JP2004228398A - 固体撮像素子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロレンズが透明樹脂上部層35と着色下部層33の2層構成で、透明樹脂上部層と着色下部層の界面が平坦であり、マイクロレンズの裾部にあたる部分Sの着色下部層の表面が透明樹脂上部層の曲面を延長した曲面を有し、透明樹脂上部層の屈折率が着色下部層の屈折率よりも低いこと。
【選択図】図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、C−MOSやCCD等の受光素子に代表される固体撮像素子に関するものであり、特に、マイクロレンズから受光部までのマイクロレンズ下距離を短くして集光性、マイクロレンズの加工を容易にし、また、色純度の低下を抑制し、さらには、反射光を低減してS/N比を改善したマイクロレンズを有する固体撮像素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
CCDなど固体撮像素子上の光電変換素子が光電変換に寄与する領域(開口部)は、固体撮像素子のサイズや画素数に依存するが、固体撮像素子の全面積に対し20〜40%程度に限られてしまう。開口部が小さいことは、そのまま感度低下につながるので、これを補うため光電変換素子上に集光用のマイクロレンズを形成することが一般的である。
【0003】
しかしながら、近時、300万画素を超える高精細な固体撮像素子がつよく要求されるようになり、この高精細な固体撮像素子に付随するマイクロレンズの開口率低下(すなわち感度低下)、及びフレア、スミアなどのノイズ増加による画質低下が、大きな問題となってきている。C−MOSやCCDなどの撮像素子は、ほぼ十分な画素数に近づきつつあり、それらデバイスメーカーでの競争は画素数から画質の競争に変化しつつある。
【0004】
マイクロレンズの形成技術に関する公知の技術としては、例えば、特開昭60−53073号公報に比較的詳細に示されている。この特開昭60−53073号公報には、レンズを丸く半球状に形成する技術として熱による樹脂の熱流動性(熱フロー)を用いた技術、また、いくつかのエッチング方法によりレンズを加工する技術も詳細に開示されている。
【0005】
加えて、レンズ表面の光散乱による集光性能のロスの改善策として、レンズ表面にポリグリシジルメタクリレート(PGMA)などの有機膜や、OCD(東京応化工業(株)製のSiO2 系被膜形成用塗布液)の無機膜を形成する技術なども開示されている。
また、マイクロレンズをドライエッチング加工する技術は、上記の技術以外に特開平1−10666号公報に詳細な記載がある。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−53073号公報
【特許文献2】
特開平1−10666号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図5に、公知技術による固体撮像素子の一例の断面図を示した。図5に示すように、光電変換素子(52)上には、平坦化層(54)、(55)、カラーフィルタ(53)、場合により層内レンズなどが形成され、一般には5〜6μm程度の大きめの(厚めの)レンズ下距離(58)となっている。
マイクロレンズ(56)からの入射光の集光性を向上させ、かつ、光電変換素子(52)でのS/N(信号/ノイズ)比を向上させる有力な手段は、レンズ下距離(58)を小さく(薄く)することである。
本発明の第一の課題は、レンズ下距離を小さくし、集光性の改善を図ることにある。
【0008】
また、C−MOS撮像素子は、その消費電力が小さく駆動回路をC−MOS撮像素子とともに一体化した省スペースの素子が造れることから、最近注目を集めている。しかし、C−MOS撮像素子は、その構造上、マイクロレンズから光電変換素子までの距離が大きくなる傾向にあり、上記レンズ下距離(58)を小さくするためには不利な構成といえる。
また、低コスト化を目的に画素ピッチ(光電変換素子のピッチと同じ)を小さくする傾向にもあるが、C−MOS撮像素子の場合に画素ピッチが小さくなると、小さな画素ピッチで、且つレンズ下距離(58)がかなり大きくなる。
【0009】
このため、マイクロレンズ(56)の厚み(レンズ高さ(57))は、0.5μm〜0.3μmといった薄いものとなってしまう。ところが、熱フローによってマイクロレンズを製造する方法では、0.4μm以下に薄くレンズ状に形成するのは極めて困難であることが本発明者らによって明らかにされている。
すなわち、マイクロレンズは、熱フロー性、感光性、アルカリ可溶性のレンズ材料を公知のフォトリソグラフィでパターン形成し、この後、熱処理をして熱フローさせ略半球状に加工するが、薄すぎるパターンでは熱処理をしても略半球状になりにくい。
【0010】
例えば、3μmピッチの画素の場合、量産性を考慮したマイクロレンズの膜厚は0.4μmが限界で、0.3μmでは、略半球状にならず台形状となってしまうといった問題がある。
本発明の第二の課題は、レンズ下距離を小さくすることによって、実質的なレンズ厚みを前記0.5μm〜0.3μmから0.5μm以上のものとして、3μm以下といった画素ピッチの小さな撮像素子上へのマイクロレンズの加工を容易にすることである。また、同じ課題への対応となるが、一般に、マイクロレンズには、1.6〜1.7の範囲の高屈折率の樹脂を用いるが、用いる樹脂の屈折率を下げることにより、高屈折率の樹脂の場合よりもレンズを厚くすることができる。
【0011】
図4は、有色レンズ(43)を配設する公知の撮像素子の一例を示す断面図である。カラーフィルタの機能を兼ね備えた有色レンズ(43)は、簡便な構成であるが、光の入射位置によっては色純度が低下し画質低下につながる問題がある。すなわち、有色レンズ(43)の中央付近に入射する光(45)は、ほぼ目的とするカラーフィルタ効果を期待できるが、有色レンズ(43)の端部から入射する光(47)は、カラーフィルタである有色レンズの薄い部分を透過するため、その透過光(48)はかなり白っぽい色となり、結果として大きく色純度を低下せしめるといった問題がある。
本発明の第三の課題は、マイクロレンズの機能を有しながら、このような有色レンズにおける色純度の低下を抑制し、高画質に寄与するマイクロレンズを提供することにある。
【0012】
図6(a)は、固体撮像素子の他の例のマイクロレンズ側からの平面図であり、また、図6(b)は、図6(a)におけるB−B線での断面図である。
光電変換素子(52)のピッチやサイズが微細ピッチ、例えば、3μm以下の場合、マイクロレンズ(56)間の非開口部(マイクロレンズ間ギャップ)(49)からの反射光の影響が大きくなる。この反射光は、固体撮像素子の上面に配設されてれいるカバーガラスや、さらにその上の光学レンズ群で再反射し隣接する他の光電変換素子に再入射して、画質低下に結びつくノイズ光となる。
本発明の第四の課題は、図6に示すマイクロレンズ間の非開口部(49)からの反射光を極力低減させ、固体撮像素子のS/N比を改善し、画質向上を図ることにある。
【0013】
すなわち、本発明は、前記レンズ下距離を小さくして集光性を改善した、また、小さな画素ピッチであっても容易に加工することができる、また、有色レンズにおける色純度の低下を抑制して高画質に寄与した、さらには、非開口部からの反射光を低減し、S/N比を改善した固体撮像素子を提供することを課題とするものである。
また、その製造方法を提供することを課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも光電変換素子と略半球状のマイクロレンズを2次元的に配置した固体撮像素子において、マイクロレンズが透明樹脂上部層と着色下部層の2層構成で、透明樹脂上部層と着色下部層の界面が平坦であり、マイクロレンズの裾部にあたる部分の着色下部層の表面が透明樹脂上部層の曲面を延長した曲面を有し、透明樹脂上部層の屈折率が着色下部層の屈折率よりも低いことを特徴とする固体撮像素子である。
【0015】
また、本発明は、上記発明による固体撮像素子において、前記着色下部層の表面が、着色下部層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明樹脂の薄膜で覆われていることを特徴とする固体撮像素子である。
【0016】
また、本発明は、上記発明による固体撮像素子において、前記透明樹脂上部層の材料が、フッ素系アクリル樹脂であることを特徴とする固体撮像素子である。
【0017】
また、本発明は、少なくとも光電変換素子と略半球状のマイクロレンズを2次元的に配置した固体撮像素子の製造方法において、
1)半導体基板の光電変換素子上に、色素を色材とした感光性着色レジストを用い、フォトリソグラフィによって複数色の着色下部層を形成する工程、
2)該複数色の着色下部層上に、第一樹脂塗布液を用いて着色下部層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明樹脂上部層を形成する工程、
3)該透明樹脂上部層層上に、アルカリ可溶性、感光性、及び熱フロー性を有するレンズ材料を用い、フォトリソグラフィ及び熱処理によってレンズ母型を形成する工程、
4)該レンズ母型上に、ドライエッチングを行い、透明樹脂上部層と着色下部層へレンズ母型パターンを転写し、透明樹脂上部層と着色下部層の2層をマイクロレンズとする工程、
を具備することを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0018】
また、本発明は、上記発明による固体撮像素子の製造方法において、前記4)該レンズ母型上に、ドライエッチングを行い、透明樹脂上部層と着色下部層へレンズ母型パターンを転写し、透明樹脂上部層と着色下部層の2層をマイクロレンズとする工程、の後に、マイクロレンズの全面を覆うように、第二樹脂塗布液を用いて着色下部層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明樹脂の薄膜を形成する工程を具備することを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0019】
また、本発明は、上記発明による固体撮像素子の製造方法において、前記第一樹脂塗布液及び/又は前記第二樹脂塗布液が、フッ素系アクリル樹脂を含有する樹脂塗布液であることを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0020】
また、本発明は、上記発明による固体撮像素子の製造方法において、前記レンズ母型を形成する工程、の後に、レンズ母型の2次元配列の全面を覆うように透明樹脂薄膜層を形成する工程を具備することを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0021】
また、本発明は、上記発明による固体撮像素子の製造方法において、前記透明樹脂上部層と着色下部層へレンズ母型パターンを転写する工程が、ドライエッチングの深さを、着色下部層の厚み方向の途中までとすることを特徴とする固体撮像素子の製造方法である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明による固体撮像素子及びその製造方法を、その実施の形態に基づいて説明する。
図3は、本発明による固体撮像素子一実施例の断面図である。また、図1、図2は、図3とともに本発明の固体撮像素子の製造工程を説明する断面図である。
【0023】
本発明における透明樹脂上部層(35)と着色下部層(33)の合計の厚み(T3)は、特に規定するものでない。透明樹脂上部層(35)の厚み(T1)は、熱フローによる下限の厚みである0.4μm以上であることが望ましい。透明樹脂上部層(35)の厚みの上限は、本発明が微細な画素ピッチを対象としていることから、1μmより厚く形成する必要はなく、これが略上限となる。
着色下部層(33)の厚み(T2)は、目的とする色分離に必要なカラーフィルタの膜厚で良く、これも特に規定する必要はない。一般には、0.5μm〜1.5μmの範囲内で対応可能である。本発明における着色下部層の透明樹脂上部層との界面である平坦部分は、画素サイズの許せる範囲で広い方が色分離の点で好ましい。
【0024】
マイクロレンズの厚み(T5)は、透明樹脂上部層(35)の厚み(T1)と、マイクロレンズの裾部にあたる部分(S)の着色下部層(33)の深さ(T4)の合計の厚み(T5、T5=T1+T4)である。
マイクロレンズの裾部にあたる部分(S)の着色下部層(33)の表面は、透明樹脂上部層(35)の表面の曲面を延長した曲面となっている。
【0025】
マイクロレンズの裾部にあたる部分(S)の着色下部層(33)上に形成する透明樹脂の薄膜は、着色下部層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明樹脂材料(低屈折率樹脂)であることが望ましい。着色下部層は、これに用いる色材(顔料や染料)を含むことから 光学的にその屈折率は高くなりやすい。故に、透明樹脂の薄膜の膜厚は、着色下部層と低屈折率樹脂にて光干渉による反射防止効果を得やすい膜厚に塗布形成することが好ましい。このことによって、非開口部からの反射光の影響を軽減し、再入射光による画質低下を防ぐことができる。
【0026】
また、本発明は、透明樹脂上部層を低屈折率樹脂であるフッ素系アクリル樹脂で形成することで、マイクロレンズからの反射光を軽減したものである。
【0027】
半径rのレンズの焦点距離fは、下記の数式(1)で表される。
例えば、屈折率n1=1.61のレンズは、空気媒体(屈折率n0=1)において2.64rの焦点距離を持つことになる。
前記のように、0.4μm以下の膜厚の半球状のマイクロレンズ形成は難しいが、屈折率を1.5以下、好ましくは1.45〜1.40の範囲の低屈折率の透明樹脂を用いて透明樹脂上部層を形成すれば、厚めの半球状のマイクロレンズを安定して形成できることになる。例えば、屈折率1.43の透明なフッ素系アクリル樹脂を用いれば、0.4μm膜厚を1.25倍の0.5μmの膜厚で形成することができる。
【0028】
【数1】
【0029】
また、本発明では、基本的には、レンズ下距離を小さくするためドライエッチングをできるだけ深く入れることになるが、着色下部層の下地面まで入れると着色下部層の平坦面(有効面)が小さくなり、マイクロレンズ周辺からの色純度の低下した入射光量が増え、画質低下につながることになる。
ゆえに、ドライエッチングの深さは、着色下部層の厚み方向の途中までとすることが好ましい。
【0030】
また、本発明では、着色下部層として有機顔料を色材とした着色樹脂層を採用しても良い。しかし、有機顔料の場合、その種類によってドライエッチングでのエッチングレートに差があり、色毎にレンズ形状が変化しやすいことと、その表面形状が粗面になること、加えて本発明が対象とする微細な画素ピッチの撮像素子では、顔料自体の粒径(粒子)がS/N比に悪い影響を与えやすく、その着色レジスト材料のフィルトレーション(異物除去)も難しいことから、染料を色材とする着色樹脂層であることが好ましい。
【0031】
また、本発明による透明樹脂上部層を、アクリル系樹脂とした場合、感光性着色レジストの樹脂は、密着力や屈折率などからアクリル系の感光性樹脂であることが望ましい。染料は、感光性着色レジストの主溶剤に溶かし込む形でも、染料分散の形でも、或いは、樹脂骨格に組み込む、いわゆるペンダントした形でも良い。
染色槽を用いての一般的な染色方法は、工程数が増えるのでコストの観点からは好ましくない。染料を色材とするカラーフィルタは、着色レジストの段階で0.2μm〜0.1μmの高度なフィルトレーション(異物除去)が可能であるので、1μm〜0.5μmのフィルトレーションが限界の有機顔料を分散した着色レジストより、高度な画質をもち、S/N比を大きく向上させた撮像素子が得られる。
【0032】
染料は、アゾ系、キサンティニウム系、フタロシアニン系、アントラキノン系、クマリン系およびスチリル系などが挙げられる。赤、緑、青の3原色染料や、シアン、マゼンタ、イエローの補色系染料、これらにグリーンを加えたものを用いることができる。また、染料色素アニオンと染料色素カチオンとの組み合わせで反応させ、アクリル樹脂などの共重合物として、カラーレジスト化させたものを用いても良い。
【0033】
また、本発明では、マイクロレンズの一部である透明樹脂上部層の屈折率は、その表面反射を小さくするため、より低屈折率であることが好ましい。 本発明では、透過光量を増加させる観点から、透明樹脂上部層と着色下部層との界面に反射低減の光学薄膜を挿入しても良い。また、本発明のマイクロレンズ全面に反射防止膜を積層しても良い。低屈折率の透明樹脂上部層は、高屈折率である場合より膜厚を厚く形成できるので、微細な画素を対象とする本発明では、好ましいと言える。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明による固体撮像素子の製造方法を実施例にて詳細に説明する。<実施例1>
本発明の固体撮像素子は、図3に示すように、半導体基板(31)上に光電変換素子(32)、着色下部層(33)と透明樹脂上部層(35)からなるマイクロレンズの構成要素(36)が形成されたものである。図3は、図6(a)におけるA−A線の断面図である。
実施例1の透明樹脂上部層(35)のピーク厚み(中央部)(T1)は0.3μmであり、着色下部層(33)のレンズ形状切れ込み部分までの深さをあわせてマイクロレンズの厚み(T5)は、約0.8μmに設定した。
着色下部層(33)のみの厚み(T2)は、0.9μmとした。実施例1でのレンズ下距離は、約3.1μmと従来5.5μmのおよそ56%と極めて小さくなった。
【0035】
また、着色下部層(33) R(赤)、G(緑)、B(青)の形成には、それぞれカラーインデックスにて、C.I.Acid Red 114、C.I.Acid Green 16、C.I.Acid Blue 86の染料を中心とする色材を、アクリル系樹脂、シクロヘキサノン溶剤とともに調製したアクリル系の感光性着色レジストを用いた。色材の添加量は、それぞれレジスト中の固形分比にて約20%とした。
【0036】
図1に示すように、光電変換素子(32)や遮光膜、パッシベーションを形成した半導体基板(31)上に、平坦化層(34)を熱硬化タイプのアクリル樹脂塗布液を用いてスピンコートで形成し、さらにR(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれの感光性着色レジストを用い、3回のフォトリソグラフィで着色下部層(33)を形成した。R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれの感光性着色レジストは、スピンコートの手法で塗布し、露光はステッパー露光機を用いた。
【0037】
次に、図2に示すように、着色下部層(33)のR(赤)、G(緑)、B(青)の上に、熱硬化タイプのフッ素系アクリル樹脂塗布液(第一樹脂塗布液)を用いてスピンコートにて、透明樹脂上部層(35)を形成した。
透明樹脂上部層(35)上に、さらに熱フロー性をもつ感光性アクリル系樹脂を、おなじくスピンコートで塗布し、露光、現像、さらに熱フローさせて半球状のレンズ母型(40)とした。熱フロー処理時の温度は190℃とした。
【0038】
次に、レンズ母型(40)を形成した半導体基板(31)を、ドライエッチング装置にて、O2 ガスによるエッチング処理(50)を行った。基板温度常温、圧力1Pa、RFパワー500W、バイアス50Wにてエッチング処理を行った。さらに、熱硬化タイプ、屈折率1.45のフッ素系アクリル樹脂塗布液(第二樹脂塗布液)(上記第一樹脂塗布液を有機溶剤で希釈したもの)を用いてスピンコートにて、およそ0.09μmの厚みで塗布し、低屈折率樹脂(透明樹脂の薄膜)(30)とした。
【0039】
実施例1において、着色下部層(33)、および平坦化層(34)の樹脂材料は、光の波長550nmの屈折率が1.51〜1.55の範囲の、ほぼ同じ屈折率をもつアクリル樹脂を用いた。透明樹脂上部層(35)は、屈折率が1.45の日本化薬(株)製、フッ素系アクリル樹脂を用いた。 尚、着色下部層(33)は、これに含まれる色材の関係で正確な屈折率測定は比較的難しいが、R(赤)の700nmでの屈折率は、1.61であった(R(赤)は、550nm緑の光の吸収が大きいため、550nmでの正確な屈折率測定が困難)。
【0040】
本発明の固体撮像素子の、図6(a)B−B線の断面図である図7に、その非開口部(59)を示した。非開口部(59)およびマイクロレンズの裾部にあたる部分(S)には、図2の段階では屈折率の高い着色下部層が露出していたが、この面に低屈折率樹脂(透明樹脂の薄膜)(30)が、およそ0.09μmの厚みで塗布形成されている。この低屈折率樹脂(透明樹脂の薄膜)による光干渉効果と、着色下部層の光吸収もあり、非開口部(59)からの再反射光を大きく軽減できた。
【0041】
なお、本発明の実施例1に於いて、撮像素子のパッド部(電気的接続部)の肌だし工程の説明を省略した。また、低屈折率樹脂をアルカリ可溶性の感光性樹脂の形で用いれば、露光、現像工程にてパッド部の肌だし工程と置き換え可能である。また、実施例1は、薄膜の低屈折率樹脂を積層する構成で示したが、この薄膜の低屈折率樹脂の積層は、これを省略しても良い。図7に示す非開口部(59)からの反射光は、若干増加するものの、実施例1でも示したエッチング処理をパッド部の肌だし工程と兼用できるため、工程省略による低コスト化のメリットがある。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、マイクロレンズが透明樹脂上部層と着色下部層の2層構成で、透明樹脂上部層と着色下部層の界面が平坦であり、裾部にあたる部分の着色下部層の表面が透明樹脂上部層の曲面を延長した曲面を有し、透明樹脂上部層の屈折率が着色下部層の屈折率よりも低い固体撮像素子であるので、レンズ下距離を小さくして集光性を改善した、また、小さな画素ピッチであっても容易に加工することができる固体撮像素子となる。
【0043】
また、本発明は、着色下部層の表面が、着色下部層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明樹脂の薄膜で覆われており、また、透明樹脂上部層の材料が、フッ素系アクリル樹脂であるので、有色レンズにおける色純度の低下を抑制して高画質に寄与した、さらには、非開口部からの反射光を低減し、S/N比を改善した固体撮像素子となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の固体撮像素子の製造工程を説明する断面図である。
【図2】本発明の固体撮像素子の製造工程を説明する断面図である。
【図3】本発明による固体撮像素子一実施例の断面図である。
【図4】有色レンズを配設する公知の撮像素子の一例を示す断面図である。
【図5】固体撮像素子の一例の断面図である。
【図6】(a)は、固体撮像素子の他の例のマイクロレンズ側からの平面図である。
(b)は、図6(a)におけるB−B線での断面図である。
【図7】図6(a)B−B線の断面図であるが、他の第二例のマイクロレンズである。
【符号の説明】
30…低屈折率樹脂(透明樹脂の薄膜)
31、51…半導体基板
32、52…光電変換素子
33…着色下部層
34、44、54、55…平坦化層
35…透明樹脂上部層
T5…マイクロレンズの厚み(レンズ高さ)
40…レンズ母型
43…有色レンズ
45…中央付近に入射する光
46…中央付近に入射する光の透過光
47…端部から入射する光
48…端部から入射する光の透過光
50…エッチング処理
53…カラーフィルタ
58…レンズ下距離
56…マイクロレンズ
Claims (7)
- 少なくとも光電変換素子と略半球状のマイクロレンズを2次元的に配置した固体撮像素子において、マイクロレンズが透明樹脂上部層と着色下部層の2層構成で、透明樹脂上部層と着色下部層の界面が平坦であり、マイクロレンズの裾部にあたる部分の着色下部層の表面が透明樹脂上部層の曲面を延長した曲面を有し、透明樹脂上部層の屈折率が着色下部層の屈折率よりも低いことを特徴とする固体撮像素子。
- 前記着色下部層の表面が、着色下部層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明樹脂の薄膜で覆われていることを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子。
- 前記透明樹脂上部層の材料が、フッ素系アクリル樹脂であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の固体撮像素子。
- 少なくとも光電変換素子と略半球状のマイクロレンズを2次元的に配置した固体撮像素子の製造方法において、
1)半導体基板の光電変換素子上に、色素を色材とした感光性着色レジストを用い、フォトリソグラフィによって複数色の着色下部層を形成する工程、
2)該複数色の着色下部層上に、第一樹脂塗布液を用いて着色下部層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明樹脂上部層を形成する工程、
3)該透明樹脂上部層層上に、アルカリ可溶性、感光性、及び熱フロー性を有するレンズ材料を用い、フォトリソグラフィ及び熱処理によってレンズ母型を形成する工程、
4)該レンズ母型上に、ドライエッチングを行い、透明樹脂上部層と着色下部層へレンズ母型パターンを転写し、透明樹脂上部層と着色下部層の2層をマイクロレンズとする工程、
を具備することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。 - 前記4)該レンズ母型上に、ドライエッチングを行い、透明樹脂上部層と着色下部層へレンズ母型パターンを転写し、透明樹脂上部層と着色下部層の2層をマイクロレンズとする工程、の後に、マイクロレンズの全面を覆うように、第二樹脂塗布液を用いて着色下部層の屈折率よりも低い屈折率を有する透明樹脂の薄膜を形成する工程を具備することを特徴とする請求項4記載の固体撮像素子の製造方法。
- 前記第一樹脂塗布液及び/又は前記第二樹脂塗布液が、フッ素系アクリル樹脂を含有する樹脂塗布液であることを特徴とする請求項4、又は請求項5記載の固体撮像素子の製造方法。
- 前記透明樹脂上部層と着色下部層へレンズ母型パターンを転写する工程が、ドライエッチングの深さを、着色下部層の厚み方向の途中までとすることを特徴とする請求項4、請求項5、又は請求項6記載の固体撮像素子の製造方法。
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