JP2004226581A - 反射型液晶ディスプレイ - Google Patents

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Abstract

【課題】液晶に弾性波を誘起させて混濁状態にし、そこに電界を印加することにより液晶を再び透明状態にすることで表示機能を実現すること。
【解決手段】第1電気信号がすだれ状電極11と対向電極12の間に印加されると、圧電基板10に厚みモードの振動が励振される。その結果、液晶9中に弾性波が生じ、液晶9が透明状態から混濁状態になる。この時、もしも第2電気信号が第1透明電極2の点状副電極のうちの1つと、第2透明電極5の間に印加されると、それらの間の領域にある液晶9に電界が印加される。この領域に印加された電界はこの領域にある液晶9だけを透明状態にする。その結果、その領域にある液晶9を通して、光が対向電極12で反射される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電部に励振させた厚みモードの振動により、ディスプレイ部の液晶に弾性波を誘起させて液晶を混濁状態にし、その混濁状態の液晶に電界を印加することにより液晶を透明状態にすることで表示機能を実現する反射型液晶ディスプレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯情報端末機やGPSカーナビゲイションシステム等のモバイル端末機には、小型軽量、省電力、高精細などの要求が益々高まっている。これらの要求に答えるためには、モバイル端末機に搭載されている液晶ディスプレイの機能向上が必要不可欠である。従来の液晶ディスプレイの代表的なものとして挙げられる薄膜トランジスタ駆動型ディスプレイは、高品質ではあるものの、光源による消費電力が全消費電力の80%程度を占めていることなど、改善すべき点も多い。一方。このような透過型に代わる反射型のディスプレイは、省電力化をすすめる目的では好都合である。反射型ディスプレイの代表的なものとしては、高分子分散型やゲストホスト型が挙げられるが、装置の小型軽量化、高精度化および寿命等に関し問題点も多く、とりわけ、輝度不足の解消およびコントラスト比の向上が大きな課題である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、輝度およびコントラスト比が高く、精密な画像を提供することが可能で、視野特性に優れ、液晶が劣化しにくく、低消費電力駆動が可能で、回路構成が簡単で、応答速度が速く、大量生産が可能で、小型軽量で、耐久性に優れ、光源および偏光子を必要としない反射型液晶ディスプレイを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の反射型液晶ディスプレイは、ディスプレイ部と、そのディスプレイ部の下に備えられた圧電部から成る反射型液晶ディスプレイであって、前記ディスプレイ部は第1および第2の透明な非圧電板と、液晶から成り、前記第1の透明な非圧電板の下端面には第1透明電極が設けられ、前記第2の透明な非圧電板の上端面には第2透明電極が設けられており、前記液晶は前記第1および第2透明電極の間に設けられていて、前記圧電部は圧電基板と、その圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極と、上端面に設けられた対向電極から成り、前記少なくとも1つの電極と前記対向電極の間に第1電気信号が印加されることにより、前記圧電基板に厚みモードの振動が励振され、前記厚みモードの振動により前記液晶に弾性波が生じ、前記弾性波により前記液晶が混濁状態になり、前記第1および第2透明電極の間に第2電気信号が印加されることにより、前記液晶の少なくとも一部に電界が印加され、前記電界により前記少なくとも一部が透明状態になり、前記透明状態にある前記少なくとも一部を通して、光が前記対向電極で反射される。
【0005】
請求項2に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第1電気信号の周波数が、前記第2の透明な非圧電板および前記圧電基板の複合体の厚みモードの共振周波数にほぼ等しい。
【0006】
請求項3に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記圧電基板が圧電セラミック薄板で成り、前記圧電セラミック薄板の分極軸の方向はその厚さ方向と平行である。
【0007】
請求項4に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記圧電基板が圧電性高分子膜で成る。
【0008】
請求項5に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第2の透明な非圧電板自体に伝搬する弾性波の位相速度が、前記圧電基板自体を伝搬する弾性波の位相速度よりも遅く、同時に、前記液晶自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い。
【0009】
請求項6に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第1の透明な非圧電板自体に伝搬する弾性波の位相速度が、前記液晶自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い。
【0010】
請求項7に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記液晶がネマティック液晶または強誘電性液晶で成る。
【0011】
請求項8に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第1および第2透明電極がインジウムとスズの酸化物で成る。
【0012】
請求項9に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第1および第2透明電極がそれぞれ細長い副電極の集合体で成り、それぞれの前記集合体は縞模様を形成し、前記第1透明電極の前記縞模様と前記第2透明電極の前記縞模様は互いに直交し、前記第1透明電極の少なくとも1つの前記副電極と前記第2透明電極の少なくとも1つの前記副電極の間に前記第2電気信号が印加されることにより、前記第1透明電極の前記副電極と前記第2透明電極の前記副電極との間の交叉領域にある前記液晶に電界が印加され、前記交叉領域の前記液晶が透明状態になる。
【0013】
請求項10に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第1透明電極が点状副電極の集合体で成り、前記第2透明電極が板状電極で成り、前記点状副電極の少なくとも1つと前記板状電極の間に前記第2電気信号が印加されることにより、前記点状副電極の前記少なくとも1つと前記板状電極の間の領域にある前記液晶に電界が印加され、前記領域の前記液晶が透明状態になる。
【0014】
請求項11に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第1透明電極が板状電極で成り、前記第2透明電極が点状副電極の集合体で成り、前記板状電極と前記点状副電極の少なくとも1つの間に前記第2電気信号が印加されることにより、前記板状電極と前記点状副電極の前記少なくとも1つの間の領域にある前記液晶に電界が印加され、前記領域の前記液晶が透明状態になる。
【0015】
請求項12に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記少なくとも1つの電極が櫛型電極で成る。
【0016】
請求項13に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記少なくとも1つの電極が櫛型電極で成り、その電極周期長は前記圧電基板の厚さよりも大きい。
【0017】
請求項14に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第1透明電極の下端面に第1の透明な高分子薄膜が設けられ、前記第2透明電極の上端面に第2の透明な高分子薄膜が設けられている。
【0018】
請求項15に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第1透明電極の下端面に第1の透明な高分子薄膜が設けられ、前記第2透明電極の上端面に第2の透明な高分子薄膜が設けられており、前記電界が印加される前の前記液晶は、ラビング処理を施されている。
【0019】
請求項16に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記第2の透明な非圧電板の下端面に反射板が備えられている。
【0020】
請求項17に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記ディスプレイ部にカラーフィルタが備えられている。
【0021】
請求項18に記載の反射型液晶ディスプレイは、前記少なくとも1つの電極が電極E (i=1, 2,…, n)で成るとともに、前記電極Eに接続されたスイッチが設けられた反射型液晶ディスプレイであって、前記電極Eのそれぞれと、前記対向電極の間に前記スイッチを介して前記第1電気信号が順次に印加されることにより、前記電極Eと対応する厚みモードの振動が前記圧電基板に順次に励振され、前記厚みモードの振動により前記液晶に弾性波が順次に生じ、前記弾性波により前記液晶が混濁状態になる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の反射型液晶ディスプレイは、ディスプレイ部と、そのディスプレイ部の下に備えられた圧電部から成る簡単な構造を有する。ディスプレイ部は第1および第2の透明な非圧電板と、液晶から成る。第1の透明な非圧電板の下端面には第1透明電極が設けられ、第2の透明な非圧電板の上端面には第2透明電極が設けられており、液晶は第1および第2透明電極の間に設けられている。圧電部は圧電基板と、その圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極と、上端面に設けられた対向電極から成る。
【0023】
もしも、圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極と対向電極の間に第1電気信号が印加されると、圧電基板に厚みモードの振動が励振される。この厚みモードの振動により液晶に弾性波が生じ、弾性波により液晶が混濁状態になる。このとき、もしも第1および第2透明電極の間に第2電気信号が印加されると、液晶の少なくとも一部に電界が印加される。この電界により、液晶のその少なくとも一部が透明状態になる。結果として、透明状態にある部分の液晶を通して、光が対向電極で反射される。このとき、対向電極は反射板としての役割も果たす。このようにして、本発明の反射型液晶ディスプレイは光源や偏光子を必要としないので、小型軽量で、低消費電力駆動が可能である。
【0024】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1電気信号の周波数が、第2の透明な非圧電板および圧電基板の複合体の厚みモードの共振周波数にほぼ等しい構造が採用されている。このような構造を採用することにより、効率よく圧電基板に厚みモードの振動を励振することが可能となる。
【0025】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、圧電基板が圧電セラミック薄板で成る構造を採用することが可能である。このとき、圧電セラミック薄板の分極軸の方向はその厚さ方向と平行である。このような構造を採用することにより、効率よく圧電基板に厚みモードの振動を励振することが可能となる。
【0026】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、圧電基板が圧電性高分子膜で成る構造を採用することが可能である。このような構造を採用することにより、効率よく圧電基板に厚みモードの振動を励振することが可能となる。
【0027】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第2の透明な非圧電板自体に伝搬する弾性波の位相速度が、圧電基板自体を伝搬する弾性波の位相速度よりも遅く、同時に、液晶自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い構造が採用されている。このような構造を採用することにより、液晶中に効率よく弾性波が生じる。
【0028】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1の透明な非圧電板自体に伝搬する弾性波の位相速度は、液晶自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い構造が採用されている。このような構造を採用することにより、液晶中に効率よく弾性波が生じる。
【0029】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、液晶としてネマティック液晶または強誘電性液晶を採用することが可能である。このような液晶を採用することにより、精密な画像を構成することが可能となり、表示機能に優れた反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0030】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1および第2透明電極として、インジウムとスズの酸化物を採用することが可能である。このような構造を採用することにより、精密な画像を構成することが可能となり、表示機能に優れた反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0031】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1および第2透明電極がそれぞれ細長い副電極の集合体で成る構造を採用することが可能である。この場合、それぞれの集合体は縞模様を形成し、第1透明電極の縞模様と第2透明電極の縞模様は互いに直交している。もしも、第1透明電極の少なくとも1つの副電極と第2透明電極の少なくとも1つの副電極の間に第2電気信号が印加されると、第1透明電極の副電極と第2透明電極の副電極との間の交叉領域にある液晶に電界が印加される。従って、その交叉領域の液晶が透明状態になる。このようにして、精密な画像を構成することが可能となり、表示機能に優れた反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0032】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1透明電極が点状副電極の集合体で成り、第2透明電極が板状電極で成る構造を採用することが可能である。もしも、点状副電極の少なくとも1つと板状電極の間に第2電気信号が印加されると、点状副電極の少なくとも1つと板状電極の間の領域にある液晶に電界が印加される。従って、その領域の液晶が透明状態になる。このようにして、精密な画像を構成することが可能となり、表示機能に優れた反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0033】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1透明電極が板状電極で成り、第2透明電極が点状副電極の集合体で成る構造を採用することが可能である。もしも、板状電極と点状副電極の少なくとも1つの間に第2電気信号が印加されると、板状電極と点状副電極の少なくとも1つの間の領域にある液晶に電界が印加される。従って、その領域の液晶が透明状態になる。このようにして、精密な画像を構成することが可能となり、表示機能に優れた反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0034】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極が櫛型電極で成る構造が可能である。さらに、その電極周期長が圧電基板の厚さよりも大きい構造を採用することができる。このような構造を採用することにより、効率よく圧電基板に厚みモードの振動を励振することが可能となる。
【0035】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1透明電極の下端面に第1の透明な高分子薄膜が設けられ、第2透明電極の上端面に第2の透明な高分子薄膜が設けられた構造を採用することができる。さらに、電界が印加される前の液晶に予めラビング処理を施しておくことが可能である。
【0036】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第2の透明な非圧電板の下端面に反射板を備えた構造が可能である。
【0037】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、ディスプレイ部にカラーフィルタが備えられた構造が可能である。このような構造を採用することにより、全色型の反射型液晶ディスプレイを構成することが可能となる。
【0038】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極が電極E (i=1, 2,…, n)で成るとともに、電極Eに接続されたスイッチが設けられた構造が可能である。もしも、電極Eのそれぞれと、対向電極の間にスイッチを介して第1電気信号が順次に印加されると、電極Eと対応する厚みモードの振動が圧電基板に順次に励振される。厚みモードの振動は液晶に弾性波を順次に発生させ、弾性波は液晶を混濁状態にする。このようにして、ディスプレイの面積を広げること、すなわち大画面にすることが可能となり、視野特性に優れたディスプレイを提供することが可能となる。
【0039】
【実施例】
図1は本発明の反射型液晶ディスプレイの第1の実施例を示す断面図である。本実施例は第1の透明な非圧電板1、第1透明電極2、第1の透明な高分子薄膜3、第2の透明な非圧電板4、第2透明電極5、第2の透明な高分子薄膜6、第1の隙間材7、第2の隙間材8、液晶9、圧電基板10、すだれ状電極11および対向電極12から成る。本実施例では、第1透明圧電板1の下端面に第1透明電極2が設けられ、第1透明電極2の下端面に第1透明高分子薄膜3が設けられている。また、第2透明非圧電板4の上端面に第2透明電極5が設けられ、第2透明電極5の上端面に第2透明高分子薄膜6が設けられている。第1隙間材7および第2隙間材8は図1では描かれていない。
【0040】
図1の反射型液晶ディスプレイでは、第1透明非圧電板1、第1透明電極2、第1透明高分子薄膜3、第2透明非圧電板4、第2透明電極5、第2透明高分子薄膜6および液晶9によって、7層から成るディスプレイ部が構成されている。また、圧電基板10、すだれ状電極11および対向電極12によって、3層から成る圧電部が構成されており、圧電部の上にディスプレイ部がエポキシ樹脂によって固着されている。
【0041】
図1の圧電部では、圧電基板10は厚さ200μmの圧電セラミック薄板で成り、圧電セラミック薄板の分極軸の方向はその厚さ方向と平行である。すだれ状電極11および対向電極12は、それぞれアルミニウム薄膜で成り、圧電基板10の下端面および上端面にそれぞれ設けられている。
【0042】
図1のディスプレイ部では、第1透明非圧電板1および第2透明非圧電板4は、互いに別の材質のガラス板で成り、それらの厚さは1.1 mmである。この時、第2透明非圧電板4自体に伝搬する弾性波の位相速度は、圧電基板10自体を伝搬する弾性波の位相速度よりも遅く、同時に、液晶9自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い。また、第1透明非圧電板1自体に伝搬する弾性波の位相速度は、液晶9自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い。第1透明電極2は点状副電極の集合体で成り、第2透明電極5は板状電極で成る。第1透明電極2および第2透明電極5はどちらもインジウムとスズの酸化物で成る。第1透明高分子薄膜3および第2透明高分子薄膜6はどちらもポリイミドで成る。液晶9はネマティック液晶のMBBAで成り、第1透明高分子薄膜3および第2透明高分子薄膜6の間の厚さ50μmの空間に、ラビング処理を施されることなく注入されている。この際、液晶9をラビング処理の後に注入することも可能である。ラビング処理により、液晶9はホモジニアス配向を成す。また、第1透明高分子薄膜3および第2透明高分子薄膜6を使用せずに、第1透明電極2および第2透明電極5の間の空間に、液晶9を直接注入することも可能である。この場合、ラビング処理は行わない。このようにして、図1の反射型液晶ディスプレイは、製作が容易であり、耐久性にも優れる。
【0043】
図1の反射型液晶ディスプレイでは、圧電基板10として圧電性高分子膜を、第1透明非圧電板1および第2透明非圧電板4としてそれぞれ高分子膜を用いることが可能である。このような高分子膜を用いることにより、反射型液晶ディスプレイ全体の柔軟性が増し、その結果、平面状のディスプレイだけでなく、湾曲したディスプレイが可能となる。第1透明非圧電板1および第2透明非圧電板4としては、PETフィルムやアクリル板などが好都合である。
【0044】
図2は第2透明高分子薄膜6を上方から見たときの平面図である。第2透明高分子薄膜6の上面の両端には第1隙間材7および第2隙間材8がそれぞれ設けられている。第1隙間材7および第2隙間材8はともにPETフィルムで成り、それらによって、第1透明高分子薄膜3および第2透明高分子薄膜6の間の空間が形成され、その空間に液晶9が注入される。
【0045】
図3は圧電部の底面図である。すだれ状電極11は2つの櫛型電極11aおよび11bから成る。すだれ状電極11は10対の電極指を有し、300μmの電極周期長(P)および5 mmの電極重なり幅(L)を有する。図1の反射型液晶ディスプレイの駆動時は、櫛型電極11aおよび11bの両方または片方のみを用いることが可能である。また、すだれ状電極11の代わりに、板状の電極13を用いることもできる。
【0046】
図1の反射型液晶ディスプレイにおいて、もしも第1電気信号が櫛型電極11aおよび11bの交点と、対向電極12の間に印加されると、圧電基板10に厚みモードの振動が励振される。このとき、第1電気信号の周波数は、第2透明非圧電板4および圧電基板10の複合体の厚みモードの共振周波数に等しい。圧電基板10に厚みモードの振動が励振されるのは、圧電基板10が圧電セラミック薄板で成り、圧電セラミック薄板の分極軸の方向はその厚さ方向と平行であることに因る。同様にして、第1電気信号が櫛型電極11aと、対向電極12の間に印加されると、圧電基板10に厚みモードの振動が励振される。また、すだれ状電極11の代わりに、板状の電極13を用いることによっても圧電基板10に厚みモードの振動が励振される。このような厚みモードの振動により、液晶9中に弾性波が生じる。弾性波が効果的に生じるためには、第2透明非圧電板4自体に伝搬する弾性波の位相速度が、圧電基板10自体を伝搬する弾性波の位相速度よりも遅く、同時に、液晶9自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速いことを必要とする。また、第1透明非圧電板1自体に伝搬する弾性波の位相速度が、液晶9自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速いことを必要とする。液晶9に発生した弾性波は液晶9を透明状態から混濁状態にする。すなわち、弾性波により液晶9の分子運動が活性化される。
【0047】
液晶9が混濁状態にある時に、もしも第2電気信号が第1透明電極2の点状副電極のうちの1つと、第2透明電極5の間に印加されると、その点状副電極のうちの1つと、第2透明電極5の間の領域にある液晶9に電界が印加される。この領域に印加された電界はこの領域にある液晶9だけを透明状態にする。すなわち、この領域にある液晶9の分子の配向を単一化する。同様にして、2箇所以上の領域にある液晶9を混濁状態から透明状態にすることができ、その結果、それら2箇所以上の領域にある液晶9を通して、光が対向電極12で反射される。なお、第1透明電極2が板状電極で成り、第2透明電極5が点状副電極の集合体で成る場合にも、同様な結果が得られる。
【0048】
図4は、第1透明電極2および第2透明電極5それぞれに代わって用いられる第1透明電極14および第2透明電極15の構成図である。第1透明電極14は細長い副電極の集合体で成り、その副電極の集合体は全体として縞模様を形成する。第2透明電極15は第1透明電極14と同様な構造を有する。但し、第1透明電極14の縞模様と第2透明電極15の縞模様は互いに直交している。
【0049】
図4における第1透明電極14および第2透明電極15を用いる場合、第2電気信号が、たとえば、第1透明電極14の2番目の副電極と第2透明電極15の7番目の副電極との間に印加されると、第1透明電極14の2番目の副電極と第2透明電極15の7番目の副電極の交叉する領域の液晶9に電界が印加される。この交叉領域に印加された電界は交叉領域にある液晶9だけを透明状態にする。同様にして、2箇所以上の交叉領域にある液晶9を混濁状態から透明状態にすることができ、その結果、それら2箇所以上の交叉領域にある液晶9を通して、光が対向電極12で反射される。このようにして、図1における圧電部を用いることにより、ディスプレイ部において光源および偏光子を必要としない反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0050】
図5は、カラーフィルタ16と反射板17を新たに備えたディスプレイ部の断面図である。カラーフィルタ16は、第2透明電極5と第2透明高分子薄膜6の間に設けることができる。もしも赤、青および緑に対応する3つの隣接する領域にある液晶9に、振幅の異なる電圧をそれぞれ印加すれば、3つの色を混合することが可能となり、色の種類や度合いを調整することも可能になる。このようにして、全色型の反射型液晶ディスプレイが可能となる。一方、反射板17は、アルミニウム薄膜で成り、光の反射効率を上げるために第2透明非圧電板4の下に設けられている。なお、図5のディスプレイ部は、図1の圧電部の上にエポキシ樹脂によって固着されている。さらに、もし必要があれば、光源を反射板17の代わりに用いることも可能である。
【0051】
図6は、すだれ状電極11の代わりに櫛型電極E, E, EおよびEを備えた圧電部の底面図である。図6では、スイッチ18も描かれている。もしも第1電気信号が櫛型電極E, E, EおよびEのそれぞれと、対向電極12の間にスイッチ18を介して順次に印加されると、櫛型電極E, E, EおよびEのそれぞれに対応する厚みモードの振動が、圧電基板10に順次に励振される。これらの厚みモードの振動は液晶9に弾性波を誘起させ、その結果、液晶9が透明状態から混濁状態になる。このようにして、電極E (i=1, 2,…, n)を用いることにより、ディスプレイの面積を広げること、すなわち大画面にすることができ、視野特性に優れたディスプレイを提供することが可能となる。
【0052】
図7はラビング処理を伴った液晶9を通る反射光強度と、10.72 MHzの第1電気信号の印加後の時間との関係を示す特性図である。但し、図7はすだれ状電極11の代わりに電極13が用いられた場合の特性図を示す。また、図7では8Vの第1電気信号の電圧の振幅波形も描かれている。図7から反射光強度が、第1電気信号の印加直後にすばやく減少していることが判る。つまり、第1電気信号の印加により、液晶9は透明状態から混濁状態になる。
【0053】
図8はラビング処理を伴った液晶9を通る反射光強度と、10.72 MHzの第1電気信号の印加を中止してからの時間との関係を示す特性図である。但し、図8はすだれ状電極11の代わりに電極13が用いられた場合の特性図を示す。また、図8では8Vの第1電気信号の電圧の振幅波形も描かれている。図8から反射光強度が、第1電気信号の印加を中止した直後はすぐに増加し、時間の経過とともに徐々に増加していることが判る。さらに図7および8より、図1の反射型液晶ディスプレイが輝度に優れることが判る。図1の反射型液晶ディスプレイの輝度は70 %に達していることが確認されている。
【0054】
図9は、液晶9がラビング処理を伴った場合のコントラスト比と、第1電気信号の周波数との関係を示す特性図である。但し、図9はすだれ状電極11の代わりに電極13が用いられた場合の特性図を示す。また、コントラスト比とは、液晶9の透明状態における反射光強度と、混濁状態における反射光強度との間の明暗比を示す。図9では、混濁状態に対する透明状態のコントラスト比は、10.73 MHz付近に1つのピークを有し、この周波数は第2透明非圧電板4および圧電基板10の複合体の厚みモードの共振周波数にほぼ等しい。このようにして、図1の反射型液晶ディスプレイはコントラスト比に優れる。
【0055】
図10は応答時間と、8Vの第1電気信号の周波数との関係を示す特性図である。但し、図10はすだれ状電極11の代わりに電極13が用いられた場合の特性図を示す。また、図10での応答時間とは、ラビング処理を伴った液晶9を通る反射光強度が、第1電気信号の印加後に100%から10%になるまでの時間を示す。図10によれば、応答時間は10.73 MHz近傍で特に優れていることが判る。なお、応答時間が速ければ速いほど、図1の反射型液晶ディスプレイには好都合である。
【0056】
図11は応答時間と、8Vの第1電気信号の周波数との関係を示す特性図である。但し、図11はすだれ状電極11の代わりに電極13が用いられた場合の特性図を示す。また、図11での応答時間とは、ラビング処理を伴った液晶9を通る反射光強度が、第1電気信号の印加を中止した後に0%から90%になるまでの時間を示す。図11によれば、10.72 MHz近傍での応答時間が他と比べて遅いことが判る。なお、応答時間が遅ければ遅いほど、液晶9の混濁状態を維持するのに要する電力消費は低い。従って、応答時間が遅ければ遅いほど、図1の反射型液晶ディスプレイには好都合である。このようにして、第1電気信号としてバースト波信号を用いることが可能であることが判る。
【0057】
図12は、液晶9がラビング処理を伴った場合のコントラスト比と、第1電気信号の電圧との関係を示す特性図である。但し、図12は櫛型電極11aおよび11bの両方が用いられた場合(□)、櫛型電極11aのみが用いられた場合(●)、そしてすだれ状電極11の代わりに電極13が用いられた場合(▲)の特性図を示す。また、コントラスト比とは、液晶9の透明状態における反射光強度と、混濁状態における反射光強度との間の明暗比を示す。図12によれば、櫛型電極11aおよび11bの両方が用いられた場合(□)のコントラスト比が最も優れていることが判る。つまり、櫛型電極11aおよび11bの両方を用いれば、僅かな電圧の第1電気信号により、大きなコントラスト比を得ることが可能になる。
【0058】
図13は、液晶9がラビング処理を伴わない場合のコントラスト比と、第1電気信号の電圧との関係を示す特性図である。但し、図13は櫛型電極11aおよび11bの両方が用いられた場合(□)と、櫛型電極11aのみが用いられた場合(●)の特性図を示す。また、コントラスト比とは、液晶9の透明状態における反射光強度と、混濁状態における反射光強度との間の明暗比を示す。図13によれば、櫛型電極11aおよび11bの両方が用いられた場合(□)のコントラスト比が櫛型電極11aのみが用いられた場合(●)のコントラスト比よりも優れていることが判る。つまり、櫛型電極11aおよび11bの両方を用いれば、僅かな電圧の第1電気信号により、大きなコントラスト比を得ることが可能になる。さらに、図12および13より、ラビング処理を施さない方が、施した方よりもコントラスト比が優れていることが判る。すなわち、ラビング処理を伴わない液晶9を用いれば、僅かな電圧の第1電気信号により、大きなコントラスト比を得ることが可能になる。その結果、液晶9の劣化を抑制することが可能となる。
【0059】
図14は応答時間と、第1電気信号の電圧との関係を示す特性図である。但し、図14は櫛型電極11aおよび11bの両方が用いられた場合(□)、櫛型電極11aのみが用いられた場合(●)、そしてすだれ状電極11の代わりに電極13が用いられた場合(▲)の特性図を示す。また、図14での応答時間とは、ラビング処理を伴った液晶9を通る反射光強度が、第1電気信号の印加後に100%から10%になるまでの時間を示す。図14によれば、櫛型電極11aおよび11bの両方が用いられた場合(□)の応答時間が、他の場合と比べて優れていることが判る。つまり、櫛型電極11aおよび11bの両方を用いれば、僅かな電圧の第1電気信号により、速い応答時間を得ることができる。
【0060】
図15は、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(●)の応答時間と、第1電気信号の電圧との関係を示す特性図である。但し、図15は櫛型電極11aのみが用いられた場合の特性図を示す。また、図15での応答時間とは、液晶9を通る反射光強度が、第1電気信号の印加後に100%から10%になるまでの時間を示す。図15より、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)の方が、伴う場合(●)よりも応答時間が速いことが判る。つまり、ラビング処理を伴わない液晶9を用いれば、僅かな電圧の第1電気信号により、速い応答時間を得ることができる。
【0061】
図16は、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)のコントラスト比と、第1電気信号として用いられた8Vのバースト波信号のデューティー比との関係を示す特性図である。但し、図16は櫛型電極11aのみが用いられた場合の特性図を示す。また、バースト波信号は30 Hzの周波数を有し、各バーストは10.72 MHzのキャリアー周波数を有する。図16より、液晶9がラビング処理を伴う場合(■)には、コントラスト比はデューティー比の増加に伴って徐々に増加し、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)には、コントラスト比はデューティー比の増加に伴って急激に増加する。つまり、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)の方が、コントラスト比に優れることが判る。さらにコントラスト比は、バースト波信号の周波数に依存することなく、ほぼ一定であることが確認されている。このようにして、バースト波信号を使用することにより、低消費電力駆動が可能となる。
【0062】
図17は、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)の応答時間と、第1電気信号として用いられた8Vのバースト波信号のデューティー比との関係を示す特性図である。但し、図17は櫛型電極11aのみが用いられた場合の特性図を示す。また、バースト波信号は30 Hzの周波数を有し、各バーストは10.72 MHzのキャリアー周波数を有する。さらに、図17での応答時間とは、液晶9を通る反射光強度が、バースト波信号の印加後に100%から10%になるまでの時間を示す。図17より、液晶9がラビング処理を伴う場合(■)には、応答時間はデューティー比の増加に伴って徐々に減少し、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)には、応答時間はデューティー比の増加に伴って急激に減少する。つまり、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)の方が、応答時間に優れることが判る。
【0063】
図18は、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)のコントラスト比と、第2電気信号の電圧との関係を示す特性図である。但し、図18は櫛型電極11aのみが用いられた場合の特性図を示す。図18より、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)の方が、コントラスト比に優れることが判る。このようにして、図1の反射型液晶ディスプレイはコントラスト比に優れる。
【0064】
図19は、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)の応答時間と、第2電気信号の電圧との関係を示す特性図である。但し、図19は櫛型電極11aのみが用いられた場合の特性図を示す。図19での応答時間とは、液晶9を通る反射光強度が、第2電気信号の印加後に0%から90%になるまでの時間を示す。図19より、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)の方が、伴う場合(■)よりも応答時間が速いことが判る。さらに、液晶9の厚さをもっと薄くすることにより、応答時間をもっと速くすることが可能となる。また、液晶9として強誘電性液晶を用いることにより、応答時間をさらに短縮することが可能となる。
【0065】
図20は、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)の応答時間と、第2電気信号の電圧との関係を示す特性図である。但し、図20は櫛型電極11aのみが用いられた場合の特性図を示す。図20での応答時間とは、液晶9を通る反射光強度が、第2電気信号の印加を中止した後に100%から10%になるまでの時間を示す。また、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)の応答時間は図20の右側の目盛りに対応し、液晶9がラビング処理を伴う場合(■)の応答時間は図20の左側の目盛りに対応する。図20によれば、液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)の応答時間は、30 V以上でほぼ一定であって、液晶9がラビング処理を伴う場合(■)に比べてはるかに優れていることがわかる。
【0066】
【発明の効果】
本発明の反射型液晶ディスプレイは、ディスプレイ部と、そのディスプレイ部の下に備えられた圧電部から成る。圧電部は圧電基板と、その圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極と、上端面に設けられた対向電極から成る。ディスプレイ部は第1および第2の透明な非圧電板と、液晶から成る。第1の透明な非圧電板の下端面には第1透明電極が設けられ、第2の透明な非圧電板の上端面には第2透明電極が設けられており、液晶は第1および第2透明電極の間に設けられている。このとき、第1透明電極の下端面に第1の透明な高分子薄膜を、第2透明電極の上端面に第2の透明な高分子薄膜を備えた構造を採用することもできる。この場合、液晶は第1および第2の透明な高分子薄膜の間に設けられる。さらに、このような液晶に、電界が印加される前に予めラビング処理を施しておくことも可能である。
【0067】
もしも、圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極と対向電極の間に第1電気信号が印加されると、圧電基板に厚みモードの振動が励振される。このとき、第1電気信号の周波数が、第2の透明な非圧電板および圧電基板の複合体の厚みモードの共振周波数にほぼ等しい構造を採用することにより、効率よく圧電基板に厚みモードの振動を励振することが可能となる。また、圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極として櫛型電極を採用し、その電極周期長が圧電基板の厚さよりも大きい構造を採用することにより、効率よく圧電基板に厚みモードの振動を励振することが可能となる。この厚みモードの振動により液晶に弾性波が生じ、弾性波により液晶が混濁状態になる。このとき、第2の透明な非圧電板自体に伝搬する弾性波の位相速度が、圧電基板自体を伝搬する弾性波の位相速度よりも遅く、同時に、液晶自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い構造、そして、第1の透明な非圧電板自体に伝搬する弾性波の位相速度が、液晶自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い構造を採用することにより、液晶中に効率よく弾性波が生じる。このようにして、液晶が効率よく混濁状態になる。
【0068】
液晶が混濁状態にあるときに、もしも第1および第2透明電極の間に第2電気信号が印加されると、液晶の少なくとも一部に電界が印加されて、液晶のその少なくとも一部が透明状態になる。このようにして、透明状態にある部分の液晶を通る光が、反射板としての役割も有する対向電極で反射されることから、表示機能が可能となる。このとき、第2の透明な非圧電板の下端面に反射板を備えた構造も可能である。この場合には、光はこの反射板で反射されることになる。このようにして、本発明の反射型液晶ディスプレイは光源や偏光子を必要としないので、小型軽量で、低消費電力駆動が可能である。また、ディスプレイ部にカラーフィルタが備えられた構造を採用することにより、全色型の反射型液晶ディスプレイを構成することが可能となる。
【0069】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、圧電基板が圧電セラミック薄板で成り、圧電セラミック薄板の分極軸の方向がその厚さ方向と平行であるような構造を採用することにより、効率よく圧電基板に厚みモードの振動を励振することが可能となる。また、圧電基板が圧電性高分子膜で成る構造を採用することが可能である。このような構造を採用することにより、効率よく圧電基板に厚みモードの振動を励振することが可能となる。さらに、圧電基板として圧電性高分子膜を採用するとともに、第1および第2の透明な非圧電板として、高分子膜を採用することにより、反射型液晶ディスプレイ全体の柔軟性が増し、その結果、平面状のディスプレイだけでなく、湾曲したディスプレイが可能となる。従って、製作が容易で、耐久性にも優れた反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0070】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、液晶としてネマティック液晶または強誘電性液晶を採用することが可能である。このような液晶を採用することにより、精密な画像を構成することが可能となり、表示機能に優れた反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0071】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1および第2透明電極として、インジウムとスズの酸化物を採用することが可能である。このような構造を採用することにより、精密な画像を構成することが可能となり、表示機能に優れた反射型液晶ディスプレイを提供することが可能となる。
【0072】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1および第2透明電極がそれぞれ細長い副電極の集合体で成る構造を採用することが可能である。この場合、それぞれの集合体は縞模様を形成し、第1透明電極の縞模様と第2透明電極の縞模様は互いに直交している。もしも、第1透明電極の少なくとも1つの副電極と第2透明電極の少なくとも1つの副電極の間に第2電気信号が印加されると、第1透明電極の副電極と第2透明電極の副電極との間の交叉領域にある液晶に電界が印加される。従って、その交叉領域の液晶が透明状態になる。また、本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1透明電極が点状副電極の集合体で成り、第2透明電極が板状電極で成る構造を採用することが可能である。もしも、点状副電極の少なくとも1つと板状電極の間に第2電気信号が印加されると、点状副電極の少なくとも1つと板状電極の間の領域にある液晶に電界が印加される。従って、その領域の液晶が透明状態になる。さらに、本発明の反射型液晶ディスプレイでは、第1透明電極が板状電極で成り、第2透明電極が点状副電極の集合体で成る構造を採用することが可能である。もしも、板状電極と点状副電極の少なくとも1つの間に第2電気信号が印加されると、板状電極と点状副電極の少なくとも1つの間の領域にある液晶に電界が印加される。従って、その領域の液晶が透明状態になる。このようにして、本発明の反射型液晶ディスプレイでは、様々な形状の第1および第2透明電極を採用することにより、精密な画像を構成することが可能となる。
【0073】
本発明の反射型液晶ディスプレイでは、圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極が電極E (i=1, 2,…, n)で成るとともに、電極Eに接続されたスイッチが設けられた構造が可能である。このような構造を採用することにより、ディスプレイの面積を広げること、すなわち大画面にすることが可能となり、視野特性に優れたディスプレイを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射型液晶ディスプレイの第1の実施例を示す断面図。
【図2】第2透明高分子薄膜6を上方から見たときの平面図。
【図3】圧電部の底面図。
【図4】第1透明電極2および第2透明電極5それぞれに代わって用いられる第1透明電極14および第2透明電極15の構成図。
【図5】カラーフィルタ16と反射板17を新たに備えたディスプレイ部の断面図。
【図6】すだれ状電極11の代わりに櫛型電極E, E, EおよびEを備えた圧電部の底面図。
【図7】すだれ状電極11の代わりに櫛型電極E, E, EおよびEを備えた圧電部の底面図。
【図8】ラビング処理を伴った液晶9を通る反射光強度と、10.72 MHzの第1電気信号の印加を中止してからの時間との関係を示す特性図。
【図9】液晶9がラビング処理を伴った場合のコントラスト比と、第1電気信号の周波数との関係を示す特性図。
【図10】応答時間と、8Vの第1電気信号の周波数との関係を示す特性図。
【図11】応答時間と、8Vの第1電気信号の周波数との関係を示す特性図。
【図12】液晶9がラビング処理を伴った場合のコントラスト比と、第1電気信号の電圧との関係を示す特性図。
【図13】液晶9がラビング処理を伴わない場合のコントラスト比と、第1電気信号の電圧との関係を示す特性図。
【図14】応答時間と、第1電気信号の電圧との関係を示す特性図。
【図15】液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(●)の応答時間と、第1電気信号の電圧との関係を示す特性図。
【図16】液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)のコントラスト比と、第1電気信号として用いられた8Vのバースト波信号のデューティー比との関係を示す特性図。
【図17】液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)の応答時間と、第1電気信号として用いられた8Vのバースト波信号のデューティー比との関係を示す特性図。
【図18】液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)のコントラスト比と、第2電気信号の電圧との関係を示す特性図。
【図19】液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)の応答時間と、第2電気信号の電圧との関係を示す特性図。
【図20】液晶9がラビング処理を伴わない場合(□)または伴う場合(■)の応答時間と、第2電気信号の電圧との関係を示す特性図。
【符号の説明】
1 第1の透明な非圧電板
2 第1透明電極
3 第1の透明な高分子薄膜
4 第2の透明な非圧電板
5 第2透明電極
6 第2の透明な高分子薄膜
7 第1の隙間材
8 第2の隙間材
9 液晶
10 圧電基板
11 すだれ状電極
11a, 11b 櫛型電極
12 対向電極
13 板状の電極
14 第1透明電極
15 第2透明電極
16 カラーフィルタ
17 反射板
18 スイッチ
, E, E, E 櫛型電極

Claims (18)

  1. ディスプレイ部と、そのディスプレイ部の下に備えられた圧電部から成る反射型液晶ディスプレイであって、前記ディスプレイ部は第1および第2の透明な非圧電板と、液晶から成り、前記第1の透明な非圧電板の下端面には第1透明電極が設けられ、前記第2の透明な非圧電板の上端面には第2透明電極が設けられており、前記液晶は前記第1および第2透明電極の間に設けられていて、前記圧電部は圧電基板と、その圧電基板の下端面に設けられた少なくとも1つの電極と、上端面に設けられた対向電極から成り、前記少なくとも1つの電極と前記対向電極の間に第1電気信号が印加されることにより、前記圧電基板に厚みモードの振動が励振され、前記厚みモードの振動により前記液晶に弾性波が生じ、前記弾性波により前記液晶が混濁状態になり、前記第1および第2透明電極の間に第2電気信号が印加されることにより、前記液晶の少なくとも一部に電界が印加され、前記電界により前記少なくとも一部が透明状態になり、前記透明状態にある前記少なくとも一部を通して、光が前記対向電極で反射される反射型液晶ディスプレイ。
  2. 前記第1電気信号の周波数は、前記第2の透明な非圧電板および前記圧電基板の複合体の厚みモードの共振周波数にほぼ等しい請求項1に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  3. 前記圧電基板が圧電セラミック薄板で成り、前記圧電セラミック薄板の分極軸の方向はその厚さ方向と平行である請求項1または2に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  4. 前記圧電基板が圧電性高分子膜で成る請求項1または2に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  5. 前記第2の透明な非圧電板自体に伝搬する弾性波の位相速度は、前記圧電基板自体を伝搬する弾性波の位相速度よりも遅く、同時に、前記液晶自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い請求項1,2,3または4に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  6. 前記第1の透明な非圧電板自体に伝搬する弾性波の位相速度は、前記液晶自体に伝搬する弾性波の位相速度よりも速い請求項1,2,3,4または5に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  7. 前記液晶がネマティック液晶または強誘電性液晶で成る請求項1,2,3,4,5または6に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  8. 前記第1および第2透明電極がインジウムとスズの酸化物で成る請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  9. 前記第1および第2透明電極がそれぞれ細長い副電極の集合体で成り、それぞれの前記集合体は縞模様を形成し、前記第1透明電極の前記縞模様と前記第2透明電極の前記縞模様は互いに直交し、前記第1透明電極の少なくとも1つの前記副電極と前記第2透明電極の少なくとも1つの前記副電極の間に前記第2電気信号が印加されることにより、前記第1透明電極の前記副電極と前記第2透明電極の前記副電極との間の交叉領域にある前記液晶に電界が印加され、前記交叉領域の前記液晶が透明状態になる請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  10. 前記第1透明電極が点状副電極の集合体で成り、前記第2透明電極が板状電極で成り、前記点状副電極の少なくとも1つと前記板状電極の間に前記第2電気信号が印加されることにより、前記点状副電極の前記少なくとも1つと前記板状電極の間の領域にある前記液晶に電界が印加され、前記領域の前記液晶が透明状態になる請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  11. 前記第1透明電極が板状電極で成り、前記第2透明電極が点状副電極の集合体で成り、前記板状電極と前記点状副電極の少なくとも1つの間に前記第2電気信号が印加されることにより、前記板状電極と前記点状副電極の前記少なくとも1つの間の領域にある前記液晶に電界が印加され、前記領域の前記液晶が透明状態になる請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  12. 前記少なくとも1つの電極が櫛型電極で成る請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  13. 前記少なくとも1つの電極が櫛型電極で成り、その電極周期長は前記圧電基板の厚さよりも大きい請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  14. 前記第1透明電極の下端面に第1の透明な高分子薄膜が設けられ、前記第2透明電極の上端面に第2の透明な高分子薄膜が設けられている請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12または13に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  15. 前記第1透明電極の下端面に第1の透明な高分子薄膜が設けられ、前記第2透明電極の上端面に第2の透明な高分子薄膜が設けられており、前記電界が印加される前の前記液晶は、ラビング処理を施されている請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12または13に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  16. 前記第2の透明な非圧電板の下端面に反射板が備えられている請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14または15に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  17. 前記ディスプレイ部にカラーフィルタが備えられている請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15または16に記載の反射型液晶ディスプレイ。
  18. 前記少なくとも1つの電極が電極E (i=1, 2,…, n)で成るとともに、前記電極Eに接続されたスイッチが設けられた反射型液晶ディスプレイであって、前記電極Eのそれぞれと、前記対向電極の間に前記スイッチを介して前記第1電気信号が順次に印加されることにより、前記電極Eと対応する厚みモードの振動が前記圧電基板に順次に励振され、前記厚みモードの振動により前記液晶に弾性波が順次に生じ、前記弾性波により前記液晶が混濁状態になる請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16または17に記載の反射型液晶ディスプレイ。
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