JP2004223393A - 汚染土壌の浄化方法 - Google Patents

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Hiroyuki Kurihara
宏幸 栗原
Takahiko Hayakawa
孝彦 早川
Akira Taniguchi
彰 谷口
Tatsuyuki Iwasaki
達行 岩崎
Kenichiro Ono
健一郎 小野
Koji Tanaka
耕治 田中
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Abstract

【解決手段】重金属に汚染された汚染土壌1に重金属吸収能を有する植物を生育せしめた後、収穫した植物を軽量化及び/または減容化処理することにより、該植物が吸収した重金属を、少面積の濃縮用土壌2中に集中的に蓄積せしめ、次いで、該濃縮用土壌2を重金属可溶化剤で処理することにより、該重金属を除去することを特徴とする汚染土壌1の浄化方法。
【効果】高い費用または長い年月がかかっていたカドミウム等の重金属汚染土壌の浄化を、重金属吸収能のある植物を利用し、少量の濃縮用土壌に集中的に蓄積させ、これを浄化することにより安全で、低コスト、効率的に実施できる。本発明により、より安全な農作物、食品、あるいは生活環境などを提供することが可能になる。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚染土壌の浄化方法に関する。詳しくは重金属に汚染された土壌から植物を利用して重金属を効率的に除去し、汚染土壌を浄化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題、あるいは食料に対する安全性の問題などから、環境中及び土壌中の重金属について関心が高まっている。重金属の多くはその性質上人体に有害なものが多く、さらには食品中に含まれる重金属を摂取、蓄積することにより深刻な健康被害をもたらすことが知られている。これら人体に影響を及ぼす土壌中の重金属を除去する技術として、従来より、汚染土壌を取り除いて非汚染土壌と入れ替え、あるいは汚染土壌を非汚染土壌で覆ってしまう客土という方法、あるいは汚染土壌を物理的、化学的に処理し重金属を除去する方法(特許文献1〜2参照)などが採られていたが、広範囲にまたがる低濃度の重金属汚染土壌の処理については、経済性あるいは非汚染土壌の入手難等の問題があり、新たな土壌浄化手段として植物を用いたファイトレメディエーション(Phytoremediation)と言う手法が検討され始めている(特許文献3〜5参照)。
【0003】
ファイトレメディエーションとは重金属で汚染された土壌などに重金属を吸収蓄積する植物を生育させて重金属を吸収・濃縮させた後、この植物を収穫・除去することにより土壌中の重金属を浄化せしめる技術である(非特許文献1参照)。
ファイトレメディエーション技術においてより短期間で土壌等から重金属を浄化するためには、より重金属吸収効率の高い植物を用いることや補助的な手法により植物の重金属吸収効率を向上させることが重要であり、本発明者らはそのための特定の植物を提案した(特許文献6〜8参照)。
しかしながら、最終的な植物の処理方法としてこれまでに乾燥・焼却・粉砕・融解・分解等の処理が挙げられているものの、大量に発生する収穫植物の輸送コストや在庫問題、更にはその焼却処理コスト等が高いこと、又は焼却による重金属の再飛散を防ぐ技術が必要なこと等が、本技術の実用化への妨げとなっている。
【特許文献1】特開平08−199153号公報
【特許文献2】特開平10−296230号公報
【特許文献3】特開昭57−190号公報
【特許文献4】特表平7−508206号公報
【特許文献5】特開2000−288529号公報
【特許文献6】特開2002−331281号公報
【特許文献7】特開2002−336837号公報
【特許文献8】特開2002−331282号公報
【非特許文献1】A Novel Strategy for the Removal of Toxic Metals from the Environment Using Plants (BIO/TECHNOLOGY 1995, Vol.13, p468−474)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
重金属を吸収蓄積した植物を安全に、低コストで効率的に処理することにより、はじめて本ファイトレメディエーション技術の発明は完結するものであり、そのためにも、該植物を安全で低コストかつ効率的に処理する方法が必要とされている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、植物により吸収した重金属を少面積の濃縮用土壌中に集中的に蓄積せしめ、これを浄化することにより安全で、低コスト、かつ効率的に浄化できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の要旨は、重金属に汚染された汚染土壌1に重金属吸収能を有する植物を生育せしめた後、収穫した植物を軽量化及び/又は減容化処理することにより、該植物が吸収した重金属を、少面積の濃縮用土壌2中に集中的に蓄積せしめ、次いで、該濃縮用土壌2を重金属可溶化剤で処理することにより、該重金属を除去することを特徴とする汚染土壌1の浄化方法に存する。
以下に本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、重金属に汚染された土壌を浄化するにあたり、重金属を吸収蓄積する植物を該土壌に生育させ、得られた植物収穫物を特定地域及び/又は施設に於いて、軽量化及び/又は減容化させることにより少面積の土壌中に該重金属を集中的に蓄積させ、これを可溶化した後に除去することにより、汚染対象土壌を浄化する方法である。
【0007】
(汚染土壌)
浄化の対象となる土壌の汚染状態とは、例えば、農作物又は天然あるいは人為的手段を問わず食用あるいは人体内に摂取されうる形態で供試される植物生産物が、法律等により規制される値、又は医学上問題とされる値、あるいは社会通念上問題があるとされる値よりも多く汚染物質がその中に含まれるような状態になりうる濃度で汚染物質が含まれる土壌等の状態を示す。
具体的な汚染土壌1としては、農業用地すなわち水田土壌、畑地土壌等の農作物を栽培する全ての農地の土壌を含み、又適当な処理を行うことにより植物の生育が可能な住宅地、工場跡地、非住居地等の通常農地として用いられない土地の土壌も対象となりうる。また適当な処理を行うことにより植物の生育が可能な汚泥、スラッジなどを含む土壌も対象となる。
【0008】
(重金属)
上記重金属としては、カドミウム、亜鉛、鉛、クロム、銅、水銀及び/又は砒素等の重金属汚染として問題になっている金属種及びそれらの金属を含有する化合物が挙げられるが、このうち好ましい金属種としてはカドミウム、クロム、亜鉛、鉛又は銅である。
上記重金属の土壌中の含有量としては、植物が生育する範囲であれば特に限定されないが、具体的には、通常、1%以下である。好ましくは含有量が0.1〜2000ppm、特に農地を対象とした場合、0.5〜100ppm、好ましくは0.5〜5ppmの土壌に適用することが望ましい。 これを超える濃度で含まれる場合には、あらかじめ化学的処理法等の適当な方法により濃度を低下させてから植物を生育させることが望ましい。
尚、浄化対象となる汚染土壌1には、上記重金属以外の金属が含まれていても植物の生育を阻害しない限り特に問題はない。
【0009】
(植物の種類)
本発明の方法に用いられる植物としては、上記重金属を吸収・蓄積する物であれば特に限定されないが、具体的には、アブラナ科、アオイ科、マメ科、アカザ科、ナス科、キク科、ヒユ科、イネ科等の植物が挙げられる。
上記植物として好ましくはカラシナ、ナタネ、野沢菜等のアブラナ科;オクラ、トロロアオイ、ケナフ等のアオイ科;クロタラリア、セスバニア等のマメ科;飼料用ビート、テンサイ等のアカザ科;タバコ等のナス科;ヒマワリ、ベニバナ等のキク科;アマランサス等のヒユ科;又はソルゴー、サトウキビ、イネ、ムギ等のイネ科に属する植物が挙げられ、より好ましくは、カラシナ、野沢菜、ケナフ、オクラ、飼料用ビート、タバコ、アマランサス、ヒマワリ、ソルゴー又はクロタラリアが挙げられる。また植物として、これらを含む選抜した植物種に重金属の吸収蓄積を促進せしめる遺伝子を導入した組換え植物を用いることもできる。上記遺伝子としては、MT−1、CUP1、PsMTA等のメタロチオネイン合成遺伝子(Kramer, U. and Chardonnens, A. N., Appl. Microbiol. Biotechnol. 2001, vol.55, p661−672: Hasegawa, I. Farming Japan 2002, vol.36,p10〜15:Karenlampi, S., Schat H., Vangronsveld J., Verkleij J.A.C., van der Lelie D., Mergeay M., and Tervahauta A.I., Environmental Pollution. 2000, vol.107, p225−231、等参照)、カルボキシペプチダーゼ等のファイトケラチン合成酵素遺伝子、グルタチオン合成系に関与する酵素遺伝子等がある。しかし本発明に用いる植物種並びに遺伝子はここに記載した種類に限定されるものではない。
【0010】
(植物の生育方法)
対象となる汚染土壌に植物を生育させるためには、適当な時期に直接播種し生育する方法、苗床による苗、育苗箱による苗、セル苗、ポット苗、プラグ苗、ペーパーポット苗あるいは栄養繁殖した植物体等の別途生育させた植物を対象となる汚染土壌に移植し栽培する方法等が挙げられる。これらは植物種及び汚染の状態に応じて、任意の方法をとることができる。例えば、植物の種子を直接播種する場合は、浄化対象面積10アール当たり100粒から50000粒の種子を播くことが適当である。植物を栽培する土壌のpHは3から10の範囲が適当あるが、土壌条件によりpHの値が重金属の吸収性に大きく関与するので栽培条件によりpHを調整することも必要である。また必要に応じ生分解性キレート剤、土壌酸性化剤、塩類等の重金属吸収促進剤、あるいは栄養成分、肥料等を施用することもできる。
連作障害がでない場合、重金属吸収能に最も優れた植物を毎年栽培することが効率的であるが、複数の作物を同時に若しくは順次に組み合わせて栽培してもよい。土壌中に含まれる重金属の種類、濃度等に合わせて植物種を適宜選択することができる。また、土壌条件、気候条件なども考慮することが好ましい。
【0011】
(植物の収穫)
植物の収穫は、茎および葉を含む植物体地上部、並びに根を含む植物体地下部の両方を対象とすることができる。植物体の収穫方法としては、地上部のみを刈り取る方法、1回刈り取った後残った植物体から再び生えてくる地上部を更に1回ないし複数回刈り取る方法、植物体地上部および地下部をそれぞれ別々に収穫する方法、植物体地上部と地下部を同時に収穫する方法などが挙げられる。
植物の収穫時期については、栽培する植物種により、重金属吸収量、生産量、形態等が最適な時期に行うことにより、効率的な浄化を行える。
【0012】
(収穫植物の処理)
収穫した植物はその後、軽量化及び/又は減容化処理に付される。かかる処理としては、除草剤処理、現場乾燥処理、堆肥化処理、圧搾処理、微生物処理、分解処理、粉砕処理等、及びそれら2つ以上の組み合わせにより実施する。このうち除草剤処理は植物の収穫後のみならず、収穫前に実施することもでき、この場合植物を枯草状態で軽量化して収穫することができる。
【0013】
現場乾燥処理は、枯死した植物を立毛の状態で適当な期間放置することにより自然乾燥して軽量化し、しかる後収穫する方法である。
圧搾処理は、収穫した植物を圧搾機により圧搾し、搾汁及び残渣に分離する方法である。通常、搾汁は濃縮用土壌2の抽出液と同様に重金属分離処理を行い、残渣は濃縮用土壌2に蓄積し濃縮する。また、搾汁が得られない程度に機械的に圧縮して容積をより一層小さくすることもできる。
堆肥化処理は、収穫した植物をそのまま又は粉砕後、露天又は適当な施設内に堆積し、自然放置して堆肥とする方法である。放置する際は必要に応じて土壌、発酵促進剤等を添加混合することができる。堆肥化の期間は条件により異なるが、浄化目標年限より短いことが望ましい。
微生物処理は、上記堆肥化処理と同様に堆積させ、微生物の力で分解する方法である。堆積した植物を濃縮用土壌2にすき込み、或いは堆積植物中に土壌を混合することにより、土壌中に自然に含まれる微生物を利用するのが簡易である。必要に応じて、乳酸菌、腐朽菌その他の菌類を添加することもできる。
分解処理は、堆積植物の分解作用に着目したもので、堆肥化処理、微生物処理、腐敗等と実体は同様である。
【0014】
上記のような軽量化及び/又は減容化処理は、植物を栽培した汚染土壌1の面積に比べて少面積の濃縮用土壌2において、集中的に行なわれる。濃縮用土壌2の面積は、汚染土壌1の面積に対して、通常20%以下、特に1〜10%程度の少割合が選択される。
濃縮用土壌2として利用する場所は、汚染土壌1の一部でもよく、汚染土壌1とは別の場所でもよい。例えば、休耕田、堆肥施設、管理型処分場(廃棄物処理場)や廃鉱山等の収穫した植物により周りの環境に影響を及ぼさない地域、施設を利用することができる。これにより、収穫植物は、重量として通常0.5〜70%、好ましくは1〜50%に軽量化することができ、また、容積としては通常0.5〜70%、好ましくは1〜50%に減容化することができる。
軽量化及び/又は減容化処理を濃縮用土壌2を利用して行なうことにより、汚染土壌1から植物を経由して濃縮した重金属を濃縮用土壌2中に集中的に蓄積することができる。或いは、軽量化及び/又は減容化処理をした後の処理物を、濃縮用土壌2と共に処理し、重金属を濃縮用土壌2中に集中的に蓄積することができる。いずれの場合も、濃縮用土壌2が有する重金属の吸着・吸収作用を利用して重金属を集中的に蓄積するものである。軽量化及び/又は減容化処理にあたっては、濃縮用土壌2の外部に収穫植物の葉等が飛散しないように飛散防止用の柵等を設置することは好ましい。
【0015】
(重金属の分離・除去方法)
濃縮用土壌2中に蓄積した重金属を濃縮用土壌2から分離する方法としては、重金属を可溶化する資材を土壌に処理し、湛水後攪拌処理により液相(上清、上澄液)に重金属を移動させ、この液相から重金属捕集剤(補助薬剤、pH調整剤を含む場合がある)や高分子凝集剤を組み合わせてこの中に含まれる重金属を凝集させることにより重金属を分離除去する。
重金属可溶化剤としては、キレート剤、生分解性キレート剤、酸、若しくは土壌酸性化剤等が挙げられ、具体的にはエチレンジアミン4酢酸、L−グルタミン2酢酸、塩酸、硫酸、硫黄粉末、硫酸アンモニウム、過燐酸石灰、クエン酸、シュウ酸、フルボ酸、腐植酸等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また重金属捕集剤としてはイオンと窒素を含むキレート形成基を持つ高分子化合物、補助薬剤としてはポリ塩化アルミニウム、硫酸バンドや塩化第二鉄等、pH調整剤としては、水酸化ナトリウム又は塩酸等が挙げられ、高分子凝集剤としてはアニオン系高分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお土壌中の重金属除去方法として公知のものとしては、特許第245138号、特開平10−34124号、特開平10−296230号,特開平11−253924号、特開平11−221553号などの各公報記載の技術が挙げられる。
【0016】
次に重金属を含む液相の処理方法を説明する。例えばカドミウムを例として説明する。
▲1▼先ず、図1に示すpH調整槽4に、カドミウムを含有する処理対象水を流入させる。
▲2▼次に、同pH調整槽4より水酸化ナトリウム(薬液タンク3)若しくは塩酸(薬液タンク2)を注入し、pHを調整する。pHは6から8に調整する。pHは6から8に調整すると、重金属の捕集効果が向上する。pH調整剤としては、例えば水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、ソーダ灰、消石灰等のアルカリと塩酸,硫酸等の酸を用いることがある。
▲3▼次に、6から8にpH調整した溶液を重金属捕集剤混和槽6に流入させ、重金属捕集剤を0.1から100ppm程度注入した後、15分間程度攪拌する。重金属捕集剤としては、例えばエポフロックL−1を用いる (エポフロックL−1は、ミヨシ油脂株式会社の商品名である) 。同エポフロックL−1はイオンと窒素を含むキレート形成基を持つ高分子化合物である。15分間程度緩速攪拌すると、重金属捕集剤と重金属が接触し、重金属が捕捉される。
▲4▼次に、重金属捕集剤を添加した溶液を補助薬剤混和槽8に流入し、補助薬剤を1〜50ppm注入した後、10分程度攪拌する。補助薬剤としては、例えばポリ塩化アルミニウム、硫酸バンドや塩化第二鉄等が用いられる。
▲5▼次に補助薬剤を添加した溶液を凝集助剤添加槽10に流入し、凝集助剤として高分子凝集剤を注入した後、5分間程度攪拌する。高分子凝集剤としては、例えばアニオン系高分子凝集剤,ノニオン系高分子凝集剤又はカチオン系高分子凝集剤等が用いられる。
▲6▼かかる後、高分子凝集剤を添加した溶液を凝集沈殿槽11に流入すると、フロック作用により、重金属は下方に沈み、上澄み水と凝集沈殿物とに固液分離される。ここで、上澄み水は処理水13として排水し、凝集沈殿物であるカドミウムを含む凝集汚泥12は焼却処分する。
【0017】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、植物は過塩素酸法又は硫酸法による酸分解後、土壌は0.1規定塩酸で抽出後、原子吸光光度計にてカドミウム濃度を測定した。
【0018】
[1] カドミウム汚染圃場における植物によるカドミウムの収奪
土壌中に2.5ppmの濃度でカドミウムを含有する汚染土壌(水田転換畑圃場)においてケナフ、オクラ、ヒマワリを5月より9月にかけて栽培し、表1の結果を得た。
【表1】
Figure 2004223393
作土層の深さを稲作水田を一例として15cm(0.15m)と仮定すると、上記汚染土壌1ha当りのカドミウムの存在量は下記の通り、3750g/haと計算される。従って、ケナフによるカドミウムの収奪量505g/haはその約7分の1に相当し、カドミウム濃度として約2.2ppmに低下したことになる。
Figure 2004223393
ケナフの栽培によるカドミウムの収奪を繰り返すことにより、数年で土壌中のカドミウム含量を安全な農作物を作れるレベルにまで浄化可能であることが分かる。例えば、目標とするカドミウム濃度レベルを0.4ppmとすると、約7〜8年程度の所要年限となる。なお、土壌中のカドミウム濃度が低下するに従い、植物のカドミウム奪取量も低下する傾向にあるが、カドミウム濃度の低下ほどには低下しないことを本発明者らは確認している。
オクラ及びヒマワリのカドミウムの収奪量はケナフより多少劣るが、同様に汚染土壌を浄化できることが分かる。
【0019】
[2] 収穫後植物の少面積への集積
面積918mの圃場にて栽培した植物を収穫後、別の未栽培農地(平地、露天)に積み上げた。植物の集積は収穫直後の未乾燥の状態で行い、集積後人力もしくは軽貨物車によっておおまかに鎮圧した。この時可能な限り収穫物は少ない面積に積み上げるようにし、集積した面積を計測した。この状態で1.5ヶ月間自然状態のままで放置し減容させた。本実施例における減容は、植物体の乾燥、細胞の自然分解、天然微生物による発酵もしくは腐敗等によりもたらされたと考えられる。結果を表2に示す。
なお、栽培植物は、収穫時の重量比で、ケナフ35%、ヒマワリ38%、オクラ11%、イネ12%、タバコ2%、その他2%の混合系である。
【表2】
Figure 2004223393
本実施例により、収穫物を約5%の面積に集約することが可能であり、また何らかの減容化促進処理を加えずとも1.5ヶ月で約半分の容積に減容することが可能であることが示された。
【0020】
[3] 分解した植物から土壌への集積
上記[2]において植物を分解・減容した場所にて土壌を採取し、集積前と減容後(1.5ヶ月後)の土壌中のカドミウム含量を測定した結果を表3に示す。
【表3】
Figure 2004223393
本実施例により、1.5ヶ月という短い期間でも植物分解物より集積地土壌(濃縮用土壌2)中へカドミウムを効率的に集約し蓄積できることが示された。本例は収穫植物中のカドミウムの約20%を濃縮用土壌に集積したものであるが、このような集積操作を繰り返すことにより、最終的には植物中のカドミウムはその全量が土壌中に還元されることとなる。
【0021】
[4] 汚染土壌から液相へのカドミウム抽出
カドミウム含有土壌5kgに0.1規定塩酸溶液を7.5リットルを添加し、攪拌後室温条件で一昼夜静置し、上清に含まれるカドミウム含量を測定して抽出率を求めた。結果を表4に示す。
【表4】
Figure 2004223393
これにより、本方法によって十分な量のカドミウムを容易に抽出できることが示された。
【0022】
[5] カドミウムを含む液相の処理方法
カドミウム含有対象水(カドミウム濃度0.87mg/L)を水酸化ナトリウムを用いてpH7に調整し、これに重金属捕集剤として、キレート形成基を有する高分子化合物(エポフロックL−1:ミヨシ油脂社商品名)を10、20、30ppm注入し、15分間攪拌した。次に、補助薬剤として、ポリ塩化アルミニウムを各5、10、20、30ppmの濃度で注入した後、10分間攪拌した。次いでアニオン系高分子凝集剤を2ppm注入し、5分間攪拌した。かかる後溶液を放置し、上澄水と凝集沈殿物とに固液分離し、上澄水のカドミウム濃度を測定した。
上記したカドミウム処理方法による処理効果は、重金属捕集剤と補助薬剤の量により異なる。上澄み水中のカドミウム含量を測定した結果[単位:mg/L]を表5に示す。
【表5】
Figure 2004223393
本実施例より、重金属捕集剤を20ppm以上注入すると、カドミウムは、0.1mg/L以下となり排水基準値以下となることが確認された。
【0023】
【発明の効果】
高い費用または長い年月がかかっていたカドミウム等の重金属汚染土壌の浄化を、重金属吸収能のある植物を利用し、少量の濃縮用土壌に集中的に蓄積させ、これを浄化することにより安全で、低コスト、効率的に実施できる。本発明により、より安全な農作物、食品、あるいは生活環境などを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】重金属を含む液相の処理プロセス
【符号の説明】
1:被処理水
2:薬液タンク(酸)
3:薬液タンク(アルカリ)
4:pH調整槽
5:薬液タンク(重金属捕集剤)
6:重金属捕集剤混和槽
7:薬液タンク(補助薬剤)
8:補助薬剤混和槽
9:薬液タンク(高分子凝集剤)
10:凝集助剤混和槽
11:凝集沈殿槽
12:凝集汚泥
13:処理水

Claims (8)

  1. 重金属に汚染された汚染土壌1に重金属吸収能を有する植物を生育せしめた後、収穫した植物を軽量化及び/又は減容化処理することにより、該植物が吸収した重金属を、少面積の濃縮用土壌2中に集中的に蓄積せしめ、次いで、該濃縮用土壌2を重金属可溶化剤で処理することにより、該重金属を除去することを特徴とする汚染土壌1の浄化方法。
  2. 植物の軽量化及び/又は減容化処理が、除草剤処理、現場乾燥処理、堆肥化処理、微生物処理、圧搾処理及びこれらの組み合わせ処理である請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
  3. 植物の軽量化及び/又は減容化処理物の少なくとも一部を、濃縮用土壌2中にすき込み微生物分解することを特徴とする請求項1又は2に記載の汚染土壌の浄化方法。
  4. 微生物処理が発酵処理又は土中分解処理である請求項2又は3に記載の汚染土壌の浄化方法。
  5. 重金属吸収能を有する植物が、アブラナ科、アオイ科、マメ科、アカザ科、ナス科、キク科、ヒユ科及びイネ科からなる群から選ばれる少なくとも1種の植物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
  6. 重金属可溶化剤がキレート剤、生分解性キレー剤、酸、アルカリ又は土壌酸性化剤である請求項1〜5のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
  7. 植物の軽量化及び/又は減容化処理物中の重金属を蓄積した濃縮用土壌2を、重金属可溶化剤の存在下、湛水処理して上澄液を分離し、該上澄液中に含まれる重金属を凝集させることにより分離除去することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
  8. 重金属が、カドミウム、亜鉛、鉛、クロム、銅、水銀、砒素又はそれらの化合物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
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