JP2004232940A - 灯油気化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期に亘り安定した燃焼が行える灯油気化装置を提供する。
【解決手段】気化器27と、この気化器27内に形成された中空円筒状の気化室13と、ひだ折り体からなり中心部に中空部30を残して各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、その外周部を気化室13の内壁に接触するように気化室13内に設置されたウィック29と、気化室13の長手方向の一端側に設けられたノズル34と、このノズル34から噴出する燃料ガスを燃焼させるバーナ部7と、気化室13の他端側を塞ぐために気化器27に取り付けたキャップ32と、気化器27に設けられてバーナ部7からの燃焼熱を回収する受熱フィン24と、気化器ヒータ48とで構成されるものにおいて、前記ウィック29の中空部30内壁に内接する突っ張り材40を配置した灯油気化装置。
【選択図】 図1
【解決手段】気化器27と、この気化器27内に形成された中空円筒状の気化室13と、ひだ折り体からなり中心部に中空部30を残して各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、その外周部を気化室13の内壁に接触するように気化室13内に設置されたウィック29と、気化室13の長手方向の一端側に設けられたノズル34と、このノズル34から噴出する燃料ガスを燃焼させるバーナ部7と、気化室13の他端側を塞ぐために気化器27に取り付けたキャップ32と、気化器27に設けられてバーナ部7からの燃焼熱を回収する受熱フィン24と、気化器ヒータ48とで構成されるものにおいて、前記ウィック29の中空部30内壁に内接する突っ張り材40を配置した灯油気化装置。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気化器内で気化した灯油をノズルから噴出させて燃焼させる気化ブンゼン式燃焼装置の灯油気化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種燃焼装置の灯油気化装置として、特開2000−329310号公報及び特開2000−329311号公報に示すようなものがある。
【0003】
この従来例を図7、図8及び図9を用いて説明する。このうち、図7は従来例のみならず本発明にも適用される燃焼装置の一般構造を説明するためのものである。
【0004】
まず図7において、1は本体ケース、2はこの本体ケース1の底部に配置された油受けタンク、3はこの油受けタンク2へ灯油を供給するためのカートリッジタンクであり、油受けタンク2の上部に着脱自在に設置されるものである。
【0005】
4は油受けタンク2から灯油を汲み出す電磁ポンプ、27はこの電磁ポンプ4から供給される灯油を加熱して気化させる気化器、33はこの気化器27と電磁ポンプ4を接続する灯油供給管である。
【0006】
7は気化器27で気化した燃料ガスを燃焼させるバーナ部で、図8に示すように金網からなる炎孔42を備えている。8はこのバーナ部7を覆う燃焼筒、9はこの燃焼筒8の前面上部に設けた燃焼ガス排出口、10は燃焼筒8の背面に設置した送風ファン、11は燃焼ガス排出口9から排出される高温の燃焼ガスと送風ファン10から送風される空気とが混合して生じる温風を吐き出すための吐出口で、本体ケース1の前面下部に設けられている。
【0007】
次に図8において、27は前記した気化器で、黄銅材の鍛造物を適宜切削加工して作られている。13は電磁ポンプ4から送り込まれてくる燃料を気化させる中空円筒状の気化室で、気化器27の中に設けられている。29はこの気化室13内に設置された気化促進用のウィックで、熱伝導率の良好な金属網状体、金属綿状体、多孔質金属体、多孔質セラミック等で作られ、真中が中空部30となっている。24は受熱フィンで気化器27と一体に鍛造成形されており、その先端はバーナ部7の炎孔42に臨んでいる。また、53は気化器27に取り付けられたサーミスタであり、気化器27の温度を検知するものである。
【0008】
図9において、32は気化器27の一端側で、ウィック29の挿入側を塞ぐキャップで、熱伝導率の比較的悪いステンレス材で作られたものであり、両者はロー付けにより気密に接続されている。
【0009】
33は気化室13内に液体の灯油を供給するための灯油供給管で、上述したキャップ32の小径絞り部32aに接続されている。
【0010】
48は気化器27を加熱する気化器ヒータで、シーズヒータよりなり、図示するようにUターン形に折り曲げられてその平行部54が気化器27の両脇に沿って取り付けられたものであり、キャップ32と反対側のノズル34側のUターン部55については気化器27の加熱にそれ程寄与しないことから、その部分の発熱量が控えめとなるように抵抗発熱線57のコイルピッチを他の部分より疎にしている。
【0011】
49、50は気化器27の両脇において気化器ヒータ48の平行部54を嵌め込むための上閉じ形のヒータ溝、51、52はそれらヒータ溝49、50の下部開口縁部の加締め代である。気化器ヒータ48はヒータ溝49、50に嵌め込まれたあと、これら加締め代51、52の加締め加工を経て気化器27に強固に固定されるものである。
【0012】
このように構成された従来の燃焼装置において、気化器ヒータ48によって気化器27が灯油の気化温度に達すると油受けタンク2の灯油は電磁ポンプ4によって気化器27に供給され、気化器ヒータ48の加熱によって気化され、気化した灯油ガスがノズル34からバーナ部7内に噴出する。このとき、その噴出ガスのエゼクター作用により一次空気がバーナ部7内に吸引され、灯油ガスと一次空気はバーナ部7の混合管内で混合された後、炎孔42から噴出し、ここで点火装置(図示せず)により点火されて燃焼炎となる。そしてフレームロッドからの信号を受けるフレームセンサー(図示せず)によって炎の有無状態を確認し、炎有りの場合は継続して燃焼する。
【0013】
燃焼炎が形成された後は、受熱フィン24が燃焼炎にさらされるため、気化器ヒータ48の助けを借りる事なく気化器27の温度を灯油の気化温度に保つことが可能となり、気化器ヒータ48への給電は遮断される。この時に生じた燃焼ガスは、バーナ部7の周囲を覆うように配設された燃焼筒8内で上方に導かれ、燃焼筒8の出口で送風ファン10からの空気と混合し、温風となって吐出口11から排出されて暖房に利用される。
【0014】
【特許文献1】「特開2000−329310号公報」
【特許文献2】「特開2000−329311号公報」。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の燃焼装置は、気化室13内の灯油を気化温度に加熱する為の熱源部、すなわち気化器ヒータ48と受熱フィン24のいずれもが気化器27の外側に設けられている為、その熱源部から供給される熱がウィック29の中心まで充分に伝わりにくいという問題がある。
【0016】
また、ウィック29が熱伝導率の良好な金属網状体、金属綿状体、多孔質金属体、多孔質セラミック等で形成されているものの、加熱・冷却の繰り返しによりウィック29の形状がだれ、変形によりウィック29中央部ではボディ内壁とウィック29の間に隙間ができ、ボディ内壁からウィック29へ熱が伝わりにくくなり、ウィック29を効率良く加熱することができないものであった。
【0017】
その為、ウィック29の中心部に気化されない灯油が液化のまま対流し続けてしまう場合も起こりがちであった。そして、それ故にウィック29の外周部で気化した灯油がノズル34へ向かう途中、ウィック29の中空部30を通過する際に、再び冷却されてしまって再液化し、タール化してウィック29やノズル34を詰まらせてしまうという問題があった。
【0018】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、長期寿命を有する安定した燃焼装置の灯油気化装置を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の具体的解決手段は、気化器と、この気化器内に形成された中空円筒状の気化室と、ひだ折り体からなり中心部に中空部を残して各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、その外周部を気化室の内壁に接触するように気化室内に設置されたウィックと、前記気化室の長手方向の一端側に設けられたノズルと、このノズルから噴出する燃料ガスを燃焼させるバーナ部と、前記気化室の他端側を塞ぐために気化器に取り付けたキャップと、このキャップに接続された灯油供給管と、前記気化器に設けられてバーナ部からの燃焼熱を回収する受熱フィンと、そして平行部とUターン部とからなり、Uターン部がノズル側に、平行部が気化器の両脇に各沿って取り付けられた気化器ヒータとで構成されるものにおいて、前記ウィックの中空部内壁に内接する突っ張り材を配置したものである。
【0020】
本発明は上記の構成により、気化器ヒータと受熱フィンから供給される熱がウィックの放射状のひだ部の直線部を通って最短経路で中心部に伝わり、気化室中心部においても灯油が活発に気化するものである。
【0021】
また、ウィックの中空部内壁に内接する突っ張り材を配置したことにより、ウィックと気化室内壁との隙間がなくなり、寿命においても長期に亘り均一な油の蒸発ができ、安定した灯油のガス化が行えるものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例を図1から図6を用いて説明する。
【0023】
図において、27は気化器、13はその気化室で、これらは上記した従来のものと同一である。
【0024】
29は気化室13内に取り付けられた気化促進用のウィックであり、そのウィック29の形状を詳しく説明したものが図4、図5である。
【0025】
図4において、ウィック29は熱伝導率の比較的良好な、例えば銅の金網をコルゲート加工つまりひだ折り加工したひだ折り体よりなり、それを図5のように中心部に中空部30を残し、且つ、各ひだ部が放射状になるよう、棒状に丸められて形成されている。
【0026】
また、図6に示すように、この棒状に丸められたウィック29の内壁面には、ウィック29の中空部30内壁の長手方向に内接する突っ張り材40が挿入してある。これにより長期に亘り冷熱がウィック29に繰り返されても内面の突っ張り材40の働きでウィック29のダレ・変形は防止できるものである。
【0027】
前記、突っ張り材40はウィック29の中空部30の内壁面を押し付けてウィック29の外壁面を気化室13の内壁面に密着させ、ウィック29のダレを防止する構成とするものである。一例として図6の(a)に示すものは、板材をS字断面形状に形成した棒材であり、また、図6(b)に示すものは、発泡材料で形成した棒状構造である。
【0028】
キャップ32は、気化室13の一端側からウィック29を挿入した後、気化室13を塞ぐもので、熱伝導率の比較的悪いステンレス材で作られており、図1及び図2に示すように二段に絞り加工されていて、小径絞り部32aへの伝導熱量が出来るだけ抑制されるように工夫されている。
【0029】
33は気化室13内に灯油を供給するための灯油供給管で、キャップ32の小径絞り部32aに接続したものである。34は気化室13で気化した灯油の気化ガスを噴出させるノズルで、灯油供給管33と反対側の気化室13に接続してある。
【0030】
48はシーズヒータよりなる気化器ヒータで、図2に示すようにUターン形に折り曲げられてその平行部分が気化器27の両脇に沿って取り付けられており、ノズル34側のUターン部分は気化器27の加熱にそれ程寄与しないことから、後記するようにその部分の発熱量が控えめとなるように作られている。
【0031】
49、50は気化器27の両脇において気化器ヒータ48の平行部分を嵌め込むための上閉じ形のヒータ溝、51、52はそれらヒータ溝49、50の下部開口縁部の加締め代である。気化器ヒータ48はヒータ溝49、50に嵌め込まれた後、これら加締め代51、52の加締め加工を経て気化器27に強固に固定されるものである。
【0032】
図2は気化器27と気化器ヒータ48を断面して示したもので、54は気化器ヒータ48の平行部、55はUターン部である。57は気化器ヒータ48内に埋設された抵抗発熱線で、図示されているように、平行部54の発熱密度が比較的大となるようにコイルピッチが密に巻かれ、逆にUターン部55は比較的小となるように疎に巻かれている。これにより、消費される電力が気化器の加熱に可能な限り有効に利用されるものである。
【0033】
本発明の実施例は、上記のように構成されたものであり、次にその作用を説明する。
【0034】
運転開始操作がなされると、制御回路(図示せず)が気化器27内の気化器ヒータ48への通電を開始する。
【0035】
すると気化器ヒータ48により平行部の54の発熱量がUターン部55のそれより多い為、消費される電力が効率よく気化器27の両脇を加熱し、気化器27を灯油の気化温度に素早く上昇させる。
【0036】
そして気化器27の温度が所定値になると、制御回路は電磁ポンプ4及びノズル34を開閉させるソレノイド(図示せず)を作動させ、ノズル34から気化ガスをバーナ部7の混合管内に向けて噴射する。また、同時に点火装置(図示せず)を作動させる。
【0037】
ノズル34から気化ガスが混合管に向けて噴出すると、エゼクター作用が生じて一次空気吸引口を通して一次空気の吸引が始まり、混合管内でその一次空気との混合が開始される。そして、均一な混合ガスとなって炎孔42からバーナ部7外へ吐き出され、上述の点火装置によって点火されることにより、燃焼運転が開始されることになる。
【0038】
本発明にあっては、気化室13内に設置されているウィック29が、熱伝導率の優れた銅金網のひだ折り体を中心部に中空部30を残し、且つ各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、しかもその棒状体の外周部が気化室13の内壁に接触するように一種の圧入状態で設置されているので、気化器ヒータ48から供給される熱がウィック29の中心部へ直線的に伝わり、ウィック29の外周部のみならず中心部の灯油も極めて効率よく加熱する。
【0039】
また、ウィック29の中空部30には、図6に示すように、ウィック29の中空内壁の長手方向に内接する突っ張り材40が圧入状態で挿入してあり、長期に亘り冷熱が繰り返されても内面の突っ張り材40の働きで、ウィック29のダレ・変形を防止できるものである。また、寿命においても適切にボディからの熱をウィック29に伝達でき、ウィック29による油の蒸発を十分に行うことができる。それゆえに、長期に亘り中心部においても気化が旺盛に行われることとなり、ウィック29外周部で気化したものがノズル34へ向かう間にウィック29中心部の中空部30を通過しても、冷却されることがなく、再液化することもないのでタールの発生を防止できるものである。したがって、長期に亘り安定した気化を行うことができ、正常な燃焼を行わせるのに十分なガス温度でノズル34から噴射するものである。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば気化器内に形成された中空円筒状の気化室と、ひだ折り体からなり、中心部に中空部を残して各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、その外周部を気化室の内壁に接触するように気化室内に設置されたウィックと、前記気化室の長手方向の一端側に設けられたノズルと、このノズルから噴出する燃料ガスを燃焼させるバーナ部と、前記気化室の他端側を塞ぐために気化器に取り付けたキャップと、このキャップに接続された灯油供給管と、前記気化器に設けられてバーナ部からの燃焼熱を回収する受熱フィンと、そして平行部とUターン部とからなり、Uターン部がノズル側に、平行部が気化器の両脇に各沿って取り付けられた気化器ヒータとで構成されるものにおいて、前記ウィックの中空部内壁に内接する突っ張り材を配置したことにより、気化器ヒータと受熱フィンから供給される熱がウィックの放射状ひだ部の直線部を通して最短経路で中心部に伝わり、気化室の中心部においても灯油を活発に気化させることができる。
【0041】
また、ウィックの中空部には、ウィックの中空内壁の長手方向に内接する突っ張り材が圧入状態で挿入してあり、長期に亘り冷熱が繰り返されても内面の突っ張り材の働きで、ウィックのダレ・変形を防止できるものである。また、寿命においても適切に気化器ボディからの熱をウィックに伝達でき、ウィックによる油の蒸発を十分に行うことができる。それゆえに、長期に亘り中心部においても気化が旺盛に行われることとなり、ウィック外周部で気化したものがノズルへ向かう間にウィック中心部の中空部を通過しても、冷却されることがなく、再液化することもないのでタールの発生を防止できるものである。
【0042】
従って、長期に亘り安定した気化を行うことができ、正常な燃焼を行わせるのに十分なガス温度でノズルから噴射するものであり、安定した灯油気化装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の灯油気化装置の一実施例を示す一部縦断面図である。
【図2】同じく横断面図である。
【図3】同じく斜視図である。
【図4】同じくウィックのコルゲート加工(ひだ折り加工)したひだ折り体の立体斜視図である。
【図5】同じくウィックの各ひだ部が放射状になるよう、棒状に丸めた形成品の斜視図である。
【図6】同じくウィックの中空部に挿入された状態の突っ張り材の斜視図である。
【図7】本発明及び従来例の灯油燃焼装置の縦断面図である。
【図8】従来例の灯油気化装置の縦断面図である。
【図9】従来例の灯油気化装置の横断面図である。
【符号の説明】
7:バーナ部、13:気化室、24:受熱フィン、27:気化器、29:ウィック、30:中空部、32:キャップ、34:ノズル、40:突っ張り材、48:気化器ヒータ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、気化器内で気化した灯油をノズルから噴出させて燃焼させる気化ブンゼン式燃焼装置の灯油気化装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種燃焼装置の灯油気化装置として、特開2000−329310号公報及び特開2000−329311号公報に示すようなものがある。
【0003】
この従来例を図7、図8及び図9を用いて説明する。このうち、図7は従来例のみならず本発明にも適用される燃焼装置の一般構造を説明するためのものである。
【0004】
まず図7において、1は本体ケース、2はこの本体ケース1の底部に配置された油受けタンク、3はこの油受けタンク2へ灯油を供給するためのカートリッジタンクであり、油受けタンク2の上部に着脱自在に設置されるものである。
【0005】
4は油受けタンク2から灯油を汲み出す電磁ポンプ、27はこの電磁ポンプ4から供給される灯油を加熱して気化させる気化器、33はこの気化器27と電磁ポンプ4を接続する灯油供給管である。
【0006】
7は気化器27で気化した燃料ガスを燃焼させるバーナ部で、図8に示すように金網からなる炎孔42を備えている。8はこのバーナ部7を覆う燃焼筒、9はこの燃焼筒8の前面上部に設けた燃焼ガス排出口、10は燃焼筒8の背面に設置した送風ファン、11は燃焼ガス排出口9から排出される高温の燃焼ガスと送風ファン10から送風される空気とが混合して生じる温風を吐き出すための吐出口で、本体ケース1の前面下部に設けられている。
【0007】
次に図8において、27は前記した気化器で、黄銅材の鍛造物を適宜切削加工して作られている。13は電磁ポンプ4から送り込まれてくる燃料を気化させる中空円筒状の気化室で、気化器27の中に設けられている。29はこの気化室13内に設置された気化促進用のウィックで、熱伝導率の良好な金属網状体、金属綿状体、多孔質金属体、多孔質セラミック等で作られ、真中が中空部30となっている。24は受熱フィンで気化器27と一体に鍛造成形されており、その先端はバーナ部7の炎孔42に臨んでいる。また、53は気化器27に取り付けられたサーミスタであり、気化器27の温度を検知するものである。
【0008】
図9において、32は気化器27の一端側で、ウィック29の挿入側を塞ぐキャップで、熱伝導率の比較的悪いステンレス材で作られたものであり、両者はロー付けにより気密に接続されている。
【0009】
33は気化室13内に液体の灯油を供給するための灯油供給管で、上述したキャップ32の小径絞り部32aに接続されている。
【0010】
48は気化器27を加熱する気化器ヒータで、シーズヒータよりなり、図示するようにUターン形に折り曲げられてその平行部54が気化器27の両脇に沿って取り付けられたものであり、キャップ32と反対側のノズル34側のUターン部55については気化器27の加熱にそれ程寄与しないことから、その部分の発熱量が控えめとなるように抵抗発熱線57のコイルピッチを他の部分より疎にしている。
【0011】
49、50は気化器27の両脇において気化器ヒータ48の平行部54を嵌め込むための上閉じ形のヒータ溝、51、52はそれらヒータ溝49、50の下部開口縁部の加締め代である。気化器ヒータ48はヒータ溝49、50に嵌め込まれたあと、これら加締め代51、52の加締め加工を経て気化器27に強固に固定されるものである。
【0012】
このように構成された従来の燃焼装置において、気化器ヒータ48によって気化器27が灯油の気化温度に達すると油受けタンク2の灯油は電磁ポンプ4によって気化器27に供給され、気化器ヒータ48の加熱によって気化され、気化した灯油ガスがノズル34からバーナ部7内に噴出する。このとき、その噴出ガスのエゼクター作用により一次空気がバーナ部7内に吸引され、灯油ガスと一次空気はバーナ部7の混合管内で混合された後、炎孔42から噴出し、ここで点火装置(図示せず)により点火されて燃焼炎となる。そしてフレームロッドからの信号を受けるフレームセンサー(図示せず)によって炎の有無状態を確認し、炎有りの場合は継続して燃焼する。
【0013】
燃焼炎が形成された後は、受熱フィン24が燃焼炎にさらされるため、気化器ヒータ48の助けを借りる事なく気化器27の温度を灯油の気化温度に保つことが可能となり、気化器ヒータ48への給電は遮断される。この時に生じた燃焼ガスは、バーナ部7の周囲を覆うように配設された燃焼筒8内で上方に導かれ、燃焼筒8の出口で送風ファン10からの空気と混合し、温風となって吐出口11から排出されて暖房に利用される。
【0014】
【特許文献1】「特開2000−329310号公報」
【特許文献2】「特開2000−329311号公報」。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の燃焼装置は、気化室13内の灯油を気化温度に加熱する為の熱源部、すなわち気化器ヒータ48と受熱フィン24のいずれもが気化器27の外側に設けられている為、その熱源部から供給される熱がウィック29の中心まで充分に伝わりにくいという問題がある。
【0016】
また、ウィック29が熱伝導率の良好な金属網状体、金属綿状体、多孔質金属体、多孔質セラミック等で形成されているものの、加熱・冷却の繰り返しによりウィック29の形状がだれ、変形によりウィック29中央部ではボディ内壁とウィック29の間に隙間ができ、ボディ内壁からウィック29へ熱が伝わりにくくなり、ウィック29を効率良く加熱することができないものであった。
【0017】
その為、ウィック29の中心部に気化されない灯油が液化のまま対流し続けてしまう場合も起こりがちであった。そして、それ故にウィック29の外周部で気化した灯油がノズル34へ向かう途中、ウィック29の中空部30を通過する際に、再び冷却されてしまって再液化し、タール化してウィック29やノズル34を詰まらせてしまうという問題があった。
【0018】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、長期寿命を有する安定した燃焼装置の灯油気化装置を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の具体的解決手段は、気化器と、この気化器内に形成された中空円筒状の気化室と、ひだ折り体からなり中心部に中空部を残して各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、その外周部を気化室の内壁に接触するように気化室内に設置されたウィックと、前記気化室の長手方向の一端側に設けられたノズルと、このノズルから噴出する燃料ガスを燃焼させるバーナ部と、前記気化室の他端側を塞ぐために気化器に取り付けたキャップと、このキャップに接続された灯油供給管と、前記気化器に設けられてバーナ部からの燃焼熱を回収する受熱フィンと、そして平行部とUターン部とからなり、Uターン部がノズル側に、平行部が気化器の両脇に各沿って取り付けられた気化器ヒータとで構成されるものにおいて、前記ウィックの中空部内壁に内接する突っ張り材を配置したものである。
【0020】
本発明は上記の構成により、気化器ヒータと受熱フィンから供給される熱がウィックの放射状のひだ部の直線部を通って最短経路で中心部に伝わり、気化室中心部においても灯油が活発に気化するものである。
【0021】
また、ウィックの中空部内壁に内接する突っ張り材を配置したことにより、ウィックと気化室内壁との隙間がなくなり、寿命においても長期に亘り均一な油の蒸発ができ、安定した灯油のガス化が行えるものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施例を図1から図6を用いて説明する。
【0023】
図において、27は気化器、13はその気化室で、これらは上記した従来のものと同一である。
【0024】
29は気化室13内に取り付けられた気化促進用のウィックであり、そのウィック29の形状を詳しく説明したものが図4、図5である。
【0025】
図4において、ウィック29は熱伝導率の比較的良好な、例えば銅の金網をコルゲート加工つまりひだ折り加工したひだ折り体よりなり、それを図5のように中心部に中空部30を残し、且つ、各ひだ部が放射状になるよう、棒状に丸められて形成されている。
【0026】
また、図6に示すように、この棒状に丸められたウィック29の内壁面には、ウィック29の中空部30内壁の長手方向に内接する突っ張り材40が挿入してある。これにより長期に亘り冷熱がウィック29に繰り返されても内面の突っ張り材40の働きでウィック29のダレ・変形は防止できるものである。
【0027】
前記、突っ張り材40はウィック29の中空部30の内壁面を押し付けてウィック29の外壁面を気化室13の内壁面に密着させ、ウィック29のダレを防止する構成とするものである。一例として図6の(a)に示すものは、板材をS字断面形状に形成した棒材であり、また、図6(b)に示すものは、発泡材料で形成した棒状構造である。
【0028】
キャップ32は、気化室13の一端側からウィック29を挿入した後、気化室13を塞ぐもので、熱伝導率の比較的悪いステンレス材で作られており、図1及び図2に示すように二段に絞り加工されていて、小径絞り部32aへの伝導熱量が出来るだけ抑制されるように工夫されている。
【0029】
33は気化室13内に灯油を供給するための灯油供給管で、キャップ32の小径絞り部32aに接続したものである。34は気化室13で気化した灯油の気化ガスを噴出させるノズルで、灯油供給管33と反対側の気化室13に接続してある。
【0030】
48はシーズヒータよりなる気化器ヒータで、図2に示すようにUターン形に折り曲げられてその平行部分が気化器27の両脇に沿って取り付けられており、ノズル34側のUターン部分は気化器27の加熱にそれ程寄与しないことから、後記するようにその部分の発熱量が控えめとなるように作られている。
【0031】
49、50は気化器27の両脇において気化器ヒータ48の平行部分を嵌め込むための上閉じ形のヒータ溝、51、52はそれらヒータ溝49、50の下部開口縁部の加締め代である。気化器ヒータ48はヒータ溝49、50に嵌め込まれた後、これら加締め代51、52の加締め加工を経て気化器27に強固に固定されるものである。
【0032】
図2は気化器27と気化器ヒータ48を断面して示したもので、54は気化器ヒータ48の平行部、55はUターン部である。57は気化器ヒータ48内に埋設された抵抗発熱線で、図示されているように、平行部54の発熱密度が比較的大となるようにコイルピッチが密に巻かれ、逆にUターン部55は比較的小となるように疎に巻かれている。これにより、消費される電力が気化器の加熱に可能な限り有効に利用されるものである。
【0033】
本発明の実施例は、上記のように構成されたものであり、次にその作用を説明する。
【0034】
運転開始操作がなされると、制御回路(図示せず)が気化器27内の気化器ヒータ48への通電を開始する。
【0035】
すると気化器ヒータ48により平行部の54の発熱量がUターン部55のそれより多い為、消費される電力が効率よく気化器27の両脇を加熱し、気化器27を灯油の気化温度に素早く上昇させる。
【0036】
そして気化器27の温度が所定値になると、制御回路は電磁ポンプ4及びノズル34を開閉させるソレノイド(図示せず)を作動させ、ノズル34から気化ガスをバーナ部7の混合管内に向けて噴射する。また、同時に点火装置(図示せず)を作動させる。
【0037】
ノズル34から気化ガスが混合管に向けて噴出すると、エゼクター作用が生じて一次空気吸引口を通して一次空気の吸引が始まり、混合管内でその一次空気との混合が開始される。そして、均一な混合ガスとなって炎孔42からバーナ部7外へ吐き出され、上述の点火装置によって点火されることにより、燃焼運転が開始されることになる。
【0038】
本発明にあっては、気化室13内に設置されているウィック29が、熱伝導率の優れた銅金網のひだ折り体を中心部に中空部30を残し、且つ各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、しかもその棒状体の外周部が気化室13の内壁に接触するように一種の圧入状態で設置されているので、気化器ヒータ48から供給される熱がウィック29の中心部へ直線的に伝わり、ウィック29の外周部のみならず中心部の灯油も極めて効率よく加熱する。
【0039】
また、ウィック29の中空部30には、図6に示すように、ウィック29の中空内壁の長手方向に内接する突っ張り材40が圧入状態で挿入してあり、長期に亘り冷熱が繰り返されても内面の突っ張り材40の働きで、ウィック29のダレ・変形を防止できるものである。また、寿命においても適切にボディからの熱をウィック29に伝達でき、ウィック29による油の蒸発を十分に行うことができる。それゆえに、長期に亘り中心部においても気化が旺盛に行われることとなり、ウィック29外周部で気化したものがノズル34へ向かう間にウィック29中心部の中空部30を通過しても、冷却されることがなく、再液化することもないのでタールの発生を防止できるものである。したがって、長期に亘り安定した気化を行うことができ、正常な燃焼を行わせるのに十分なガス温度でノズル34から噴射するものである。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば気化器内に形成された中空円筒状の気化室と、ひだ折り体からなり、中心部に中空部を残して各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、その外周部を気化室の内壁に接触するように気化室内に設置されたウィックと、前記気化室の長手方向の一端側に設けられたノズルと、このノズルから噴出する燃料ガスを燃焼させるバーナ部と、前記気化室の他端側を塞ぐために気化器に取り付けたキャップと、このキャップに接続された灯油供給管と、前記気化器に設けられてバーナ部からの燃焼熱を回収する受熱フィンと、そして平行部とUターン部とからなり、Uターン部がノズル側に、平行部が気化器の両脇に各沿って取り付けられた気化器ヒータとで構成されるものにおいて、前記ウィックの中空部内壁に内接する突っ張り材を配置したことにより、気化器ヒータと受熱フィンから供給される熱がウィックの放射状ひだ部の直線部を通して最短経路で中心部に伝わり、気化室の中心部においても灯油を活発に気化させることができる。
【0041】
また、ウィックの中空部には、ウィックの中空内壁の長手方向に内接する突っ張り材が圧入状態で挿入してあり、長期に亘り冷熱が繰り返されても内面の突っ張り材の働きで、ウィックのダレ・変形を防止できるものである。また、寿命においても適切に気化器ボディからの熱をウィックに伝達でき、ウィックによる油の蒸発を十分に行うことができる。それゆえに、長期に亘り中心部においても気化が旺盛に行われることとなり、ウィック外周部で気化したものがノズルへ向かう間にウィック中心部の中空部を通過しても、冷却されることがなく、再液化することもないのでタールの発生を防止できるものである。
【0042】
従って、長期に亘り安定した気化を行うことができ、正常な燃焼を行わせるのに十分なガス温度でノズルから噴射するものであり、安定した灯油気化装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の灯油気化装置の一実施例を示す一部縦断面図である。
【図2】同じく横断面図である。
【図3】同じく斜視図である。
【図4】同じくウィックのコルゲート加工(ひだ折り加工)したひだ折り体の立体斜視図である。
【図5】同じくウィックの各ひだ部が放射状になるよう、棒状に丸めた形成品の斜視図である。
【図6】同じくウィックの中空部に挿入された状態の突っ張り材の斜視図である。
【図7】本発明及び従来例の灯油燃焼装置の縦断面図である。
【図8】従来例の灯油気化装置の縦断面図である。
【図9】従来例の灯油気化装置の横断面図である。
【符号の説明】
7:バーナ部、13:気化室、24:受熱フィン、27:気化器、29:ウィック、30:中空部、32:キャップ、34:ノズル、40:突っ張り材、48:気化器ヒータ。
Claims (1)
- 気化器(27)と、この気化器(27)内に形成された中空円筒状の気化室(13)と、ひだ折り体からなり中心部に中空部(30)を残して各ひだ部が放射状になるように棒状に形成され、その外周部を気化室(13)の内壁に接触するように気化室(13)内に設置されたウィック(29)と、前記気化室(13)の長手方向の一端側に設けられたノズル(34)と、このノズル(34)から噴出する燃料ガスを燃焼させるバーナ部(7)と、前記気化室(13)の他端側を塞ぐために気化器(27)に取り付けたキャップ(32)と、このキャップ(32)に接続された灯油供給管(33)と、前記気化器(27)に設けられてバーナ部(7)からの燃焼熱を回収する受熱フィン(24)と、そして平行部(54)とUターン部(55)とからなり、Uターン部(55)がノズル(34)側に、平行部(54)が気化器(27)の両脇に各沿って取り付けられた気化器ヒータ(48)とで構成されるものにおいて、前記ウィック(29)の中空部(30)内壁に内接する突っ張り材(40)を配置したことを特徴とする灯油気化装置。
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JP2003021260A JP2004232940A (ja) | 2003-01-30 | 2003-01-30 | 灯油気化装置 |
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- 2003-01-30 JP JP2003021260A patent/JP2004232940A/ja active Pending
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