JP2004226927A - 光偏向素子、それを用いた光スイッチ、及び光偏向素子の製造方法 - Google Patents

光偏向素子、それを用いた光スイッチ、及び光偏向素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも大きな偏向角を得ることができる光偏向素子、それを用いた光スイッチ、及び光偏向素子の製造方法を提供すること。
【解決手段】基板11と、基板11上に形成された樹脂層8と、樹脂層8上に形成され、強誘電体よりなるコア層4を備えた光導波路層6と、光導波路層6の上面及び下面の少なくとも一方に形成された電極2、7aと、を有することを特徴とする光偏向素子による。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光偏向素子、それを用いた光スイッチ、及び光偏向素子の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、強誘電体層に電圧を印加して該強誘電体層内を伝搬する光を偏向する光偏向素子、それを用いた光スイッチ、及び光偏向素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光通信は、その伝送帯域の増加と共に、波長多重化(WDM: Wavelength Division Multiplex)技術と相まって高速かつ大容量化が進んでいる。そのような光通信は、基幹通信ネットワークにおいても使用されているが、そのネットワークで使用される光ファイバー網等のハードウエアのインフラを構築するには、光信号の伝達先を切り替えるための光偏向素子が必要となる。
【0003】
従来、光偏向素子としては機械式のマイクロミラーを用いたものが使用されるが、より高集積、高速、及び低損失を実現すべく、電気光学効果により強誘電体の屈折率が変化することを利用した光偏向素子も開発されている。例えば、非特許文献1においては、Ti拡散型導波路やプロトン交換型導波路を作成したLiNbO単結晶ウエハを使用して、プリズム型ドメイン反転光偏向素子やプリズム型電極光偏向素子を作製することが開示されている。
【0004】
一方、特許文献1には、NbドープSrTiO導電性単結晶基板の(100)面上に、エピタキシャルPLZT((Pb0.88La0.12)(Zr0.4Ti0.6)からなる薄膜光導波路を作製し、その光導波路に電圧を印加することにより、光導波路内を伝搬する光信号を比較的大きく偏向することが開示されている。このように大きな偏向角が得られるのは、PLZTが高い電気光学定数を有するためである。
【0005】
なお、光通信用ではないが、PLZTよりなる光シャッタに電圧を印加することにより、光シャッタを通過する光の光量を制御する技術が例えば特許文献2に開示されている。
【0006】
また、特許文献1では光偏向素子を単結晶ウエハ上に形成するが、そのような単結晶ウエハに代えて、樹脂基板上に半導体素子を形成する技術が例えば特許文献3に開示される。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−5797号公報
【特許文献2】
特開平4−3017号公報
【特許文献3】
特開2002−33464号公報
【非特許文献1】
Q. Chen et al., J. Lightwave Tech vol. 12 (1994) 1401
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の光導波路型偏向素子は、上述のように比較的高い偏向角を得ることが可能となるが、光偏向素子の更なる小型化や多チャンネル化を進めるには、これよりも更に大きな偏向角が得られるのが望ましい。
【0009】
本発明は係る従来例の問題点に鑑みて創作されたものであり、従来よりも大きな偏向角を得ることができる光偏向素子、それを用いた光スイッチ、及び光偏向素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、基板と、前記基板上に形成された樹脂層と、前記樹脂層上に形成され、強誘電体よりなるコア層を備えた光導波路層と、前記光導波路層の上面及び下面の少なくとも一方に形成された電極と、を有することを特徴とする光偏向素子によって解決する。
【0011】
次に、本発明の作用について説明する。
【0012】
本発明に係る光偏向素子によれば、光導波路層を基板上に直に形成するのではなく、基板上に樹脂層を形成したうえで、その樹脂層上に光導波路層を形成するので、光導波路層が基板に強く拘束されない。そのため、電極に電圧を印加すると、光導波路層が従来よりも自由に変形することができるので、従来と同じ電圧を印加した場合であっても、光の偏向角を従来よりも大きくすることが可能となる。
【0013】
更に、この光偏向素子に電極を複数形成する場合は、隣り合う電極間の光導波路層にスリットを入れることで、各電極上の光導波路層が独立に変形することが可能となり、更に大きな偏向角を得ることができる。
【0014】
また、このような光偏向素子を使用する光スイッチによれば、スイッチ内で光を大きく偏向することができるので、小型化や多チャンネル化が容易に行える。
【0015】
又は、上記した課題は、支持板上に上部電極を形成する工程と、強誘電体よりなるコア層を備えた光導波路層を少なくとも前記上部電極上に形成する工程と、前記光導波路層上に下部電極を形成する工程と、前記下部電極上に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層を基板上に固着する工程と、前記樹脂層を前記基板上に固着した後、前記支持板を除去する工程と、を有することを特徴とする光偏向素子の製造方法によって解決する。
【0016】
次に、本発明の作用について説明する。
【0017】
本発明によれば、柔らかな樹脂層の上に光導波路を形成していくのではなく、比較的強固な支持板上に光導波路層を形成し、樹脂層を基板上に固着した後にその支持板を除去する。これによれば、光導波路層が形成されるまでの間、形成される各層の平坦性を維持することができ、各層に結晶欠陥が生じるのを防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の説明に先立ち、基礎となる事項について検討する。
【0019】
強誘電体を電界に曝すと、その電界Eに応じて強誘電体の屈折率が変化する。その屈折率変化Δnを電界Eでテイラー展開すると、各次数のEの前に種々の係数が現れるが、中でもEの一次の係数はポッケルス定数と称される。ポッケルス定数をr33とし、Eの高次の項からの寄与を無視すると、屈折率変化Δnは
Δn=r33×E
となる。
【0020】
このようにポッケルス係数r33に起因して屈折率変化ΔnがEに線型に変化する現象をポッケルス効果と言う。
【0021】
ポッケルス効果による屈折率変化Δnは、結晶中の電子雲の変位による変化Δn1と、結晶の歪みによる変化Δn2との和になることが知られている。よって、光の偏向角を大きくするためには、これらΔn1とΔn2の双方が共に大きくする必要がある。
【0022】
ところが、特許文献1に記載の構造では、PLZTからなる薄膜光導波路を単結晶基板の上に直接形成しているため、化学結合によりPLZT光導波路が単結晶基板に強く拘束され、PLZT光導波路層の結晶歪みが大きく抑制されてしまうことになる。これでは、上記したΔn2、すなわち結晶歪みによる屈折率変化が小さくなってしまい、大きな偏向角が得られなくなってしまう。
【0023】
このような考察に基づいて、本発明者は以下に説明するような光偏向素子に想到した。
【0024】
(第1の実施の形態)
本実施形態に係る光偏向素子について、その製造工程を追いながら説明する。図1〜図4は、本実施形態に係る光偏向素子の製造工程について示す斜視図である。
【0025】
最初に、図1(a)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0026】
まず、MgO等よりなる支持板1上にスパッタ法によりPt膜を成膜温度約600℃で厚さ約200nmにエピタキシャル成長させ、そのPt膜上にレジストパターン(不図示)を形成して、そのレジストパターンをマスクとして使用しながらイオンミリングによりPt膜をパターニングし、くさび型の上部電極2を複数形成する。なお、支持板1としては、上記したMgOの他に、SrTiO、LaAlO、又はこれらにNbやLaをドープした材料からなる板を使用してもよい。
【0027】
次に、図1(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0028】
まず、上部電極2上と支持板1上とにPLZT用の塗布液をスピンコート法により回転数3000rpm、塗布時間30秒で塗布し、その後塗布液中の溶媒成分を基板温度140℃で5分間蒸発させる。次いで、得られた塗布膜を基板温度320℃で5分間熱分解し、その後、650℃、5分間の条件で結晶化アニールを行う。このような一連の工程を所要回数繰り返して膜厚を稼ぐことにより、厚さが1800nmのPLZT((Pb0.91La0.09) (Zr0.65Ti0.35)O)膜を形成し、それを上部クラッド層3とする。このような成膜方法は、通常は化学溶液堆積法(CSD法; Chemical Solution Deposition法)と呼ばれるが、場合によってはゾルゲル法、塗布熱分解法等と称されることもある。
【0029】
この後に、PZT用の塗布液を用いて、上記した化学溶液堆積法によりPZT(Pb(Zr0.52Ti0.48)O)膜を上部クラッド層3上に厚さ7200nmに形成し、それをコア層4とする。このコア層4を構成する材料はPZTに限定されず、他の強誘電体材料も使用し得る。
【0030】
更に、上部クラッド層3と同様の方法を用いてコア層4上にPLZTを厚さ1800nmに形成し、それを下部クラッド層5とする。
【0031】
これにより、上部クラッド層3、コア層4、及び下部クラッド層5をこの順に積層してなる光導波路層6が支持板1上に形成されたことになる。
【0032】
続いて、図1(c)に示すように、光導波路層6上にPt層をスパッタ法により厚さ200nmに形成し、それを下部電極用導電層7とする。
【0033】
次いで、図2(a)に示すように、フッ化ポリイミド用の塗布液を下部電極用導電層7上に塗布し、それをベーク、キュアしてフッ化ポリイミドの薄膜を形成する。そして、これを所要回数繰り返すことによりフッ化ポリイミド薄膜の厚みを稼ぎ、厚さ約200μmの樹脂層8とする。樹脂層8は、光導波路層6よりもヤング率が小さい材料から構成されればよく、上記のフッ化ポリイミドに限定されない。
【0034】
次に、図2(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。まず、樹脂層8上に不図示のアルミニウムパターンを形成し、それをエッチングマスクとして使用しながら樹脂層8をエッチングし、下部電極用導電層7に至る深さのホール8aを形成する。このエッチングは、RIE法(リアクティブイオンエッチング法)により行われ、例えば、投入電力500W、エッチング時間400minのエッチング条件が採用される。
【0035】
その後、マスクに使用したアルミニウムパターンは、酢酸、硝酸、りん酸、及び水の混合液によって容易に除去される。なお、ホール8aの直径は約50μm程度となる。
【0036】
続いて、投入電力2kW、Ar圧力0.2Pa、放電時間20分の条件でスパッタ法によりホール8a内と樹脂層8上とに銅のシード層を形成し、その後、このシード層上に銅層を電解めっきにより成長させてホール8a内を完全に埋め込む。そして、樹脂層8上に形成された余分な銅をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により除去して銅をホール8a内にのみ残し、それを導電性プラグ9として使用する。
【0037】
その後に、光導波路層6の光入射面6a及び光射出面6bを光学研磨し、これらの面を光学的に透明にする。
【0038】
なお、導電性プラグ9の材料としては、銅の他に、SrRuO、IrO、RuO等の導電性酸化物も使用し得る。
【0039】
導電性プラグ9は、下部電極用導電層7と電気的に接続されるものであればその構造は限定されない。例えば、図5に示すように、下部電極用導電層7が露出する切り欠き8bを樹脂層8の側面に形成し、その切り欠き8bの側面と下部電極用導電層7上とに導電層13を形成して、導電層13を導電性プラグ9の代わりに使用してもよい。
【0040】
次に、図3(a)に示す構造を得るまでの工程について説明する。まず、支持板1側を表にし、支持板1から下部電極用導電層7までをダイシングソーによりダイシングしてスリット10を形成する。そのスリット10の幅は約40μmであり、上から見ると、スリット10は後述する入射光と同じ方向に延びる。
【0041】
そのようなスリット10を形成することにより、光導波路層6が各上部電極2毎に独立すると共に、下部電極用導電層7が上部電極2のそれぞれに対応した下部電極7aとなる。
【0042】
続いて、図3(b)に示すように、銅よりなる導体パターン12が表面に形成された基板11を用意し、その導体パターン12の上に導電性プラグ9が位置するように樹脂層8を基板11に下ろす。そのような基板11としては、例えば石英基板等を使用し得る。
【0043】
そして、図4(a)に示すように、導体パターン12と導電性プラグ9とをはんだ(不図示)を介して電気的に接合した後、基板11と樹脂層8との間の隙間に接着剤(不図示)を流し込み、基板11上に樹脂層8を固着する。下部電極7aへの電圧の印加は、導体パターン12を介して行われることになる。
【0044】
なお、図5に示した切り欠き8bを形成した場合は、その切り欠き8bが導体パターン12と重なるように樹脂層8を基板11に固着して、はんだ(不図示)を介して導電層13と導体パターン12とを電気的に接続する。
【0045】
その後に、図4(b)に示すように、熱りん酸を用いてMgOよりなる支持板1をエッチングして除去する。なお、この際、熱りん酸が光導波路層6や樹脂層8に浸入しないように、これらを覆うポリイミド層を予め形成しておくのが好ましい。
【0046】
以上により、本実施形態に係る光偏向素子が完成する。
【0047】
この光偏向素子は、上部電極2と下部電極7aとの間に電圧を印加することによりコア層4にポッケルス効果を生じさせ、光入射面6aから入った入射光を偏向して射出するように動作する。
【0048】
以上説明した本実施形態によれば、光導波路層6よりもヤング率の小さい樹脂層8を基板11上に形成し、その樹脂層8の上に光導波路層6を形成したので、光導波路層6が基板11に強く拘束されることがない。よって、下部電極7aと上部電極2との間に電圧を印加した際、光導波路層6が従来よりも自由に変形することが可能となるので、従来と同じ電圧を印加した場合であっても従来よりも大きな偏向角を得ることができる。
【0049】
しかも、隣り合う上部電極2間の光導波路層6にスリット10を形成したので、各上部電極2下の光導波路層6が独立に変形することが可能となり、更に大きな偏向角を得ることが可能となる。
【0050】
なお、本願発明者が行った調査によれば、下部電極7aと上部電極2との間に50Vの電圧を印加した場合、約3.0度の偏向角が確認された。
【0051】
また、上記の製造方法によれば、柔らかい樹脂層8の上に光導波路層6を形成していくのではなく、MgOよりなる強固な支持板1上に光導波路層6を形成し、樹脂層8を基板11上に固着した後に支持板1を除去する。これにより、光導波路層6が形成されるまでの間、光導波路層6中の各層の平坦性を維持することができ、光導波路層6に結晶欠陥が生じるのを防止することができる。
【0052】
(第2の実施の形態)
次に、第1実施形態の光偏向素子を利用した光スイッチについて説明する。図6〜図11は、本実施形態に係る光スイッチの製造工程について示す斜視図である。これらの図において、第1実施形態で既に説明した部材に対しては第1実施形態と同様の符号を付し、以下ではその説明を省略する。
【0053】
最初に、図6(a)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0054】
まず、基板15として石英基板を準備し、Ge(ゲルマニウム)をドープして屈折率を高めた石英をその基板15上に厚さ約5μm程度にCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成し、それをコア層16とする。そして、そのコア層16上に不図示の金属パターンを形成し、この金属パターンをエッチングマスクとして使用しながらコア層16をエッチングすることにより、入力チャネル導波路16aと出力チャネル導波路16bとをそれぞれ複数本形成する。その後に、金属パターンは除去される。
【0055】
次いで、図6(b)に示すように、CVD法により石英を厚さ約20μm程度に全面に形成し、それを上部クラッド層17とする。
【0056】
その後に、上部クラッド層上に金属膜を形成し、それをフォトリソグラフィ法によりパターニングすることで、図7(a)に示すマスクパターン18とする。そのマスクパターン18には、第1〜第4開口18a〜18dが形成される。
【0057】
次に、図7(b)に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0058】
まず、上記のマスクパターン18をエッチングマスクとして使用しながら、上部クラッド層17、コア層16、及び基板15をエッチングすることにより、マスクパターン18の第1〜第4開口18a〜18dに対応した形状を有する第1〜第4溝22を形成する。その後に、マスクパターン18は除去される。
【0059】
続いて、第1、第4溝19、22内にサイトップ(旭硝子株式会社製)等の充填材を充填し、それをコリメート部23及び集光部24として使用する。そのコリメート部23と集光部24は、それぞれ入力チャネル導波路16aや出力チャネル導波路16bに対応した二次元レンズを複数連ねた構造を有する。
【0060】
また、第2溝20と第3溝21とで挟まれた部分のコア層16は、後述する複数の光信号が共通に伝搬する共通導波路16cとして機能する。
【0061】
その後に、図8に示すように、第2、第3溝20、21の底面に露出する基板15上に銅よりなる導体パターン25、26を形成する。
【0062】
次に、図9に示す構造を得るまでの工程について説明する。
【0063】
まず、第1実施形態で説明した図1(a)〜図3(a)の工程を行うことにより、樹脂層8、下部電極7a、光導波路層6、及び支持板1の積層体を作製する。なお、図が煩雑になるので省略してあるが、光導波路層6上には上部電極も形成され、また、樹脂層8には既述した導電性プラグも形成されている。その積層体には既述のスリット10が形成されており、それにより光導波路層6が各入力チャネル導波路16aに対応して独立することになる。
【0064】
そして、既述した図3(b)の工程に従い、そのような積層体を第1溝20の底部に固着する。この際、第2溝25の底部に形成された導体パターン25は、樹脂層8内に形成された導電性プラグとはんだを介して電気的に接続される。また、樹脂層8と第2溝25底部との隙間には接着剤が流し込まれ、それにより樹脂層8が第2溝25内に固着される。
【0065】
そして、これと同様のことを第3溝21に対しても行い、第3溝21の底面に形成された導電パターン26と、樹脂層8内に形成された導電性プラグとを電気的に接続すると共に、樹脂層8を第3溝21内に固着する。
【0066】
次に、図10に示すように、第2溝21の側面と上述の積層体との間に生じた隙間にサイトップ等の充填材27を充填してその隙間を埋める。また、これと同じことを第3溝21に対しても行い、第3溝21と積層体との間の隙間を充填材27で埋める。
【0067】
その後に、図11に示すように、MgOよりなる支持板1を熱りん酸でエッチングして除去し、光導波路層6の上面に上部電極2を露出させる。本実施形態では、その上部電極2は、一つの光路に対して二つ連なって形成されるが、上部電極2の個数は特に限定されるものではない。
【0068】
この工程により、第1実施形態で説明した光偏向素子が第2、第3溝20、21内に複数形成された構造が得られる。このうち、第2溝20内に形成された各光偏向素子は第1光偏向部28を構成し、第3溝21内に形成された各光偏向素子は第2光偏向部29を構成する。
【0069】
これにより、本実施形態に係る光スイッチが完成する。
【0070】
その光スイッチは次にように動作する。
【0071】
まず、複数本の光信号は、入力チャネル光導波路16aのそれぞれに入力された後、各入力チャネル光導波路16aの端部から拡散し、コリメート部23において個別にコリメートされる。コリメートされた各光信号は、第1光偏向部28に入力され、そこにおいて伝搬方向が個別に偏向される。偏向の向きは、各上部電極2と下部電極7aとの間に印加する電圧を適当に調節することにより制御可能である。
【0072】
その後、複数の光信号は共通導波路16cを共通に伝搬し、そして第2光偏向部29に入力される。第2光偏向部29においては、各上部電極2と下部電極7aとの間に所定の電圧を印加することにより、複数の光信号が個別に偏向され、後段の集光部24に出力される。そして、各光信号は、集光部24において個別に集光された後、出力チャネル導波路16bを通り、外部の光ファイバ(不図示)等に出力される。
【0073】
このような光スイッチによれば、第1実施形態に係る光偏向素子を第1偏向部27及び第2偏向部28に使用しているため、これらの偏向部において光信号を大きく偏向することができる。これにより、第1偏向部27と第2偏向部28との距離を詰めることができるので、光スイッチを小型化することが可能となる。
【0074】
更に、その偏向角の大きさを利用することにより、入力チャネル数や出力チャネル数を大きくすることができるので、光スイッチの更なる多チャンネル化に寄与することも可能となる。
【0075】
以下に、本発明の特徴を付記する。
【0076】
(付記1) 基板と、
前記基板上に形成された樹脂層と、
前記樹脂層上に形成され、強誘電体よりなるコア層を備えた光導波路層と、
前記光導波路層の上面及び下面の少なくとも一方に形成された電極と、
を有することを特徴とする光偏向素子。
【0077】
(付記2) 前記電極が複数形成され、隣り合う該電極間の前記光導波路層にスリットが設けられたことを特徴とする付記1に記載の光偏向素子。
【0078】
(付記3) 前記基板の上から見た場合の前記スリットの方向は、前記光導波路層への光の入射方向と同じであることを特徴とする付記2に記載の光偏向素子。
【0079】
(付記4) 前記基板上に形成された導体パターンと、
前記導体パターンの上の前記樹脂層に形成されたホールと、
前記ホール内に形成され、前記光導波路層の下面の前記電極と前記導体パターンとを電気的に接続する導電性プラグと、
を更に有することを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の光偏向素子。
【0080】
(付記5) 前記基板上に形成された導体パターンと、
前記導体パターンと重なる前記樹脂層の側面に形成された切り欠きと、
前記切り欠きの側面に形成され、前記光導波路層の下面の前記電極と前記導体パターンとを電気的に接続する導電層と、
を更に有することを特徴とする付記1乃至付記3のいずれかに記載の光偏向素子。
【0081】
(付記6) 前記電極の平面形状はくさび型であることを特徴とする付記1乃至付記5のいずれかに記載の光偏向素子。
【0082】
(付記7)前記樹脂層はフッ化ポリイミドよりなることを特徴とする付記1乃至付記6のいずれかに記載の光偏向素子。
【0083】
(付記8) 前記コア層はPZTよりなることを特徴とする付記1乃至付記7のいずれかに記載の光偏向素子。
【0084】
(付記9) 前記基板は石英基板であることを特徴とする付記1乃至付記8のいずれかに記載の光偏向素子。
【0085】
(付記10) 外部から入力された複数本の光信号のそれぞれを個別にコリメートするコリメート部と、
前記コリメート部を通過した前記光信号の伝搬方向を個別に偏向する第1光偏向部と、
前記第1光偏向部を通過した前記複数本の光信号が共通に伝搬する共通導波路と、
前記共通導波路を通過した前記光信号の伝播方向を個別に偏向する第2光偏向部と、
前記第2光偏向部を通過した前記光信号を個別に集光する集光部と、
を有し、
前記第1光偏向部と前記第2光偏向部の少なくとも一方に付記1乃至付記8のいずれかに記載の光偏向素子を使用したことを特徴とする光スイッチ。
【0086】
(付記11) 支持板上に上部電極を形成する工程と、
強誘電体よりなるコア層を備えた光導波路層を少なくとも前記上部電極上に形成する工程と、
前記光導波路層上に下部電極を形成する工程と、
前記下部電極上に樹脂層を形成する工程と、
前記樹脂層を基板上に固着する工程と、
前記樹脂層を前記基板上に固着した後、前記支持板を除去する工程と、
を有することを特徴とする光偏向素子の製造方法。
【0087】
(付記12) 前記上部電極を複数形成し、隣り合う該上部電極間の前記光導波路層にスリットを形成することを特徴とする付記11に記載の光偏向素子の製造方法。
【0088】
(付記13) 前記支持板として、MgO、SrTiO、及びLaAlOのいずれか、又はこれらにNbやLaをドープした材料からなる板を使用することを特徴とする付記11又は付記12に記載の光偏向素子の製造方法。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る光偏向素子によれば、樹脂層上に光導波路層を形成し、光導波路層が基板に強く拘束されないようにしたので、電極に電圧を印加する際に光導波路層が自由に変形することができ、光を大きく偏向することが可能となる。
【0090】
また、この光偏向素子に電極を複数形成する場合には、隣り合う電極上の光導波路層にスリットを入れることにより、各電極上の光導波路層が独立に変形するので、より大きな偏向角を得ることができる。
【0091】
そして、この光偏向素子を使用する光スイッチによれば、スイッチ内で光を大きく偏向することができるため、小型化や多チャンネルかが容易に行える。
【0092】
更に、上記の光偏向素子を製造するとき、比較的強固な支持体上に光導波路層を形成し、樹脂層を基板上に固着した後に支持体を除去するようにしたので、各層の平坦性を維持しながら光導波路層を形成することができ、光導波路層に結晶欠陥が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る光偏向素子の製造方法について示す斜視図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る光偏向素子の製造方法について示す斜視図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る光偏向素子の製造方法について示す斜視図(その3)である。
【図4】図4(a)〜(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る光偏向素子の製造方法について示す斜視図(その4)である。
【図5】図5は、樹脂層に切り欠きを形成した場合の斜視図である。
【図6】図6(a)〜(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチの製造方法について示す斜視図(その1)である。
【図7】図7(a)〜(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチの製造方法について示す斜視図(その2)である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチの製造方法について示す斜視図(その3)である。
【図9】図9は、本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチの製造方法について示す斜視図(その4)である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチの製造方法について示す斜視図(その5)である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施の形態に係る光スイッチの製造方法について示す斜視図(その6)である。
【符号の説明】
1…支持板、2…上部電極、3、17…上部クラッド層、4、16…コア層、5…下部クラッド層、6…光導波路層、7…下部電極用導電層、7a…下部電極、8…樹脂層、8a…ホール、8b…切り欠き、9…導電性プラグ、10…スリット、11、15…基板、12、25、26…導体パターン、13…導電層、16a…入力チャネル導波路、16b…出力チャネル導波路、16c…共通導波路、18…マスクパターン、18a〜18d…第1〜第4開口、19〜22…第1〜第4溝、23…コリメート部、24…集光部、27…充填材、28…第1光偏向部、29…第2光偏向部。

Claims (5)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された樹脂層と、
    前記樹脂層上に形成され、強誘電体よりなるコア層を備えた光導波路層と、
    前記光導波路層の上面及び下面の少なくとも一方に形成された電極と、
    を有することを特徴とする光偏向素子。
  2. 前記電極が複数形成され、隣り合う該電極間の前記光導波路層にスリットが設けられたことを特徴とする請求項1に記載の光偏向素子。
  3. 前記樹脂層はフッ化ポリイミドよりなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光偏向素子。
  4. 外部から入力された複数本の光信号のそれぞれを個別にコリメートするコリメート部と、
    前記コリメート部を通過した前記光信号の伝搬方向を個別に偏向する第1光偏向部と、
    前記第1光偏向部を通過した前記複数本の光信号が共通に伝搬する共通導波路と、
    前記共通導波路を通過した前記光信号の伝播方向を個別に偏向する第2光偏向部と、
    前記第2光偏向部を通過した前記光信号を個別に集光する集光部と、
    を有し、
    前記第1光偏向部と前記第2光偏向部の少なくとも一方に請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の光偏向素子を使用したことを特徴とする光スイッチ。
  5. 支持板上に上部電極を形成する工程と、
    強誘電体よりなるコア層を備えた光導波路層を少なくとも前記上部電極上に形成する工程と、
    前記光導波路層上に下部電極を形成する工程と、
    前記下部電極上に樹脂層を形成する工程と、
    前記樹脂層を基板上に固着する工程と、
    前記樹脂層を前記基板上に固着した後、前記支持板を除去する工程と、
    を有することを特徴とする光偏向素子の製造方法。
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