JP2004223792A - 焦点位置確認機能を備えたマイクロ光造形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、光硬化性樹脂液層内の所望点に光照射を行ないながら、三次元の造形物を得る技術において、マイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めを精度よく行なうことができる装置を提供することにある。
【解決手段】本発明のマイクロ光造形装置は、レーザ光源からのレーザビームを光硬化性樹脂層16内部にスポット照射するレーザ光学系において、カバーガラス15および/またはガラス基板17の表面に位置合わせの基準となる標識を二次元的に分布させて配置するようにし、その位置を基準としてマイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めをするようにした。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明のマイクロ光造形装置は、レーザ光源からのレーザビームを光硬化性樹脂層16内部にスポット照射するレーザ光学系において、カバーガラス15および/またはガラス基板17の表面に位置合わせの基準となる標識を二次元的に分布させて配置するようにし、その位置を基準としてマイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めをするようにした。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体形状データを基にして液体状の光硬化性樹脂に対し、形状部分にレーザ光を照射することにより前記樹脂を硬化させて前記立体形状を形成させる所謂光造形の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ビームスポットを照射して光硬化性樹脂を硬化させ、三次元の形状物に造形する技術は、光造形法として知られている。この三次元光造形法として、樹脂液槽内に垂直方向に上下するテーブルを設け、テーブルを液面下から始め、テーブルと液面との間に所定のレーザーを所定の平面領域照射し、テーブル上に一定厚みの所定形状の硬化層を作り、次に、テーブルを一定深さ沈めて、同様に液面と既硬化層表面レベルとの間に光を照射し、次の硬化層を積層する。その後、テーブルを一定深さ沈め、上記の工程を繰り返して一定厚みの所定形状の硬化層を積み重ねて所要の三次元の造形物を生成する所謂積層法と、光により硬化する光硬化性樹脂液を容器内に収容し、光エネルギーが前記物質の硬化に必要なエネルギーレベルをもって点状に集中するように光照射を行ないながら、前記容器を水平及び垂直に移動させることで、三次元の造形物を得る方法とが知られている。
【0003】
後者の光造形法としては特許文献1がある。この文献には既に開発されている液状の光硬化性樹脂の内部にレーザスポットを走査し任意の3次元構造を形成する方法(紫外レーザーを光源とした内部硬化型マイクロ造形法:Super IH process 略してSIH)の技術には光照射条件の最適化、光硬化性樹脂の硬化特性の最適化等各種の高度な最適化が必要であることや、深部での内部硬化が困難である等の問題があることを指摘している。その上で、この問題点を解決することを目的とした新規な発明として、透明性を有する近赤外パルスレーザ光に着目し、この近赤外パルスレーザ光を利用して2光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて紫外レーザーと同じエネルギーに高め、ピンポイントで樹脂を硬化できる2光子マイクロ光造形方法およびその装置を提示している。その具体的な構成として、図4のAに全体構成をBに要部拡大図を示す。この方法は、近赤外パルスレーザ光源aからの光をミラースキャナーdを通した後、レンズを用いて光硬化性樹脂h中に集光させ、2光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて樹脂を硬化させることを特徴とする。装置としては、近赤外パルスレーザ光源aからの光をミラースキャナーdを通した後、レンズfを用いて光硬化性樹脂h中に集光させる手段と、Zステージeとミラースキャナーdを高速に走査することにより樹脂中の任意の位置に集光スポットSを移動させることができる集光スポット移動手段とを備えていることを特徴とする。
【0004】
しかし、SIHにせよこの2光子マイクロ光造形法にせよ、光により硬化する光硬化性樹脂液を容器内に収容したり、或いはカバーガラスとガラス基板間に光硬化性樹脂層を形成して、光エネルギーが前記物質の硬化に必要なエネルギーレベルをもって点状に集中するように光照射を行ないながら、三次元の造形物を得る光造形法では、光を正確に所定の位置で焦点に絞りその1点で光硬化を起こさせることが、設計通りの三次元構造体の形成や基板とのコンタクトをとる上で重要となる。光ビームの光量が樹脂内を通過する過程で吸収され、マイクロ光造形フォーカスポイントの深さによって光強度が変ることに起因して、特に該焦点位置が樹脂層のどの深さにあるかは重要な問題である。しかし、実際に樹脂層内の指定された位置に正確に焦点を結ばせて光造形を行なわせることは必ずしも容易ではなく、焦点の位置決め作業は困難であるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−158050号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光硬化性樹脂液層内の所望点に、光エネルギーが前記物質の硬化に必要なエネルギーレベルをもって集中するように光照射を行ないながら、三次元の造形物を得る技術において、マイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めを精度よく行なうことができる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のマイクロ光造形装置は、レーザ光源からのレーザビームを光硬化性樹脂層内部にスポット照射するレーザ光学系において、カバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に位置合わせの基準となる標識を二次元的に分布させて配置するようにし、その位置を基準としてマイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めをするようにした。
標識を二次元的に分布配置する具体化手段は、以下のようである。
(1)粒子径が1μm程度の微粒子を化学修飾や微粒子を樹脂溶液に分散させてガラス面に塗布し固化させるなどしてカバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に分散付着し、焦点位置決めの基準点とする。
(2)カバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に細い線状の溝を10〜200μm程度の幅で彫り込み、焦点位置決めの基準点とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、液状の光硬化性樹脂の内部にレーザスポットを走査照射し任意の3次元構造を形成する光造形法において、マイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めが正確な三次元形状の形成や基板とのコンタクトのために、また、光ビームの光量が樹脂内を通過する過程で吸収されるためマイクロ光造形フォーカスポイントの深さによって光強度が変ることに起因して、安定した光造形を行なわせる上で焦点の深さ位置が極めて重要であることに鑑み、マイクロ光造形フォーカスポイント位置を把握する基準点を領域近傍に配置することに想到したものである。そして光硬化性樹脂層の上下面に存在するカバーガラスとガラス基板にその基準点を示す指標を上下面のいずれかまたは両面に配置することにした。
両面に配置した場合には、光硬化性樹脂層の上面に接するカバーガラスの下面にある指標と光硬化性樹脂層の下面に接するガラス基板の上面にある指標とからそれぞれの位置を把握すればそのときの光硬化性樹脂層の厚さが正確に把握でき、その間のZ方向位置情報も補間法によって精度よく割り出せることになる。したがって、マイクロ光造形フォーカスポイントの深さを正確に決めることができる。また、カバーガラスまたはガラス基板面上に二次元的に分散配置した指標により、XY方向の位置情報も正確に把握することができる。これを用いて光ビームのXY方向走査機構の駆動量と焦点走査位置との対応を精度よくとることができる。
【0009】
本発明の光造形装置の全体構成を図1に示し説明する。1はレーザ光源であり、2はレーザビームの通過/遮断機能をもつシャッタ、3はニュートラルデンシティフィルタ(NDフィルタ)で、レーザ光の透過量を制限する機能を有する。4,5はミラー、6,7,10はレンズ、8,9はビームをX方向とY方向に走査させるガルバノミラー、11は光を透過光と反射光に二分するビームスプリッタ、12は結像レンズであり、13は絞り、14は対物レンズ、そして15はカバーガラス、16は光硬化性樹脂、17はガラス基板で18は該ガラス基板をXYZ方向に移動させる三次元移動機構であり、19は観察用の照明で、20がカバーガラス15上に設置された対物レンズ用のZ移動機構であり、21は観察用のCCD撮像カメラである。レーザ光源1からのレーザ光はNDフィルター3で透過量を制限されレンズ6で一旦集光されてから広げられ、レンズ7で平行光線とされる。平行光線とされたレーザ光はガルバノミラー8でX(またはY)方向に振られ、次いでガルバノミラー9でY(またはX)方向に振られる。走査偏向されたレーザ光はレンズ10により集光されてから広げられ結像レンズ12へ入れられるが、本発明では集光点と結像レンズ12間の位置にビームスプリッタ11が配設される。この結像レンズ12でレーザ光は平行光線にされ、絞り13を通過したレーザ光が対物レンズ14で光硬化性樹脂層に集光される。カバーガラス15を介してこのレーザスポットが照射された部分の樹脂が光硬化する。ここで、光硬化させるパターンはCAD情報から得られた形状情報に基き前記ガルバノミラー8,9が走査されレーザスポットが断面形状をなぞる。そして該当Z位置の加工が終了したならばシャッタ2がレーザ光を遮断した状態でXYZ方向移動機構18でガラス基板17の位置をZ方向に下げて樹脂層の厚み変えて、一つ上の層のパターンを形成する。以上は光造形装置としての一般構成とその作動である。
【0010】
本発明ではカバーガラス15の下面とガラス基板17の上面に指標をつけ、その指標の一方に焦点を結ばせることでその位置を確認する点に特徴がある。その際の焦点の移動はZ方向については対物レンズ14のZ方向変位で、X方向についてはガルバノミラー9(又は8)の駆動で行ない、Y方向についてはガルバノミラー8(又は9)の駆動で行なう。焦点が当該指標位置にきたことは観察画像から判断する。すなわち、ビームスプリッタ11の分岐路にはCCDカメラ20が配置されており、指標と焦点位置が一致した状態を図示していないモニターの画面で確認する。この観察手段は光造形の状況をリアルタイムで観察したり、作成された構造物を点検観察することもできる。
【0011】
【実施例1】
図2のAに示した例はカバーガラス15の下面とガラス基板17の上面に直径1μm程度の微粒子を分散配置し指標とした本発明の1実施例である。微粒子を分散配置させる手法としてはポリスチレンの微粒子を化学修飾を用いたイオン的な結合でカバーガラス15面やガラス基板17面に付着させたり、図2のBに示したようにポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂溶液に微粒子を分散し、カバーガラス15面やガラス基板17面に塗布乾燥させるなどの方法で実施できる。一方、アルミナ粒子を用いる場合には、ポリメタクリル酸メチルなどの有機溶媒溶液に分散し、カバーガラス15面やガラス基板17面に塗布乾燥させるなどの方法で実施できる。微粒子のサイズは、0.1から5μm程度が可能で、望ましくは1μm程度である。
【0012】
【実施例2】
図3に示したものはカバーガラス15の下面とガラス基板17の上面に所定間隔の溝を形成して指標とした例である。0.5μm程度の深さの細い線状の溝を10〜200μm程度の間隔でガラス表面に形成したもので、位置合わせの指標としては溝を図示したように三角溝とし頂点で正確な位置が出せるようにした。溝の幅は、0.1から5μm程度が可能で、望ましくは0.5μm程度である。
【0013】
【実施例3】この他指標としてはガラス面上に円錐穴や十字形状を二次元的な所定位置に複数形成したものであってもよい。要は光ビームの障害とならず位置が特定できるものであれば本発明の指標として用いることができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明のマイクロ光造形装置は、レーザ光源からのレーザビームを光硬化性樹脂層内部にスポット照射するレーザ光学系において、カバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に焦点位置決めの基準点となる指標を配置したものであるから、指標のある位置を基準位置としてその近傍の位置を精度よく割り出すことが出来る。光硬化性樹脂層の上面に接するカバーガラスの下面にある指標と光硬化性樹脂層の下面に接するガラス基板の上面にある指標とからそれぞれの位置を把握すればそのときの光硬化性樹脂層の厚さが正確に把握できると共に、その間のZ方向位置情報も補間法によって精度よく割り出すことができる。また、カバーガラスまたはガラス基板面上に二次元的に分散配置した指標により、XY方向の位置情報も正確に把握することができる。これを用いて光ビームのXY方向走査機構の駆動量と焦点走査位置との対応を精度よくとることができる。
【0015】
指標として1μm程度の微粒子をカバーガラスまたはガラス基板面上に分散付着させた本発明のマイクロ光造形装置は、レーザビームの焦点位置を点と点の関係で位置合わせが出来、正確な位置決め情報を得ることができる。また、この微粒子の指標は化学修飾によりガラス面に分散付着させたり、樹脂溶液に分散させてガラス面に塗布させることにより、容易にガラス面上に分散配置することができる。
また、指標としてカバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に0.5μm程度の深さの溝を10〜200μm程度の幅で彫り込んだ本発明のマイクロ光造形装置は、等間隔の基準位置情報が得られるので、光ビームのXY方向走査機構の駆動量と焦点走査位置との対応が取り易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ光造形装置の全体構成を示す図である。
【図2】直径1μm程度の微粒子を分散配置し指標とした本発明の1実施例を説明する図である。
【図3】0.5μm程度の深さの溝を10〜200μm程度の幅でガラス表面に形成して指標とした本発明の異なる実施例を説明する図である。
【図4】樹脂内部硬化型マイクロ光造形法の従来技術を説明する図で、Aはその全体図Bはその要部拡大図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源 15 カバーガラス
2 シャッター 16 光硬化性樹脂
3 フィルター 17 ガラス基板
4,5 ミラー 18 XYZ移動機構
6,7,10 レンズ 19 照明
8,9 ガルバノミラー 20 撮像カメラ
11 ビームスプリッタ P 微粒子
12 結像レンズ C 溝
13 絞り F 樹脂膜
14 対物レンズ
【発明の属する技術分野】
本発明は、立体形状データを基にして液体状の光硬化性樹脂に対し、形状部分にレーザ光を照射することにより前記樹脂を硬化させて前記立体形状を形成させる所謂光造形の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ビームスポットを照射して光硬化性樹脂を硬化させ、三次元の形状物に造形する技術は、光造形法として知られている。この三次元光造形法として、樹脂液槽内に垂直方向に上下するテーブルを設け、テーブルを液面下から始め、テーブルと液面との間に所定のレーザーを所定の平面領域照射し、テーブル上に一定厚みの所定形状の硬化層を作り、次に、テーブルを一定深さ沈めて、同様に液面と既硬化層表面レベルとの間に光を照射し、次の硬化層を積層する。その後、テーブルを一定深さ沈め、上記の工程を繰り返して一定厚みの所定形状の硬化層を積み重ねて所要の三次元の造形物を生成する所謂積層法と、光により硬化する光硬化性樹脂液を容器内に収容し、光エネルギーが前記物質の硬化に必要なエネルギーレベルをもって点状に集中するように光照射を行ないながら、前記容器を水平及び垂直に移動させることで、三次元の造形物を得る方法とが知られている。
【0003】
後者の光造形法としては特許文献1がある。この文献には既に開発されている液状の光硬化性樹脂の内部にレーザスポットを走査し任意の3次元構造を形成する方法(紫外レーザーを光源とした内部硬化型マイクロ造形法:Super IH process 略してSIH)の技術には光照射条件の最適化、光硬化性樹脂の硬化特性の最適化等各種の高度な最適化が必要であることや、深部での内部硬化が困難である等の問題があることを指摘している。その上で、この問題点を解決することを目的とした新規な発明として、透明性を有する近赤外パルスレーザ光に着目し、この近赤外パルスレーザ光を利用して2光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて紫外レーザーと同じエネルギーに高め、ピンポイントで樹脂を硬化できる2光子マイクロ光造形方法およびその装置を提示している。その具体的な構成として、図4のAに全体構成をBに要部拡大図を示す。この方法は、近赤外パルスレーザ光源aからの光をミラースキャナーdを通した後、レンズを用いて光硬化性樹脂h中に集光させ、2光子吸収を誘起することによって焦点近傍のみにおいて樹脂を硬化させることを特徴とする。装置としては、近赤外パルスレーザ光源aからの光をミラースキャナーdを通した後、レンズfを用いて光硬化性樹脂h中に集光させる手段と、Zステージeとミラースキャナーdを高速に走査することにより樹脂中の任意の位置に集光スポットSを移動させることができる集光スポット移動手段とを備えていることを特徴とする。
【0004】
しかし、SIHにせよこの2光子マイクロ光造形法にせよ、光により硬化する光硬化性樹脂液を容器内に収容したり、或いはカバーガラスとガラス基板間に光硬化性樹脂層を形成して、光エネルギーが前記物質の硬化に必要なエネルギーレベルをもって点状に集中するように光照射を行ないながら、三次元の造形物を得る光造形法では、光を正確に所定の位置で焦点に絞りその1点で光硬化を起こさせることが、設計通りの三次元構造体の形成や基板とのコンタクトをとる上で重要となる。光ビームの光量が樹脂内を通過する過程で吸収され、マイクロ光造形フォーカスポイントの深さによって光強度が変ることに起因して、特に該焦点位置が樹脂層のどの深さにあるかは重要な問題である。しかし、実際に樹脂層内の指定された位置に正確に焦点を結ばせて光造形を行なわせることは必ずしも容易ではなく、焦点の位置決め作業は困難であるという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特開2001−158050号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、光硬化性樹脂液層内の所望点に、光エネルギーが前記物質の硬化に必要なエネルギーレベルをもって集中するように光照射を行ないながら、三次元の造形物を得る技術において、マイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めを精度よく行なうことができる装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のマイクロ光造形装置は、レーザ光源からのレーザビームを光硬化性樹脂層内部にスポット照射するレーザ光学系において、カバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に位置合わせの基準となる標識を二次元的に分布させて配置するようにし、その位置を基準としてマイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めをするようにした。
標識を二次元的に分布配置する具体化手段は、以下のようである。
(1)粒子径が1μm程度の微粒子を化学修飾や微粒子を樹脂溶液に分散させてガラス面に塗布し固化させるなどしてカバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に分散付着し、焦点位置決めの基準点とする。
(2)カバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に細い線状の溝を10〜200μm程度の幅で彫り込み、焦点位置決めの基準点とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明は、液状の光硬化性樹脂の内部にレーザスポットを走査照射し任意の3次元構造を形成する光造形法において、マイクロ光造形フォーカスポイントの位置決めが正確な三次元形状の形成や基板とのコンタクトのために、また、光ビームの光量が樹脂内を通過する過程で吸収されるためマイクロ光造形フォーカスポイントの深さによって光強度が変ることに起因して、安定した光造形を行なわせる上で焦点の深さ位置が極めて重要であることに鑑み、マイクロ光造形フォーカスポイント位置を把握する基準点を領域近傍に配置することに想到したものである。そして光硬化性樹脂層の上下面に存在するカバーガラスとガラス基板にその基準点を示す指標を上下面のいずれかまたは両面に配置することにした。
両面に配置した場合には、光硬化性樹脂層の上面に接するカバーガラスの下面にある指標と光硬化性樹脂層の下面に接するガラス基板の上面にある指標とからそれぞれの位置を把握すればそのときの光硬化性樹脂層の厚さが正確に把握でき、その間のZ方向位置情報も補間法によって精度よく割り出せることになる。したがって、マイクロ光造形フォーカスポイントの深さを正確に決めることができる。また、カバーガラスまたはガラス基板面上に二次元的に分散配置した指標により、XY方向の位置情報も正確に把握することができる。これを用いて光ビームのXY方向走査機構の駆動量と焦点走査位置との対応を精度よくとることができる。
【0009】
本発明の光造形装置の全体構成を図1に示し説明する。1はレーザ光源であり、2はレーザビームの通過/遮断機能をもつシャッタ、3はニュートラルデンシティフィルタ(NDフィルタ)で、レーザ光の透過量を制限する機能を有する。4,5はミラー、6,7,10はレンズ、8,9はビームをX方向とY方向に走査させるガルバノミラー、11は光を透過光と反射光に二分するビームスプリッタ、12は結像レンズであり、13は絞り、14は対物レンズ、そして15はカバーガラス、16は光硬化性樹脂、17はガラス基板で18は該ガラス基板をXYZ方向に移動させる三次元移動機構であり、19は観察用の照明で、20がカバーガラス15上に設置された対物レンズ用のZ移動機構であり、21は観察用のCCD撮像カメラである。レーザ光源1からのレーザ光はNDフィルター3で透過量を制限されレンズ6で一旦集光されてから広げられ、レンズ7で平行光線とされる。平行光線とされたレーザ光はガルバノミラー8でX(またはY)方向に振られ、次いでガルバノミラー9でY(またはX)方向に振られる。走査偏向されたレーザ光はレンズ10により集光されてから広げられ結像レンズ12へ入れられるが、本発明では集光点と結像レンズ12間の位置にビームスプリッタ11が配設される。この結像レンズ12でレーザ光は平行光線にされ、絞り13を通過したレーザ光が対物レンズ14で光硬化性樹脂層に集光される。カバーガラス15を介してこのレーザスポットが照射された部分の樹脂が光硬化する。ここで、光硬化させるパターンはCAD情報から得られた形状情報に基き前記ガルバノミラー8,9が走査されレーザスポットが断面形状をなぞる。そして該当Z位置の加工が終了したならばシャッタ2がレーザ光を遮断した状態でXYZ方向移動機構18でガラス基板17の位置をZ方向に下げて樹脂層の厚み変えて、一つ上の層のパターンを形成する。以上は光造形装置としての一般構成とその作動である。
【0010】
本発明ではカバーガラス15の下面とガラス基板17の上面に指標をつけ、その指標の一方に焦点を結ばせることでその位置を確認する点に特徴がある。その際の焦点の移動はZ方向については対物レンズ14のZ方向変位で、X方向についてはガルバノミラー9(又は8)の駆動で行ない、Y方向についてはガルバノミラー8(又は9)の駆動で行なう。焦点が当該指標位置にきたことは観察画像から判断する。すなわち、ビームスプリッタ11の分岐路にはCCDカメラ20が配置されており、指標と焦点位置が一致した状態を図示していないモニターの画面で確認する。この観察手段は光造形の状況をリアルタイムで観察したり、作成された構造物を点検観察することもできる。
【0011】
【実施例1】
図2のAに示した例はカバーガラス15の下面とガラス基板17の上面に直径1μm程度の微粒子を分散配置し指標とした本発明の1実施例である。微粒子を分散配置させる手法としてはポリスチレンの微粒子を化学修飾を用いたイオン的な結合でカバーガラス15面やガラス基板17面に付着させたり、図2のBに示したようにポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂溶液に微粒子を分散し、カバーガラス15面やガラス基板17面に塗布乾燥させるなどの方法で実施できる。一方、アルミナ粒子を用いる場合には、ポリメタクリル酸メチルなどの有機溶媒溶液に分散し、カバーガラス15面やガラス基板17面に塗布乾燥させるなどの方法で実施できる。微粒子のサイズは、0.1から5μm程度が可能で、望ましくは1μm程度である。
【0012】
【実施例2】
図3に示したものはカバーガラス15の下面とガラス基板17の上面に所定間隔の溝を形成して指標とした例である。0.5μm程度の深さの細い線状の溝を10〜200μm程度の間隔でガラス表面に形成したもので、位置合わせの指標としては溝を図示したように三角溝とし頂点で正確な位置が出せるようにした。溝の幅は、0.1から5μm程度が可能で、望ましくは0.5μm程度である。
【0013】
【実施例3】この他指標としてはガラス面上に円錐穴や十字形状を二次元的な所定位置に複数形成したものであってもよい。要は光ビームの障害とならず位置が特定できるものであれば本発明の指標として用いることができる。
【0014】
【発明の効果】
本発明のマイクロ光造形装置は、レーザ光源からのレーザビームを光硬化性樹脂層内部にスポット照射するレーザ光学系において、カバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に焦点位置決めの基準点となる指標を配置したものであるから、指標のある位置を基準位置としてその近傍の位置を精度よく割り出すことが出来る。光硬化性樹脂層の上面に接するカバーガラスの下面にある指標と光硬化性樹脂層の下面に接するガラス基板の上面にある指標とからそれぞれの位置を把握すればそのときの光硬化性樹脂層の厚さが正確に把握できると共に、その間のZ方向位置情報も補間法によって精度よく割り出すことができる。また、カバーガラスまたはガラス基板面上に二次元的に分散配置した指標により、XY方向の位置情報も正確に把握することができる。これを用いて光ビームのXY方向走査機構の駆動量と焦点走査位置との対応を精度よくとることができる。
【0015】
指標として1μm程度の微粒子をカバーガラスまたはガラス基板面上に分散付着させた本発明のマイクロ光造形装置は、レーザビームの焦点位置を点と点の関係で位置合わせが出来、正確な位置決め情報を得ることができる。また、この微粒子の指標は化学修飾によりガラス面に分散付着させたり、樹脂溶液に分散させてガラス面に塗布させることにより、容易にガラス面上に分散配置することができる。
また、指標としてカバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に0.5μm程度の深さの溝を10〜200μm程度の幅で彫り込んだ本発明のマイクロ光造形装置は、等間隔の基準位置情報が得られるので、光ビームのXY方向走査機構の駆動量と焦点走査位置との対応が取り易い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ光造形装置の全体構成を示す図である。
【図2】直径1μm程度の微粒子を分散配置し指標とした本発明の1実施例を説明する図である。
【図3】0.5μm程度の深さの溝を10〜200μm程度の幅でガラス表面に形成して指標とした本発明の異なる実施例を説明する図である。
【図4】樹脂内部硬化型マイクロ光造形法の従来技術を説明する図で、Aはその全体図Bはその要部拡大図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源 15 カバーガラス
2 シャッター 16 光硬化性樹脂
3 フィルター 17 ガラス基板
4,5 ミラー 18 XYZ移動機構
6,7,10 レンズ 19 照明
8,9 ガルバノミラー 20 撮像カメラ
11 ビームスプリッタ P 微粒子
12 結像レンズ C 溝
13 絞り F 樹脂膜
14 対物レンズ
Claims (5)
- レーザ光源からのレーザビームを光硬化性樹脂層内部にスポット照射するレーザ光学系において、光硬化性樹脂と接するカバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に焦点位置決めの基準点となる指標が配置されたことを特徴とするマイクロ光造形装置。
- 指標は粒子径が1μm程度の微粒子をガラス面に分散付着した構造をとったものである請求項1に記載のマイクロ光造形装置。
- 指標は微粒子が化学修飾の手法によりガラス面に分散付着された構造をとったものである請求項2に記載のマイクロ光造形装置。
- 指標は微粒子が分散混入された樹脂溶液をガラス面に塗布して固化させた構造をとったものである請求項2に記載のマイクロ光造形装置。
- 指標はカバーガラスおよび/またはガラス基板の表面に細い線状の溝を10〜200μm程度の間隔で形成したものである請求項1に記載のマイクロ光造形装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003012051A JP2004223792A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | 焦点位置確認機能を備えたマイクロ光造形装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003012051A JP2004223792A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | 焦点位置確認機能を備えたマイクロ光造形装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004223792A true JP2004223792A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32900779
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003012051A Pending JP2004223792A (ja) | 2003-01-21 | 2003-01-21 | 焦点位置確認機能を備えたマイクロ光造形装置 |
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JP (1) | JP2004223792A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9061934B2 (en) | 2011-10-10 | 2015-06-23 | Corning Incorporated | Apparatus and method for tight bending thin glass sheets |
US20220339883A1 (en) * | 2021-04-26 | 2022-10-27 | Lawrence Livermore National Security, Llc | Methods of calibration of a stereolithography system |
-
2003
- 2003-01-21 JP JP2003012051A patent/JP2004223792A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9061934B2 (en) | 2011-10-10 | 2015-06-23 | Corning Incorporated | Apparatus and method for tight bending thin glass sheets |
US20220339883A1 (en) * | 2021-04-26 | 2022-10-27 | Lawrence Livermore National Security, Llc | Methods of calibration of a stereolithography system |
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