JP2004223324A - 塗装方法および資材 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属製の資材の表面に取り扱いが容易な木目模様を容易に形成できる塗布方法を提供する。
【解決手段】見せようする木の色の第1の塗料を資材本体1の表面1aに面状に塗布して第1の塗料層3を形成する。木目模様の目の色の希釈した第2の塗料を使い古しの粗密を有する刷毛に吸い込ませる。第2の塗料を吸い込んだ刷毛を第1の塗料層3の表面3aに対して並行に移動させながら、この第1の塗料層3の表面3aに第2の塗料を塗布して、木材の縦目模様である第2の塗料層4を形成する。資材本体1の表面1aへの木目模様の形成を容易にできる。資材本体1の表面1aに形成した木目模様が剥がれても、この木目模様が剥がれた部分に塗料を塗布するだけで補修できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被塗布部材の表面に塗料を塗布して木目模様を形成させる塗布方法および資材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年問題となっている熱帯雨林における森林資源の激減は、CO問題まで発展している。また、木材資源の貴重さは、社会問題となっており、木材資源を大切にする必要もある。
【0003】
そして、従来、このような問題を解決するための手段として、金属あるいは樹脂などの硬質な表面に、木材の表面である木目模様がプリントされた木目模様フィルムを貼り付けて、これら金属あるいは樹脂を木材に見せている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
さらに、わが国においては、元来木造住宅が住居の主流である関係上、住宅においては、内装および外装ともに木材、もしくは、木材に似せたフイルムを貼った資材が多用されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−310437号公報(第3−11頁、図7)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記木目模様フィルムは製造が容易ではなく、この木目模様フィルムを金属あるいは樹脂の表面に貼り付けて、これら金属あるいは樹脂を木材に見せた場合には、これら金属あるいは樹脂から木目模様フィルムの一部が剥がれた際に、この木目模様フィルム全部を張り替えなければならない。
【0007】
すなわち、木目模様フィルムの一部が剥がれた際に、この木目模様フィルムの一部のみを張り替えようとした場合には、張り替えようとする部分の木目模様フィルムの柄を、予め貼り付けられた木目模様フィルムの柄に合わせなければならない。また、木目模様フィルムの一部が剥がれた部分は、この木目模様フィルム自体の厚みにより周囲より窪んでしまうので、この木目模様フィルムが剥がれた部分に塗料を塗布しても、目立たないようにすることが容易ではないので、取り扱いが容易ではないという問題を有している。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、被塗布部材の表面に取り扱いが容易な木目模様を容易に形成できる塗布方法および建材を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の塗布方法は、被塗布部材の表面に木目模様の基調となる色の第1の塗料を塗布し、この第1の塗料が塗布された前記被塗布部材の表面に、前記第1の塗料とは異なる色であり、かつこの第1の塗料よりも溶剤で希釈された第2の塗料を、粗密を有する塗布手段で塗布して、前記第1の塗料が塗布された前記被塗布部材の表面に木目模様を形成するものである。
【0010】
そして、被塗布部材の表面に木目模様の基調となる色の第1の塗料を塗布し、この第1の塗料とは異なる色であり、かつこの第1の塗料よりも溶剤で希釈された第2の塗料を、第1の塗料が塗布された被塗布部材の表面に粗密を有する塗布手段で塗布するだけで、この被塗布部材の表面に塗布された第1の塗料の上に木目模様が形成されるので、この被塗布部材の表面への木目模様の形成を容易にできる。
【0011】
請求項2記載の塗布方法は、請求項1記載の塗布方法において、塗布手段は、毛先が粗密な刷毛であるものである。
【0012】
そして、塗布手段を毛先が粗密な刷毛とすることにより、第1の塗料が塗布された被塗布部材の表面への第2の塗料の塗布を容易にできる。
【0013】
請求項3記載の塗布方法は、請求項1または2記載の塗布方法において、第1の塗料および第2の塗料のそれぞれが塗布された被塗布部材の表面に、前記第1の塗料とは異なる色に着色された略透明な第3の塗料を塗布するものである。
【0014】
そして、第1の塗料および第2の塗料のそれぞれが塗布された被塗布部材の表面に、第1の塗料とは異なる色に着色された略透明な第3の塗料を塗布することにより、この被塗布部材の表面に形成された木目模様が、より自然の木目調になる。
【0015】
請求項4記載の塗布方法は、請求項1ないし3いずれか記載の塗布方法において、被塗布部材の表面に塗布した第2の塗料が乾燥する前に、前記被塗布部材の表面に前記第2の塗料を滴下して、前記被塗布部材の表面に木の節目模様を形成するものである。
【0016】
そして、被塗布部材の表面に塗布した第2の塗料が乾燥する前に、被塗布部材の表面に第2の塗料を滴下することにより、被塗布部材の表面に木の節目模様が形成されるので、この被塗布部材の表面への木の節目模様の形成を容易にできる。
【0017】
請求項5記載の資材は、被塗布部材と、この被塗布部材の表面に木目模様の基調となる色の第1の塗料が塗布されて形成された第1の塗料層と、この第1の塗料とは異なる色であり、かつこの第1の塗料よりも溶剤で希釈された第2の塗料が、粗密を有する塗布手段にて前記第1の塗料層の表面に塗布されて形成され、前記第1の塗料層の表面に木目模様を形成させた第2の塗料層とを具備したものである。
【0018】
そして、被塗布部材の表面に木目模様の基調となる色の第1の塗料を塗布して第1の塗料層を形成するとともに、この第1の塗料とは異なる色であり、かつこの第1の塗料よりも溶剤で希釈された第2の塗料を、粗密を有する塗布手段で第1の塗料層の表面に塗布するだけで、この第1の塗料層上に木目模様が形成された第2の塗料層が形成されるので、この被塗布部材の表面への木目模様の形成を容易にできる。
【0019】
請求項6記載の資材は、請求項5記載の資材において、塗布手段は、毛先が粗密な刷毛であるものである。
【0020】
そして、塗布手段を毛先が粗密な刷毛とすることにより、被塗布部材の表面に形成された第1の塗料層の表面への第2の塗料の塗布を容易にできる。
【0021】
請求項7記載の資材は、請求項5または6記載の資材において、第1の塗料層および第2の塗料層が形成された被塗布部材の表面に、前記第1の塗料とは異なる色に着色された略透明な第3の塗料が塗布されて形成された第3の塗料層を具備したものである。
【0022】
そして、第1の塗料層および第2の塗料層が形成された被塗布部材の表面に、第1の塗料とは異なる色に着色された略透明な第3の塗料を塗布して第3の塗料層を形成することにより、この被塗布部材の表面に形成された木目模様が、より自然の木目調になる。
【0023】
請求項8記載の資材は、請求項5ないし7いずれか記載の資材において、第2の塗料層は、第1の塗料層の表面に塗布した第2の塗料が乾燥する前に、前記第1の塗料層の表面に前記第2の塗料が滴下されて、前記第1の塗料層の表面に木の節目模様を形成させるものである。
【0024】
そして、被塗布部材の表面に形成された第1の塗料層の表面に塗布した第2の塗料が乾燥する前に、この第1の塗料層の表面に第2の塗料を滴下することにより、この第1の塗料層の表面に木の節目模様が形成されるので、被塗布部材の表面への木の節目模様の形成を容易にできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の塗布方法により製造された資材の一実施の形態の構成を図1ないし図8を参照して説明する。
【0026】
図1ないし図8において、1は被塗布部材としての資材本体で、この資材本体1は、例えば断面が矩形あるいは正方形状である細長筒状に形成されている。また、この資材本体1は、金属製であり、建物に用いられる建材や、家具などに用いられる資材などとしての鉄骨である。さらに、この資材本体1は、硬質な表面1aを有している。
【0027】
そして、図1および図3ないし図5に示すように、この資材本体1の各表面1aのそれぞれの全体には、プライマと呼ばれる下地剤が面状に塗布されて乾燥されて下地面としての下地層2が形成されている。この下地層2は、この下地層2の表面2aに塗布される塗料を資材本体1の表面1aにしっかりと定着させて固定させるために設けられている。
【0028】
また、この下地層2の各表面2aには、図1、図4および図5に示すように、木目模様の基調となる色の第1の塗料がエアーガンを使用して面状に塗布されて第1の塗料層3が形成されている。ここで、第1の塗料層3として塗布される第1の塗料は、見せようする目的の木の色を考慮した色の顔料および染料の少なくともいずれか一方を下地剤に加えたものである。具体的に、この第1の塗料に用いられている顔料は、資材本体1の表面1aを白木のような木材に見せようとする場合には白に近い色のものとされ、また、この資材本体1の表面1aを黒檀などの色の濃い木材に見せようとする場合には、茶色あるいはこげ茶色のような茶褐色のものとされる。
【0029】
さらに、この第1の塗料層3の各表面3aのそれぞれには、図1、図5および図6ないし図8に示すように、この第1の塗料層3の表面3aに木目模様が形成されるように第2の塗料が複数の線状に塗布されて第2の塗料層4が形成されている。ここで、この第2の塗料層4として塗布される第2の塗料は、粗密を有する塗布手段としての刷毛11によって第1の塗料層3の表面3a上に木目模様が形成されるように塗布されている。
【0030】
また、この第2の塗料には、顔料および染料の少なくともいずれか一方が用いられており、これら顔料および染料の少なくともいずれか一方は、第1の塗料とは異なる色、すなわち木目模様の目の色を考慮した色のものである。さらに、この第2の塗料は、第1の塗料よりも溶剤が多量に加えられて希釈されている。具体的に、この第2の塗料は、一般的にエアーガンを使用して塗布する際の、顔料に対して溶剤が20%程度加えられた塗料よりも、顔料および染料の少なくともいずれか一方に溶剤が100倍以上2000倍以下、より好ましくは1000倍程度加えられて希釈されている。また、この第2の塗料を塗布する際に用いられる刷毛11は、毛先12の粗密が余りない新品のものよりも、使い古して毛先12が散けて、この毛先12に粗密ができた程度のもの方が、第1の塗料層3の表面3aにより木材の木目模様を描くことができるので好ましい。
【0031】
ここで、第2の塗料層4は、第1の塗料層3の表面3aに対して刷毛11の毛先12を並行に位置させて、この刷毛11の毛先12を並行に移動させながらこの第1の塗料層3に第2の塗料を塗布することにより、図6に示すように、第1の塗料層3の表面3aに木材の縦目模様を形成させる。
【0032】
また、この第2の塗料層4は、図7に示すように、第1の塗料層3の表面3aに対して刷毛11の毛先12を並行に位置させて、この刷毛11の毛先12を徐々に第1の塗料層3から遠ざけながらこの第1の塗料層3に第2の塗料を塗布することにより、この第1の塗料層3の表面3aに木材を斜めに切断した際に見られる木目模様を形成させる。
【0033】
さらに、この第2の塗料層3は、図8に示すように、第1の塗料層3の表面3aに塗布した第2の塗料が乾燥する前に、この第1の塗料層3の表面に刷毛11の毛先12などから第2の塗料を垂らすことにより、この第2の塗料が有する表面張力によって、この第1の塗料層3の表面3aに木材の節目模様を形成させる。
【0034】
そして、第1の塗料層3および第2の塗料層4が形成された資材本体1の表面4a全体には、図1に示すように、透明あるいは半透明などを含む略透明なクリアな塗料である第3の塗料が面状に塗布されて第3の塗料層5が形成されている。
この第3の塗料層5は、第2の塗料層4が形成された第1の塗料層3の上、すなわち、第2の塗料層4を含んだ第1の塗料層3の各表面3a,4aそれぞれの全体に形成されている。
【0035】
ここで、この第3の塗料層5の形成に用いられる第3の塗料は、第1の塗料層3の形成に用いられる第1の塗料と異なる色であるとともに、第2の塗料層4の形成に用いられる第2の塗料とも異なる色に着色されている。また、この第3の塗料は、資材本体1の表面1aに第1の塗料層3および第2の塗料層4により形成された木目模様に対して必要に応じて光沢感を与えたり、あるいは艶を消したりして、この木目模様をより自然な木目調にするとともに、これら第1の塗料層3および第2の塗料層4により形成された木目模様を保護する。
【0036】
具体的に、この第3の塗料は、資材本体1の表面1aに形成された木目模様を白木に見せようとする場合には、茶褐色なオレンジ色の顔料および染料の少なくともいずれか一方を10倍以上2000倍以下、より好ましくは500倍程度に希釈させた有色透明な塗料である。一方、この第3の塗料は、資材本体1の表面1aに形成された木目模様を黒檀などの色の濃い木材に見せようとする場合には、黒褐色な茶色の顔料および染料の少なくともいずれか一方を100倍程度に希釈させた有色透明な塗料である。
【0037】
ここで、これら下地層2、第1の塗料層3、第2の塗料層4および第3の塗料層5のそれぞれは、これらが資材本体1の表面1aにそれぞれ塗布された後に焼き付けられて焼き付け固定されて焼き付け塗装とされている。
【0038】
次に、上記一実施の形態の塗布方法について説明する。
【0039】
まず、図2に示す資材本体1の各表面1aのそれぞれに下地剤を塗布して乾燥させて、図3に示すように、この資材本体1の各表面1aに下地層2を形成する。
【0040】
次いで、図4に示すように、この下地層2の表面2aのそれぞれに第1の塗料を塗布して乾燥させて、この下地層2の表面2aに、見せようとする木目模様の下地の色である木材自身の色となる第1の塗料層3を形成する。
【0041】
この後、第2の塗料を毛先12に吸い込ませた刷毛11を、第1の塗料層3の表面3aに対して並行に位置させて、この第1の塗料層3の表面3aに沿って略並行に移動させて、図5および図6に示すように、この第1の塗料層3の表面3aに木目模様を形成する。
【0042】
このとき、この刷毛11の毛先12を第1の塗料層3の表面3aに対して並行に移動させる際に、この刷毛11の毛先12の移動が幅方向に向けて歪んでぶれたとしても、この刷毛11の毛先12のぶれによって第2の塗料が塗布されて形成された模様が木材の縦目に見える。
【0043】
またこのとき、第1の塗料層3の表面3aに対して刷毛11の毛先12を並行に位置させて、この刷毛11の毛先12を徐々に第1の塗料層3から遠ざけながらこの第1の塗料層3の表面3aに第2の塗料を塗布すると、図7に示すように、この第1の塗料層3の表面3aに木材を斜めに切断した際に見られる木目模様が形成される。
【0044】
さらにこのとき、第1の塗料層3の表面3aに塗布された第2の塗料が乾燥する前に、この第2の塗料層4の表面4aに第2の塗料を刷毛11の毛先12などから垂らすと、この第2の塗料による表面張力によって、垂らした第2の塗料の周囲に形成された第2の塗料による木目模様が移動し、図8に示すように、この第1の塗料層3の表面3aに木材の節目模様が形成される。
【0045】
この後、図1に示すように、第2の塗料が塗布されて木目模様が形成された第1の塗料層3および第2の塗料層4の各表面3a,4aのそれぞれに、第3の塗料を塗布して乾燥させて、第2の塗料層4を含む第1の塗料層3の各表面3a,4aのそれぞれに、第3の塗料層5を形成する。
【0046】
さらに、資材本体1の表面1aに形成された下地層2、第1の塗料層3、第2の塗料層4および第3の塗料層5のそれぞれを焼き付けて、これら下地層2、第1の塗料層3、第2の塗料層4および第3の塗料層5のそれぞれを焼き付け塗装とする。
【0047】
上述したように、上記一実施の形態によれば、資材本体1の表面1aに下地剤が塗布されて形成された下地層2の表面2aに、見せようする木の色を考慮した色の第1の塗料を面状に塗布して第1の塗料層3を形成した後、木目模様の目の色を考慮した色の顔料が溶剤で好ましくは約1000倍程度希釈された第2の塗料を吸い込ませた使い古しの粗密な毛先12を有する刷毛11を、第1の塗料層3の表面3aに対して並行に移動させながら、この第1の塗料層3の表面3aに第2の塗料を塗布するだけで、この第1の塗料層3の表面3aに木材の縦目模様を形成できる。
【0048】
このとき、第2の塗料層4として塗布される第2の塗料の希釈率を、通常エアーガンで塗布する際に用いられる、顔料に対して溶剤が20%程度加えられた塗料よりも高くしたが、これは、通常の希釈率の塗料として第2の塗料を刷毛11で第1の塗料層3の表面3aに塗布した場合には、この第1の塗料層3の表面3a全体に第2の塗料が面状に塗布されてしまうからである。
【0049】
これに対し、上述のように第2の塗料の希釈率を高くした場合には、ちょうど墨を用いて筆で字を書き、この筆の墨がなくなった時に筆先がばらばらになり、細い線が数本描かれてしまうが如く、希釈率を高くした第2の塗料を毛先12がバラけた刷毛11で第1の塗料層3の表面3aに塗布することにより、この第1の塗料層3の表面3aに第2の塗料が多く付着する部分と、少なく付着する部分とができ、これら第2の塗料が多く付着する部分と少なくする部分とによって木目模様が容易に形成される。
【0050】
この結果、硬質な表面1aを有する金属製の資材本体1の表面1aへの木目模様の形成を容易にできるとともに、この資材本体1の表面1aに塗料して形成した木目模様が削れたりして剥がれても、この木目模様が剥がれた部分に第1の塗料や第2の塗料などを塗布するだけで補修できるので、この木目模様が形成された資材本体1の取り扱いを容易にできる。
【0051】
すなわち、上述のように木目模様が表面に形成された資材本体1であれば、この資材本体1は金属製であるので、現場にて切断したり連結したりして加工できる。このため、木目模様を有する樹脂を希望する形に成形して用いる場合に比べ、木目模様を有する資材本体1の施工性を向上できる。
【0052】
さらに、一般的な木材は水分の吸収によって劣化して腐ってしまうおそれがあるとともに、これら木材は天然資源であるため、今後の材料不足、価格の上昇あるいはCO問題などの諸問題がある。また、これら木材は強度においても金属より劣ることが多く、これら木材を加工して住居のドアなどに使用した湯合には、窃盗などによって住居に侵入する際に壊し易いなど、種々の難点もある。
【0053】
これに対して、金属製の資材本体1の表面1aに第1の塗料層3および第2の塗料層4を形成させて木目模様を形成することにより、木材そのものを使用せずに、資材本体1を木材のように見せることができるので、木材資源の使用を減らすことにも繋がり、上記木材が有する諸問題を改善できる。
【0054】
また、現在、金属などの硬質な資材本体1の表面1aに対する木目調の処理として、木目模様が印刷されたフィルムを貼り付けて処理する技術が多用されているが、資材本体1の表面1aに貼り付けたフィルムが一部でも剥がれた際には、このフィルム全体を張り替えなければ補修できないとともに、あくまでもフィルムであるので質感が木とは異なるとの指摘もある。
【0055】
これに対して、資材本体1の表面1aに第1の塗料層3および第2の塗料層4を形成させて木目模様を形成した場合には、この資材本体1の表面1aの木目模様が剥がれても、この剥がれた部分に第1の塗料や第2の塗料などを塗布するだけという、現在も実施されている補修技術(木の床材の補修技術)をそのまま適用できるので、養生などの心配も軽減でき、扱い易い製品となり、価格面での軽減も可能となる。
【0056】
同時に、資材本体1の表面1aが木目模様のフィルムを貼り付けることができない凹凸面や曲面などであっても、少なくとも刷毛11の毛先12を入り込ませることが可能な幅さえあれば、この資材本体1の表面1aに少なくとも第1の塗料および第2の塗料を塗布することにより、この資材本体1の表面1aに木目模様を形成できるから、木目模様のフィルムよりも取り扱い性を向上できる。
【0057】
さらに、合成樹脂を加工して木材に見えるようにした製品は、あくまでも合成樹脂で成形されているため質感などが木材とは異なる。また、これらの合成樹脂から成形された製品は、製造する際に必ず金型が必要であるので、初期投資が多いとともに、この初期投資に費やされた負担が製品の値段として加算されるため、多品種の木材調の製品ラインを揃えたり、色の異なる製品を揃えるには、多大な金型に対する投資が必要であるので、これら製品の製造が容易ではない。
【0058】
これに対して、硬質な表面1aを有する金属製の資材本体1の表面1aに第1の塗料層3および第2の塗料層4を形成させて木目模様を形成する場合には、製造の際に金型が不要であるとともに、第1の塗料層3に用いられる第1の塗料や、第2の塗料層4に用いられる第2の塗料を変化させるだけで、木目模様の色の調合もある程度の範囲であれば自由に変化させて選択できるから、多品種の製品ラインを容易に揃えることができる。
【0059】
また、資材本体1の表面1aに絵を描くが如く、木目模様を描けばよいが、この場合には、個々の製造コストが多大となるので、商業ベースに乗せることが採算性の面から実質的に容易ではない。
【0060】
さらに、資材本体1の表面1aに形成された第1の塗料層3および第2の塗料層4の表面3a,4aに、第1の塗料とは異なる色の略透明なクリアな塗料である第3の塗料を塗布して乾燥させて第3の塗料層5を形成したことにより、この資材本体1の表面1aに形成された木目模様に光沢感を与えたり、この木目模様の艶を消したりできる。
【0061】
したがって、資材本体1の表面1aに形成された第1の塗料層3および第2の塗料層4の表面3a,4aに第3の塗料層5を形成することにより、この資材本体1の表面1aに形成された木目模様を仕上げの色、すなわち目的とする木目調にできる。このため、この資材本体1の表面1aに形成された木目模様をより自然の木目調にできるとともに、この資材本体1の表面1aに形成された木目模様を第3の塗料層5によって保護できる。
【0062】
また、第1の塗料層3の表面3aに塗布された第2の塗料が乾燥する前に、この第2の塗料層4の表面4aに第2の塗料を垂らすことにより、この第2の塗料が有する表面張力によって、この第1の塗料層3の表面3aに垂らした第2の塗料の周囲に位置する、第2の塗料によって形成された木目模様が移動して、図8に示すように、この第1の塗料層3の表面3aに木材の節目模様を形成できる。このため、この第1の塗料層3の表面3aへの木の節目模様の形成を容易にできる。
【0063】
なお、上記一実施の形態では、硬質な表面1aを有する金属製の資材本体1の表面1aに木目模様を形成したが、第1の塗料および第2の塗料が塗布できる、例えば合成樹脂などの資材や建材であっても、対応させて用いることができる。
【0064】
また、資材本体1の表面1aに塗布して形成させた下地層2、第1の塗料層3、第2の塗料層4および第3の塗料層5を焼き付け塗装としたが、必要のない場合には、これら下地層2、第1の塗料層3、第2の塗料層4および第3の塗料層5を焼き付け塗装としなくてもよい。
【0065】
さらに、粗密な毛先12を有する刷毛11を用いて第1の塗料層3の表面3aに第2の塗料を塗布したが、この第2の塗料を吸収する部分が粗密である塗布手段であれば、刷毛11以外の塗布手段であっても対応させて用いることができる。
【0066】
また、第1の塗料をプライマ入りなどとして、この第1の塗料を粉体塗装にて資材本体1の表面1aに塗布するなどすることにより、資材本体1の表面1aに第1の塗料および第2の塗料を塗布するだけで、この資材本体1の表面1aに木目模様を形成できる。したがって、資材本体1の表面1aに木目模様を形成するためには、この資材本体1の表面1aに対して少なくとも第1の塗料および第2の塗料を塗布するだけでよい。
【0067】
【発明の効果】
請求項1記載の塗布方法によれば、被塗布部材の表面に木目模様の基調となる色の第1の塗料を塗布し、この第1の塗料とは異なる色であり、かつこの第1の塗料よりも溶剤で希釈された第2の塗料を、第1の塗料が塗布された被塗布部材の表面に粗密を有する塗布手段で塗布するだけで、この被塗布部材の表面に木目模様を容易に形成できる。
【0068】
請求項2記載の塗布方法によれば、請求項1記載の塗布方法の効果に加え、塗布手段を毛先が粗密な刷毛とすることにより、第1の塗料が塗布された被塗布部材の表面への第2の塗料の塗布を容易にできる。
【0069】
請求項3記載の塗布方法によれば、請求項1または2記載の塗布方法の効果に加え、第1の塗料および第2の塗料のそれぞれが塗布された被塗布部材の表面に、第1の塗料とは異なる色に着色された略透明な第3の塗料を塗布することにより、この被塗布部材の表面に形成された木目模様をより自然の木目調にできる。
【0070】
請求項4記載の塗布方法によれば、請求項1ないし3いずれか記載の塗布方法の効果に加え、被塗布部材の表面に塗布した第2の塗料が乾燥する前に、被塗布部材の表面に第2の塗料を滴下するだけで、被塗布部材の表面に木の節目模様を容易に形成できる。
【0071】
請求項5記載の資材によれば、被塗布部材の表面に木目模様の基調となる色の第1の塗料を塗布して第1の塗料層を形成するとともに、この第1の塗料とは異なる色であり、かつこの第1の塗料よりも溶剤で希釈された第2の塗料を、粗密を有する塗布手段で第1の塗料層の表面に塗布するだけで、この第1の塗料層の表面に木目模様の第2の塗料層を容易に形成できる。
【0072】
請求項6記載の資材によれば、請求項5記載の資材の効果に加え、塗布手段を毛先が粗密な刷毛とすることにより、第1の塗料が塗布された被塗布部材の表面への第2の塗料の塗布を容易にできる。
【0073】
請求項7記載の資材によれば、請求項5または6記載の資材の効果に加え、第1の塗料層および第2の塗料層が形成された被塗布部材の表面に、第1の塗料とは異なる色に着色された略透明な第3の塗料を塗布して第3の塗料層を形成することにより、この被塗布部材の表面に形成された木目模様をより自然の木目調にできる。
【0074】
請求項8記載の資材によれば、請求項5ないし7いずれか記載の資材の効果に加え、被塗布部材の表面に形成された第1の塗料層の表面に塗布した第2の塗料が乾燥する前に、この第1の塗料層の表面に第2の塗料を滴下するだけで、この第1の塗料層の表面に木の節目模様を容易に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の資材の一部を示す断面図である。
【図2】同上資材の被塗布部材の一部を示す断面図である。
【図3】同上資材の被塗布部材の表面に下地層を形成した状態を示す断面図である。
【図4】同上資材の下地層の表面に第1の塗料層を形成した状態を示す断面図である。
【図5】同上資材の第1の塗料層の表面に第2の塗料層を形成する状態を示す断面図である。
【図6】同上資材に木材の縦目模様を形成した状態を示す側面図である。
【図7】同上資材に木材を斜めに切断した際に見られる木目模様を形成した状態を示す側面図である。
【図8】
同上資材に木材の節目模様を形成した状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 被塗布部材としての資材本体
3 第1の塗料層
4 第2の塗料層
5 第3の塗料層
11 塗布手段としての刷毛
12 毛先

Claims (8)

  1. 被塗布部材の表面に木目模様の基調となる色の第1の塗料を塗布し、
    この第1の塗料が塗布された前記被塗布部材の表面に、前記第1の塗料とは異なる色であり、かつこの第1の塗料よりも溶剤で希釈された第2の塗料を、粗密を有する塗布手段で塗布して、前記第1の塗料が塗布された前記被塗布部材の表面に木目模様を形成する
    ことを特徴とする塗布方法。
  2. 塗布手段は、毛先が粗密な刷毛であることを特徴とする請求項1記載の塗布方法。
  3. 第1の塗料および第2の塗料のそれぞれが塗布された被塗布部材の表面に、前記第1の塗料とは異なる色に着色された略透明な第3の塗料を塗布することを特徴とする請求項1または2記載の塗布方法。
  4. 被塗布部材の表面に塗布した第2の塗料が乾燥する前に、前記被塗布部材の表面に前記第2の塗料を滴下して、前記被塗布部材の表面に木の節目模様を形成することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載の塗布方法。
  5. 被塗布部材と、
    この被塗布部材の表面に木目模様の基調となる色の第1の塗料が塗布されて形成された第1の塗料層と、
    この第1の塗料とは異なる色であり、かつこの第1の塗料よりも溶剤で希釈された第2の塗料が、粗密を有する塗布手段にて前記第1の塗料層の表面に塗布されて形成され、前記第1の塗料層の表面に木目模様を形成させた第2の塗料層とを具備したことを特徴とした資材。
  6. 塗布手段は、毛先が粗密な刷毛であることを特徴とした請求項5記載の資材。
  7. 第1の塗料層および第2の塗料層が形成された被塗布部材の表面に、前記第1の塗料とは異なる色に着色された略透明な第3の塗料が塗布されて形成された第3の塗料層を具備したことを特徴とした請求項5または6記載の資材。
  8. 第2の塗料層は、第1の塗料層の表面に塗布した第2の塗料が乾燥する前に、前記第1の塗料層の表面に前記第2の塗料が滴下されて、前記第1の塗料層の表面に木の節目模様を形成させる
    ことを特徴とした請求項5ないし7いずれか記載の資材。
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JP2013158746A (ja) * 2012-02-08 2013-08-19 Tategami Kogyo Kk 木目調素材とその塗装方法

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