合させて4芯構造に形成し、これらの導線は2対の導線を平行して集合させ、かつ、その外周を一つの絶縁体で被覆されており、前記2対の導線の全てを発熱導体として4芯構造に形成し、一対の導線に平行する他の一対の導線の極性を逆に接続可能に構成したことを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(第1の実施例)
図1は本発明の基本的な電力導体の断面形状を示すもので、それぞれ絶縁被覆hを有する2a、2bの一対の導体(第1の導体)と、3a、3bの他の一対の導体(第2の導体)からなる4本の導体を十字形に配置して一束とし、その周囲を1本の円形のチューブ状の絶縁被覆4で覆って1本のケーブル状の電力導体1を構成している。この電力導体1は、その構造に複数の空間Sを有しており、これは単相の電線を2本合体させた4芯構造である。
【0018】
そしてこの電力導体1を家屋や電気機器に配線して使用する際は、導体2aを正極とすると導体2bを負極とする。また、導体2aに隣接する導体3bを負極に、この導体3bと導体2bに隣接する導体3aを正極に接続するものである。つまり、4芯のうち2芯は正極に、他の2芯は負極とした2対の導体として同一極性を相対する対称に配列することが条件である。そして電力を供給した場合の2対の導体の極性を逆方向にすることによって、2対の導体から発生する電磁波が互いに打ち消し合って消去されるように配線するものである。
【0019】
図2は、図1に示す電力導体1の2a、2bと〜3a、3bからなる2対の導体の周囲の全体を被覆する絶縁被覆4aを押出成形によって形成したもので、全体として1本にまとまったケーブルを構成しており、この電力導体1は比較的大きな張力に形成することができる。
【0020】
前記の構成の電力導体1は、単相交流電源に接続されて配線されるものであるが、第1の導体2a、2bと第2の導体3a、3bとは極性が逆になるように配線されることが重要である。
【0021】
(第2の実施例)
図3は、第1の導体2a、2bと第2の導体3a、3bの中心を略半径分ずらして菱形の形状に配置し、その表面に菱形の絶縁被覆4bを形成した4芯の電力導体1Aを示している。
【0022】
図4は、図3の第1の導体2a、2bと第2の導体3a、3bの中心を略半径分ずらして菱形の形状に配置し、その表面に絶縁被覆4cを押出成形によって形成した4芯の電力導体1Aを示している。
【0023】
図3及び図4に示す菱形配置の4芯の電力導体1Aの場合、断面形状が僅かに偏平に変化するので、電気機器が複雑な構造のものでも、この電力導体1Aを使用して配線することによって組み込みや配線が容易となる。
【0024】
なお、この構造の電力導体1Aの場合は、図1のものに比較すると2対の導体2、3の完全な対称性が変形するため、発生した電磁波を完全に消去することができないが、通常の単相配線に比較すると大幅に低減が可能となる。
【0025】
(第3の実施例)
前記図1ないし図3に示した断面構造と同様な構造の電力導体1、1Aにおいて、例えば、第1の導体4a、4bを絶縁被覆を持つニクロム線などの発熱導体とし、更に、第2の導体5a、5bを電力供給用の電線(銅線)として図5(A)に示す4芯の電力導体1Bとする。そして導体(発熱導体)4aと導体5aを正極とし、導体(発熱導体)4bと導体5bを負極とすると発熱導体4と導体5とは互いに逆の極性を持つことになる。
図5(B)は2対の電力導体4a、4bと5a、5bを菱形配置とした電力導体1Cを示している。
【0026】
前記電力導体1Bと1Cに通電した場合に発生する電磁波の消去作用は図1を参照して説明した通りである。
この構成の電力導体1B、1Cは、発熱線を構成しているので、暖房用カーペットヒーターや毛布用ヒーター、あるいは家庭用機器の加熱ヒーターとして使用できる。
【0027】
(第4の実施例)
前記第3の実施例の変形であるが、第1の導体6a、6bと第2の導体7a、7bの両方を発熱導体とした電力導体1Dとすることによって2対の発熱導体自体を利用して電磁波を消去するものである。この構造の電力導体1Dも暖房用カーペットヒーターや毛布に使用することができる。
(コネクタ、配線)
本発明は、2本一対からなる2対の導体、即ち、電線と電線の1対、ニクロム線のような発熱線の1対、電線とニクロム線のような電線の1対からなる2対を十字配置、あるいは菱形配置の状態でその外表面を絶縁被覆して1本のケーブルに纏め、1本の電力導体、あるいは1本の発熱導体として使用することを前提とするものである。そしてこの2対の導体は、隣接する導体が互いに異なる極性を持つように配線することが前提である。
【0028】
図7はターミナル部分(コネクタ)を示すもので、図(B)のように電源側ターミナル10は正極を2極、負極を2極とした合計4極に形成している。また、負荷側のターミナル11の部分は前記ターミナル10側からの2本の正極と2本の負極を合体させて1対の極を持つターミナルを構成している。
【0029】
要するに、電源側が単相で供給され、電力導体1は単相の2対の導体を所定の配列で1本のケーブル状に構成しているので、負荷側で単相として供給できるように構成したもの、あるいは負荷側において、2対の導体の正極同志及び負極同志を接続する構成のものであっても良い。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る電力導体は、単相2線式回路において、2対の導体(あるいは発熱導体)によって4芯構造で平行に配列された状態で、正極と負極を分離した構成とし、同一極性を相対した対称する形状に配置することによって、2対の導体に電力を供給した場合に、4本の導体から発生する電磁波の回転方向が、4芯で互いに逆方向になることによって、その導体から発生する電磁波は互いに打ち消し合うことになり、その導体から発生する電磁波は全体として消去されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2対の導体を1本に纏めた円形の電力導体の断面図である。
【図2】2対の導体を1本に纏めた円形の電力導体の断面図である。
【図3】2対の導体を1本に纏めた四角形のの電力導体の断面図である。
【図4】2対の導体を1本に纏めた四角形のの電力導体の断面図である。
【図5】(A)は、1対の導体と1対の発熱導体とを組合わせた電力導体の断面図、
(B)は1対の導体と、1対の発熱導体とを組合わせた電力導体の断面図である。
【図6】(A)は導体として2対の発熱導体を使用した電力導体の断面図、(B)は同様に導体として2対の発熱導体を使用した電力導体の断面図である。
【図7】(A)は4芯と2芯のコネクターの断面図、(B)は同コネクターの左側面図、(C)は同コネクターの右側面図である。
【符号の簡単な説明】
1 電力導体 2a、2b、3a、3b 導体
4 絶縁被覆

Claims (3)

  1. 単相2線式電源に接続する電力導体を、4本の導線の中心が四角形の角部にそれぞれ配置して1束に集合させて4芯構造に形成し、これらの導線は2対の導線を平行して集合させ、かつ、その外周を一つの絶縁体で被覆されており、
    一対の導線に平行する他の一対の導線の極性を逆に接続可能に構成したことを特徴とする電磁波を減少させる電力導体。
  2. 単相2線式電源に接続する電力導体を、4本の導線の中心が四角形の角部にそれぞれ配置して1束に集合させて4芯構造に形成し、これらの導線は2対の導線を平行して集合させ、かつ、その外周を一つの絶縁体で被覆されており、
    前記2本の導線を電線として、他の2本の導線を発熱導体として4芯構造に形成し、一対の導線に平行する他の一対の導線の極性を逆に接続可能に構成したことを特徴とする電磁波を減少させる電力導体。
  3. 単相2線式電源に接続する電力導体を、4本の導線の中心が四角形の角部にそれぞれ配置して1束に集合させて4芯構造に形成し、これらの導線は2対の導線を平行して集合させ、かつ、その外周を一つの絶縁体で被覆されており、
    前記2対の導線の全てを発熱導体として4芯構造に形成し、一対の導線に平行する他の一対の導線の極性を逆に接続可能に構成したことを特徴とする電磁波を減少させる電力導体。
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