JP2004222959A - 電子遊戯機の強力電波警報器 - Google Patents
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Abstract
【課題】違法電波の周波数にかかわらず、強力電波に対して誤動作を防止し得る電子遊戯機の強力電波警報器を提供する。
【解決手段】プリント基板1の外周部に回転形状に形成されたパターンをアンテナ2とし、このパターン2の中央部にフェライトコア12を設けて、誘起電圧の大なるアンテナ部ANとし、このアンテナ部ANの検出電圧が、高い周波数ほど減衰して出力するコンデンサ(C0 )5両端の高周波電圧をダイオードD1 、D2 で平滑、検波して出力する一方、コンデンサ(C0 )5の両端に、コイル(L1 )6とトリマコンデンサ(TC1 )9、コイル(L2 )7とトリマコンデンサ(TC2 )10、コイル(L3 )とトリマコンデンサ(TC3 )11の複数個の直列共振トラップ回路を設け、ここで複数の周波数の各妨害波を軽減させる。
【選択図】 図1
【解決手段】プリント基板1の外周部に回転形状に形成されたパターンをアンテナ2とし、このパターン2の中央部にフェライトコア12を設けて、誘起電圧の大なるアンテナ部ANとし、このアンテナ部ANの検出電圧が、高い周波数ほど減衰して出力するコンデンサ(C0 )5両端の高周波電圧をダイオードD1 、D2 で平滑、検波して出力する一方、コンデンサ(C0 )5の両端に、コイル(L1 )6とトリマコンデンサ(TC1 )9、コイル(L2 )7とトリマコンデンサ(TC2 )10、コイル(L3 )とトリマコンデンサ(TC3 )11の複数個の直列共振トラップ回路を設け、ここで複数の周波数の各妨害波を軽減させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ台やスロットマシン等の電子遊戯機に、強力な高周波電波を間近で発射し、その電波により電子遊戯機の配線やプリントパターンに高周波の高電圧を発生させ、マイコン等のディジタル回路の本来なされる正常な動作を誤動作させる違法異常な強力電波を検出し、警報する電子遊戯機の強力電波警報器に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ台やスロットマシンは年々ゲーム内容の高機能化と共に、マイクロコンピュータの高速化がなされている。この高速化と共に、そのディジタル回路は高周波電波に弱くなり、違法電波をゲーム器の間近で発射させると、その配線やプリント基板のパターン上に発生する誘起電圧はディジタル信号電圧以上となり、マイクロコンピュータのプログラムにない様々な状態の誤動作を起こす。その結果、パチンコ台等では多量の賞球を、スロットマシンでは多量のメダルを流出させることとなり、営業上の損失は年々多大となっている。
【0003】
したがって、これらの窃盗による損害を防ぐためには、これらの違法で強力な高周波電波の検出を安価で出来、しかもスペース上制約も多いため、小型化した商品が必要となっている。このような異常電波に対応したものとして、従来(1)電子機器を誤動作する電波成分を検波部で検波し、位相反転部で検波信号の位相を反転し、逆相信号として電波を放射するもの(例えば、特許文献1参照)。(2)一次側電子回路で、許容電界以上の電波を受信し、強い電波を受信した旨の信号を電磁波シールドされた二次側電子回路に光ファイバを介して送信し、その信号を受信した二次側電子回路の作用で電気回路を作動させて、誤動作するおそれのある電子機器の警告燈を点燈するもの(例えば、特許文献2参照)。(3)フェライト棒にポリウレタン線やリッツ線を巻いたものをアンテナとてし用い、それと共に高価な高周波増幅器を用いたもの。(4)高周波近接スイッチを誤動作寸前まで感度を上げて印加される強力な高周波電波で近接スイッチを誤動作させるもの等々がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−248377号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−133493号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の技術は、種々の問題がある。違法な異常電波は現在一般的には、150MHz〜2GHzと同波数範囲が広く、また数10〜数100Wの強力な送信機が使われている。150MHzと3GHzでは、周波数が20倍も異なる。
【0007】
また、波長λ=(30×109 )/(周波数)cmであるから、
例えば、150MHzの波長は、
150MHz=(30×109 )/(150×106 )=200(cm)
2GHzの波長λは、
2GHz=(30×109 )/(2×109 )=15(cm)
となる。
【0008】
アンテナ効率の目安であるそれぞれの1/4λはそれぞれ約50cmと約3.7cmとなる。
【0009】
ということは、両方の周波数を同一のアンテナで、そのまま検出することは困難であるということである。また、数GHzの高周波電波を増幅することはパーツのコストが非常に高価で、しかも不特定なゲインや不特定な周波数の入力に対し、ゲインや位相差を全く反転させて、しかも同一ゲインで作ることは、配線やパーツの周波数特性等も加わり、困難複雑であると共に非常に高価で大型となる。
【0010】
また、ポリウレタン線やリッツ線で巻くアンテナは、その巻き線費用が高価なことと、巻き方、特に巻き線のテンション等により、分布容量やリアタンスLが大幅にバラツキ高周波特性が一定しない。
【0011】
次に、高周波近接スイッチを用いた場合については、近接スイッチそのものが発振回路や共振回路を用いているため、その回路の特質として特定の周波数には応答するが、大半の周波数には応答しない欠点がある。
【0012】
更に近年携帯電話の普及は著しく、遊戯する人の大半が携帯し、且つ遊戯中も利用している。その商品の基本的機能からも利用される時は、パチンコ台やスロットマシンへ直付け状態であることが多い。しかもその利用周波数は約0.9GHz〜2GHzと非常に高周波であり、且つ約0.8Wと高出力である。これは遊戯者が電話をかける時はもちろん送信されるが、外部からの受信に対する応答時も応答のための同様の電波が送信される。
【0013】
上述したように、2GHzの1/4λは3.7cmしかないために、すぐ側にある検出器アンテナに誘起する電圧は150MHzの一般的アマチュア無線機を数10cm離れた所で印加する送信機の数100Wにも相当するため、携帯電話で誤動作させないような警報レベルをセットすると、150MHz帯では数100Wでも違法電波を検出できないが、配線長の長い遊戯機には大きな誘起電圧が発生するため誤動作を起こすこととなり、また逆に150MHz帯数10Wに警報レベルを設定すると、周波数が高く誘起電圧の大きな携帯電話で警報器が誤動作する欠点があった。しかも小型化すればするほど、アンテナ長の制約から、その傾向はひどくなるばかりであった。
【0014】
この発明は上記問題点に着目してなされたものであって、違法電波の周波数にかかわらず、強力電波に対して誤動作を防止し得る電子遊戯機の強力電波警報器を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の電子遊戯機の強力電波警報器は、プリント基板外周部に回転形状に形成されたパターンをアンテナとし、このアンテナパターンに外部より入力された高周波電波により誘起される電圧を検波、平滑することにより、異常強力電波を検出するようにしている。
【0016】
特に、プリント基板外周部に回転形状に形成されたアンテナとし、そのアンテナの内心部に、例えば150MHz帯の低い方の効率を改善するため誘起電圧を大きくするための誘磁率の高いフェライトコアを用いて、送信機より送信される強力な電波を収束して受信し、電圧に変換する。
【0017】
変換された電圧は、高周波になればなるほど誘起電圧が高くなると言う欠点を解決するため、アンテナとシリーズに抵抗とコンデンサを用い分圧すると良い。これは周波数が高くなるほどインピーダンスが低くなるというコンデンサの特性を利用し、コンデンサに分圧されている電圧が150MHz帯ではあまり減衰しないが、数GHzでは大幅に減衰させることにより、アンテナの逆の特性が改善されている。
【0018】
しかし、これでも遊戯機の表面に直付けされて使用される携帯電話器の入力は強力である。例えば、0.9GHz帯の各社の携帯電話、1.4GHz帯の携帯電話や、1.9GHz帯の携帯電話、1.9GHz帯のPHSやポケベル等、大変多種多量の物が使用されている。したがって、これらを強制的に警報器が検出しないようにすることと、他の周波数帯の違法電波を感度良く検出するため、この警報器にはそれぞれの周波数に対応した1〜複数個のLCトラップ回路を設けても良い。このLCトラップ回路のLはコストをかけず、周波数特性を安定させるためプリント基板のパターンで形成すると良い。
【0019】
また、この警報器に対しては、アンテナ部以外の回路パターンにも当然強力な高周波電波が誘起される。その誘起した点によっては、強力な電波を回路は検出しているにも関わらず、警報を出力しないような働く場合がある。このため警報器のプリント基板は多層基板により構成し、外層には主にアンテナ部とパーツ用パッドと電源GND、及び電源Vccで構成しても良い。この場合、回路パターンは内層に設けられ、外層によってシールドされた状態となっているため、誤動作を起こすことがない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明の実施形態強力電波警報器のプリント基板部の構成を示す図である。プリント基板1の表面の外周部に回転形状(螺線状)のパターンでアンテナ2が形成され、またプリント基板のアンテナ2で囲まれる部分に電子パーツ3が実装され、同様に抵抗(R1 )4、コンデンサ(Co)5、コイル(L1 :基板上のパターン)6、コイル(L2 :基板上のパターン)7、コイル(L3 :基板上のパターン)8、トリマコンデンサ(TC1 )9、トリマコンデンサ(TC2 )10、トリマコンデンサ(TC3 )11、フェライトコア12が形成、実装されている。ここで、プリント基板1は長方形であるが、円形、楕円形、その他の形状であっても良い。この警報器の回路接続を図2に示している。
【0021】
アンテナ2とフェライト12で構成する受信部ANに強力な高周波電波が印加されると、アンテナ2のコイルとフェライトコア12により、アンテナ部ANに送信された電波によって高周波電圧が誘起される。
【0022】
誘起された電圧は抵抗R1 とコンデンサC0 の定数で設定されたインピーダンスにより高周波になるほどコンデンサC0 の両端の電圧は減衰し、同一電界強度において、アンテナ2が高周波になればなるほど誘起電圧が大きくなるという欠点を相殺している。これは波長の関係で、小型化すればするほど顕著となる。
【0023】
このコンデンサC0 の両端には並列に、コイルL1 とトリマコンデンサTC1 、コイルL2 とトリマコンデンサTC2 、コイルL3 とトリマコンデンサTC3 の3つの直列共振回路が設けられており、アンテナ部ANにその共振周波数の電圧が誘起しても、その周波数をバイパスさせ、コンデンサC0 の両端には印加されないようになっている。このコンデンサC0 の両端の電圧をコンデンサC1 を介してダイオードD1 とD2 の倍電圧整流回路で整流することにより、直流電圧がコンデンサC2 にて平滑充電される。この直流電圧をOPアンプA1で抵抗R3 と抵抗R4 にて設定された倍率に増幅させ、そのOPアンプA1の出力を抵抗R5 とR6 で設定された電圧とコンパレータA2で比較され、比較値が大きくなるとコンパレータA2よりスイッチング出力電圧を出力し、ディジタルトランジスタQ1に入力され、トランジスタQ1よりオープンコレクタ出力として出力端OUTより警報信号が出力される。
【0024】
これらについての詳細を次に説明する。図2に示すアンテナ回路ANのアンテナ2は、図1に示すプリント基板1の外周部に沿って渦巻き状に数回プリントパターンで形成される(もちろんこの時、プリント基板の大きさに制約がなく、大きくできる時は1/4〜3/4回でも良く、検出周波数と検出感度に依って決められる)このアンテナの片端部はシリーズに抵抗器(R1 )4とコンデンサ(C0 )5を介してアースGNDに接続されいてる。
【0025】
コンデンサC0 のインピーダンスZc1=1/ωC0 =1/2πFC0 となる。例えばコンデンサC0 を10PFとすると、インピーダンスZC0は、
100MHz時は 約159Ω
500MHz時は 約 32Ω
1GHz時は 約 16Ω
2GHz時は 約 8Ω となる。
【0026】
外部より強力な電波が送信され、アンテナ2にV0の電圧が発生した時に、仮に抵抗R1 を160Ωとすると、10PFのC0 コンデンサ両端に印加され電圧Vc0は、
Vc0=(Zc0×V0)/(R1 +Zc0)となる。したがって、その周波数が100MHz時はVc0=(19×V0)/(159+160)≒0.5V0 500MHz時はVc0=(32×V0)/(32+160)≒0.17V0
1GHz時はVc0=(16×V0)/(32+160)≒0.09V0
2GHz時はVc0=(8×V0)/(32+160)≒0.048V0
となる。
【0027】
これは警報器を小型化すればするほど、波長の関係でアンテナの効率が高周波になればなるほど高くなる欠点を相殺し、周波数に関してフラットな感度の電波警報器とすることが可能である。この時、アンテナ部ANに誘起する電圧は、このアンテナ部ANのアンテナ2がプリントパターンで形成されているため、特別にコイルを不要とし、コイルのコストがかからない事はもとより、コイルの取り付けコストも不要となるとともに、コイルを巻く寸法管理や巻き線器のテンション管理による分布容量等のバラツキもなく、非常に安定したものとなる。
【0028】
また、プリント基板1のほぼ中心部には、透磁率の高いフェライトコア12が挿入されている。電磁波は透磁率の高いフェライトコア12に収束され、フェライトコア12に多量通過する。この時、プリント基板1の外周のアンテナパターン2には、それに比例して、誘起電圧が増大し、警報器の小型化を助けると同時に、高価な高周波パーツや複雑な高周波増幅器を不要とすることができるため、簡易で安価な警報器が可能となる。
【0029】
現在、携帯電話では、887.75〜957.95MHz(KDDIやNTTドコモ社)、1429.025〜1452.9MHz(Jフォン、NTTドコモ)が、1947.6〜1657.4MHz(NTTドコモ)、1893.65〜1919.45MHz(PHS・ポケットベル)等が利用されている。これらの影響については、先述しているが、対策について図1及び図2を用いて述べる。
【0030】
図2のコイルL1 とトリマコンデンサTC2 、コイルL2 とトリマコンデンサTC2 、コイルL3 とトリマコンデンサTC3 は、直列共振回路を用いたトラップ回路である。直列共振回路は、その共振周波数になると、進相分と遅相分が同一となり、インピーダンスが0Ωとなって、その両端の誘起電圧は発生しない。前に述べた現在使用されている同周波数を大きく3つに分類すると、
887.75〜957.95MHz
1429.025〜1452.95MHz
1893.65〜1957.4MHz となる。
【0031】
すると、それぞれの中心周波数は、
F1≒923MHz
F2≒1441MHz
F3≒1926MHz となる。
【0032】
この時、共振周波数は、次のようになる
【0033】
【数1】
【0034】
したがって、L1 、L2 、L3 を1nHとすると、トリマコンデンサTC1 ≒29.7PF、TC2 ≒12.2PF、TC3 ≒6.8PF近辺で調整すれば良い。
【0035】
このLC共振回路のL分は、周波数が高いので、コイルそのものの不安定さと、その取り付けによる不安定を避けるため巻き線コイルを用いず、プリント基板1にパターンで形成することで、品質を安定させるとともに、コストの低減も計れる。
【0036】
これらコイルのパターン例を図3に示す。このパターンで作られたL1〜L3は、その選択度Qを適度に押さえることにより、減衰の周波数幅を広げることが自由にできる。また、社内無線等、強力な電波を使用している店内等は、前記同様に新たにコイルL4 、トリマコンデンサTC4 の共振トラップ回路を追加することにより、自由にその誤動作の防止が可能となる。
【0037】
【発明の効果】
この発明によれば、プリント基板外周部に回転形状に形成されたパターンをアンテナとし、このアンテナパターンに外部より入力された高周波電波により誘起される電圧を検波、平滑することにより、異常強力電波を検出するようにしているので、取り付けスペースの少ないパチンコ台やスロットマシン等に取り付け可能なように小型化を行っても、一般的に悪意を持って利用される150MHz帯の違法強力電波から携帯電話の0.8W2GMHz帯までをフラットに警報でき、携帯電話を直付けで使用しも誤動作することなく、高価な高周波パーツや高周波増幅回路も必要とせず、強力電波を安価で、しかも小型な違法電波警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態強力電波警報器のプリント基板の構成を示す図である。
【図2】同実施形態強力電波警報器の受信部の回路図を示す接続図である。
【図3】同実施形態強力電波警報器のトラップ回路のLC共振回路のリアクタンスとなるプリントパターンの例を示す図である。
【符号の説明】
1 プリント基板
2 回転形状パターン(アンテナ)
3 電子部品
4 抵抗(R1 )
5 コンデンサ(C0 )
6 コイル(L1 )
7 コイル(L2 )
8 コイル(L3 )
9 トリマコンデンサ(TC1 )
10 トリマコンデンサ(TC2 )
11 トリマコンデンサ(TC3 )
12 フェライトコア
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ台やスロットマシン等の電子遊戯機に、強力な高周波電波を間近で発射し、その電波により電子遊戯機の配線やプリントパターンに高周波の高電圧を発生させ、マイコン等のディジタル回路の本来なされる正常な動作を誤動作させる違法異常な強力電波を検出し、警報する電子遊戯機の強力電波警報器に関する。
【0002】
【従来の技術】
パチンコ台やスロットマシンは年々ゲーム内容の高機能化と共に、マイクロコンピュータの高速化がなされている。この高速化と共に、そのディジタル回路は高周波電波に弱くなり、違法電波をゲーム器の間近で発射させると、その配線やプリント基板のパターン上に発生する誘起電圧はディジタル信号電圧以上となり、マイクロコンピュータのプログラムにない様々な状態の誤動作を起こす。その結果、パチンコ台等では多量の賞球を、スロットマシンでは多量のメダルを流出させることとなり、営業上の損失は年々多大となっている。
【0003】
したがって、これらの窃盗による損害を防ぐためには、これらの違法で強力な高周波電波の検出を安価で出来、しかもスペース上制約も多いため、小型化した商品が必要となっている。このような異常電波に対応したものとして、従来(1)電子機器を誤動作する電波成分を検波部で検波し、位相反転部で検波信号の位相を反転し、逆相信号として電波を放射するもの(例えば、特許文献1参照)。(2)一次側電子回路で、許容電界以上の電波を受信し、強い電波を受信した旨の信号を電磁波シールドされた二次側電子回路に光ファイバを介して送信し、その信号を受信した二次側電子回路の作用で電気回路を作動させて、誤動作するおそれのある電子機器の警告燈を点燈するもの(例えば、特許文献2参照)。(3)フェライト棒にポリウレタン線やリッツ線を巻いたものをアンテナとてし用い、それと共に高価な高周波増幅器を用いたもの。(4)高周波近接スイッチを誤動作寸前まで感度を上げて印加される強力な高周波電波で近接スイッチを誤動作させるもの等々がある。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−248377号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2001−133493号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来の技術は、種々の問題がある。違法な異常電波は現在一般的には、150MHz〜2GHzと同波数範囲が広く、また数10〜数100Wの強力な送信機が使われている。150MHzと3GHzでは、周波数が20倍も異なる。
【0007】
また、波長λ=(30×109 )/(周波数)cmであるから、
例えば、150MHzの波長は、
150MHz=(30×109 )/(150×106 )=200(cm)
2GHzの波長λは、
2GHz=(30×109 )/(2×109 )=15(cm)
となる。
【0008】
アンテナ効率の目安であるそれぞれの1/4λはそれぞれ約50cmと約3.7cmとなる。
【0009】
ということは、両方の周波数を同一のアンテナで、そのまま検出することは困難であるということである。また、数GHzの高周波電波を増幅することはパーツのコストが非常に高価で、しかも不特定なゲインや不特定な周波数の入力に対し、ゲインや位相差を全く反転させて、しかも同一ゲインで作ることは、配線やパーツの周波数特性等も加わり、困難複雑であると共に非常に高価で大型となる。
【0010】
また、ポリウレタン線やリッツ線で巻くアンテナは、その巻き線費用が高価なことと、巻き方、特に巻き線のテンション等により、分布容量やリアタンスLが大幅にバラツキ高周波特性が一定しない。
【0011】
次に、高周波近接スイッチを用いた場合については、近接スイッチそのものが発振回路や共振回路を用いているため、その回路の特質として特定の周波数には応答するが、大半の周波数には応答しない欠点がある。
【0012】
更に近年携帯電話の普及は著しく、遊戯する人の大半が携帯し、且つ遊戯中も利用している。その商品の基本的機能からも利用される時は、パチンコ台やスロットマシンへ直付け状態であることが多い。しかもその利用周波数は約0.9GHz〜2GHzと非常に高周波であり、且つ約0.8Wと高出力である。これは遊戯者が電話をかける時はもちろん送信されるが、外部からの受信に対する応答時も応答のための同様の電波が送信される。
【0013】
上述したように、2GHzの1/4λは3.7cmしかないために、すぐ側にある検出器アンテナに誘起する電圧は150MHzの一般的アマチュア無線機を数10cm離れた所で印加する送信機の数100Wにも相当するため、携帯電話で誤動作させないような警報レベルをセットすると、150MHz帯では数100Wでも違法電波を検出できないが、配線長の長い遊戯機には大きな誘起電圧が発生するため誤動作を起こすこととなり、また逆に150MHz帯数10Wに警報レベルを設定すると、周波数が高く誘起電圧の大きな携帯電話で警報器が誤動作する欠点があった。しかも小型化すればするほど、アンテナ長の制約から、その傾向はひどくなるばかりであった。
【0014】
この発明は上記問題点に着目してなされたものであって、違法電波の周波数にかかわらず、強力電波に対して誤動作を防止し得る電子遊戯機の強力電波警報器を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明の電子遊戯機の強力電波警報器は、プリント基板外周部に回転形状に形成されたパターンをアンテナとし、このアンテナパターンに外部より入力された高周波電波により誘起される電圧を検波、平滑することにより、異常強力電波を検出するようにしている。
【0016】
特に、プリント基板外周部に回転形状に形成されたアンテナとし、そのアンテナの内心部に、例えば150MHz帯の低い方の効率を改善するため誘起電圧を大きくするための誘磁率の高いフェライトコアを用いて、送信機より送信される強力な電波を収束して受信し、電圧に変換する。
【0017】
変換された電圧は、高周波になればなるほど誘起電圧が高くなると言う欠点を解決するため、アンテナとシリーズに抵抗とコンデンサを用い分圧すると良い。これは周波数が高くなるほどインピーダンスが低くなるというコンデンサの特性を利用し、コンデンサに分圧されている電圧が150MHz帯ではあまり減衰しないが、数GHzでは大幅に減衰させることにより、アンテナの逆の特性が改善されている。
【0018】
しかし、これでも遊戯機の表面に直付けされて使用される携帯電話器の入力は強力である。例えば、0.9GHz帯の各社の携帯電話、1.4GHz帯の携帯電話や、1.9GHz帯の携帯電話、1.9GHz帯のPHSやポケベル等、大変多種多量の物が使用されている。したがって、これらを強制的に警報器が検出しないようにすることと、他の周波数帯の違法電波を感度良く検出するため、この警報器にはそれぞれの周波数に対応した1〜複数個のLCトラップ回路を設けても良い。このLCトラップ回路のLはコストをかけず、周波数特性を安定させるためプリント基板のパターンで形成すると良い。
【0019】
また、この警報器に対しては、アンテナ部以外の回路パターンにも当然強力な高周波電波が誘起される。その誘起した点によっては、強力な電波を回路は検出しているにも関わらず、警報を出力しないような働く場合がある。このため警報器のプリント基板は多層基板により構成し、外層には主にアンテナ部とパーツ用パッドと電源GND、及び電源Vccで構成しても良い。この場合、回路パターンは内層に設けられ、外層によってシールドされた状態となっているため、誤動作を起こすことがない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態により、この発明をさらに詳細に説明する。図1は、この発明の実施形態強力電波警報器のプリント基板部の構成を示す図である。プリント基板1の表面の外周部に回転形状(螺線状)のパターンでアンテナ2が形成され、またプリント基板のアンテナ2で囲まれる部分に電子パーツ3が実装され、同様に抵抗(R1 )4、コンデンサ(Co)5、コイル(L1 :基板上のパターン)6、コイル(L2 :基板上のパターン)7、コイル(L3 :基板上のパターン)8、トリマコンデンサ(TC1 )9、トリマコンデンサ(TC2 )10、トリマコンデンサ(TC3 )11、フェライトコア12が形成、実装されている。ここで、プリント基板1は長方形であるが、円形、楕円形、その他の形状であっても良い。この警報器の回路接続を図2に示している。
【0021】
アンテナ2とフェライト12で構成する受信部ANに強力な高周波電波が印加されると、アンテナ2のコイルとフェライトコア12により、アンテナ部ANに送信された電波によって高周波電圧が誘起される。
【0022】
誘起された電圧は抵抗R1 とコンデンサC0 の定数で設定されたインピーダンスにより高周波になるほどコンデンサC0 の両端の電圧は減衰し、同一電界強度において、アンテナ2が高周波になればなるほど誘起電圧が大きくなるという欠点を相殺している。これは波長の関係で、小型化すればするほど顕著となる。
【0023】
このコンデンサC0 の両端には並列に、コイルL1 とトリマコンデンサTC1 、コイルL2 とトリマコンデンサTC2 、コイルL3 とトリマコンデンサTC3 の3つの直列共振回路が設けられており、アンテナ部ANにその共振周波数の電圧が誘起しても、その周波数をバイパスさせ、コンデンサC0 の両端には印加されないようになっている。このコンデンサC0 の両端の電圧をコンデンサC1 を介してダイオードD1 とD2 の倍電圧整流回路で整流することにより、直流電圧がコンデンサC2 にて平滑充電される。この直流電圧をOPアンプA1で抵抗R3 と抵抗R4 にて設定された倍率に増幅させ、そのOPアンプA1の出力を抵抗R5 とR6 で設定された電圧とコンパレータA2で比較され、比較値が大きくなるとコンパレータA2よりスイッチング出力電圧を出力し、ディジタルトランジスタQ1に入力され、トランジスタQ1よりオープンコレクタ出力として出力端OUTより警報信号が出力される。
【0024】
これらについての詳細を次に説明する。図2に示すアンテナ回路ANのアンテナ2は、図1に示すプリント基板1の外周部に沿って渦巻き状に数回プリントパターンで形成される(もちろんこの時、プリント基板の大きさに制約がなく、大きくできる時は1/4〜3/4回でも良く、検出周波数と検出感度に依って決められる)このアンテナの片端部はシリーズに抵抗器(R1 )4とコンデンサ(C0 )5を介してアースGNDに接続されいてる。
【0025】
コンデンサC0 のインピーダンスZc1=1/ωC0 =1/2πFC0 となる。例えばコンデンサC0 を10PFとすると、インピーダンスZC0は、
100MHz時は 約159Ω
500MHz時は 約 32Ω
1GHz時は 約 16Ω
2GHz時は 約 8Ω となる。
【0026】
外部より強力な電波が送信され、アンテナ2にV0の電圧が発生した時に、仮に抵抗R1 を160Ωとすると、10PFのC0 コンデンサ両端に印加され電圧Vc0は、
Vc0=(Zc0×V0)/(R1 +Zc0)となる。したがって、その周波数が100MHz時はVc0=(19×V0)/(159+160)≒0.5V0 500MHz時はVc0=(32×V0)/(32+160)≒0.17V0
1GHz時はVc0=(16×V0)/(32+160)≒0.09V0
2GHz時はVc0=(8×V0)/(32+160)≒0.048V0
となる。
【0027】
これは警報器を小型化すればするほど、波長の関係でアンテナの効率が高周波になればなるほど高くなる欠点を相殺し、周波数に関してフラットな感度の電波警報器とすることが可能である。この時、アンテナ部ANに誘起する電圧は、このアンテナ部ANのアンテナ2がプリントパターンで形成されているため、特別にコイルを不要とし、コイルのコストがかからない事はもとより、コイルの取り付けコストも不要となるとともに、コイルを巻く寸法管理や巻き線器のテンション管理による分布容量等のバラツキもなく、非常に安定したものとなる。
【0028】
また、プリント基板1のほぼ中心部には、透磁率の高いフェライトコア12が挿入されている。電磁波は透磁率の高いフェライトコア12に収束され、フェライトコア12に多量通過する。この時、プリント基板1の外周のアンテナパターン2には、それに比例して、誘起電圧が増大し、警報器の小型化を助けると同時に、高価な高周波パーツや複雑な高周波増幅器を不要とすることができるため、簡易で安価な警報器が可能となる。
【0029】
現在、携帯電話では、887.75〜957.95MHz(KDDIやNTTドコモ社)、1429.025〜1452.9MHz(Jフォン、NTTドコモ)が、1947.6〜1657.4MHz(NTTドコモ)、1893.65〜1919.45MHz(PHS・ポケットベル)等が利用されている。これらの影響については、先述しているが、対策について図1及び図2を用いて述べる。
【0030】
図2のコイルL1 とトリマコンデンサTC2 、コイルL2 とトリマコンデンサTC2 、コイルL3 とトリマコンデンサTC3 は、直列共振回路を用いたトラップ回路である。直列共振回路は、その共振周波数になると、進相分と遅相分が同一となり、インピーダンスが0Ωとなって、その両端の誘起電圧は発生しない。前に述べた現在使用されている同周波数を大きく3つに分類すると、
887.75〜957.95MHz
1429.025〜1452.95MHz
1893.65〜1957.4MHz となる。
【0031】
すると、それぞれの中心周波数は、
F1≒923MHz
F2≒1441MHz
F3≒1926MHz となる。
【0032】
この時、共振周波数は、次のようになる
【0033】
【数1】
【0034】
したがって、L1 、L2 、L3 を1nHとすると、トリマコンデンサTC1 ≒29.7PF、TC2 ≒12.2PF、TC3 ≒6.8PF近辺で調整すれば良い。
【0035】
このLC共振回路のL分は、周波数が高いので、コイルそのものの不安定さと、その取り付けによる不安定を避けるため巻き線コイルを用いず、プリント基板1にパターンで形成することで、品質を安定させるとともに、コストの低減も計れる。
【0036】
これらコイルのパターン例を図3に示す。このパターンで作られたL1〜L3は、その選択度Qを適度に押さえることにより、減衰の周波数幅を広げることが自由にできる。また、社内無線等、強力な電波を使用している店内等は、前記同様に新たにコイルL4 、トリマコンデンサTC4 の共振トラップ回路を追加することにより、自由にその誤動作の防止が可能となる。
【0037】
【発明の効果】
この発明によれば、プリント基板外周部に回転形状に形成されたパターンをアンテナとし、このアンテナパターンに外部より入力された高周波電波により誘起される電圧を検波、平滑することにより、異常強力電波を検出するようにしているので、取り付けスペースの少ないパチンコ台やスロットマシン等に取り付け可能なように小型化を行っても、一般的に悪意を持って利用される150MHz帯の違法強力電波から携帯電話の0.8W2GMHz帯までをフラットに警報でき、携帯電話を直付けで使用しも誤動作することなく、高価な高周波パーツや高周波増幅回路も必要とせず、強力電波を安価で、しかも小型な違法電波警報器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態強力電波警報器のプリント基板の構成を示す図である。
【図2】同実施形態強力電波警報器の受信部の回路図を示す接続図である。
【図3】同実施形態強力電波警報器のトラップ回路のLC共振回路のリアクタンスとなるプリントパターンの例を示す図である。
【符号の説明】
1 プリント基板
2 回転形状パターン(アンテナ)
3 電子部品
4 抵抗(R1 )
5 コンデンサ(C0 )
6 コイル(L1 )
7 コイル(L2 )
8 コイル(L3 )
9 トリマコンデンサ(TC1 )
10 トリマコンデンサ(TC2 )
11 トリマコンデンサ(TC3 )
12 フェライトコア
Claims (6)
- プリント基板外周部に回転形状に形成されたパターンをアンテナとし、このアンテナパターンに外部より入力された高周波電波により誘起される電圧を検波、平滑することにより、異常強力電波を検出するようにしたことを特徴とする電子遊戯機の強力電波警報器。
- 前記回転形状に形成されたアンテナとしてのパターンの内心部に、フェライトコアを設け、アンテナの誘起電圧が大となるようにしたことを特徴とする請求項1記載の電子遊戯機の強力電波警報器。
- 前記アンテナにより誘起された電圧は、アンテナとシリーズに抵抗とコンデンサを用い分圧させ、周波数が高くなるにしたがい、減衰するコンデンサ部両端の電圧を検波、平滑することを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の電子遊戯機の強力電波警報器。
- 前記アンテナにより誘起された入力電圧部に1個又は複数個のLC直列共振トラップ回路を設けたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3記載の電子遊戯機の強力電波警報器。
- 前記LCトラップ回路のLは、プリント基板上にパターンで形成されたことを特徴とする請求項4記載の電子遊戯機の強力電波警報器。
- 前記プリント基板は多層基板を用い、外側両面は主にGNDあるいはGNDとVcc電位の回路パターンで構成し、内層部に主にGND、Vcc以外の回路パターンを構成するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の電子遊戯機の強力電波警報器。
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---|---|---|---|
JP2003014289A JP2004222959A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 電子遊戯機の強力電波警報器 |
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JP2003014289A JP2004222959A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 電子遊戯機の強力電波警報器 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008110161A (ja) * | 2006-10-31 | 2008-05-15 | Fujishoji Co Ltd | 遊技機 |
JP2008131252A (ja) * | 2006-11-20 | 2008-06-05 | Aisin Seiki Co Ltd | 車両用アンテナ |
-
2003
- 2003-01-23 JP JP2003014289A patent/JP2004222959A/ja active Pending
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