JP2004226901A - 波長合分波器及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】合波・分波の際、大きな光量変化をもたらすことのない、小型・低価格の波長合分波器、特に同時双方向伝送が可能な波長合分波器を提供する。
【解決手段】合成石英製光学基板13の片面側に、第1の偏向手段として回折格子(グレーティング)11を、他面側に第2の偏向手段としてのグレーティング12をそれぞれ設けることで、波長合分波器10を構成する。この波長合分波器における分波動作では、レーザダイオードからの4波長の多重化光(波長は1270nm,1290nm,1310nm,1330nm)を、光ファイバを介して回折格子11に垂直に入射させる。入射した各波長の光は光学基板13内を、各反射部で全反射を繰り返しながらジグザグに進行し、グレーティング12で再度偏向されて個別光となる。回折格子11およびグレーティング12において各光は、その波長に応じた異なる偏向角度で偏向される。
【選択図】 図1
【解決手段】合成石英製光学基板13の片面側に、第1の偏向手段として回折格子(グレーティング)11を、他面側に第2の偏向手段としてのグレーティング12をそれぞれ設けることで、波長合分波器10を構成する。この波長合分波器における分波動作では、レーザダイオードからの4波長の多重化光(波長は1270nm,1290nm,1310nm,1330nm)を、光ファイバを介して回折格子11に垂直に入射させる。入射した各波長の光は光学基板13内を、各反射部で全反射を繰り返しながらジグザグに進行し、グレーティング12で再度偏向されて個別光となる。回折格子11およびグレーティング12において各光は、その波長に応じた異なる偏向角度で偏向される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長多重通信システムに用いるのに好適な波長合分波器とその製造方法、多重波長合波装置、多重波長分波装置、多重波長合分波装置および、波長多重光通信装置に関し、特に、光の合波および分波の際、光量に、その損失による大きな変化をもたらすことのない波長合分波器に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長多重通信システムでは、波長を相互に異にする光信号を合波することにより多重化し、あるいは合波により多重化された多重信号光をそれぞれの波長の光信号に分波するために、波長合分波器が用いられている。従来の波長合分波器は、光導波路と、所定の波長の信号光の透過を許す波長選択フィルタとを備える。この従来の波長合分波器によれば、光導波路に導かれた波長多重信号光は該光導波路の分岐部により、その分岐数に応じて分割され、それぞれに分岐された多重信号光から、各波長選択フィルタにより、該フィルタに対応した波長の信号光が選択的に取り出される。
【0003】
しかしながら、前記したような光導波路を利用した従来の波長合分波器では、光導波路に案内された前記多重光がその分岐部で分割されるとき、光導波路の分岐部での結合効率の関係から、各分割光の光量は、各分割光間で分割数に対応して分割される。そのため、前記各波長選択フィルタから取り出された各光信号の光量は、著しく低減する。例えば2つの波長が多重化された多重光からそれぞれの波長の光信号を得る場合、その光信号の光量は多重光のそれの半値になり、4つの波長が多重化された多重光の場合、これから得られる各波長の光信号の光量は、多重光のそれの四半分の値になる。このような光量の低減は、波長合分波器に接続される光学素子の感度の増大あるいは発光源の発光量の増大を必要とすることから、望ましくはない。
【0004】
また、光導波路を利用した前記波長合分波器では、複数の波長の光がその多重化のために、光導波路の各分岐部から単一の導波路部分に案内されるとき、前記した光導波路の結合効率の関係から、前記した分波におけると同様に、各波長の光の強度は、合波される光の数、すなわち、多重化を受ける光の数に応じて、低減される。
【0005】
そこで、特開2002−169054号公報(特許文献1)には、下記の提案がなされている。上記特許文献1に記載された一実施例を図12に示す。この図は波長合分波器の構造を概略的に示す断面図である。
【0006】
すなわち、図12に示す波長合分波器200は、異なる波長を有する複数の光を多重化し、あるいは多重化された多重光を各波長の光に分離するためのものである。この波長合分波器200は、それぞれが異なる波長の光を反射するための反射面を有し反射光を除く光の透過を許す複数の波長選択フィルタであって前記反射面が相互に間隔をおいて配置される複数の波長選択フィルタ227〜229と、該各波長選択フィルタの前記反射面に前記多重光を斜めに案内する第1のレンズ222および各前記フィルタの前記反射面で反射された各波長の光を集光させるべく前記第1のレンズ222と共同してそれぞれが前記多重光の各波長の光を結像させるための複数の第2のレンズ223〜226とを備えている。なお、図12に記載された符号について説明すると、211〜215は光学基板、217は光ファイバ、218〜221は光学素子、230はミラー、tは前記光学基板の板厚である。
【0007】
そして、この波長合分波器200では、相互に間隔をおいて配置される複数の波長選択フィルタと、前記第1および複数の第2のレンズの組み合わせとにより、光導波路を用いることなく合波および分波が可能になることから、光導波路の結合損失による光量の低減を招くことなく多重光から個々の波長の光を取り出すことができ、また個々の波長の光を多重化することが可能となる。
【0008】
しかし、ここで用いられる波長選択フィルタは、従来よく知られた誘電体多層膜で形成したものである。前記波長選択フィルタ群は、例えば所定の波長以下の光を反射し、それよりも長波の光の透過を許す、いわゆる低波長帯域阻止フィルタ特性を示すフィルタの組み合わせで構成したり、またはそれぞれが異なる所定の波長の光のみを反射し、他の波長光の透過を許す、いわゆる定波長帯域阻止フィルタ特性を示すフィルタの組み合わせで構成されている。
【0009】
一般的に誘電体多層膜フィルタは、複数種類の誘電体材料たとえば五酸化タンタルと二酸化珪素などを数十層〜二百層程度交互に成膜して作製する。ところが、上記特許文献1の発明において、たとえば4波長の波長合分波器を作製するためには、4種類の誘電体多層膜フィルタを作製しなくてはならない。このように上記特許文献1の発明により作製される波長合分波器は、高価な誘電体多層膜を複数枚使用しなくてはならず、作製費用が高価になる。
【0010】
また、この誘電体多層膜フィルタを形成した光学基板を4枚と、レンズ形成のための光学基板1枚との計5枚の光学基板を張り付け、接着しなければならない。そのため、接着面に汚れや気泡が発生せず、さらに、均一な接着厚さになるような光学基板の張り付けを複数回行わなければならず作製の費用が高くなる。
【0011】
また、上記特許文献1の発明による波長合分波器は、多重光の入出力光と各波長の個別光の入出力光が同位置方向を向くため、たとえば図12のような光ファイバと光学素子のレイアウトは可能であるものの、波長合分波器に対して光ファイバと光学素子が反対方向に設置するようなレイアウトは取れないという使用上の制限があり、装置の小型化には不向きである。
【0012】
一方、簡単な構造の光回路部品(波長合分波器)としては、特開平7−49430号公報(特許文献2)に開示されたものなどがある。この特許文献2に係る発明の一実施例を図13に示す。この図は前記光回路部品の構造を光ファイバとの接続状態で示す説明図である。前記発明は、回路が複雑化することなく、光を所望の波長の光に分波したり、所望の波長の光を合波したりすることができる光回路部品を提供するものである。
【0013】
すなわち、この光回路部品305では、頂角αのガラスブロック312に、第1のフィルタ301と第2のフィルタ302を張り付け、第1のフィルタ301の第1の受光面303と、第2のフィルタ302の第2の受光面304を対向させて、第1および第2の受光面303,304間で光が反射する構造とする。また、この光回路部品305の基部側には、入射側の光ファイバ310aをコリメータレンズ311aを介して設け、光ファイバ310aから光回路部品305に入射した光が第1、第2の受光面303,304間を進み、第1の受光面303に入射する各位置316,317,318,319に対応する第1のフィルタ301の背面306側に、コリメータレンズ311b,311c,311d,311eを介して出射側の各光ファイバ310b,310c,310d,310eを配設する。
【0014】
そして、この光回路部品305においては、誘電体多層膜は1枚用いるだけで良く、また光学基板の張り合わせのような工程も必要なく、簡易な構造の波長合分波器を提供することができる。
【0015】
しかし、上記特許文献2に係る発明が提供する波長合分波器は、波長多重光の光入出力部の光軸、個別波長光の光入出力部の光軸のいずれもガラスブロックの表面に対して垂直ではなく、更に各個別波長光の光入出力部の光軸とガラスブロックの表面のなす角度が全て異なっている。
【0016】
そのため、波長合分波器と各光ファイバとの位置調整は工程が複雑になる。
まして、個別波長光の入出力側に光ファイバではなく光学素子を設置する場合は、各光学素子の光軸と、波長合分波器の光軸を会わせるため複雑な取り付け構造を必要とする。さらに、上記特許文献2の発明が提供する波長合分波器を作製する場合、表裏2面が所定の角度をなしており平行ではないので、大面積の基板の誘電体多層膜および反射膜を形成してから、個別の素子に切り出すことは不可能であり、あらかじめ成形されているガラスブロック1つ1つの表面に誘電体多層膜および反射膜を作製しなければならない。
【0017】
このように、特許文献2の発明が提供する波長合分波器は光学素子の取り付けに複雑な構造が必要で、大量生産に向いた工程がないという問題があり、波長合分波器や、この波長合分波器を使用した装置の価格が高くなるという問題がある。
【0018】
また、特許文献1の発明に係る波長合分波器、特許文献2の発明に係る光回路部品のいずれも、光ファイバに対する入力光と出力光を分離することができないため、波長多重光の同一波長光に関する入出力を同時に行うことができない。そのため、双方向通信用の同一波長の同時合分波には使用できないという制約がある。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−169054号公報
【特許文献2】
特開平7−49430号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の第1の目的は、合波および分波の際、従来の波長合分波器におけるような大きな光量変化をもたらすことのない、小型で、低価格の波長合分波器(特に、同時双方向伝送が可能なもの)を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記波長合分波器の製造方法を提供することであり、第3の目的は、それぞれ上記波長合分波器を用いた多重波長合波装置、多重波長分波装置、多重波長合分波装置および、波長多重光通信装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1においては、
異なる波長を有する複数の光を多重化し、及び/又は多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長合分波器において、
前記波長合分波器は、光の透過を許す光学基板からなっており、
前記波長合分波器の一方の面に1列に並んで形成されている前記各波長の光の入出力部(入出射部、以下同じ)と、
前記波長合分波器の前記各波長の光の入出力部と同一の面または、前記各波長の光の入出力部と正対する他方の面に形成されている前記多重化光の入出力部と、 前記多重化光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記多重化光の光路上に相当する部分に設置されている、入射する光の波長により異なる偏向角度で光を偏向する第1の偏向手段と、
前記光学基板に設けられ、該光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段と、
前記各波長の光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記各波長の光の光路上に相当する部分に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段とを備え、
前記各波長の光の入出力部の光軸は、光学基板の表面に垂直であり、
前記多重化光の入出力部の光軸は、光学基板の表面に垂直であることを特徴とする波長合分波器
を提供するものである。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第1の偏向手段が、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であることを特徴とする。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第1の偏向手段が、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であることを特徴とする。
【0024】
請求項4の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第2の偏向手段が、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であることを特徴とする。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第2の偏向手段が、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であることを特徴とする。
【0026】
請求項6の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第2の偏向手段が、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする。
【0027】
請求項7の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記反射手段が、前記光学基板表面に形成された金属反射膜または、誘電体多層膜面であることを特徴とする。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記反射手段が、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする。
【0029】
請求項9の発明は、請求項2または4記載の波長合分波器において、前記回折格子が、前記光学基板に切削加工を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0030】
請求項10の発明は、請求項2,3,4または5記載の波長合分波器において、前記ホログラム素子が、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0031】
請求項11の発明は、請求項6または8記載の波長合分波器において、前記テーパ面が、前記光学基板に切削加工を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0032】
請求項12の発明は、請求項6または8記載の波長合分波器において、前記テーパ面が、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0033】
請求項13の発明は、光学基板の同一面上にホログラム素子とテーパ面が形成された、請求項6または8記載の波長合分波器の製造方法であって、前記光学基板上の所定位置にエッチング加工を施すことによりホログラム素子を形成し、前記ホログラム素子を保護部材で被覆保護した後、前記光学基板の所定位置にエッチング加工を施すことによりテーパ面を形成することを特徴とする波長合分波器の製造方法である。
【0034】
請求項14の発明は、波長の異なる複数の光源が所定の距離を置いて1列に配置されている光源アレイ装置と、請求項1記載の波長合分波器とを、前記各波長の光源と前記各波長の光の入出力部の位置が互いに対応するように組み合わせたことを特徴とする多重波長合波装置である。
【0035】
請求項15の発明は、請求項14記載の多重波長合波装置において、前記光源がレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする。
【0036】
請求項16の発明は、複数の受光素子が所定の距離を置いて一列に配置されている受光素子アレイ装置と、請求項1記載の波長合分波器とを、前記各受光素子の受光部と前記各波長の光の入出力部の位置が互いに対応するように組み合わせたことを特徴とする多重波長分波装置である。
【0037】
請求項17の発明は、請求項16記載の多重波長分波装置において、前記受光素子がフォトダイオード(PD)であることを特徴とする。
【0038】
請求項18に係る発明は、異なる波長を有する複数の光を多重化し、及び/又は多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長合分波器において、
前記波長合分波器は、光の透過を許す光学基板からなっており、
前記各波長の光の入出力部が、前記波長合分波器の一方の面に1列に並んで形成されており、
前記多重化光の入出力部が、前記波長合分波器の前記各波長の光の入出力部と正対する他方の面に形成されており、
入射する光の波長により異なる2つ以上の偏向角度で入射する光を偏向する第1の偏向手段が前記多重化光の入出力部または、入出力部の近傍に設置されており、
前記光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段が、前記光学基板に設けられており、
光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段が、前記各波長の光の入出力部または、入出力部の近傍に設置されており、
前記第1の偏向手段で分岐した光のうちの少なくとも2方向に出射した光は、前記反射手段により反射された後に、各々異なる位置にある前記第2の偏向手段に達することを特徴とする波長合分波器である。
【0039】
請求項19に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記第1の偏向手段が、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であり、前記分岐された光は、前記偏向手段の正負1次の回折光を用いることを特徴とする。
【0040】
請求項20に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記第1の偏向手段が、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であり、前記分岐された光は、前記偏向手段の正負1次の回折光を用いることを特徴とする。
【0041】
請求項21に係る発明は、請求項18,19または20記載の波長合分波器において、前記異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、前記第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、正負反対の符号の回折光が前記第2の偏向手段へ入射することを特徴とする。
【0042】
請求項22に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記反射手段は前記第1の偏向手段と、前記第2の偏向手段の間に、少なくとも2つ配置されており、前記異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、前記第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、前記反射手段で異なる回数反射された後に、第2の偏向手段へ入射することを特徴とする。
【0043】
請求項23に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記第2の偏向手段は、入射光軸と出射光軸の角度が異なる軸ずれ型レンズであることを特徴とする。
【0044】
請求項24に係る発明は、請求項23記載の波長合分波器において、前記軸ずれ型レンズが非球面型レンズであることを特徴とする。
【0045】
請求項25に係る発明は、請求項23記載の波長合分波器において、前記軸ずれ型レンズがホログラム素子であることを特徴とする。
【0046】
請求項26に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記反射手段が、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする。
【0047】
請求項27に係る発明は、請求項26記載の波長合分波器において、前記テーパ面が、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されることを特徴とする。
【0048】
請求項28に係る発明は、多重波長合分波装置において、波長の異なる複数の光源と、複数の受光装置と、請求項18記載の波長合分波器とを備えていることを特徴とする。
【0049】
請求項29に係る発明は、波長多重光通信装置において、請求項28記載の多重波長波合分波装置を用いることを特徴とする。
【0050】
つぎに、本発明の作用を、請求項毎に説明する。
請求項1に係る発明では、波長合分波器を、多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長分波器として用いる場合、多重化光の入出力部から光学基板表面に対し垂直に入射した多重化光は、多重化光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記多重化光の光路上に相当する部分に設置されている、入射する光の波長により異なる偏向角度で光を偏向する第1の偏向手段により、多重化光を構成している各個別の波長に分解され、各波長に応じた角度に偏向され、光の透過を許す光学基板の中を直進し、光学基板に設けられ光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段により反射され、更に直進し、更に他の反射手段により反射されることを繰り返し、光学基板内をジグザグに進行する。
【0051】
そして各波長の光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で各波長の光の光路上に相当する部分に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段により更に光路が偏向され、1列に並んで形成されている各波長の光の入出力部より光学基板表面に対し垂直に出射する。
【0052】
また波長合分波器を、異なる波長を有する複数の光を多重化する波長合波器として用いる場合、前記波長波器として用いる場合とは逆に、1列に並んで形成されている各波長の光の入出力部から光学基板表面に対し垂直に入射した各波長の光は、各波長の光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記各波長の光の光路上に相当する部分に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段により各波長に応じた角度に偏向され、光の透過を許す光学基板の中を直進し、光学基板に設けられ光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段により反射され、更に直進し、更に他の反射手段により反射されることを繰り返して光学基板内をジグザグに進行する。
【0053】
そして、多重化光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で多重化光の光路上に相当する部分に設置されている、入射する光の波長により異なる偏向角度で光を偏向する第1の偏向手段により更に光路が偏向され、多重化光の入出力部から光学基板表面に対し垂直に出射する。その際、各波長の光は同一光軸上を進行するように光路を偏向されるので、各波長の光は多重化光へ合波されることになる。
【0054】
したがって、分波時に、取り出された各波長毎の光の光量が、従来技術とは違って、分割される光の数の逆数に応じて低減されることがないことから、各波長の光を、その光量に従来のような大きな低減を招くことなく取り出すことが可能となる。また、合波時においても、多重化された光の光量が、従来技術とは異なり光導波路での結合損失により損なわれることはない。
【0055】
また、多重化光の分波に、各波長に対応した複数枚の誘電体多層膜を使うことがないので作製費用を低くすることが可能である。また、波長合分波器を構成する光学基板として厚さが均一な基板を使用できるので、大面積の基板を用いて多数の波長合分波器が整列配置した波長合分波器アレイ基板を作製し、その波長合分波器アレイ基板を個別の波長合分波器に切り出すという大量生産に適した作製方法がとれるので、作製費用を低くすることが可能となる。
【0056】
請求項2に係る発明の作用に関して説明すると、第1の偏向手段として回折格子またはホログラム素子を用いることにより、偏向手段は光の波長により定まった角度だけ光を偏向できるので、あらかじめ偏向後に各波長の光が各波長の光の入出力部へ導かれる様に光路を設定することにより、波長合分波器の波長分波機能を提供することが可能となる。
また、各波長の光の入出力部へ入射した各波長の光が偏向手段へ入射する際の角度を、偏向手段で偏向される角度が同じになるように、あらかじめ設定することにより、波長合分波器の波長合波機能を提供することが可能となる。また、前記偏向手段は、回折格子またはホログラム素子を用いることで得られる。
【0057】
請求項3の発明の作用に関しては、第1の偏向手段として偏向機能および集光機能を有するホログラム光学素子を用いることにより、多重化光を出射する光学素子または光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が図れる。
【0058】
請求項4の発明の作用に関しては、第2の偏向手段として回折格子またはホログラム素子を用いることにより、偏向手段は任意の角度だけ光を偏向できるので、偏向後に各波長の光が各波長の光の入出力部から垂直に出射するように偏向角度を、あらかじめ設定することにより、入射光および出射光の光軸を光学基板に対して垂直にすることが可能となる。
【0059】
請求項5の発明の作用に関しては、第2の偏向手段として、偏向機能および集光機能を有するホログラム光学素子を用いることにより、各波長の光を出射する光学素子または光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が図れる。
【0060】
請求項6の発明の作用に関しては、第2の偏向手段として、光学基板表面に形成されたテーパ面を用いることにより、第2の偏向手段を簡易に形成することが可能となる。
【0061】
請求項7の発明の作用に関しては、反射手段を、光学基板表面に形成された金属反射膜または誘電体多層膜面にすることにより、光学基板表面に全反射角より深い角度で入射した光も、高い反射率で反射させることが可能となる。
【0062】
請求項8の発明の作用に関しては、反射手段を、光学基板表面に形成されたテーパ面にすることにより、反射部に入射した光の入射角をテーパの角度で変更することが可能となる。
【0063】
請求項9の発明の作用に関しては、回折格子を切削加工で作製することにより偏向手段を容易に形成することが可能となる。
【0064】
請求項10の発明の作用に関しては、光学基板にエッチング加工を施すことでホログラム素子を作製することにより、高精度な偏向手段を容易に形成することが可能となる。
【0065】
請求項11の発明の作用に関しては、テーパ面を切削加工で作製することにより、反射手段を容易に形成することが可能となる。
【0066】
請求項12の発明の作用に関しては、光学基板にエッチング加工を施すことでテーパ面を形成することにより、反射手段を容易に形成することができる。
【0067】
請求項13の発明の作用に関しては、光学基板の同一面上にホログラム素子とテーパ面とを形成する場合、まず光学基板上の所定位置にエッチング加工によりホログラム素子を形成し、その後ホログラム素子を保護部材で被覆保護し、その後光学基板の所定位置にエッチング加工を施してテーパ面を形成することにより、最初に加工したホログラム素子を損傷することなく、加工深さが大きく異なるホログラム素子とテーパ面とを作製することが可能となる。
【0068】
請求項14の発明の作用に関しては、波長合分波器として請求項1記載の波長合分波器を用いることにより、小型で価格の安い多重波長合波装置を提供することが可能となる。また、受発光部の光軸が光学基板面に対して垂直なので、光源アレイ装置と波長合分波器の位置合わせが容易であり、多重波長合波装置を安い価格で提供することが可能となる。
【0069】
請求項15の発明の作用に関しては、光源としてレーザーダイオード(LD)を用いることで、小型の多重波長合波装置を提供することが可能となる。
【0070】
請求項16の発明の作用に関しては、波長合分波器として請求項1記載の波長合分波器を用いることにより、小型で価格の安い多重波長分波装置を提供することが可能となる。また、受発光部の光軸が光学基板面に対して垂直なので、受光素子アレイと波長合分波器の位置合わせが容易であり、多重波長分波装置を安い価格で提供することが可能となる。
【0071】
請求項17の発明の作用に関しては、受光素子としてフォトダイオード(PD)を用いることで、小型の多重波長分波装置を提供することが可能となる。
【0072】
請求項18に係る発明では、波長合分波器を、多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長分波器として用いる場合、多重化光の入出力部から光学基板表面に入射した多重化光は、多重化光の入出力部またはその近傍に設置されている、入射する光の波長により異なる2つ以上の偏向角度で入射する光を偏向する第1の偏向手段により、多重化光を構成している各個別の波長に分解され、各波長に応じた角度に偏向され、光の透過を許す光学基板の中を直進し、光学基板に設けられ、光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段により反射され、更に直進し、更に他の反射手段により反射されることを繰り返して光学基板内をジグザグに進行する。
【0073】
そして、各波長の光の入出力部またはその近傍に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段により更に光路が偏向され、光学基板表面に1列に並んで形成されている各波長の光の入出力部より出射する。
【0074】
また、波長合分波器を、異なる波長を有する複数の光を多重化する波長合波器として用いる場合、前記波長波器として用いる場合とは逆に、1列に並んで形成されている各波長の光の入出力部から光学基板表面に対し垂直に入射した各波長の光は、各波長の光の入出力部またはその近傍に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段により任意の角度に偏向され、光の透過を許す光学基板の中を直進し、光学基板に設けられ、光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段により反射され、更に直進し、更に他の反射手段により反射されることを繰り返して光学基板内をジグザグに進行する。
【0075】
そして、多重化光の入出力部またはその近傍に設置されている、入射する光の波長により異なる2つ以上の偏向角度で入射する光を偏向する第1の偏向手段により更に光路が偏向され、光学基板表面の多重化光の入出力部から出射する。その際、各波長の光は同一光軸上を進行するように光路を偏向することができるので、各波長の光は多重化光へ合波されることになる。
【0076】
したがって、分波時に、取り出された各波長毎の光の光量が、従来技術とは違って、分割される光の数の逆数に応じて低減されることがないことから、各波長の光をその光量に従来のような大きな低減を招くことなく、取り出すことが可能となる。また、合波時においても、多重化された光の光量が、従来技術とは異なり光導波路での結合損失により損なわれることはない。
【0077】
また、第1の偏向手段は任意の波長に対して2つ以上の偏向角度で光を偏向することができるので、任意の波長の光に対して、所定の偏向角で偏向された光路を入射用、所定の第2の偏向角で偏向された光路を出射用に用いることにより、多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能と、第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を同時に提供することが可能となる。
【0078】
さらに、第1の偏向手段は任意の波長に対して2つ以上の偏向角度で光を偏向することができるので、任意の波長の光に対して、所定の偏向角で偏向された光路を第1の入射または出射用、所定の第2の偏向角で偏向された光路を第2の入射または出射用に用いることにより、多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部と第2の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能や、第1および第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を提供することが可能となる。さらに、多重化光の分波に、各波長に対応した複数枚の誘電体多層膜を使うことがないので、作製費用を低くすることが可能である。
【0079】
さらに、波長合分波器を構成する光学基板として、厚さが均一な基板を使用できるため、大面積の基板を用いて多数の波長合分波器が整列配置した波長合分波器アレイ基板を作製し、その波長合分波器アレイ基板を個別の波長合分波器に切り出すという大量生産に適した作製方法がとれるので、作製費用を低くすることが可能となる。
【0080】
請求項19に係る発明の作用について説明すると、第1の偏向手段として回折格子またはホログラム素子を用いることで、偏向手段が光の波長により定まった角度だけ光を偏向できる。このため、偏向後に各波長の光が各波長の光の入出力部へ導かれるように、あらかじめ光路を設定することにより、波長合分波器の波長分波機能を提供することが可能となる。
【0081】
また、各波長の光の入出力部へ入射した各波長の光が偏向手段へ入射する際の角度を、偏向手段で偏向される角度が同じになるように、あらかじめ設定することにより、波長合分波器の波長合波機能を提供することが可能となる。
【0082】
また、偏向手段で偏向された光として回折格子またはホログラム素子の正負1次光を用いることで、任意の光に対して正の1次光と負の1次光の2つの異なる偏向角度で偏向された光を得ることができ、
(1)請求項18における、多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能と、第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を同時に提供することや、
(2)多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部と第2の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能を提供することや、
(3)第1および第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を提供することが容易となる。
【0083】
請求項20の発明の作用に関しては、第1の偏向手段として偏向機能および集光機能を有するホログラム光学素子を用いることにより、多重化光を出射する光学素子または、光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が図れる。
【0084】
また、偏向手段で偏向された光として回折格子またはホログラム素子の正負1次光を用いることで、任意の光に対して正の1次光と負の1次光の2つの異なる偏向角度で偏向された光を得ることができ、
(1)請求項18における、多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能と、第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を同時に提供することや、
(2)多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部と第2の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能を提供することや、
(3)第1および第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を提供することが容易となる。
【0085】
請求項21の発明の作用に関しては、複数の個別光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、前記第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、正負反対の符号の回折光が前記第2の偏向手段へ入射することにより、i=奇数の波長の個別光の入出力部と、i=偶数の波長の個別光の入出力部を分けることができ、多重化光の入出力部を、i=奇数の波長の個別光の入出力部とi=偶数の波長の個別光の入出力部の間に設置することが可能になる。
【0086】
請求項22の発明の作用に関しては、反射手段が第1の偏向手段と、第2の偏向手段の間に、2つ以上配置されており、異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λi+1))とした場合、第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、反射手段で異なる回数反射されたのちに第2の偏向手段へ入射することにより、反射手段での反射回数の少ないグループの個別光の入出力部に対して、反射手段での反射回数の多いグループの個別光の入出力部を、多重化光の入出力部から遠い位置に配置することが可能になる。
【0087】
請求項23の発明の作用に関しては、第2の偏向手段として、入射光軸と出射光軸の角度が異なる軸ずれ型レンズを用いることにより、各波長の光を出射する光学素子または、光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が図れる。
【0088】
請求項24の発明の作用に関しては、軸ずれ型レンズを非球面型レンズで作製することにより、第2の偏向手段を簡易に形成することが可能となる。
【0089】
請求項25の発明の作用に関しては、軸ずれ型レンズをホログラム素子で作製することにより、第2の偏向手段を簡易に形成することが可能となる。
【0090】
請求項26の発明の作用に関しては、反射手段を光学基板表面に形成されたテーパ面にすることにより、反射部に入射した光の入射角をテーパの角度で変更することが可能となる。
【0091】
請求項27の発明の作用に関しては、テーパ面を光学基板に、エッチング加工で作製することにより、反射手段を容易に形成することが可能となる。
【0092】
請求項28の発明の作用に関しては、波長合分波器として請求項18記載の波長合分波器を用いることにより、小型で構成の簡易な多重波長合波装置を提供することが可能となる。また、同時双方向の波長多重を可能とする、小型で構成の簡易な多重波長合波装置を提供することが可能となる。
【0093】
請求項29の発明の作用に関しては、多重波長合波装置として請求項28記載の多重波長合波装置を用いることにより、小型で低価格の波長多重光通信装置を提供することが可能となる。また、同時双方向の波長多重を可能とする、小型で低価格の波長多重光通信装置を提供することが可能となる。
【0094】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態および実施例を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態および実施例では技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態および実施例に限定されるものではない。
【0095】
第1の実施の形態および実施例1
図1は、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。まず符号について説明すると、10は波長合分波器、11は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、12は第2の偏向手段としてのグレーティング、13は光学基板である。この波長合分波器10では、発光手段として波長1270nm,1290nm,1310nm,1330nmの半導体レーザー(LD)を使用している。回折格子11、グレーティング12の溝ピッチは、いずれも1.6μmである。
【0096】
グレーティングについては、(光の)入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλとし、グレーティングの溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、下記[数1]のようになる。
【0097】
【数1】
sinθ−sin(θ0)=mλ/d
【0098】
したがって、発光手段としてのレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバ(図略)からグレーティング(回折格子)11に、光を垂直に入射させたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各LDからの光の波長と、上記出射角θとの関係は下記[表1]のようになる。
【0099】
【表1】
【0100】
本実施例では、光学基板13として厚さ2mm、長さ16mmの合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板13面への入射角が42度以上であれば完全に全反射となる。上記[表1]で明らかなように、本実施例では、受光部を介して光学基板13に垂直に入射した多重光は、グレーティング11で偏向され、すべて全反射以上の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板13内を進行する光は、全反射を繰り返しながらジグザグに進行し、グレーティング12で再度偏向されて個別光となる。
【0101】
本実施例で使用する発光用の光源アレイ装置の概要を図2に示す。図2(a)はこの光源アレイ装置20の平面図、図2(b)はその側面図である。面発光LD素子(発光素子)21としては、300μm角の面発光LD(VCSEL)のベアチップを用いている。また、この光源アレイ装置20では、波長が異なる4種類の素子の位置微調整を行うスペースを考慮して、これらの素子を0.5mm(または、それ以上)の間隔で整列させて実装している。符号22は発光部である。各発光素子21上にあるボンディングパッド23は、図2(b)には示されていないが、発光素子の近傍に配置されている発光素子駆動用のドライバICの所定のパッドとの間を、ワイヤーボンディングで配線している。
【0102】
本実施例で使用する受光用の受光素子アレイ装置の概要を図3に示す。図3(a)はこの受光素子アレイ装置30の平面図、図3(b)はその側面図である。符号31はPD素子(受光素子)、符号32は受光部、符号33はボンディングパッドである。受光素子31としては300μm角のフォトダイオード(PD)を用いている。4個の受光素子31を、これらの位置の微調整を行うスペースを考慮して、0.5mm(または、それ以上)の間隔で整列させ実装している。各受光素子31上にあるボンディングパッド33は、図3(b)には示されていないが、受光素子の近傍に配置されている受光素子用のアンプICの所定のパッドとの間を、ワイヤーボンディングで配線している。また、4個の受光素子は同種類のもので構わないため、図3(a)のように、4個の受光部32が同一基板上に配置されているPDアレイ素子を用いることも可能である。
【0103】
このように、本実施例では発光部間隔0.5mm、受光部間隔0.5mmのアレイ装置用に設計されているので、図1に示すように4回の反射を繰り返した後、5回目に光学基板13の端面に達した時、各光間の距離が発光部間隔、受光部間隔と同等か、または、これより広く取れるようになる。光が5回目に光学基板端面に達する部分付近には、上記第2の偏向手段として1.6μmピッチのグレーティング12が設置されている。この偏向手段により各個別光は光学基板13に垂直に出射される。
【0104】
上記出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では偏向手段のグレーティングピッチは1.6μm、光学基板厚は2mmとしてあるので、受光素子の受光部の間隔を個別光の出射位置に合わせるようにしたが、これについてはグレーティングピッチを調整する、あるいは基板の厚さを変えるという手段で行うことも可能である。また、このような配置にすると、各波長の光のグレーティングによる1次光は所定の光路を進行することができる。0次光については1次光が進行する光路から外れるため、受光部に投射されることはなく光として検出されない。
【0105】
このように、本実施例に係る波長合分波器では、全反射を繰り返して光を導けるので、光のロスが少なく、光量の低減を防止することができるという利点がある。また、光学基板表面がそのまま全反射面になるので構造が簡易であるという利点もある。さらに、波長合分波器の寸法も厚さ2mm、長さ16mm程度と小型であるという利点がある。
【0106】
第2の実施の形態および実施例2
図4は、本実施例に係る4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。まず符号について説明すると、40は波長合分波器、41は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、42は第2の偏向手段としてのグレーティング、43は光学基板、45,46は反射膜である。この波長合分波器40では、発光手段として波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。回折格子(グレーティング)41、グレーティング42では、ともに溝ピッチ1.6μmのグレーティングを使用している。
【0107】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλとし、グレーティングの溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のようになる。したがって、発光手段としてのレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバ(図略)からグレーティング(回折格子)41に、光を垂直に入射をさせたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各LDからの光の波長と、上記出射角θとの関係は下記[表2]のようになる。
【0108】
【表2】
【0109】
本実施例では、光学基板43として厚さ2mm、長さ17mmの合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0110】
上記[表2]に見られるように、本実施例では、多重光の受光部を介して波長合分波器40に垂直に入射した光は、グレーティング41で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板43内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板43表面での反射の反射率を上げるため、光の反射部にAl+MgF2 からなる反射膜45,46を設けている。なお、反射膜として他のAu、Agなどの金属からなるものを用いても良く、また誘電体多層膜を用いても良い。
【0111】
本実施例では発光部間隔0.5mm以上、受光部間隔0.5mm以上のアレイ装置用に設計されているので、図4に示すように、各光は12回の反射後、13回目に光学基板43端面に達した時、各光間の距離を発光部間隔、受光部間隔と同等か、または、これよりもより広く取ることができる。
【0112】
本実施例では、光が13回目に光学基板端面に達する部分付近に、第2の偏向手段として溝ピッチ1.6μmのグレーティング42が設置されている。この偏向手段により各個別光は基板43に垂直に出射される。ここで、出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。
【0113】
本実施例では、偏向手段のグレーティングピッチを1.6μm、光学基板43の厚さを2mmとし、受光素子の受光部の間隔を、個別光の出射位置に合わせるようにしてある。このような配置にすると、各波長の光のグレーティングによる1次光は所定の光路を進行することができる。0次光については、1次光の進行する光路から外れるため受光部に投射されることはなく、光として検出されない。
【0114】
このように、本実施例では全反射を繰り返して光を導けるので、光のロスが少いという利点がある。また、光学基板表面がそのまま全反射面になるので、構造が簡易であるという利点もある。さらに、大きさも厚さ2mm、長さ17mm程度と小型であるという利点がある。
【0115】
第3の実施の形態および実施例3
図5は、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。まず符号について説明すると、50は波長合分波器、51は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、52は第2の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、53は光学基板、55は第1のテーパミラー、56は第2のテーパミラーである。この波長合分波器50では、発光手段として波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。回折格子(グレーティング)51,52の溝ピッチは、いずれも1.6μmである。
【0116】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλとし、グレーティングの溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のようになる。したがって、発光手段としてのレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバ(図略)からグレーティング(回折格子)51に、光を垂直に入射をさせたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各LDからの光の波長と、上記出射角θとの関係は上記[表2]のようになる。
【0117】
本実施例では、光学基板53として厚さ2mm、長さ8mmの合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0118】
上記[表2]に示すように、本実施例では多重光の受光部から波長合分波器50に垂直に入射した光は、グレーティング51で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板53内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板53内を進行している光が反射部で全反射するように、光学基板53表面に上記テーパミラー55,56を設けている。
【0119】
上記テーパミラー55,56ではテーパ角度を12度としている。これにより光学基板53表面での1回目の反射の時、テーパミラー55に対する入射角は42度以上になるので、全ての入射光はテーパミラー55表面で全反射するようになる。さらに、2回目の反射の場合は、光学基板53表面への入射では入射角が浅くなり、合分波器50の長さが長くなるので、傾斜面の傾きが第1のテーパミラー55と逆方向で同角度である、第2のテーパミラー56を反射位置に形成している。しかし、第1のテーパミラー55と同様に、第2のテーパミラー56の傾斜面を1つにして全光線を反射させようとすると、その反射面の面積が大きくなり、それにともない加工深さも深くなる。そこで、この第2のテーパミラー56では、図示のように4本の光線を個別に受ける4個のテーパミラーを形成している。これにより、第2のテーパミラーの加工深さも小さくでき、加工が容易となる。
【0120】
本実施例の波長合分波器50では、発光部間隔0.5mm以上、受光部間隔0.5mm以上のアレイ装置用に設計されているので、図5のように2回の反射後、3回目に光学基板53端面に達した時、各光間の距離は発光部間隔および受光部間隔と同等になるか、または、これよりも広くなる。
【0121】
本実施例では、光が3回目に光学基板53端面に達する部分付近に、第2の偏向手段として1.6μmピッチのグレーティング52が設置されている。この偏向手段により各個別光は基板に垂直に出射される。ここで、出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では偏向手段のグレーティングピッチを1.6μm、光学基板厚を2mmとしてあるから、受光素子の受光部の間隔を、個別光の出射位置に合わせることができる。このような配置にすると、各波長の光のグレーティングによる1次光は所定の光路を進行することができる。0次光については、1次光の進行する光路から外れるため受光部に投射されることはなく、光として検出されない。
【0122】
このように本実施例では、全反射を繰り返して光を導けるので、光のロスが少いという利点がある。また、光学基板表面がそのまま全反射面になるので構造が簡易であるという利点がある。さらに、大きさも厚さ2mm、長さ8mm程度と非常に小型であるという利点もある。
【0123】
以上の実施例1〜3では、第2の偏向手段として回折格子やホログラム素子の回折現象を用いているが、この偏向手段については、各々の波長の光に応じた角度で光を偏向させれば良いから、たとえば各々の波長の光に応じた角度で反射させるテーパミラーなどを使用することもできる。
【0124】
第4の実施の形態および実施例4
本実施例は、上記実施例3に示すようなテーパミラー型の波長合分波器の作製方法に係るもので、図6は、その作製工程を示す断面図である。本実施例では、光学基板として厚さ1mmの石英基板61を用いる。
(1)図6(a):第1の工程では、石英基板61の表面にフォトレジスト62を塗布する
(2)図6(b):第2の工程では、写真製版工程(フォトマスク63を使用)によりフォトレジスト62に、ホログラム素子64用のマスクパターンを形成する。
(3)図6(c):第3の工程では、エッチング加工により石英基板61上にホログラム素子64を形成する。ホログラム素子形成後に残ったフォトレジストは、洗浄して除去する。
(4)図6(d):第4の工程では、表面にホログラム素子64が形成されている石英基板61の表面にフォトレジスト62を再度塗布する。
(5)図6(e):第5の工程では、写真製版工程(フォトマスク65を使用)によりフォトレジスト62にテーパ面形成用のマスクパターンを形成する。
(6)図6(f):第6の工程では、エッチング加工により石英基板61上にテーパ面66を形成する。テーパ面形成後に残ったフォトレジストは洗浄して除去する。
このようにして、表面にホログラム素子64とテーパ面66が形成されている石英基板が作製される。
(7)図6(g):第7の工程では、同様にして表面にホログラム素子とテーパ面が形成されている第2の石英基板61を作製し、2枚の石英基板61,61を、これらの加工面が表面になるようにして、所定の位置に合わせて張り付け、その後所定の位置で切断し、多波長合分波器60を複数作製する。
【0125】
以上のように、本実施例によれば、複数の波長合分波器を簡易に、かつ大量に作製することが可能である。また、本実施例ではホログラム素子作製のために、写真製版工程およびエッチング加工工程を行っているが、偏向手段として格子ピッチが大きい回折格子を用いる場合には、回折格子の作製を切削加工で行なっても良い。さらに、本実施例では写真製版工程とエッチング加工を用いてテーパミラーの作製を行っているが、特開2000−321410号公報に記載された手法も有効であり、これによりテーパミラーを容易に作製することができる。
【0126】
なお、上記図6(g)では、張り合わせた2枚の石英基板61,61は、同一パターンの基板のように見えるが、実際には2枚の基板は機能に合わせて別々のパターンで形成されていることは明らかである。
【0127】
第5の実施の形態および実施例5
実施例3で説明したテーパミラー型の波長合分波器50を用いた多重波長合分波装置の構造を、図7に示す。この多重波長合分波装置70では、光源として波長760nm,780nm,800nm,820nmの面発光半導体レーザー(VCSEL)を用いている。符号について説明すると、50は波長合分波器、71は光源部としてのパッケージ、72はLDアレイ光源、73はこのLDアレイを構成するVCSEL(面発光LD)、74はコリメートレンズ付きカバーグラスである。
【0128】
上記多重波長合分波装置70は、LDアレイ光源からの各波長の光の合波を行い、多重光として波長合分波器50から出射させるように構成したものである。すなわち、この多重波長合分波装置70では、発光素子として4個のVCSEL(面発光LD)73が整列配置されており、コリメートレンズ付きカバーガラス74を所定位置に合わせて設置してあるパッケージ71の上に、波長合分波器50が設置されている。この波長合分波器50は、入射光の光軸が基板面に垂直であることから、パッケージ71との位置合わせは、2軸の位置合わせだけですむため、位置出しを簡易に行うことができる。また、波長合分波器50から出射する多重光も基板53面から垂直に出射するので、図7では示されていない光ファイバに多重光を入射させる場合も2軸の調整だけですむため、位置合わせが容易である。さらに、このようにして作製された本実施例の多重波長合分波装置70は高さ5mm、長さ11mm程度の大きさにすることも可能であり、したがって、小型の多重波長合分波装置を提供することができる。
【0129】
第6の実施の形態および実施例6
図8は本実施例に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造説明図である。この波長合分波器は、光学基板に第1の偏向手段である回折格子を1つと、2つの第2の偏向手段とを設けるとともに、第1の偏向手段と第2の偏向手段の間に、それぞれ2組のテーパミラーを設けたものである。
【0130】
まず符号について説明すると、80は波長合分波器、81は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、82,83は第2の偏向手段である非球面の軸ずれレンズ、84は光学基板、85〜88は反射手段としてのテーパミラーである。この波長合分波器80では、発光手段として波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。受光手段としては波長760nm〜820nmの光に感度があるシリコン(Si)フォトダイオード(PD)を使用している。光学基板84は厚さ2mm、長さ14mmであり、回折格子(グレーティング)81の溝ピッチは1.6μmである。
【0131】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλとし、グレーティングの溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のようになる。したがって、発光手段のレーザダイオードの波長が上記4波長の場合、グレーティングへ光ファイバから垂直入射をさせた場合、グレーティングのピッチが1.6μmであるから、各LDからの光の波長と、上記出射角θとの関係は上記[表2]のようになる。
【0132】
本実施例では、光学基板84として合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0133】
最初に、この波長合分波器80の分波機能について説明する。
上記[表2]に見られるように、本実施例では多重光の受光部から波長合分波器80に垂直に入射した光(波長はそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4)は、第1の偏向手段である回折格子81の各波長の1次光に相当する角度で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板84内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板84内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板84表面にテーパミラー85,86を設けている。これらテーパミラーのテーパ角度は12度である。
【0134】
これにより、光学基板84表面での1回目の反射の時、テーパミラー85に対する入射角は42度以上になるので、全ての入射光はテーパミラー85表面で全反射するようになる。また、2回目の反射の場合は、光学基板84表面への入射角が浅くなり、このままでは波長合分波器の長さが長くなるので、傾きがテーパミラー85と逆方向で同角度のテーパミラー86を反射位置に形成している。さらに、このテーパミラー86では、全光線を1つの面で反射させるためには反射面が大きくなり、それにともない加工深さも深くなるので、4本の光線(波長がそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4)を個別に受ける4個のテーパミラーを形成している。これにより、テーパミラー86の加工深さも浅くでき、加工しやすくなる。
【0135】
光が3回目に光学基板84端面に達する部分付近には、第2の偏向手段として非球面軸ずれレンズ82が4個設置されている。これらの偏向手段により、各個別光は基板84上の個別光の入出射部から出射され、各波長の受光用Si−PDで受光される。本実施例の波長合分波器80では、受光部間隔が0.5mm程度になるように設計されている。ここで、出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では第1の偏向手段としてのグレーティング81の溝ピッチを1.6μm、光学基板84の厚さを2mmとしてあるため、受光素子の受光部の間隔を個別光の出射位置に合わせることができる。このような配置にすると、各波長の光のグレーティング81による1次光は所定の光路を進行することができる。0次光については、1次光の進行する光路から外れるため受光部に投射されることはなく、光として検出されない。
【0136】
次ぎに、上記波長合分波器80の合波機能について説明する。
この波長合分波器の合波機能については、分波機能を達成している合分波器と同等のレイアウトによる光学系を使用している。各LDから出射した各波長の光は、対応する場所に設置された第2の偏向手段である複数の軸ずれレンズ83により所定の角度だけ偏向させられ、かつ集光され光学基板84の中に案内される。案内された各波長の光は、光学基板84内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板84表面に形成された複数のテーパミラー88によって反射される。これらテーパミラー88のテーパ角度は12度である。
【0137】
テーパミラー88で反射された各波長の光は、さらにテーパミラー87により反射され、第1の偏向手段としてのグレーティング(回折光子)81が設置されている多重化光の入出射部に入射する。本実施例において4波長の個別光は、グレーティング81のおおよそ同一の位置に異なる角度で入射する、この角度がグレーティング81の各波長による1次光の偏向角になるように個別光の入出射部および、各テーパミラーを配置することにより、第1の偏向手段である回折格子81から出射する光をすべて同じ角度で出射させることができる。
【0138】
本実施例では発光部間隔が0.5mm程度になるように設計されている。ここで、出射される多重化光の出射位置と発光素子の設置位置との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では、発光用のLDの設置間隔と受光用のPDの設置間隔を同等にしたため、受光用のテーパミラーと出射用のテーパミラーは同等のテーパ角度と配置になっているが、この受光用のテーパミラーおよび出射用のテーパミラーの、角度および配置を適宜設定することで、発光用のLDの設置間隔と受光用のPDの設置間隔を異ならせることができる。
【0139】
本実施例の波長合分波器80では、同一または近似の形状で光の合波と分波が可能である。ゆえに、本実施例のように光学基板に1つの第1の偏向手段である回折格子と、2つの第2の偏向手段を設け、それぞれ第1の偏向手段と第2の偏向手段の間に2組のテーパミラーを設けることにより、同時送受信が可能となる。また、第1の偏向手段である回折格子の正の1次光と負の1次光がそれぞれ2つの第2の偏向手段に達するように各テーパミラーと第2の偏向手段が設置されているので、1つ目の第2の偏向手段を分波用、2つ目の第2の偏向手段を合波用とすることにより、同時送受信が可能な波長合分波器として使用することが可能となる。
【0140】
このように本実施例の波長合分波器80は、全反射を繰り返して光を導けるので光のロスが少いという利点がある。また、光学基板表面がそのまま全反射面になるので構造が簡易であるという利点がある。さらに、大きさも厚さ2mm、長さ14mm程度と非常に小型であるという利点もある。
【0141】
また、本実施例では、第2の偏向手段として非球面軸ずれレンズを用いているが、この偏向手段については、各々の光に応じた角度で光を偏向させれば良いから、たとえば各々の光に応じた角度で反射させるテーパミラー、回折格子あるいはホログラム素子などを使用しても良い。
【0142】
第7の実施の形態および実施例7
図9は本実施例に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。まず符号について説明すると、90は波長合分波器、91は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、92a〜92dは第2の偏向手段である非球面の軸ずれレンズ、93は光学基板、94a〜94iは反射手段としてのテーパミラーである。この波長合分波器90では、発光手段として波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。受光手段としては波長760nm〜820nmの光に感度があるシリコン(Si)フォトダイオード(PD)を使用している。図9は分波器として使用した場合である。回折格子(グレーティング)91の溝ピッチは1.6μmである。
【0143】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλ、溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のようになる。そこで、発光手段であるレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバからグレーティングへ波長合分波器90に垂直に入射をさせたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各LDからの各波長の光とグレーティングのなす角は、上記[表2]のようになる。また、光学基板93としては合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0144】
最初に、本実施例の分波機能について説明する。
上記[表2]に見られるように、本実施例では多重光の発光部から波長合分波器90に垂直に入射した光は、第1の偏向手段である回折格子91の各波長の1次光に相当する角度で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板93内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板93内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板93表面に上記テーパミラー94a〜94jを設けている。これらテーパミラーのテーパ角度は12度である。ただし、それぞれのテーパミラーの傾斜面の方向は、その分波機能を確保するとともに、反射面を小さく抑え、かつ加工深さが深くなるのを避けるために、それぞれ図示するように設定されている。たとえば、テーパミラー94aが図面右向きの下り勾配であるのに対し、テーパミラー94bは図面左向きの下り勾配となっている。
【0145】
そして、図9において、波長がそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4の光からなる多重光は回折格子91により、波長λ1の光と波長λ3の光からなる第1のグループと、波長λ2の光と波長λ4の光からなる第2のブループに分波される。ついで、波長λ1の光は、テーパミラー94a,94bを経た後、軸ずれレンズ92aを経て個別光となる。同様に、波長λ3の光は、テーパミラー94a,94c,94dおよび94eを経た後、軸ずれレンズ92bを経て個別光となる。波長λ2の光および波長λ4の光についても同様である。本実施例では、光学基板93表面での1回目の反射の時、テーパミラー94a,94fへの入射角は42度以上になるので、全ての入射光はすべてのテーパミラー表面で全反射するようになる。
【0146】
このように、2回目の反射の場合は光学基板93表面への入射角が浅くなり、波長合分波器の長さが長くなるので、傾斜がテーパミラー94aと逆方向で同角度のテーパミラー94b,94cを反射位置に形成している。同様に、傾斜がテーパミラー94fと逆方向で同角度のテーパミラー94g,94hを反射位置に形成している。他のテーパミラーについても同様である。図9に示すように、4本の光線を個別に受ける4個のテーパミラーを形成することで、個々のテーパミラーの反射面を小さく抑えるとともに、その加工深さが深くなるのを避けることができる。これにより、個々のテーパミラーの加工が容易となる。このように光は、複数回テーパミラーで反射された後、光学基板93に設置された第2の偏向手段である非球面軸ずれレンズに入射する。この第2の偏向手段により各個別光は基板上の個別光の入出射部から出射され、各波長の受光用のSi−PDで受光される。
【0147】
本実施例では、光学基板に第1の偏向手段である回折格子を1つと、2つの第2の偏向手段とを設け、各々第1の偏向手段と第2の偏向手段の間に2組のテーパミラーを設けている。また、第1の偏向手段である回折格子の正の1次光と、負の1次光がそれぞれ2つの第2の偏向手段に達するように、各テーパミラーと第2の偏向手段を設置している。
【0148】
本実施例では、異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、正負反対の符号の回折光が第2の偏向手段へ入射するようにしている。つまり、4つの波長760nm(λ1),780nm(λ2),800nm(λ3),820nm(λ4)のうち760nmと800nmの光は、第1の偏向手段である回折格子で回折された正の1次光のみが第2の偏向手段に達するように、テーパミラーが設置されている。また、780nmと820nmの光は第1の偏向手段である回折格子で回折された負の1次光のみが第2の偏向手段に達するように、テーパミラーが設置されている。つまり、760nm,800nmの光と、780nm,820nmの光は、図9に示すように、多重化光の入出射部に対して反対の位置に配置された個別光の入出射部に対応することになる。さらに本実施例では、760nm,780nmの光はテーパミラーで2回反射し、800nm,820nmの光はテーパミラーで4回反射するようにテーパミラーを配置している。
【0149】
これにより、本実施例では各波長の出射部の間隔は狭いところで5.5mm、広いところで9mmとなり、各波長の出射部の間隔を広くとることが可能となる。すなわち、λ1の光とλ3の光との間隔は5.5mm、λ2の光とλ4の光との間隔は6mm、λ1の光とλ2の光との間隔は9mmである。
【0150】
本実施例は光分波器に係るものであるが、本実施例における受光装置であるSi−PDの位置に、発光装置である各波長のLDを設置すれば、多重化光の入出射部から多重化光が取り出せる光合波器として用いることができる。
【0151】
第8の実施の形態および実施例8
図10は本実施例に係る4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。この波長合分波器100では発光手段として、波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。受光手段としては、波長760nm〜820nmの光に感度があるシリコン(Si)フォトダイオード(PD)を、第1の偏向手段101としては溝ピッチ1.6μmの回折格子(グレーティング)を、第2の偏向手段102としては、非球面の軸ずれレンズを、それぞれ使用している。
【0152】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλ、溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のとおりとなる。そこで、発光手段のレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバからグレーティングへ垂直入射をさせたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各波長のLDとグレーティングのなす角は上記[表2]のようになる。また、光学基板103としては合成石英製基板を使用しており、その厚さ2mm、長さは23mmである。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0153】
最初に、この波長合分波器100の分波機能について、図10を参照して説明する。
上記[表2]に見られるように、多重光の受光部から垂直に入射した光は、第1の偏向手段である回折格子101の各波長の1次光に相当する角度で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板103内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板103内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板103表面に、反射手段104として複数のテーパミラーを設けている。これらテーパミラー104のテーパ角度は12度である。
【0154】
これにより、光学基板103表面での1回目の反射の時、第1のテーパミラー104に対する入射角は42度以上になるので、全ての入射光はテーパミラー表面で全反射する。ただし、2回目以降の反射の場合は光学基板表面への入射では入射角が浅くなり、合分波器の長さが長くなるので、それぞれのテーパミラーの傾斜面の方向は、その分波機能を確保するとともに、反射面を小さく抑え、かつ加工深さが深くなるのを避けるために、それぞれ図示のように設定している。
【0155】
図10において、波長がそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4である光は、複数のテーパミラーにより複数回反射された後、光学基板103に設置された第2の偏向手段である非球面軸ずれレンズ102に入射する。この第2の偏向手段により各個別光は基板上の個別光の入出射部から出射され、各波長の受光用のSi−PDで受光される。
【0156】
ここで、出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では、回折格子101の溝ピッチは1.6μm、光学基板103の厚は2mmとしてある。また、受光素子の受光部の間隔が個別光の出射位置に合うようにしてある。このような配置にすると、各波長の光の回折格子による1次光は、所定の光路を進行することができる。0次光については1次光が進行する光路から外れるため受光部に投射されることはなく、光として検出されない。
【0157】
次ぎに、上記波長合分波器100の合波機能について、図10を参照して説明する。
この波長合分波器の合波機能については、分波機能を達成している合分波器と同等のレイアウトの光学系を使用している。各LDから出射した、波長がそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4である光は、対応する場所に設置された第2の偏向手段である軸ずれレンズ102により所定の角度だけ偏向して集光され、光学基板103中に案内される。案内された各波長の光は光学基板103内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板表面に形成されたテーパミラー104によって反射される。テーパミラーで反射された各波長の光は、さらに他のテーパミラーにより反射され、第1の偏向手段101が設置されている多重化光の入出射部に入射する。
【0158】
本実施例では、4波長の個別光は第1の偏向手段のおおよそ同一位置に異なる角度で入射する。この角度が第1の偏向手段の回折格子の各波長による1次光の偏向角になるように、個別光の入出射部および各テーパミラーを配置することにより、第1の偏向手段である回折格子101から出射する光をすべて同じ角度で出射させることができる。ここで、出射される多重化光の出射位置と発光素子の設置位置との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では、発光用のLDの設置間隔と受光用のPDの設置間隔を同等にしたため、受光用のテーパミラーと出射用のテーパミラーは同等のテーパ角度および配置になっているが、この受光用のテーパミラーと出射用のテーパミラーの角度と配置を適宜設定することで、発光用のLDの設置間隔と受光用のPDの設置間隔を異ならせることが可能である。
【0159】
このように、本実施例では同一の、または近似の形状で光の合波と分波が可能である。ゆえに、本実施例のように光学基板に、第1の偏向手段である回折格子を1つと、2つの第2の偏向手段とを設け、各々第1の偏向手段と第2の偏向手段の間に2組のテーパミラーを設けることにより、同時送受信が可能となる。また、第1の偏向手段である回折格子の正の1次光と負の1次光が各々2つの第2の偏向手段に達するように、各テーパミラーと第2の偏向手段が設置されているので、1つ目の第2の偏向手段を分波用、2つ目の第2の偏向手段を合波用とすることで、同時送受信が可能な波長合分波器として使用することができる。
【0160】
さらに本実施例において、反射手段104は第1の偏向手段と、第2の偏向手段の間に、少なくとも2つ配置されており、異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、第1の偏向手段から出射した光のうち、i=奇数の波長の光と、i=偶数の波長の光は、反射手段104で異なる回数反射された後に、第2の偏向手段へ入射するようにしている。つまり、4波長760nm,780nm,800nm,820nmのうち、760nm(λ1 ),800nm(λ3 )の光はテーパミラーで4回反射され、780nm(λ2 ),820nm(λ4 )の光はテーパミラーで2回反射されるように、テーパミラーと第2の偏向手段が設置されている。これにより、各波長の光受発光部の間隔は狭いところでも1.5mm以上とれるようになる。
【0161】
以上の実施例で使用する発光用の光源アレイ装置の一例を示すと、前出の図2に示すとおりである。また、本実施例で使用する受光用の受光素子アレイ装置の一例を示すと、前出の図3に示すとおりである。さらに、上記実施例6〜8で説明した、テーパミラーを用いる波長合分波器の作製方法は前出の図6に示すとおりである。
【0162】
以上の実施例では、発光素子、受光素子の間隔は最小で0.5mm程度にしているので、この間隔を調整することにより本実施例の全ての波長合分波器が使用できる。ただし、このようなLDやPDのベアチップを用いず、パッケージされたLDやPDを用いる場合には、その素子間隔は広く取らなければならない。そのような場合には、素子間隔を広くとることが可能な上記実施例7などが特に有効になる。
【0163】
第9の実施の形態および実施例9
図11に、実施例6に係るテーパミラー型の波長合分波器80を用いた多重波長合分波装置の構造を示す。この多重波長合分波装置110では、合波用の光源としてLDアレイ光源111、すなわち波長760nm,780nm,800nm,820nmの面発光半導体レーザー(VCSEL)を用いている。すなわち、このLDアレイ光源111では、4個のVCSEL(面発光LD)が整列配置されている。また、分波用の受光部として、4個の受光素子を同一基板上に配置して構成したPDアレイ112が配置されている。また、この多重波長合分波装置110では、上記波長合分波器80が、コリメートレンズ付きのカバーガラス113を所定位置に合わせて設置したパッケージ114上に設置されている。
【0164】
波長合分波器80は入射光の光軸が基板面に垂直なので、パッケージ114との位置合わせは、2軸の位置合わせだけですむ簡易な位置出しでよい。また、波長合分波器80から出射する多重光は基板面に垂直であるから、図11では示されていない光ファイバに多重光を入射させる場合も2軸の調整だけですみ、位置合わせが容易である。さらに、このようにして作製された多重波長合分波装置110は高さ5mm、長さ10mm程度の大きさにすることも可能であり、小型の多重波長合分波装置を提供することができる。
【0165】
【発明の効果】
以上説明したように、各請求項に係る発明によれば、それぞれ以下の効果が得られる。
(1)請求項1の発明によれば、光の損失が少なく、小型で、作製が容易で低価格の波長合分波器を提供することが可能となる。
(2)請求項2の発明によれば、簡易な構造で光の波長合波機能、波長分波機能を得ることが可能となる。
(3)請求項3の発明によれば、簡易な構造で光の波長合波機能、波長分波機能および、多重光の入出力光用のコリメート機能を得ることが可能となる。
(4)請求項4の発明によれば、簡易な構造で入出力光の光軸が基板面に対して垂直な波長合分波器を提供することが可能となる。
(5)請求項5の発明によれば、各波長の光を出射する光学素子または光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が可能になる。
【0166】
(6)請求項6の発明によれば、簡易な構成の波長合分波器の提供が可能となる。
(7)請求項7の発明によれば、簡易な構造で光の損失の少ない波長合分波器の提供が可能となる。
(8)請求項8の発明によれば、光の損失が少ない、小型の波長合分波器の提供が可能となる。
(9)請求項9〜13の発明によれば、簡易な作製方法での波長合分波器の提供が可能となる。
(10)請求項14〜17の発明によれば、小型で安い価格の多重波長合波装置を提供することが可能となる。
【0167】
(11)請求項18の発明によれば、光の損失が少なく、小型で、作製が容易で低価格が可能な波長合分波器を提供することが可能となる。また、同時双方向の送受信が可能な波長合分波器を提供することが可能となる。
(12)請求項19の発明によれば、簡易な構造で光の波長合波機能、波長分波機能を得ることが可能となる。
(13)請求項20の発明によれば、簡易な構造で光の波長合波機能、波長分波機能および、多重光の入出力光用のコリメート機能を得ることができる。
【0168】
(14)請求項21,22の発明によれば、簡易な構造で入出力光の個別光の光入出力部の距離が長い波長合分波器を提供することが可能となる。
(15)請求項23〜26の発明によれば、簡易な構成の波長合分波器の提供が可能となる。
(16)請求項27の発明によれば、簡易な作製方法での波長合分波器の提供が可能となる。
【0169】
(17)請求項28の発明によれば、小型で安い価格の多重波長合波装置を提供することが可能となる。
【0170】
(18)請求項29の発明によれば、小型で安い価格の波長多重光通信装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態および実施例1に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図2】図1の波長合分波器で使用する発光用の光源アレイ装置の概要を示す説明図であって、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図3】図1の波長合分波器で使用する受光用の受光素子アレイ装置の概要を示す説明図であって、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態および実施例2に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態および実施例3に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態および実施例4に係るもので、図5に示すテーパミラー型波長合分波器の作製方法を、工程順に示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態および実施例5に係るもので、図5に示すテーパミラー型波長合分波器を用いた多重波長合分波装置の構造を示す説明図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態および実施例6に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態および実施例7に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態および実施例8に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態および実施例9に係るもので、図8に示すテーパミラー型波長合分波器を用いた、4波長の多重波長合分波装置の構造を示す説明図である。
【図12】特許文献1に記載された一実施例に係る波長合分波器の構造を概略的に示す断面図である。
【図13】特許文献2に記載された一実施例に係る光回路部品(波長合分波器)の構造を、光ファイバとの接続状態で示す説明図である。
【符号の説明】
10:波長合分波器
11:第1の偏向手段(回折格子:グレーティング)
12:第2の偏向手段(グレーティング)
13:光学基板
20:光源アレイ装置
21:面発光LD素子(発光素子)
22:発光部
23:ボンディングパッド
30:受光素子アレイ装置
31:PD素子(受光素子)
32:受光部
33:ボンディングパッド
40:波長合分波器
41:回折格子(グレーティング)
42:グレーティング
43:光学基板
45,46:反射膜
50:波長合分波器
51:回折格子(グレーティング)
52:回折格子(グレーティング)
53:光学基板
55:第1のテーパミラー
56:第2のテーパミラー
60:波長合分波器
61:石英基板
62:フォトレジスト
63:フォトマスク
64:ホログラム素子
65:フォトマスク
66:テーパ面
70:多重波長合分波装置
71:パッケージ(光源部)
72:LDアレイ光源
73:VCSEL(面発光LD)
74:コリメートレンズ付きカバーグラス
80:波長合分波器
81:第1の偏向手段(回折格子:グレーティング)
82,83:第2の偏向手段(非球面の軸ずれレンズ)
84:光学基板
85〜88:反射手段(テーパミラー)
90:波長合分波器
91:第1の偏向手段(回折格子:グレーティング)
92a〜92d:第2の偏向手段(非球面の軸ずれレンズ)
93:光学基板
94a〜94j:反射手段(テーパミラー)
100:波長合分波器
101:第1の偏向手段(回折格子:グレーティング)
102:第2の偏向手段(非球面の軸ずれレンズ)
103:光学基板
104:反射手段(テーパミラー)
110:多重波長合分波装置
111:LDアレイ光源
112:PDアレイ
113:カバーガラス
114:パッケージ
200:波長合分波器
211〜215:光学基板
217:光ファイバ
218〜221:光学素子
222:第1のレンズ
223〜226:第2のレンズ
227〜229:波長選択フィルタ
230:ミラー
301:第1のフィルタ
302:第2のフィルタ
303:第1の受光面
304:第2の受光面
305:光回路部品
310a:入射側の光ファイバ
310b〜310e:光ファイバ
311a〜311e:コリメータレンズ
312:ガラスブロック
316〜219:位置
t:光学基板の板厚
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長多重通信システムに用いるのに好適な波長合分波器とその製造方法、多重波長合波装置、多重波長分波装置、多重波長合分波装置および、波長多重光通信装置に関し、特に、光の合波および分波の際、光量に、その損失による大きな変化をもたらすことのない波長合分波器に関する。
【0002】
【従来の技術】
波長多重通信システムでは、波長を相互に異にする光信号を合波することにより多重化し、あるいは合波により多重化された多重信号光をそれぞれの波長の光信号に分波するために、波長合分波器が用いられている。従来の波長合分波器は、光導波路と、所定の波長の信号光の透過を許す波長選択フィルタとを備える。この従来の波長合分波器によれば、光導波路に導かれた波長多重信号光は該光導波路の分岐部により、その分岐数に応じて分割され、それぞれに分岐された多重信号光から、各波長選択フィルタにより、該フィルタに対応した波長の信号光が選択的に取り出される。
【0003】
しかしながら、前記したような光導波路を利用した従来の波長合分波器では、光導波路に案内された前記多重光がその分岐部で分割されるとき、光導波路の分岐部での結合効率の関係から、各分割光の光量は、各分割光間で分割数に対応して分割される。そのため、前記各波長選択フィルタから取り出された各光信号の光量は、著しく低減する。例えば2つの波長が多重化された多重光からそれぞれの波長の光信号を得る場合、その光信号の光量は多重光のそれの半値になり、4つの波長が多重化された多重光の場合、これから得られる各波長の光信号の光量は、多重光のそれの四半分の値になる。このような光量の低減は、波長合分波器に接続される光学素子の感度の増大あるいは発光源の発光量の増大を必要とすることから、望ましくはない。
【0004】
また、光導波路を利用した前記波長合分波器では、複数の波長の光がその多重化のために、光導波路の各分岐部から単一の導波路部分に案内されるとき、前記した光導波路の結合効率の関係から、前記した分波におけると同様に、各波長の光の強度は、合波される光の数、すなわち、多重化を受ける光の数に応じて、低減される。
【0005】
そこで、特開2002−169054号公報(特許文献1)には、下記の提案がなされている。上記特許文献1に記載された一実施例を図12に示す。この図は波長合分波器の構造を概略的に示す断面図である。
【0006】
すなわち、図12に示す波長合分波器200は、異なる波長を有する複数の光を多重化し、あるいは多重化された多重光を各波長の光に分離するためのものである。この波長合分波器200は、それぞれが異なる波長の光を反射するための反射面を有し反射光を除く光の透過を許す複数の波長選択フィルタであって前記反射面が相互に間隔をおいて配置される複数の波長選択フィルタ227〜229と、該各波長選択フィルタの前記反射面に前記多重光を斜めに案内する第1のレンズ222および各前記フィルタの前記反射面で反射された各波長の光を集光させるべく前記第1のレンズ222と共同してそれぞれが前記多重光の各波長の光を結像させるための複数の第2のレンズ223〜226とを備えている。なお、図12に記載された符号について説明すると、211〜215は光学基板、217は光ファイバ、218〜221は光学素子、230はミラー、tは前記光学基板の板厚である。
【0007】
そして、この波長合分波器200では、相互に間隔をおいて配置される複数の波長選択フィルタと、前記第1および複数の第2のレンズの組み合わせとにより、光導波路を用いることなく合波および分波が可能になることから、光導波路の結合損失による光量の低減を招くことなく多重光から個々の波長の光を取り出すことができ、また個々の波長の光を多重化することが可能となる。
【0008】
しかし、ここで用いられる波長選択フィルタは、従来よく知られた誘電体多層膜で形成したものである。前記波長選択フィルタ群は、例えば所定の波長以下の光を反射し、それよりも長波の光の透過を許す、いわゆる低波長帯域阻止フィルタ特性を示すフィルタの組み合わせで構成したり、またはそれぞれが異なる所定の波長の光のみを反射し、他の波長光の透過を許す、いわゆる定波長帯域阻止フィルタ特性を示すフィルタの組み合わせで構成されている。
【0009】
一般的に誘電体多層膜フィルタは、複数種類の誘電体材料たとえば五酸化タンタルと二酸化珪素などを数十層〜二百層程度交互に成膜して作製する。ところが、上記特許文献1の発明において、たとえば4波長の波長合分波器を作製するためには、4種類の誘電体多層膜フィルタを作製しなくてはならない。このように上記特許文献1の発明により作製される波長合分波器は、高価な誘電体多層膜を複数枚使用しなくてはならず、作製費用が高価になる。
【0010】
また、この誘電体多層膜フィルタを形成した光学基板を4枚と、レンズ形成のための光学基板1枚との計5枚の光学基板を張り付け、接着しなければならない。そのため、接着面に汚れや気泡が発生せず、さらに、均一な接着厚さになるような光学基板の張り付けを複数回行わなければならず作製の費用が高くなる。
【0011】
また、上記特許文献1の発明による波長合分波器は、多重光の入出力光と各波長の個別光の入出力光が同位置方向を向くため、たとえば図12のような光ファイバと光学素子のレイアウトは可能であるものの、波長合分波器に対して光ファイバと光学素子が反対方向に設置するようなレイアウトは取れないという使用上の制限があり、装置の小型化には不向きである。
【0012】
一方、簡単な構造の光回路部品(波長合分波器)としては、特開平7−49430号公報(特許文献2)に開示されたものなどがある。この特許文献2に係る発明の一実施例を図13に示す。この図は前記光回路部品の構造を光ファイバとの接続状態で示す説明図である。前記発明は、回路が複雑化することなく、光を所望の波長の光に分波したり、所望の波長の光を合波したりすることができる光回路部品を提供するものである。
【0013】
すなわち、この光回路部品305では、頂角αのガラスブロック312に、第1のフィルタ301と第2のフィルタ302を張り付け、第1のフィルタ301の第1の受光面303と、第2のフィルタ302の第2の受光面304を対向させて、第1および第2の受光面303,304間で光が反射する構造とする。また、この光回路部品305の基部側には、入射側の光ファイバ310aをコリメータレンズ311aを介して設け、光ファイバ310aから光回路部品305に入射した光が第1、第2の受光面303,304間を進み、第1の受光面303に入射する各位置316,317,318,319に対応する第1のフィルタ301の背面306側に、コリメータレンズ311b,311c,311d,311eを介して出射側の各光ファイバ310b,310c,310d,310eを配設する。
【0014】
そして、この光回路部品305においては、誘電体多層膜は1枚用いるだけで良く、また光学基板の張り合わせのような工程も必要なく、簡易な構造の波長合分波器を提供することができる。
【0015】
しかし、上記特許文献2に係る発明が提供する波長合分波器は、波長多重光の光入出力部の光軸、個別波長光の光入出力部の光軸のいずれもガラスブロックの表面に対して垂直ではなく、更に各個別波長光の光入出力部の光軸とガラスブロックの表面のなす角度が全て異なっている。
【0016】
そのため、波長合分波器と各光ファイバとの位置調整は工程が複雑になる。
まして、個別波長光の入出力側に光ファイバではなく光学素子を設置する場合は、各光学素子の光軸と、波長合分波器の光軸を会わせるため複雑な取り付け構造を必要とする。さらに、上記特許文献2の発明が提供する波長合分波器を作製する場合、表裏2面が所定の角度をなしており平行ではないので、大面積の基板の誘電体多層膜および反射膜を形成してから、個別の素子に切り出すことは不可能であり、あらかじめ成形されているガラスブロック1つ1つの表面に誘電体多層膜および反射膜を作製しなければならない。
【0017】
このように、特許文献2の発明が提供する波長合分波器は光学素子の取り付けに複雑な構造が必要で、大量生産に向いた工程がないという問題があり、波長合分波器や、この波長合分波器を使用した装置の価格が高くなるという問題がある。
【0018】
また、特許文献1の発明に係る波長合分波器、特許文献2の発明に係る光回路部品のいずれも、光ファイバに対する入力光と出力光を分離することができないため、波長多重光の同一波長光に関する入出力を同時に行うことができない。そのため、双方向通信用の同一波長の同時合分波には使用できないという制約がある。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−169054号公報
【特許文献2】
特開平7−49430号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の第1の目的は、合波および分波の際、従来の波長合分波器におけるような大きな光量変化をもたらすことのない、小型で、低価格の波長合分波器(特に、同時双方向伝送が可能なもの)を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記波長合分波器の製造方法を提供することであり、第3の目的は、それぞれ上記波長合分波器を用いた多重波長合波装置、多重波長分波装置、多重波長合分波装置および、波長多重光通信装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以上の目的を達成するために、請求項1においては、
異なる波長を有する複数の光を多重化し、及び/又は多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長合分波器において、
前記波長合分波器は、光の透過を許す光学基板からなっており、
前記波長合分波器の一方の面に1列に並んで形成されている前記各波長の光の入出力部(入出射部、以下同じ)と、
前記波長合分波器の前記各波長の光の入出力部と同一の面または、前記各波長の光の入出力部と正対する他方の面に形成されている前記多重化光の入出力部と、 前記多重化光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記多重化光の光路上に相当する部分に設置されている、入射する光の波長により異なる偏向角度で光を偏向する第1の偏向手段と、
前記光学基板に設けられ、該光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段と、
前記各波長の光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記各波長の光の光路上に相当する部分に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段とを備え、
前記各波長の光の入出力部の光軸は、光学基板の表面に垂直であり、
前記多重化光の入出力部の光軸は、光学基板の表面に垂直であることを特徴とする波長合分波器
を提供するものである。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第1の偏向手段が、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であることを特徴とする。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第1の偏向手段が、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であることを特徴とする。
【0024】
請求項4の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第2の偏向手段が、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であることを特徴とする。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第2の偏向手段が、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であることを特徴とする。
【0026】
請求項6の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記第2の偏向手段が、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする。
【0027】
請求項7の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記反射手段が、前記光学基板表面に形成された金属反射膜または、誘電体多層膜面であることを特徴とする。
【0028】
請求項8の発明は、請求項1記載の波長合分波器において、前記反射手段が、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする。
【0029】
請求項9の発明は、請求項2または4記載の波長合分波器において、前記回折格子が、前記光学基板に切削加工を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0030】
請求項10の発明は、請求項2,3,4または5記載の波長合分波器において、前記ホログラム素子が、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0031】
請求項11の発明は、請求項6または8記載の波長合分波器において、前記テーパ面が、前記光学基板に切削加工を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0032】
請求項12の発明は、請求項6または8記載の波長合分波器において、前記テーパ面が、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されたものであることを特徴とする。
【0033】
請求項13の発明は、光学基板の同一面上にホログラム素子とテーパ面が形成された、請求項6または8記載の波長合分波器の製造方法であって、前記光学基板上の所定位置にエッチング加工を施すことによりホログラム素子を形成し、前記ホログラム素子を保護部材で被覆保護した後、前記光学基板の所定位置にエッチング加工を施すことによりテーパ面を形成することを特徴とする波長合分波器の製造方法である。
【0034】
請求項14の発明は、波長の異なる複数の光源が所定の距離を置いて1列に配置されている光源アレイ装置と、請求項1記載の波長合分波器とを、前記各波長の光源と前記各波長の光の入出力部の位置が互いに対応するように組み合わせたことを特徴とする多重波長合波装置である。
【0035】
請求項15の発明は、請求項14記載の多重波長合波装置において、前記光源がレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする。
【0036】
請求項16の発明は、複数の受光素子が所定の距離を置いて一列に配置されている受光素子アレイ装置と、請求項1記載の波長合分波器とを、前記各受光素子の受光部と前記各波長の光の入出力部の位置が互いに対応するように組み合わせたことを特徴とする多重波長分波装置である。
【0037】
請求項17の発明は、請求項16記載の多重波長分波装置において、前記受光素子がフォトダイオード(PD)であることを特徴とする。
【0038】
請求項18に係る発明は、異なる波長を有する複数の光を多重化し、及び/又は多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長合分波器において、
前記波長合分波器は、光の透過を許す光学基板からなっており、
前記各波長の光の入出力部が、前記波長合分波器の一方の面に1列に並んで形成されており、
前記多重化光の入出力部が、前記波長合分波器の前記各波長の光の入出力部と正対する他方の面に形成されており、
入射する光の波長により異なる2つ以上の偏向角度で入射する光を偏向する第1の偏向手段が前記多重化光の入出力部または、入出力部の近傍に設置されており、
前記光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段が、前記光学基板に設けられており、
光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段が、前記各波長の光の入出力部または、入出力部の近傍に設置されており、
前記第1の偏向手段で分岐した光のうちの少なくとも2方向に出射した光は、前記反射手段により反射された後に、各々異なる位置にある前記第2の偏向手段に達することを特徴とする波長合分波器である。
【0039】
請求項19に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記第1の偏向手段が、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であり、前記分岐された光は、前記偏向手段の正負1次の回折光を用いることを特徴とする。
【0040】
請求項20に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記第1の偏向手段が、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であり、前記分岐された光は、前記偏向手段の正負1次の回折光を用いることを特徴とする。
【0041】
請求項21に係る発明は、請求項18,19または20記載の波長合分波器において、前記異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、前記第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、正負反対の符号の回折光が前記第2の偏向手段へ入射することを特徴とする。
【0042】
請求項22に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記反射手段は前記第1の偏向手段と、前記第2の偏向手段の間に、少なくとも2つ配置されており、前記異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、前記第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、前記反射手段で異なる回数反射された後に、第2の偏向手段へ入射することを特徴とする。
【0043】
請求項23に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記第2の偏向手段は、入射光軸と出射光軸の角度が異なる軸ずれ型レンズであることを特徴とする。
【0044】
請求項24に係る発明は、請求項23記載の波長合分波器において、前記軸ずれ型レンズが非球面型レンズであることを特徴とする。
【0045】
請求項25に係る発明は、請求項23記載の波長合分波器において、前記軸ずれ型レンズがホログラム素子であることを特徴とする。
【0046】
請求項26に係る発明は、請求項18記載の波長合分波器において、前記反射手段が、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする。
【0047】
請求項27に係る発明は、請求項26記載の波長合分波器において、前記テーパ面が、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されることを特徴とする。
【0048】
請求項28に係る発明は、多重波長合分波装置において、波長の異なる複数の光源と、複数の受光装置と、請求項18記載の波長合分波器とを備えていることを特徴とする。
【0049】
請求項29に係る発明は、波長多重光通信装置において、請求項28記載の多重波長波合分波装置を用いることを特徴とする。
【0050】
つぎに、本発明の作用を、請求項毎に説明する。
請求項1に係る発明では、波長合分波器を、多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長分波器として用いる場合、多重化光の入出力部から光学基板表面に対し垂直に入射した多重化光は、多重化光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記多重化光の光路上に相当する部分に設置されている、入射する光の波長により異なる偏向角度で光を偏向する第1の偏向手段により、多重化光を構成している各個別の波長に分解され、各波長に応じた角度に偏向され、光の透過を許す光学基板の中を直進し、光学基板に設けられ光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段により反射され、更に直進し、更に他の反射手段により反射されることを繰り返し、光学基板内をジグザグに進行する。
【0051】
そして各波長の光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で各波長の光の光路上に相当する部分に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段により更に光路が偏向され、1列に並んで形成されている各波長の光の入出力部より光学基板表面に対し垂直に出射する。
【0052】
また波長合分波器を、異なる波長を有する複数の光を多重化する波長合波器として用いる場合、前記波長波器として用いる場合とは逆に、1列に並んで形成されている各波長の光の入出力部から光学基板表面に対し垂直に入射した各波長の光は、各波長の光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記各波長の光の光路上に相当する部分に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段により各波長に応じた角度に偏向され、光の透過を許す光学基板の中を直進し、光学基板に設けられ光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段により反射され、更に直進し、更に他の反射手段により反射されることを繰り返して光学基板内をジグザグに進行する。
【0053】
そして、多重化光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で多重化光の光路上に相当する部分に設置されている、入射する光の波長により異なる偏向角度で光を偏向する第1の偏向手段により更に光路が偏向され、多重化光の入出力部から光学基板表面に対し垂直に出射する。その際、各波長の光は同一光軸上を進行するように光路を偏向されるので、各波長の光は多重化光へ合波されることになる。
【0054】
したがって、分波時に、取り出された各波長毎の光の光量が、従来技術とは違って、分割される光の数の逆数に応じて低減されることがないことから、各波長の光を、その光量に従来のような大きな低減を招くことなく取り出すことが可能となる。また、合波時においても、多重化された光の光量が、従来技術とは異なり光導波路での結合損失により損なわれることはない。
【0055】
また、多重化光の分波に、各波長に対応した複数枚の誘電体多層膜を使うことがないので作製費用を低くすることが可能である。また、波長合分波器を構成する光学基板として厚さが均一な基板を使用できるので、大面積の基板を用いて多数の波長合分波器が整列配置した波長合分波器アレイ基板を作製し、その波長合分波器アレイ基板を個別の波長合分波器に切り出すという大量生産に適した作製方法がとれるので、作製費用を低くすることが可能となる。
【0056】
請求項2に係る発明の作用に関して説明すると、第1の偏向手段として回折格子またはホログラム素子を用いることにより、偏向手段は光の波長により定まった角度だけ光を偏向できるので、あらかじめ偏向後に各波長の光が各波長の光の入出力部へ導かれる様に光路を設定することにより、波長合分波器の波長分波機能を提供することが可能となる。
また、各波長の光の入出力部へ入射した各波長の光が偏向手段へ入射する際の角度を、偏向手段で偏向される角度が同じになるように、あらかじめ設定することにより、波長合分波器の波長合波機能を提供することが可能となる。また、前記偏向手段は、回折格子またはホログラム素子を用いることで得られる。
【0057】
請求項3の発明の作用に関しては、第1の偏向手段として偏向機能および集光機能を有するホログラム光学素子を用いることにより、多重化光を出射する光学素子または光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が図れる。
【0058】
請求項4の発明の作用に関しては、第2の偏向手段として回折格子またはホログラム素子を用いることにより、偏向手段は任意の角度だけ光を偏向できるので、偏向後に各波長の光が各波長の光の入出力部から垂直に出射するように偏向角度を、あらかじめ設定することにより、入射光および出射光の光軸を光学基板に対して垂直にすることが可能となる。
【0059】
請求項5の発明の作用に関しては、第2の偏向手段として、偏向機能および集光機能を有するホログラム光学素子を用いることにより、各波長の光を出射する光学素子または光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が図れる。
【0060】
請求項6の発明の作用に関しては、第2の偏向手段として、光学基板表面に形成されたテーパ面を用いることにより、第2の偏向手段を簡易に形成することが可能となる。
【0061】
請求項7の発明の作用に関しては、反射手段を、光学基板表面に形成された金属反射膜または誘電体多層膜面にすることにより、光学基板表面に全反射角より深い角度で入射した光も、高い反射率で反射させることが可能となる。
【0062】
請求項8の発明の作用に関しては、反射手段を、光学基板表面に形成されたテーパ面にすることにより、反射部に入射した光の入射角をテーパの角度で変更することが可能となる。
【0063】
請求項9の発明の作用に関しては、回折格子を切削加工で作製することにより偏向手段を容易に形成することが可能となる。
【0064】
請求項10の発明の作用に関しては、光学基板にエッチング加工を施すことでホログラム素子を作製することにより、高精度な偏向手段を容易に形成することが可能となる。
【0065】
請求項11の発明の作用に関しては、テーパ面を切削加工で作製することにより、反射手段を容易に形成することが可能となる。
【0066】
請求項12の発明の作用に関しては、光学基板にエッチング加工を施すことでテーパ面を形成することにより、反射手段を容易に形成することができる。
【0067】
請求項13の発明の作用に関しては、光学基板の同一面上にホログラム素子とテーパ面とを形成する場合、まず光学基板上の所定位置にエッチング加工によりホログラム素子を形成し、その後ホログラム素子を保護部材で被覆保護し、その後光学基板の所定位置にエッチング加工を施してテーパ面を形成することにより、最初に加工したホログラム素子を損傷することなく、加工深さが大きく異なるホログラム素子とテーパ面とを作製することが可能となる。
【0068】
請求項14の発明の作用に関しては、波長合分波器として請求項1記載の波長合分波器を用いることにより、小型で価格の安い多重波長合波装置を提供することが可能となる。また、受発光部の光軸が光学基板面に対して垂直なので、光源アレイ装置と波長合分波器の位置合わせが容易であり、多重波長合波装置を安い価格で提供することが可能となる。
【0069】
請求項15の発明の作用に関しては、光源としてレーザーダイオード(LD)を用いることで、小型の多重波長合波装置を提供することが可能となる。
【0070】
請求項16の発明の作用に関しては、波長合分波器として請求項1記載の波長合分波器を用いることにより、小型で価格の安い多重波長分波装置を提供することが可能となる。また、受発光部の光軸が光学基板面に対して垂直なので、受光素子アレイと波長合分波器の位置合わせが容易であり、多重波長分波装置を安い価格で提供することが可能となる。
【0071】
請求項17の発明の作用に関しては、受光素子としてフォトダイオード(PD)を用いることで、小型の多重波長分波装置を提供することが可能となる。
【0072】
請求項18に係る発明では、波長合分波器を、多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長分波器として用いる場合、多重化光の入出力部から光学基板表面に入射した多重化光は、多重化光の入出力部またはその近傍に設置されている、入射する光の波長により異なる2つ以上の偏向角度で入射する光を偏向する第1の偏向手段により、多重化光を構成している各個別の波長に分解され、各波長に応じた角度に偏向され、光の透過を許す光学基板の中を直進し、光学基板に設けられ、光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段により反射され、更に直進し、更に他の反射手段により反射されることを繰り返して光学基板内をジグザグに進行する。
【0073】
そして、各波長の光の入出力部またはその近傍に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段により更に光路が偏向され、光学基板表面に1列に並んで形成されている各波長の光の入出力部より出射する。
【0074】
また、波長合分波器を、異なる波長を有する複数の光を多重化する波長合波器として用いる場合、前記波長波器として用いる場合とは逆に、1列に並んで形成されている各波長の光の入出力部から光学基板表面に対し垂直に入射した各波長の光は、各波長の光の入出力部またはその近傍に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段により任意の角度に偏向され、光の透過を許す光学基板の中を直進し、光学基板に設けられ、光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段により反射され、更に直進し、更に他の反射手段により反射されることを繰り返して光学基板内をジグザグに進行する。
【0075】
そして、多重化光の入出力部またはその近傍に設置されている、入射する光の波長により異なる2つ以上の偏向角度で入射する光を偏向する第1の偏向手段により更に光路が偏向され、光学基板表面の多重化光の入出力部から出射する。その際、各波長の光は同一光軸上を進行するように光路を偏向することができるので、各波長の光は多重化光へ合波されることになる。
【0076】
したがって、分波時に、取り出された各波長毎の光の光量が、従来技術とは違って、分割される光の数の逆数に応じて低減されることがないことから、各波長の光をその光量に従来のような大きな低減を招くことなく、取り出すことが可能となる。また、合波時においても、多重化された光の光量が、従来技術とは異なり光導波路での結合損失により損なわれることはない。
【0077】
また、第1の偏向手段は任意の波長に対して2つ以上の偏向角度で光を偏向することができるので、任意の波長の光に対して、所定の偏向角で偏向された光路を入射用、所定の第2の偏向角で偏向された光路を出射用に用いることにより、多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能と、第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を同時に提供することが可能となる。
【0078】
さらに、第1の偏向手段は任意の波長に対して2つ以上の偏向角度で光を偏向することができるので、任意の波長の光に対して、所定の偏向角で偏向された光路を第1の入射または出射用、所定の第2の偏向角で偏向された光路を第2の入射または出射用に用いることにより、多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部と第2の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能や、第1および第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を提供することが可能となる。さらに、多重化光の分波に、各波長に対応した複数枚の誘電体多層膜を使うことがないので、作製費用を低くすることが可能である。
【0079】
さらに、波長合分波器を構成する光学基板として、厚さが均一な基板を使用できるため、大面積の基板を用いて多数の波長合分波器が整列配置した波長合分波器アレイ基板を作製し、その波長合分波器アレイ基板を個別の波長合分波器に切り出すという大量生産に適した作製方法がとれるので、作製費用を低くすることが可能となる。
【0080】
請求項19に係る発明の作用について説明すると、第1の偏向手段として回折格子またはホログラム素子を用いることで、偏向手段が光の波長により定まった角度だけ光を偏向できる。このため、偏向後に各波長の光が各波長の光の入出力部へ導かれるように、あらかじめ光路を設定することにより、波長合分波器の波長分波機能を提供することが可能となる。
【0081】
また、各波長の光の入出力部へ入射した各波長の光が偏向手段へ入射する際の角度を、偏向手段で偏向される角度が同じになるように、あらかじめ設定することにより、波長合分波器の波長合波機能を提供することが可能となる。
【0082】
また、偏向手段で偏向された光として回折格子またはホログラム素子の正負1次光を用いることで、任意の光に対して正の1次光と負の1次光の2つの異なる偏向角度で偏向された光を得ることができ、
(1)請求項18における、多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能と、第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を同時に提供することや、
(2)多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部と第2の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能を提供することや、
(3)第1および第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を提供することが容易となる。
【0083】
請求項20の発明の作用に関しては、第1の偏向手段として偏向機能および集光機能を有するホログラム光学素子を用いることにより、多重化光を出射する光学素子または、光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が図れる。
【0084】
また、偏向手段で偏向された光として回折格子またはホログラム素子の正負1次光を用いることで、任意の光に対して正の1次光と負の1次光の2つの異なる偏向角度で偏向された光を得ることができ、
(1)請求項18における、多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能と、第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を同時に提供することや、
(2)多重化光の入出力部へ入射した多重化光を分波し、第1の各波長の入出力部と第2の各波長の入出力部から各波長の個別光として出射させる分波機能を提供することや、
(3)第1および第2の各波長の入出力部から入射した各波長の個別光を合波し、多重化光の入出力部から多重化光として出射させる合波機能を提供することが容易となる。
【0085】
請求項21の発明の作用に関しては、複数の個別光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、前記第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、正負反対の符号の回折光が前記第2の偏向手段へ入射することにより、i=奇数の波長の個別光の入出力部と、i=偶数の波長の個別光の入出力部を分けることができ、多重化光の入出力部を、i=奇数の波長の個別光の入出力部とi=偶数の波長の個別光の入出力部の間に設置することが可能になる。
【0086】
請求項22の発明の作用に関しては、反射手段が第1の偏向手段と、第2の偏向手段の間に、2つ以上配置されており、異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λi+1))とした場合、第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、反射手段で異なる回数反射されたのちに第2の偏向手段へ入射することにより、反射手段での反射回数の少ないグループの個別光の入出力部に対して、反射手段での反射回数の多いグループの個別光の入出力部を、多重化光の入出力部から遠い位置に配置することが可能になる。
【0087】
請求項23の発明の作用に関しては、第2の偏向手段として、入射光軸と出射光軸の角度が異なる軸ずれ型レンズを用いることにより、各波長の光を出射する光学素子または、光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が図れる。
【0088】
請求項24の発明の作用に関しては、軸ずれ型レンズを非球面型レンズで作製することにより、第2の偏向手段を簡易に形成することが可能となる。
【0089】
請求項25の発明の作用に関しては、軸ずれ型レンズをホログラム素子で作製することにより、第2の偏向手段を簡易に形成することが可能となる。
【0090】
請求項26の発明の作用に関しては、反射手段を光学基板表面に形成されたテーパ面にすることにより、反射部に入射した光の入射角をテーパの角度で変更することが可能となる。
【0091】
請求項27の発明の作用に関しては、テーパ面を光学基板に、エッチング加工で作製することにより、反射手段を容易に形成することが可能となる。
【0092】
請求項28の発明の作用に関しては、波長合分波器として請求項18記載の波長合分波器を用いることにより、小型で構成の簡易な多重波長合波装置を提供することが可能となる。また、同時双方向の波長多重を可能とする、小型で構成の簡易な多重波長合波装置を提供することが可能となる。
【0093】
請求項29の発明の作用に関しては、多重波長合波装置として請求項28記載の多重波長合波装置を用いることにより、小型で低価格の波長多重光通信装置を提供することが可能となる。また、同時双方向の波長多重を可能とする、小型で低価格の波長多重光通信装置を提供することが可能となる。
【0094】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態および実施例を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施の形態および実施例では技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施の形態および実施例に限定されるものではない。
【0095】
第1の実施の形態および実施例1
図1は、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。まず符号について説明すると、10は波長合分波器、11は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、12は第2の偏向手段としてのグレーティング、13は光学基板である。この波長合分波器10では、発光手段として波長1270nm,1290nm,1310nm,1330nmの半導体レーザー(LD)を使用している。回折格子11、グレーティング12の溝ピッチは、いずれも1.6μmである。
【0096】
グレーティングについては、(光の)入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλとし、グレーティングの溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、下記[数1]のようになる。
【0097】
【数1】
sinθ−sin(θ0)=mλ/d
【0098】
したがって、発光手段としてのレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバ(図略)からグレーティング(回折格子)11に、光を垂直に入射させたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各LDからの光の波長と、上記出射角θとの関係は下記[表1]のようになる。
【0099】
【表1】
【0100】
本実施例では、光学基板13として厚さ2mm、長さ16mmの合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板13面への入射角が42度以上であれば完全に全反射となる。上記[表1]で明らかなように、本実施例では、受光部を介して光学基板13に垂直に入射した多重光は、グレーティング11で偏向され、すべて全反射以上の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板13内を進行する光は、全反射を繰り返しながらジグザグに進行し、グレーティング12で再度偏向されて個別光となる。
【0101】
本実施例で使用する発光用の光源アレイ装置の概要を図2に示す。図2(a)はこの光源アレイ装置20の平面図、図2(b)はその側面図である。面発光LD素子(発光素子)21としては、300μm角の面発光LD(VCSEL)のベアチップを用いている。また、この光源アレイ装置20では、波長が異なる4種類の素子の位置微調整を行うスペースを考慮して、これらの素子を0.5mm(または、それ以上)の間隔で整列させて実装している。符号22は発光部である。各発光素子21上にあるボンディングパッド23は、図2(b)には示されていないが、発光素子の近傍に配置されている発光素子駆動用のドライバICの所定のパッドとの間を、ワイヤーボンディングで配線している。
【0102】
本実施例で使用する受光用の受光素子アレイ装置の概要を図3に示す。図3(a)はこの受光素子アレイ装置30の平面図、図3(b)はその側面図である。符号31はPD素子(受光素子)、符号32は受光部、符号33はボンディングパッドである。受光素子31としては300μm角のフォトダイオード(PD)を用いている。4個の受光素子31を、これらの位置の微調整を行うスペースを考慮して、0.5mm(または、それ以上)の間隔で整列させ実装している。各受光素子31上にあるボンディングパッド33は、図3(b)には示されていないが、受光素子の近傍に配置されている受光素子用のアンプICの所定のパッドとの間を、ワイヤーボンディングで配線している。また、4個の受光素子は同種類のもので構わないため、図3(a)のように、4個の受光部32が同一基板上に配置されているPDアレイ素子を用いることも可能である。
【0103】
このように、本実施例では発光部間隔0.5mm、受光部間隔0.5mmのアレイ装置用に設計されているので、図1に示すように4回の反射を繰り返した後、5回目に光学基板13の端面に達した時、各光間の距離が発光部間隔、受光部間隔と同等か、または、これより広く取れるようになる。光が5回目に光学基板端面に達する部分付近には、上記第2の偏向手段として1.6μmピッチのグレーティング12が設置されている。この偏向手段により各個別光は光学基板13に垂直に出射される。
【0104】
上記出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では偏向手段のグレーティングピッチは1.6μm、光学基板厚は2mmとしてあるので、受光素子の受光部の間隔を個別光の出射位置に合わせるようにしたが、これについてはグレーティングピッチを調整する、あるいは基板の厚さを変えるという手段で行うことも可能である。また、このような配置にすると、各波長の光のグレーティングによる1次光は所定の光路を進行することができる。0次光については1次光が進行する光路から外れるため、受光部に投射されることはなく光として検出されない。
【0105】
このように、本実施例に係る波長合分波器では、全反射を繰り返して光を導けるので、光のロスが少なく、光量の低減を防止することができるという利点がある。また、光学基板表面がそのまま全反射面になるので構造が簡易であるという利点もある。さらに、波長合分波器の寸法も厚さ2mm、長さ16mm程度と小型であるという利点がある。
【0106】
第2の実施の形態および実施例2
図4は、本実施例に係る4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。まず符号について説明すると、40は波長合分波器、41は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、42は第2の偏向手段としてのグレーティング、43は光学基板、45,46は反射膜である。この波長合分波器40では、発光手段として波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。回折格子(グレーティング)41、グレーティング42では、ともに溝ピッチ1.6μmのグレーティングを使用している。
【0107】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλとし、グレーティングの溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のようになる。したがって、発光手段としてのレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバ(図略)からグレーティング(回折格子)41に、光を垂直に入射をさせたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各LDからの光の波長と、上記出射角θとの関係は下記[表2]のようになる。
【0108】
【表2】
【0109】
本実施例では、光学基板43として厚さ2mm、長さ17mmの合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0110】
上記[表2]に見られるように、本実施例では、多重光の受光部を介して波長合分波器40に垂直に入射した光は、グレーティング41で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板43内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板43表面での反射の反射率を上げるため、光の反射部にAl+MgF2 からなる反射膜45,46を設けている。なお、反射膜として他のAu、Agなどの金属からなるものを用いても良く、また誘電体多層膜を用いても良い。
【0111】
本実施例では発光部間隔0.5mm以上、受光部間隔0.5mm以上のアレイ装置用に設計されているので、図4に示すように、各光は12回の反射後、13回目に光学基板43端面に達した時、各光間の距離を発光部間隔、受光部間隔と同等か、または、これよりもより広く取ることができる。
【0112】
本実施例では、光が13回目に光学基板端面に達する部分付近に、第2の偏向手段として溝ピッチ1.6μmのグレーティング42が設置されている。この偏向手段により各個別光は基板43に垂直に出射される。ここで、出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。
【0113】
本実施例では、偏向手段のグレーティングピッチを1.6μm、光学基板43の厚さを2mmとし、受光素子の受光部の間隔を、個別光の出射位置に合わせるようにしてある。このような配置にすると、各波長の光のグレーティングによる1次光は所定の光路を進行することができる。0次光については、1次光の進行する光路から外れるため受光部に投射されることはなく、光として検出されない。
【0114】
このように、本実施例では全反射を繰り返して光を導けるので、光のロスが少いという利点がある。また、光学基板表面がそのまま全反射面になるので、構造が簡易であるという利点もある。さらに、大きさも厚さ2mm、長さ17mm程度と小型であるという利点がある。
【0115】
第3の実施の形態および実施例3
図5は、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。まず符号について説明すると、50は波長合分波器、51は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、52は第2の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、53は光学基板、55は第1のテーパミラー、56は第2のテーパミラーである。この波長合分波器50では、発光手段として波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。回折格子(グレーティング)51,52の溝ピッチは、いずれも1.6μmである。
【0116】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλとし、グレーティングの溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のようになる。したがって、発光手段としてのレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバ(図略)からグレーティング(回折格子)51に、光を垂直に入射をさせたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各LDからの光の波長と、上記出射角θとの関係は上記[表2]のようになる。
【0117】
本実施例では、光学基板53として厚さ2mm、長さ8mmの合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0118】
上記[表2]に示すように、本実施例では多重光の受光部から波長合分波器50に垂直に入射した光は、グレーティング51で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板53内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板53内を進行している光が反射部で全反射するように、光学基板53表面に上記テーパミラー55,56を設けている。
【0119】
上記テーパミラー55,56ではテーパ角度を12度としている。これにより光学基板53表面での1回目の反射の時、テーパミラー55に対する入射角は42度以上になるので、全ての入射光はテーパミラー55表面で全反射するようになる。さらに、2回目の反射の場合は、光学基板53表面への入射では入射角が浅くなり、合分波器50の長さが長くなるので、傾斜面の傾きが第1のテーパミラー55と逆方向で同角度である、第2のテーパミラー56を反射位置に形成している。しかし、第1のテーパミラー55と同様に、第2のテーパミラー56の傾斜面を1つにして全光線を反射させようとすると、その反射面の面積が大きくなり、それにともない加工深さも深くなる。そこで、この第2のテーパミラー56では、図示のように4本の光線を個別に受ける4個のテーパミラーを形成している。これにより、第2のテーパミラーの加工深さも小さくでき、加工が容易となる。
【0120】
本実施例の波長合分波器50では、発光部間隔0.5mm以上、受光部間隔0.5mm以上のアレイ装置用に設計されているので、図5のように2回の反射後、3回目に光学基板53端面に達した時、各光間の距離は発光部間隔および受光部間隔と同等になるか、または、これよりも広くなる。
【0121】
本実施例では、光が3回目に光学基板53端面に達する部分付近に、第2の偏向手段として1.6μmピッチのグレーティング52が設置されている。この偏向手段により各個別光は基板に垂直に出射される。ここで、出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では偏向手段のグレーティングピッチを1.6μm、光学基板厚を2mmとしてあるから、受光素子の受光部の間隔を、個別光の出射位置に合わせることができる。このような配置にすると、各波長の光のグレーティングによる1次光は所定の光路を進行することができる。0次光については、1次光の進行する光路から外れるため受光部に投射されることはなく、光として検出されない。
【0122】
このように本実施例では、全反射を繰り返して光を導けるので、光のロスが少いという利点がある。また、光学基板表面がそのまま全反射面になるので構造が簡易であるという利点がある。さらに、大きさも厚さ2mm、長さ8mm程度と非常に小型であるという利点もある。
【0123】
以上の実施例1〜3では、第2の偏向手段として回折格子やホログラム素子の回折現象を用いているが、この偏向手段については、各々の波長の光に応じた角度で光を偏向させれば良いから、たとえば各々の波長の光に応じた角度で反射させるテーパミラーなどを使用することもできる。
【0124】
第4の実施の形態および実施例4
本実施例は、上記実施例3に示すようなテーパミラー型の波長合分波器の作製方法に係るもので、図6は、その作製工程を示す断面図である。本実施例では、光学基板として厚さ1mmの石英基板61を用いる。
(1)図6(a):第1の工程では、石英基板61の表面にフォトレジスト62を塗布する
(2)図6(b):第2の工程では、写真製版工程(フォトマスク63を使用)によりフォトレジスト62に、ホログラム素子64用のマスクパターンを形成する。
(3)図6(c):第3の工程では、エッチング加工により石英基板61上にホログラム素子64を形成する。ホログラム素子形成後に残ったフォトレジストは、洗浄して除去する。
(4)図6(d):第4の工程では、表面にホログラム素子64が形成されている石英基板61の表面にフォトレジスト62を再度塗布する。
(5)図6(e):第5の工程では、写真製版工程(フォトマスク65を使用)によりフォトレジスト62にテーパ面形成用のマスクパターンを形成する。
(6)図6(f):第6の工程では、エッチング加工により石英基板61上にテーパ面66を形成する。テーパ面形成後に残ったフォトレジストは洗浄して除去する。
このようにして、表面にホログラム素子64とテーパ面66が形成されている石英基板が作製される。
(7)図6(g):第7の工程では、同様にして表面にホログラム素子とテーパ面が形成されている第2の石英基板61を作製し、2枚の石英基板61,61を、これらの加工面が表面になるようにして、所定の位置に合わせて張り付け、その後所定の位置で切断し、多波長合分波器60を複数作製する。
【0125】
以上のように、本実施例によれば、複数の波長合分波器を簡易に、かつ大量に作製することが可能である。また、本実施例ではホログラム素子作製のために、写真製版工程およびエッチング加工工程を行っているが、偏向手段として格子ピッチが大きい回折格子を用いる場合には、回折格子の作製を切削加工で行なっても良い。さらに、本実施例では写真製版工程とエッチング加工を用いてテーパミラーの作製を行っているが、特開2000−321410号公報に記載された手法も有効であり、これによりテーパミラーを容易に作製することができる。
【0126】
なお、上記図6(g)では、張り合わせた2枚の石英基板61,61は、同一パターンの基板のように見えるが、実際には2枚の基板は機能に合わせて別々のパターンで形成されていることは明らかである。
【0127】
第5の実施の形態および実施例5
実施例3で説明したテーパミラー型の波長合分波器50を用いた多重波長合分波装置の構造を、図7に示す。この多重波長合分波装置70では、光源として波長760nm,780nm,800nm,820nmの面発光半導体レーザー(VCSEL)を用いている。符号について説明すると、50は波長合分波器、71は光源部としてのパッケージ、72はLDアレイ光源、73はこのLDアレイを構成するVCSEL(面発光LD)、74はコリメートレンズ付きカバーグラスである。
【0128】
上記多重波長合分波装置70は、LDアレイ光源からの各波長の光の合波を行い、多重光として波長合分波器50から出射させるように構成したものである。すなわち、この多重波長合分波装置70では、発光素子として4個のVCSEL(面発光LD)73が整列配置されており、コリメートレンズ付きカバーガラス74を所定位置に合わせて設置してあるパッケージ71の上に、波長合分波器50が設置されている。この波長合分波器50は、入射光の光軸が基板面に垂直であることから、パッケージ71との位置合わせは、2軸の位置合わせだけですむため、位置出しを簡易に行うことができる。また、波長合分波器50から出射する多重光も基板53面から垂直に出射するので、図7では示されていない光ファイバに多重光を入射させる場合も2軸の調整だけですむため、位置合わせが容易である。さらに、このようにして作製された本実施例の多重波長合分波装置70は高さ5mm、長さ11mm程度の大きさにすることも可能であり、したがって、小型の多重波長合分波装置を提供することができる。
【0129】
第6の実施の形態および実施例6
図8は本実施例に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造説明図である。この波長合分波器は、光学基板に第1の偏向手段である回折格子を1つと、2つの第2の偏向手段とを設けるとともに、第1の偏向手段と第2の偏向手段の間に、それぞれ2組のテーパミラーを設けたものである。
【0130】
まず符号について説明すると、80は波長合分波器、81は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、82,83は第2の偏向手段である非球面の軸ずれレンズ、84は光学基板、85〜88は反射手段としてのテーパミラーである。この波長合分波器80では、発光手段として波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。受光手段としては波長760nm〜820nmの光に感度があるシリコン(Si)フォトダイオード(PD)を使用している。光学基板84は厚さ2mm、長さ14mmであり、回折格子(グレーティング)81の溝ピッチは1.6μmである。
【0131】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλとし、グレーティングの溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のようになる。したがって、発光手段のレーザダイオードの波長が上記4波長の場合、グレーティングへ光ファイバから垂直入射をさせた場合、グレーティングのピッチが1.6μmであるから、各LDからの光の波長と、上記出射角θとの関係は上記[表2]のようになる。
【0132】
本実施例では、光学基板84として合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0133】
最初に、この波長合分波器80の分波機能について説明する。
上記[表2]に見られるように、本実施例では多重光の受光部から波長合分波器80に垂直に入射した光(波長はそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4)は、第1の偏向手段である回折格子81の各波長の1次光に相当する角度で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板84内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板84内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板84表面にテーパミラー85,86を設けている。これらテーパミラーのテーパ角度は12度である。
【0134】
これにより、光学基板84表面での1回目の反射の時、テーパミラー85に対する入射角は42度以上になるので、全ての入射光はテーパミラー85表面で全反射するようになる。また、2回目の反射の場合は、光学基板84表面への入射角が浅くなり、このままでは波長合分波器の長さが長くなるので、傾きがテーパミラー85と逆方向で同角度のテーパミラー86を反射位置に形成している。さらに、このテーパミラー86では、全光線を1つの面で反射させるためには反射面が大きくなり、それにともない加工深さも深くなるので、4本の光線(波長がそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4)を個別に受ける4個のテーパミラーを形成している。これにより、テーパミラー86の加工深さも浅くでき、加工しやすくなる。
【0135】
光が3回目に光学基板84端面に達する部分付近には、第2の偏向手段として非球面軸ずれレンズ82が4個設置されている。これらの偏向手段により、各個別光は基板84上の個別光の入出射部から出射され、各波長の受光用Si−PDで受光される。本実施例の波長合分波器80では、受光部間隔が0.5mm程度になるように設計されている。ここで、出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では第1の偏向手段としてのグレーティング81の溝ピッチを1.6μm、光学基板84の厚さを2mmとしてあるため、受光素子の受光部の間隔を個別光の出射位置に合わせることができる。このような配置にすると、各波長の光のグレーティング81による1次光は所定の光路を進行することができる。0次光については、1次光の進行する光路から外れるため受光部に投射されることはなく、光として検出されない。
【0136】
次ぎに、上記波長合分波器80の合波機能について説明する。
この波長合分波器の合波機能については、分波機能を達成している合分波器と同等のレイアウトによる光学系を使用している。各LDから出射した各波長の光は、対応する場所に設置された第2の偏向手段である複数の軸ずれレンズ83により所定の角度だけ偏向させられ、かつ集光され光学基板84の中に案内される。案内された各波長の光は、光学基板84内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板84表面に形成された複数のテーパミラー88によって反射される。これらテーパミラー88のテーパ角度は12度である。
【0137】
テーパミラー88で反射された各波長の光は、さらにテーパミラー87により反射され、第1の偏向手段としてのグレーティング(回折光子)81が設置されている多重化光の入出射部に入射する。本実施例において4波長の個別光は、グレーティング81のおおよそ同一の位置に異なる角度で入射する、この角度がグレーティング81の各波長による1次光の偏向角になるように個別光の入出射部および、各テーパミラーを配置することにより、第1の偏向手段である回折格子81から出射する光をすべて同じ角度で出射させることができる。
【0138】
本実施例では発光部間隔が0.5mm程度になるように設計されている。ここで、出射される多重化光の出射位置と発光素子の設置位置との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では、発光用のLDの設置間隔と受光用のPDの設置間隔を同等にしたため、受光用のテーパミラーと出射用のテーパミラーは同等のテーパ角度と配置になっているが、この受光用のテーパミラーおよび出射用のテーパミラーの、角度および配置を適宜設定することで、発光用のLDの設置間隔と受光用のPDの設置間隔を異ならせることができる。
【0139】
本実施例の波長合分波器80では、同一または近似の形状で光の合波と分波が可能である。ゆえに、本実施例のように光学基板に1つの第1の偏向手段である回折格子と、2つの第2の偏向手段を設け、それぞれ第1の偏向手段と第2の偏向手段の間に2組のテーパミラーを設けることにより、同時送受信が可能となる。また、第1の偏向手段である回折格子の正の1次光と負の1次光がそれぞれ2つの第2の偏向手段に達するように各テーパミラーと第2の偏向手段が設置されているので、1つ目の第2の偏向手段を分波用、2つ目の第2の偏向手段を合波用とすることにより、同時送受信が可能な波長合分波器として使用することが可能となる。
【0140】
このように本実施例の波長合分波器80は、全反射を繰り返して光を導けるので光のロスが少いという利点がある。また、光学基板表面がそのまま全反射面になるので構造が簡易であるという利点がある。さらに、大きさも厚さ2mm、長さ14mm程度と非常に小型であるという利点もある。
【0141】
また、本実施例では、第2の偏向手段として非球面軸ずれレンズを用いているが、この偏向手段については、各々の光に応じた角度で光を偏向させれば良いから、たとえば各々の光に応じた角度で反射させるテーパミラー、回折格子あるいはホログラム素子などを使用しても良い。
【0142】
第7の実施の形態および実施例7
図9は本実施例に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。まず符号について説明すると、90は波長合分波器、91は第1の偏向手段としての回折格子(グレーティング)、92a〜92dは第2の偏向手段である非球面の軸ずれレンズ、93は光学基板、94a〜94iは反射手段としてのテーパミラーである。この波長合分波器90では、発光手段として波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。受光手段としては波長760nm〜820nmの光に感度があるシリコン(Si)フォトダイオード(PD)を使用している。図9は分波器として使用した場合である。回折格子(グレーティング)91の溝ピッチは1.6μmである。
【0143】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλ、溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のようになる。そこで、発光手段であるレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバからグレーティングへ波長合分波器90に垂直に入射をさせたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各LDからの各波長の光とグレーティングのなす角は、上記[表2]のようになる。また、光学基板93としては合成石英製基板を使用している。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0144】
最初に、本実施例の分波機能について説明する。
上記[表2]に見られるように、本実施例では多重光の発光部から波長合分波器90に垂直に入射した光は、第1の偏向手段である回折格子91の各波長の1次光に相当する角度で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板93内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板93内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板93表面に上記テーパミラー94a〜94jを設けている。これらテーパミラーのテーパ角度は12度である。ただし、それぞれのテーパミラーの傾斜面の方向は、その分波機能を確保するとともに、反射面を小さく抑え、かつ加工深さが深くなるのを避けるために、それぞれ図示するように設定されている。たとえば、テーパミラー94aが図面右向きの下り勾配であるのに対し、テーパミラー94bは図面左向きの下り勾配となっている。
【0145】
そして、図9において、波長がそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4の光からなる多重光は回折格子91により、波長λ1の光と波長λ3の光からなる第1のグループと、波長λ2の光と波長λ4の光からなる第2のブループに分波される。ついで、波長λ1の光は、テーパミラー94a,94bを経た後、軸ずれレンズ92aを経て個別光となる。同様に、波長λ3の光は、テーパミラー94a,94c,94dおよび94eを経た後、軸ずれレンズ92bを経て個別光となる。波長λ2の光および波長λ4の光についても同様である。本実施例では、光学基板93表面での1回目の反射の時、テーパミラー94a,94fへの入射角は42度以上になるので、全ての入射光はすべてのテーパミラー表面で全反射するようになる。
【0146】
このように、2回目の反射の場合は光学基板93表面への入射角が浅くなり、波長合分波器の長さが長くなるので、傾斜がテーパミラー94aと逆方向で同角度のテーパミラー94b,94cを反射位置に形成している。同様に、傾斜がテーパミラー94fと逆方向で同角度のテーパミラー94g,94hを反射位置に形成している。他のテーパミラーについても同様である。図9に示すように、4本の光線を個別に受ける4個のテーパミラーを形成することで、個々のテーパミラーの反射面を小さく抑えるとともに、その加工深さが深くなるのを避けることができる。これにより、個々のテーパミラーの加工が容易となる。このように光は、複数回テーパミラーで反射された後、光学基板93に設置された第2の偏向手段である非球面軸ずれレンズに入射する。この第2の偏向手段により各個別光は基板上の個別光の入出射部から出射され、各波長の受光用のSi−PDで受光される。
【0147】
本実施例では、光学基板に第1の偏向手段である回折格子を1つと、2つの第2の偏向手段とを設け、各々第1の偏向手段と第2の偏向手段の間に2組のテーパミラーを設けている。また、第1の偏向手段である回折格子の正の1次光と、負の1次光がそれぞれ2つの第2の偏向手段に達するように、各テーパミラーと第2の偏向手段を設置している。
【0148】
本実施例では、異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、第1の偏向手段を出射した光のうち、i=奇数の波長の光とi=偶数の波長の光は、正負反対の符号の回折光が第2の偏向手段へ入射するようにしている。つまり、4つの波長760nm(λ1),780nm(λ2),800nm(λ3),820nm(λ4)のうち760nmと800nmの光は、第1の偏向手段である回折格子で回折された正の1次光のみが第2の偏向手段に達するように、テーパミラーが設置されている。また、780nmと820nmの光は第1の偏向手段である回折格子で回折された負の1次光のみが第2の偏向手段に達するように、テーパミラーが設置されている。つまり、760nm,800nmの光と、780nm,820nmの光は、図9に示すように、多重化光の入出射部に対して反対の位置に配置された個別光の入出射部に対応することになる。さらに本実施例では、760nm,780nmの光はテーパミラーで2回反射し、800nm,820nmの光はテーパミラーで4回反射するようにテーパミラーを配置している。
【0149】
これにより、本実施例では各波長の出射部の間隔は狭いところで5.5mm、広いところで9mmとなり、各波長の出射部の間隔を広くとることが可能となる。すなわち、λ1の光とλ3の光との間隔は5.5mm、λ2の光とλ4の光との間隔は6mm、λ1の光とλ2の光との間隔は9mmである。
【0150】
本実施例は光分波器に係るものであるが、本実施例における受光装置であるSi−PDの位置に、発光装置である各波長のLDを設置すれば、多重化光の入出射部から多重化光が取り出せる光合波器として用いることができる。
【0151】
第8の実施の形態および実施例8
図10は本実施例に係る4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。この波長合分波器100では発光手段として、波長760nm,780nm,800nm,820nmの半導体レーザー(LD)を使用している。受光手段としては、波長760nm〜820nmの光に感度があるシリコン(Si)フォトダイオード(PD)を、第1の偏向手段101としては溝ピッチ1.6μmの回折格子(グレーティング)を、第2の偏向手段102としては、非球面の軸ずれレンズを、それぞれ使用している。
【0152】
グレーティングについては、入射角をθ0 、出射角をθ、光の波長をλ、溝ピッチをd、次数をmとすると、一般に入射角と出射角との関係は、上記[数1]のとおりとなる。そこで、発光手段のレーザダイオードの波長が上記4波長の場合において、光ファイバからグレーティングへ垂直入射をさせたときには、グレーティングの溝ピッチが1.6μmであるから、各波長のLDとグレーティングのなす角は上記[表2]のようになる。また、光学基板103としては合成石英製基板を使用しており、その厚さ2mm、長さは23mmである。合成石英の屈折率は1.55程度であるから、空気に対する全反射の臨界角は40度程度であり、基板面への入射角が42度以上あれば完全に全反射となる。
【0153】
最初に、この波長合分波器100の分波機能について、図10を参照して説明する。
上記[表2]に見られるように、多重光の受光部から垂直に入射した光は、第1の偏向手段である回折格子101の各波長の1次光に相当する角度で偏向され、すべて全反射以下の角度で基板面に入射する。そのため、光学基板103内を進行する光は全反射することができない。そこで本実施例では、光学基板103内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板103表面に、反射手段104として複数のテーパミラーを設けている。これらテーパミラー104のテーパ角度は12度である。
【0154】
これにより、光学基板103表面での1回目の反射の時、第1のテーパミラー104に対する入射角は42度以上になるので、全ての入射光はテーパミラー表面で全反射する。ただし、2回目以降の反射の場合は光学基板表面への入射では入射角が浅くなり、合分波器の長さが長くなるので、それぞれのテーパミラーの傾斜面の方向は、その分波機能を確保するとともに、反射面を小さく抑え、かつ加工深さが深くなるのを避けるために、それぞれ図示のように設定している。
【0155】
図10において、波長がそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4である光は、複数のテーパミラーにより複数回反射された後、光学基板103に設置された第2の偏向手段である非球面軸ずれレンズ102に入射する。この第2の偏向手段により各個別光は基板上の個別光の入出射部から出射され、各波長の受光用のSi−PDで受光される。
【0156】
ここで、出射される個別光と受光素子との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では、回折格子101の溝ピッチは1.6μm、光学基板103の厚は2mmとしてある。また、受光素子の受光部の間隔が個別光の出射位置に合うようにしてある。このような配置にすると、各波長の光の回折格子による1次光は、所定の光路を進行することができる。0次光については1次光が進行する光路から外れるため受光部に投射されることはなく、光として検出されない。
【0157】
次ぎに、上記波長合分波器100の合波機能について、図10を参照して説明する。
この波長合分波器の合波機能については、分波機能を達成している合分波器と同等のレイアウトの光学系を使用している。各LDから出射した、波長がそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4である光は、対応する場所に設置された第2の偏向手段である軸ずれレンズ102により所定の角度だけ偏向して集光され、光学基板103中に案内される。案内された各波長の光は光学基板103内を進行している光が反射部で全反射するように光学基板表面に形成されたテーパミラー104によって反射される。テーパミラーで反射された各波長の光は、さらに他のテーパミラーにより反射され、第1の偏向手段101が設置されている多重化光の入出射部に入射する。
【0158】
本実施例では、4波長の個別光は第1の偏向手段のおおよそ同一位置に異なる角度で入射する。この角度が第1の偏向手段の回折格子の各波長による1次光の偏向角になるように、個別光の入出射部および各テーパミラーを配置することにより、第1の偏向手段である回折格子101から出射する光をすべて同じ角度で出射させることができる。ここで、出射される多重化光の出射位置と発光素子の設置位置との位置関係は、光学基板の厚さ、偏向手段の偏向角、素子間隔により決定される。本実施例では、発光用のLDの設置間隔と受光用のPDの設置間隔を同等にしたため、受光用のテーパミラーと出射用のテーパミラーは同等のテーパ角度および配置になっているが、この受光用のテーパミラーと出射用のテーパミラーの角度と配置を適宜設定することで、発光用のLDの設置間隔と受光用のPDの設置間隔を異ならせることが可能である。
【0159】
このように、本実施例では同一の、または近似の形状で光の合波と分波が可能である。ゆえに、本実施例のように光学基板に、第1の偏向手段である回折格子を1つと、2つの第2の偏向手段とを設け、各々第1の偏向手段と第2の偏向手段の間に2組のテーパミラーを設けることにより、同時送受信が可能となる。また、第1の偏向手段である回折格子の正の1次光と負の1次光が各々2つの第2の偏向手段に達するように、各テーパミラーと第2の偏向手段が設置されているので、1つ目の第2の偏向手段を分波用、2つ目の第2の偏向手段を合波用とすることで、同時送受信が可能な波長合分波器として使用することができる。
【0160】
さらに本実施例において、反射手段104は第1の偏向手段と、第2の偏向手段の間に、少なくとも2つ配置されており、異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、第1の偏向手段から出射した光のうち、i=奇数の波長の光と、i=偶数の波長の光は、反射手段104で異なる回数反射された後に、第2の偏向手段へ入射するようにしている。つまり、4波長760nm,780nm,800nm,820nmのうち、760nm(λ1 ),800nm(λ3 )の光はテーパミラーで4回反射され、780nm(λ2 ),820nm(λ4 )の光はテーパミラーで2回反射されるように、テーパミラーと第2の偏向手段が設置されている。これにより、各波長の光受発光部の間隔は狭いところでも1.5mm以上とれるようになる。
【0161】
以上の実施例で使用する発光用の光源アレイ装置の一例を示すと、前出の図2に示すとおりである。また、本実施例で使用する受光用の受光素子アレイ装置の一例を示すと、前出の図3に示すとおりである。さらに、上記実施例6〜8で説明した、テーパミラーを用いる波長合分波器の作製方法は前出の図6に示すとおりである。
【0162】
以上の実施例では、発光素子、受光素子の間隔は最小で0.5mm程度にしているので、この間隔を調整することにより本実施例の全ての波長合分波器が使用できる。ただし、このようなLDやPDのベアチップを用いず、パッケージされたLDやPDを用いる場合には、その素子間隔は広く取らなければならない。そのような場合には、素子間隔を広くとることが可能な上記実施例7などが特に有効になる。
【0163】
第9の実施の形態および実施例9
図11に、実施例6に係るテーパミラー型の波長合分波器80を用いた多重波長合分波装置の構造を示す。この多重波長合分波装置110では、合波用の光源としてLDアレイ光源111、すなわち波長760nm,780nm,800nm,820nmの面発光半導体レーザー(VCSEL)を用いている。すなわち、このLDアレイ光源111では、4個のVCSEL(面発光LD)が整列配置されている。また、分波用の受光部として、4個の受光素子を同一基板上に配置して構成したPDアレイ112が配置されている。また、この多重波長合分波装置110では、上記波長合分波器80が、コリメートレンズ付きのカバーガラス113を所定位置に合わせて設置したパッケージ114上に設置されている。
【0164】
波長合分波器80は入射光の光軸が基板面に垂直なので、パッケージ114との位置合わせは、2軸の位置合わせだけですむ簡易な位置出しでよい。また、波長合分波器80から出射する多重光は基板面に垂直であるから、図11では示されていない光ファイバに多重光を入射させる場合も2軸の調整だけですみ、位置合わせが容易である。さらに、このようにして作製された多重波長合分波装置110は高さ5mm、長さ10mm程度の大きさにすることも可能であり、小型の多重波長合分波装置を提供することができる。
【0165】
【発明の効果】
以上説明したように、各請求項に係る発明によれば、それぞれ以下の効果が得られる。
(1)請求項1の発明によれば、光の損失が少なく、小型で、作製が容易で低価格の波長合分波器を提供することが可能となる。
(2)請求項2の発明によれば、簡易な構造で光の波長合波機能、波長分波機能を得ることが可能となる。
(3)請求項3の発明によれば、簡易な構造で光の波長合波機能、波長分波機能および、多重光の入出力光用のコリメート機能を得ることが可能となる。
(4)請求項4の発明によれば、簡易な構造で入出力光の光軸が基板面に対して垂直な波長合分波器を提供することが可能となる。
(5)請求項5の発明によれば、各波長の光を出射する光学素子または光ファイバに付帯しているコリメート手段の一部または全てを偏向手段に持たせることができ、コリメート手段の簡素化が可能になる。
【0166】
(6)請求項6の発明によれば、簡易な構成の波長合分波器の提供が可能となる。
(7)請求項7の発明によれば、簡易な構造で光の損失の少ない波長合分波器の提供が可能となる。
(8)請求項8の発明によれば、光の損失が少ない、小型の波長合分波器の提供が可能となる。
(9)請求項9〜13の発明によれば、簡易な作製方法での波長合分波器の提供が可能となる。
(10)請求項14〜17の発明によれば、小型で安い価格の多重波長合波装置を提供することが可能となる。
【0167】
(11)請求項18の発明によれば、光の損失が少なく、小型で、作製が容易で低価格が可能な波長合分波器を提供することが可能となる。また、同時双方向の送受信が可能な波長合分波器を提供することが可能となる。
(12)請求項19の発明によれば、簡易な構造で光の波長合波機能、波長分波機能を得ることが可能となる。
(13)請求項20の発明によれば、簡易な構造で光の波長合波機能、波長分波機能および、多重光の入出力光用のコリメート機能を得ることができる。
【0168】
(14)請求項21,22の発明によれば、簡易な構造で入出力光の個別光の光入出力部の距離が長い波長合分波器を提供することが可能となる。
(15)請求項23〜26の発明によれば、簡易な構成の波長合分波器の提供が可能となる。
(16)請求項27の発明によれば、簡易な作製方法での波長合分波器の提供が可能となる。
【0169】
(17)請求項28の発明によれば、小型で安い価格の多重波長合波装置を提供することが可能となる。
【0170】
(18)請求項29の発明によれば、小型で安い価格の波長多重光通信装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態および実施例1に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図2】図1の波長合分波器で使用する発光用の光源アレイ装置の概要を示す説明図であって、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図3】図1の波長合分波器で使用する受光用の受光素子アレイ装置の概要を示す説明図であって、(a)はその平面図、(b)はその側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態および実施例2に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態および実施例3に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態および実施例4に係るもので、図5に示すテーパミラー型波長合分波器の作製方法を、工程順に示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態および実施例5に係るもので、図5に示すテーパミラー型波長合分波器を用いた多重波長合分波装置の構造を示す説明図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態および実施例6に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態および実施例7に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態および実施例8に係る、4波長の波長多重用波長合分波器の構造を示す説明図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態および実施例9に係るもので、図8に示すテーパミラー型波長合分波器を用いた、4波長の多重波長合分波装置の構造を示す説明図である。
【図12】特許文献1に記載された一実施例に係る波長合分波器の構造を概略的に示す断面図である。
【図13】特許文献2に記載された一実施例に係る光回路部品(波長合分波器)の構造を、光ファイバとの接続状態で示す説明図である。
【符号の説明】
10:波長合分波器
11:第1の偏向手段(回折格子:グレーティング)
12:第2の偏向手段(グレーティング)
13:光学基板
20:光源アレイ装置
21:面発光LD素子(発光素子)
22:発光部
23:ボンディングパッド
30:受光素子アレイ装置
31:PD素子(受光素子)
32:受光部
33:ボンディングパッド
40:波長合分波器
41:回折格子(グレーティング)
42:グレーティング
43:光学基板
45,46:反射膜
50:波長合分波器
51:回折格子(グレーティング)
52:回折格子(グレーティング)
53:光学基板
55:第1のテーパミラー
56:第2のテーパミラー
60:波長合分波器
61:石英基板
62:フォトレジスト
63:フォトマスク
64:ホログラム素子
65:フォトマスク
66:テーパ面
70:多重波長合分波装置
71:パッケージ(光源部)
72:LDアレイ光源
73:VCSEL(面発光LD)
74:コリメートレンズ付きカバーグラス
80:波長合分波器
81:第1の偏向手段(回折格子:グレーティング)
82,83:第2の偏向手段(非球面の軸ずれレンズ)
84:光学基板
85〜88:反射手段(テーパミラー)
90:波長合分波器
91:第1の偏向手段(回折格子:グレーティング)
92a〜92d:第2の偏向手段(非球面の軸ずれレンズ)
93:光学基板
94a〜94j:反射手段(テーパミラー)
100:波長合分波器
101:第1の偏向手段(回折格子:グレーティング)
102:第2の偏向手段(非球面の軸ずれレンズ)
103:光学基板
104:反射手段(テーパミラー)
110:多重波長合分波装置
111:LDアレイ光源
112:PDアレイ
113:カバーガラス
114:パッケージ
200:波長合分波器
211〜215:光学基板
217:光ファイバ
218〜221:光学素子
222:第1のレンズ
223〜226:第2のレンズ
227〜229:波長選択フィルタ
230:ミラー
301:第1のフィルタ
302:第2のフィルタ
303:第1の受光面
304:第2の受光面
305:光回路部品
310a:入射側の光ファイバ
310b〜310e:光ファイバ
311a〜311e:コリメータレンズ
312:ガラスブロック
316〜219:位置
t:光学基板の板厚
Claims (29)
- 異なる波長を有する複数の光を多重化し、及び/又は多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長合分波器において、
前記波長合分波器は、光の透過を許す光学基板からなっており、
前記波長合分波器の一方の面に1列に並んで形成されている前記各波長の光の入出力部と、
前記波長合分波器の前記各波長の光の入出力部と同一の面または、前記各波長の光の入出力部と正対する他方の面に形成されている前記多重化光の入出力部と、 前記多重化光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記多重化光の光路上に相当する部分に設置されている、入射する光の波長により異なる偏向角度で光を偏向する第1の偏向手段と、
前記光学基板に設けられ、該光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段と、
前記各波長の光の入出力部または、入出力部が形成されている面と正対する他方の面上で前記各波長の光の光路上に相当する部分に設置されている、光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段とを備え、
前記各波長の光の入出力部の光軸は、光学基板の表面に垂直であり、
前記多重化光の入出力部の光軸は、光学基板の表面に垂直であることを特徴とする波長合分波器。 - 前記第1の偏向手段は、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であることを特徴とする請求項1記載の波長合分波器。
- 前記第1の偏向手段は、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であることを特徴とする請求項1記載の波長合分波器。
- 前記第2の偏向手段は、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であることを特徴とする請求項1記載の波長合分波器。
- 前記第2の偏向手段は、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であることを特徴とする請求項1記載の波長合分波器。
- 前記第2の偏向手段は、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする請求項1記載の波長合分波器。
- 前記反射手段は、前記光学基板表面に形成された金属反射膜または誘電体多層膜面であることを特徴とする請求項1記載の波長合分波器。
- 前記反射手段は、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする請求項1記載の波長合分波器。
- 前記回折格子は、前記光学基板に切削加工を施すことにより形成されることを特徴とする請求項2または4記載の波長合分波器。
- 前記ホログラム素子は、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されることを特徴とする請求項2,3,4または5記載の波長合分波器。
- 前記テーパ面は、前記光学基板に切削加工を施すことにより形成されることを特徴とする請求項6または8記載の波長合分波器。
- 前記テーパ面は、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されることを特徴とする請求項6または8記載の波長合分波器。
- 光学基板の同一面上にホログラム素子とテーパ面が形成された、請求項6または8記載の波長合分波器の製造方法であって、前記光学基板上の所定位置にエッチング加工を施すことによりホログラム素子を形成し、前記ホログラム素子を保護部材で被覆保護した後、前記光学基板の所定位置にエッチング加工を施すことによりテーパ面を形成することを特徴とする波長合分波器の製造方法。
- 波長の異なる複数の光源が所定の距離を置いて1列に配置されている光源アレイ装置と、請求項1記載の波長合分波器とを、前記各波長の光源と前記各波長の光の入出力部の位置が互いに対応するように組み合わせたことを特徴とする多重波長合波装置。
- 前記光源はレーザーダイオード(LD)であることを特徴とする請求項14記載の多重波長合波装置。
- 複数の受光素子が所定の距離を置いて一列に配置されている受光素子アレイ装置と、請求項1記載の波長合分波器とを、前記各受光素子の受光部と前記各波長の光の入出力部の位置が互いに対応するように組み合わせたことを特徴とする多重波長分波装置。
- 前記受光素子はフォトダイオード(PD)であることを特徴とする請求項16記載の多重波長分波装置
- 異なる波長を有する複数の光を多重化し、及び/又は多重化された多重化光を各波長の光に分離する波長合分波器において、
前記波長合分波器は、光の透過を許す光学基板からなっており、
前記各波長の光の入出力部が、前記波長合分波器の一方の面に1列に並んで形成されており、
前記多重化光の入出力部が、前記波長合分波器の前記各波長の光の入出力部と正対する他方の面に形成されており、
入射する光の波長により異なる2つ以上の偏向角度で入射する光を偏向する第1の偏向手段が前記多重化光の入出力部または、入出力部の近傍に設置されており、
前記光学基板内に案内された前記各波長の光を反射させる反射手段が、前記光学基板に設けられており、
光を任意の方向へ偏向させる第2の偏向手段が、前記各波長の光の入出力部または、入出力部の近傍に設置されており、
前記第1の偏向手段で分岐した光のうちの少なくとも2方向に出射した光は、前記反射手段により反射された後に、各々異なる位置にある前記第2の偏向手段に達することを特徴とする波長合分波器。 - 前記第1の偏向手段は、偏向機能を有する回折格子またはホログラム素子であり、前記分岐された光として、前記偏向手段の正負1次の回折光を用いることを特徴とする請求項18記載の波長合分波器。
- 前記第1の偏向手段は、偏向機能および集光機能を有するホログラム素子であり、前記分岐された光として、前記偏向手段の正負1次の回折光を用いることを特徴とする請求項18記載の波長合分波器。
- 前記異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、前記第1の偏向手段から出射した光のうち、iが奇数の波長の光とiが偶数の波長の光は、正負反対の符号の回折光が前記第2の偏向手段へ入射することを特徴とする請求項18,19または20記載の波長合分波器。
- 前記反射手段は前記第1の偏向手段と、前記第2の偏向手段の間に、少なくとも2つ配置されており、前記異なる波長を有する複数の光の波長をλ1,λ2,…,λi,…,λn(nは2以上の整数、λi<λ(i+1))とした場合、前記第1の偏向手段からを出射した光のうち、iが奇数の波長の光とiが偶数の波長の光は、前記反射手段で異なる回数反射された後に、第2の偏向手段へ入射することを特徴とする請求項18記載の波長合分波器。
- 前記第2の偏向手段は、入射光軸と出射光軸の角度が異なる軸ずれ型レンズであることを特徴とする請求項18記載の波長合分波器。
- 前記軸ずれ型レンズは、非球面型レンズであることを特徴とする請求項23記載の波長合分波器。
- 前記軸ずれ型レンズは、ホログラム素子であることを特徴とする請求項23記載の波長合分波器。
- 前記反射手段は、前記光学基板表面に形成されたテーパ面であることを特徴とする請求項18記載の波長合分波器。
- 前記テーパ面は、前記光学基板にエッチング加工を施すことにより形成されることを特徴とする請求項26記載の波長合分波器。
- 波長の異なる複数の光源と、複数の受光装置と、請求項18記載の波長合分波器とを備えていることを特徴とする多重波長合分波装置。
- 請求項28記載の多重波長波合分波装置を用いることを特徴とする波長多重光通信装置。
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