JP2004232486A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】この内燃機関の燃料噴射制御装置は、駆動輪16の回転を通じてモータジェネレータ12を駆動することにより制動力を発生させつつHVバッテリ17の充電を行うハイブリッド車両1に適用されて、同車両1の減速時、内燃機関11に対する燃料噴射を停止するとともに、同車両1の車速が所定の車速以下である及び内燃機関11の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて燃料噴射の停止を解除する。そして、所定の車速及び所定の回転速度の少なくとも一方をモータジェネレータ12のトルクの大きさに応じて可変とする。
【選択図】図1
【解決手段】この内燃機関の燃料噴射制御装置は、駆動輪16の回転を通じてモータジェネレータ12を駆動することにより制動力を発生させつつHVバッテリ17の充電を行うハイブリッド車両1に適用されて、同車両1の減速時、内燃機関11に対する燃料噴射を停止するとともに、同車両1の車速が所定の車速以下である及び内燃機関11の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて燃料噴射の停止を解除する。そして、所定の車速及び所定の回転速度の少なくとも一方をモータジェネレータ12のトルクの大きさに応じて可変とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に対する燃料噴射の実行及び停止を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、より詳しくは、発電機による発電を通じて制動力を得る車両に適用されて好適な内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、内燃機関及び電動モータといった異なる2つの動力源を備えたハイブリッド車両が実用化されている。
【0003】
ここで、ハイブリッド車両にあっては、車両の減速時、駆動源である電動モータ(モータジェネレータ)あるいは別途設けられている発電機を通じて、車両の走行エネルギーを電気エネルギーに変換するいわゆる回生ブレーキによりバッテリの充電が行われる。なお、本発明にかかる先行技術文献としては、以下に示す特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−184510号公報
【特許文献2】
特開平5−79373号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関のみを駆動源とする車両にあっては、車両の減速時、インジェクタによる燃料噴射を停止するフューエルカットが行われる。このフューエルカットは、内燃機関のストールを防止するために、
・機関回転速度が所定値(フューエルカット復帰回転速度)未満である。
・車両の速度が所定値未満である。
といった条件のいずれか満たされることに基づいて解除される、即ちインジェクタによる燃料噴射が再開される。
【0006】
ここで、こうしたフューエルカットをハイブリッド車両に適用する場合にあっては、次のようなことが懸念される。
即ち、車両の減速時において、フューエルカットからの復帰により燃料噴射が再開されたとき、回生ブレーキを通じて発電が行われているとすると、この発電による車両の制動力が内燃機関の出力を上回ることにより機関ストールをまねくことが考えられる。
【0007】
そこで従来、こうした懸念を解消するために、特許文献1には次のような内燃機関の燃料噴射制御装置が提案されている。
同文献1に記載の装置は、フューエルカットの実行中、機関回転速度の低下に応じて発電機(モータジェネレータ)による発電量を漸減し、機関回転速度がフューエルカット復帰回転速度以下となったときに同発電量を「0」に設定する構成となっている。
【0008】
これにより、フューエルカットからの復帰後、発電による制動力が生じなくなるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールが抑制されるようになる。
しかし、こうした装置においては、車両の制動力に大きく寄与する発電機の発電量を強制的に減少させるようにしているため、車両の減速時、回生ブレーキによる制動力が大きく変動することによりドライバビリティの悪化をまねくことが考えられる。
【0009】
なお、こうした問題は、回生ブレーキによる車両の制動が行われる車両であれば、ハイブリッド車両に限られず同様に生じるものといえる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに当該車両の速度が所定の速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の速度を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0011】
上記構成によれば、所定の速度が発電機のトルクの大きさに応じて可変とされる。これにより、発電機のトルクが大きい場合(車両の制動力が大きい場合)、所定の速度をより高い値に設定して車速が高い状態で燃料噴射を再開することで、機関ストールを好適に抑制することができるようになる。また、発電機のトルクを本来の要求に応じた大きさに維持する、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理を行わないようにしているため、安定した車両の制動力を得ることができるようになる。このように、上記構成を採用することにより、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
【0012】
請求項2記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに該内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の回転速度を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0013】
上記構成によれば、所定の回転速度が発電機のトルクの大きさに応じて可変とされる。これにより、発電機のトルクが大きい場合(車両の制動力が大きい場合)、所定の回転速度をより高い値に設定して機関回転速度が高い状態で燃料噴射を再開することで、機関ストールを好適に抑制することができるようになる。また、発電機のトルクを本来の要求に応じた大きさに維持する、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理を行わないようにしているため、安定した車両の制動力を得ることができるようになる。このように、上記構成を採用することにより、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
【0014】
請求項3記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに、当該車両の車速が所定の車速以下である及び前記内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の車速及び前記所定の回転速度の少なくとも一方を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0015】
上記構成によれば、所定の速度及び所定の回転速度の少なくとも一方が発電機のトルクの大きさに応じて可変とされる。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1または2記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記制御手段は、前記蓄電池の充電状態に基づいて前記発電機のトルクを推定することを要旨としている。
【0017】
上記構成によれば、蓄電池の充電状態に基づいて発電機のトルクが推定される。これにより、適切に発電機のトルクの大きさを検知することができるようになる。
【0018】
請求項5記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに当該車両の速度が所定の速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の速度を可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0019】
上記構成によれば、所定の速度が蓄電池の充電状態に応じて可変とされる。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0020】
請求項6記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに該内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の回転速度を可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0021】
上記構成によれば、所定の回転速度が蓄電池の充電状態に応じて可変とされる。こうした構成を採用することによっても、上記請求項2記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0022】
請求項7記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに、当該車両の速度が所定の速度以下である及び前記内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の速度及び前記所定の回転速度の少なくとも一方を可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0023】
上記構成によれば、所定の速度及び所定の回転速度の少なくとも一方が蓄電池の充電状態に応じて可変とされる。こうした構成を採用することによっても、上記請求項3記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第1の実施の形態について、図1〜図7を参照して説明する。
【0025】
まず、図1を参照して、内燃機関の燃料噴射制御装置を搭載したハイブリッド車両について、その概要を説明する。なお、図1は、当該ハイブリッド車両の動力伝達系統の構成を模式的に示したものであり、実線で示される経路では動力の伝達が、破線で示される経路では電力の伝達がそれぞれ行われる。
【0026】
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、特性の異なる2種類の動力源、即ち内燃機関11とモータジェネレータ12とを備えて構成される。なお、モータジェネレータ12は、駆動力を発生させるモータとしての機能と電力を発生させる発電機としての機能とを備えて構成される。
【0027】
内燃機関11及びモータジェネレータ12の駆動力は、動力切替機構13及びトランスミッション14を介してドライブシャフト15に伝達され、これにより駆動輪16が駆動される。なお、動力切替機構13は、内燃機関11及びモータジェネレータ12の駆動力をトランスミッション14へ伝達する一方で、駆動輪16の駆動力を内燃機関11及びモータジェネレータ12へ伝達する機能をあわせ備えている。
【0028】
内燃機関11は、インジェクタINJから噴射される燃料と同機関11内に吸入された空気との混合気の燃焼を通じて駆動される。一方で、モータジェネレータ12は、蓄電池であるHVバッテリ17の電力がコンバータ付インバータ18を介して供給されることによりモータとして駆動される。
【0029】
ハイブリッド車両1には、同車両1の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することにより、制動力及び電力を得るいわゆる回生ブレーキが備えられている。
【0030】
即ち、ハイブリッド車両1の減速時にあっては、駆動輪16の駆動力がドライブシャフト15、トランスミッション14及び動力切替機構13を介してモータジェネレータ12に伝達される。この伝達された駆動力を通じてモータジェネレータ12による発電が行われることにより、駆動輪16の駆動力が低減される。このとき、モータジェネレータ12を通じて得られた電力がHVバッテリ17に供給されることにより、同バッテリ17の充電が行われるようになる。なお、駆動輪16の駆動力をドライブシャフト15、トランスミッション14及び動力切替機構13を介して内燃機関11に伝達させることにより、エンジンブレーキを作用させることも可能となっている。
【0031】
また、ハイブリッド車両1には、同車両1を統括的に制御する電子制御装置(ECU)3が備えられている。このECU3には、検出系Cによる各検出データ、即ち
〔a〕HVバッテリ17の充電状態(充電量SOC)を検出するバッテリコンピュータC1からの検出データ。
〔b〕ハイブリッド車両1のアクセルペダルの操作量(アクセル操作量Accl)を検出するアクセルセンサC2の検出データ。
〔c〕ハイブリッド車両1の速度(車速Spd)を検出する車速センサC3の検出データ。
〔d〕ハイブリッド車両1の変速段(シフトポジションSfp)を検出するシフトポジションセンサC4の検出データ。
〔e〕内燃機関11の出力軸の回転速度(機関回転速度Ne)を検出する回転車速センサC5の検出データ。
が入力される。
【0032】
次に、上記各検出データ等に基づいて行われる各処理について説明する。
まず、図2を参照して、回生ブレーキの実行に際して行われる減速回生処理について説明する。なお、本処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0033】
図2に示すように、本処理では、まずハイブリッド車両1のアクセルペダルが踏み込まれているか否かを判定する。即ち、下記条件
Accl>0
が満たされるか否かが判定される(ステップS11)。
【0034】
アクセルペダルが踏み込まれていないとき(アクセル操作量Acclが「0」のとき)、ハイブリッド車両1が走行状態にあるか否かを判定する。即ち、下記条件
Spd>0
が満たされるか否かが判定される(ステップS12)。
【0035】
ハイブリッド車両1が走行状態にあるとき(車速Spdが「0」より大きいとき)、HVバッテリ17の充電量SOCが満充電であることを示す所定の充電量SOCx以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
SOC≧SOCx
が満たされるか否かが判定される(ステップS13)。
【0036】
HVバッテリ17の充電状態が満充電でないとき(充電量SOCが所定の充電量SOCx未満のとき)、シフトポジションSfpが「パーキング(P)」及び「ニュートラル(N)」に設定されているか否かを判定する。即ち、下記条件
Sfp=P,N
が満たされるか否かが判定される(ステップS14)。
【0037】
シフトポジションSfpが「P」及び「N」以外に設定されているとき、モータジェネレータ12を発電機として駆動させることにより回生ブレーキを実行する(ステップS15)。
【0038】
このように、上記処理によれば、ハイブリッド車両1の減速時、
・HVバッテリ17が充電可能な状態にある。
・シフトポジションが動力切替機構13からの駆動力をドライブシャフト15に伝達可能なシフト位置に設定されている。
といった条件が満たされることに基づいて、回生ブレーキが実行される。これにより、ハイブリッド車両1の制動及びHVバッテリ17の充電があわせて行われるようになる。
【0039】
次に、図3を参照して、モータジェネレータの発電に際して必要となる同ジェネレータの駆動トルク(発電トルク)の大きさを算出するための発電トルク算出処理について説明する。なお、本処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0040】
図3に示すように、本処理では、ハイブリッド車両1に備えられている全ての電動装置の駆動状態を検出する(ステップS21)。
電動装置の駆動状態に基づいて、ハイブリッド車両1における電気負荷の大きさ(電気負荷Le)を算出する(ステップS22)。なお、電動装置はバッテリ(HVバッテリ17)の電力を通じて駆動する装置を示す。
【0041】
電気負荷Le及びHVバッテリ17の充電量SOCに基づいて、モータジェネレータ12の発電トルクTmgを算出する(ステップS23)。
このように、上記処理によれば、電気負荷Le及び充電量SOCに基づいてモータジェネレータ12の発電トルクTmgが算出される。
【0042】
次に、図4を参照して、内燃機関に対する燃料噴射を一時的に停止するためのフューエルカット処理について説明する。なお、本処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0043】
図4に示すように、本処理では、まず内燃機関11が駆動しているか否かを判定する(ステップS31)。
内燃機関11が駆動しているとき、ハイブリッド車両1のアクセルペダルが踏み込まれているか否かを判定する。即ち、下記条件
Accl>0
が満たされるか否かが判定される(ステップS32)。
【0044】
アクセルペダルが踏み込まれていないとき(アクセル操作量Acclが「0」のとき)、機関回転速度Neがフューエルカットを実行するための判定値(フューエルカット回転速度Nefc)以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne≧Nefc
が満たされるか否かが判定される(ステップS33)。
【0045】
機関回転速度Neがフューエルカット回転速度Nefc以上のとき、フューエルカットを開始して本処理を終了する。
このように、上記処理によれば、ハイブリッド車両1の減速時、機関回転速度が判定値以上であることに基づいて、フューエルカットが実行される。
【0046】
ところで、ハイブリッド車両の減速時においては、フューエルカットからの復帰により燃料噴射が再開されたとき、回生ブレーキに起因して機関ストールをまねくことが考えられる。
【0047】
そこで、本実施の形態では、以下に説明するフューエルカット復帰処理を通じてフューエルカットを停止することにより、上記懸念が解消されるようにしている。
【0048】
次に、図5を参照して、フューエルカット復帰処理について説明する。なお、本処理が制御手段を通じて行われる処理に相当し、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0049】
図5に示すように、本処理では、まずフューエルカットが行われているか否かを判定する(ステップS101)。
フューエルカットが行われているとき、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された発電トルクTmgを読み込む(ステップS102)。
【0050】
そして、この発電トルクTmgを図6に示すマップに適用して、フューエルカットを停止するための判定値(復帰車速Spdrtn)を算出する(ステップS103)。即ち、下記処理
Spdrtn←f(Tmg)
に相当する処理を通じて復帰車速Spdrtnの算出が行われる。
【0051】
ちなみに、上記マップにおいては、基本的には発電トルクTmgの増加に応じて復帰車速Spdrtnが上昇するようにこれら各パラメータの対応関係が規定されている。
【0052】
ただし、発電トルクが下限トルクTmgll未満となる領域にあっては、復帰車速Spdrtnが下限トルクTmgllに対応した値(下限復帰車速SpdrtnL)に一定値として設定されている。この下限復帰車速SpdrtnLは、内燃機関のストールを抑制するために必要とされる車速のうちの最も低い値に相当する。即ち、下限復帰車速SpdrtnL未満の値を復帰車速として設定した場合にあっては、内燃機関のストールをまねくおそれが生じる。
【0053】
また、発電トルクが上限トルクTmgul以上となる領域にあっては、復帰車速Spdrtnが上限トルクTmgulに対応した値(上限復帰車速SpdrtnU)に一定値として設定されている。この上限復帰車速SpdrtnUは、内燃機関のストールを抑制するために必要とされる車速のうちの最も高い値に相当する。即ち、上限復帰車速SpdrtnU以上の値を復帰車速として設定した場合にあっても、機関ストールの抑制効果は上限復帰車速SpdrtnUを復帰車速として設定した場合と同程度となる。
【0054】
次に、車速Spdが復帰車速Spdrtn未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Spd<Spdrtn
が満たされるか否かが判定される(ステップS104)。
【0055】
車速Spdが復帰車速Spdrtn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS106)。
一方で、車速Spdが復帰車速Spdrtn以上のとき、機関回転速度Neがフューエルカットを停止するための判定値(復帰回転速度Nertn)未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nertn
が満たされるか否かが判定される(ステップS105)。
【0056】
機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS106)。
このように、上記処理によれば、車速Spdが発電トルクTmgの大きさに応じて設定された復帰車速Spdrtn未満となるとき、あるいは機関回転速度Neが予め設定されている復帰回転速度Nertn未満となるとき、フューエルカットが停止される。
【0057】
これにより、発電トルク(モータジェネレータの駆動トルク)に応じて、即ち車両の制動力に応じてフューエルカットの停止時における車速が確保されるようになるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールを好適に抑制することができるようになる。
【0058】
また、発電トルクが本来の要求に応じた大きさ(発電トルク算出処理を通じて算出された発電トルクの大きさ)に維持される、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理が行われないため、車両の制動力が安定して得られるようになる。
【0059】
次に、図7を参照して、上記各処理(図4及び図5)によるフューエルカットからの復帰態様について、その一例を説明する。
例えば、時刻t71において、フューエルカットが開始されたとする(図7〔a〕)。このとき、回生ブレーキを通じて発電が行われることにより発電トルクTmg(電気負荷)が上昇し、これにともなって車速Spdが低下するようになる(図7〔b〕,〔d〕)。また、復帰車速Spdrtnが、フューエルカットが開始されて以降(時刻t71以降)の発電トルクTmgの推移に応じて変更される。
【0060】
そして、時刻t72において、車速Spdが復帰車速Spdrtn未満となった旨検出されたとすると、フューエルカットが停止されてインジェクタINJによる燃料噴射が再開される(図7〔a〕〜〔c〕)。
【0061】
以上詳述したように、この第1の実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、発電トルクTmgに応じて復帰車速Spdrtnを変更するようにしている。これにより、車両の制動力に応じてフューエルカットの停止時における車速が確保されるようになるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールを好適に抑制することができるようになる。
【0062】
(2)また、発電トルクTmgが本来の要求に応じた大きさ(発電トルク算出処理を通じて算出された値)に維持されるため、車両の制動力が安定して得られるようになる。
【0063】
(3)このように、上記構成を採用することで、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
(4)本実施の形態では、発電トルクTmgと復帰車速Spdrtnとの対応関係において、発電トルクが下限トルクTmgll未満となる領域にあっては、復帰車速を下限トルクTmgllに対応した一定値(下限復帰車速SpdrtnL)として設定するようにしている。これにより、復帰車速Spdrtnが過度に低い値に設定されなくなるため、内燃機関のストールをより好適に抑制することができるようになる。
【0064】
(5)本実施の形態では、発電トルクTmgと復帰車速Spdrtnとの対応関係において、発電トルクが上限トルクTmgul以上となる領域にあっては、復帰車速を上限トルクTmgulに対応した一定値(上限復帰車速SpdrtnU)として設定するようにしている。これにより、復帰車速Spdrtnが過度に高い値に設定されなくなるため、好適に燃費の向上を図ることができるようになる。
【0065】
なお、上記第1の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第1の実施の形態では、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かを判定し、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止する構成としたが、例えば次のように変更することもできる。即ち、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かの判定を省略してフューエルカット復帰処理(図5)を行う構成とすることもできる。
【0066】
・上記第1の実施の形態では、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された発電トルクTmgに応じて復帰車速Spdrtnを変更する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された電気負荷Leに応じて復帰車速Spdrtnを変更する構成とすることもできる。
【0067】
・上記第1の実施の形態では、発電トルクTmgと復帰車速Spdrtnとを図6の対応関係に設定する構成としたが、発電トルクTmgと復帰車速Spdrtnとの対応関係は同図6に例示した関係に限られず適宜変更可能である。
【0068】
・上記第1の実施の形態では、図6に例示したマップに発電トルクTmgを適用して復帰車速Spdrtnを算出する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、発電トルクと復帰車速との関係を規定した所定の関数に発電トルクTmgを適用することにより、復帰車速Spdrtnを算出する構成とすることもできる。
【0069】
(第2の実施の形態)
本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第2の実施の形態について、図8〜図10を参照して説明する。なお、本実施の形態における装置全体の構成は、前記第1の実施の形態の装置に準じた構成となっているため、重複する説明を割愛する。
【0070】
まず、本実施の形態の概要について説明する。
本実施の形態では、フューエルカットを停止するための機関回転速度の閾値(復帰回転速度)を発電トルクに応じて変更するようにしている。即ち、本実施の形態は、先の第1の実施の形態におけるフューエルカット復帰処理(図5)に換えて、以下に説明するフューエルカット復帰処理(図8)を行う構成となっている。
【0071】
こうした構成を採用することによっても、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
以下、図8を参照して、フューエルカット復帰処理について説明する。なお、本処理が制御手段を通じて行われる処理に相当し、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0072】
図8に示すように、本処理では、まずフューエルカットが行われているか否かを判定する(ステップS201)。
フューエルカットが行われているとき、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された発電トルクTmgを読み込む(ステップS202)。
【0073】
そして、この発電トルクTmgを図9に示すマップに適用して、フューエルカットを停止するための判定値(復帰回転速度Nertn)を算出する(ステップS203)。即ち、下記処理
Nertn←f(Tmg)
に相当する処理を通じて復帰回転速度Nertnの算出が行われる。
【0074】
ちなみに、上記マップにおいては、基本的には発電トルクTmgの増加に応じて復帰回転速度Nertnが上昇するようにこれら各パラメータの対応関係が規定されている。
【0075】
ただし、発電トルクが下限トルクTmgll未満となる領域にあっては、復帰回転速度Nertnが下限トルクTmgllに対応した値(下限復帰回転速度NertnL)に一定値として設定されている。
【0076】
また、発電トルクが上限トルクTmgul以上となる領域にあっては、復帰回転速度Nertnが上限トルクTmgulに対応した値(上限復帰回転速度NertnU)に一定値として設定されている。
【0077】
次に、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nertn
が満たされるか否かが判定される(ステップS204)。
【0078】
機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS205)。
このように、上記処理によれば、機関回転速度Neが発電トルクTmgの大きさに応じて設定された復帰回転速度Nertn未満となるとき、フューエルカットが停止される。
【0079】
これにより、発電トルクに応じて、即ち車両の制動力に応じてフューエルカットの停止時における機関回転速度が確保されるようになるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールを好適に抑制することができるようになる。
【0080】
また、発電トルクが本来の要求に応じた大きさに維持される、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理が行われないため、車両の制動力が安定して得られるようになる。
【0081】
次に、図10を参照して、上記各処理(図4及び図8)によるフューエルカットからの復帰態様について、その一例を説明する。
例えば、時刻t101において、フューエルカットが開始されたとする(図10〔a〕)。このとき、回生ブレーキを通じて発電が行われることにより発電トルクTmg(電気負荷)が上昇するとともに、フューエルカットにより機関回転速度Neが低下するようになる(図10〔b〕,〔d〕)。また、復帰回転速度Nertnが、フューエルカットが開始されて以降(時刻t101以降)の発電トルクTmgの推移に応じて変更される。ここで、発電トルクTmgの大きさが下限トルクTmgll未満であったとすると、復帰回転速度Nertnは下限復帰回転速度NertnLに維持される(図10〔c〕,〔d〕)。
【0082】
そして、時刻t102において、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満となった旨検出されたとすると、フューエルカットが停止されてインジェクタINJによる燃料噴射が再開される(図10〔a〕〜〔c〕)。
【0083】
以上詳述したように、この第2の実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(5)の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0084】
なお、上記第2の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第2の実施の形態では、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された発電トルクTmgに応じて復帰回転速度Nertnを変更する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された電気負荷Leに応じて復帰回転速度Nertnを変更する構成とすることもできる。
【0085】
・上記第2の実施の形態では、発電トルクTmgと復帰回転速度Nertnとを図9の対応関係に設定する構成としたが、発電トルクTmgと復帰回転速度Nertnとの対応関係は同図9に例示した関係に限られず適宜変更可能である。
【0086】
・上記第2の実施の形態では、図9に例示したマップに発電トルクTmgを適用して復帰回転速度Nertnを算出する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、発電トルクと復帰回転速度との関係を規定した所定の関数に発電トルクTmgを適用することにより、復帰回転速度Nertnを算出する構成とすることもできる。
【0087】
(第3の実施の形態)
本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第2の実施の形態について、図11及び図12を参照して説明する。なお、本実施の形態における装置全体の構成は、前記第1の実施の形態の装置に準じた構成となっているため、重複する説明を割愛する。
【0088】
まず、本実施の形態の概要について説明する。
本実施の形態では、フューエルカットを停止するための車速の閾値(復帰車速)をフューエルカットの実行中におけるバッテリの充電量の推移に応じて変更するようにしている。即ち、本実施の形態は、先の第1の実施の形態におけるフューエルカット復帰処理(図5)に換えて、以下に説明するフューエルカット復帰処理(図11)を行う構成となっている。
【0089】
ちなみに、回生ブレーキの実行中における発電トルク(車両の制動力)は、基本的にはバッテリの充電状態に応じて変動する傾向を示す。
従って、上記構成のように、発電トルクの推移を監視することなくバッテリの充電状態に応じて復帰車速を設定することによっても、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
【0090】
以下、図11を参照して、フューエルカット復帰処理について説明する。なお、本処理が制御手段を通じて行われる処理に相当し、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0091】
図11に示すように、本処理では、まずフューエルカットが行われているか否かを判定する(ステップS301)。
フューエルカットが行われているとき、バッテリコンピュータC1により検出された充電量SOCを読み込む(ステップS302)。
【0092】
そして、この充電量を図12に示すマップに適用して、フューエルカットを停止するための判定値(復帰車速Spdrtn)を算出する(ステップS303)。即ち、下記処理
Spdrtn←f(SOC)
に相当する処理を通じて復帰車速Spdrtnの算出が行われる。
【0093】
ちなみに、上記マップにおいては、基本的には充電量SOCの減少に応じて復帰車速Spdrtnが上昇するようにこれら各パラメータの対応関係が規定されている。
【0094】
ただし、充電量が下限充電量SOCll未満となる領域にあっては、復帰車速Spdrtnが下限充電量SOCllに対応した値(上限復帰車速SpdrtnU)に一定値として設定されている。
【0095】
また、充電量が上限充電量SOCul以上となる領域にあっては、復帰車速Spdrtnが上限充電量SOCulに対応した値(下限復帰車速SpdrtnL)に一定値として設定されている。
【0096】
次に、車速Spdが復帰車速Spdrtn未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Spd<Spdrtn
が満たされるか否かが判定される(ステップS304)。
【0097】
車速Spdが復帰車速Spdrtn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS306)。
一方で、車速Spdが復帰車速Spdrtn以上のとき、機関回転速度Neがフューエルカットを停止するための判定値(復帰回転速度Nertn)未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nertn
が満たされるか否かが判定される(ステップS305)。
【0098】
機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS306)。
このように、上記処理によれば、車速Spdが充電量SOCに応じて設定された復帰車速Spdrtn未満となるとき、あるいは機関回転速度Neが予め設定されている復帰回転速度Nertn未満となるとき、フューエルカットが停止される。
【0099】
これにより、車両の制動力に応じてフューエルカットの停止時における車速が確保されるようになるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールを好適に抑制することができるようになる。
【0100】
また、発電トルクが本来の要求に応じた大きさに維持される、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理が行われないため、車両の制動力が安定して得られるようになる。
【0101】
以上詳述したように、この第3の実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(5)の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0102】
なお、上記第3の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3の実施の形態では、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かを判定し、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止する構成としたが、例えば次のように変更することもできる。即ち、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かの判定を省略してフューエルカット復帰処理(図11)を行う構成とすることもできる。
【0103】
・上記第3の実施の形態では、フューエルカットの実行中におけるHVバッテリ17の充電量SOCの推移に応じて復帰車速Spdrtnを変更する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、充電量SOCの推移に応じて復帰回転速度Nertnを変更する構成とすることもできる。
【0104】
・また、復帰車速Spdrtn及び復帰回転速度Nertnを充電量SOCの推移に応じて変更する構成とすることもできる。
・上記第3の実施の形態では、充電量SOCと復帰車速Spdrtnとを図12の対応関係に設定する構成としたが、充電量SOCと復帰車速Spdrtnとの対応関係は同図12に例示した関係に限られず適宜変更可能である。
【0105】
・上記第3の実施の形態では、図12に例示したマップに充電量SOCを適用して復帰車速Spdrtnを算出する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、充電量と復帰車速との関係を規定した所定の関数に充電量SOCを適用することにより、復帰車速Spdrtnを算出する構成とすることもできる。
【0106】
・上記第3の実施の形態では、フューエルカットの実行中におけるHVバッテリ17の充電量SOCの推移に応じて復帰車速Spdrtnを変更する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、充電量SOCに基づいて発電トルクを推定し、この推定された発電トルクに応じて復帰車速Spdrtnを可変とすることもできる。
【0107】
・また、上記推定された発電トルクに応じて復帰回転速度Nertnを可変とすることもできる。
・また、充電量SOCにあわせて、モータジェネレータ12の発電量に影響するパラメータ(例えばHVバッテリ17の温度等)をさらに加味して発電トルクの推定を行うこともできる。
【0108】
(その他の実施の形態)
その他、上記各実施の形態に共通に変更可能な要素としては、次のようなものがある。
【0109】
・上記各実施の形態では、図2に例示した減速回生処理を通じて回生ブレーキを実行する構成としたが、車両の減速時に回生ブレーキが実行される制御態様であれば減速回生処理の制御態様は適宜変更可能である。
【0110】
・上記各実施の形態では、図3に例示した発電トルク算出処理を通じて発電トルクを算出する構成としたが、車両の電気負荷に基づいて発電トルクが算出される制御態様であれば発電トルク算出処理の制御態様は適宜変更可能である。
【0111】
・上記各実施の形態では、図4に例示したフューエルカット処理を通じてフューエルカットを行う構成としたが、車両の減速時にフューエルカットが行われる制御態様であればフューエルカット処理の制御態様は適宜変更可能である。
【0112】
・上記各実施の形態では、図1に例示した構成のハイブリッド車両を想定したが、回生ブレーキを備えるハイブリッド車両であれば同車両の構成は適宜変更可能である。
【0113】
・上記各実施の形態では、ハイブリッド車両に本発明を適用する構成としたが、ハイブリッド車両に限られず以下の条件、即ち
〔a〕駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより車両の制動及び発電を行う回生ブレーキを備える。
〔b〕車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するフューエルカットを行う。
といった条件を満たす車両であれば、いずれの車両であっても本発明の適用は可能である。また、そうした構成を採用した場合にあっても、上記各実施の形態の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0114】
以上の事項も含めて、最後に、この発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置は次のような技術思想を含むものであることを付記しておく。
(1)電動装置の駆動にともなって生じる電気負荷の大きさに応じて発電機のトルクを設定する一方で、駆動輪の回転を通じて前記発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに当該車両の速度が所定の速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の速度を前記電気負荷の大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
【0115】
(2)電動装置の駆動にともなって生じる電気負荷の大きさに応じて発電機のトルクを設定する一方で、駆動輪の回転を通じて前記発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに該内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の回転速度を前記電気負荷の大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
【0116】
(3)電動装置の駆動にともなって生じる電気負荷の大きさに応じて発電機のトルクを設定する一方で、駆動輪の回転を通じて前記発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに、当該車両の車速が所定の車速以下である及び前記内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の車速及び前記所定の回転速度の少なくとも一方を前記電気負荷の大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第1の実施の形態について、装置全体の構成を模式的に示す略図。
【図2】同実施の形態にて行われる減速回生処理を示すフローチャート。
【図3】同実施の形態にて行われる発電トルク算出処理を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態にて行われるフューエルカット処理を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態にて行われるフューエルカット復帰処理を示すフローチャート。
【図6】同実施の形態のフューエルカット復帰処理において用いられる発電トルクと復帰車速との関係を規定したマップ。
【図7】同実施の形態のフューエルカット復帰処理によるフューエルカットからの復帰態様についてその一例を示すタイミングチャート。
【図8】本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第2の実施の形態について、同実施の形態にて行われるフューエルカット復帰処理を示すフローチャート。
【図9】同実施の形態のフューエルカット復帰処理において用いられる発電トルクと復帰回転速度との関係を規定したマップ。
【図10】同実施の形態のフューエルカット復帰処理によるフューエルカットからの復帰態様についてその一例を示すタイミングチャート。
【図11】本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第3の実施の形態について、同実施の形態にて行われるフューエルカット復帰処理を示すフローチャート。
【図12】同実施の形態のフューエルカット復帰処理において用いられる充電量と復帰車速との関係を規定したマップ。
【符号の説明】
1…ハイブリッド車両、11…内燃機関、12…モータジェネレータ、13…動力切替機構、14…トランスミッション、15…ドライブシャフト、16…駆動輪、17…HVバッテリ、18…コンバータ付インバータ、3…電子制御装置(ECU)、C…検出系、C1…バッテリコンピュータ、C2…アクセルセンサ、C3…車速センサ、C4…シフトポジションセンサ、C5…回転速度センサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に対する燃料噴射の実行及び停止を制御する内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、より詳しくは、発電機による発電を通じて制動力を得る車両に適用されて好適な内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、内燃機関及び電動モータといった異なる2つの動力源を備えたハイブリッド車両が実用化されている。
【0003】
ここで、ハイブリッド車両にあっては、車両の減速時、駆動源である電動モータ(モータジェネレータ)あるいは別途設けられている発電機を通じて、車両の走行エネルギーを電気エネルギーに変換するいわゆる回生ブレーキによりバッテリの充電が行われる。なお、本発明にかかる先行技術文献としては、以下に示す特許文献1及び特許文献2が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−184510号公報
【特許文献2】
特開平5−79373号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関のみを駆動源とする車両にあっては、車両の減速時、インジェクタによる燃料噴射を停止するフューエルカットが行われる。このフューエルカットは、内燃機関のストールを防止するために、
・機関回転速度が所定値(フューエルカット復帰回転速度)未満である。
・車両の速度が所定値未満である。
といった条件のいずれか満たされることに基づいて解除される、即ちインジェクタによる燃料噴射が再開される。
【0006】
ここで、こうしたフューエルカットをハイブリッド車両に適用する場合にあっては、次のようなことが懸念される。
即ち、車両の減速時において、フューエルカットからの復帰により燃料噴射が再開されたとき、回生ブレーキを通じて発電が行われているとすると、この発電による車両の制動力が内燃機関の出力を上回ることにより機関ストールをまねくことが考えられる。
【0007】
そこで従来、こうした懸念を解消するために、特許文献1には次のような内燃機関の燃料噴射制御装置が提案されている。
同文献1に記載の装置は、フューエルカットの実行中、機関回転速度の低下に応じて発電機(モータジェネレータ)による発電量を漸減し、機関回転速度がフューエルカット復帰回転速度以下となったときに同発電量を「0」に設定する構成となっている。
【0008】
これにより、フューエルカットからの復帰後、発電による制動力が生じなくなるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールが抑制されるようになる。
しかし、こうした装置においては、車両の制動力に大きく寄与する発電機の発電量を強制的に減少させるようにしているため、車両の減速時、回生ブレーキによる制動力が大きく変動することによりドライバビリティの悪化をまねくことが考えられる。
【0009】
なお、こうした問題は、回生ブレーキによる車両の制動が行われる車両であれば、ハイブリッド車両に限られず同様に生じるものといえる。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることのできる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに当該車両の速度が所定の速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の速度を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0011】
上記構成によれば、所定の速度が発電機のトルクの大きさに応じて可変とされる。これにより、発電機のトルクが大きい場合(車両の制動力が大きい場合)、所定の速度をより高い値に設定して車速が高い状態で燃料噴射を再開することで、機関ストールを好適に抑制することができるようになる。また、発電機のトルクを本来の要求に応じた大きさに維持する、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理を行わないようにしているため、安定した車両の制動力を得ることができるようになる。このように、上記構成を採用することにより、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
【0012】
請求項2記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに該内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の回転速度を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0013】
上記構成によれば、所定の回転速度が発電機のトルクの大きさに応じて可変とされる。これにより、発電機のトルクが大きい場合(車両の制動力が大きい場合)、所定の回転速度をより高い値に設定して機関回転速度が高い状態で燃料噴射を再開することで、機関ストールを好適に抑制することができるようになる。また、発電機のトルクを本来の要求に応じた大きさに維持する、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理を行わないようにしているため、安定した車両の制動力を得ることができるようになる。このように、上記構成を採用することにより、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
【0014】
請求項3記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに、当該車両の車速が所定の車速以下である及び前記内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の車速及び前記所定の回転速度の少なくとも一方を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0015】
上記構成によれば、所定の速度及び所定の回転速度の少なくとも一方が発電機のトルクの大きさに応じて可変とされる。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1または2記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記制御手段は、前記蓄電池の充電状態に基づいて前記発電機のトルクを推定することを要旨としている。
【0017】
上記構成によれば、蓄電池の充電状態に基づいて発電機のトルクが推定される。これにより、適切に発電機のトルクの大きさを検知することができるようになる。
【0018】
請求項5記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに当該車両の速度が所定の速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の速度を可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0019】
上記構成によれば、所定の速度が蓄電池の充電状態に応じて可変とされる。こうした構成を採用することによっても、上記請求項1記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0020】
請求項6記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに該内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の回転速度を可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0021】
上記構成によれば、所定の回転速度が蓄電池の充電状態に応じて可変とされる。こうした構成を採用することによっても、上記請求項2記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0022】
請求項7記載の発明は、駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに、当該車両の速度が所定の速度以下である及び前記内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の速度及び前記所定の回転速度の少なくとも一方を可変とする制御手段を備えることを要旨としている。
【0023】
上記構成によれば、所定の速度及び所定の回転速度の少なくとも一方が蓄電池の充電状態に応じて可変とされる。こうした構成を採用することによっても、上記請求項3記載の発明の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第1の実施の形態について、図1〜図7を参照して説明する。
【0025】
まず、図1を参照して、内燃機関の燃料噴射制御装置を搭載したハイブリッド車両について、その概要を説明する。なお、図1は、当該ハイブリッド車両の動力伝達系統の構成を模式的に示したものであり、実線で示される経路では動力の伝達が、破線で示される経路では電力の伝達がそれぞれ行われる。
【0026】
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、特性の異なる2種類の動力源、即ち内燃機関11とモータジェネレータ12とを備えて構成される。なお、モータジェネレータ12は、駆動力を発生させるモータとしての機能と電力を発生させる発電機としての機能とを備えて構成される。
【0027】
内燃機関11及びモータジェネレータ12の駆動力は、動力切替機構13及びトランスミッション14を介してドライブシャフト15に伝達され、これにより駆動輪16が駆動される。なお、動力切替機構13は、内燃機関11及びモータジェネレータ12の駆動力をトランスミッション14へ伝達する一方で、駆動輪16の駆動力を内燃機関11及びモータジェネレータ12へ伝達する機能をあわせ備えている。
【0028】
内燃機関11は、インジェクタINJから噴射される燃料と同機関11内に吸入された空気との混合気の燃焼を通じて駆動される。一方で、モータジェネレータ12は、蓄電池であるHVバッテリ17の電力がコンバータ付インバータ18を介して供給されることによりモータとして駆動される。
【0029】
ハイブリッド車両1には、同車両1の運動エネルギーを電気エネルギーとして回収することにより、制動力及び電力を得るいわゆる回生ブレーキが備えられている。
【0030】
即ち、ハイブリッド車両1の減速時にあっては、駆動輪16の駆動力がドライブシャフト15、トランスミッション14及び動力切替機構13を介してモータジェネレータ12に伝達される。この伝達された駆動力を通じてモータジェネレータ12による発電が行われることにより、駆動輪16の駆動力が低減される。このとき、モータジェネレータ12を通じて得られた電力がHVバッテリ17に供給されることにより、同バッテリ17の充電が行われるようになる。なお、駆動輪16の駆動力をドライブシャフト15、トランスミッション14及び動力切替機構13を介して内燃機関11に伝達させることにより、エンジンブレーキを作用させることも可能となっている。
【0031】
また、ハイブリッド車両1には、同車両1を統括的に制御する電子制御装置(ECU)3が備えられている。このECU3には、検出系Cによる各検出データ、即ち
〔a〕HVバッテリ17の充電状態(充電量SOC)を検出するバッテリコンピュータC1からの検出データ。
〔b〕ハイブリッド車両1のアクセルペダルの操作量(アクセル操作量Accl)を検出するアクセルセンサC2の検出データ。
〔c〕ハイブリッド車両1の速度(車速Spd)を検出する車速センサC3の検出データ。
〔d〕ハイブリッド車両1の変速段(シフトポジションSfp)を検出するシフトポジションセンサC4の検出データ。
〔e〕内燃機関11の出力軸の回転速度(機関回転速度Ne)を検出する回転車速センサC5の検出データ。
が入力される。
【0032】
次に、上記各検出データ等に基づいて行われる各処理について説明する。
まず、図2を参照して、回生ブレーキの実行に際して行われる減速回生処理について説明する。なお、本処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0033】
図2に示すように、本処理では、まずハイブリッド車両1のアクセルペダルが踏み込まれているか否かを判定する。即ち、下記条件
Accl>0
が満たされるか否かが判定される(ステップS11)。
【0034】
アクセルペダルが踏み込まれていないとき(アクセル操作量Acclが「0」のとき)、ハイブリッド車両1が走行状態にあるか否かを判定する。即ち、下記条件
Spd>0
が満たされるか否かが判定される(ステップS12)。
【0035】
ハイブリッド車両1が走行状態にあるとき(車速Spdが「0」より大きいとき)、HVバッテリ17の充電量SOCが満充電であることを示す所定の充電量SOCx以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
SOC≧SOCx
が満たされるか否かが判定される(ステップS13)。
【0036】
HVバッテリ17の充電状態が満充電でないとき(充電量SOCが所定の充電量SOCx未満のとき)、シフトポジションSfpが「パーキング(P)」及び「ニュートラル(N)」に設定されているか否かを判定する。即ち、下記条件
Sfp=P,N
が満たされるか否かが判定される(ステップS14)。
【0037】
シフトポジションSfpが「P」及び「N」以外に設定されているとき、モータジェネレータ12を発電機として駆動させることにより回生ブレーキを実行する(ステップS15)。
【0038】
このように、上記処理によれば、ハイブリッド車両1の減速時、
・HVバッテリ17が充電可能な状態にある。
・シフトポジションが動力切替機構13からの駆動力をドライブシャフト15に伝達可能なシフト位置に設定されている。
といった条件が満たされることに基づいて、回生ブレーキが実行される。これにより、ハイブリッド車両1の制動及びHVバッテリ17の充電があわせて行われるようになる。
【0039】
次に、図3を参照して、モータジェネレータの発電に際して必要となる同ジェネレータの駆動トルク(発電トルク)の大きさを算出するための発電トルク算出処理について説明する。なお、本処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0040】
図3に示すように、本処理では、ハイブリッド車両1に備えられている全ての電動装置の駆動状態を検出する(ステップS21)。
電動装置の駆動状態に基づいて、ハイブリッド車両1における電気負荷の大きさ(電気負荷Le)を算出する(ステップS22)。なお、電動装置はバッテリ(HVバッテリ17)の電力を通じて駆動する装置を示す。
【0041】
電気負荷Le及びHVバッテリ17の充電量SOCに基づいて、モータジェネレータ12の発電トルクTmgを算出する(ステップS23)。
このように、上記処理によれば、電気負荷Le及び充電量SOCに基づいてモータジェネレータ12の発電トルクTmgが算出される。
【0042】
次に、図4を参照して、内燃機関に対する燃料噴射を一時的に停止するためのフューエルカット処理について説明する。なお、本処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0043】
図4に示すように、本処理では、まず内燃機関11が駆動しているか否かを判定する(ステップS31)。
内燃機関11が駆動しているとき、ハイブリッド車両1のアクセルペダルが踏み込まれているか否かを判定する。即ち、下記条件
Accl>0
が満たされるか否かが判定される(ステップS32)。
【0044】
アクセルペダルが踏み込まれていないとき(アクセル操作量Acclが「0」のとき)、機関回転速度Neがフューエルカットを実行するための判定値(フューエルカット回転速度Nefc)以上であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne≧Nefc
が満たされるか否かが判定される(ステップS33)。
【0045】
機関回転速度Neがフューエルカット回転速度Nefc以上のとき、フューエルカットを開始して本処理を終了する。
このように、上記処理によれば、ハイブリッド車両1の減速時、機関回転速度が判定値以上であることに基づいて、フューエルカットが実行される。
【0046】
ところで、ハイブリッド車両の減速時においては、フューエルカットからの復帰により燃料噴射が再開されたとき、回生ブレーキに起因して機関ストールをまねくことが考えられる。
【0047】
そこで、本実施の形態では、以下に説明するフューエルカット復帰処理を通じてフューエルカットを停止することにより、上記懸念が解消されるようにしている。
【0048】
次に、図5を参照して、フューエルカット復帰処理について説明する。なお、本処理が制御手段を通じて行われる処理に相当し、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0049】
図5に示すように、本処理では、まずフューエルカットが行われているか否かを判定する(ステップS101)。
フューエルカットが行われているとき、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された発電トルクTmgを読み込む(ステップS102)。
【0050】
そして、この発電トルクTmgを図6に示すマップに適用して、フューエルカットを停止するための判定値(復帰車速Spdrtn)を算出する(ステップS103)。即ち、下記処理
Spdrtn←f(Tmg)
に相当する処理を通じて復帰車速Spdrtnの算出が行われる。
【0051】
ちなみに、上記マップにおいては、基本的には発電トルクTmgの増加に応じて復帰車速Spdrtnが上昇するようにこれら各パラメータの対応関係が規定されている。
【0052】
ただし、発電トルクが下限トルクTmgll未満となる領域にあっては、復帰車速Spdrtnが下限トルクTmgllに対応した値(下限復帰車速SpdrtnL)に一定値として設定されている。この下限復帰車速SpdrtnLは、内燃機関のストールを抑制するために必要とされる車速のうちの最も低い値に相当する。即ち、下限復帰車速SpdrtnL未満の値を復帰車速として設定した場合にあっては、内燃機関のストールをまねくおそれが生じる。
【0053】
また、発電トルクが上限トルクTmgul以上となる領域にあっては、復帰車速Spdrtnが上限トルクTmgulに対応した値(上限復帰車速SpdrtnU)に一定値として設定されている。この上限復帰車速SpdrtnUは、内燃機関のストールを抑制するために必要とされる車速のうちの最も高い値に相当する。即ち、上限復帰車速SpdrtnU以上の値を復帰車速として設定した場合にあっても、機関ストールの抑制効果は上限復帰車速SpdrtnUを復帰車速として設定した場合と同程度となる。
【0054】
次に、車速Spdが復帰車速Spdrtn未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Spd<Spdrtn
が満たされるか否かが判定される(ステップS104)。
【0055】
車速Spdが復帰車速Spdrtn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS106)。
一方で、車速Spdが復帰車速Spdrtn以上のとき、機関回転速度Neがフューエルカットを停止するための判定値(復帰回転速度Nertn)未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nertn
が満たされるか否かが判定される(ステップS105)。
【0056】
機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS106)。
このように、上記処理によれば、車速Spdが発電トルクTmgの大きさに応じて設定された復帰車速Spdrtn未満となるとき、あるいは機関回転速度Neが予め設定されている復帰回転速度Nertn未満となるとき、フューエルカットが停止される。
【0057】
これにより、発電トルク(モータジェネレータの駆動トルク)に応じて、即ち車両の制動力に応じてフューエルカットの停止時における車速が確保されるようになるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールを好適に抑制することができるようになる。
【0058】
また、発電トルクが本来の要求に応じた大きさ(発電トルク算出処理を通じて算出された発電トルクの大きさ)に維持される、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理が行われないため、車両の制動力が安定して得られるようになる。
【0059】
次に、図7を参照して、上記各処理(図4及び図5)によるフューエルカットからの復帰態様について、その一例を説明する。
例えば、時刻t71において、フューエルカットが開始されたとする(図7〔a〕)。このとき、回生ブレーキを通じて発電が行われることにより発電トルクTmg(電気負荷)が上昇し、これにともなって車速Spdが低下するようになる(図7〔b〕,〔d〕)。また、復帰車速Spdrtnが、フューエルカットが開始されて以降(時刻t71以降)の発電トルクTmgの推移に応じて変更される。
【0060】
そして、時刻t72において、車速Spdが復帰車速Spdrtn未満となった旨検出されたとすると、フューエルカットが停止されてインジェクタINJによる燃料噴射が再開される(図7〔a〕〜〔c〕)。
【0061】
以上詳述したように、この第1の実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、以下に列記するような優れた効果が得られるようになる。
(1)本実施の形態では、発電トルクTmgに応じて復帰車速Spdrtnを変更するようにしている。これにより、車両の制動力に応じてフューエルカットの停止時における車速が確保されるようになるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールを好適に抑制することができるようになる。
【0062】
(2)また、発電トルクTmgが本来の要求に応じた大きさ(発電トルク算出処理を通じて算出された値)に維持されるため、車両の制動力が安定して得られるようになる。
【0063】
(3)このように、上記構成を採用することで、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
(4)本実施の形態では、発電トルクTmgと復帰車速Spdrtnとの対応関係において、発電トルクが下限トルクTmgll未満となる領域にあっては、復帰車速を下限トルクTmgllに対応した一定値(下限復帰車速SpdrtnL)として設定するようにしている。これにより、復帰車速Spdrtnが過度に低い値に設定されなくなるため、内燃機関のストールをより好適に抑制することができるようになる。
【0064】
(5)本実施の形態では、発電トルクTmgと復帰車速Spdrtnとの対応関係において、発電トルクが上限トルクTmgul以上となる領域にあっては、復帰車速を上限トルクTmgulに対応した一定値(上限復帰車速SpdrtnU)として設定するようにしている。これにより、復帰車速Spdrtnが過度に高い値に設定されなくなるため、好適に燃費の向上を図ることができるようになる。
【0065】
なお、上記第1の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第1の実施の形態では、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かを判定し、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止する構成としたが、例えば次のように変更することもできる。即ち、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かの判定を省略してフューエルカット復帰処理(図5)を行う構成とすることもできる。
【0066】
・上記第1の実施の形態では、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された発電トルクTmgに応じて復帰車速Spdrtnを変更する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された電気負荷Leに応じて復帰車速Spdrtnを変更する構成とすることもできる。
【0067】
・上記第1の実施の形態では、発電トルクTmgと復帰車速Spdrtnとを図6の対応関係に設定する構成としたが、発電トルクTmgと復帰車速Spdrtnとの対応関係は同図6に例示した関係に限られず適宜変更可能である。
【0068】
・上記第1の実施の形態では、図6に例示したマップに発電トルクTmgを適用して復帰車速Spdrtnを算出する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、発電トルクと復帰車速との関係を規定した所定の関数に発電トルクTmgを適用することにより、復帰車速Spdrtnを算出する構成とすることもできる。
【0069】
(第2の実施の形態)
本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第2の実施の形態について、図8〜図10を参照して説明する。なお、本実施の形態における装置全体の構成は、前記第1の実施の形態の装置に準じた構成となっているため、重複する説明を割愛する。
【0070】
まず、本実施の形態の概要について説明する。
本実施の形態では、フューエルカットを停止するための機関回転速度の閾値(復帰回転速度)を発電トルクに応じて変更するようにしている。即ち、本実施の形態は、先の第1の実施の形態におけるフューエルカット復帰処理(図5)に換えて、以下に説明するフューエルカット復帰処理(図8)を行う構成となっている。
【0071】
こうした構成を採用することによっても、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
以下、図8を参照して、フューエルカット復帰処理について説明する。なお、本処理が制御手段を通じて行われる処理に相当し、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0072】
図8に示すように、本処理では、まずフューエルカットが行われているか否かを判定する(ステップS201)。
フューエルカットが行われているとき、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された発電トルクTmgを読み込む(ステップS202)。
【0073】
そして、この発電トルクTmgを図9に示すマップに適用して、フューエルカットを停止するための判定値(復帰回転速度Nertn)を算出する(ステップS203)。即ち、下記処理
Nertn←f(Tmg)
に相当する処理を通じて復帰回転速度Nertnの算出が行われる。
【0074】
ちなみに、上記マップにおいては、基本的には発電トルクTmgの増加に応じて復帰回転速度Nertnが上昇するようにこれら各パラメータの対応関係が規定されている。
【0075】
ただし、発電トルクが下限トルクTmgll未満となる領域にあっては、復帰回転速度Nertnが下限トルクTmgllに対応した値(下限復帰回転速度NertnL)に一定値として設定されている。
【0076】
また、発電トルクが上限トルクTmgul以上となる領域にあっては、復帰回転速度Nertnが上限トルクTmgulに対応した値(上限復帰回転速度NertnU)に一定値として設定されている。
【0077】
次に、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nertn
が満たされるか否かが判定される(ステップS204)。
【0078】
機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS205)。
このように、上記処理によれば、機関回転速度Neが発電トルクTmgの大きさに応じて設定された復帰回転速度Nertn未満となるとき、フューエルカットが停止される。
【0079】
これにより、発電トルクに応じて、即ち車両の制動力に応じてフューエルカットの停止時における機関回転速度が確保されるようになるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールを好適に抑制することができるようになる。
【0080】
また、発電トルクが本来の要求に応じた大きさに維持される、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理が行われないため、車両の制動力が安定して得られるようになる。
【0081】
次に、図10を参照して、上記各処理(図4及び図8)によるフューエルカットからの復帰態様について、その一例を説明する。
例えば、時刻t101において、フューエルカットが開始されたとする(図10〔a〕)。このとき、回生ブレーキを通じて発電が行われることにより発電トルクTmg(電気負荷)が上昇するとともに、フューエルカットにより機関回転速度Neが低下するようになる(図10〔b〕,〔d〕)。また、復帰回転速度Nertnが、フューエルカットが開始されて以降(時刻t101以降)の発電トルクTmgの推移に応じて変更される。ここで、発電トルクTmgの大きさが下限トルクTmgll未満であったとすると、復帰回転速度Nertnは下限復帰回転速度NertnLに維持される(図10〔c〕,〔d〕)。
【0082】
そして、時刻t102において、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満となった旨検出されたとすると、フューエルカットが停止されてインジェクタINJによる燃料噴射が再開される(図10〔a〕〜〔c〕)。
【0083】
以上詳述したように、この第2の実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(5)の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0084】
なお、上記第2の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第2の実施の形態では、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された発電トルクTmgに応じて復帰回転速度Nertnを変更する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、発電トルク算出処理(図3)を通じて算出された電気負荷Leに応じて復帰回転速度Nertnを変更する構成とすることもできる。
【0085】
・上記第2の実施の形態では、発電トルクTmgと復帰回転速度Nertnとを図9の対応関係に設定する構成としたが、発電トルクTmgと復帰回転速度Nertnとの対応関係は同図9に例示した関係に限られず適宜変更可能である。
【0086】
・上記第2の実施の形態では、図9に例示したマップに発電トルクTmgを適用して復帰回転速度Nertnを算出する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、発電トルクと復帰回転速度との関係を規定した所定の関数に発電トルクTmgを適用することにより、復帰回転速度Nertnを算出する構成とすることもできる。
【0087】
(第3の実施の形態)
本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第2の実施の形態について、図11及び図12を参照して説明する。なお、本実施の形態における装置全体の構成は、前記第1の実施の形態の装置に準じた構成となっているため、重複する説明を割愛する。
【0088】
まず、本実施の形態の概要について説明する。
本実施の形態では、フューエルカットを停止するための車速の閾値(復帰車速)をフューエルカットの実行中におけるバッテリの充電量の推移に応じて変更するようにしている。即ち、本実施の形態は、先の第1の実施の形態におけるフューエルカット復帰処理(図5)に換えて、以下に説明するフューエルカット復帰処理(図11)を行う構成となっている。
【0089】
ちなみに、回生ブレーキの実行中における発電トルク(車両の制動力)は、基本的にはバッテリの充電状態に応じて変動する傾向を示す。
従って、上記構成のように、発電トルクの推移を監視することなくバッテリの充電状態に応じて復帰車速を設定することによっても、安定した車両の制動力を確保しつつ適切にフューエルカットからの復帰を図ることが可能となる。
【0090】
以下、図11を参照して、フューエルカット復帰処理について説明する。なお、本処理が制御手段を通じて行われる処理に相当し、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0091】
図11に示すように、本処理では、まずフューエルカットが行われているか否かを判定する(ステップS301)。
フューエルカットが行われているとき、バッテリコンピュータC1により検出された充電量SOCを読み込む(ステップS302)。
【0092】
そして、この充電量を図12に示すマップに適用して、フューエルカットを停止するための判定値(復帰車速Spdrtn)を算出する(ステップS303)。即ち、下記処理
Spdrtn←f(SOC)
に相当する処理を通じて復帰車速Spdrtnの算出が行われる。
【0093】
ちなみに、上記マップにおいては、基本的には充電量SOCの減少に応じて復帰車速Spdrtnが上昇するようにこれら各パラメータの対応関係が規定されている。
【0094】
ただし、充電量が下限充電量SOCll未満となる領域にあっては、復帰車速Spdrtnが下限充電量SOCllに対応した値(上限復帰車速SpdrtnU)に一定値として設定されている。
【0095】
また、充電量が上限充電量SOCul以上となる領域にあっては、復帰車速Spdrtnが上限充電量SOCulに対応した値(下限復帰車速SpdrtnL)に一定値として設定されている。
【0096】
次に、車速Spdが復帰車速Spdrtn未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Spd<Spdrtn
が満たされるか否かが判定される(ステップS304)。
【0097】
車速Spdが復帰車速Spdrtn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS306)。
一方で、車速Spdが復帰車速Spdrtn以上のとき、機関回転速度Neがフューエルカットを停止するための判定値(復帰回転速度Nertn)未満であるか否かを判定する。即ち、下記条件
Ne<Nertn
が満たされるか否かが判定される(ステップS305)。
【0098】
機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止して本処理を一旦終了する(ステップS306)。
このように、上記処理によれば、車速Spdが充電量SOCに応じて設定された復帰車速Spdrtn未満となるとき、あるいは機関回転速度Neが予め設定されている復帰回転速度Nertn未満となるとき、フューエルカットが停止される。
【0099】
これにより、車両の制動力に応じてフューエルカットの停止時における車速が確保されるようになるため、回生ブレーキに起因する内燃機関のストールを好適に抑制することができるようになる。
【0100】
また、発電トルクが本来の要求に応じた大きさに維持される、即ち同トルクを強制的に減少させることにより機関ストールの回避を図るといった処理が行われないため、車両の制動力が安定して得られるようになる。
【0101】
以上詳述したように、この第3の実施の形態にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、先の第1の実施の形態による前記(1)〜(5)の効果に準じた効果が得られるようになる。
【0102】
なお、上記第3の実施の形態は、これを適宜変更した、例えば次のような形態として実施することもできる。
・上記第3の実施の形態では、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かを判定し、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満のとき、フューエルカットを停止する構成としたが、例えば次のように変更することもできる。即ち、機関回転速度Neが復帰回転速度Nertn未満であるか否かの判定を省略してフューエルカット復帰処理(図11)を行う構成とすることもできる。
【0103】
・上記第3の実施の形態では、フューエルカットの実行中におけるHVバッテリ17の充電量SOCの推移に応じて復帰車速Spdrtnを変更する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、充電量SOCの推移に応じて復帰回転速度Nertnを変更する構成とすることもできる。
【0104】
・また、復帰車速Spdrtn及び復帰回転速度Nertnを充電量SOCの推移に応じて変更する構成とすることもできる。
・上記第3の実施の形態では、充電量SOCと復帰車速Spdrtnとを図12の対応関係に設定する構成としたが、充電量SOCと復帰車速Spdrtnとの対応関係は同図12に例示した関係に限られず適宜変更可能である。
【0105】
・上記第3の実施の形態では、図12に例示したマップに充電量SOCを適用して復帰車速Spdrtnを算出する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、充電量と復帰車速との関係を規定した所定の関数に充電量SOCを適用することにより、復帰車速Spdrtnを算出する構成とすることもできる。
【0106】
・上記第3の実施の形態では、フューエルカットの実行中におけるHVバッテリ17の充電量SOCの推移に応じて復帰車速Spdrtnを変更する構成としたが、例えば次のように変更することも可能である。即ち、充電量SOCに基づいて発電トルクを推定し、この推定された発電トルクに応じて復帰車速Spdrtnを可変とすることもできる。
【0107】
・また、上記推定された発電トルクに応じて復帰回転速度Nertnを可変とすることもできる。
・また、充電量SOCにあわせて、モータジェネレータ12の発電量に影響するパラメータ(例えばHVバッテリ17の温度等)をさらに加味して発電トルクの推定を行うこともできる。
【0108】
(その他の実施の形態)
その他、上記各実施の形態に共通に変更可能な要素としては、次のようなものがある。
【0109】
・上記各実施の形態では、図2に例示した減速回生処理を通じて回生ブレーキを実行する構成としたが、車両の減速時に回生ブレーキが実行される制御態様であれば減速回生処理の制御態様は適宜変更可能である。
【0110】
・上記各実施の形態では、図3に例示した発電トルク算出処理を通じて発電トルクを算出する構成としたが、車両の電気負荷に基づいて発電トルクが算出される制御態様であれば発電トルク算出処理の制御態様は適宜変更可能である。
【0111】
・上記各実施の形態では、図4に例示したフューエルカット処理を通じてフューエルカットを行う構成としたが、車両の減速時にフューエルカットが行われる制御態様であればフューエルカット処理の制御態様は適宜変更可能である。
【0112】
・上記各実施の形態では、図1に例示した構成のハイブリッド車両を想定したが、回生ブレーキを備えるハイブリッド車両であれば同車両の構成は適宜変更可能である。
【0113】
・上記各実施の形態では、ハイブリッド車両に本発明を適用する構成としたが、ハイブリッド車両に限られず以下の条件、即ち
〔a〕駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより車両の制動及び発電を行う回生ブレーキを備える。
〔b〕車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するフューエルカットを行う。
といった条件を満たす車両であれば、いずれの車両であっても本発明の適用は可能である。また、そうした構成を採用した場合にあっても、上記各実施の形態の作用効果に準じた作用効果が得られるようになる。
【0114】
以上の事項も含めて、最後に、この発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置は次のような技術思想を含むものであることを付記しておく。
(1)電動装置の駆動にともなって生じる電気負荷の大きさに応じて発電機のトルクを設定する一方で、駆動輪の回転を通じて前記発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに当該車両の速度が所定の速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の速度を前記電気負荷の大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
【0115】
(2)電動装置の駆動にともなって生じる電気負荷の大きさに応じて発電機のトルクを設定する一方で、駆動輪の回転を通じて前記発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに該内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の回転速度を前記電気負荷の大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
【0116】
(3)電動装置の駆動にともなって生じる電気負荷の大きさに応じて発電機のトルクを設定する一方で、駆動輪の回転を通じて前記発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに、当該車両の車速が所定の車速以下である及び前記内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記所定の車速及び前記所定の回転速度の少なくとも一方を前記電気負荷の大きさに応じて可変とする制御手段を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第1の実施の形態について、装置全体の構成を模式的に示す略図。
【図2】同実施の形態にて行われる減速回生処理を示すフローチャート。
【図3】同実施の形態にて行われる発電トルク算出処理を示すフローチャート。
【図4】同実施の形態にて行われるフューエルカット処理を示すフローチャート。
【図5】同実施の形態にて行われるフューエルカット復帰処理を示すフローチャート。
【図6】同実施の形態のフューエルカット復帰処理において用いられる発電トルクと復帰車速との関係を規定したマップ。
【図7】同実施の形態のフューエルカット復帰処理によるフューエルカットからの復帰態様についてその一例を示すタイミングチャート。
【図8】本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第2の実施の形態について、同実施の形態にて行われるフューエルカット復帰処理を示すフローチャート。
【図9】同実施の形態のフューエルカット復帰処理において用いられる発電トルクと復帰回転速度との関係を規定したマップ。
【図10】同実施の形態のフューエルカット復帰処理によるフューエルカットからの復帰態様についてその一例を示すタイミングチャート。
【図11】本発明にかかる内燃機関の燃料噴射制御装置を具体化した第3の実施の形態について、同実施の形態にて行われるフューエルカット復帰処理を示すフローチャート。
【図12】同実施の形態のフューエルカット復帰処理において用いられる充電量と復帰車速との関係を規定したマップ。
【符号の説明】
1…ハイブリッド車両、11…内燃機関、12…モータジェネレータ、13…動力切替機構、14…トランスミッション、15…ドライブシャフト、16…駆動輪、17…HVバッテリ、18…コンバータ付インバータ、3…電子制御装置(ECU)、C…検出系、C1…バッテリコンピュータ、C2…アクセルセンサ、C3…車速センサ、C4…シフトポジションセンサ、C5…回転速度センサ。
Claims (7)
- 駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに当該車両の速度が所定の速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記所定の速度を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに該内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記所定の回転速度を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに、当該車両の車速が所定の車速以下である及び前記内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記所定の車速及び前記所定の回転速度の少なくとも一方を前記発電機のトルクの大きさに応じて可変とする制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記制御手段は、前記蓄電池の充電状態に基づいて前記発電機のトルクを推定する
請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに当該車両の速度が所定の速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の速度を可変とする制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに該内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の回転速度を可変とする制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 駆動輪の回転を通じて発電機を駆動することにより制動力を発生させつつ蓄電池の充電を行う車両に適用されて、当該車両の減速時、内燃機関に対する燃料噴射を停止するとともに、当該車両の速度が所定の速度以下である及び前記内燃機関の回転速度が所定の回転速度以下であるといったいずれかの条件が満たされることに基づいて前記燃料噴射の停止を解除する内燃機関の燃料噴射制御装置において、
前記燃料噴射の停止が開始されて以降の前記蓄電池の充電状態を監視し、この監視される充電状態に応じて前記所定の速度及び前記所定の回転速度の少なくとも一方を可変とする制御手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2003018998A JP2004232486A (ja) | 2003-01-28 | 2003-01-28 | 内燃機関の燃料噴射制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010190186A (ja) * | 2009-02-20 | 2010-09-02 | Nissan Motor Co Ltd | 廃熱回収装置搭載車両 |
JP2019205310A (ja) * | 2018-05-25 | 2019-11-28 | スズキ株式会社 | 発電機制御装置 |
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2003
- 2003-01-28 JP JP2003018998A patent/JP2004232486A/ja active Pending
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