JP2004224000A - 耐熱性を向上した改質ナイロン6t部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法の提供。
【解決手段】耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法は、ナイロン6T共重合体或いはその組成物を、向上剤としてのポリプロピレン樹脂存在下で、射出成形法により耐熱性を向上した製品を製造する。ナイロン6T共重合体或いはその組成物は先に0.1−5重量%のポリプロピレン樹脂と混合され、その後、適当な条件下で射出成形して改質ナイロン6T部品に形成される。従来の方法と比較すると、本発明の方法により得られる改質ナイロン6T部品は明らかに良好な耐熱性を具備する。
【選択図】 なし
【解決手段】耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法は、ナイロン6T共重合体或いはその組成物を、向上剤としてのポリプロピレン樹脂存在下で、射出成形法により耐熱性を向上した製品を製造する。ナイロン6T共重合体或いはその組成物は先に0.1−5重量%のポリプロピレン樹脂と混合され、その後、適当な条件下で射出成形して改質ナイロン6T部品に形成される。従来の方法と比較すると、本発明の方法により得られる改質ナイロン6T部品は明らかに良好な耐熱性を具備する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一種の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法に係り、特に、ナイロン6T共重合体或いはその組成物を向上剤としての少量のポリプロピレン樹脂存在下で射出成形して改質ナイロン6T部品を製造する方法であり、伝統的な方法と比較して、良好な耐熱性の改質ナイロン6T部品を得られる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン(nylons)は合成ポリアミドの通称である。よく目にするナイロンには、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、及びナイロン12等がある。これらのナイロンは脂肪属アミドであり、融点の最高のものはナイロン66で、その融点は約260℃である。これらのよく目にするナイロンは半結晶重合体であり、最高使用温度の極限はその融点に接近し、ゆえにその耐熱性は基本的にあまり高くなく、だいたいが250℃を超過することはできない。このため、これらの伝統的なナイロンはSMT(表面実装技術)電子部品のように耐熱性要求の高い製品には使用できない。
【0003】
ナイロンの耐熱性を高めるためには、基本的にその融点を高くする必要がある。構造上、ベンゼン環を導入するのは非常によい方法である。全芳香属ポリアミド、例えばケブラー(Kevlar)及びノメックス(Nomex)の融点は非常に高いが、しかし溶融加工はできない。ナイロン6T〔Poly(hexmethylene terephthalamide)〕(ポリ(ヘクスメチレンテレフタルアミド))は耐熱性を有する熱可塑性材料である。しかし、純ナイロン6Tの融点は約370℃で、脂肪連鎖を有する重合体に対しては、加工温度が340℃を超えることは相当に不利である。一般に経験上、加工温度が340℃を超える時、脂肪連鎖を有する重合体は厳重な分解現象を発生しうる。
【0004】
共重合は有効に融点を大幅に下げられる。これにより、共重合の観念を利用してナイロン6Tの融点を実用の範囲にまで下げることは極めて実際的な設計観念である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は一種の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ナイロン6T共重合体或いはその組成物をポリプロピレン樹脂を向上剤として加えて射出成形して耐熱性を向上した製品を得ることを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ナイロン6T共重合体が、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、イソフタル酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体のいずれかとされたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法としている。
請求項3の発明は、請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ナイロン6T共重合体組成物がナイロン6T共重合体樹脂、及び又はガラス繊維、及び又は難燃剤、及び又は衝撃変調剤、及び又は顔料で組成されたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法としている。
請求項4の発明は、請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ポリプロピレン樹脂の使用量が材料全体の0.1−5重量%とされたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
ナイロン6Tに用いられるモノマーはテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとされ、アジピン酸(adipic acid)或いはイソフタル酸(isophthalic acid)をコモノマーとしてナイロン6Tを改質すると、その融点を加工できる水準にまで下げることができる。例えば、ジアシドモノマー中のジアシドコモノマーのモル分率が30−40%とされる時、ナイロン6T共重合体の融点は310−320℃となる。融点が310−320℃とされることによりナイロン6T共重合体が溶融加工可能となり、且つさらに合理的な耐熱性を具備する。これにより、すでに、Mitsui社のArlen及びAmoco社のポリフタルアミド等が市場で取引されている。これらのナイロン6T共重合体は伝統的な成形機械で容易に加工でき、且つ合理的な耐熱性を具備している。本発明中、使用できるナイロン6T共重合体は、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、イソフタル酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体等がある。
【0008】
耐熱性を要求される応用例に対して、高温下での剛性は非常に重要な特性である。ガラス繊維を利用して改質ナイロン6Tを補強することにより、その高温下での剛性を補強できる。ガラス繊維含有量を増加する時、改質ナイロン6T組成物の機械性質例えば引っ張り強度や曲げモジュラスは増加する。このほか、ガラス繊維で補強した後、その熱変形温度及び高温寸法安定性もまた高くなる。これにより、耐熱性応用に供される改質ナイロン6T製品は適量のガラス繊維を補強物として含有する。
【0009】
SMT電子部品のなかには、難燃性の規格が要求されるものがある。ナイロン6T共重合体純樹脂の難燃性はあまり良好でなく、一般には、そのUL94燃焼性は僅かにHBレベルを通過できるだけである。多くの電子部品中、例えばSTMに応用される部品の材料の難燃性に対する要求は比較的高い。多くの製品要求の規格はUL94燃焼性がV−0レベルである。これにより、難燃剤の添加が時として必要となる。しかし、過量の難燃剤はナイロン6T共重合体の物性に影響を与え得る。比較的有効な難燃剤系統例えば臭素化合物と酸化アンチモンの形成された相乗効果は、難燃剤使用量を減らすのに役立つ。使用できる難燃剤として、臭素を含む有機化合物、臭化ポリスチレン、ポリブロモスチレン、ジアンチモントリオキサイド、ジアンチモンペンタオキサイド、或いはその混合物等がある。
【0010】
ある用途にあっては、部品に靱性が要求される。時として、ナイロン6T共重合体の靱性は不足することがあり、衝撃変調剤を添加することにより靱性を強化できる。ナイロン用衝撃変調剤にはナイロン6T共重合体にも適用できるものがある。使用できる衝撃変調剤にはエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、無水マレイン酸−グラフト−エチレン−プロピレン−ジエン樹脂(無水マレイン酸−g−EPDM)、或いはその混合物等がある。
【0011】
本発明の方法は、ナイロン6T共重合体組成物の加工成形にも適用される。応用領域の違いにより、ナイロン6T共重合体組成物はナイロン6T共重合体樹脂、及び又はガラス繊維、及び又は難燃剤、及び又は衝撃変調剤(impact
modifiers)、及び又は顔料で組成される。
【0012】
ナイロンは水素結合を有する関係から、吸水の問題を有する。ナイロン66を例に挙げると、室温下で24時間浸水させた時の吸水率は約0.8%である。空気中でナイロン66は非常に容易に吸湿し、ナイロン66製品は高温下で水の気化により気泡を発生しやすい。ナイロン6T共重合体の吸水率はナイロン66より低く、その室温で24時間浸水させた時の吸水率は約0.2〜0.4%である。しかしナイロン6T共重合体は空気中で吸湿してその製品が高温下にあるときに気泡の現象を発生する。Mitsui社のArlen CH230NKで製造した製品を例に挙げると、成形された製品は260℃の温度に耐えられるが、約270℃で気泡現象を発生する。数日間、製品を空気中で吸湿され、さらにその耐熱性を観察したところ、約240℃の温度で気泡現象が発生した。すなわち、ナイロン6T共重合体は空気中の吸湿がその耐熱性に影響を与える。もしナイロン6T共重合体の空気中での吸湿性を下げることができれば、その耐熱性を改善することができる。
【0013】
本発明ではポリプロピレン樹脂を向上剤として使用し、ナイロン6T共重合体の吸湿性を下げ、これによりその耐熱性を改善する。例えば、ナイロン6T共重合体或いはその組成物の樹脂粒を先に少量のポリプロピレン樹脂粒と混合し、その後、適当な温度条件下で射出成形する。こうして製造した改質ナイロン6T部品は比較的低い吸水率を有し、これにより耐熱性が向上される。伝統的な方法と比較すると、本発明の方法により得られた改質ナイロン6T部品はより良好な耐熱性を表現する。使用するポリプロピレン樹脂含有量は0.1−5重量%であり、更に好ましくは0.5−2重量%である。
【0014】
本発明は耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法を提供し、それはナイロン6T共重合体或いはその組成物を、向上剤としてのポリプロピレン樹脂存在下で、射出成形法により耐熱性を向上した製品を製造する。ナイロン6T共重合体或いはその組成物は先に0.1−5重量%のポリプロピレン樹脂と混合され、その後、適当な条件下で射出成形して改質ナイロン6T部品に形成される。従来の方法と比較すると、本発明の方法により得られる改質ナイロン6T部品は明らかに良好な耐熱性を具備する。
【0015】
【実施例】
以下に具体的実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明の実施範囲を限定するものではない。
実施例1:
Arlen CH230NK樹脂粒(Mitsui Chemical,Inc.提供)と異なる比率のポリプロピレン樹脂粒を混合した後、射出温度310−325℃(C1:310℃,C2:315℃,C3:320℃,ノズル325℃)で射出成形し、型温度を120℃として加工してサンプルを形成する。得られたサンプルについてその機械性質を測定した。サンプルを相対湿度95%及び40℃の恒温恒湿箱中に96時間置いた。その後、サンプルの吸水率及びサンプルの耐えられるリフロー温度を測定した。試験結果は表1に示すとおりである。表1より分かるように、ポリプロピレン樹脂添加後に機械物性を犠牲にしすぎることはない。ポリプロピレン樹脂を向上剤として使用することにより明らかな効果が得られる。ポリプロピレン樹脂使用量が増加すると、サンプルの吸水率は下がり、吸湿したサンプルはより高いリフロー温度に耐えられる。言い換えると、ポリプロピレン樹脂の使用によりナイロン6T共重合体の耐熱性を向上できる。
【表1】
【0016】
実施例2:
Arlen CH230NK樹脂粒(Mitsui Chemical,Inc.提供)と異なる比率のポリプロピレン樹脂粒を混合した後、実施例1の条件下で射出成形してピンヘッダー製品を得た。製品を空気中に100日放置し、そのリフロー性を測定した。結果は表2に示すとおりである。表2より分かるように、少量のポリプロピレン樹脂の存在によりナイロン6T部品の耐熱性が約5−10℃高くなっている。しかし、ポリプロピレン樹脂の使用量が多過ぎ、例えば5重量%となると、製品を型から取り外す時の変形の問題が発生した。
【表2】
【0017】
【発明の効果】
本発明の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法は、ナイロン6T共重合体或いはその組成物を、向上剤としてのポリプロピレン樹脂存在下で、射出成形法により耐熱性を向上した製品を製造する。ナイロン6T共重合体或いはその組成物は先に0.1−5重量%のポリプロピレン樹脂と混合され、その後、適当な条件下で射出成形して改質ナイロン6T部品に形成される。従来の方法と比較すると、本発明の方法により得られる改質ナイロン6T部品は明らかに良好な耐熱性を具備する。
【発明の属する技術分野】
本発明は一種の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法に係り、特に、ナイロン6T共重合体或いはその組成物を向上剤としての少量のポリプロピレン樹脂存在下で射出成形して改質ナイロン6T部品を製造する方法であり、伝統的な方法と比較して、良好な耐熱性の改質ナイロン6T部品を得られる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ナイロン(nylons)は合成ポリアミドの通称である。よく目にするナイロンには、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、及びナイロン12等がある。これらのナイロンは脂肪属アミドであり、融点の最高のものはナイロン66で、その融点は約260℃である。これらのよく目にするナイロンは半結晶重合体であり、最高使用温度の極限はその融点に接近し、ゆえにその耐熱性は基本的にあまり高くなく、だいたいが250℃を超過することはできない。このため、これらの伝統的なナイロンはSMT(表面実装技術)電子部品のように耐熱性要求の高い製品には使用できない。
【0003】
ナイロンの耐熱性を高めるためには、基本的にその融点を高くする必要がある。構造上、ベンゼン環を導入するのは非常によい方法である。全芳香属ポリアミド、例えばケブラー(Kevlar)及びノメックス(Nomex)の融点は非常に高いが、しかし溶融加工はできない。ナイロン6T〔Poly(hexmethylene terephthalamide)〕(ポリ(ヘクスメチレンテレフタルアミド))は耐熱性を有する熱可塑性材料である。しかし、純ナイロン6Tの融点は約370℃で、脂肪連鎖を有する重合体に対しては、加工温度が340℃を超えることは相当に不利である。一般に経験上、加工温度が340℃を超える時、脂肪連鎖を有する重合体は厳重な分解現象を発生しうる。
【0004】
共重合は有効に融点を大幅に下げられる。これにより、共重合の観念を利用してナイロン6Tの融点を実用の範囲にまで下げることは極めて実際的な設計観念である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は一種の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ナイロン6T共重合体或いはその組成物をポリプロピレン樹脂を向上剤として加えて射出成形して耐熱性を向上した製品を得ることを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ナイロン6T共重合体が、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、イソフタル酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体のいずれかとされたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法としている。
請求項3の発明は、請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ナイロン6T共重合体組成物がナイロン6T共重合体樹脂、及び又はガラス繊維、及び又は難燃剤、及び又は衝撃変調剤、及び又は顔料で組成されたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法としている。
請求項4の発明は、請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ポリプロピレン樹脂の使用量が材料全体の0.1−5重量%とされたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
ナイロン6Tに用いられるモノマーはテレフタル酸とヘキサメチレンジアミンとされ、アジピン酸(adipic acid)或いはイソフタル酸(isophthalic acid)をコモノマーとしてナイロン6Tを改質すると、その融点を加工できる水準にまで下げることができる。例えば、ジアシドモノマー中のジアシドコモノマーのモル分率が30−40%とされる時、ナイロン6T共重合体の融点は310−320℃となる。融点が310−320℃とされることによりナイロン6T共重合体が溶融加工可能となり、且つさらに合理的な耐熱性を具備する。これにより、すでに、Mitsui社のArlen及びAmoco社のポリフタルアミド等が市場で取引されている。これらのナイロン6T共重合体は伝統的な成形機械で容易に加工でき、且つ合理的な耐熱性を具備している。本発明中、使用できるナイロン6T共重合体は、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、イソフタル酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体等がある。
【0008】
耐熱性を要求される応用例に対して、高温下での剛性は非常に重要な特性である。ガラス繊維を利用して改質ナイロン6Tを補強することにより、その高温下での剛性を補強できる。ガラス繊維含有量を増加する時、改質ナイロン6T組成物の機械性質例えば引っ張り強度や曲げモジュラスは増加する。このほか、ガラス繊維で補強した後、その熱変形温度及び高温寸法安定性もまた高くなる。これにより、耐熱性応用に供される改質ナイロン6T製品は適量のガラス繊維を補強物として含有する。
【0009】
SMT電子部品のなかには、難燃性の規格が要求されるものがある。ナイロン6T共重合体純樹脂の難燃性はあまり良好でなく、一般には、そのUL94燃焼性は僅かにHBレベルを通過できるだけである。多くの電子部品中、例えばSTMに応用される部品の材料の難燃性に対する要求は比較的高い。多くの製品要求の規格はUL94燃焼性がV−0レベルである。これにより、難燃剤の添加が時として必要となる。しかし、過量の難燃剤はナイロン6T共重合体の物性に影響を与え得る。比較的有効な難燃剤系統例えば臭素化合物と酸化アンチモンの形成された相乗効果は、難燃剤使用量を減らすのに役立つ。使用できる難燃剤として、臭素を含む有機化合物、臭化ポリスチレン、ポリブロモスチレン、ジアンチモントリオキサイド、ジアンチモンペンタオキサイド、或いはその混合物等がある。
【0010】
ある用途にあっては、部品に靱性が要求される。時として、ナイロン6T共重合体の靱性は不足することがあり、衝撃変調剤を添加することにより靱性を強化できる。ナイロン用衝撃変調剤にはナイロン6T共重合体にも適用できるものがある。使用できる衝撃変調剤にはエチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、無水マレイン酸−グラフト−エチレン−プロピレン−ジエン樹脂(無水マレイン酸−g−EPDM)、或いはその混合物等がある。
【0011】
本発明の方法は、ナイロン6T共重合体組成物の加工成形にも適用される。応用領域の違いにより、ナイロン6T共重合体組成物はナイロン6T共重合体樹脂、及び又はガラス繊維、及び又は難燃剤、及び又は衝撃変調剤(impact
modifiers)、及び又は顔料で組成される。
【0012】
ナイロンは水素結合を有する関係から、吸水の問題を有する。ナイロン66を例に挙げると、室温下で24時間浸水させた時の吸水率は約0.8%である。空気中でナイロン66は非常に容易に吸湿し、ナイロン66製品は高温下で水の気化により気泡を発生しやすい。ナイロン6T共重合体の吸水率はナイロン66より低く、その室温で24時間浸水させた時の吸水率は約0.2〜0.4%である。しかしナイロン6T共重合体は空気中で吸湿してその製品が高温下にあるときに気泡の現象を発生する。Mitsui社のArlen CH230NKで製造した製品を例に挙げると、成形された製品は260℃の温度に耐えられるが、約270℃で気泡現象を発生する。数日間、製品を空気中で吸湿され、さらにその耐熱性を観察したところ、約240℃の温度で気泡現象が発生した。すなわち、ナイロン6T共重合体は空気中の吸湿がその耐熱性に影響を与える。もしナイロン6T共重合体の空気中での吸湿性を下げることができれば、その耐熱性を改善することができる。
【0013】
本発明ではポリプロピレン樹脂を向上剤として使用し、ナイロン6T共重合体の吸湿性を下げ、これによりその耐熱性を改善する。例えば、ナイロン6T共重合体或いはその組成物の樹脂粒を先に少量のポリプロピレン樹脂粒と混合し、その後、適当な温度条件下で射出成形する。こうして製造した改質ナイロン6T部品は比較的低い吸水率を有し、これにより耐熱性が向上される。伝統的な方法と比較すると、本発明の方法により得られた改質ナイロン6T部品はより良好な耐熱性を表現する。使用するポリプロピレン樹脂含有量は0.1−5重量%であり、更に好ましくは0.5−2重量%である。
【0014】
本発明は耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法を提供し、それはナイロン6T共重合体或いはその組成物を、向上剤としてのポリプロピレン樹脂存在下で、射出成形法により耐熱性を向上した製品を製造する。ナイロン6T共重合体或いはその組成物は先に0.1−5重量%のポリプロピレン樹脂と混合され、その後、適当な条件下で射出成形して改質ナイロン6T部品に形成される。従来の方法と比較すると、本発明の方法により得られる改質ナイロン6T部品は明らかに良好な耐熱性を具備する。
【0015】
【実施例】
以下に具体的実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明の実施範囲を限定するものではない。
実施例1:
Arlen CH230NK樹脂粒(Mitsui Chemical,Inc.提供)と異なる比率のポリプロピレン樹脂粒を混合した後、射出温度310−325℃(C1:310℃,C2:315℃,C3:320℃,ノズル325℃)で射出成形し、型温度を120℃として加工してサンプルを形成する。得られたサンプルについてその機械性質を測定した。サンプルを相対湿度95%及び40℃の恒温恒湿箱中に96時間置いた。その後、サンプルの吸水率及びサンプルの耐えられるリフロー温度を測定した。試験結果は表1に示すとおりである。表1より分かるように、ポリプロピレン樹脂添加後に機械物性を犠牲にしすぎることはない。ポリプロピレン樹脂を向上剤として使用することにより明らかな効果が得られる。ポリプロピレン樹脂使用量が増加すると、サンプルの吸水率は下がり、吸湿したサンプルはより高いリフロー温度に耐えられる。言い換えると、ポリプロピレン樹脂の使用によりナイロン6T共重合体の耐熱性を向上できる。
【表1】
【0016】
実施例2:
Arlen CH230NK樹脂粒(Mitsui Chemical,Inc.提供)と異なる比率のポリプロピレン樹脂粒を混合した後、実施例1の条件下で射出成形してピンヘッダー製品を得た。製品を空気中に100日放置し、そのリフロー性を測定した。結果は表2に示すとおりである。表2より分かるように、少量のポリプロピレン樹脂の存在によりナイロン6T部品の耐熱性が約5−10℃高くなっている。しかし、ポリプロピレン樹脂の使用量が多過ぎ、例えば5重量%となると、製品を型から取り外す時の変形の問題が発生した。
【表2】
【0017】
【発明の効果】
本発明の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法は、ナイロン6T共重合体或いはその組成物を、向上剤としてのポリプロピレン樹脂存在下で、射出成形法により耐熱性を向上した製品を製造する。ナイロン6T共重合体或いはその組成物は先に0.1−5重量%のポリプロピレン樹脂と混合され、その後、適当な条件下で射出成形して改質ナイロン6T部品に形成される。従来の方法と比較すると、本発明の方法により得られる改質ナイロン6T部品は明らかに良好な耐熱性を具備する。
Claims (4)
- ナイロン6T共重合体或いはその組成物をポリプロピレン樹脂を向上剤として加えて射出成形して耐熱性を向上した製品を得ることを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法。
- 請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ナイロン6T共重合体が、テレフタル酸、アジピン酸、及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、イソフタル酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体、及びテレフタル酸、アジピン酸及びヘキサメチレンジアミンの共重合体のいずれかとされたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法。
- 請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ナイロン6T共重合体組成物がナイロン6T共重合体樹脂、及び又はガラス繊維、及び又は難燃剤、及び又は衝撃変調剤、及び又は顔料で組成されたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法。
- 請求項1に記載の耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法において、ポリプロピレン樹脂の使用量が材料全体の0.1−5重量%とされたことを特徴とする、耐熱性を向上した改質ナイロン6T部品の製造方法。
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Cited By (1)
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JP2010248417A (ja) * | 2009-04-17 | 2010-11-04 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | バリア性に優れた熱可塑性樹脂組成物 |
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2003
- 2003-01-27 JP JP2003017700A patent/JP2004224000A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010248417A (ja) * | 2009-04-17 | 2010-11-04 | Mitsubishi Gas Chemical Co Inc | バリア性に優れた熱可塑性樹脂組成物 |
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