JP2004230337A - 臭気抑制剤、臭気抑制方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】汚泥等の臭気発生源の性状を変化させたり、水質に影響を与えたりすることなく臭気を抑制することが可能な臭気抑制剤および臭気抑制方法を提供すること。
【解決手段】臭気抑制剤は、メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥または放線菌の培養物を酢酸エチルで抽出して得られる酢酸エチル抽出物を有効成分として含有する。臭気発生源に前記酢酸エチル抽出物を添加することによって、そこに存在する放線菌などの微生物の二次合成代謝が活発になり、硫黄原子が抗生物質やメラニンとして固定される結果、硫化水素やメチルメルカプタンなどの含硫化合物の生成が競合的に阻害され、臭気の発生が抑制される。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、臭気抑制剤および臭気抑制方法に関し、詳細には、例えば下水などの汚水や汚泥中で発生する臭気を抑制する臭気抑制剤、および臭気抑制方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水、し尿、廃水などの有機性汚水やこれらから生じる汚泥等を発生源とする臭気が大きな問題となっている。臭気の原因となる臭気成分の多くは、硫化水素やメチルメルカプタンなどの含硫化合物であり、これらの含硫化合物の中には、人体に対して毒性を示すものもある。例えば、硫化水素などは中毒により人を死に至らしめる場合があり、実際に汚水や汚泥などの処理場施設や下水管路において、臭気成分によって作業員が中毒を起こした事例が多数存在する。このため、臭気成分の発生を抑制する手法の開発が試行錯誤で行われている。
【0003】
臭気成分となる含硫化合物の多くは嫌気的な条件で微生物の作用により発生することが知られている。このため、汚泥を好気状態に保つことができれば臭気の発生を抑制することができる。しかし、汚水や汚泥からの窒素除去や固液分離の過程で嫌気的雰囲気は避けて通れない条件である。また下水管路を好気的状態に保つことはコストの面でも現実的な選択肢とはなり得ない。
【0004】
一方、臭気成分の発生を防止する目的で様々な消臭剤や除去方法が提案されている。例えば、鉄や亜鉛を主成分とする塩化第二鉄や塩化亜鉛の溶液を工業用水などで希釈して汚泥や汚水に添加する金属塩法が知られている。この金属塩法は、臭気成分である硫化水素を鉄イオンや亜鉛イオンと反応させることにより、難溶性の塩として分離除去する方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、亜硝酸イオンの持つ酸化力を利用して汚泥中に存在している硫化水素、メチルメルカプタンなどの悪臭物質を分解する手法も提案されている。このほか、腐植土を充填したり、腐植土から抽出される成分を添加したりすることで臭気の抑制を試みる方法もある(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−57730号公報
【特許文献2】
特開2002−113323号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、鉄や亜鉛などを主成分とする消臭剤は、生成された硫化水素の除去に対応するものであり、それ以外の臭気成分であるメチルメルカプタンなどの悪臭成分の除去にはほとんど効果がないことが判明している。また多量の金属の投与は、汚水pHの低下、汚泥の性状変化、脱水性の低下などにつながり、汚水・汚泥処理を行う上で好ましくない影響を与える。
【0008】
亜硝酸塩を添加する方法は、添加を繰返すほどその効果が弱まり、添加に工夫が必要なこと、富栄養化の原因物質である窒素化合物を添加するため、常時使用すると窒素の放出原因となり、高度処理を施して窒素除去率を高めている現状に反するものであり、好ましくない。
【0009】
腐植土を使用する手法は、腐植土の品質が一定でなく、産出地により組成が異なるため、この組成の違いが運転条件を困難にしていると考えられる。腐植土由来の抽出物を利用する方法では、抽出物の実態が明らかではなく、その作用も明確になっていない。また腐植土中に多く含まれるフミン質は上水道においてトリハロメタン生成の原因物質として指摘されているため、むやみにフミン質を放流することは好ましくない。従って、上記のような問題を引き起こすことなく、臭気を抑制する方法が求められている。
【0010】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、汚泥等の臭気発生源の性状を変化させたり、水質に影響を与えたりすることなく臭気を抑制することが可能な臭気抑制剤および臭気抑制方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様に係る臭気抑制剤は、メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥を酢酸エチルで抽出して得られる酢酸エチル抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。
この臭気抑制剤の発明によれば、汚泥の酢酸エチル抽出物により、臭気成分の生成が抑えられ、臭気の発生を抑制することができる。また、酢酸エチル抽出物は、臭気発生源の性状を変化させたり、水質に影響を与えたりすることがないという点で、従来技術の臭気抑制剤と比較して優れた特長を有する。なお、汚泥におけるメナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である場合、該汚泥の酢酸エチル抽出物が臭気抑制効果を持つことは、後記実施例に示すように確認されている。
【0012】
本発明の第2の態様に係る臭気抑制剤は、放線菌の培養物を酢酸エチルで抽出して得られる酢酸エチル抽出物を有効成分として含有することを特徴とする。放線菌の培養物には、前記メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥と同様の成分が存在すると考えられるため、これを酢酸エチルで抽出して得られる酢酸エチル抽出物を用いることにより、臭気成分の生成が抑えられ、臭気の発生を抑制することができる。
【0013】
本発明の第3の態様に係る臭気抑制方法は、臭気成分である含硫化合物を発生する臭気発生源に対し、該臭気発生源に存在する放線菌の二次合成代謝を促進させ得る物質を添加することを特徴とする。臭気発生源に対し、そこに棲息する放線菌の二次合成代謝を促進させ得る物質を添加することにより、硫黄が放線菌による抗生物質やメラニン合成に消費され、臭気の原因物質である含硫化合物に取り込まれることが阻害される結果、臭気の発生が抑制される。
【0014】
本発明の第4の態様に係る臭気抑制方法は、臭気成分である含硫化合物を発生する臭気発生源に対し、メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥、または放線菌の培養物を、酢酸エチルで抽出して得られる酢酸エチル抽出物を添加することを特徴とする。
【0015】
この臭気抑制方法の発明によれば、メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥または放線菌の培養物から得られる酢酸エチル抽出物を添加することにより、臭気発生源における臭気成分の生成を抑え、臭気を抑制することができる。また、この臭気抑制方法は、前記酢酸エチル抽出物を用いるため、臭気発生源である汚泥等の性状を変化させたり、水質に影響を与えたりすることがなく、従来技術の臭気抑制方法より優れたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明に係る臭気抑制剤は、メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥、または放線菌の培養物を酢酸エチルで抽出した場合に、酢酸エチルに移行する物質(酢酸エチル抽出物)を有効成分として含有するものである。
【0017】
本発明の臭気抑制剤を適用可能な臭気発生源としては、例えば、下水、し尿、廃水、生ごみ滲出液等の有機性汚水や、これらから生じる汚泥のほか、生ごみ、堆肥、コンポストなどが含まれる。
【0018】
上記臭気発生源において生成する臭気成分は、主として嫌気的条件下で微生物の代謝活動によって生成する含硫化合物である。より具体的には、例えば、硫化水素、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、またはDMS(硫化ジメチル)などであると考えられている。
【0019】
本発明の臭気抑制剤の有効成分である酢酸エチル抽出物は、例えば有機性排水処理システムから発生する汚泥や、放線菌の培養物等に含まれる成分であり、その化学的構造は明らかではないが、放線菌などの微生物における二次合成代謝に関与する物質ではないかと推定される。本発明では、この酢酸エチル抽出物を臭気発生源に添加することによって、臭気発生源に棲息する放線菌などの微生物の二次合成代謝経路が活発に働き、抗生物質やメラニン合成が促進される結果、それらに硫黄が取り込まれ安定した状態となるとともに、硫黄が硫化水素やメチルメルカプタンなどの含硫化合物に取り込まれることが妨げられ、臭気の発生が抑制されるものと推測される。
【0020】
酢酸エチル抽出物は、前記メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥や、放線菌の培養物(菌体や、液体もしくは固体培養に用いた培地を含む)を酢酸エチルで抽出処理することによって得ることができる。
【0021】
汚泥の場合は、キノン分析において、メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥が用いられる。メナキノンの濃度が上記8mol%未満である場合は、十分な臭気抑制作用が得られない。キノン分析は、公知の手法により行うことが可能であり、メナキノン9H8は、環境中の微生物群のポピュレーション分析における指標として有用であることが知られている(例えばキノンプロファイル法に関する報告:Hiraishi, A. 1999, J. Biosci. Bioeng.; Vol. 88: p449−460など)。
【0022】
放線菌の培養物を得るには、液体または固体培地を用いてストレプトマイセス属の放線菌を培養すればよい。ここで、放線菌としては、例えばストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)、ストレプトマイセス・バージニエ(Streptomyces virginiae)、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)、ストレプトマイセス・シアネオフスキャタス(Streptomyces cyaneofuscatus)、ストレプトマイセス・ビキニエンシス(Streptomyces bikiniensis)等のストレプトマイセス属の放線菌を挙げることができる。
【0023】
放線菌を培養する培地は一般的なものでよいが、好適な培地組成としては、例えば酵母エキス1g、肉エキス1g、Nzアミン(Nz amine)1g、グルコース10gを1リットルの蒸留水に溶解させてpH7.2に調整した液体培地や、該液体培地に寒天を9g添加して固化させた固体培地等を挙げることができる。培養温度、培養時間は例えば25〜30℃程度で2日〜4日程度とすることができる。
【0024】
酢酸エチルによる抽出は、以下のように行うことができる。
【0025】
汚泥から抽出を行う場合は、汚泥を固液分離後、エタノール等で洗浄してから酢酸エチルで抽出する。抽出の際には、例えば超音波破砕器等を使用して破砕を行うことにより抽出効率を高めることが可能となる。放線菌の培養物から抽出を行う場合は、汚泥の場合に準じて実施できるが、固液分離やアルコール洗浄を行わずにそのまま酢酸エチル抽出を行うことができる。なお、抽出物を含む酢酸エチルを濃縮し、酢酸エチルの大部分を除去することにより臭気抑制剤としての酢酸エチル抽出物が得られる。
以上の如くして得られる本発明の臭気抑制剤を汚水や汚泥等の臭気発生源に添加することによって、臭気を抑制できる。
【0026】
本発明の臭気抑制方法は、臭気成分である含硫化合物を発生する臭気発生源に対し、該臭気発生源に存在する放線菌の二次合成代謝を促進させ得る物質(例えば、前記臭気抑制剤である酢酸エチル抽出物など)を添加することにより実施される。
【0027】
酢酸エチル抽出物等の放線菌の二次合成代謝を促進させ得る物質は、例えば汚水や汚泥等の臭気発生源に対し、そのまま、あるいは適切な担体に含浸させた状態で添加することができる。ここで、担体としては汚水や汚泥等の臭気発生源に投与した場合にその処理の障害にならないように、水に対する溶解性や分解性が高い材質のものが好ましい。放線菌の二次合成代謝を促進させ得る物質の添加量は、臭気発生源の汚水や汚泥の状態、つまり臭気の強さ等を考慮して適宜選定することが可能である。
【0028】
また、本発明の臭気抑制方法においては、臭気発生源に対して、酢酸エチル抽出物等とともに銅イオンを添加することも可能である。銅イオンは、殺菌効果がある金属イオンとして知られているが、低濃度の場合には前記放線菌の二次合成代謝に関与する酵素活性を高める作用を持つ。このため、銅イオンを臭気発生源に添加することにより、酢酸エチル抽出物等と同様に作用して、そこに存在する放線菌などの微生物の二次合成代謝がさらに促進され、硫黄原子が抗生物質やメラニンとして取りこまれ固定される。その結果、硫化水素やメチルメルカプタンなどの含硫化合物の生成が阻害され、臭気の発生が抑制されるものと考えられる。
【0029】
添加する銅イオンの濃度は、臭気発生源の汚水や汚泥の状態を考慮して選定することが可能であるが、一例を挙げれば、臭気発生源において0.1〜20ppm程度となるようにすることが好ましく、5〜10ppm程度であればより好ましい。
【0030】
酢酸エチル抽出物等の放線菌の二次合成代謝を促進させ得る物質を添加した臭気発生源は、そのまま通常の処理状態におくことにより、酢酸エチル抽出物等が作用し、臭気の発生を抑制できる。すなわち、例えば臭気発生源が下水や汚泥であれば、下水管や汚泥槽において、好ましくは常温で数時間〜数日放置することにより、臭気の抑制効果が得られる。
【0031】
【作用】
汚泥中に棲息する放線菌などの微生物は、二次合成代謝経路によって抗生物質やメラニン等の二次代謝産物を生成するが、その過程で硫黄原子を利用し、これら二次代謝産物の分子構造中に該硫黄原子を取り込む。例えば抗生物質の場合は硫黄を取り込むことで抗生物質の効果を調節することが知られており、また、放線菌におけるメラニン合成経路の中間物質であるドーパキノンは、フェオメラニンやトリコクロムなどの含硫メラニンの前駆物質である。
【0032】
このため、臭気発生源に二次合成代謝経路を活性化させ得る物質を添加することによって、そこに存在する放線菌などの微生物の二次合成代謝が活発になり、硫黄原子が抗生物質やメラニンとして固定される。その結果、硫化水素やメチルメルカプタンなどの含硫化合物の生成が競合的に阻害され、臭気の発生が抑制されるものと推測される。
【0033】
【実施例】
次に、実施例等を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって制約されるものではない。
【0034】
なお、以下の実施例、比較例において、キノン分析は以下の方法で行った。
<キノン分析手順>
汚泥(MLSS4000mg/l)30mlを遠心分離にかけて沈澱物を回収し、その沈澱物をメタノール:クロロホルム=1:2で2回抽出した後、さらにアセトンで抽出し、得られた抽出液を濃縮してヘキサンで再溶解する。そこに水:ヘキサン=1:1になるように水を加えて、ヘキサン抽出物を洗浄する。その後、ヘキサンを濃縮してから、セパック(SepPak;商品名、Waters社製)カートリッジを用いて、この抽出物中のメナキノンとユビキノンを別々に分離する。30cmのゾルバックス(ZORBAX)ODSカラム(商品名:アジレントテクノロジー社製)を用いてメタノール:イソプロピルエーテル=79:21の混合溶媒(流速1ml/分)で各成分を分離し、フォトダイオードアレイで検出して定性および定量を行う。この定量結果を元に、汚泥中のキノンモル濃度を算出して汚泥の特性を確認する。
【0035】
実施例1および比較例1
1リットルの集気ビンに、250mlの活性汚泥を入れてシリコン栓で密封した。シリコン栓には、予め2本のガラス管を挿入して、一方のガラス管にはゴム風船をつけておき、他方のガラス管にはセプタムで栓をしておいた。
【0036】
メナキノン9H8(MK9H8)のモル濃度が20.78%である汚泥1リットル(MLSS約4000mg/リットル)を合計500mlの酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを蒸発させた。残渣を1mlの酢酸エチルに溶解してろ紙に含浸させて乾燥させ、前記集気ビン中の活性汚泥に投入した。一晩密栓をして室温に静置するとともに、1mlのガスを採取してガスクロマトグラフィーで臭気成分を分析した(実施例1)。
【0037】
また、比較のため、酢酸エチル抽出物を添加しない活性汚泥についても同様にして臭気成分を分析した(比較例1)。その結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
Figure 2004230337
【0039】
表1から、酢酸エチル抽出物を添加した場合は、無添加に比べて臭気の発生が顕著に抑制されることが明らかとなった。
【0040】
比較例2
メナキノン9H8(MK9H8)のモル濃度が6.01%である汚泥1リットル(MLSS約4000mg/リットル)を合計500mlの酢酸エチルで抽出した後、酢酸エチルを蒸発させた。残渣を1mlの酢酸エチルに溶解してろ紙に含浸させ、乾燥させてから、集気ビン中の活性汚泥に投入し、実施例1と同様にして臭気成分を分析した。その結果を表2に示す。なお、実施例1および比較例2で使用した汚泥のキノン分析結果を表3に示す。
【0041】
【表2】
Figure 2004230337
【0042】
【表3】
Figure 2004230337
【0043】
表2から明らかなように、メナキノン9H8のモル濃度が8%に満たない汚泥からの酢酸エチル抽出物の場合は、臭気発生源に添加しても臭気抑制効果は見られず、無添加の場合(比較例1)と有意な差は見出せなかった。
【0044】
実施例2
1リットルの集気ビンに、250mlの活性汚泥を入れてシリコン栓で密封した。シリコン栓には、予め2本のガラス管を挿入して、一方のガラス管にはゴム風船をつけておき、他方のガラス管にはセプタムで栓をしておいた。
【0045】
ストレプトマイセス・グリセウス(Streptomyces griseus)を、酵母エキス1g、肉エキス1g、Nzアミン(Nz amine)1gおよびグルコース10gを1リットルの蒸留水に溶解させてpH7.2に調整した液体培地で、27℃、72時間振とう培養した培養液1000mlを100mlの酢酸エチルで抽出した。抽出に用いた酢酸エチルを濃縮した後、残渣をろ紙に含浸させ、乾燥させた。この酢酸エチル抽出物を含浸したろ紙を集気ビン中の活性汚泥に投入し、一晩密栓をして室温に静置するとともに、1mlのガスを採取してガスクロマトグラフィーで臭気成分を分析した。その結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
Figure 2004230337
【0047】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用可能である。
【0048】
【発明の効果】
本発明の臭気抑制剤および臭気抑制方法によれば、有機性排水処理システムから発生する汚泥の酢酸エチル抽出物により、臭気成分の生成が抑えられ、臭気の発生を抑制することができる。また、酢酸エチル抽出物は、臭気発生源の性状を変化させたり、水質に影響を与えたりすることがないという点で、従来技術の臭気抑制剤と比較して優れた特長を有する。

Claims (4)

  1. メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥を酢酸エチルで抽出して得られる酢酸エチル抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、臭気抑制剤。
  2. 放線菌の培養物を酢酸エチルで抽出して得られる酢酸エチル抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、臭気抑制剤。
  3. 臭気成分である含硫化合物を発生する臭気発生源に対し、該臭気発生源に存在する放線菌の二次合成代謝を促進させ得る物質を添加することを特徴とする、臭気抑制方法。
  4. 臭気成分である含硫化合物を発生する臭気発生源に対し、メナキノン9H8のモル濃度が8mol%以上である汚泥、または放線菌の培養物を、酢酸エチルで抽出して得られる酢酸エチル抽出物を添加することを特徴とする、臭気抑制方法。
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