JP2004224968A - ポリエステルの製造方法、及び製造装置 - Google Patents

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Sumio Muranaka
純夫 村中
Masaya Suzuki
昌也 鈴木
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Abstract

【課題】本発明は、休転することなく、留出液が循環する装置内に付着したオリゴマーを除去し、安定した連続運転を可能とするポリエステルの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のポリエステルの製造方法は、ジカルボン酸と多価アルコールとの反応で生じた蒸気を凝縮して留出液とし、該留出液を冷媒として循環させるポリエステルの製造方法において、留出液にアルカリ溶液を添加することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステルの製造方法、及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と、エチレングリコールを主成分とする多価アルコールとによりポリエステルを製造する際に、水及びエチレングリコールが蒸気となって留出するが、通常、これらの蒸気は液体として回収される。そして、蒸気を液化するために凝縮器で冷却が行われる。その際、先に蒸気を冷却して液化した留出液の一部を循環・冷却して冷媒として用いる方法が提案されている。すなわち、図2に示すように、反応容器51にて生じた蒸気を凝縮器52にて冷却、凝縮させ留出液とした後に回収するが、貯留タンク53に貯留した留出液の一部を、循環ポンプ55を用いて、冷却器54に送って冷却し、再び凝縮器52に循環させて冷媒として使用する。
【0003】
ところが、反応容器51から水とエチレングリコールとが留出する際、原料からなるオリゴマーが随伴して、凝縮器52に混入することがある。そして、凝縮器52に混入したオリゴマーは留出液とともに循環、冷却されて、凝縮器52、冷却器54内に付着することがある。このように、留出液が循環する凝縮器52や冷却器54などの装置内にオリゴマーが付着すると、冷却効果が低下して留出液の温度が上昇し、長期の連続運転が困難となる問題があった。
【0004】
そこで、上記問題の解決策として、冷却効果が低下した場合に、予備の冷却器に切り替えて連続運転を実施し、一方で使用した装置の分解掃除を行ったり、または、モノマーのエステル化で得られる凝縮液を用いて冷却器を洗浄する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−81430号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、予備の冷却器に切り替えて分解掃除を行う方法では、予備機台への切り替え作業、及び付着オリゴマーの除去作業には多大な労力を要するとともに、装置の分解時や、運転再開時に漏洩等が発生する懸念がある。
また、凝縮液を用いて洗浄する方法においても、切り替えの手間や、洗浄中に凝縮が中断される等の問題がある。
【0007】
本発明は、休転することなく、留出液が循環する装置内に付着したオリゴマーを除去し、安定した連続運転を可能とするポリエステルの製造方法、及び製造装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステルの製造方法は、ジカルボン酸と多価アルコールとの反応で生じた蒸気を凝縮して留出液とし、該留出液を冷媒として循環させるポリエステルの製造方法において、留出液にアルカリ溶液を添加することを特徴とする。
また、留出液を貯留タンクに貯留し、該貯留タンクにおける留出液中のアルカリ溶液濃度が1000〜1500ppmとなるように、アルカリ溶液を貯留タンクに添加することが好ましい。
本発明のポリエステルの製造装置は、ジカルボン酸と多価アルコールとを反応させてポリエステルを製造する反応容器と、反応容器と接続し、該反応容器にて生じる蒸気を凝縮する凝縮器にて得られる留出液の一部を冷却して凝縮器に循環させる留出液循環機構とを具備するポリエステルの製造装置において、留出液循環機構中の留出液にアルカリ溶液を添加するアルカリ溶液添加手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のポリエステルの製造方法に使用される製造装置の一実施形態を示す概略図である。図中符号1はジカルボン酸と多価アルコールとの反応を行う反応容器であり、反応容器1にて生じた蒸気は凝縮器2に集められ、冷却されて留出液となり、貯留タンク3に送られた後、貯留タンク3内に貯留された留出液の量がある一定量以上に達すると排出管8より系外に回収される。反応容器1と凝縮器2との間は蒸気排出経路20で接続されており、凝縮器2と貯留タンク3との間は留出液循環経路10で接続されている。
【0010】
一方、貯留タンク3に溜められた留出液の一部は、冷却器4に送られて更に冷却され、再び凝縮器2に戻る。貯留タンク3と冷却器4との間は留出液循環経路11で接続されており、その途中に循環ポンプ5が設けられている。冷却器4と凝縮器2との間は、凝縮器2にて留出液を噴射する噴射ノズル12Aを備えた留出液循環経路12で接続されている。この際、留出液循環経路12は凝縮器2の上部に接続され、冷媒となる留出液を凝縮器2の上部から噴射して、効率良く蒸気の凝縮を行うことが好ましい。
【0011】
凝縮器2では、反応容器1にて生じた蒸気を捕集し、冷却して留出液とする。そして、先に凝縮器2にて凝縮されて貯留タンク3、冷却器4の順に移動し、凝縮器2に循環された留出液が、蒸気を冷却する冷媒として用いられる。こうして、凝縮器2、留出液循環経路10、貯留タンク3、留出液循環経路11、循環ポンプ5、冷却器4、留出液循環経路12から、留出液循環機構が構成される。
【0012】
本発明は、留出液中にアルカリ溶液を添加することが特徴であり、そのためのアルカリ溶液添加手段を設ける必要がある。アルカリ溶液添加手段としては、例えば、アルカリ溶液を一時的に貯留するアルカリ溶液槽6と、配管7とで構成され、配管7の片端をアルカリ溶液槽6に、他方の片端を貯留タンク3に接続した構造のものが例示できる。なお、アルカリ溶液を添加する場所としては、上述したように貯留タンク3が好ましいが、留出液中にアルカリ溶液が添加され、上記留出液循環機構中を循環すればよい。
【0013】
また、アルカリ溶液の添加速度を制御しながら規定範囲の濃度となるように添加するために、ポンプ(図示略)、流量計(図示略)、流量調節弁(図示略)を設置し、シーケンス制御にて自動起動、停止するシステムであることが望ましい。更に、アルカリ溶液の添加終了後に、配管7の添加ノズル7Aの水洗を実施する設備を具備することがより望ましい。
【0014】
次に、上述した装置を利用して、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と、エチレングリコールを主成分とする多価アルコールとを原料として使用した場合のポリエステルの製造方法について説明する。
まず、反応容器1に原料となるジカルボン酸と多価アルコールとを投入し、エステル化、重合反応を行う。ここで、反応によって生成した水及びエチレングリコールが蒸気となって反応容器1から留出し、蒸気排出経路20を介して凝縮器2へ移動するとともに、ジカルボン酸と多価アルコールとからなるオリゴマーが留出する。
【0015】
次いで、反応容器1から凝縮器2に供給された蒸気は、凝縮器2の上部に配置された噴射ノズル12Aより噴射される留出液により冷却され、凝縮されて液化する。液化した留出液は、留出液循環経路10を介して貯留タンク3へ移動する。貯留タンク3に供給された留出液は、アルカリ溶液添加手段により添加されるアルカリ溶液と混合される。
【0016】
上記アルカリ溶液としては、例えば、水酸化ナトリム溶液、水酸化カルシウム、アンモニア等を含むものが挙げられる。また、これらアルカリ溶液の濃度としては、10〜30質量%が好ましく、より好ましくは20〜25質量%である。アルカリ溶液の濃度が10質量%未満の場合、添加量が増大して設備が大型化する傾向にある。他方、30質量%を越えると、主に添加ノズル7A周辺で異物が発生し、添加ノズル7Aが閉塞する傾向にある。
【0017】
アルカリ溶液の添加量としては、例えば25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、貯留タンク3中の留出液とアルカリ溶液との混合液において1000〜1500ppmとなるように添加することが好ましく、より好ましくは1200〜1400ppmとなるように添加する。1000ppm未満の場合、ジカルボン酸と多価アルコールとからなるオリゴマーの除去効果が不十分であり、1500ppmを超えると、凝縮させて得られた水とエチレングリコールとの混合物を蒸留にて分離させる際に、悪影響を及ぼす傾向にある。
【0018】
また、上記範囲の規定濃度を実現するためには、アルカリ溶液の添加速度を制御すればよく、添加速度として0.5〜5.0kg/分とすることが好ましい。
【0019】
貯留タンク3にて一時的に貯留された留出液の液量がある一定量以上に達すると、排出管8より回収される。また、それ以外の留出液は、循環ポンプ5を備えた留出液循環経路11を介して、冷却器4へ供給されて冷却される。ここでは、2〜10℃程度となるように冷却されて、その後、留出液循環経路12を介して噴射ノズル12Aより凝縮器2内に噴射される。
【0020】
このように、アルカリ溶液を留出液中に添加し、循環させることによって、蒸気と随伴して混入したオリゴマーを、装置を作動しながら分解することができ、製造装置内におけるオリゴマーの付着を抑制するため、冷却器4の冷却効果の低下を防止することができる。
【0021】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
図1に示す装置を用いて、テレフタル酸とエチレングリコールとを原料として、ポリエステルの製造を実施した。
凝縮器2では、反応容器1から発生するエチレングリコール及び水の蒸気を捕集後、冷却、凝縮して貯留タンク3に供給する。貯留タンク3の後段に配置された循環ポンプ5は常時運転し、留出液は貯留タンク3から冷却器4を経由して冷却された後、凝縮器2に循環する。なお、装置運転当初の留出液の温度は37℃程度であった。
この装置を長時間連続運転すると、貯留タンク3内の留出液の液温が次第に上昇した。貯留タンク3内の液温が上昇することは、冷却器4の能力低下を意味しており、貯留タンク3内の液温を常時監視し、50℃まで上昇したところで、25%水酸化ナトリウム溶液を1kg/分の添加速度で20kg添加した。添加終了後、配管7に水を少量流通させて、添加ライン、配管7の水洗、置換を実施した。なお、添加終了直後を0分とし、留出液の温度の推移を表1に示す。
【0022】
【表1】
Figure 2004224968
【0023】
表1の結果から、留出液中にアルカリ溶液を添加したことによって、運転当初の冷却効果が得られ、予備の冷却器に切り替えて分解掃除を行うことなく、長期の連続運転を可能とすることが判明した。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、切り替え掃除を行うことなく、留出液の温度が上昇せず、2ヶ月以上の連続運転が可能となり、留出液の回収効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリエステルの製造方法に用いられる製造装置の一実施形態を示す概略図である。
【図2】従来のポリエステルの製造方法に用いられる製造装置の一実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
1、51・・・反応容器
2、52・・・凝縮器
3、53・・・貯留タンク
4、54・・・冷却器
5、55・・・循環ポンプ
6・・・アルカリ溶液貯留槽
7・・・配管
7A・・・添加ノズル
8・・・排出管
10、11、12・・・留出液循環経路
12A・・・噴射ノズル
20・・・蒸気排出経路

Claims (3)

  1. ジカルボン酸と多価アルコールとの反応で生じた蒸気を凝縮して留出液とし、該留出液を冷媒として循環させるポリエステルの製造方法において、
    前記留出液にアルカリ溶液を添加することを特徴とするポリエステルの製造方法。
  2. 前記留出液を貯留タンクに貯留し、該貯留タンクにおける留出液中のアルカリ溶液濃度が1000〜1500ppmとなるように、アルカリ溶液を貯留タンクに添加することを特徴とする請求項1記載のポリエステルの製造方法。
  3. ジカルボン酸と多価アルコールとを反応させてポリエステルを製造する反応容器と、
    前記反応容器と接続し、該反応容器にて生じる蒸気を凝縮する凝縮器にて得られる留出液の一部を冷却して凝縮器に循環させる留出液循環機構とを具備するポリエステルの製造装置において、
    前記留出液循環機構中の留出液にアルカリ溶液を添加するアルカリ溶液添加手段が設けられていることを特徴とするポリエステルの製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108532012A (zh) * 2018-03-13 2018-09-14 桐昆集团股份有限公司 一种聚酯eg喷淋循环系统及其改进工艺

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