JP2004232837A - ガス管損傷時のガス遮断方法およびガス遮断治具 - Google Patents

ガス管損傷時のガス遮断方法およびガス遮断治具 Download PDF

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Hidetoshi Matsuura
秀登志 松浦
Masafumi Goto
理文 後藤
Taichi Asada
太一 浅田
Kimihiko Saito
公彦 斎藤
Hiromi Kasai
弘美 笠井
Hiroyuki Ishii
廣幸 石井
Kazuo Iwakawa
和雄 岩川
Hiromune Sato
広旨 佐藤
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Abstract

【課題】不意に損傷した口径の小さいガス管からのガス漏れを、その損傷した状態を極力保ちながら遮断するためのガス管損傷時のガス遮断方法およびガス遮断治具を提供すること。
【解決手段】地中に埋設されたガス管20が損傷を受けて開口部21が生じ、該開口部21からガス漏れが発生したときに、該開口部21からガス管20内にガス遮断治具50の注入管51を挿入し、圧力容器53から注入管51を介して発泡剤60を前記ガス管20内に噴出させ、該ガス管20内で前記発泡剤60を発泡させることによりガスを遮断する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、舗装道路の工事などに誤ってガスの本管から分岐したガス管が傷付けられた場合のガス遮断方法およびガス遮断治具に関し、特にガス管がカッター等で損傷を受けた場合のガス漏れを遮断するガス遮断方法並びにそれに用いるガス遮断治具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一戸建てやマンション・アパートなど各家庭へガスを供給する場合、図1に示すように、所定の地域を対象として主要道路に径の大きなガスの本管10を通し、その本管10から分岐した供給管20を各家庭などへ接続するように、ガス管が地中に埋設されている。
そうした供給管20が埋設された舗装道路Gの道路工事が行われる場合、舗装を取り除くために使用されるカッター30によって、比較的浅い位置に埋設されている供給管が誤って傷付けられることがある。
【0003】
供給管が傷付けられた場合、供給管の損傷部分の取り替えが必要になるが、マンション・アパートなどの需要の大きな建物に供給するための口径の大きい供給管の場合は、本管から分岐した位置にバルブが設置されているため、バルブを閉じることによってガスを遮断した状態で取り替え工事を行うことができる。
しかし、一戸建てのように需要の小さな家に供給するための口径の小さい供給管の場合には、損傷箇所からのガス漏れ量が少ないことからバルブが設置されていないことがあるため、バルブが設置されていない場合はガス漏れを止めることができないので、ガスが噴出したまま掘削することとなり危険である。
【0004】
そこで、ガス管工事現場においてガス漏れが発生した場合の、ガス漏れを遮断する防災工法あるいは遮断用具が種々提案されている。
たとえば、防災工法としては、特開2001−173841号公報(以下、「特許文献1」という。)に記載の「ガス管工事現場における防災工法」ならびに特開2001−170198号公報(以下、「特許文献2」という。)に記載の「ガス管工事現場における防災工法」が、また、遮断用具としては、特開2001−208278号公報(以下、「特許文献3」という。)に記載の「緊急遮断用具」が提案されている。
【0005】
特許文献1に記載の「ガス管工事現場における防災工法」は、ガス管工事現場におけるガス火災に対して、バッグの熱損を防止すると共にガスの放出を遮断して、ガス噴出による二次災害を防止することを可能にした防災工法であって、埋設ガス管路1における工事区間の両側に掘削立て坑A、Bを形成し、該掘削立て坑A、B内のガス管路1にガス遮断部材7を挿入するガス管工事現場において、上記ガス遮断部材7挿入箇所の周辺を火災時に発泡して断熱層を形成する熱発泡性部材8で包囲するものである。(特許文献1の「0009」参照)
上記熱発泡性部材8が火災による熱にさらされると、約200℃以上で発泡し、同時にアクリル酸が炭化して第1図(b)に示すような炭化発砲層8’が形成され、この炭化発砲層8’がバッグ挿入箇所周辺を覆うことになる。(特許文献1の「0011」および第1図参照)
ところが、この特許文献1に記載の「ガス管工事現場における防災工法」は、すでに埋設ガス管が露出した状態まで工事が進んで、その後、ガス遮断部材7の挿入孔1aから火災が発生した場合の防災工法である。すなわち、火災発生箇所が認知可能な状態で設定される防災工法である。
【0006】
また、特許文献2に記載の「ガス管工事現場における防災工法」は、特許文献1と同様のガス管工事現場において、火災箇所に消火水含有ゲル状体が投入されて一次火災の消火がなされ、投入された消火水含有ゲル状体が火災箇所であるガス遮断部材挿入箇所周辺を包囲することで、ガス遮断部材7の挿入孔1aから噴出するガスを遮断するものである(特許文献2の「0007」参照)。
このガス火災を消火するために消火剤を噴出する設備として、消火水ポンプ10と、該消火水ポンプ10により吸引する消火水を収容する消火水タンク11と、該消火水タンク11から消火水を吸引するホース13の途中に供給ホース14の一端を接続し、その供給ホース14の他端が接続され、高吸水性樹脂及び熱ゲル形成体が収容された容器12と、消火水ポンプ10に接続された放出ホース15と、該放出ホース15の先端に設けられ、火災箇所に向けられている放出口16とからなる(特許文献2の「0010」参照)。
【0007】
ところが、この特許文献2に記載の「ガス管工事現場における防災工法」は、あらかじめガス管工事現場に火災発生を想定してガス火災を消火するために消火剤を噴出する設備を設置しておくものであり、ガス管工事の準備が大がかりになるものである。
【0008】
つぎに、特許文献3に記載の「緊急遮断用具」は、高圧のガスボンベ3、ボンベ頂部に挿入されるピン4、ピンを上下させるハンドル5、ボンベのガスを搬送する耐熱性の金属パイプ6、ガスを遮断する難燃性の布からなるガスバッグ2とからなっているものであり(特許文献3の「0007」および第1図参照)、予め開口aから管内に挿入されている緊急遮断用具の先端にあるガスバッグ2を膨らましてガスを遮断又はガスの流量を減少させるものである(特許文献3の「0009」参照)。
すなわち、特許文献3に記載の「緊急遮断用具」は、予め、ガスバッグ2を開口aから萎んだ状態でガス管内に挿入し、火災などの緊急時に、瞬時にガスバッグ2を膨らますことによって、ガスを遮断する(特許文献3の「0010」参照)ため、特許文献1、2と同様にガス管が露出した状態の工事現場にしか適用できないものである。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−173841号公報(「0011」および第1図参照)
【特許文献2】
特開2001−170198号公報(「0007」、「0010」および第2図参照)
【特許文献3】
特開2001−208278号公報(「0007」、「0009」および第1図参照)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来のガス漏れを遮断する防災工法あるいは遮断用具は、いずれも埋設されていたガス管が既に掘り出されて露出している状態の工事現場で、火災等が発生した場合に、消火したり、ガス漏れ部を被覆したりガス漏れ部のガスを遮断したりするものであり、ガス事業者以外の他の事業者による道路工事中に不意にガス管を損傷してガス漏れが発生するような事故に対処するガス遮断方法およびガス遮断治具は提案されていなかった。
また、ガスが漏れた状態で作業を行うことは、そのガス漏れ量が微量であっても危険であることには変わりなかった。特に、カッターによる切断行為は、刃が石等に当たって火花を飛ばすことがあり、それがガス爆発を誘因することになりかねないという問題が生じていた。
【0011】
そこで本発明は、かかる課題を解決すべく、不意に損傷した口径の小さいガス管からのガス漏れを、その損傷した状態を極力保ちながら遮断するめのガス管損傷時のガス遮断方法およびガス遮断治具を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る請求項1に記載のガス管損傷時のガス遮断方法は、地中に埋設されたガス管が損傷を受けて開口部が生じ、該開口部からガス漏れが発生したときに、該開口部からガス管内に注入管を挿入し、該注入管を介して発泡剤を前記ガス管内に噴出させ、該ガス管内で前記発泡剤を発泡させることによりガスを遮断することを特徴とする。
よって、不意の事故によるガス漏れが発生してもガス管内への発泡剤の注入により、ガス管内に噴出された発泡剤がガス管内で発泡し、ガスの流れを遮断するので、ガス漏れが遮断され、その後、安全に道路工事を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る請求項2に記載のガス管損傷時のガス遮断方法は、請求項1に記載のガス管損傷時のガス遮断方法において、前記発泡剤は、2液混合型の発泡ウレタンであることを特徴とする。
よって、発泡剤がガス管内に注入されて2液が混合されたときに発泡するので、1液づつでの運搬や注入準備は安全であり、容易に注入準備ができる。
【0014】
また、本発明に係る請求項3に記載のガス管損傷時のガス遮断治具は、地中に埋設されたガス管が損傷を受けて開口部が生じ、該開口部からガス漏れが発生したときに、該開口部からガス管内に発泡剤を噴出させて、該ガス管内で前記発泡剤を発泡させることによりガスを遮断するガス遮断治具であって、前記開口部に挿入する注入管と、該注入管に接続され、前記発泡剤を収容して、該発泡剤を圧送する圧力容器とからなることを特徴とする。
よって、注入管の先端をガス管の開口部に挿入し、圧力容器から発泡剤を圧送するだけで、容易に発泡剤をガス管に注入することができ、かつ、ガス遮断治具は圧力容器と注入管のみからなるので軽量で容易に運搬することができる。
【0015】
また、本発明に係る請求項4に記載のガス管損傷時のガス遮断治具は、請求項3に記載のガス管損傷時のガス遮断治具において、前記注入管は、円形パイプを楕円形に扁平させたパイプであることを特徴とする。
よって、ガス管の開口部がカッターによる切り口やガス管の折れ曲がりによる軸方向に交差する細長い形状の場合でも、注入管の先端をガス管の前記開口部に容易に挿入することができ、発泡剤の注入を容易に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るガス管損傷時のガス遮断方法およびガス遮断治具の一の実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
ここで、図1は、道路でのガス管の配置を示した平面図であり、図2は、工事中の道路の正面断面図である。図3は、工事中の道路の側面断面図である。
【0017】
(構成)先ず、本実施形態の対象となるガス管は、図1に示すように、道路の長手方向に沿って地中に埋設された本管10から分岐して需要家70に引き込まれる供給管20であって、特にその口径が25〜50mmといった小径のガス管である。そして、この供給管20を損傷させる場合としては、図2、図3に示すように、道路Gを舗装しているアスファルトを切断するカッター30やボーリングのためのスクリュウなど(図略)によって誤って供給管20を切り込んでしまうような場合がある。カッター30による切断の場合は、供給管20の損傷部は、カッター30の刃の厚さtである3mm程度の幅の開口部21が供給管20の軸方向と交差する方向に形成される。なお、アスファルトGにも同様に幅3mmの溝fが形成される。
【0018】
開口部21が形成されると、本管10から分岐した供給管20には前述したようにバルブが設けられていないため、開口部21からガス漏れが発生する。
そこで、図4に示すように、ガス事業者に別途準備してあるガス遮断治具50を用いてガスを遮断する。ガスを遮断する方法は後述する。
ガス遮断治具50は、図5に示すように、ゲル状の発泡剤60を収容した圧力容器53と、前記供給管20の開口部21に挿入され、該供給管20に発泡剤60を注入する注入管51と、該注入管51と圧力容器53を連結するホース52とから構成されている。なお、圧力容器53には、エアゾール2液式瞬間発泡の東京エアゾル化学株式会社製造「難燃2級旭フェノリックフロシステムAPFS−2」を使用した。
【0019】
注入管51は、図6に示すように、カッター30で切断されたアスファルトGの溝fおよび供給管20の開口部21に挿入可能なように、先端から所要部分が厚さTの扁平な楕円形に成形されている。厚さTは、カッター30の厚さtの3mmより薄い2.5mm程度となっている。
注入管51の他端は円形の状態で、圧力容器53に接続されたホース52の先端に接続されている。
【0020】
(作用)次に、上記のように構成されたガス遮断治具50を用いてガスを遮断する方法について説明する。図3に示すように、カッター30により道路Gのアスファルトを切断する最中に誤って地中に埋設された供給管20が損傷を受けて開口部21が生じた場合に、アスファルト下の供給管20の場所を、先端に磁石を取り付けた探り棒(図略)で供給管20の位置を確認し、図4に示すように、ガス遮断治具50の注入管51を、カッター30で掘削された道路Gの溝fから徐々に挿入し、注入管51の先端が開口部21を通過して供給管20内に入るまで挿入する。
【0021】
注入管51が供給管20内に挿入された後、発泡剤60がホース52、注入管51を通って供給管20内に噴出されるように圧力容器53のレバーを操作する。発泡剤60が供給管20内に噴出されると発泡剤60はガスと触れ、供給管20内で発泡し、供給管20内を長さ約300mmに渉って閉鎖する。
なお、圧力容器53のレバーの操作は、発泡剤60の噴出が止まるまでとするが、噴出の止まるまでの時間は、供給管20の呼び径によって異なり、約8秒(供給管サイズ1・1/2)から約20秒(供給管サイズ3)程度である。
【0022】
その後、ガス漏れが遮断されたことを確認して、図8に示すように、供給管20の周りの土砂を掘削底部gまで掘削して供給管20を認知可能とし、供給管20の損傷を受けた部分を切断して入れ替え、カッター30等によるガス管の損傷を修復する。
供給管20を認知可能となるまで掘削する際にも、開口部21は発泡剤60により閉鎖されているので、開口部21から供給管20内に土砂などが浸入することはない。
【0023】
以上のように本実施の形態のガス管損傷時のガス遮断方法およびガス遮断治具によれば、不意にガス管をカッター等で損傷しても、ガス遮断治具50の注入管51先端を損傷箇所である供給管20の開口部21に挿入し、圧力容器53から注入管51を介して発泡剤60を供給管20内に噴出させて供給管20内を閉鎖することにより、簡便にガス漏れを停止することができ、その後の工事を安全に行うことができる。
【0024】
なお、本発明は前記実施の形態のものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施の形態では、圧力容器53にエアゾール2液式瞬間発泡の東京エアゾル化学株式会社製造「難燃2級旭フェノリックフロシステムAPFS−2」を使用したが、これに限られず、空気やガスに触れると発泡する発泡剤も使用可能である。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、地中に埋設されたガス管が損傷を受けて開口部が生じ、該開口部からガス漏れが発生したときに、該開口部からガス管内に注入管を挿入し、該注入管を介してゲル状の発泡剤を前記ガス管内に注入し、該ガス管内で前記発泡剤を発泡させることによりガスを遮断するガス遮断方法を採用し、このガス遮断方法に用いるガス遮断治具を前記開口部に挿入する注入管と、該注入管に接続され、前記発泡剤を収容して、該発泡剤を圧送する圧力容器とから構成したので、ガス事業者以外の他の事業者による道路工事で不意にガス管を損傷してガス漏れが発生しても、簡便なガス遮断治具で簡単にガス管の破損個所に発泡剤を注入してガスを遮断することが可能となり、道路工事の安全性を高めることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一の実施の形態に係る道路でのガス管の配置を示した平面図である。
【図2】本発明の一の実施の形態に係る工事中の道路の正面断面図である。
【図3】本発明の一の実施の形態に係る工事中の道路の側面断面図である。
【図4】本発明の一の実施の形態に係る工事中の道路の、カッター溝にガス遮断治具を挿入した側面断面図である。
【図5】本発明の一の実施の形態に係るガス遮断治具の斜視図である。
【図6】本発明の一の実施の形態に係るガス遮断治具の、注入管の斜視図である。
【図7】本発明の一の実施の形態に係る工事中の道路の、発泡剤が注入された状態の側面断面図である。
【図8】本発明の一の実施の形態に係る工事中の道路の、さらに掘削された状態の側面断面図である。
【符号の説明】
10 本管
20 供給管
21 開口部
30 カッター
50 ガス遮断治具
51 注入管
53 圧力容器
60 発泡剤

Claims (4)

  1. 地中に埋設されたガス管が損傷を受けて開口部が生じ、該開口部からガス漏れが発生したときに、該開口部からガス管内に注入管を挿入し、該注入管を介して発泡剤を前記ガス管内に噴出させ、該ガス管内で前記発泡剤を発泡させることによりガスを遮断することを特徴とするガス管損傷時のガス遮断方法。
  2. 請求項1に記載のガス管損傷時のガス遮断方法において、
    前記発泡剤は、2液混合型の発泡ウレタンであることを特徴とするガス管損傷時のガス遮断方法。
  3. 地中に埋設されたガス管が損傷を受けて開口部が生じ、該開口部からガス漏れが発生したときに、該開口部からガス管内に発泡剤を噴出させて、該ガス管内で前記発泡剤を発泡させることによりガスを遮断するガス遮断治具であって、
    前記開口部に挿入する注入管と、
    該注入管に接続され、前記発泡剤を収容して、該発泡剤を圧送する圧力容器とからなることを特徴とするガス管損傷時のガス遮断治具。
  4. 請求項3に記載のガス管損傷時のガス遮断治具において、
    前記注入管は、円形パイプを楕円形に扁平させたパイプであることを特徴とするガス管損傷時のガス遮断治具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010139039A (ja) * 2008-12-15 2010-06-24 Tokyo Gas Co Ltd 埋設パイプラインによる災害時ガス供給工法
KR101531288B1 (ko) * 2014-03-27 2015-06-24 삼성중공업 주식회사 파이프라인 누출방지장치

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