JP2004233594A - 光電気回路基板及びそれを用いた光電気回路モジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば光送受信モジュール等、複数の光半導体素子による複数の光及び電気回路の実装に関し、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能であり、電子回路基板への実装性に優れた光電気回路基板及び光電気回路モジュールを提供すること。
【解決手段】表面に異方性エッチング溝21と導体として単一の導体のみからなる共通電極34を形成した光電気回路基板S1とし、異方性エッチング溝21を画像認識用マーカもしくは当て止め用ストッパーとして用いてS1上にLD11、PD22、レンズ43及び異方性エッチングによる斜面を有したハーフミラー45を配設し、第1光路47a及び第2光路47bを有する光電気回路を構成した光電気回路モジュールM1とする。
【選択図】 図2
【解決手段】表面に異方性エッチング溝21と導体として単一の導体のみからなる共通電極34を形成した光電気回路基板S1とし、異方性エッチング溝21を画像認識用マーカもしくは当て止め用ストッパーとして用いてS1上にLD11、PD22、レンズ43及び異方性エッチングによる斜面を有したハーフミラー45を配設し、第1光路47a及び第2光路47bを有する光電気回路を構成した光電気回路モジュールM1とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光送受信モジュール等において、複数の光半導体素子の光電気回路への実装に係る技術に関し、電気クロストークを極力抑制し、小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能であり、電子回路基板への実装性に優れた光電気回路基板及びそれを用いた光電気回路モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットに代表されるデータ通信ネットワークの普及にともない、公衆通信や構内通信(LAN)の分野において、光ファイバ通信が広く普及し発展してきている。特に、ファイバートゥーザホーム(FTTH)と呼ばれる光通信システムに代表されるように、加入者宅までの所謂ラストワンマイルと呼ばれる領域にも光ファイバ通信の普及が進んでいる。また、大規模事業者においては、構内に構築されたコンピュータネットワークを用いて、データの大容量化/転送速度の高速化がすすめられており、光ファイバ通信の普及が進んでいる。特に、イーサネット(R)と呼ばれる通信のための手順が一般に利用されている。
【0003】
こうした光ファイバ通信では、電気信号と光信号を双方に変換するための光電気回路をパッケージにモジュール化した光電気回路モジュールが必要不可欠であり、一般に、光トランシーバ、メディアコンバータ等の名称で製品化されている。
【0004】
FTTHにおいては、多くの場合、1芯の(または同一の)光ファイバに波長の異なる2つの光信号を、それぞれ送信用信号と受信用信号として伝送し、光送受信を行う方式(波長分割多重方式)が用いられる。
【0005】
イーサネット(R)においては、多くの場合、2芯の光ファイバのそれぞれ別々に光信号を送信用信号と受信用信号として伝送し、光送受信を行う方式が用いられる。また、波長分割多重方式が上記と別の形式で用いられることもある。この場合には、送信用信号と受信用信号のそれぞれについて、同一の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を送信用信号あるいは受信用信号として伝送する。
【0006】
これらの方式では、コンピュータやネットワーク機器等に設置された上記光電気回路モジュールが光ファイバに接続され、それをインターフェースに複数の機器間で光送受信が行われるのが一般的である。そして特に、複数の光信号を用いる波長分割多重方式は、機能性が高いこと等の理由から利用価値が高まっている。
【0007】
一般に光電気回路モジュールには、低い符号誤り率(ビットエラーレート)、高い転送速度(ビットレート)、及び高信頼であること等が要求される。また、利用者の利便性から特に小型であることが重要である。
【0008】
また特に、波長分割多重方式に用いられる光電気回路モジュールには、その構成において、複数の光半導体素子や光半導体素子と光ファイバを光接続し光学系を構成するための複数の光部品を正確かつ再現良く配置する手段、低クロストーク、及び小型であること等が要求される。特に電気信号は干渉性が高いため、複数の光半導体素子間の電気クロストークを低減することがビットエラーレート等の特性上課題であり、また、モジュールを小型化する上において重要な課題である。
【0009】
<従来例1>
従来、波長分割多重方式で用いることのできる光電気回路モジュールについて、例えば特許文献1〜5等に技術が開示されている。
【0010】
これらの光電気回路モジュールでは、パッケージ内に、第1光信号を発生する手段としての発光素子、第2光信号を受光する手段としての受光素子、第1光信号及び第2光信号を共に光ファイバに光結合させるための多層膜フィルタや部分反射器等(以後、これらを総称しハーフミラーと記述する)を実装し、光ファイバの光軸を調整、保持しパッケージに固定する方法が用いられる。ハーフミラーの反射/透過面は光信号の波長によって反射もしくは透過するように構成されており、反射光が第1光路を構成し、透過光が第2光路を構成するか、又は逆に、透過光が第1光路を構成し、反射光が第2光路を構成する。
【0011】
具体的なケーシング方法としては、気密封止された半導体レーザ(以下、LDともいう)モジュールとフォトダイオード(以下、PDともいう)モジュールを、ハーフミラーが取付けられた別の筐体に固定し、その筐体に光ファイバが保持具によって位置決め固定される技術が知られている。
【0012】
<従来例2>
また、例えば特許文献6〜13等に開示されているように、半導体基板上に上記のような光学系を構成する技術が知られている。半導体基板上に小型のレンズ、ハーフミラー等の微小光学部品を配置する技術であり、受光素子やハーフミラーが半導体基板の領域の一部に形成される場合もある。
【0013】
また、半導体基板に異方性エッチング溝を形成し、その溝に光学部品を実装し、同基板上に実装した光半導体素子と精密な光学位置合わせをする技術は、例えば特許文献14に開示されている。
【0014】
<従来例3>
また、上記光学系を光集積回路として、基板上の光導波路及びWDMフィルタで構成する技術も多数、提案されており、代表的なものとして、例えば特許文献15,非特許文献1等に記載がある。この種の光電気回路モジュールでは光電気回路の主用な機能が1つの基板上に実現される。基板材料としては、シリコン(Si)等の半導体が一般的である。この場合には、前述したものと同様に異方性エッチング溝を形成し、その溝に光ファイバが再現性良く精密に実装される。また、半導体基板以外に誘電体基板が用いられる場合もある。
【0015】
なお、従来例2,3に示されるように、一主面に光半導体素子に通電するための電極等の電気配線が形成され、光半導体素子とその他の光素子が実装されて光学系を構成した基板を、以後、光電気回路基板という。
【0016】
〔特許文献1〕
特開昭60−153011号公報
〔特許文献2〕
特開昭60−230108号公報
〔特許文献3〕
米国特許4,767,171号明細書
〔特許文献4〕
米国特許5,127,075号明細書
〔特許文献5〕
米国特許5,838,859号明細書
〔特許文献6〕
特開平9−318853号公報
〔特許文献7〕
特開平10−39180号公報
〔特許文献8〕
特開平10−39181号公報
〔特許文献9〕
特開平10−153720号公報
〔特許文献10〕
特開平11−237535号公報
〔特許文献11〕
特開平11−352363号公報
〔特許文献12〕
特開2001−141967号公報
〔特許文献13〕
米国特許4,293,826号明細書
〔特許文献14〕
米国特許5,881,193号明細書
〔特許文献15〕
特開平11−202140号公報
〔非特許文献1〕
電子情報通信学会論文誌C,Vol.J84−C,No.9,p.831−838
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来例1では、小型な光学系を再現性良く、精密に組み立てるための特別の手段が何ら与えられておらず、光学系の位置決め調整に多数の労力を要し、組み立てが非常に困難とならざるをえない。従って十分な光送受信レベルを安定的に確保することが難しい。また、生産性が良くない上に、ケーシングされた光半導体素子をさらにケーシングすることから、モジュールサイズを小さくすることについても困難である。
【0018】
また従来例2では、絶縁性の高くない半導体基板上に複数の光半導体素子を配置するため、素子間の電気クロストークが問題となる。素子間の物理的な距離を長くすることによって、電気クロストークを小さくすることができるが、光学系が大きくなる問題がある。その他にも、半導体基板の絶縁性を高くすることや信号電極間の容量結合を小さくする方法が考えられるが、絶縁性の高くない同一の基板上で複数電極間の漏話を防ぐことは本質的に困難である。
【0019】
また、ハーフミラーとフォトダイオードを半導体基板の一部に形成する場合、ハーフミラー傾斜面へのフォトダイオードの作製は非常に困難であり、現実的でない。また、フォトダイオードのみを半導体基板の一部に形成する場合、発光素子との電気クロストークを抑制することがさらに困難である。また、ハーフミラーを半導体基板に形成しない場合、半導体基板面に対するハーフミラーの傾斜面の角度を精密に一定にすることが困難である。
【0020】
また従来例3では、従来例2と同様に電気クロストークの問題があり、基板サイズを小さくすることが困難である。さらに、光導波路に伝播する導波光のスポットサイズを、光ファイバと発光素子の両方のそれと整合させることが難しく、結合効率が低いことも問題である。
【0021】
そこで本発明は、前述の諸問題に鑑み提案されたものであり、例えば光送受信モジュール等、複数の光半導体素子の光電気回路への実装に係る技術において、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能な光電気回路基板及び光電気回路モジュールを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の光電気回路基板は、基体の主面に形成された異方性エッチング溝を画像認識用マーカもしくは当て止め用ストッパーとして用いて少なくとも複数の光半導体素子を含む光素子を光学的に配置するための基板であって、前記主面に導体として単一の導体のみからなる共通電極を形成し、該共通電極を用いて前記複数の光半導体素子に単極の電源を供給するようにしたことを特徴とする。
【0023】
また、前記構成において、前記主面の全面をほぼ覆うように前記共通電極を形成するとよい。
【0024】
また、前記いずれかの構成において、前記基体全体に高濃度の不純物をドープし前記基体全体の電気伝導性を高めるとよい。
【0025】
また、前記いずれかの構成において、前記異方性エッチング溝が前記主面の対向面まで貫通させ、前記共通電極を前記対向面側に配置された導体に前記貫通を通じて電気的に接続するとよい。
【0026】
また、前記いずれかの構成において、前記主面以外の面に電極を形成し該電極と前記共通電極を電気的に接続するとよい。
【0027】
また、前記いずれかの構成において、前記共通電極上に前記光素子を固定し前記共通電極と前記光素子を電気的に接続するための半田電極を形成するとよい。
【0028】
また、本発明の別の光電気回路基板は、基体の主面に形成された精密加工溝を画像認識用マーカもしくは当て止め用ストッパーとして用いて少なくとも複数の光半導体素子を含む光素子を光学的に配置するための基板であって、前記主面に導体として単一の導体のみからなる共通電極を形成し、該共通電極を用いて前記複数の光半導体素子に単極の電源を供給するようにしたことを特徴とする。
【0029】
また、前記構成において、前記主面の全面をほぼ覆うように前記共通電極を形成するとよい。
【0030】
また、前記いずれかの構成において、前記精密加工溝もしくはスルーホールを前記主面の対向面まで貫通させ、前記共通電極を前記対向面側に配置された導体に前記貫通を通じて電気的に接続するようするとよい。
【0031】
また、前記いずれかの構成において、前記主面以外の面に電極を形成し該電極と前記共通電極を電気的に接続するとよい。
【0032】
また、前記別の光電気回路基板の前記基体は、電気的に良導体である金属からなるとよい。
【0033】
また、前記いずれかの構成において、前記共通電極上に前記光素子を固定し前記共通電極と前記光素子を電気的に接続するための半田電極を形成するとよい。
【0034】
また、本発明の第1の光電気回路モジュールは前記いずれかの光電気回路基板に複数の光半導体素子を実装したことを特徴とする。
【0035】
また、本発明の第2の光電気回路モジュールは、異方性エッチングにより斜面が形成された複数の基体と複数の光素子とからなる光学配置であって、前記斜面によって前記光素子の光学位置決め及び複数の光路を確保したことを特徴とする。
【0036】
また、前記構成において、前記基体の前記光学配置がなされる主面に導体として単一の導体のみからなる共通電極を形成し、該共通電極を用いて前記複数の光半導体素子に単極の電源を供給するようにするとよい。
【0037】
また、本発明の第3の光電気回路モジュールは、基体の主面に発光素子と集光用レンズと光学フィルタと受光素子を光学的に配置し、前記基体の外部の光導波体と前記発光素子を光接続する第1光路及び前記光導波体と前記受光素子を光接続する第2光路を備えた光電気回路であって、前記集光用レンズと前記受光素子は前記主面に異方性エッチングにより形成されたV溝上に配置し、前記光学フィルタは異方性エッチング面を有し、波長選択的に光波が透過もしくは反射するように該異方性エッチング面に誘電体膜を形成し、前記第1光路及び前記第2光路を構成するようにしたことを特徴とする。
【0038】
また、前記構成において、前記主面の上方に設けた前記光導波体に前記第1光路及び前記第2光路を接続するようにするとよい。
【0039】
また、前記第3の光電気回路モジュールにおいて、前記主面に水平方向に設けた前記光導波体に前記第1光路及び前記第2光路を接続するようにするとよい。
【0040】
また、本発明の第4の光電気回路モジュールは前記第3の光電気回路モジュールにおいて、前記主面に水平方向に設けた前記光導波体に前記第1光路及び前記第2光路を接続するようにしたものを除く前記いずれかの光電気回路モジュールを別の基体の表面に前記主面の対向面を下に配設し、前記共通電極及び前記光半導体素子の前記共通電極に接続されていない電極を前記別の基体の電極に電気的に接続し、前記主面の上方に前記光導波体を配置するように支持体によって前記別の基体に固定し、前記別の基体の表裏面を除く面を外部回路基板に固定し、前記外部回路基板に配設された電気配線と前記別の基体に配設された電気配線を電気的に接続したことを特徴とする。
【0041】
また、前記構成において、前記支持体は金属からなり、金属溶接により前記複数の光半導体素子を気密封止するようにし、前記光導波体と前記複数の光半導体素子が光学的に結合するように前記支持体の一部に光学窓を設けるとよい。
【0042】
また、前記いずれかの構成において、前記光導波体は、光ファイバと該光ファイバを保持するフェルール、該光ファイバからの反射戻り光を抑制するための光アイソレータ、前記発光素子から発光された光信号を、該光アイソレータを透光し該光ファイバに光結合するためのレンズから構成するとよい。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光電気回路基板及び光電気回路モジュールの実施形態を模式的に示した図面に基づき詳細に説明する。
【0044】
図1は本発明に係る光電気回路モジュールM1の斜視図、図2は図1のA−A’線断面図、図3は光電気回路モジュールM1における他の光回路構造を示す断面図、図4は光電気回路モジュールM1の分解斜視図、図5は本発明に係る光電気回路基板S1を示す斜視図であり、光電気回路モジュールM1を構成する基体1部分を示す斜視図、図6は本発明に係る光電気回路モジュールM2を示す斜視図であり、光電気回路モジュールM1をさらにケーシング内に収容した様子を示す斜視図、図7は図6の分解斜視図、図8は本発明に係る光電気回路モジュールM2を構成する基体2の斜視図、図9は光電気回路モジュールを外部電子回路基板に実装した様子を示す側面図である。
【0045】
本発明の光電気回路モジュールM1は、光電気回路基板S1である基体1にLD11、第1レンズ43、ハーフミラー45、PD22を配設して構成される。
【0046】
光電気回路モジュールM2は、さらに光電気回路モジュールM1を、LD11とモニターPD18に通電するための内部電極パッド12が形成された基体2のキャビティ内に搭載し、基体2の表面16の上方に、LD11に光接続する光導波体(主に、光ファイバ42とこれを収容したフェルール41、光アイソレータ10、第2レンズ44で構成)を支持体である金属金具17、透明窓金具3、第1の金属保護体4、及び第2の金属保護体9によって取り付け、基体2の表面16とその背面20とを除く面、すなわち、基体2の側面のいずれかの面に、LD11とモニターPD18に通電するための外部配線が形成された不図示の外部回路基板に固定し、この外部回路基板に形成された外部配線と基体2に形成された電気配線に電気的に接続できるようにして構成される。
【0047】
具体的には、光電気回路モジュールM1は、LD11と球状のレンズ43と柱状のハーフミラー45とPD22を、光電気回路基板S1を構成する基体1の表面1a上に配置して光サブアセンブリを構成する。
【0048】
このとき、図2に示すように、LD11の出射光はレンズ43を通過し(第1光路47a)、ハーフミラー45で反射して、信号光光路47として光ファイバ42に結合する。逆に、光ファイバ42からの出射光はPD22へ、ハーフミラー45を透過して第2光路47bとして入射するように光学配置を行う。
【0049】
もしくは、図3に示すように、LD11の出射光はレンズ43を通過して、ハーフミラー45で透過し光ファイバ42に結合し、逆に光ファイバ42からの出射光はPD22へ、ハーフミラー45を反射して入射するように光学配置を行う。
【0050】
そして、このように構成された光サブアセンブリを、実装用基体である基体2のキャビティに配置し、光サブアセンブリを囲い環状をなす金属からなる透明窓金具3を配設する。この透明窓金具3の上部開口には透明サファイヤ窓46が配設してある。そして透明窓金具3上に、光ファイバ42中を伝播してきた反射戻り光を取り除くための光アイソレータ10を配設し、それを覆うようにして、円筒状で鍔部4aが一端側に形成された第1の金属保護体4を、鍔部4aが基体2側になるように配設する。この第1の金属保護体4の内部に、第2レンズ44を収容し、透明接着剤にて接着固定する。さらに、第1の金属保護体4と同様にして、円筒状の第2の金属保護体9内に、LD11に光接続させる光ファイバ42が内部配置された円柱状のフェルール41に収容されて、この第2の金属保護体9を第1の金属保護体4内に収容する。このように、第1及び第2の金属保護体4,9において鍔部4a、9aを備えることにより、不図示の光コネクタレセプタクルを嵌合できるようにしている。
【0051】
ここで、光アイソレータ10は、不図示の偏光子、ファラデー回転子、偏光子の3つの光学素子を透明接着剤等にて貼り合わせたものをドーナツ型磁石内に収容してなり、フェルール端面および光ファイバ端面は反射光がLD11に戻るのを防ぐために4度〜8度の範囲で斜め研磨されている。
【0052】
基体2に形成された電気配線は、図8に示すように、内部電極パッド12、内部接地電極パッド13、及び外部電極リード14と、それらを電気的に接続するように基体2の内部に形成した不図示のスルーホール電極や内部電極パターンとから構成されており、外部回路基板に形成した外部配線が内部電極パッド12に電気的に接続できるようにしている。電極パッド12は金リボン31と電極パッド33を介してLD11、モニターPD18に電気的に接続される。
【0053】
内部電極バッド12、内部接地電極パッド13、外部電極リード14、不図示のスルーホール電極、不図示の内部電極パターンの一部は、電気信号を伝送するための高周波線路であり、外部回路基板に形成された外部配線の特性インピーダンス(例えば25Ωもしくは50Ω等)に整合するように、各導体の寸法と各導体間の距離を調整する。外部電極リード14は、グランド電極,シグナル電極,グランド電極の配置でリードを引き出す。これにより、外部回路基板から基体2の内部に形成された電気配線の途中で高周波信号が反射しないように好適に配線でき、高速伝送が可能となる。
【0054】
ここで、図示では基体1の前記外部回路基板に固定する面30(光電気回路モジュールの外部回路基板への実装面)に、外部電極リード14を設けているが、これら外部電極リード14の代わりに、グリッド状の複数の端子電極から成る端子電極群を、少なくとも3つの領域に形成してもよい。そして、この端子電極群は光導波体の光軸方向に沿って形成する。
【0055】
外部電極リード14の代わりに電極端子として、はんだボールを付加したボール状のグリッドアレイを用いることにより、光電気回路モジュールM2を実装する際の利便性が向上する。
【0056】
基体1は例えば単結晶シリコン基板からなり、その表面1a(結晶方位{100}面)に、KOH等のアルカリ性溶液を用いた異方性エッチングによりV溝21が形成され、表面1aのほぼ全面に真空蒸着やスパッタリングによりAu,Ti,Pt,Cr,Ag,Pd,Sn,Pb等のいずれかを含む複数の薄膜からなる共通電極34とさらにその上にAu,Ti,Pt,Cr,Sn,Pb等のいずれかを含む複数の薄膜からなる半田電極パターン33が形成されている。V溝21上に、レンズ43及びハーフミラー45を実装し、V溝21の斜面を用いてそれらがメカニカルに光学配置をとるように、V溝21は所定位置に高精度に形成される。また、V溝21はLD11とハーフミラー45を位置合わせするためのマーカとして用いることもできる。基体1に形成される電極等の導体は、共通電極34とそれに電気的に接続された半田電極パターン33のみである。
【0057】
これによって、基体1を通じてLD11とPD22が電気的に干渉しなくなり、電気クロストークを大幅に抑制することができる。また、共通電極34を好ましくは表面1aの全面に形成することによって、LD11及びPD22の各共通電極との接続部の電位を安定にすることができ、さらに、電気クロストークを抑制できる。また、Siにリン(P)やホウ素(B)等の不純物を多量にドープするか、基体1の表面1aを除く面にも共通電極34に電気的に接続される電極を形成するか、V溝21の一部を表面1aの対向面に貫通させて、この貫通を通して表面1aの共通電極34をその背面側の導体に接続するか、または、これらのいくつかを組合せることによっても、さらに効果的にLD11及びPD22の各共通電極との接続部の電位を安定にし、電気クロストークを抑制する効果がある。
【0058】
なお、共通電極34を表面1aの全面に形成することが、電気クロストークの抑制と共通電極34の電位の安定性にとって好ましいが、表面1aの一部小領域に何らかの識別のための模様等を入れるために基体1の表面が露出する部分があっても実用上支障がない。
【0059】
基体2はアルミナ,窒化アルミニウム,ガラスセラミック等のセラミックス材料からなる多層積層構造からなり、内部電極パッド12、内部接地電極13、不図示の内部電極パターンとして、Au,Ni,Cu,W,Mo等のいずれかを含む導体膜が印刷により形成され、それらはCu,W等からなる不図示のスルーホール電極で接続される。
【0060】
基体1は単結晶シリコン以外にもセラミックや金属を精密加工して用いることができる。
【0061】
金属金具17はコバール等から成り、これを基体2にろうづけする。さらに、この上にコバールやステンレス等から成り、サファイア窓46を設けた金属環状体の透明窓金具3を、光サブアセンブリを実装した後、金属金具17に対してシーム溶接し、光サブアセンブリを気密封止している。これにより、LD11を長寿命に保護することができる。
【0062】
また、第1の金属保護体4はコバールやステンレス等で構成されている。
【0063】
LD11には、不図示の活性層上部の上表面及び下表面に電気信号を印加するために下層/上層でTi/Pt/Auメタル等からなる電極が形成されている。
【0064】
LD11は、基体1の表面1a上の所定位置に活性層側を上面に半田電極パターン33に実装される。LD11の実装位置決めはV溝21のエッジもしくは基体1の表面1a上に形成されたマーキングによって行うことができる。LD11の活性層側上表面電極は、Auワイヤ32を介して基体2の内部電極パッド12に接続される。LD11の基板側下表面電極は、基体1上の共通電極33に半田電極パターン33を介して接続され、さらに共通電極33は基体2の内部接地電極13に金リボン31により接続される。これにより、基体2の外部電極リード14に電気信号を入力することで活性層から光信号を発生させることができる。
【0065】
PD22の実装についてもLD11と同様に行う。
【0066】
第1レンズ43は、BK7,TaF3,LaSF09,ルビー等からなる、0.3mm〜1.0mm程度の直径のボールレンズを用いる。第1レンズ43はV溝21上に透明樹脂接着剤または圧着により固定する。V溝21上に実装された第1レンズ43と基体1に実装されたLD11はその出射光がコリメートされるように配置する。第1レンズ43にはボールレンズ以外にもGRINレンズや非球面レンズ等も用いることができる。
【0067】
V溝21と上記マーキングはシリコン基板上にフォトリソグラフィー技術により正確な配置で形成される。これにより、第1レンズ43をLD11に近接して実装できるため、光学系を小型にできて、なおかつ組立てが容易である。
【0068】
ハーフミラー45は単結晶シリコンからなり、反射/透過面45aは上面45bをKOH等のアルカリ性溶液を用いた異方性エッチングにより形成する。反射/透過面45aの表面には複数層の誘電体薄膜が形成してあり、光学フィルタを構成する。光学フィルタは特定の波長で光波が反射又は透過するように誘電体薄膜の屈折率やその周期構造、層数により決定できる。反射/透過面45aと下面45cとが成す角度は、例えば単結晶シリコンの方位面(100)と上面45bとが成す角度を変化させることにより任意に決定できる。また、ハーフミラー45は基体1表面上の所定位置実装される。このとき反射/透過面45aはLD11の出射端面に対し任意の角度で配置できる。基体1上に実装されたLD11の出射光をハーフミラー45で反射させて、基体1の表面の上方に90度変換するには、反射/透過面45aが下面45cに対し45度となるように、上面45bを単結晶シリコンの方位面(100)に対し9.7度傾斜させ、ハーフミラー45は反射/透過面45aがLD11の出射端面に対抗するように基体1表面に実装する。これにより、細径のコリメート光を端面発光型光半導体素子の実装位置に対し正確な方向に出射させることができ、小型な空間光学系を形成できる。また、さらに、これを用いた光電気回路モジュールを容易に小型化でき、光導波体を自由な位置に取付けられる。
【0069】
なお、この実施形態では、光アイソータ10を用いたが、LD11の種類によっては光アイソレータ10を排除し、実施を容易にできる場合もある。
【0070】
次に、光電気回路モジュールM2の外部電子回路基板に実装について、その実施形態を説明する。図8に示すように、光電気回路モジュールM2である光送受信光モジュールBは、外部電子回路基板である実装基体8の一端側に搭載される。また、光送受信モジュールBを駆動するためのIC5、及びコンデンサや抵抗等の付加電子デバイス6も実装基体8に実装され電子回路が構成される。
【0071】
このように、光送受信モジュールBの光軸と平行な位置に電極を配設した構造とすることにより、実装基体8の実装電極に予めクリームはんだ等のはんだを塗布し、光送受信モジュールBと、電子デバイス6、IC5等を配置させることが可能となり、260℃程度のはんだリフロー工程を施すことができ、一括にて実装固定された光電気回路モジュールが完成される。
【0072】
以上のように、本実施形態によれば、光電気回路モジュールを外部回路基板に付加電子回路とともにはんだリフロー等により自動化された一括したアセンブルを行うことができ、実装性に優れる。
【0073】
かくして、光電気回路基板S1、光電気回路モジュールM1及びM2によれば、例えば光送受信モジュール等、複数の光半導体素子による複数の光及び電気回路の実装に係る技術に関し、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能であり、電子回路基板への実装性に優れた光電気回路基板及び光電気回路モジュールを提供することができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明の光電気回路基板及び光電気回路モジュールによれば、以下に示す顕著な効果を奏することができる。
【0075】
請求項1の光電気回路基板によれば、複数の光路からなる光学系を小型かつ高精度に再現性良く配置できる上、複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0076】
請求項2の光電気回路基板によれば、電極形成が容易であり、さらに複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0077】
請求項3の光電気回路基板によれば、基体全体の電気伝導性を高めたため、さらに複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0078】
請求項4の光電気回路基板によれば、複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0079】
請求項5の光電気回路基板によれば、複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0080】
請求項6の光電気回路基板によれば、光半導体素子を確実に固定することができ、光学特性の長期信頼性が良好である。
【0081】
請求項7の光電気回路基板によれば、複数の光路からなる光学系を小型かつ高精度に再現性良く配置できる上、複数の光半導体素子間の電気クロストークを抑制できる。
【0082】
請求項8の光電気回路基板によれば、電極形成が容易であり、さらに複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0083】
請求項9の光電気回路基板によれば、複数の光半導体素子間の電気クロストークを抑制できる。
【0084】
請求項10の光電気回路基板によれば、複数の光半導体素子間の電気クロストークを抑制できる。
【0085】
請求項11の光電気回路基板によれば、電気的に良導体である金属からなるため、さらに複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0086】
請求項12の光電気回路基板によれば、光半導体素子を確実に固定することができ、光学特性の長期信頼性が良好である。
【0087】
請求項13の光電気回路モジュールによれば、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能である。
【0088】
請求項14の光電気回路モジュールによれば、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能である。
【0089】
請求項15の光電気回路モジュールによれば、ケーシングを容易にできる。
【0090】
請求項16の光電気回路モジュールによれば、薄型にできる。
【0091】
請求項17の光電気回路モジュールによれば、光電気回路基板を基体に実装する面と第1光路及び第2光路を光ファイバに向かって取り出す面とが同一であるため、構成を単純化できる上、その面以外は小さくできるため小型となる。またシーリングが一箇所で済むため組立てが簡便である。また、基体の側面のいずれかに外部電極リードが取り付けられ、その面が外部回路基板に固定される構造であるため、基体は容易かつ強固に外部回路基板に実装できる上、外部電極リードと外部回路基板との配線接合部において特性インピーダンス及び高周波電磁界分布の整合性を良好とすることができる。したがって、単純な構成にでき、小型かつ組立てが簡便で、実装性に優れ、しかも電気クロストークが小さいことからビットエラーレート特性に優れた効果を発揮する。
【0092】
請求項18の光電気回路モジュールによれば、光半導体素子を長寿命に保護することができる。
【0093】
請求項19の光電気回路モジュールによれば、高効率で光導波体に光信号を入力することができるとともに、反射戻り光が発光素子に再入力された際に生じる発光強度の変動、発光波長の変動を抑制することができ、波長安定性に優れ、高出力かつ高速伝送可能で安定した光信号の発光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光電気回路モジュールの実施形態を模式的に説明する斜視図である。
【図2】本発明に係る光電気回路モジュールの実施形態を模式的に説明する図であり、図1のA−A’線断面図である。
【図3】本発明に係る光電気回路モジュールの他の実施形態を模式的に説明する図であり、図2と同様な断面図である。
【図4】本発明に係る光電気回路モジュールの実施形態を模式的に説明する図であり、図1に関する分解斜視図である。
【図5】本発明に係る光電気回路基板の実施形態を模式的に説明する斜視図である。
【図6】本発明に係る光電気回路モジュールの実施形態を模式的に説明する図であり、特に、光電気回路モジュールを最終的にケーシングしたときの様子を示す斜視図である。
【図7】図6の分解斜視図である。
【図8】図6における光電気回路モジュールを構成する基体2部分における実装構造等を説明するための斜視図である。
【図9】本発明に係る光電気回路モジュールを外部電子回路基板に実装したときの様子を模式的に説明する側面図である。
【符号の説明】
1:基体1
2:基体2
3:透明窓金具(支持体を構成)
4:第1の金属保護体(支持体を構成)
5:IC
6:電子デバイス
8:実装基体(外部電子回路基板)
9:第2の金属保護体(支持体を構成)
10:光アイソレータ
11:LD(送信用レーザダイオード)
12:内部電極パッド(基体2)
13:内部接地電極パッド(基体2)
14:外部電極リード(基体2)
15:キャビティ
16:基体2の表面
17:金属金具(支持体を構成)
18:モニタPD
19:PDキャリア
20:基体2の背面
21:V溝
22:PD(受信用フォトダイオード)
30:光モジュールの外部回路基板への実装面
31:Auリボン
32:Auワイヤ
33:半田電極パターン
34:共通電極
41:フェルール(光導波体を構成)
42:光ファイバ(光導波体を構成)
43:第1レンズ
44:第2レンズ
45:ハーフミラー
45a:反射/透過面
45b,45c:ハーフミラーの上面、側面
46:透明サファイヤ窓
47:信号光光路
47a:第1光路
47b:第2光路
S1:光電気回路基板
M1:光電気回路モジュール
M2:光電気回路モジュール(M1がケーシングされた例)
B:光送受信モジュール
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば光送受信モジュール等において、複数の光半導体素子の光電気回路への実装に係る技術に関し、電気クロストークを極力抑制し、小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能であり、電子回路基板への実装性に優れた光電気回路基板及びそれを用いた光電気回路モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットに代表されるデータ通信ネットワークの普及にともない、公衆通信や構内通信(LAN)の分野において、光ファイバ通信が広く普及し発展してきている。特に、ファイバートゥーザホーム(FTTH)と呼ばれる光通信システムに代表されるように、加入者宅までの所謂ラストワンマイルと呼ばれる領域にも光ファイバ通信の普及が進んでいる。また、大規模事業者においては、構内に構築されたコンピュータネットワークを用いて、データの大容量化/転送速度の高速化がすすめられており、光ファイバ通信の普及が進んでいる。特に、イーサネット(R)と呼ばれる通信のための手順が一般に利用されている。
【0003】
こうした光ファイバ通信では、電気信号と光信号を双方に変換するための光電気回路をパッケージにモジュール化した光電気回路モジュールが必要不可欠であり、一般に、光トランシーバ、メディアコンバータ等の名称で製品化されている。
【0004】
FTTHにおいては、多くの場合、1芯の(または同一の)光ファイバに波長の異なる2つの光信号を、それぞれ送信用信号と受信用信号として伝送し、光送受信を行う方式(波長分割多重方式)が用いられる。
【0005】
イーサネット(R)においては、多くの場合、2芯の光ファイバのそれぞれ別々に光信号を送信用信号と受信用信号として伝送し、光送受信を行う方式が用いられる。また、波長分割多重方式が上記と別の形式で用いられることもある。この場合には、送信用信号と受信用信号のそれぞれについて、同一の光ファイバに波長の異なる複数の光信号を送信用信号あるいは受信用信号として伝送する。
【0006】
これらの方式では、コンピュータやネットワーク機器等に設置された上記光電気回路モジュールが光ファイバに接続され、それをインターフェースに複数の機器間で光送受信が行われるのが一般的である。そして特に、複数の光信号を用いる波長分割多重方式は、機能性が高いこと等の理由から利用価値が高まっている。
【0007】
一般に光電気回路モジュールには、低い符号誤り率(ビットエラーレート)、高い転送速度(ビットレート)、及び高信頼であること等が要求される。また、利用者の利便性から特に小型であることが重要である。
【0008】
また特に、波長分割多重方式に用いられる光電気回路モジュールには、その構成において、複数の光半導体素子や光半導体素子と光ファイバを光接続し光学系を構成するための複数の光部品を正確かつ再現良く配置する手段、低クロストーク、及び小型であること等が要求される。特に電気信号は干渉性が高いため、複数の光半導体素子間の電気クロストークを低減することがビットエラーレート等の特性上課題であり、また、モジュールを小型化する上において重要な課題である。
【0009】
<従来例1>
従来、波長分割多重方式で用いることのできる光電気回路モジュールについて、例えば特許文献1〜5等に技術が開示されている。
【0010】
これらの光電気回路モジュールでは、パッケージ内に、第1光信号を発生する手段としての発光素子、第2光信号を受光する手段としての受光素子、第1光信号及び第2光信号を共に光ファイバに光結合させるための多層膜フィルタや部分反射器等(以後、これらを総称しハーフミラーと記述する)を実装し、光ファイバの光軸を調整、保持しパッケージに固定する方法が用いられる。ハーフミラーの反射/透過面は光信号の波長によって反射もしくは透過するように構成されており、反射光が第1光路を構成し、透過光が第2光路を構成するか、又は逆に、透過光が第1光路を構成し、反射光が第2光路を構成する。
【0011】
具体的なケーシング方法としては、気密封止された半導体レーザ(以下、LDともいう)モジュールとフォトダイオード(以下、PDともいう)モジュールを、ハーフミラーが取付けられた別の筐体に固定し、その筐体に光ファイバが保持具によって位置決め固定される技術が知られている。
【0012】
<従来例2>
また、例えば特許文献6〜13等に開示されているように、半導体基板上に上記のような光学系を構成する技術が知られている。半導体基板上に小型のレンズ、ハーフミラー等の微小光学部品を配置する技術であり、受光素子やハーフミラーが半導体基板の領域の一部に形成される場合もある。
【0013】
また、半導体基板に異方性エッチング溝を形成し、その溝に光学部品を実装し、同基板上に実装した光半導体素子と精密な光学位置合わせをする技術は、例えば特許文献14に開示されている。
【0014】
<従来例3>
また、上記光学系を光集積回路として、基板上の光導波路及びWDMフィルタで構成する技術も多数、提案されており、代表的なものとして、例えば特許文献15,非特許文献1等に記載がある。この種の光電気回路モジュールでは光電気回路の主用な機能が1つの基板上に実現される。基板材料としては、シリコン(Si)等の半導体が一般的である。この場合には、前述したものと同様に異方性エッチング溝を形成し、その溝に光ファイバが再現性良く精密に実装される。また、半導体基板以外に誘電体基板が用いられる場合もある。
【0015】
なお、従来例2,3に示されるように、一主面に光半導体素子に通電するための電極等の電気配線が形成され、光半導体素子とその他の光素子が実装されて光学系を構成した基板を、以後、光電気回路基板という。
【0016】
〔特許文献1〕
特開昭60−153011号公報
〔特許文献2〕
特開昭60−230108号公報
〔特許文献3〕
米国特許4,767,171号明細書
〔特許文献4〕
米国特許5,127,075号明細書
〔特許文献5〕
米国特許5,838,859号明細書
〔特許文献6〕
特開平9−318853号公報
〔特許文献7〕
特開平10−39180号公報
〔特許文献8〕
特開平10−39181号公報
〔特許文献9〕
特開平10−153720号公報
〔特許文献10〕
特開平11−237535号公報
〔特許文献11〕
特開平11−352363号公報
〔特許文献12〕
特開2001−141967号公報
〔特許文献13〕
米国特許4,293,826号明細書
〔特許文献14〕
米国特許5,881,193号明細書
〔特許文献15〕
特開平11−202140号公報
〔非特許文献1〕
電子情報通信学会論文誌C,Vol.J84−C,No.9,p.831−838
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来例1では、小型な光学系を再現性良く、精密に組み立てるための特別の手段が何ら与えられておらず、光学系の位置決め調整に多数の労力を要し、組み立てが非常に困難とならざるをえない。従って十分な光送受信レベルを安定的に確保することが難しい。また、生産性が良くない上に、ケーシングされた光半導体素子をさらにケーシングすることから、モジュールサイズを小さくすることについても困難である。
【0018】
また従来例2では、絶縁性の高くない半導体基板上に複数の光半導体素子を配置するため、素子間の電気クロストークが問題となる。素子間の物理的な距離を長くすることによって、電気クロストークを小さくすることができるが、光学系が大きくなる問題がある。その他にも、半導体基板の絶縁性を高くすることや信号電極間の容量結合を小さくする方法が考えられるが、絶縁性の高くない同一の基板上で複数電極間の漏話を防ぐことは本質的に困難である。
【0019】
また、ハーフミラーとフォトダイオードを半導体基板の一部に形成する場合、ハーフミラー傾斜面へのフォトダイオードの作製は非常に困難であり、現実的でない。また、フォトダイオードのみを半導体基板の一部に形成する場合、発光素子との電気クロストークを抑制することがさらに困難である。また、ハーフミラーを半導体基板に形成しない場合、半導体基板面に対するハーフミラーの傾斜面の角度を精密に一定にすることが困難である。
【0020】
また従来例3では、従来例2と同様に電気クロストークの問題があり、基板サイズを小さくすることが困難である。さらに、光導波路に伝播する導波光のスポットサイズを、光ファイバと発光素子の両方のそれと整合させることが難しく、結合効率が低いことも問題である。
【0021】
そこで本発明は、前述の諸問題に鑑み提案されたものであり、例えば光送受信モジュール等、複数の光半導体素子の光電気回路への実装に係る技術において、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能な光電気回路基板及び光電気回路モジュールを提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の光電気回路基板は、基体の主面に形成された異方性エッチング溝を画像認識用マーカもしくは当て止め用ストッパーとして用いて少なくとも複数の光半導体素子を含む光素子を光学的に配置するための基板であって、前記主面に導体として単一の導体のみからなる共通電極を形成し、該共通電極を用いて前記複数の光半導体素子に単極の電源を供給するようにしたことを特徴とする。
【0023】
また、前記構成において、前記主面の全面をほぼ覆うように前記共通電極を形成するとよい。
【0024】
また、前記いずれかの構成において、前記基体全体に高濃度の不純物をドープし前記基体全体の電気伝導性を高めるとよい。
【0025】
また、前記いずれかの構成において、前記異方性エッチング溝が前記主面の対向面まで貫通させ、前記共通電極を前記対向面側に配置された導体に前記貫通を通じて電気的に接続するとよい。
【0026】
また、前記いずれかの構成において、前記主面以外の面に電極を形成し該電極と前記共通電極を電気的に接続するとよい。
【0027】
また、前記いずれかの構成において、前記共通電極上に前記光素子を固定し前記共通電極と前記光素子を電気的に接続するための半田電極を形成するとよい。
【0028】
また、本発明の別の光電気回路基板は、基体の主面に形成された精密加工溝を画像認識用マーカもしくは当て止め用ストッパーとして用いて少なくとも複数の光半導体素子を含む光素子を光学的に配置するための基板であって、前記主面に導体として単一の導体のみからなる共通電極を形成し、該共通電極を用いて前記複数の光半導体素子に単極の電源を供給するようにしたことを特徴とする。
【0029】
また、前記構成において、前記主面の全面をほぼ覆うように前記共通電極を形成するとよい。
【0030】
また、前記いずれかの構成において、前記精密加工溝もしくはスルーホールを前記主面の対向面まで貫通させ、前記共通電極を前記対向面側に配置された導体に前記貫通を通じて電気的に接続するようするとよい。
【0031】
また、前記いずれかの構成において、前記主面以外の面に電極を形成し該電極と前記共通電極を電気的に接続するとよい。
【0032】
また、前記別の光電気回路基板の前記基体は、電気的に良導体である金属からなるとよい。
【0033】
また、前記いずれかの構成において、前記共通電極上に前記光素子を固定し前記共通電極と前記光素子を電気的に接続するための半田電極を形成するとよい。
【0034】
また、本発明の第1の光電気回路モジュールは前記いずれかの光電気回路基板に複数の光半導体素子を実装したことを特徴とする。
【0035】
また、本発明の第2の光電気回路モジュールは、異方性エッチングにより斜面が形成された複数の基体と複数の光素子とからなる光学配置であって、前記斜面によって前記光素子の光学位置決め及び複数の光路を確保したことを特徴とする。
【0036】
また、前記構成において、前記基体の前記光学配置がなされる主面に導体として単一の導体のみからなる共通電極を形成し、該共通電極を用いて前記複数の光半導体素子に単極の電源を供給するようにするとよい。
【0037】
また、本発明の第3の光電気回路モジュールは、基体の主面に発光素子と集光用レンズと光学フィルタと受光素子を光学的に配置し、前記基体の外部の光導波体と前記発光素子を光接続する第1光路及び前記光導波体と前記受光素子を光接続する第2光路を備えた光電気回路であって、前記集光用レンズと前記受光素子は前記主面に異方性エッチングにより形成されたV溝上に配置し、前記光学フィルタは異方性エッチング面を有し、波長選択的に光波が透過もしくは反射するように該異方性エッチング面に誘電体膜を形成し、前記第1光路及び前記第2光路を構成するようにしたことを特徴とする。
【0038】
また、前記構成において、前記主面の上方に設けた前記光導波体に前記第1光路及び前記第2光路を接続するようにするとよい。
【0039】
また、前記第3の光電気回路モジュールにおいて、前記主面に水平方向に設けた前記光導波体に前記第1光路及び前記第2光路を接続するようにするとよい。
【0040】
また、本発明の第4の光電気回路モジュールは前記第3の光電気回路モジュールにおいて、前記主面に水平方向に設けた前記光導波体に前記第1光路及び前記第2光路を接続するようにしたものを除く前記いずれかの光電気回路モジュールを別の基体の表面に前記主面の対向面を下に配設し、前記共通電極及び前記光半導体素子の前記共通電極に接続されていない電極を前記別の基体の電極に電気的に接続し、前記主面の上方に前記光導波体を配置するように支持体によって前記別の基体に固定し、前記別の基体の表裏面を除く面を外部回路基板に固定し、前記外部回路基板に配設された電気配線と前記別の基体に配設された電気配線を電気的に接続したことを特徴とする。
【0041】
また、前記構成において、前記支持体は金属からなり、金属溶接により前記複数の光半導体素子を気密封止するようにし、前記光導波体と前記複数の光半導体素子が光学的に結合するように前記支持体の一部に光学窓を設けるとよい。
【0042】
また、前記いずれかの構成において、前記光導波体は、光ファイバと該光ファイバを保持するフェルール、該光ファイバからの反射戻り光を抑制するための光アイソレータ、前記発光素子から発光された光信号を、該光アイソレータを透光し該光ファイバに光結合するためのレンズから構成するとよい。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の光電気回路基板及び光電気回路モジュールの実施形態を模式的に示した図面に基づき詳細に説明する。
【0044】
図1は本発明に係る光電気回路モジュールM1の斜視図、図2は図1のA−A’線断面図、図3は光電気回路モジュールM1における他の光回路構造を示す断面図、図4は光電気回路モジュールM1の分解斜視図、図5は本発明に係る光電気回路基板S1を示す斜視図であり、光電気回路モジュールM1を構成する基体1部分を示す斜視図、図6は本発明に係る光電気回路モジュールM2を示す斜視図であり、光電気回路モジュールM1をさらにケーシング内に収容した様子を示す斜視図、図7は図6の分解斜視図、図8は本発明に係る光電気回路モジュールM2を構成する基体2の斜視図、図9は光電気回路モジュールを外部電子回路基板に実装した様子を示す側面図である。
【0045】
本発明の光電気回路モジュールM1は、光電気回路基板S1である基体1にLD11、第1レンズ43、ハーフミラー45、PD22を配設して構成される。
【0046】
光電気回路モジュールM2は、さらに光電気回路モジュールM1を、LD11とモニターPD18に通電するための内部電極パッド12が形成された基体2のキャビティ内に搭載し、基体2の表面16の上方に、LD11に光接続する光導波体(主に、光ファイバ42とこれを収容したフェルール41、光アイソレータ10、第2レンズ44で構成)を支持体である金属金具17、透明窓金具3、第1の金属保護体4、及び第2の金属保護体9によって取り付け、基体2の表面16とその背面20とを除く面、すなわち、基体2の側面のいずれかの面に、LD11とモニターPD18に通電するための外部配線が形成された不図示の外部回路基板に固定し、この外部回路基板に形成された外部配線と基体2に形成された電気配線に電気的に接続できるようにして構成される。
【0047】
具体的には、光電気回路モジュールM1は、LD11と球状のレンズ43と柱状のハーフミラー45とPD22を、光電気回路基板S1を構成する基体1の表面1a上に配置して光サブアセンブリを構成する。
【0048】
このとき、図2に示すように、LD11の出射光はレンズ43を通過し(第1光路47a)、ハーフミラー45で反射して、信号光光路47として光ファイバ42に結合する。逆に、光ファイバ42からの出射光はPD22へ、ハーフミラー45を透過して第2光路47bとして入射するように光学配置を行う。
【0049】
もしくは、図3に示すように、LD11の出射光はレンズ43を通過して、ハーフミラー45で透過し光ファイバ42に結合し、逆に光ファイバ42からの出射光はPD22へ、ハーフミラー45を反射して入射するように光学配置を行う。
【0050】
そして、このように構成された光サブアセンブリを、実装用基体である基体2のキャビティに配置し、光サブアセンブリを囲い環状をなす金属からなる透明窓金具3を配設する。この透明窓金具3の上部開口には透明サファイヤ窓46が配設してある。そして透明窓金具3上に、光ファイバ42中を伝播してきた反射戻り光を取り除くための光アイソレータ10を配設し、それを覆うようにして、円筒状で鍔部4aが一端側に形成された第1の金属保護体4を、鍔部4aが基体2側になるように配設する。この第1の金属保護体4の内部に、第2レンズ44を収容し、透明接着剤にて接着固定する。さらに、第1の金属保護体4と同様にして、円筒状の第2の金属保護体9内に、LD11に光接続させる光ファイバ42が内部配置された円柱状のフェルール41に収容されて、この第2の金属保護体9を第1の金属保護体4内に収容する。このように、第1及び第2の金属保護体4,9において鍔部4a、9aを備えることにより、不図示の光コネクタレセプタクルを嵌合できるようにしている。
【0051】
ここで、光アイソレータ10は、不図示の偏光子、ファラデー回転子、偏光子の3つの光学素子を透明接着剤等にて貼り合わせたものをドーナツ型磁石内に収容してなり、フェルール端面および光ファイバ端面は反射光がLD11に戻るのを防ぐために4度〜8度の範囲で斜め研磨されている。
【0052】
基体2に形成された電気配線は、図8に示すように、内部電極パッド12、内部接地電極パッド13、及び外部電極リード14と、それらを電気的に接続するように基体2の内部に形成した不図示のスルーホール電極や内部電極パターンとから構成されており、外部回路基板に形成した外部配線が内部電極パッド12に電気的に接続できるようにしている。電極パッド12は金リボン31と電極パッド33を介してLD11、モニターPD18に電気的に接続される。
【0053】
内部電極バッド12、内部接地電極パッド13、外部電極リード14、不図示のスルーホール電極、不図示の内部電極パターンの一部は、電気信号を伝送するための高周波線路であり、外部回路基板に形成された外部配線の特性インピーダンス(例えば25Ωもしくは50Ω等)に整合するように、各導体の寸法と各導体間の距離を調整する。外部電極リード14は、グランド電極,シグナル電極,グランド電極の配置でリードを引き出す。これにより、外部回路基板から基体2の内部に形成された電気配線の途中で高周波信号が反射しないように好適に配線でき、高速伝送が可能となる。
【0054】
ここで、図示では基体1の前記外部回路基板に固定する面30(光電気回路モジュールの外部回路基板への実装面)に、外部電極リード14を設けているが、これら外部電極リード14の代わりに、グリッド状の複数の端子電極から成る端子電極群を、少なくとも3つの領域に形成してもよい。そして、この端子電極群は光導波体の光軸方向に沿って形成する。
【0055】
外部電極リード14の代わりに電極端子として、はんだボールを付加したボール状のグリッドアレイを用いることにより、光電気回路モジュールM2を実装する際の利便性が向上する。
【0056】
基体1は例えば単結晶シリコン基板からなり、その表面1a(結晶方位{100}面)に、KOH等のアルカリ性溶液を用いた異方性エッチングによりV溝21が形成され、表面1aのほぼ全面に真空蒸着やスパッタリングによりAu,Ti,Pt,Cr,Ag,Pd,Sn,Pb等のいずれかを含む複数の薄膜からなる共通電極34とさらにその上にAu,Ti,Pt,Cr,Sn,Pb等のいずれかを含む複数の薄膜からなる半田電極パターン33が形成されている。V溝21上に、レンズ43及びハーフミラー45を実装し、V溝21の斜面を用いてそれらがメカニカルに光学配置をとるように、V溝21は所定位置に高精度に形成される。また、V溝21はLD11とハーフミラー45を位置合わせするためのマーカとして用いることもできる。基体1に形成される電極等の導体は、共通電極34とそれに電気的に接続された半田電極パターン33のみである。
【0057】
これによって、基体1を通じてLD11とPD22が電気的に干渉しなくなり、電気クロストークを大幅に抑制することができる。また、共通電極34を好ましくは表面1aの全面に形成することによって、LD11及びPD22の各共通電極との接続部の電位を安定にすることができ、さらに、電気クロストークを抑制できる。また、Siにリン(P)やホウ素(B)等の不純物を多量にドープするか、基体1の表面1aを除く面にも共通電極34に電気的に接続される電極を形成するか、V溝21の一部を表面1aの対向面に貫通させて、この貫通を通して表面1aの共通電極34をその背面側の導体に接続するか、または、これらのいくつかを組合せることによっても、さらに効果的にLD11及びPD22の各共通電極との接続部の電位を安定にし、電気クロストークを抑制する効果がある。
【0058】
なお、共通電極34を表面1aの全面に形成することが、電気クロストークの抑制と共通電極34の電位の安定性にとって好ましいが、表面1aの一部小領域に何らかの識別のための模様等を入れるために基体1の表面が露出する部分があっても実用上支障がない。
【0059】
基体2はアルミナ,窒化アルミニウム,ガラスセラミック等のセラミックス材料からなる多層積層構造からなり、内部電極パッド12、内部接地電極13、不図示の内部電極パターンとして、Au,Ni,Cu,W,Mo等のいずれかを含む導体膜が印刷により形成され、それらはCu,W等からなる不図示のスルーホール電極で接続される。
【0060】
基体1は単結晶シリコン以外にもセラミックや金属を精密加工して用いることができる。
【0061】
金属金具17はコバール等から成り、これを基体2にろうづけする。さらに、この上にコバールやステンレス等から成り、サファイア窓46を設けた金属環状体の透明窓金具3を、光サブアセンブリを実装した後、金属金具17に対してシーム溶接し、光サブアセンブリを気密封止している。これにより、LD11を長寿命に保護することができる。
【0062】
また、第1の金属保護体4はコバールやステンレス等で構成されている。
【0063】
LD11には、不図示の活性層上部の上表面及び下表面に電気信号を印加するために下層/上層でTi/Pt/Auメタル等からなる電極が形成されている。
【0064】
LD11は、基体1の表面1a上の所定位置に活性層側を上面に半田電極パターン33に実装される。LD11の実装位置決めはV溝21のエッジもしくは基体1の表面1a上に形成されたマーキングによって行うことができる。LD11の活性層側上表面電極は、Auワイヤ32を介して基体2の内部電極パッド12に接続される。LD11の基板側下表面電極は、基体1上の共通電極33に半田電極パターン33を介して接続され、さらに共通電極33は基体2の内部接地電極13に金リボン31により接続される。これにより、基体2の外部電極リード14に電気信号を入力することで活性層から光信号を発生させることができる。
【0065】
PD22の実装についてもLD11と同様に行う。
【0066】
第1レンズ43は、BK7,TaF3,LaSF09,ルビー等からなる、0.3mm〜1.0mm程度の直径のボールレンズを用いる。第1レンズ43はV溝21上に透明樹脂接着剤または圧着により固定する。V溝21上に実装された第1レンズ43と基体1に実装されたLD11はその出射光がコリメートされるように配置する。第1レンズ43にはボールレンズ以外にもGRINレンズや非球面レンズ等も用いることができる。
【0067】
V溝21と上記マーキングはシリコン基板上にフォトリソグラフィー技術により正確な配置で形成される。これにより、第1レンズ43をLD11に近接して実装できるため、光学系を小型にできて、なおかつ組立てが容易である。
【0068】
ハーフミラー45は単結晶シリコンからなり、反射/透過面45aは上面45bをKOH等のアルカリ性溶液を用いた異方性エッチングにより形成する。反射/透過面45aの表面には複数層の誘電体薄膜が形成してあり、光学フィルタを構成する。光学フィルタは特定の波長で光波が反射又は透過するように誘電体薄膜の屈折率やその周期構造、層数により決定できる。反射/透過面45aと下面45cとが成す角度は、例えば単結晶シリコンの方位面(100)と上面45bとが成す角度を変化させることにより任意に決定できる。また、ハーフミラー45は基体1表面上の所定位置実装される。このとき反射/透過面45aはLD11の出射端面に対し任意の角度で配置できる。基体1上に実装されたLD11の出射光をハーフミラー45で反射させて、基体1の表面の上方に90度変換するには、反射/透過面45aが下面45cに対し45度となるように、上面45bを単結晶シリコンの方位面(100)に対し9.7度傾斜させ、ハーフミラー45は反射/透過面45aがLD11の出射端面に対抗するように基体1表面に実装する。これにより、細径のコリメート光を端面発光型光半導体素子の実装位置に対し正確な方向に出射させることができ、小型な空間光学系を形成できる。また、さらに、これを用いた光電気回路モジュールを容易に小型化でき、光導波体を自由な位置に取付けられる。
【0069】
なお、この実施形態では、光アイソータ10を用いたが、LD11の種類によっては光アイソレータ10を排除し、実施を容易にできる場合もある。
【0070】
次に、光電気回路モジュールM2の外部電子回路基板に実装について、その実施形態を説明する。図8に示すように、光電気回路モジュールM2である光送受信光モジュールBは、外部電子回路基板である実装基体8の一端側に搭載される。また、光送受信モジュールBを駆動するためのIC5、及びコンデンサや抵抗等の付加電子デバイス6も実装基体8に実装され電子回路が構成される。
【0071】
このように、光送受信モジュールBの光軸と平行な位置に電極を配設した構造とすることにより、実装基体8の実装電極に予めクリームはんだ等のはんだを塗布し、光送受信モジュールBと、電子デバイス6、IC5等を配置させることが可能となり、260℃程度のはんだリフロー工程を施すことができ、一括にて実装固定された光電気回路モジュールが完成される。
【0072】
以上のように、本実施形態によれば、光電気回路モジュールを外部回路基板に付加電子回路とともにはんだリフロー等により自動化された一括したアセンブルを行うことができ、実装性に優れる。
【0073】
かくして、光電気回路基板S1、光電気回路モジュールM1及びM2によれば、例えば光送受信モジュール等、複数の光半導体素子による複数の光及び電気回路の実装に係る技術に関し、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能であり、電子回路基板への実装性に優れた光電気回路基板及び光電気回路モジュールを提供することができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明の光電気回路基板及び光電気回路モジュールによれば、以下に示す顕著な効果を奏することができる。
【0075】
請求項1の光電気回路基板によれば、複数の光路からなる光学系を小型かつ高精度に再現性良く配置できる上、複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0076】
請求項2の光電気回路基板によれば、電極形成が容易であり、さらに複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0077】
請求項3の光電気回路基板によれば、基体全体の電気伝導性を高めたため、さらに複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0078】
請求項4の光電気回路基板によれば、複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0079】
請求項5の光電気回路基板によれば、複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0080】
請求項6の光電気回路基板によれば、光半導体素子を確実に固定することができ、光学特性の長期信頼性が良好である。
【0081】
請求項7の光電気回路基板によれば、複数の光路からなる光学系を小型かつ高精度に再現性良く配置できる上、複数の光半導体素子間の電気クロストークを抑制できる。
【0082】
請求項8の光電気回路基板によれば、電極形成が容易であり、さらに複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0083】
請求項9の光電気回路基板によれば、複数の光半導体素子間の電気クロストークを抑制できる。
【0084】
請求項10の光電気回路基板によれば、複数の光半導体素子間の電気クロストークを抑制できる。
【0085】
請求項11の光電気回路基板によれば、電気的に良導体である金属からなるため、さらに複数の光半導体間の電気クロストークを抑制できる。
【0086】
請求項12の光電気回路基板によれば、光半導体素子を確実に固定することができ、光学特性の長期信頼性が良好である。
【0087】
請求項13の光電気回路モジュールによれば、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能である。
【0088】
請求項14の光電気回路モジュールによれば、電気クロストークを極力抑制し小型な光電気回路を再現性良く、しかも、高信頼であるように組み立て可能である。
【0089】
請求項15の光電気回路モジュールによれば、ケーシングを容易にできる。
【0090】
請求項16の光電気回路モジュールによれば、薄型にできる。
【0091】
請求項17の光電気回路モジュールによれば、光電気回路基板を基体に実装する面と第1光路及び第2光路を光ファイバに向かって取り出す面とが同一であるため、構成を単純化できる上、その面以外は小さくできるため小型となる。またシーリングが一箇所で済むため組立てが簡便である。また、基体の側面のいずれかに外部電極リードが取り付けられ、その面が外部回路基板に固定される構造であるため、基体は容易かつ強固に外部回路基板に実装できる上、外部電極リードと外部回路基板との配線接合部において特性インピーダンス及び高周波電磁界分布の整合性を良好とすることができる。したがって、単純な構成にでき、小型かつ組立てが簡便で、実装性に優れ、しかも電気クロストークが小さいことからビットエラーレート特性に優れた効果を発揮する。
【0092】
請求項18の光電気回路モジュールによれば、光半導体素子を長寿命に保護することができる。
【0093】
請求項19の光電気回路モジュールによれば、高効率で光導波体に光信号を入力することができるとともに、反射戻り光が発光素子に再入力された際に生じる発光強度の変動、発光波長の変動を抑制することができ、波長安定性に優れ、高出力かつ高速伝送可能で安定した光信号の発光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光電気回路モジュールの実施形態を模式的に説明する斜視図である。
【図2】本発明に係る光電気回路モジュールの実施形態を模式的に説明する図であり、図1のA−A’線断面図である。
【図3】本発明に係る光電気回路モジュールの他の実施形態を模式的に説明する図であり、図2と同様な断面図である。
【図4】本発明に係る光電気回路モジュールの実施形態を模式的に説明する図であり、図1に関する分解斜視図である。
【図5】本発明に係る光電気回路基板の実施形態を模式的に説明する斜視図である。
【図6】本発明に係る光電気回路モジュールの実施形態を模式的に説明する図であり、特に、光電気回路モジュールを最終的にケーシングしたときの様子を示す斜視図である。
【図7】図6の分解斜視図である。
【図8】図6における光電気回路モジュールを構成する基体2部分における実装構造等を説明するための斜視図である。
【図9】本発明に係る光電気回路モジュールを外部電子回路基板に実装したときの様子を模式的に説明する側面図である。
【符号の説明】
1:基体1
2:基体2
3:透明窓金具(支持体を構成)
4:第1の金属保護体(支持体を構成)
5:IC
6:電子デバイス
8:実装基体(外部電子回路基板)
9:第2の金属保護体(支持体を構成)
10:光アイソレータ
11:LD(送信用レーザダイオード)
12:内部電極パッド(基体2)
13:内部接地電極パッド(基体2)
14:外部電極リード(基体2)
15:キャビティ
16:基体2の表面
17:金属金具(支持体を構成)
18:モニタPD
19:PDキャリア
20:基体2の背面
21:V溝
22:PD(受信用フォトダイオード)
30:光モジュールの外部回路基板への実装面
31:Auリボン
32:Auワイヤ
33:半田電極パターン
34:共通電極
41:フェルール(光導波体を構成)
42:光ファイバ(光導波体を構成)
43:第1レンズ
44:第2レンズ
45:ハーフミラー
45a:反射/透過面
45b,45c:ハーフミラーの上面、側面
46:透明サファイヤ窓
47:信号光光路
47a:第1光路
47b:第2光路
S1:光電気回路基板
M1:光電気回路モジュール
M2:光電気回路モジュール(M1がケーシングされた例)
B:光送受信モジュール
Claims (19)
- 基板の一主面に形成された異方性エッチング溝を、位置合わせ用マーカもしくは当て止め用ストッパとして用いて、少なくとも複数の光半導体素子を光学的に配置するための光電気回路基板であって、前記基板の一主面に単一の導体領域から成る共通電極を形成し、該共通電極上に前記複数の光半導体素子を配設できるようにしたことを特徴とする光電気回路基板。
- 前記共通電極は、前記基板の一主面の全面をほぼ覆うように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光電気回路基板。
- 前記基板に不純物をドープして該基板の導電性を高めたことを特徴とする請求項1または2に記載の光電気回路基板。
- 前記異方性エッチング溝を前記基板の他主面にまで貫通させ、前記共通電極を前記基板の他主面側に形成された導体に、前記異方性エッチング溝を通じて電気的に接続するようしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光電気回路基板。
- 前記基板の一主面以外の面に電極を形成し、該電極と前記共通電極を電気的に接続したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光電気回路基板。
- 前記共通電極上に前記光半導体素子を固定する半田電極を配設したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光電気回路基板。
- 基板の一主面に形成された非エッチングによる精密加工溝を位置合わせ用マーカもしくは当て止め用ストッパーとして用いて、少なくとも複数の光半導体素子を光学的に配置するための光電気回路基板であって、前記基板の一主面に単一の導体領域から成る共通電極を形成し、該共通電極上に前記複数の光半導体素子を配設できるようにしたことを特徴とする光電気回路基板。
- 前記共通電極は、前記基板の一主面の全面をほぼ覆うように形成されていることを特徴とする請求項7に記載の光電気回路基板。
- 前記精密加工溝を前記基板の他主面にまで貫通させ、前記共通電極を前記基板の他主面側に形成された導体に、前記精密加工溝を通じて電気的に接続するようしたことを特徴とする請求項7または8に記載の光電気回路基板。
- 前記基板の一主面以外の面に電極を形成し、該電極と前記共通電極を電気的に接続したことを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の光電気回路基板。
- 前記基板は電気的に良導体である金属からなることを特徴とする請求項7に記載の光電気回路基板。
- 前記共通電極上に前記光半導体素子を固定する半田電極を配設したことを特徴とする請求項7乃至11のいずれかに記載の光電気回路基板。
- 請求項1乃至12のいずれかの光電気回路基板に複数の光半導体素子を実装したことを特徴とする光電気回路モジュール。
- 請求項1乃至12に記載の光電気回路基板の一主面に、発光素子と集光用レンズと光学フィルタと受光素子とを光学的に配置し、外部の光導波体と前記発光素子とを光接続する第1光路、及び前記光導波体と前記受光素子とを光接続する第2光路を備えた光電気回路モジュール。
- 前記光電気回路基板の一主面の上方に、前記光導波体が配設されていることを特徴とする請求項14に記載の光電気回路モジュール。
- 前記光電気回路基板の一主面に対して水平方向に前記光導波体が配設されていることを特徴とする請求項14に記載の光電気回路モジュール。
- 請求項15に記載の光電気回路基板を、外部回路基板に電気的に接続するための基体上に配設するとともに、該基体に前記光電気回路基板を覆う状態で前記光導波体を収容した支持体を配設したことを特徴とする光電気回路モジュール。
- 前記支持体は金属からなり、金属溶接により前記光電気回路基板を気密封止するようにしたことを特徴とする請求項17に記載の光電気回路モジュール。
- 前記光導波体は、光ファイバ、該光ファイバを保持するフェルール、前記光ファイバからの反射戻り光を抑制するための光アイソレータ、及び集光用レンズを備えていることを特徴とする請求項15乃至18のいずれかに記載の光電気回路モジュール。
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JP2017212252A (ja) * | 2016-05-23 | 2017-11-30 | オプト エレクトロニクス ソリューションズ | 光送信機及びこれを含む光モジュール |
-
2003
- 2003-01-30 JP JP2003021242A patent/JP2004233594A/ja active Pending
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