JP2004223311A - 触媒担持体、電極および燃料電池 - Google Patents

触媒担持体、電極および燃料電池 Download PDF

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幸子 平林
Noriyoshi Nanba
憲良 南波
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哲 丸山
Tadashi Suzuki
鈴木  忠
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Abstract

【課題】触媒の分散性を向上させることができると共に、導電性を有し、かつ安価に製造することができる触媒担持体、それを用いた電極および燃料電池を提供する。
【解決手段】電解質10を挟んで燃料極20と酸化剤極30とを有する。燃料極20および酸化剤極30は、それぞれ多孔性の基体21,31に撥水層22,32を介して触媒層23,33が設けられている。触媒層23,33は、触媒担持体に担持させた触媒を含んでいる。触媒担持体には、フラーレンの製造過程においてフラーレンの抽出操作により生じた残渣物あるいはその誘導体を用いる。これらは導電性を有すると共に、分子構造に基づく三次元ネットワークにより触媒を均一に担持することができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、白金(Pt)などの触媒を担持する触媒担持体、それを用いた電極および燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電効率が高く、反応生成物が原理的には水(HO)のみであり、環境負荷の面においても優れているエネルギー供給源として、燃料電池が注目されている。この燃料電池では、燃料極において白金などの触媒により水素あるいはメタノールなどの液体燃料を反応させ、酸化剤極において白金などの触媒により酸素を反応させることにより起電力を得ている。よって、燃料電池の特性を向上させる上で触媒の影響は大きく、触媒を微粉化して表面積を大きくすると共に、触媒を均一に分散させることが重要となる。しかし、超微粒子を均一に分散させることは難しく、従来は、超微粒子の触媒をアセチレンブラックなどのカーボンブラックに担持させることにより、分散性を向上させていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、近年では、フラーレンを触媒担持体として利用する技術(例えば、特許文献2参照。)や、あるいは、カーボンナノホーンを触媒担持体として利用する技術も報告されている(例えば、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−5635号公報
【特許文献2】
特開平8−31444号公報
【特許文献3】
特開2002−159851号公報
【非特許文献1】
「ネイチャー(Nature)」,1990年,347号,p.354
【非特許文献2】
「ネイチャー(Nature)」,1991年,352号,p.139
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カーボンブラックは触媒の分散性が不十分であるという問題があり、改善が望まれていた。また、フラーレンは導電性を有していないので、電極の抵抗が高くなってしまい、特性を十分に向上させることが難しいという問題があった。更に、フラーレンおよびカーボンナノホーンは合成が難しく、収率が悪いので、カーボンブラックなどの炭素材料に比べて非常に高価で供給量も少ないという問題があった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、触媒の分散性を向上させることができると共に、導電性を有し、かつ安価に製造することができる触媒担持体、それを用いた電極および燃料電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の触媒担持体は、フラーレンの製造過程においてフラーレンの抽出操作により生じた残渣物およびその誘導体の少なくとも1種を含むものである。ここで、前記フラーレンの製造過程は、アーク放電法あるいは燃焼法によりフラーレンを含む合成物を生成し、この合成物よりフラーレンを抽出していれば、好適である。
【0008】
なお、本発明における「アーク放電法」とは、不活性ガスが封入されかつ所定の圧力に保持されたチャンバ内において、所定の間隔で設置された一対の電極に電圧を印加してアーク放電を生じさせてフラーレンを含む合成物を合成する方法をいい、具体的には、例えば非特許文献1に記載の方法が挙げられる。また、本発明における「燃焼法」とは、分子中に炭素原子および水素原子を含む有機化合物を不完全燃焼させてフラーレンを含む合成物を合成する方法をいい、具体的には、例えば非特許文献2に記載の方法が挙げられる。
【0009】
本発明による第2の触媒担持体は、炭素の五員環および六員環が三次元的に配列し、かつ閉じた空間を形成していない分子構造を有する炭素化合物を含むものである。
【0010】
本発明による第3の触媒担持体は、X線回折スペクトルにおける2θが30°以下の領域において非晶質構造に由来する非ピーク状分布を有する炭素化合物を含むものである。
【0011】
なお、「2θが30°以下の領域において非晶質構造に由来する非ピーク状分布」とは、ピークと判定できない例えば2θの範囲が概ね5°以上の範囲にわたって存在するブロードな分布であり、2θが30°を超える領域のバックグラウンドよりも有意に大きな計数又は計数率を示す分布であって、2θが30°以下の領域にピークが存在していてもよく、この場合、X線回折スペクトルは、そのピークに非ピーク状分布が重畳した形状を示す。
【0012】
本発明による電極は、上述の触媒担持体と、この触媒担持体に担持させた触媒とを含有するものである。
【0013】
本発明による燃料電池は、電解質を挟んで燃料極と酸化剤極とが設けられたものであって、燃料極および酸化剤極のうちの少なくとも一方は、上述の触媒担持体と、この触媒担持体に担持させた触媒とを含有するものである。
【0014】
本発明による触媒担持体、電極および燃料電池では、フラーレンの製造過程において生じた残渣物あるいはその誘導体、または炭素の五員環および六員環が三次元的に配列し、かつ閉じた空間を形成していない分子構造を有する炭素化合物、またはX線回折スペクトルにおける2θが30°以下の領域において非晶質構造に由来する非ピーク状分布を有する炭素化合物を用いているので、触媒が均一に担持され、触媒の分散性が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
本発明の一実施の形態に係る触媒担持体は、フラーレンの製造過程においてフラーレンの抽出操作により生じた残渣物(以下、フラーレン残渣物という)およびその誘導体の少なくとも1種を含んでいる。
【0017】
なお、フラーレンというのは、炭素原子のみからなり、炭素の五員環および六員環が3次元的に配列された多面体構造を有する物質の総称である。代表的なフラーレンとしては、C60またはC70などの化学式で表されるものが知られている。フラーレンは、例えば、アーク放電法あるいは燃焼法などにより合成されるが、その合成物(以下、フラーレンスートという)に含まれるフラーレンの量は極めて少ない。よって、フラーレンの製造過程においては、フラーレンを溶解可能なトルエンなどの溶媒にフラーレンスートを混合し、濾過することにより、フラーレンを抽出する操作が行われる。その際、溶媒に溶解せずに分離されたものがフラーレン残渣物である。この抽出操作によりフラーレンスートからは例えば7%程度のフラーレンが抽出されるが、1回の抽出操作で完全にフラーレンを抽出することは難しく、フラーレン残渣物にも例えば200ppm程度の微量のフラーレンが含まれている。
【0018】
また、フラーレンは導電性を有していないが、フラーレン残渣物およびその誘導体はフラーレンと異なり導電性を有している。
【0019】
このフラーレン残渣物は、フラーレンと同様に、炭素の五員環および六員環が三次元的に配列された分子構造を有しており、この三次元ネットワークにより触媒を均一に担持することができるようになっている。但し、フラーレンとは異なり、閉じた空間を形成してはおらず、また、炭素原子のみではなく、酸素原子および水素原子を有する炭素化合物である。表1にフラーレン残渣物およびフラーレンスートの酸素含有量および水素含有量の測定結果を示す。測定したフラーレン残渣物およびフラーレンスートはアーク放電法により得られたものであり、表1に示した値は平均値である。
【0020】
【表1】
Figure 2004223311
【0021】
なお、酸素含有量の測定には酸素・窒素分析装置(LECO製TC600)を用い、酸素標準試料として約0.8gの日本アナリスト製001−106(酸素含有量;1090±20ppm)と約1gの日本アナリスト製001−103(酸素含有量;172±6ppm,窒素含有量;58±2ppm)とを用いて検量線を作製した。一方、水素含有量の測定には水素分析装置(堀場製EMGA621)を用い、水素標準試料としてアルファ(ALPHA)製AR556(水素含有量;6.24±0.6ppm)を用いて検量線を作製した。また、測定は、予め測定試料を130℃で1時間以上に亘って熱処理したのちに行った。
【0022】
表1に示したように、フラーレン残渣物の酸素含有量は平均で10.7%、水素含有量は平均で0.428%であった。すなわち、フラーレン残渣物は酸素原子および水素原子を有する炭素化合物であることが分かる。また、フラーレンスートの酸素含有量および水素含有量は、炭素原子のみからなるフラーレンを含有している分、フラーレン残渣物よりも少なくなっているものと考えられる。
【0023】
更に、フラーレン残渣物は非晶質構造を有している。図1にフラーレン残渣物のX線回折パターンを示すと共に、図2にフラーレン残渣物の透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)の写真を示す。いずれもアーク放電法により得られたフラーレン残渣物である。
【0024】
図1において△印で示したピークは、測定の際にフラーレン残渣物に混ぜた内標準試料のケイ素(Si)によるものであり、○印で示したピークは、アーク放電の際に黒鉛電極から剥離して混入された黒鉛によるものである。すなわち、図1にはフラーレン残渣物について特定の結晶構造を示すピークはみられず、ブラッグ角θが15°以下の領域、すなわち2θが30°以下の領域に※印で示したように、非晶質であることを示すなだらかな回折パターンがみられた。また、図2に示したように、TEMによっても特定の結晶構造は観察できなかった。
【0025】
更に、フラーレン残渣物は、カーボンブラックよりもタップ密度が大きいという特性を有している。表2にフラーレン残渣物、フラーレンスートおよびカーボンブラックのタップ密度の測定結果を示す。フラーレン残渣物およびフラーレンスートはアーク放電により得られたものであり、カーボンブラックはバルカンXC−72(商品名)である。
【0026】
【表2】
Figure 2004223311
【0027】
表2に示したように、タップ密度は、カーボンブラックが0.09×10−6g/m であるのに対して、フラーレン残渣物は0.25×10−6g/m と大きかった。すなわち、フラーレン残渣物は、カーボンブラックに比べて嵩が小さいので、凝集が起きにくく、均一に分散させることが容易である。
【0028】
なお、触媒担持体には、フラーレン残渣物およびその誘導体の少なくとも1種のみを用いるようにしてもよいが、カーボンブラックなどの他の材料と混合して用いるようにしてもよい。
【0029】
このフラーレン残渣物は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、例えば、ヘリウムガス(He)あるいはアルゴンガス(Ar)などの不活性ガスの供給系と高真空ポンプとが接続された略球形のチャンバに、棒状の一対の電極を各一方端がチャンバ内部で対向するように設置し、チャンバを封止してからその内部を減圧する。一対の電極は高圧電源に接続されており、主として炭素よりなるもの、例えば黒鉛により構成することが好ましい。また、電極の対向する一方端の間隔は5mm〜50mmとすることが好ましく、10mm〜30mmとすればより好ましい。
【0030】
次いで、一対の電極を予備加熱した後、チャンバ内に不活性ガスを充填する。その際、チャンバ内の圧力は0.01kPa〜100kPaとすることが好ましく、1kPa〜40kPaとすればより好ましい。続いて、一対の電極を軸回りに回動させながら高圧を印加し、電極間にアーク放電を起こさせる。印加する電圧は直流でも交流でもよく、大きさは10V〜200Vが好ましく、20V〜100Vとすればより好ましい。
【0031】
所定時間アーク放電を行った後、チャンバの内壁に付着した‘すす’、すなわちフラーレンスートを回収する。こうして得られるフラーレンスートをトルエンなどの溶媒に混合し、例えばソックスレー抽出法によりフラーレンを抽出する。そののち、溶媒に溶解せずに残ったフラーレン残渣物を回収し、例えば150℃に加熱して乾燥させる。なお、フラーレンを抽出した溶媒は、フラーレンの凝縮・精製用に別途回収する。
【0032】
また、フラーレン残渣物は、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレン、ナフタレン、あるいはヘキサンなどの分子中に主として炭素原子及び水素原子を含む有機化合物を不完全燃焼させ、得られたフラーレンスートから上述した製造方法と同様にして回収するようにしてもよい。
【0033】
更に、フラーレン残渣物は、アーク放電法あるいは燃焼法の他にも、レーザーアブレーション法、気相熱分解法、化学的気相堆積法、あるいは水熱法など等の種々の方法により製造することもできる。
【0034】
このように本実施の形態に係る触媒担持体よれば、フラーレン残渣物あるいはその誘導体を含むようにしたので、その三次元ネットワークにより、触媒を均一に担持することができる。また、導電性を得ることができると共に、安価に多量に安定供給することができる。
【0035】
更に、フラーレン残渣物およびその誘導体はカーボンブラックなどに比べてタップ密度が大きいので、緻密で薄い触媒層を形成することができる。加えて、カーボンブラックなどに比べて分散媒に対して均一に分散させることもできるので、触媒坦持体の分散性を向上させることができる。
【0036】
この触媒担持体は、例えば、次のようにして燃料電池に用いられる。
【0037】
(第1の燃料電池)
図3は、本実施の形態に係る触媒担持体を用いた第1の燃料電池の構成を表すものである。この第1の燃料電池は、電解質10を挟んで一対の電極である燃料極20と酸化剤極30とが設けられている。これら電解質10,燃料極20および酸化剤極30は、外装部材40の内部に収納されている。
【0038】
電解質10は、例えば、プロトン伝導性高分子膜により構成されている。プロトン伝導性高分子膜としては、例えば、スルホン酸基(−SOH)を有するパーフルオロカーボン重合体の膜や、プロトン伝導性の粉末を樹脂に分散させたコンポジット膜や、あるいはプロトン伝導性無機材料と高分子材料とを合成したハイブリッド膜が挙げられる。また、常温溶融塩を高分子材料に分散させた常温溶融塩複合膜を用いることも可能である。
【0039】
燃料極20は、対向する一対の面を有する基体21と、基体21に設けられた撥水層22と、撥水層22に設けられた触媒層23とを有しており、触媒層23の側が電解質10と接するように配置されている。基体21は、ガス拡散性と導電性とを有することが好ましく、例えば、ペーパー状あるいはフェルト状などに加工した多孔性の炭素材料により構成されることが好ましい。撥水層22は、撥水性を調整すると共に、基体21の表面の平滑性を向上させるためのものであり、撥水剤と導電剤とを含んでいる。撥水剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;polytetrafluoroethylene )やテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素樹脂が挙げられる。導電剤は、撥水層22の導電性を確保するためのものである。撥水剤は導電性を有さないものが多いからである。導電剤としては、カーボンブラックなどの炭素材料が挙げられる。
【0040】
触媒層23は、本実施の形態に係る触媒担持体と、この触媒担持体に担持させた白金または白金とルテニウム(Ru)等との合金の触媒とを含んでおり、例えば、触媒を触媒担持体に担持させてプロトン伝導性高分子材料に分散させた構造を有している。
【0041】
酸化剤極30は、燃料極20と同様の構成を有している。すなわち、基体31と、基体31に設けられた撥水層32と、撥水層32に設けられた触媒層33とを有しており、触媒層33の側が電解質10と接するように配置されている。基体31,撥水層32および触媒層33はそれぞれ基体21,撥水層22あるいは触媒層33と同様の構成を有している。
【0042】
外装部材40の内部には、また、燃料極20に隣接して燃料室41が設けられると共に、酸化剤極30に隣接して酸化剤室42が設けられている。燃料室41は、外装部材40に設けられた一対の流通孔43を介して図示しない燃料貯蔵部に接続されており、図示しないポンプなどにより燃料貯蔵部から水素(H)などの燃料が燃料室41に供給されるようになっている。酸化剤室42は、外装部材40に設けられた流通孔44を介して外部と連通しており、自然換気により空気を酸化剤極30に供給するようになっている。
【0043】
この第1の燃料電池は、例えば、次のようにして製造することができる。まず、撥水剤と導電剤とを分散媒に分散させて塗料を形成したのち、この塗料を基体21,31に塗布し、分散媒を揮発させることにより撥水層22,32を形成する。次いで、触媒と触媒担持体とを混合し、触媒担持体に触媒を担持させたものをプロトン伝導性高分子材料に分散させたのち、これを撥水層22,32の上に塗布し、触媒層23,33を形成する。続いて、作製した燃料極20と酸化剤極30とを、触媒層23,33の側を対向させて電解質10を間に挟んで積層する。そののち、外装部材40の中に収納する。これにより、図3に示した第1の燃料電池が得られる。
【0044】
この第1の燃料電池では、燃料極20に燃料が供給され、触媒層23においてプロトン(H )と電子とを生成する。プロトンは電解質10を通って酸化剤極30に移動し、触媒層33において電子および供給された空気中の酸素(O )と反応して、水を生成する。その際、触媒層23,33には触媒が均一に分散されているので、電極反応が効率よく起こり、発電効率が向上する。
【0045】
このように本実施の形態に係る第1の燃料電池によれば、燃料極20および酸化剤極30に本実施の形態に係る触媒担持体を用いるようにしたので、燃料極20および酸化剤極30の導電性を損ねることなく、触媒の分散性を高めることができる。よって、燃料極20および酸化剤極30の反応効率を向上させることができ、発電効率を向上させることができる。また、燃料電池を安価に供給することができる。更に、触媒層23,33を緻密に薄くすることができるので、燃料極20および酸化剤極30の薄型化および燃料電池の薄型化・小型化を図ることができる。
【0046】
(第2の燃料電池)
次に、本実施の形態に係る触媒担持体を用いた第2の燃料電池について説明する。この第2の燃料電池は、撥水層22,32が導電剤として上述したフラーレン残渣物およびその誘導体の少なくとも1種を含むことを除き、他は第1の燃料電池と同様である。よって、ここでは図3を参照し、対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0047】
フラーレン残渣物およびその誘導体は、上述したようにフラーレンと異なり導電性を有しているので、導電剤として十分に利用可能である。また、フラーレン残渣物およびその誘導体は、上述したようにカーボンブラックなどよりもタップ密度が大きいので、カーボンブラックなどを用いる場合に比べて撥水剤の量を少なくしても十分な撥水性を得られ、導電性を向上させることが可能である。なお、撥水層22,32の導電剤には、フラーレン残渣物およびその誘導体の少なくとも1種のみを用いるようにしてもよいが、カーボンブラックなどの他の材料を混合して用いてもよい。
【0048】
この第2の燃料電池では、燃料極20および酸化剤極30の撥水層22,32が十分な撥水性および導電性を有しているので、燃料極20および酸化剤極30において水素あるいは酸素が十分に拡散すると共に、電子も容易に移動する。
【0049】
このように本実施の形態に係る第2の燃料電池によれば、撥水層22,32が、導電剤として、カーボンブラックなどよりもタップ密度が大きいフラーレン残渣物あるいはその誘導体を含むようにしたので、カーボンブラックなどを用いる場合に比べて、撥水剤の量を少なくしても十分な撥水性を得ることができ、良好な導電性を得ることができる。よって、燃料極20および酸化剤極30におけるガス拡散性および導電性を向上させることができ、発電効率などの特性を向上させることができる。
【0050】
また、撥水層22,32の厚みを薄くすることができるので、燃料電池の薄型化および小型化を図ることができる。更に、製造の際に分散媒に対して均一に分散させることができるので、分散媒の量を少なくすることができ、作業性のよい塗料を形成することができると共に、撥水層22,32の均一性を容易に高めることができる。よって、よって、燃料極20および酸化剤極30の特性をより向上させることができ、発電効率などの特性をより向上させることができる。
【0051】
(第3の燃料電池)
次に、本実施の形態に係る触媒担持体を用いた第3の燃料電池について説明する。この第3の燃料電池は、電解質10が上述したフラーレン残渣物およびその誘導体の少なくとも1種を含むことを除き、他は第1の燃料電池と同様である。よって、ここでは図3を参照し、対応する構成要素には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0052】
フラーレン残渣物の誘導体としては、ポリ水酸化したフラーレン残渣物が挙げられ、これは、フラーレン残渣物に複数の水酸基を付加した構造を持ったものである。また、水酸基の数やその分子内配置などには幾つかのバリエーションも可能である。これ以外にたとえば複数の−OSOH基をもつフラーレン残渣物の凝集体をプロトン伝導体として用いることによっても発揮される。OH基がOSOH基と置き換わったポリ水酸化フラーレン残渣物、すなわち硫酸水素エステル化したフラーレン残渣物でもよく、これは、一つの分子内にOSOH基のみを含むものもあるし、あるいはこの基と水酸基をそれぞれ複数、もたせることも可能である。これによりフラーレン残渣物は、電離によりプロトンを解離し得る官能基に沿ってプロトンが水の存在なしに飛ぶように伝導し、プロトン伝導性を示すようになっている。
【0053】
この電解質は、また、絶縁材を含んでいる。フラーレンは導電性を有していないが、フラーレン残渣物は導電性を有するからである。絶縁材としては、例えば、PTFEあるいはポリフッ化ビニリデン(PVdF;polyvinylidene fluoride )が挙げられる。
【0054】
また、必要に応じて、フラーレン残渣物などの表面にプロトンを解離し得る官能基を付着させ、その後、フラーレン残渣物などと絶縁材とを混合するようにしてもよいし、あるいは官能基の付着と混合との順序を逆にしてもよい。また、フラーレン残渣物等の表面にプロトンを電離し得る官能基を付着させ多孔質膜等に充填してもよい。この多孔質膜は、絶縁材で膜化ができるものであって、例えばフッ素系樹脂であるPTFEやPVdFが挙げられる。
【0055】
なお、上記第1および第2の燃料電池では、触媒担持体に担持させた触媒をプロトン伝導性高分子材料に分散させて触媒層23,33を構成するようにしたが、第3の燃料電池では、触媒担持体に担持させた触媒を、フラーレン残渣物およびその誘導体の少なくとも1種とバインダとの混合物に分散させるようにしてもよい。
【0056】
このように本実施の形態に係る第3の燃料電池によれば、電解質10がフラーレン残渣物あるいはその誘導体を含むようにしたので、官能基に沿ってプロトンが水の存在なしに飛ぶように伝導し、水分を伴わなくとも良好なプロトン伝導性を確保することができる。また、安価に製造することができる。
【0057】
なお、第3の燃料電池においても、第2の燃料電池と同様に、撥水層22,32が、導電剤として上述したフラーレン残渣物およびその誘導体の少なくとも1種を含むようにしてもよい。
【0058】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態では、燃料極20および酸化剤極30の両方に本発明の触媒担持体を用いるようにしたが、どちらか一方に用いるようにしてもよい。また、燃料極20の撥水層22および酸化剤極30の撥水層32の両方に導電剤としてフラーレン残渣物およびその誘導体の少なくとも1種を用いるようにしたが、どちらか一方に用いるようにしてもよい。
【0059】
更に、上記実施の形態では、電解質10にフラーレン残渣物またはその誘導体を用いる場合にも、燃料極20および酸化剤極30の両方に撥水層22,32を設けるようにしたが、燃料極20には必ずしも設けなくてもよい。酸化剤極30では、反応により水が発生するので撥水層32を設けることが好ましいが、燃料極20では、電解質10において水が不要となった場合、撥水させる必要がないからである。
【0060】
加えて、上記実施の形態では、各構成要素の材料および構造について具体的に説明したが、他の材料および構造であってもよい。例えば、酸化剤極30への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気以外の酸素を含む酸化剤ガスを供給するようにしてもよい。また、燃料極20に水素ガスをポンプなどで循環させて供給するようにしたが、水素吸蔵合金などを用いて供給するようにしてもよく、メタノール水溶液あるいはエタノール水溶液などの液体燃料を供給するようにしてもよい。
【0061】
更にまた、上記実施の形態では、単セル型の燃料電池について説明したが、本発明は、複数のセルを積層した積層型のものについても適用することができる。
【0062】
加えてまた、上記実施の形態では、本発明の触媒担持体を燃料電池に用いる場合について説明したが、触媒を用いる他の電極および他の電気化学素子にも広く用いることができる。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による触媒担持体、電極または燃料電池によれば、フラーレンの製造過程において生じた残渣物あるいはその誘導体、または炭素の五員環および六員環が三次元的に配列し、かつ閉じた空間を形成していない分子構造を有する炭素化合物、またはX線回折スペクトルにおける2θが30°以下の領域において非晶質構造に由来する非ピーク状分布を有する炭素化合物を含むようにしたので、その三次元ネットワークにより、触媒を均一に担持することができる。また、分散媒に対して均一に分散させることもできるので、触媒坦持体の分散性を向上させることができる。よって、導電性を損ねることなく、触媒の分散性を高めることができ、反応効率を向上させ、発電効率を向上させることができる。また、安価に供給することができると共に、電極の薄膜化および電池の薄型化・小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る触媒担持体に用いられるフラーレン残渣物のX線回折パターンを表す特性図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る触媒担持体に用いられるフラーレン残渣物の結晶構造を表すTEM写真である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る燃料電池の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
10…電解質、20…燃料極、21,31…基体、22,32…撥水層、23,33…触媒層、30…酸化剤極、40…外装部材、41…燃料室、42…酸化剤室、43,44…流通孔。

Claims (8)

  1. フラーレンの製造過程においてフラーレンの抽出操作により生じた残渣物およびその誘導体の少なくとも1種を含むことを特徴とする触媒担持体。
  2. 前記フラーレンの製造過程は、アーク放電法あるいは燃焼法によりフラーレンを含む合成物を生成し、この合成物よりフラーレンを抽出する過程を含んでいることを特徴とする請求項1記載の触媒坦持体。
  3. 炭素の五員環および六員環が三次元的に配列し、かつ閉じた空間を形成していない分子構造を有する炭素化合物を含むことを特徴とする触媒担持体。
  4. 前記炭素化合物は、酸素原子を有することを特徴とする請求項3記載の触媒担持体。
  5. 前記炭素化合物は、水素原子を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の触媒担持体。
  6. X線回折スペクトルにおける2θが30°以下の領域において非晶質構造に由来する非ピーク状分布を有する炭素化合物を含むことを特徴とする触媒担持体。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の触媒担持体と、
    この触媒担持体に担持させた触媒と
    を含有することを特徴とする電極。
  8. 電解質を挟んで燃料極と酸化剤極とが設けられた燃料電池であって、
    前記燃料極および酸化剤極のうちの少なくとも一方は、請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の触媒担持体と、
    この触媒担持体に担持させた触媒と
    を含有することを特徴とする燃料電池。
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