JP2004225605A - エンジンのegr制御装置 - Google Patents
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- Y02T10/12—Improving ICE efficiencies
Abstract
【課題】可変圧縮比機構を備えたエンジンで、減速時に圧縮比制御の応答遅れによる高EGR率・低圧縮比となることを回避して良好な燃焼性能を維持する。
【解決手段】エンジン運転状態に基づいて目標圧縮比及び目標EGR率の基本値を算出し(S1〜S3)、圧縮比を制御しつつ目標EGR率の基本値をEGR率上限値で制限して最終的な目標EGR率を算出し(S4〜S6)、該最終的に設定した目標EGR率に基づいて目標EGR弁開度を算出し、該開度となるようにEGR弁を制御する(S7,S8)。
【選択図】 図6
【解決手段】エンジン運転状態に基づいて目標圧縮比及び目標EGR率の基本値を算出し(S1〜S3)、圧縮比を制御しつつ目標EGR率の基本値をEGR率上限値で制限して最終的な目標EGR率を算出し(S4〜S6)、該最終的に設定した目標EGR率に基づいて目標EGR弁開度を算出し、該開度となるようにEGR弁を制御する(S7,S8)。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮比を可変制御するエンジンにおいてEGR量を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なEGR制御として、エンジンの運転状態に基づいて目標EGR率を設定し、該目標EGR率を実現するようにEGR弁開度を制御するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
一方、エンジンは圧縮比を高くするほど燃料消費率が向上するが、高負荷運転時にノッキングが発生しやすくなる。そこで、圧縮比を可変とし得るエンジンにおいて、低負荷運転時に高圧縮比とし、高負荷運転時時に低圧縮比とすることによって、ノッキングを発生させずに燃料消費率を向上させようとしたものがある(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平09−053519公報
【特許文献2】
特開平7−229431号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第2の従来例のような可変圧縮比機構を備えたエンジンで第1の従来例のような一般的なEGR率制御を行った場合、以下のような問題が生じる可能性がある。
【0006】
すなわち、問題が生じる状態としては、EGR率が高く、圧縮比が低い状態が重なった場合がある。この場合、EGR率が高いことによって燃焼速度が低下している上に、圧縮比が低いことによってさらに燃焼速度が減少するため、燃焼の安定性が悪くなる可能性がある。
【0007】
通常、EGR率と圧縮比の目標値の設定は、高負荷ではEGR率も圧縮比も低く設定され、低負荷ではその逆となる。よって、目標EGR率と目標圧縮比を常に実現できるのであれば、上記のような状態は生じることはない。
【0008】
しかしながら、実際は、それぞれに応答遅れが生じることから、例えば、図2に示すようにアクセル開度を減少させて高負荷から低負荷に移行する運転状態においてEGR率よりも圧縮比の応答が遅い場合、一時的に高EGR率・低圧縮比の状態が生じる。このような場合に、前述のように燃焼の安定性が悪くなる可能性がある。この他、低負荷時でも高圧縮比とすることが好ましくない条件では低圧縮に維持する場合があり、この場合も高EGR率・低圧縮比の状態が生じるから燃焼の安定性が悪くなる可能性がある。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、高EGR率・低圧縮比の状態が生じないようにEGR量を調整して制御することにより、燃焼性の悪化を抑制できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、エンジン運転状態と圧縮比可変機構によって制御される実圧縮比とに基づいてEGR量可変機構を制御する構成とした。
【0011】
これにより、圧縮比可変機構で制御される圧縮比の遅れに生じたような場合でも、実圧縮比に基づいてEGR量可変機構の制御が調整されて実圧縮比に適合したEGR量に制御することができるので、高EGR率・低圧縮比の状態が生じることなく燃焼性の悪化を防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、可変圧縮比機構ともなる複リンク式ピストン−クランク機構を備えたエンジンの全体図である。
【0013】
クランク軸31は、複数のジャーナル部32とクランクピン部33とカウンタウエィト部31aとを備えており、エンジン本体となる図示しないシリンダブロックの主軸受に、ジャーナル部32が回転自在に支持されている。前記クランクピン部33は、ジャーナル部32から所定量偏心しており、ここに第2リンクとなるロアーリンク34が回転自在に連結されている。
【0014】
前記ロアーリンク34は、略T字形をなすもので、その本体34aとキャップ34bとから分割可能に構成された略中央の連結孔に前記クランクピン部33が嵌合している。
【0015】
第1リンクとなるアッパーリンク35は、下端側が連結ピン36によりロアーリンク34の一端に回動可能に連結され、上端側がピストンピン37によりピストン38に回動可能に連結されている。前記ピストン38は、燃焼圧力を受け、シリンダブロックのシリンダ39内を往復動する。
【0016】
前記シリンダ39の上部には、クランク軸31の回転に同期して吸気ポート44を開閉する吸気弁43と、同じくクランク軸31の回転に同期して排気ポート46を開閉する排気弁45と、が配置されている。
【0017】
第3リンクとなる制御リンク40は、上端側が連結ピン41によりロアーリンク34の他端に回動可能に連結され、下端側が制御軸42を介してエンジン本体例えばシリンダブロックの適宜位置に回動可能に連結されている。詳しくは、制御軸42は、小径部42bを中心として回転するようにエンジン本体に支持されており、この小径部42bに対し偏心している大径部42aに、前記制御リンク40下端部が回転可能に嵌合している。
【0018】
前記小径部42bは、圧縮比制御アクチュエータ43によって回動位置が制御される。小径部42bが回動すると小径部42bに対して偏心している大径部42aの軸中心位置、特に、エンジン本体に対する相対位置が変化する。これにより、制御リンク40の下端の揺動支持位置が変化する。そして、前記制御リンク40の揺動支持位置が変化すると、ピストン38の行程が変化し、ピストン上死点(TDC)におけるピストン38の位置が上下する(つまり図1のy座標が大きく)。これにより、エンジン圧縮比を変えることが可能となる。前記圧縮比制御アクチュエータ43は、制御リンク40から加わる反力に抗して、任意の回動位置で小径部42bを保持することができるようになっている。圧縮比制御アクチュエータ43としては、油圧ベーン式アクチュエータを用いる。
【0019】
図2〜図4は、該圧縮比制御アクチュエータ43を制御する油圧システムを示す。図において、圧縮比制御アクチュエータ43は、ハウジング43a内に前記小径部42bに連結された駆動軸43b及び該駆動軸43bに固定されてハウジング43a内を容積可変なA室とB室とに仕切るベーン43cが回動自由に収納される。一方、電動モータ101で駆動されるオイルポンプ102の吐出口が、逆止弁103,開閉弁104,方向切換弁105のポートcに接続され、該方向切換弁105のポートdが低圧側のオイルパン106に接続される。また、前記方向切換弁105のポートe,fが、それぞれ前記圧縮比制御アクチュエータ43のポートa,bに接続される。また、前記逆止弁103と開閉弁104との間から分岐するオイル通路にアキュームレータ107が接続され、開閉弁104と方向切換弁105との間から分岐するオイル通路がエンジンオイルギャラリーに接続される。
【0020】
そして、図2の状態では前記開閉弁104が開、方向切換弁105が図示左端に制御され、オイルポンプ102から吐出された高圧油は、開閉弁104、方向切換弁105のポートc,eを介して前記圧縮比制御アクチュエータ43のポートaからA室に供給され、B室内の油は、ポートbから方向切換弁105のポートf,dを介してオイルパン106に戻される。これにより、A室の容積が増大してベーン43cと共に小径部42bが図で時計回りに回動し、制御リンク40の揺動支持位置が変化して低圧縮比に制御される。
【0021】
一方、上記状態から図3に示すように、方向切換弁105を図示右端に切換制御すると、高圧油は、開閉弁104のポートc,fを介して前記圧縮比制御アクチュエータ43のポートbからB室に供給され、A室内の油は、ポートaから方向切換弁105のポートe,dを介してオイルパン106に戻される。これにより、B室の容積が増大してベーン43cと共に小径部42bが図で反時計回りに回動し、制御リンク40の揺動支持位置が変化して高圧縮比に制御される。高圧縮比側に保持する場合は、図4に示すように、方向切換弁105を図示中央に移動させると共に、開閉弁104を閉とする。
【0022】
図1に戻って、このエンジンは、過給機としてターボ過給機51を備えている。このターボ過給機51は、排気通路54に位置するタービン52と吸気通路55に位置するコンプレッサ53とを同軸状に配置した構成であり、運転条件に応じて過給圧を制御するために、タービン52の上流側から排気の一部をバイパスさせる排気バイパス弁56を備えている。
【0023】
また、前記コンプレッサ53下流の吸気通路55にEGR量を可変制御するスロットル弁57を備え、該スロットル弁57がステップモータなどのスロットルアクチュエータ58により駆動される。
【0024】
また、前記排気通路54のエンジン本体とタービン52との間から分岐してスロットル弁57下流の吸気通路55に接続するEGR通路59と、該EGR通路59に介装されたEGR弁60とが設けられている。
【0025】
前記EGR弁60は、例えば、ステップモータを用いた電子制御式のものであり、その開度に応じて吸気側に還流する排気の量、すなわち、エンジン本体に吸入されるEGR量を制御する。
【0026】
エンジン運転状態を検出するセンサ類として、ドライバにより操作されるアクセル開度を検出するアクセル開度センサ61、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ62、スロットル弁57上流の過給圧を検出する過給圧センサ63、実圧縮比を検出する圧縮比センサ64、エンジン冷却水温度を検出する水温センサ65、ノッキングを検出するノッキングセンサ66、吸入新気量を検出するエアフローメータ67が設けられ、これらセンサ類からの検出信号は、エンジンコントロールユニット(ECU)68に入力される。
【0027】
かかる構成のエンジンにおいて、前記ECU68は、各種エンジン制御(燃料噴射制御、点火制御等)と共に、前記可変圧縮比機構による圧縮比の制御及びこれにより制御される実圧縮比に応じた前記EGR弁60の開度制御を以下のように実行する。
【0028】
図5は、前記EGR弁制御の制御ブロック、図6はメインフローを示す。
図6において、ステップ1では、エンジン運転状態、例えばエンジン負荷を代表するアクセル開度とエンジン回転速度とに基づいて、図7に示したマップにより目標圧縮比を設定する。具体的には、アクセル開度(エンジン負荷)が大きくなるほどノッキング発生傾向が増大するのでノッキング抑制のため圧縮比を小さくするが、高回転領域では充填効率が低下するので少し圧縮比を大きめに設定する。
【0029】
ステップ2では、設定された目標圧縮比となるように前記可変圧縮比機構を駆動する。
ステップ3では、エンジン運転状態、例えば目標圧縮比設定の場合と同様に、アクセル開度とエンジン回転速度とに基づいて、図8に示したマップにより目標EGR率の基本値を設定する。
【0030】
ステップ4では、前記圧縮比センサ64によって検出された実圧縮比を読み込む。
ステップ5では、実圧縮比に基づいて、図9に示す特性マップによりEGR率上限値を設定する。具体的には、圧縮比が大きいときは燃焼速度が増大するのでEGR率上限値を高くすることが可能であるが、圧縮比が小さくなるほど燃焼速度が減少しEGR率が大きいと燃焼速度の減少が助長されて燃焼性が悪化するので、EGR率上限値が小さい値に設定される。
【0031】
ステップ6では、前記目標EGR率の基本値tEGRbaseとEGR率上限値EGRlmtとのうち、小さい方を最終的に目標EGR率tEGRとして設定する。つまり、目標EGR率の基本値の上限を制限して最終的な目標EGR率とする。
【0032】
ステップ7では、前記最終的に設定した目標EGR率に基づいて目標EGR弁開度を算出する。具体的な目標EGR弁開度の算出ルーチンを、図10のフローチャートに従って説明する。
【0033】
ステップ11では、エアフローメータ67により吸入新気量Qaを検出する。
ステップ12では、前記吸入新気量Qaと目標EGR率の基本値tEGRとに基づいて、次式により目標EGR量tQegrを算出する。
【0034】
tQegr=Qa×tEGR/100
ステップ13では、EGR弁60の前後差圧を検出する。これは、圧力センサを用いて検出すると高精度に検出できるが、エンジン運転状態に応じて推定して求めることもできる。
【0035】
ステップ14では、前記目標EGR量とEGR弁60の前後差圧とに基づいて図該目標EGR量を得られる目標EGR弁開度を図11に示した特性マップから算出する。
【0036】
図6に戻って、ステップ8では、上記にようにして算出された目標EGR弁開度となるようにEGR弁60を操作する。
図12は、上記第1実施形態の減速時における動作を示す。アクセル開度の減少に追従して増大する目標EGR率の基本値に対し、EGR率上限値で制限して設定された最終的な目標EGR率によって、目標EGR弁開度の増大が制限される。これにより、EGR量の増大に遅れが与えられて目標圧縮比に対して遅れが大きい実圧縮比の減少と良好にマッチングして高EGR率・低圧縮比となることを回避でき良好な燃焼性を維持することができる。
【0037】
次に、第2の実施形態を説明する。図13は制御ブロック、図14はメインフローを示し、ステップ1〜ステップ4までは第1の実施形態と同様である。
ステップ5’では、実圧縮比に基づいて、図15に示す特性マップにより、目標EGR率の基本値に乗じられるEGR率補正ゲインを設定する。具体的には、前記上限値で制限するのと同様の考え方で、圧縮比が小さくなるほど目標EGR率の減少補正量を大きくするように、EGR率補正ゲインを小さい値に設定される。
【0038】
ステップ6’では、目標EGR率の基本値tEGRbaseに前記EGR率補正ゲインGegrを乗じて最終的に目標EGR率tEGR(=tEGRbase×Gegr)を算出する。
【0039】
ステップ7,8では、第1の実施形態と同様に、最終的に設定された目標EGR率tEGRに基づいて目標EGR量が得られるように目標EGR弁開度を算出し、該目標EGR弁開度となるようにEGR弁60を操作する。
【0040】
次に、第3の実施形態を説明する。図16は制御ブロック、図17はメインフローを示し、ステップ1〜ステップ5までは第1の実施形態と同様である。
ステップ61では、ステップ6と同様に前記目標EGR率の基本値tEGRbaseとEGR率上限値EGRlmtとのうち、小さい方を選択するが、最終的ではなく第2の目標EGR率tEGR2として設定する。
【0041】
ステップ62では、前記第2の目標EGR率tEGR2に対し、次式のようにEGR率制御の遅れを考慮して位相進み処理を行って最終的な目標EGR率tEGRを算出する。
【0042】
τegr:EGR率制御応答遅れ時定数
τa:進み補償時定数
Δt:サンプリング時間
z−1:1演算遅れを表す演算子
以下、ステップ7,8で、第1,第2の実施形態と同様に、最終的に設定された目標EGR率tEGRに基づいて目標EGR量が得られるように目標EGR弁開度を算出し、該目標EGR弁開度となるようにEGR弁60を操作する。
【0043】
次に、上記第3の実施形態と同様の考えを、第2の実施形態に適用した第4の実施形態を図18は制御ブロック、図19はメインフローを示す。すなわち、ステップ1〜ステップ5’までは第2の実施形態と同様であり、目標EGR率の基本値にEGR率補正ゲインを乗じて算出した第2の目標EGR率を、ステップ61以降で第3の実施形態と同様に位相進み処理を行って最終的に目標EGR率を設定し、目標EGR量,目標EGR弁開度を順次算出してEGR弁60を操作する。
【0044】
位相進み処理を行なわない第1,第2の実施形態では、EGR率制御の応答遅れにより実際のEGR量が必要以上に制限されてしまうことがあるが、第3,第4の実施形態では、位相進み処理を行って最終的な目標EGR率を算出する構成とすることで、過度にEGR率を制限することがなくなり、排気浄化などの要求から定まる本来実現させたい値である基本値に、実値をより近づけることができる。
【0045】
次に、第5の実施形態を説明する。図20は制御ブロック、図21はメインフローを示す。ステップ1〜ステップ4までは第1の実施形態と同様である。
ステップ101では、ステップ1で設定した目標圧縮比tεとステップ4で検出した実圧縮比εとの偏差Δε(=tε−ε)を算出する。
【0046】
ステップ102では、前記圧縮比偏差Δεに基づいて、図22に示す特性マップにより、目標EGR率を動的に補正するための時定数τを設定する。ここで、前記時定数τは、前記圧縮比偏差Δεが正の値で大きいほど大きい値に設定されている。
【0047】
ステップ103では、前記ステップ3で設定した目標EGR率の基本値tEGRbaseに対し、前記時定数τを用いて次式のように動的な補正を行って最終的な目標EGR率tEGRを算出する。
【0048】
このようにすれば、正の圧縮比偏差Δεが大きいほど時定数τが大きい値に設定されることによって、上記各実施形態と同様に圧縮比の応答遅れによる高EGR率・低圧縮比の状態となることを回避して良好な燃焼性を維持でき、かつ、実際の圧縮比の応答遅れの状態を監視しつつ目標EGR率を補正するのでより高精度なEGR率制御を行って、排気浄化性能も可及的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るEGR制御装置を備えたエンジンのシステム構成図。
【図2】同上装置の圧縮比可変機構により低圧縮比に操作するときの動作を示す図。
【図3】同じく高圧縮比に操作するときの動作を示す図。
【図4】同じく高圧縮比に維持するときの動作を示す図。
【図5】第1の実施形態の制御ブロック図。
【図6】同じくメインフローを示す図。
【図7】同じく目標圧縮比の設定マップ。
【図8】同じく目標EGR率の設定マップ。
【図9】同じくEGR率上限値の設定マップ。
【図10】同じくEGR弁開度を設定するサブフローを示す図。
【図11】同じくEGR弁開度の設定マップ。
【図12】同じく第1の実施形態の作用・効果を示すタイムチャート。
【図13】同じく要求負荷とエンジン回転速度とに基づいて目標EGR率を求めるための特性マップ。
【図14】第2の実施形態の制御ブロック図。
【図15】同じくEGR率補正ゲインの設定マップ。
【図16】第3の実施形態の制御ブロック図。
【図17】同じくメインフローを示す図。
【図18】第4の実施形態の制御ブロック図。
【図19】同じくメインフローを示す図。
【図20】第5の実施形態の制御ブロック図。
【図21】同じくメインフローを示す図。
【図22】同じくEGR率補正時定数の設定マップ。
【符号の説明】
31…クランク軸 34…ロアーリンク 35…アッパーリンク 38…ピストン 40…制御リンク 42…制御軸 43…圧縮比制御アクチュエータ 51…ターボ過給機 57…スロットル弁 58…スロットルアクチュエータ 59…EGR通路 60…EGR弁 61…アクセル開度センサ 62…回転速度センサ 63…過給圧センサ 64…圧縮比センサ 67…エアフローメータ 68…ECU
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮比を可変制御するエンジンにおいてEGR量を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なEGR制御として、エンジンの運転状態に基づいて目標EGR率を設定し、該目標EGR率を実現するようにEGR弁開度を制御するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
一方、エンジンは圧縮比を高くするほど燃料消費率が向上するが、高負荷運転時にノッキングが発生しやすくなる。そこで、圧縮比を可変とし得るエンジンにおいて、低負荷運転時に高圧縮比とし、高負荷運転時時に低圧縮比とすることによって、ノッキングを発生させずに燃料消費率を向上させようとしたものがある(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平09−053519公報
【特許文献2】
特開平7−229431号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記第2の従来例のような可変圧縮比機構を備えたエンジンで第1の従来例のような一般的なEGR率制御を行った場合、以下のような問題が生じる可能性がある。
【0006】
すなわち、問題が生じる状態としては、EGR率が高く、圧縮比が低い状態が重なった場合がある。この場合、EGR率が高いことによって燃焼速度が低下している上に、圧縮比が低いことによってさらに燃焼速度が減少するため、燃焼の安定性が悪くなる可能性がある。
【0007】
通常、EGR率と圧縮比の目標値の設定は、高負荷ではEGR率も圧縮比も低く設定され、低負荷ではその逆となる。よって、目標EGR率と目標圧縮比を常に実現できるのであれば、上記のような状態は生じることはない。
【0008】
しかしながら、実際は、それぞれに応答遅れが生じることから、例えば、図2に示すようにアクセル開度を減少させて高負荷から低負荷に移行する運転状態においてEGR率よりも圧縮比の応答が遅い場合、一時的に高EGR率・低圧縮比の状態が生じる。このような場合に、前述のように燃焼の安定性が悪くなる可能性がある。この他、低負荷時でも高圧縮比とすることが好ましくない条件では低圧縮に維持する場合があり、この場合も高EGR率・低圧縮比の状態が生じるから燃焼の安定性が悪くなる可能性がある。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、高EGR率・低圧縮比の状態が生じないようにEGR量を調整して制御することにより、燃焼性の悪化を抑制できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このため本発明は、エンジン運転状態と圧縮比可変機構によって制御される実圧縮比とに基づいてEGR量可変機構を制御する構成とした。
【0011】
これにより、圧縮比可変機構で制御される圧縮比の遅れに生じたような場合でも、実圧縮比に基づいてEGR量可変機構の制御が調整されて実圧縮比に適合したEGR量に制御することができるので、高EGR率・低圧縮比の状態が生じることなく燃焼性の悪化を防止できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。
図1は、可変圧縮比機構ともなる複リンク式ピストン−クランク機構を備えたエンジンの全体図である。
【0013】
クランク軸31は、複数のジャーナル部32とクランクピン部33とカウンタウエィト部31aとを備えており、エンジン本体となる図示しないシリンダブロックの主軸受に、ジャーナル部32が回転自在に支持されている。前記クランクピン部33は、ジャーナル部32から所定量偏心しており、ここに第2リンクとなるロアーリンク34が回転自在に連結されている。
【0014】
前記ロアーリンク34は、略T字形をなすもので、その本体34aとキャップ34bとから分割可能に構成された略中央の連結孔に前記クランクピン部33が嵌合している。
【0015】
第1リンクとなるアッパーリンク35は、下端側が連結ピン36によりロアーリンク34の一端に回動可能に連結され、上端側がピストンピン37によりピストン38に回動可能に連結されている。前記ピストン38は、燃焼圧力を受け、シリンダブロックのシリンダ39内を往復動する。
【0016】
前記シリンダ39の上部には、クランク軸31の回転に同期して吸気ポート44を開閉する吸気弁43と、同じくクランク軸31の回転に同期して排気ポート46を開閉する排気弁45と、が配置されている。
【0017】
第3リンクとなる制御リンク40は、上端側が連結ピン41によりロアーリンク34の他端に回動可能に連結され、下端側が制御軸42を介してエンジン本体例えばシリンダブロックの適宜位置に回動可能に連結されている。詳しくは、制御軸42は、小径部42bを中心として回転するようにエンジン本体に支持されており、この小径部42bに対し偏心している大径部42aに、前記制御リンク40下端部が回転可能に嵌合している。
【0018】
前記小径部42bは、圧縮比制御アクチュエータ43によって回動位置が制御される。小径部42bが回動すると小径部42bに対して偏心している大径部42aの軸中心位置、特に、エンジン本体に対する相対位置が変化する。これにより、制御リンク40の下端の揺動支持位置が変化する。そして、前記制御リンク40の揺動支持位置が変化すると、ピストン38の行程が変化し、ピストン上死点(TDC)におけるピストン38の位置が上下する(つまり図1のy座標が大きく)。これにより、エンジン圧縮比を変えることが可能となる。前記圧縮比制御アクチュエータ43は、制御リンク40から加わる反力に抗して、任意の回動位置で小径部42bを保持することができるようになっている。圧縮比制御アクチュエータ43としては、油圧ベーン式アクチュエータを用いる。
【0019】
図2〜図4は、該圧縮比制御アクチュエータ43を制御する油圧システムを示す。図において、圧縮比制御アクチュエータ43は、ハウジング43a内に前記小径部42bに連結された駆動軸43b及び該駆動軸43bに固定されてハウジング43a内を容積可変なA室とB室とに仕切るベーン43cが回動自由に収納される。一方、電動モータ101で駆動されるオイルポンプ102の吐出口が、逆止弁103,開閉弁104,方向切換弁105のポートcに接続され、該方向切換弁105のポートdが低圧側のオイルパン106に接続される。また、前記方向切換弁105のポートe,fが、それぞれ前記圧縮比制御アクチュエータ43のポートa,bに接続される。また、前記逆止弁103と開閉弁104との間から分岐するオイル通路にアキュームレータ107が接続され、開閉弁104と方向切換弁105との間から分岐するオイル通路がエンジンオイルギャラリーに接続される。
【0020】
そして、図2の状態では前記開閉弁104が開、方向切換弁105が図示左端に制御され、オイルポンプ102から吐出された高圧油は、開閉弁104、方向切換弁105のポートc,eを介して前記圧縮比制御アクチュエータ43のポートaからA室に供給され、B室内の油は、ポートbから方向切換弁105のポートf,dを介してオイルパン106に戻される。これにより、A室の容積が増大してベーン43cと共に小径部42bが図で時計回りに回動し、制御リンク40の揺動支持位置が変化して低圧縮比に制御される。
【0021】
一方、上記状態から図3に示すように、方向切換弁105を図示右端に切換制御すると、高圧油は、開閉弁104のポートc,fを介して前記圧縮比制御アクチュエータ43のポートbからB室に供給され、A室内の油は、ポートaから方向切換弁105のポートe,dを介してオイルパン106に戻される。これにより、B室の容積が増大してベーン43cと共に小径部42bが図で反時計回りに回動し、制御リンク40の揺動支持位置が変化して高圧縮比に制御される。高圧縮比側に保持する場合は、図4に示すように、方向切換弁105を図示中央に移動させると共に、開閉弁104を閉とする。
【0022】
図1に戻って、このエンジンは、過給機としてターボ過給機51を備えている。このターボ過給機51は、排気通路54に位置するタービン52と吸気通路55に位置するコンプレッサ53とを同軸状に配置した構成であり、運転条件に応じて過給圧を制御するために、タービン52の上流側から排気の一部をバイパスさせる排気バイパス弁56を備えている。
【0023】
また、前記コンプレッサ53下流の吸気通路55にEGR量を可変制御するスロットル弁57を備え、該スロットル弁57がステップモータなどのスロットルアクチュエータ58により駆動される。
【0024】
また、前記排気通路54のエンジン本体とタービン52との間から分岐してスロットル弁57下流の吸気通路55に接続するEGR通路59と、該EGR通路59に介装されたEGR弁60とが設けられている。
【0025】
前記EGR弁60は、例えば、ステップモータを用いた電子制御式のものであり、その開度に応じて吸気側に還流する排気の量、すなわち、エンジン本体に吸入されるEGR量を制御する。
【0026】
エンジン運転状態を検出するセンサ類として、ドライバにより操作されるアクセル開度を検出するアクセル開度センサ61、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ62、スロットル弁57上流の過給圧を検出する過給圧センサ63、実圧縮比を検出する圧縮比センサ64、エンジン冷却水温度を検出する水温センサ65、ノッキングを検出するノッキングセンサ66、吸入新気量を検出するエアフローメータ67が設けられ、これらセンサ類からの検出信号は、エンジンコントロールユニット(ECU)68に入力される。
【0027】
かかる構成のエンジンにおいて、前記ECU68は、各種エンジン制御(燃料噴射制御、点火制御等)と共に、前記可変圧縮比機構による圧縮比の制御及びこれにより制御される実圧縮比に応じた前記EGR弁60の開度制御を以下のように実行する。
【0028】
図5は、前記EGR弁制御の制御ブロック、図6はメインフローを示す。
図6において、ステップ1では、エンジン運転状態、例えばエンジン負荷を代表するアクセル開度とエンジン回転速度とに基づいて、図7に示したマップにより目標圧縮比を設定する。具体的には、アクセル開度(エンジン負荷)が大きくなるほどノッキング発生傾向が増大するのでノッキング抑制のため圧縮比を小さくするが、高回転領域では充填効率が低下するので少し圧縮比を大きめに設定する。
【0029】
ステップ2では、設定された目標圧縮比となるように前記可変圧縮比機構を駆動する。
ステップ3では、エンジン運転状態、例えば目標圧縮比設定の場合と同様に、アクセル開度とエンジン回転速度とに基づいて、図8に示したマップにより目標EGR率の基本値を設定する。
【0030】
ステップ4では、前記圧縮比センサ64によって検出された実圧縮比を読み込む。
ステップ5では、実圧縮比に基づいて、図9に示す特性マップによりEGR率上限値を設定する。具体的には、圧縮比が大きいときは燃焼速度が増大するのでEGR率上限値を高くすることが可能であるが、圧縮比が小さくなるほど燃焼速度が減少しEGR率が大きいと燃焼速度の減少が助長されて燃焼性が悪化するので、EGR率上限値が小さい値に設定される。
【0031】
ステップ6では、前記目標EGR率の基本値tEGRbaseとEGR率上限値EGRlmtとのうち、小さい方を最終的に目標EGR率tEGRとして設定する。つまり、目標EGR率の基本値の上限を制限して最終的な目標EGR率とする。
【0032】
ステップ7では、前記最終的に設定した目標EGR率に基づいて目標EGR弁開度を算出する。具体的な目標EGR弁開度の算出ルーチンを、図10のフローチャートに従って説明する。
【0033】
ステップ11では、エアフローメータ67により吸入新気量Qaを検出する。
ステップ12では、前記吸入新気量Qaと目標EGR率の基本値tEGRとに基づいて、次式により目標EGR量tQegrを算出する。
【0034】
tQegr=Qa×tEGR/100
ステップ13では、EGR弁60の前後差圧を検出する。これは、圧力センサを用いて検出すると高精度に検出できるが、エンジン運転状態に応じて推定して求めることもできる。
【0035】
ステップ14では、前記目標EGR量とEGR弁60の前後差圧とに基づいて図該目標EGR量を得られる目標EGR弁開度を図11に示した特性マップから算出する。
【0036】
図6に戻って、ステップ8では、上記にようにして算出された目標EGR弁開度となるようにEGR弁60を操作する。
図12は、上記第1実施形態の減速時における動作を示す。アクセル開度の減少に追従して増大する目標EGR率の基本値に対し、EGR率上限値で制限して設定された最終的な目標EGR率によって、目標EGR弁開度の増大が制限される。これにより、EGR量の増大に遅れが与えられて目標圧縮比に対して遅れが大きい実圧縮比の減少と良好にマッチングして高EGR率・低圧縮比となることを回避でき良好な燃焼性を維持することができる。
【0037】
次に、第2の実施形態を説明する。図13は制御ブロック、図14はメインフローを示し、ステップ1〜ステップ4までは第1の実施形態と同様である。
ステップ5’では、実圧縮比に基づいて、図15に示す特性マップにより、目標EGR率の基本値に乗じられるEGR率補正ゲインを設定する。具体的には、前記上限値で制限するのと同様の考え方で、圧縮比が小さくなるほど目標EGR率の減少補正量を大きくするように、EGR率補正ゲインを小さい値に設定される。
【0038】
ステップ6’では、目標EGR率の基本値tEGRbaseに前記EGR率補正ゲインGegrを乗じて最終的に目標EGR率tEGR(=tEGRbase×Gegr)を算出する。
【0039】
ステップ7,8では、第1の実施形態と同様に、最終的に設定された目標EGR率tEGRに基づいて目標EGR量が得られるように目標EGR弁開度を算出し、該目標EGR弁開度となるようにEGR弁60を操作する。
【0040】
次に、第3の実施形態を説明する。図16は制御ブロック、図17はメインフローを示し、ステップ1〜ステップ5までは第1の実施形態と同様である。
ステップ61では、ステップ6と同様に前記目標EGR率の基本値tEGRbaseとEGR率上限値EGRlmtとのうち、小さい方を選択するが、最終的ではなく第2の目標EGR率tEGR2として設定する。
【0041】
ステップ62では、前記第2の目標EGR率tEGR2に対し、次式のようにEGR率制御の遅れを考慮して位相進み処理を行って最終的な目標EGR率tEGRを算出する。
【0042】
τegr:EGR率制御応答遅れ時定数
τa:進み補償時定数
Δt:サンプリング時間
z−1:1演算遅れを表す演算子
以下、ステップ7,8で、第1,第2の実施形態と同様に、最終的に設定された目標EGR率tEGRに基づいて目標EGR量が得られるように目標EGR弁開度を算出し、該目標EGR弁開度となるようにEGR弁60を操作する。
【0043】
次に、上記第3の実施形態と同様の考えを、第2の実施形態に適用した第4の実施形態を図18は制御ブロック、図19はメインフローを示す。すなわち、ステップ1〜ステップ5’までは第2の実施形態と同様であり、目標EGR率の基本値にEGR率補正ゲインを乗じて算出した第2の目標EGR率を、ステップ61以降で第3の実施形態と同様に位相進み処理を行って最終的に目標EGR率を設定し、目標EGR量,目標EGR弁開度を順次算出してEGR弁60を操作する。
【0044】
位相進み処理を行なわない第1,第2の実施形態では、EGR率制御の応答遅れにより実際のEGR量が必要以上に制限されてしまうことがあるが、第3,第4の実施形態では、位相進み処理を行って最終的な目標EGR率を算出する構成とすることで、過度にEGR率を制限することがなくなり、排気浄化などの要求から定まる本来実現させたい値である基本値に、実値をより近づけることができる。
【0045】
次に、第5の実施形態を説明する。図20は制御ブロック、図21はメインフローを示す。ステップ1〜ステップ4までは第1の実施形態と同様である。
ステップ101では、ステップ1で設定した目標圧縮比tεとステップ4で検出した実圧縮比εとの偏差Δε(=tε−ε)を算出する。
【0046】
ステップ102では、前記圧縮比偏差Δεに基づいて、図22に示す特性マップにより、目標EGR率を動的に補正するための時定数τを設定する。ここで、前記時定数τは、前記圧縮比偏差Δεが正の値で大きいほど大きい値に設定されている。
【0047】
ステップ103では、前記ステップ3で設定した目標EGR率の基本値tEGRbaseに対し、前記時定数τを用いて次式のように動的な補正を行って最終的な目標EGR率tEGRを算出する。
【0048】
このようにすれば、正の圧縮比偏差Δεが大きいほど時定数τが大きい値に設定されることによって、上記各実施形態と同様に圧縮比の応答遅れによる高EGR率・低圧縮比の状態となることを回避して良好な燃焼性を維持でき、かつ、実際の圧縮比の応答遅れの状態を監視しつつ目標EGR率を補正するのでより高精度なEGR率制御を行って、排気浄化性能も可及的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るEGR制御装置を備えたエンジンのシステム構成図。
【図2】同上装置の圧縮比可変機構により低圧縮比に操作するときの動作を示す図。
【図3】同じく高圧縮比に操作するときの動作を示す図。
【図4】同じく高圧縮比に維持するときの動作を示す図。
【図5】第1の実施形態の制御ブロック図。
【図6】同じくメインフローを示す図。
【図7】同じく目標圧縮比の設定マップ。
【図8】同じく目標EGR率の設定マップ。
【図9】同じくEGR率上限値の設定マップ。
【図10】同じくEGR弁開度を設定するサブフローを示す図。
【図11】同じくEGR弁開度の設定マップ。
【図12】同じく第1の実施形態の作用・効果を示すタイムチャート。
【図13】同じく要求負荷とエンジン回転速度とに基づいて目標EGR率を求めるための特性マップ。
【図14】第2の実施形態の制御ブロック図。
【図15】同じくEGR率補正ゲインの設定マップ。
【図16】第3の実施形態の制御ブロック図。
【図17】同じくメインフローを示す図。
【図18】第4の実施形態の制御ブロック図。
【図19】同じくメインフローを示す図。
【図20】第5の実施形態の制御ブロック図。
【図21】同じくメインフローを示す図。
【図22】同じくEGR率補正時定数の設定マップ。
【符号の説明】
31…クランク軸 34…ロアーリンク 35…アッパーリンク 38…ピストン 40…制御リンク 42…制御軸 43…圧縮比制御アクチュエータ 51…ターボ過給機 57…スロットル弁 58…スロットルアクチュエータ 59…EGR通路 60…EGR弁 61…アクセル開度センサ 62…回転速度センサ 63…過給圧センサ 64…圧縮比センサ 67…エアフローメータ 68…ECU
Claims (7)
- EGR量を可変とするEGR量可変機構と、圧縮比を可変とする圧縮比可変機構を備えたエンジンのEGR制御装置であって、
エンジン運転状態と前記圧縮比可変機構によって制御される実圧縮比とに基づいて前記EGR量可変機構を制御することを特徴とするエンジンのEGR制御装置。 - 前記圧縮比可変機構により圧縮比をエンジン運転状態に基づいて制御しつつ、エンジン運転状態に基づいて設定した目標EGR率の基本値を、実圧縮比に基づいて設定したEGR率上限値により制限して最終的に目標EGR率を設定し、該最終的に設定された目標EGR率を満たすように前記EGR量可変機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気制御装置。
- 前記圧縮比可変機構により圧縮比をエンジン運転状態に基づいて制御しつつ、エンジン運転状態に基づいて設定した目標EGR率の基本値を、実圧縮比に基づいて設定したEGR率上限値により制限して第2の目標EGR率を設定し、該第2の目標EGR率に対してEGR制御の応答遅れに基づく位相進み処理を行って最終的に目標EGR率を設定し、該最終的に設定された目標EGR率を満たすように前記EGR量可変機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気制御装置。
- 前記圧縮比可変機構により圧縮比をエンジン運転状態に基づいて制御しつつ、エンジン運転状態に基づいて設定した目標EGR率の基本値を、実圧縮比に基づいて設定した補正ゲインにより補正して最終的に目標EGR率を設定し、該最終的に設定された目標EGR率を満たすように前記EGR量可変機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気制御装置。
- 前記圧縮比可変機構により圧縮比をエンジン運転状態に基づいて制御しつつ、エンジン運転状態に基づいて設定した目標EGR率の基本値を、実圧縮比に基づいて設定した補正ゲインにより補正して第2の目標EGR率を設定し、該第2の目標EGR率に対してEGR制御の応答遅れに基づく位相進み処理を行って最終的に目標EGR率を設定し、該最終的に設定された目標EGR率を満たすように前記EGR量可変機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気制御装置。
- 前記圧縮比可変機構により圧縮比をエンジン運転状態に基づいて制御しつつ、エンジン運転状態に基づいて目標EGR率の基本値及び目標圧縮比を設定し、かつ、前記目標圧縮比に対する実圧縮比の偏差に基づいて目標EGR率を動的に補正するための時定数を設定し、前記目標EGR率の基本値を前記時定数により動的に補正して最終的に目標EGR率を設定し、該最終的に設定された目標EGR率を満たすように前記EGR量可変機構を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンの吸気制御装置。
- 前記圧縮比可変機構は、
一端がピストンにピストンピンを介して連結されるアッパリンクと、
前記アッパリンクの他端が第1連結ピンを介して連結されるとともに、クランクシャフトのクランクピンに回転可能に取り付けられるロアリンクと、
このロアリンクに第2連結ピンを介して一端が連結されるとともに、他端がエンジン本体に対して揺動可能に支持されるコントロールリンクと、
圧縮比の変更時に、前記コントロールリンクの他端の位置をエンジン本体に対して変位させる支持位置可変手段と、
を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のエンジンの吸気制御装置。
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-
2003
- 2003-01-23 JP JP2003014286A patent/JP2004225605A/ja active Pending
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