JP2004229390A - 回転電機及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、固定子を効率良く冷却し得る回転電機を提供することにある。
【解決手段】本発明は、磁性薄鋼板を積層して形成した固定子鉄心4と、この固定子鉄心4に設けた複数のスロット9に巻装された固定子巻線5と、冷却気流を発生させる冷却ファン15とを備えた回転電機において、前記冷却ファン15による冷却気流を流通させる冷却用通気路12,18,19を前記スロット9の底部近傍に設けたのである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、磁性薄鋼板を積層して形成した固定子鉄心4と、この固定子鉄心4に設けた複数のスロット9に巻装された固定子巻線5と、冷却気流を発生させる冷却ファン15とを備えた回転電機において、前記冷却ファン15による冷却気流を流通させる冷却用通気路12,18,19を前記スロット9の底部近傍に設けたのである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動機や発電機等の回転電機に係り、特に冷却性能を向上させた回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転電機、特に固定子を冷却する方法として、固定子鉄心の外周とケーシングとの間に形成した冷却用通気路に冷却風を流通させて行なうことが知られている。
【0003】
一方、特許文献1に開示のように、巻線を収納するスロット底部にサブスロットを並設し、このサブスロットに冷却風を流通させることも行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記前者の方法で、固定子鉄心の内周側に発生する熱や固定子巻線に発生する熱を固定子鉄心の外周側から冷却するには、前記冷却用通気路に流通させる冷却風量を増加させて冷却性能を向上させる必要がある。しかし、冷却風量を増加させるために費やした動力は損失となるために、回転電機の効率を低下させることになる。
【0005】
また上記後者の方法は、回転電機の回転子を冷却するものであり、前記サブスロットは、スロット内に積層した回転子巻線を半径方向に貫通する径方向ダクトに冷却風を供給するためのものである。しかも、冷却風は、回転時における径方向ダクトの内外径の圧力差を利用して流通させる構成のために、この技術を固定子に適用したとしても静止している固定子には内外径の圧力差が生じず、固定子の冷却を行なうことができない。また、径方向ダクトを設けずにサブスロットのみ設けた場合、又はサブスロットを設けずに径方向ダクトのみ設けた場合には、圧力差を利用した冷却風が流れず、回転子の冷却を行なうことができないので、この技術も固定子の冷却に適用することはできない。
【0006】
本発明の目的は、固定子を効率良く冷却し得る回転電機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、磁性薄鋼板を積層して形成した固定子鉄心と、この固定子鉄心に設けた複数のスロットに巻装された固定子巻線と、冷却気流を発生させる冷却ファンとを備えた回転電機において、前記冷却ファンによる冷却気流を流通させる冷却用通気路を前記スロットの底部近傍に設けたのである。
【0008】
上記構成としたことで、運転時に固定子巻線及び固定子鉄心に発生する熱を、固定子鉄心の半径方向の中間部に設けた冷却用通気路内を冷却ファンによって強制的に流通させた冷却気流で効率良く冷却することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明による回転電機の第1の実施の形態を図1〜図2に基づいて説明する。ここに示す回転電機は、電力を供給することにより回転力を得て負荷を駆動する電動機1である。電動機1は、一般に、ケーシング2内に支持された固定子3と、この固定子3に周方向の空隙を介して配置され中心に回転軸6を有する回転子7とを備えている。
【0010】
前記固定子3は、磁性薄鋼板を多数積層して形成した固定子鉄心4と、この固定子鉄心4に巻掛けた固定子巻線5を備えている。
【0011】
一方、前記回転子7は、図示は省略するが、回転子鉄心とそれに巻掛けた回転子巻線を備えており、かつ前記回転軸6を前記ケーシング2に対して軸受8A,8Bを介して回転自在に支持させることにより、前記固定子3に対して前記回転子7が周方向の空隙を介して対向配置されることになる。
【0012】
前記固定子3の固定子鉄心4は、内径側から外径側に向かって放射状に設けた複数のスロット9を有し、これら隣接スロット9間の歯部10に絶縁シート11を介して固定子巻線5を集中巻きして装着している。
【0013】
前記スロット9は、固定子鉄心4を積層方向、云い代えれば前記回転軸6と同方向に貫通して形成されており、その底部に連通して冷却用通気路12が固定子鉄心4の積層方向に貫通して形成されている。
【0014】
この冷却用通気路12は、図2に示すように、スロット9の底部幅よりも狭い幅に形成され、絶縁シート11で包まれた固定子巻線5が冷却用通気路12内に移動しないようにしている。
【0015】
一方、前記ケーシング2の軸方向の一側には、給気口13が開口し、他側には排気口14が開口している。そして、排気口14に対向する前記回転軸6上に冷却ファン15が取付けられている。
【0016】
上記構成において、電動機1の起動に伴い冷却ファン15が回転すると、この冷却ファン15の吸引作用によって外気が給気口13から導入され、矢印で示すように、固定子3と回転子7間の周方向空隙を通って冷却ファン15に至る第一の冷却流路と、前記冷却用通気路12内を通って冷却ファン15に至る第二の冷却流路を通過して排気口14から排出される。ただ、前記第一の冷却流路は固定子3と回転子7間の周方向空隙が僅かであるので、ほとんどの冷却用の外気は、前記第二の冷却流路を形成する前記冷却用通気路12内を通ることになる。
【0017】
したがって、固定子巻線5に発生する熱は、スロット9底部の冷却用通気路12内を通る外気により直接冷却され、また、固定子鉄心4に発生する熱も同様に冷却されるので、固定子巻線5に発生した熱を一旦固定子鉄心4に伝えてから冷却する従来技術に比べて、冷却効果を向上させることができる。
【0018】
しかも、前記冷却用通気路12は、固定子鉄心4の内径と外径のほぼ中間位置に設けられているので、固定子全体として外径側と内径側の温度分布をほぼ均一化することができる。
【0019】
図3は、本発明による第2の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態と異なる構成は、スロット9と冷却用通気路12との間を絶縁材で形成された支持板16で仕切った点にある。
【0020】
即ち、固定子巻線5を絶縁シート11に包んでスロット9内に装着しただけの場合、長期運転中に巻線の崩れや巻線の膨らみ等によって絶縁シート11が冷却用通気路12内に押し込まれる可能性がある。このように絶縁シート11が冷却用通気路12内に押し込まれた場合、冷却用通気路12の断面積が減少して冷却用外気の通風量が減るので、固定子の冷却効率を低下させることになる。
【0021】
このような問題を解消するために、支持機能を有する支持板16でスロット9と冷却用通気路12との間を仕切って巻線を支え、通風断面積の縮小を防止するのである。
【0022】
本第2の実施の形態において、その他の構造は第1の実施の形態と同じであるので、同一部分に同一符号を付し、再度の説明は省略する。
【0023】
本実施の形態においても第1の実施の形態と同じ効果を相することができる。
【0024】
尚、第1の実施の形態における絶縁シート11や第2の実施の形態における支持板16の代わりに、巻線を支持する強度を有する絶縁ボビンを固定子鉄心4の歯部10に装着し、これに固定子巻線を巻き付けるようにして冷却用通気路12の断面積の減少を防止してもよい。いずれにせよ、崩れや膨らみが生じるような巻線を用いる場合には、強度を有する絶縁体によって、スロット9と冷却用通気路12との間を仕切ることが望ましい。
【0025】
図4は、本発明による回転電機の製造方法に係る第3の実施の形態を示すものである。
【0026】
即ち、固定子巻線5の崩れや膨らみをなくし、あるいは固定子巻線5の絶縁を湿気や有害ガスから遮断して対地絶縁を確保するために、固定子巻線5に絶縁樹脂を含浸させることが行なわれている。しかし、図2や図3に示す状態で固定子巻線5に絶縁樹脂を含浸させた場合、当然冷却用通気路12内にも絶縁樹脂が浸入し、通風断面積を減少させてしまう。
【0027】
そこで本実施の形態においては、固定子鉄心4の歯部10に固定子巻線5を巻き付けた後、冷却用通気路12を塞ぐ雇17を施工し、この状態で絶縁樹脂を固定子巻線5に周知の方法で含浸させるのである。
【0028】
本実施例における前記雇17は、スロット9からの絶縁樹脂の浸入を防止するために、冷却用通気路12内に全長に亘って挿入される大きさを有するものである。しかし、スロット9と冷却用通気路12との間が絶縁樹脂の浸入が生じない程度に仕切られている場合には、冷却用通気路12の両開口部のみを塞ぐ大きさの雇17で十分である。
【0029】
このように、冷却用通気路12を塞ぐ雇17を施工した後、固定子巻線5に絶縁樹脂を含浸させて硬化させ、その後、前記雇17を撤去して冷却用通気路12を開放する。これにより、冷却用通気路12は絶縁樹脂の浸入による通風断面積の減少がなくなって固定子3の冷却効率の低下を防止できる。
【0030】
図5は、本発明による第4の実施の形態を示すもので、第1〜第3の実施の形態と異なる構成は、スロット9とは連通されていない冷却用通気路18及び19を有する点である。
【0031】
即ち、冷却用通気路18は、スロット9の底部に接近させて形成したものであり、冷却用通気路19は、隣接スロット9,9間に接近させて形成したものである。これら冷却用通気路18,19は、夫々同形状同士を組み合わせて形成しても単独で形成してもよい。
【0032】
前記冷却用通気路18,19は、何れも固定子巻線5を直接冷却することはできないが、固定子3の内径と外径のほぼ中間部に形成されていることから、固定子3の内外径に大きな温度差を生じさせることなく、ほぼ均一に冷却できる点で有効である。
【0033】
このように本発明による各実施の形態によれば、効率良く固定子3の冷却を行なうことができる。
【0034】
ところで上記各実施の形態は、回転電機として電動機を説明したが、原動機によって駆動されて電力を発生させ、それを負荷に供給する発電機に対しても本発明は適用することができる。
【0035】
さらに、上記各実施の形態は、集中巻きの固定子巻線5を説明したが、分布巻きの固定子巻線にも適用することができ、かつ対応する回転子の型式も特に限定されるものではない。ただ、分布巻きの固定子巻線とした場合、固定子鉄心の積層方向の両端から突出した巻線端が、スロット内の固定子巻線に比べてケーシング側に曲げられているので、スロット底部近傍に形成した冷却用通気路の開口部が前記巻線端で塞がれ、十分に冷却気流を通過させることができなくなる場合がある。そのような場合には、固定子巻線を集中巻きにすれは、固定子鉄心の積層方向の両端から突出した巻線端が短く、ケーシング側に曲げられることもないので、冷却用通気路の開口部が巻線端で塞がれることはない。したがって、固定子巻線を集中巻きにした固定子のスロット底部近傍に冷却ファンによる冷却気流を流通させる冷却用通気路を形成する構成が、最も固定子を効率良く冷却することができる。
【0036】
加えて、上記実施の形態では、固定子鉄心4が歯部10を含めて一体型であるが、固定子巻線5の巻き方によっては、歯部10が分割型となっている形状やスロット9の位置で周方向に分割できる形状の固定子鉄心4としてもよい。
【0037】
さらに、図1において、排気口14に対向する回転軸6上に冷却ファン15を設け、この冷却ファン15の吸引作用によって冷却用通気路12,18,19内に外気を流通させているが、給気口13に対向する回転軸6上に冷却ファンを設け、この冷却ファンの押し込み作用によって冷却用通気路12,18,19内に外気を流通させるようにしてもよい。この他、固定子鉄心4内の冷却流路は、回転軸方向に限らず、半径方向と軸方向の冷却流路を組み合わせてもよい。
【0038】
また、冷却ファンは、回転軸6に固定されたファンに限らず、ケーシング2の外側に取付けられ電動機によって駆動されるファンであってもよい。
【0039】
さらにまた、回転電機を密封型とし、内気循環用冷却ファンによって昇温した空気をケーシング2外に突出させた冷却パイプ等を通して冷却するようにしたものにも本発明は適用することができる。
【0040】
尚、回転電機の種類によっては、前記冷却用通気路12,18,19の内周に多数の凹凸を形成して放熱面積を増やすことも可能である。前記冷却用通気路12,18,19内への凹凸の形成は、例えば、固定子鉄心4を構成する磁性薄鋼板を打抜きする際に、前記冷却用通気路12,18,19の打抜き位置をスロット9に対し周方向に変位させ、積層時に磁性薄鋼板を表裏交互に積み重ねることにより得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、固定子を効率良く冷却し得る回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転電機の第1の実施の形態を示す縦断側面図。
【図2】図1の固定子のみを示す断面図。
【図3】本発明による回転電機の第2の実施の形態を示す図2相当図。
【図4】本発明による回転電機の第3の実施の形態を示す図2相当図。
【図5】本発明による回転電機の第4の実施の形態を示す図2相当図。
【符号の説明】
1…電動機、2…ケーシング、3…固定子、4…固定子鉄心、5…固定子巻線、6…回転軸、7…回転子、9…スロット、10…歯部、12,18,19…冷却用通気路、15…冷却ファン。
【発明の属する技術分野】
本発明は電動機や発電機等の回転電機に係り、特に冷却性能を向上させた回転電機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転電機、特に固定子を冷却する方法として、固定子鉄心の外周とケーシングとの間に形成した冷却用通気路に冷却風を流通させて行なうことが知られている。
【0003】
一方、特許文献1に開示のように、巻線を収納するスロット底部にサブスロットを並設し、このサブスロットに冷却風を流通させることも行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記前者の方法で、固定子鉄心の内周側に発生する熱や固定子巻線に発生する熱を固定子鉄心の外周側から冷却するには、前記冷却用通気路に流通させる冷却風量を増加させて冷却性能を向上させる必要がある。しかし、冷却風量を増加させるために費やした動力は損失となるために、回転電機の効率を低下させることになる。
【0005】
また上記後者の方法は、回転電機の回転子を冷却するものであり、前記サブスロットは、スロット内に積層した回転子巻線を半径方向に貫通する径方向ダクトに冷却風を供給するためのものである。しかも、冷却風は、回転時における径方向ダクトの内外径の圧力差を利用して流通させる構成のために、この技術を固定子に適用したとしても静止している固定子には内外径の圧力差が生じず、固定子の冷却を行なうことができない。また、径方向ダクトを設けずにサブスロットのみ設けた場合、又はサブスロットを設けずに径方向ダクトのみ設けた場合には、圧力差を利用した冷却風が流れず、回転子の冷却を行なうことができないので、この技術も固定子の冷却に適用することはできない。
【0006】
本発明の目的は、固定子を効率良く冷却し得る回転電機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、磁性薄鋼板を積層して形成した固定子鉄心と、この固定子鉄心に設けた複数のスロットに巻装された固定子巻線と、冷却気流を発生させる冷却ファンとを備えた回転電機において、前記冷却ファンによる冷却気流を流通させる冷却用通気路を前記スロットの底部近傍に設けたのである。
【0008】
上記構成としたことで、運転時に固定子巻線及び固定子鉄心に発生する熱を、固定子鉄心の半径方向の中間部に設けた冷却用通気路内を冷却ファンによって強制的に流通させた冷却気流で効率良く冷却することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下本発明による回転電機の第1の実施の形態を図1〜図2に基づいて説明する。ここに示す回転電機は、電力を供給することにより回転力を得て負荷を駆動する電動機1である。電動機1は、一般に、ケーシング2内に支持された固定子3と、この固定子3に周方向の空隙を介して配置され中心に回転軸6を有する回転子7とを備えている。
【0010】
前記固定子3は、磁性薄鋼板を多数積層して形成した固定子鉄心4と、この固定子鉄心4に巻掛けた固定子巻線5を備えている。
【0011】
一方、前記回転子7は、図示は省略するが、回転子鉄心とそれに巻掛けた回転子巻線を備えており、かつ前記回転軸6を前記ケーシング2に対して軸受8A,8Bを介して回転自在に支持させることにより、前記固定子3に対して前記回転子7が周方向の空隙を介して対向配置されることになる。
【0012】
前記固定子3の固定子鉄心4は、内径側から外径側に向かって放射状に設けた複数のスロット9を有し、これら隣接スロット9間の歯部10に絶縁シート11を介して固定子巻線5を集中巻きして装着している。
【0013】
前記スロット9は、固定子鉄心4を積層方向、云い代えれば前記回転軸6と同方向に貫通して形成されており、その底部に連通して冷却用通気路12が固定子鉄心4の積層方向に貫通して形成されている。
【0014】
この冷却用通気路12は、図2に示すように、スロット9の底部幅よりも狭い幅に形成され、絶縁シート11で包まれた固定子巻線5が冷却用通気路12内に移動しないようにしている。
【0015】
一方、前記ケーシング2の軸方向の一側には、給気口13が開口し、他側には排気口14が開口している。そして、排気口14に対向する前記回転軸6上に冷却ファン15が取付けられている。
【0016】
上記構成において、電動機1の起動に伴い冷却ファン15が回転すると、この冷却ファン15の吸引作用によって外気が給気口13から導入され、矢印で示すように、固定子3と回転子7間の周方向空隙を通って冷却ファン15に至る第一の冷却流路と、前記冷却用通気路12内を通って冷却ファン15に至る第二の冷却流路を通過して排気口14から排出される。ただ、前記第一の冷却流路は固定子3と回転子7間の周方向空隙が僅かであるので、ほとんどの冷却用の外気は、前記第二の冷却流路を形成する前記冷却用通気路12内を通ることになる。
【0017】
したがって、固定子巻線5に発生する熱は、スロット9底部の冷却用通気路12内を通る外気により直接冷却され、また、固定子鉄心4に発生する熱も同様に冷却されるので、固定子巻線5に発生した熱を一旦固定子鉄心4に伝えてから冷却する従来技術に比べて、冷却効果を向上させることができる。
【0018】
しかも、前記冷却用通気路12は、固定子鉄心4の内径と外径のほぼ中間位置に設けられているので、固定子全体として外径側と内径側の温度分布をほぼ均一化することができる。
【0019】
図3は、本発明による第2の実施の形態を示すもので、第1の実施の形態と異なる構成は、スロット9と冷却用通気路12との間を絶縁材で形成された支持板16で仕切った点にある。
【0020】
即ち、固定子巻線5を絶縁シート11に包んでスロット9内に装着しただけの場合、長期運転中に巻線の崩れや巻線の膨らみ等によって絶縁シート11が冷却用通気路12内に押し込まれる可能性がある。このように絶縁シート11が冷却用通気路12内に押し込まれた場合、冷却用通気路12の断面積が減少して冷却用外気の通風量が減るので、固定子の冷却効率を低下させることになる。
【0021】
このような問題を解消するために、支持機能を有する支持板16でスロット9と冷却用通気路12との間を仕切って巻線を支え、通風断面積の縮小を防止するのである。
【0022】
本第2の実施の形態において、その他の構造は第1の実施の形態と同じであるので、同一部分に同一符号を付し、再度の説明は省略する。
【0023】
本実施の形態においても第1の実施の形態と同じ効果を相することができる。
【0024】
尚、第1の実施の形態における絶縁シート11や第2の実施の形態における支持板16の代わりに、巻線を支持する強度を有する絶縁ボビンを固定子鉄心4の歯部10に装着し、これに固定子巻線を巻き付けるようにして冷却用通気路12の断面積の減少を防止してもよい。いずれにせよ、崩れや膨らみが生じるような巻線を用いる場合には、強度を有する絶縁体によって、スロット9と冷却用通気路12との間を仕切ることが望ましい。
【0025】
図4は、本発明による回転電機の製造方法に係る第3の実施の形態を示すものである。
【0026】
即ち、固定子巻線5の崩れや膨らみをなくし、あるいは固定子巻線5の絶縁を湿気や有害ガスから遮断して対地絶縁を確保するために、固定子巻線5に絶縁樹脂を含浸させることが行なわれている。しかし、図2や図3に示す状態で固定子巻線5に絶縁樹脂を含浸させた場合、当然冷却用通気路12内にも絶縁樹脂が浸入し、通風断面積を減少させてしまう。
【0027】
そこで本実施の形態においては、固定子鉄心4の歯部10に固定子巻線5を巻き付けた後、冷却用通気路12を塞ぐ雇17を施工し、この状態で絶縁樹脂を固定子巻線5に周知の方法で含浸させるのである。
【0028】
本実施例における前記雇17は、スロット9からの絶縁樹脂の浸入を防止するために、冷却用通気路12内に全長に亘って挿入される大きさを有するものである。しかし、スロット9と冷却用通気路12との間が絶縁樹脂の浸入が生じない程度に仕切られている場合には、冷却用通気路12の両開口部のみを塞ぐ大きさの雇17で十分である。
【0029】
このように、冷却用通気路12を塞ぐ雇17を施工した後、固定子巻線5に絶縁樹脂を含浸させて硬化させ、その後、前記雇17を撤去して冷却用通気路12を開放する。これにより、冷却用通気路12は絶縁樹脂の浸入による通風断面積の減少がなくなって固定子3の冷却効率の低下を防止できる。
【0030】
図5は、本発明による第4の実施の形態を示すもので、第1〜第3の実施の形態と異なる構成は、スロット9とは連通されていない冷却用通気路18及び19を有する点である。
【0031】
即ち、冷却用通気路18は、スロット9の底部に接近させて形成したものであり、冷却用通気路19は、隣接スロット9,9間に接近させて形成したものである。これら冷却用通気路18,19は、夫々同形状同士を組み合わせて形成しても単独で形成してもよい。
【0032】
前記冷却用通気路18,19は、何れも固定子巻線5を直接冷却することはできないが、固定子3の内径と外径のほぼ中間部に形成されていることから、固定子3の内外径に大きな温度差を生じさせることなく、ほぼ均一に冷却できる点で有効である。
【0033】
このように本発明による各実施の形態によれば、効率良く固定子3の冷却を行なうことができる。
【0034】
ところで上記各実施の形態は、回転電機として電動機を説明したが、原動機によって駆動されて電力を発生させ、それを負荷に供給する発電機に対しても本発明は適用することができる。
【0035】
さらに、上記各実施の形態は、集中巻きの固定子巻線5を説明したが、分布巻きの固定子巻線にも適用することができ、かつ対応する回転子の型式も特に限定されるものではない。ただ、分布巻きの固定子巻線とした場合、固定子鉄心の積層方向の両端から突出した巻線端が、スロット内の固定子巻線に比べてケーシング側に曲げられているので、スロット底部近傍に形成した冷却用通気路の開口部が前記巻線端で塞がれ、十分に冷却気流を通過させることができなくなる場合がある。そのような場合には、固定子巻線を集中巻きにすれは、固定子鉄心の積層方向の両端から突出した巻線端が短く、ケーシング側に曲げられることもないので、冷却用通気路の開口部が巻線端で塞がれることはない。したがって、固定子巻線を集中巻きにした固定子のスロット底部近傍に冷却ファンによる冷却気流を流通させる冷却用通気路を形成する構成が、最も固定子を効率良く冷却することができる。
【0036】
加えて、上記実施の形態では、固定子鉄心4が歯部10を含めて一体型であるが、固定子巻線5の巻き方によっては、歯部10が分割型となっている形状やスロット9の位置で周方向に分割できる形状の固定子鉄心4としてもよい。
【0037】
さらに、図1において、排気口14に対向する回転軸6上に冷却ファン15を設け、この冷却ファン15の吸引作用によって冷却用通気路12,18,19内に外気を流通させているが、給気口13に対向する回転軸6上に冷却ファンを設け、この冷却ファンの押し込み作用によって冷却用通気路12,18,19内に外気を流通させるようにしてもよい。この他、固定子鉄心4内の冷却流路は、回転軸方向に限らず、半径方向と軸方向の冷却流路を組み合わせてもよい。
【0038】
また、冷却ファンは、回転軸6に固定されたファンに限らず、ケーシング2の外側に取付けられ電動機によって駆動されるファンであってもよい。
【0039】
さらにまた、回転電機を密封型とし、内気循環用冷却ファンによって昇温した空気をケーシング2外に突出させた冷却パイプ等を通して冷却するようにしたものにも本発明は適用することができる。
【0040】
尚、回転電機の種類によっては、前記冷却用通気路12,18,19の内周に多数の凹凸を形成して放熱面積を増やすことも可能である。前記冷却用通気路12,18,19内への凹凸の形成は、例えば、固定子鉄心4を構成する磁性薄鋼板を打抜きする際に、前記冷却用通気路12,18,19の打抜き位置をスロット9に対し周方向に変位させ、積層時に磁性薄鋼板を表裏交互に積み重ねることにより得ることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、固定子を効率良く冷却し得る回転電機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転電機の第1の実施の形態を示す縦断側面図。
【図2】図1の固定子のみを示す断面図。
【図3】本発明による回転電機の第2の実施の形態を示す図2相当図。
【図4】本発明による回転電機の第3の実施の形態を示す図2相当図。
【図5】本発明による回転電機の第4の実施の形態を示す図2相当図。
【符号の説明】
1…電動機、2…ケーシング、3…固定子、4…固定子鉄心、5…固定子巻線、6…回転軸、7…回転子、9…スロット、10…歯部、12,18,19…冷却用通気路、15…冷却ファン。
Claims (7)
- 磁性薄鋼板を積層して形成した固定子鉄心と、この固定子鉄心に設けた複数のスロットに巻装された固定子巻線と、冷却気流を発生させる冷却ファンとを備えた回転電機において、前記冷却ファンによる冷却気流を流通させる冷却用通気路を前記スロットの底部近傍にスロット長手方向に沿って設けたことを特徴とする回転電機。
- 前記冷却用通気路は、前記スロットの底部に連通されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
- 前記冷却用通気路は、前記スロットとは隔離されて形成されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
- 前記冷却用通気路と前記スロットとは、絶縁体によって仕切られていることを特徴とする請求項2記載の回転電機。
- 前記冷却用通気路の表面には放熱部が形成されていることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の回転電機。
- 磁性薄鋼板を積層して形成した固定子鉄心と、この固定子鉄心に設けた複数のスロットに巻装された固定子巻線と、冷却気流を発生させる冷却ファンとを備えた回転電機において、前記固定子巻線を集中巻きとし、この集中巻きした固定子巻線を装着する前記スロットの低部近傍に、前記冷却ファンによる冷却気流を流通させる冷却用通気路をスロット長手方向に沿って設けたことを特徴とする回転電機。
- 磁性薄鋼板を積層して形成した固定子鉄心と、この固定子鉄心に設けた複数のスロットと、このスロットに巻装された固定子巻線と、冷却気流を発生させる冷却ファンと、この冷却ファンによる冷却気流を流通させ前記スロットの底部近傍にスロット長手方向に沿って設けられた冷却用通気路とを備えた回転電機を製造するに際し、前記冷却用通気路を塞ぐ雇を施工した後、前記固定子巻線に絶縁樹脂を含浸させ、その後、前記雇を撤去する工程を含むことを特徴とする回転電機の製造方法。
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- 2003-01-22 JP JP2003013352A patent/JP2004229390A/ja active Pending
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