JP2004222461A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン補機等に供給される低電圧系の電力を効率よく確保し、長時間に亘って退避走行を行うことができるハイブリッド車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】燃料の燃焼によって作動するエンジン1と、エンジン1の出力を用いて発電可能かつ動力を出力可能なモータジェネレータ2と、モータジェネレータ2により発電した電力を充電可能かつモータジェネレータ2に電力を供給可能な高電圧バッテリ4と、エンジン1の補機に電力を供給可能な低電圧バッテリ7と、エンジン1の排気エネルギを回収して発電する排気エネルギ回収装置5とを備えたハイブリッド車両に適用される制御装置において、排気エネルギ回収装置5が発電した電力をインバータ6を介して低電圧バッテリ7に供給可能とする。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料の燃焼によって作動するエンジン1と、エンジン1の出力を用いて発電可能かつ動力を出力可能なモータジェネレータ2と、モータジェネレータ2により発電した電力を充電可能かつモータジェネレータ2に電力を供給可能な高電圧バッテリ4と、エンジン1の補機に電力を供給可能な低電圧バッテリ7と、エンジン1の排気エネルギを回収して発電する排気エネルギ回収装置5とを備えたハイブリッド車両に適用される制御装置において、排気エネルギ回収装置5が発電した電力をインバータ6を介して低電圧バッテリ7に供給可能とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気エネルギを回収して発電した電力を蓄電器の充電に利用するハイブリッド車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの出力軸に連結された電動機(三相交流機)が発電した電力をインバータを介して車両駆動用のエネルギ源としての二次電池に蓄えるとともに、排気エネルギの有効活用を目的としてターボ過給装置と直列にターボ発電装置を設け、ターボ発電装置にて発電した電力を制御装置を介して二次電池に充電する技術が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
また、ハイブリッド車両において、車両の動力源の電動発電機に電力を供給する高電圧系バッテリとは別に、エンジン制御装置、燃料噴射装置、その他各種のエンジン補機に電力を供給する低電圧系バッテリを備え、エンジンによって駆動されるオルタネータの電力を低電圧系バッテリに供給すると共に、高電圧系バッテリの電力をDC/DCコンバータを介して低電圧蓄電器に供給可能とした技術が知られている(特許文献2参照。)。なお、本発明に関連する技術としてさらに特許文献3がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−45817号公報
【特許文献2】
特開2001−352603号公報
【特許文献3】
特開平6−255402号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1にはエンジン補機への電力供給について開示がない。仮に、二次電池からエンジン補機に電力を供給した場合には、二次電池が故障し、あるいは二次電池からエンジン補機への電力供給経路に配置される部品、例えば二次電池に対するインバータ、又はターボ発電装置から二次電池への充電を制御する制御装置等が故障した場合にエンジン補機への電力供給が困難となり、退避走行が短時間のうちに不可能となる。
【0006】
これに対して、特許文献2の技術では、高電圧系バッテリ等が故障しても、オルタネータの発電した電力をエンジン補機に供給して退避走行を行える。しかし、オルタネータによる発電は効率が悪い。
【0007】
そこで、本発明はエンジン補機等に供給される低電圧系の電力を効率よく確保し、長時間に亘って退避走行を行うことができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料の燃焼によって作動するエンジンと、前記エンジンの出力を用いて発電可能かつ動力を出力可能なモータジェネレータと、前記モータジェネレータにより発電した電力を充電可能かつ前記モータジェネレータに電力を供給可能な高電圧蓄電器と、前記エンジンの補機に電力を供給可能な低電圧蓄電器と、前記エンジンの排気エネルギを回収して発電する排気エネルギ回収装置とを備えたハイブリッド車両に適用される制御装置において、前記排気エネルギ回収装置が発電した電力を前記低電圧蓄電器に供給する低電圧用供給制御手段を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0009】
この制御装置によれば、高電圧系から低電圧系に電力が供給できない場合であっても、エンジン補機の動作に必要な低電圧系の電力を排気エネルギ回収装置から取得することができる。従って、退避走行を長時間に亘って実行することができる。しかも、排気エネルギ回収装置は排気エネルギを回収して発電を行うため、エンジンが発生した運動エネルギを消費して発電する従来のオルタネータを使用した場合と比較して車両のエネルギ効率を高めることができる。
【0010】
本発明のハイブリッド車両の制御装置においては、前記高電圧蓄電器と前記低電圧蓄電器との間には両蓄電器間の電力の授受を制御する変換制御手段が設けられ、前記モータジェネレータと前記変換制御手段との間に配置される高電圧系部品、又は前記変換制御手段が故障した場合に前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧用供給制御手段を介して前記低電圧蓄電器に電力が供給されてもよい(請求項2)。
【0011】
この態様によれば、高電圧蓄電器から低電圧蓄電器へ電力を供給することによって低電圧系の電力を確保することができ、かつ、その高電圧蓄電器からの電力の供給が不可能となった場合でも排気エネルギ回収装置を利用して低電圧系の電力を確保することができる。
【0012】
一方、前記高電圧系部品、及び前記変換制御手段のいずれもが正常に動作している場合の排気エネルギ回収装置の発電した電力の供給に関しては次の2つの態様がある。
【0013】
すなわち、一態様においては、前記高電圧系部品及び前記変換制御手段がそれぞれ正常に動作している場合にも前記排気エネルギ回収装置の発電した電力が前記低電圧蓄電器に一旦供給され、前記変換制御手段は、前記低電圧蓄電器に供給された電力の余剰分が前記高電圧蓄電器に供給される(請求項3)。この場合には、排気エネルギ回収装置から低電圧系に供給される電力の余剰分を無駄に捨てることなく高電圧系で利用して車両のエネルギ効率を向上させることができる。
【0014】
また、他の態様においては、前記排気エネルギ回収装置に対して前記低電圧用供給制御手段と並列に接続されて前記排気エネルギ回収装置が発電した電力を前記高電圧蓄電器に供給する高電圧用供給制御手段と、前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記高電圧用供給制御手段と前記低電圧用供給制御手段との間で切り替える供給先制御手段とがさらに設けられ、前記供給先制御手段は、前記高電圧系部品又は前記変換制御手段が故障した場合に前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記低電圧用供給制御手段に設定する(請求項4)。
【0015】
この場合には、排気エネルギ回収装置で発電した電力を高電圧系又は低電圧系に選択的に供給することができる。正常時において排気エネルギ回収装置から高電圧用供給制御手段に電力を供給した場合には、低電圧系に供給する場合よりも発電量の制約が緩和されて大電力が供給可能となり、排気エネルギを無駄なく回収して車両のエネルギ効率を向上させることができる。高電圧系部品又は変換制御手段が故障した場合は、低電圧用供給制御手段に電力が供給されるので、低電圧系の電力を確保して車両に退避走行を長時間させることができる。
【0016】
さらに、高電圧用供給制御手段及び供給先制御手段を設けた場合には、前記高電圧用供給制御手段が前記排気エネルギ回収装置からの電力を前記モータジェネレータにも供給可能であり、前記高電圧蓄電器への充電が不可能となる故障が前記高電圧系部品に生じ、かつ前記低電圧蓄電器の充電率が所定レベル以上確保されている場合には、前記供給先制御手段が前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記高電圧用供給制御手段に設定し、前記高電圧用供給制御手段はその排気エネルギ回収装置からの電力を前記モータジェネレータに供給してもよい(請求項5)。
【0017】
この場合には、高電圧蓄電器への充電が不可能となる故障が高電圧系部品に生じても排気エネルギ回収装置が発電する電力を利用してモータジェネレータを駆動することができる。従って、高電圧蓄電器の電力が不足してもモータジェネレータを駆動源として車両を走行させることができる。これにより、高電圧蓄電器への充電が不可能な状態であっても、エンジンとモータジェネレータとを併用して車両の駆動力を柔軟に管理することができる。
【0018】
本発明のインバータ車両の制御装置においては、前記高電圧系部品又は前記変換制御手段の故障時であってかつ前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧蓄電器に電力が供給されている場合に、前記低電圧蓄電器の充電状態に応じて前記排気エネルギ回収装置の発電量を制御する発電量制御手段を備えてもよい(請求項6)。この態様によれば、低電圧蓄電器に対してその充電量に見合った適切な電力を供給することができて好ましい。
【0019】
さらに、上記態様において、前記高電圧系部品又は前記変換制御手段が故障して前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧蓄電器に電力が供給されている場合、前記発電量制御手段は、前記エンジンに対する負荷の高い時には低い時よりも同一充電状態に対する発電量が大きくなるように、前記充電状態と前記発電量との対応関係を前記負荷に応じて変化させてもよい(請求項7)。エンジンが低負荷で運転されているときは排気エネルギの回収量が相当に減少するため、エンジンが高負荷で運転されているときに積極的に発電量を増加させて低電圧蓄電器の充電量を十分に確保し、それにより低負荷運転中の低電圧系の電力不足を回避することができる。
【0020】
本発明のハイブリッド車両の制御装置においては、前記変換制御手段が故障している場合に、前記低電圧蓄電器の充電状態に応じて前記エンジンの出力を制御する運転制御手段を備えてもよい(請求項8)。
【0021】
この態様によれば、エンジン出力の増減によって排気エネルギ回収装置の発電量が変化するから、この関係を利用して低電圧蓄電器の充電率に適した電力を排気エネルギ回収装置にて発電させて低電圧系の電力を過不足なく確保することができる。
【0022】
さらに、上記態様において、前記運転制御手段は、前記変換制御手段が故障している場合に、前記エンジン出力の余剰分が前記モータジェネレータの発電に使用されるように前記エンジン出力に応じて前記モータジェネレータの発電量を制御してもよい(請求項9)。これにより、排気エネルギによる発電量の制御のために生じたエンジン出力の余剰分を電力に変換して高電圧蓄電器に蓄え、エネルギ効率の低下を防止できる。
【0023】
なお、本発明にいう「故障」の概念は、インバータ3やDC/DCコンバータ8等の電気系部品が本来の機能を発揮できないか、又は本来の性能を発揮できても何らかの理由でそれを発揮させることが不適当となった状態をいう。また、エンジンの補機とは、電力の供給によってエンジンの継続的作動に必要不可欠な所定の機能を奏する各種の装置をいう。本発明において「高電圧」及び「低電圧」の用語は大きさが異なる2種類の電圧を区別するために使用されるものであって、「高」及び「低」の用語によってそれぞれの絶対的な範囲が定まるものではない。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す概略図である。この車両は、内燃機関であるガソリンエンジン1と電動機及び発電機として機能するモータジェネレータ(MG)2とを走行用の駆動源として搭載した、いわゆるパラレル型のハイブリッド車両として構成されている。MG2は、インバータ3を介して高電圧蓄電器としての高電圧バッテリ4に接続されており、それらのMG2と高電圧バッテリ4との間で適宜に電力が授受される。高電圧バッテリ4の電圧は例えば288Vである。
【0025】
エンジン1の排気エネルギを回収するため、図1のハイブリッド車両は排気エネルギ回収装置5を備えている。排気エネルギ回収装置5としては、例えば電動機及び発電機として使用されるアシストモータを有するターボ過給器(電動アシストターボ)、ランキンサイクル装置、又は熱電変換装置が使用できるが、ここでは発電量を調節可能な電動アシストターボが使用されている。排気エネルギ回収装置5から排出された排気は、触媒、消音器(共に不図示)を経て大気に放出される。
【0026】
排気エネルギ回収装置5は、低電圧用供給制御手段としてのインバータ6を介して低電圧蓄電器としての低電圧バッテリ7に接続されている。低電圧バッテリ7の電圧は例えば12Vである。低電圧バッテリ7は、エンジン1の制御回路及びイグニッションコイル、燃料噴射装置等の補機に電力を供給している。高電圧バッテリ4と低電圧バッテリ7とはDC/DCコンバータ8を介して接続されている。DC/DCコンバータ8は両バッテリ4,7間における電力の授受を制御する変換制御手段として機能する。
【0027】
エンジン1及びモータジェネレータ2の運転状態は電子制御ユニット(ECU)9により制御される。ECU9はマイクロプロセッサやその主記憶装置として機能するROM、RAM等の周辺装置を備えたコンピュータとして構成されている。ECU9は、所定の演算手順に従って車両の要求出力を演算し、その出力が得られるようにエンジン1及びモータジェネレータ2の運転状態を制御する。例えば、演算された車両の要求出力が、エンジン1の効率が良い中負荷領域に入っている場合には、専らエンジン1の出力で車両を走行させ、要求出力が小さいときはエンジン1を停止してMG2の出力のみを利用して車両を走行させる。エンジン1だけでは要求出力を満たすことができない場合には、MG2がエンジン1の出力をアシストして、車両を走行させる。このような制御を行うためにECU9には例えば高電圧バッテリSOCセンサ10や低電圧バッテリSOCセンサ11等の各種センサが接続されている。ECU9は、これらのセンサによってバッテリ4、7の充電率(SOC)を監視するとともに、バッテリ4、7の異常の有無を判定可能である。
【0028】
また、ECU9はインバータ3、6、DC/DCコンバータ8の異常の有無を監視し、異常の有無に応じて排気エネルギ回収装置5からの電力の回収を制御している。図2はそのような制御を実現するためにECU9が実行する排気エネルギ回収制御ルーチンを示している。この処理はエンジン1が始動すると実行され、所定の周期で繰り返し実行される。
【0029】
図2の排気エネルギ回収制御ルーチンにおいて、ECU9は、まずステップS11でMG2とDC/DCコンバータ8との間に配置される高電圧系部品としてのインバータ3又は高電圧バッテリ4、又はDC/DCコンバータ8が故障しているか否かを判定する。故障していないと判断した場合はステップS12に進んで排気エネルギ回収装置5を通常制御モードで制御し、故障していると判断した場合はステップS13に進んで排気エネルギ回収装置5をフィードバック制御モード(F/B制御モード)で制御する。
【0030】
ステップS12の通常制御モードにおいて、ECU9はそのROMに予め記憶されているマップを利用してエンジン1の負荷(トルク及び回転数)に対応した排気エネルギ回収装置5の目標発電量を取得し、その目標発電量が得られるようにインバータ6の電機負荷を制御する。この場合、エンジン負荷と目標発電量との関係は排気エネルギからなるべく多くの電力を回収するように設定される。
【0031】
通常制御モードの実行中において、低電圧バッテリ7には高電圧バッテリ4からDC/DCコンバータ8を介して低電圧バッテリ7に電力が供給されるとともに、排気エネルギ回収装置5からインバータ6を介して電力が供給される。これらの電力により低電圧バッテリ7が充電されてエンジン補機等に必要な電力が供給される。低電圧バッテリ7のSOCが十分に確保され、排気エネルギ回収装置5から供給される電力が低電圧バッテリ7において余った場合、DC/DCコンバータ8はその余剰分の電力を昇圧して高電圧バッテリ4へ供給する。
【0032】
一方、ステップS13のF/B制御モードにおいては、ECU9は低電圧バッテリSOCセンサ11の出力に基づいて排気エネルギ回収装置5の目標発電量をフィードバック制御する。SOCセンサ11の出力と排気エネルギ回収装置5の目標発電量との関係は例えば図3のM1のようなマップとしてECU9のROMに記録されている。ECU9はそのマップを参照して低電圧バッテリ7のSOCに対応した目標発電量を取得し、その目標発電量が得られるようにインバータ6の電機負荷を制御する。なお、マップM1では、低電圧バッテリ7のSOCが低いときに目標発電量が大きく、SOCが高いときに目標発電量が小さくなるようにSOCと目標発電量との対応関係が設定されている。
【0033】
続くステップS14では、エンジン1が所定の高負荷領域で運転中か否かを判定する。高負荷領域で運転中であると判断した場合はステップS15に進み、そうでない場合はステップS16に進む。ステップS15では、ステップS13で設定した排気エネルギ回収装置5の目標発電量に所定のゲイン(例えば1.5)を乗算することにより、マップM1で設定される値よりも同一のSOCに対する目標発電量を増加させる。これにより、高負荷時には発電量を積極的に増加させて低電圧バッテリ7の充電率をなるべく高く維持している。
【0034】
次のステップS16において、ECU9は目標発電量が排気エネルギ回収装置5にて回収可能な発電量の上限値以上か否かを判定する。発電量の上限値はエンジン1の出力(負荷)に応じて変化し、両者の対応関係は予めマップ化されてECU9のROMに記憶されている。ECU9はそのマップを参照してエンジン出力に対応した発電量の上限値を取得し、目標発電量が上限値であったときはステップS17へ進んで目標発電量を上限値に設定する。ステップS17の実行後又はステップS16にて否定判断したときは今回のルーチンを終える。
【0035】
以上の実施形態によれば、高電圧系のインバータ3、高電圧バッテリ4、又はDC/DCコンバータ8のいずれかが故障した場合、F/B制御モードが選択されて排気エネルギ回収装置5の目標発電量が低電圧バッテリ7のSOCに基づいて設定されるので、低電圧バッテリ7に対して過不足なく電力を供給して低電圧系に必要な電力を十分に確保し、それにより退避走行を十分に行うことができる。
【0036】
以上の実施形態においては、インバータ6が低電圧用供給制御手段に、ECU9が発電量制御手段にそれぞれ相当する。
【0037】
なお、ステップS15の処理は、フィードバックゲインの乗算に代え、例えば図3にマップM2として示したように低電圧バッテリ7のSOCに対する目標発電量をステップS13で使用したマップM1よりも相対的に大きく変更したマップを使用して実現してもよい。
【0038】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、図1のハイブリッド車両においてDC/DCコンバータ8が故障した場合に、ECU9がエンジン1及びMG2に関して特有の制御を行うことを特徴とする。
【0039】
図4は、そのような制御を実現するためにECU9が実行するDC/DCコンバータ故障時制御ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン1が始動してから所定の周期で繰り返し実行されるものであり、図2の処理と並行して実行してよい。
【0040】
図4のルーチンにおいて、ECU9はまずステップS21でDC/DCコンバータ8が故障しているか否かを判定する。故障していると判断した場合はステップS22に進み、故障していないと判断した場合は今回の制御ルーチンを終える。ステップS22では、ECU9は低電圧バッテリ7のSOCが所定の値よりも低いか否かを判定する。低いと判断した場合はステップS23に進み、そうでない場合は今回の制御ルーチンを終える。所定の値は例えば80%とする。
【0041】
ステップS23において、ECU9はエンジン1の出力を車両の要求出力から特定される値よりも増加させる。続くステップS24において、ECU9は、エンジン1の出力のうちステップS23で増加したことに伴う余剰出力によりMG2が発電を行うようにインバータ3の動作を制御する。その後、今回の制御ルーチンを終える。このような処理を行うことにより、ECU9は運転制御手段として機能する。なお、ステップS23の処理において、エンジン出力の増加分は一定でもよいし、SOCが低いほど増加分が大きくなるようにSOCに応じて変化させてもよい。
【0042】
以上の制御ルーチンによれば、DC/DCコンバータ8が故障して高電圧系から電力が得られない状態で低電圧バッテリ7の充電率が低下したときにエンジン出力を車両の要求出力よりも意図的に増加させているので、排気エネルギ回収装置5の発電量を増加させて低電圧系への電力の供給可能な量を増加させ、それにより低電圧系の電力不足を回避することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す概略図である。この制御装置では、排気エネルギ回収装置5に対して高電圧系のインバータ3及び低電圧系のインバータ6が並列に接続されてこれらのインバータ3、6に電力が供給可能とされている。これにより、インバータ3が高電圧用供給制御手段として、インバータ6が低電圧用供給制御手段としてそれぞれ機能する。また、ECU9は、図6の電力供給先制御ルーチンを実行することにより排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先をMG2、高電圧バッテリ4と低電圧バッテリ7との間で切り替える供給先制御手段として機能する。
【0044】
図6の電力供給先設定ルーチンは、エンジン1が始動されると実行され、所定の周期で繰り返し実行される。図6のルーチンにおいて、ECU9はまずステップS31でインバータ3、高電圧バッテリ4又はDC/DCコンバータ8のいずれかが故障しているか否かを判定する。故障していると判断した場合はステップS32に進み、排気エネルギ回収装置5において発電した電力の供給先を低電圧バッテリ7に設定する。故障していないと判断した場合はステップS33に進んで排気エネルギ回収装置5からの電力の供給先を高電圧バッテリ4に設定する。
ステップS32、S33において供給先を設定した後に今回のルーチンを終了する。
【0045】
なお、ステップS31の条件が否定された場合、低電圧バッテリ7に対しては、高圧バッテリ4からDC/DCコンバータ8を介して低電圧バッテリ7に電力が供給されることにより、低電圧系の電力が確保される。また、ステップS32において排気エネルギ回収装置5から低電圧バッテリ7に電力が供給された場合において、図2のステップS13〜S17の処理が行われてもよい。DC/DCコンバータ8の故障時に図4のステップS22〜S24の処理が行われてもよい。
【0046】
以上の実施形態によれば、高電圧バッテリ4から低電圧バッテリ7への電力供給が可能な状態において排気エネルギ回収装置5の電力が高電圧系のインバータ3に供給されるので、低電圧バッテリ7へ供給する場合と比較して発電量の制約が緩和され、排気エネルギ回収装置5による発電量を可能な限り大きくして(例えば数百W〜十数KW)、車両のエネルギ効率を向上させることができる。また、インバータ3等が故障した場合には排気エネルギ回収装置5からの電力を利用して低電圧系の電力を確実に確保し、燃料がなくなるまで補機に電力を供給して退避走行を続けることができる。
【0047】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、図5のハイブリッド車両において、インバータ3、高電圧バッテリ4又はDC/DCコンバータ8のいずれかが故障した場合、故障した部品に応じて排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先を変更することを特徴とする。
【0048】
図7はそのような制御を実現するためにECU9が実行する高電圧系故障時制御ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンはエンジン1が始動されると実行され、所定の周期で繰り返し実行される。
【0049】
図7のルーチンにおいて、ECU9はまずステップS41でインバータ3が故障しているか否かを判定する。故障していない場合はステップS42に進み、高電圧バッテリ4が故障しているか否かを判定する。故障していないと判断した場合はステップS43に進み、DC/DCコンバータ8が故障しているか否かを判定する。故障していないと判断した場合はステップS44において排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先を高電圧バッテリ4に設定し、その後、今回の制御ルーチンを終える。
【0050】
ステップS41で故障と判断した場合はステップS45に進み、排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先を低電圧バッテリ7に設定する。この場合、車両はエンジン1のみで走行駆動される。ステップS42で故障と判断した場合はステップS46に進み、低電圧バッテリ7のSOCが所定の値よりも低いか否かを判定する。所定の値は例えば80%とする。低くないと判断した場合はステップS47に進み、スロットル開度等を参照して車両の加速が要求されているか否かを判定する。加速が要求されている場合はステップS48に進み、インバータ3を制御して排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先をMG2に設定し、MG2を動作させて車両の走行駆動力をアシストする。なお、この場合高電圧バッテリ4に対して充電ができないので、MG2は駆動力のアシストのみを行い、発電は行わない。ステップS46でSOCが所定の値よりも低い場合、又はステップS47で車両の加速が要求されていない場合はステップS45に進み、低電圧バッテリ7への電力供給を実行する。ステップS43で故障と判断した場合はステップS49に進み、排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先を低電圧バッテリ7に設定する。この場合、車両の駆動力は通常時と同様にエンジン1及びMG2によって適宜に分担され、駆動力が余る減速時等にはMG2が発電して高電圧バッテリ4が充電される。
【0051】
ステップS45、S48、又はS49において電力の供給先を設定した後はステップS50に進み、イグニッションキーがオフにされない限りにおいて、エンジン1に対するECU9からの停止指示の出力を禁止する。その後、今回のルーチンを終える。なお、ステップS49の処理後にステップS50をスキップしてもよいが、エンジン1の停止を禁止することにより排気エネルギ回収装置5による発電量を相対的に増加させることができるので、低電圧バッテリ7の充電不足を回避する上で好都合である。
【0052】
以上の実施形態によれば、排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先が故障箇所に応じて適切に変更されるので、電力をより合理的に管理することができる。すなわち、高電圧系のインバータ3が故障した場合にはMG2の力行も発電も不可能であるため、排気エネルギ回収装置5で回収した電力を専ら低電圧系で利用して(ステップS41→S45)、エネルギを有効に活用することができる。
【0053】
また、高電圧バッテリ4が故障しても、インバータ3が正常でMG2の力行制御が可能な場合は、低電圧バッテリ7のSOCが一定以上確保されていることを条件として排気エネルギ回収装置5からMG2へ電力を供給してMG2による駆動力のアシストを可能とし(ステップS42→S46→S47→S48)、加速要求時のように大きな駆動力が必要な場合にも確実に対応することができる。
【0054】
さらに、DC/DCコンバータ8が故障して高電圧バッテリ4から低電圧バッテリ7への電力供給が不可能となっても、MG2と高電圧バッテリ4との間に異常がない場合には、高電圧系のインバータ3を利用してMG2を通常通り力行又は発電(回生)制御を切り替えつつ使用するとともに、排気エネルギ回収装置5が発電した電力を利用して低電圧バッテリ7が充電されてエンジンの補機に必要な電力が確実に供給される(S43→S49)。これにより、エンジン1とMG2とを併用した駆動力の管理を故障のない場合とほぼ同様に柔軟に実行することができるとともに、低電圧系の電力不足によるエンジン停止を回避して長時間の退避走行を実現することができる。
【0055】
本発明は以上の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的思想と実質的同一の範囲内にある限り種々の形態にて実施してよい。例えば、上記の各実施形態では高電圧系部品としてインバータ3と高電圧バッテリ4とを対象としたが、MG2とDC/DCコンバータ8との間に配置されて高電圧が印加される各種の部品を高電圧系部品に含めてよい。蓄電器はバッテリに限らず、キャパシタであってもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の制御装置を搭載したハイブリッド車両によれば、排気エネルギ回収装置が発電した電力を低電圧蓄電器に供給することにより、高電圧系から低電圧系へ電力が供給できない状態でも低電圧系の電力を確保し、エンジンの補機に十分な電力を供給して長時間に亘る退避走行を実現することができる。しかも、排気エネルギを回収して低電圧系に電力を供給するので、車両のエネルギ効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す図。
【図2】図1のECUが排気エネルギ回収装置を制御するために実行する排気エネルギ回収制御ルーチンを示すフローチャート。
【図3】低電圧バッテリの充電率と排気エネルギ回収装置の目標発電量との関係の一例を示した図。
【図4】図1のECUがDC/DCコンバータ周りが故障したときにエンジン及びモータジェネレータを制御するために実行するDC/DCコンバータ故障時制御ルーチンを示すフローチャート。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す図。
【図6】図5のECUが排気エネルギ回収装置で発電した電力の供給先を制御するために実行する電力供給先設定ルーチンを示すフローチャート。
【図7】図5のECUが故障箇所に応じて排気エネルギ回収装置で発電した電力の供給先を変更するために実行する高電圧系故障時制御ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 エンジン
2 モータジェネレータ
3 インバータ(高電圧用供給制御手段)
4 高電圧バッテリ(高電圧蓄電器)
5 排気エネルギ回収装置
6 インバータ(低電圧用供給制御手段)
7 低電圧バッテリ(低電圧蓄電器)
8 DC/DCコンバータ(変換制御手段)
9 電子制御ユニット(発電量制御手段、供給先制御手段、運転制御手段)
10 高電圧バッテリSOCセンサ
11 低電圧バッテリSOCセンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの排気エネルギを回収して発電した電力を蓄電器の充電に利用するハイブリッド車両の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの出力軸に連結された電動機(三相交流機)が発電した電力をインバータを介して車両駆動用のエネルギ源としての二次電池に蓄えるとともに、排気エネルギの有効活用を目的としてターボ過給装置と直列にターボ発電装置を設け、ターボ発電装置にて発電した電力を制御装置を介して二次電池に充電する技術が知られている(特許文献1参照。)。
【0003】
また、ハイブリッド車両において、車両の動力源の電動発電機に電力を供給する高電圧系バッテリとは別に、エンジン制御装置、燃料噴射装置、その他各種のエンジン補機に電力を供給する低電圧系バッテリを備え、エンジンによって駆動されるオルタネータの電力を低電圧系バッテリに供給すると共に、高電圧系バッテリの電力をDC/DCコンバータを介して低電圧蓄電器に供給可能とした技術が知られている(特許文献2参照。)。なお、本発明に関連する技術としてさらに特許文献3がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−45817号公報
【特許文献2】
特開2001−352603号公報
【特許文献3】
特開平6−255402号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1にはエンジン補機への電力供給について開示がない。仮に、二次電池からエンジン補機に電力を供給した場合には、二次電池が故障し、あるいは二次電池からエンジン補機への電力供給経路に配置される部品、例えば二次電池に対するインバータ、又はターボ発電装置から二次電池への充電を制御する制御装置等が故障した場合にエンジン補機への電力供給が困難となり、退避走行が短時間のうちに不可能となる。
【0006】
これに対して、特許文献2の技術では、高電圧系バッテリ等が故障しても、オルタネータの発電した電力をエンジン補機に供給して退避走行を行える。しかし、オルタネータによる発電は効率が悪い。
【0007】
そこで、本発明はエンジン補機等に供給される低電圧系の電力を効率よく確保し、長時間に亘って退避走行を行うことができるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、燃料の燃焼によって作動するエンジンと、前記エンジンの出力を用いて発電可能かつ動力を出力可能なモータジェネレータと、前記モータジェネレータにより発電した電力を充電可能かつ前記モータジェネレータに電力を供給可能な高電圧蓄電器と、前記エンジンの補機に電力を供給可能な低電圧蓄電器と、前記エンジンの排気エネルギを回収して発電する排気エネルギ回収装置とを備えたハイブリッド車両に適用される制御装置において、前記排気エネルギ回収装置が発電した電力を前記低電圧蓄電器に供給する低電圧用供給制御手段を備えることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
【0009】
この制御装置によれば、高電圧系から低電圧系に電力が供給できない場合であっても、エンジン補機の動作に必要な低電圧系の電力を排気エネルギ回収装置から取得することができる。従って、退避走行を長時間に亘って実行することができる。しかも、排気エネルギ回収装置は排気エネルギを回収して発電を行うため、エンジンが発生した運動エネルギを消費して発電する従来のオルタネータを使用した場合と比較して車両のエネルギ効率を高めることができる。
【0010】
本発明のハイブリッド車両の制御装置においては、前記高電圧蓄電器と前記低電圧蓄電器との間には両蓄電器間の電力の授受を制御する変換制御手段が設けられ、前記モータジェネレータと前記変換制御手段との間に配置される高電圧系部品、又は前記変換制御手段が故障した場合に前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧用供給制御手段を介して前記低電圧蓄電器に電力が供給されてもよい(請求項2)。
【0011】
この態様によれば、高電圧蓄電器から低電圧蓄電器へ電力を供給することによって低電圧系の電力を確保することができ、かつ、その高電圧蓄電器からの電力の供給が不可能となった場合でも排気エネルギ回収装置を利用して低電圧系の電力を確保することができる。
【0012】
一方、前記高電圧系部品、及び前記変換制御手段のいずれもが正常に動作している場合の排気エネルギ回収装置の発電した電力の供給に関しては次の2つの態様がある。
【0013】
すなわち、一態様においては、前記高電圧系部品及び前記変換制御手段がそれぞれ正常に動作している場合にも前記排気エネルギ回収装置の発電した電力が前記低電圧蓄電器に一旦供給され、前記変換制御手段は、前記低電圧蓄電器に供給された電力の余剰分が前記高電圧蓄電器に供給される(請求項3)。この場合には、排気エネルギ回収装置から低電圧系に供給される電力の余剰分を無駄に捨てることなく高電圧系で利用して車両のエネルギ効率を向上させることができる。
【0014】
また、他の態様においては、前記排気エネルギ回収装置に対して前記低電圧用供給制御手段と並列に接続されて前記排気エネルギ回収装置が発電した電力を前記高電圧蓄電器に供給する高電圧用供給制御手段と、前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記高電圧用供給制御手段と前記低電圧用供給制御手段との間で切り替える供給先制御手段とがさらに設けられ、前記供給先制御手段は、前記高電圧系部品又は前記変換制御手段が故障した場合に前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記低電圧用供給制御手段に設定する(請求項4)。
【0015】
この場合には、排気エネルギ回収装置で発電した電力を高電圧系又は低電圧系に選択的に供給することができる。正常時において排気エネルギ回収装置から高電圧用供給制御手段に電力を供給した場合には、低電圧系に供給する場合よりも発電量の制約が緩和されて大電力が供給可能となり、排気エネルギを無駄なく回収して車両のエネルギ効率を向上させることができる。高電圧系部品又は変換制御手段が故障した場合は、低電圧用供給制御手段に電力が供給されるので、低電圧系の電力を確保して車両に退避走行を長時間させることができる。
【0016】
さらに、高電圧用供給制御手段及び供給先制御手段を設けた場合には、前記高電圧用供給制御手段が前記排気エネルギ回収装置からの電力を前記モータジェネレータにも供給可能であり、前記高電圧蓄電器への充電が不可能となる故障が前記高電圧系部品に生じ、かつ前記低電圧蓄電器の充電率が所定レベル以上確保されている場合には、前記供給先制御手段が前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記高電圧用供給制御手段に設定し、前記高電圧用供給制御手段はその排気エネルギ回収装置からの電力を前記モータジェネレータに供給してもよい(請求項5)。
【0017】
この場合には、高電圧蓄電器への充電が不可能となる故障が高電圧系部品に生じても排気エネルギ回収装置が発電する電力を利用してモータジェネレータを駆動することができる。従って、高電圧蓄電器の電力が不足してもモータジェネレータを駆動源として車両を走行させることができる。これにより、高電圧蓄電器への充電が不可能な状態であっても、エンジンとモータジェネレータとを併用して車両の駆動力を柔軟に管理することができる。
【0018】
本発明のインバータ車両の制御装置においては、前記高電圧系部品又は前記変換制御手段の故障時であってかつ前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧蓄電器に電力が供給されている場合に、前記低電圧蓄電器の充電状態に応じて前記排気エネルギ回収装置の発電量を制御する発電量制御手段を備えてもよい(請求項6)。この態様によれば、低電圧蓄電器に対してその充電量に見合った適切な電力を供給することができて好ましい。
【0019】
さらに、上記態様において、前記高電圧系部品又は前記変換制御手段が故障して前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧蓄電器に電力が供給されている場合、前記発電量制御手段は、前記エンジンに対する負荷の高い時には低い時よりも同一充電状態に対する発電量が大きくなるように、前記充電状態と前記発電量との対応関係を前記負荷に応じて変化させてもよい(請求項7)。エンジンが低負荷で運転されているときは排気エネルギの回収量が相当に減少するため、エンジンが高負荷で運転されているときに積極的に発電量を増加させて低電圧蓄電器の充電量を十分に確保し、それにより低負荷運転中の低電圧系の電力不足を回避することができる。
【0020】
本発明のハイブリッド車両の制御装置においては、前記変換制御手段が故障している場合に、前記低電圧蓄電器の充電状態に応じて前記エンジンの出力を制御する運転制御手段を備えてもよい(請求項8)。
【0021】
この態様によれば、エンジン出力の増減によって排気エネルギ回収装置の発電量が変化するから、この関係を利用して低電圧蓄電器の充電率に適した電力を排気エネルギ回収装置にて発電させて低電圧系の電力を過不足なく確保することができる。
【0022】
さらに、上記態様において、前記運転制御手段は、前記変換制御手段が故障している場合に、前記エンジン出力の余剰分が前記モータジェネレータの発電に使用されるように前記エンジン出力に応じて前記モータジェネレータの発電量を制御してもよい(請求項9)。これにより、排気エネルギによる発電量の制御のために生じたエンジン出力の余剰分を電力に変換して高電圧蓄電器に蓄え、エネルギ効率の低下を防止できる。
【0023】
なお、本発明にいう「故障」の概念は、インバータ3やDC/DCコンバータ8等の電気系部品が本来の機能を発揮できないか、又は本来の性能を発揮できても何らかの理由でそれを発揮させることが不適当となった状態をいう。また、エンジンの補機とは、電力の供給によってエンジンの継続的作動に必要不可欠な所定の機能を奏する各種の装置をいう。本発明において「高電圧」及び「低電圧」の用語は大きさが異なる2種類の電圧を区別するために使用されるものであって、「高」及び「低」の用語によってそれぞれの絶対的な範囲が定まるものではない。
【0024】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す概略図である。この車両は、内燃機関であるガソリンエンジン1と電動機及び発電機として機能するモータジェネレータ(MG)2とを走行用の駆動源として搭載した、いわゆるパラレル型のハイブリッド車両として構成されている。MG2は、インバータ3を介して高電圧蓄電器としての高電圧バッテリ4に接続されており、それらのMG2と高電圧バッテリ4との間で適宜に電力が授受される。高電圧バッテリ4の電圧は例えば288Vである。
【0025】
エンジン1の排気エネルギを回収するため、図1のハイブリッド車両は排気エネルギ回収装置5を備えている。排気エネルギ回収装置5としては、例えば電動機及び発電機として使用されるアシストモータを有するターボ過給器(電動アシストターボ)、ランキンサイクル装置、又は熱電変換装置が使用できるが、ここでは発電量を調節可能な電動アシストターボが使用されている。排気エネルギ回収装置5から排出された排気は、触媒、消音器(共に不図示)を経て大気に放出される。
【0026】
排気エネルギ回収装置5は、低電圧用供給制御手段としてのインバータ6を介して低電圧蓄電器としての低電圧バッテリ7に接続されている。低電圧バッテリ7の電圧は例えば12Vである。低電圧バッテリ7は、エンジン1の制御回路及びイグニッションコイル、燃料噴射装置等の補機に電力を供給している。高電圧バッテリ4と低電圧バッテリ7とはDC/DCコンバータ8を介して接続されている。DC/DCコンバータ8は両バッテリ4,7間における電力の授受を制御する変換制御手段として機能する。
【0027】
エンジン1及びモータジェネレータ2の運転状態は電子制御ユニット(ECU)9により制御される。ECU9はマイクロプロセッサやその主記憶装置として機能するROM、RAM等の周辺装置を備えたコンピュータとして構成されている。ECU9は、所定の演算手順に従って車両の要求出力を演算し、その出力が得られるようにエンジン1及びモータジェネレータ2の運転状態を制御する。例えば、演算された車両の要求出力が、エンジン1の効率が良い中負荷領域に入っている場合には、専らエンジン1の出力で車両を走行させ、要求出力が小さいときはエンジン1を停止してMG2の出力のみを利用して車両を走行させる。エンジン1だけでは要求出力を満たすことができない場合には、MG2がエンジン1の出力をアシストして、車両を走行させる。このような制御を行うためにECU9には例えば高電圧バッテリSOCセンサ10や低電圧バッテリSOCセンサ11等の各種センサが接続されている。ECU9は、これらのセンサによってバッテリ4、7の充電率(SOC)を監視するとともに、バッテリ4、7の異常の有無を判定可能である。
【0028】
また、ECU9はインバータ3、6、DC/DCコンバータ8の異常の有無を監視し、異常の有無に応じて排気エネルギ回収装置5からの電力の回収を制御している。図2はそのような制御を実現するためにECU9が実行する排気エネルギ回収制御ルーチンを示している。この処理はエンジン1が始動すると実行され、所定の周期で繰り返し実行される。
【0029】
図2の排気エネルギ回収制御ルーチンにおいて、ECU9は、まずステップS11でMG2とDC/DCコンバータ8との間に配置される高電圧系部品としてのインバータ3又は高電圧バッテリ4、又はDC/DCコンバータ8が故障しているか否かを判定する。故障していないと判断した場合はステップS12に進んで排気エネルギ回収装置5を通常制御モードで制御し、故障していると判断した場合はステップS13に進んで排気エネルギ回収装置5をフィードバック制御モード(F/B制御モード)で制御する。
【0030】
ステップS12の通常制御モードにおいて、ECU9はそのROMに予め記憶されているマップを利用してエンジン1の負荷(トルク及び回転数)に対応した排気エネルギ回収装置5の目標発電量を取得し、その目標発電量が得られるようにインバータ6の電機負荷を制御する。この場合、エンジン負荷と目標発電量との関係は排気エネルギからなるべく多くの電力を回収するように設定される。
【0031】
通常制御モードの実行中において、低電圧バッテリ7には高電圧バッテリ4からDC/DCコンバータ8を介して低電圧バッテリ7に電力が供給されるとともに、排気エネルギ回収装置5からインバータ6を介して電力が供給される。これらの電力により低電圧バッテリ7が充電されてエンジン補機等に必要な電力が供給される。低電圧バッテリ7のSOCが十分に確保され、排気エネルギ回収装置5から供給される電力が低電圧バッテリ7において余った場合、DC/DCコンバータ8はその余剰分の電力を昇圧して高電圧バッテリ4へ供給する。
【0032】
一方、ステップS13のF/B制御モードにおいては、ECU9は低電圧バッテリSOCセンサ11の出力に基づいて排気エネルギ回収装置5の目標発電量をフィードバック制御する。SOCセンサ11の出力と排気エネルギ回収装置5の目標発電量との関係は例えば図3のM1のようなマップとしてECU9のROMに記録されている。ECU9はそのマップを参照して低電圧バッテリ7のSOCに対応した目標発電量を取得し、その目標発電量が得られるようにインバータ6の電機負荷を制御する。なお、マップM1では、低電圧バッテリ7のSOCが低いときに目標発電量が大きく、SOCが高いときに目標発電量が小さくなるようにSOCと目標発電量との対応関係が設定されている。
【0033】
続くステップS14では、エンジン1が所定の高負荷領域で運転中か否かを判定する。高負荷領域で運転中であると判断した場合はステップS15に進み、そうでない場合はステップS16に進む。ステップS15では、ステップS13で設定した排気エネルギ回収装置5の目標発電量に所定のゲイン(例えば1.5)を乗算することにより、マップM1で設定される値よりも同一のSOCに対する目標発電量を増加させる。これにより、高負荷時には発電量を積極的に増加させて低電圧バッテリ7の充電率をなるべく高く維持している。
【0034】
次のステップS16において、ECU9は目標発電量が排気エネルギ回収装置5にて回収可能な発電量の上限値以上か否かを判定する。発電量の上限値はエンジン1の出力(負荷)に応じて変化し、両者の対応関係は予めマップ化されてECU9のROMに記憶されている。ECU9はそのマップを参照してエンジン出力に対応した発電量の上限値を取得し、目標発電量が上限値であったときはステップS17へ進んで目標発電量を上限値に設定する。ステップS17の実行後又はステップS16にて否定判断したときは今回のルーチンを終える。
【0035】
以上の実施形態によれば、高電圧系のインバータ3、高電圧バッテリ4、又はDC/DCコンバータ8のいずれかが故障した場合、F/B制御モードが選択されて排気エネルギ回収装置5の目標発電量が低電圧バッテリ7のSOCに基づいて設定されるので、低電圧バッテリ7に対して過不足なく電力を供給して低電圧系に必要な電力を十分に確保し、それにより退避走行を十分に行うことができる。
【0036】
以上の実施形態においては、インバータ6が低電圧用供給制御手段に、ECU9が発電量制御手段にそれぞれ相当する。
【0037】
なお、ステップS15の処理は、フィードバックゲインの乗算に代え、例えば図3にマップM2として示したように低電圧バッテリ7のSOCに対する目標発電量をステップS13で使用したマップM1よりも相対的に大きく変更したマップを使用して実現してもよい。
【0038】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態は、図1のハイブリッド車両においてDC/DCコンバータ8が故障した場合に、ECU9がエンジン1及びMG2に関して特有の制御を行うことを特徴とする。
【0039】
図4は、そのような制御を実現するためにECU9が実行するDC/DCコンバータ故障時制御ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン1が始動してから所定の周期で繰り返し実行されるものであり、図2の処理と並行して実行してよい。
【0040】
図4のルーチンにおいて、ECU9はまずステップS21でDC/DCコンバータ8が故障しているか否かを判定する。故障していると判断した場合はステップS22に進み、故障していないと判断した場合は今回の制御ルーチンを終える。ステップS22では、ECU9は低電圧バッテリ7のSOCが所定の値よりも低いか否かを判定する。低いと判断した場合はステップS23に進み、そうでない場合は今回の制御ルーチンを終える。所定の値は例えば80%とする。
【0041】
ステップS23において、ECU9はエンジン1の出力を車両の要求出力から特定される値よりも増加させる。続くステップS24において、ECU9は、エンジン1の出力のうちステップS23で増加したことに伴う余剰出力によりMG2が発電を行うようにインバータ3の動作を制御する。その後、今回の制御ルーチンを終える。このような処理を行うことにより、ECU9は運転制御手段として機能する。なお、ステップS23の処理において、エンジン出力の増加分は一定でもよいし、SOCが低いほど増加分が大きくなるようにSOCに応じて変化させてもよい。
【0042】
以上の制御ルーチンによれば、DC/DCコンバータ8が故障して高電圧系から電力が得られない状態で低電圧バッテリ7の充電率が低下したときにエンジン出力を車両の要求出力よりも意図的に増加させているので、排気エネルギ回収装置5の発電量を増加させて低電圧系への電力の供給可能な量を増加させ、それにより低電圧系の電力不足を回避することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図5は、本発明の第3の実施形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す概略図である。この制御装置では、排気エネルギ回収装置5に対して高電圧系のインバータ3及び低電圧系のインバータ6が並列に接続されてこれらのインバータ3、6に電力が供給可能とされている。これにより、インバータ3が高電圧用供給制御手段として、インバータ6が低電圧用供給制御手段としてそれぞれ機能する。また、ECU9は、図6の電力供給先制御ルーチンを実行することにより排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先をMG2、高電圧バッテリ4と低電圧バッテリ7との間で切り替える供給先制御手段として機能する。
【0044】
図6の電力供給先設定ルーチンは、エンジン1が始動されると実行され、所定の周期で繰り返し実行される。図6のルーチンにおいて、ECU9はまずステップS31でインバータ3、高電圧バッテリ4又はDC/DCコンバータ8のいずれかが故障しているか否かを判定する。故障していると判断した場合はステップS32に進み、排気エネルギ回収装置5において発電した電力の供給先を低電圧バッテリ7に設定する。故障していないと判断した場合はステップS33に進んで排気エネルギ回収装置5からの電力の供給先を高電圧バッテリ4に設定する。
ステップS32、S33において供給先を設定した後に今回のルーチンを終了する。
【0045】
なお、ステップS31の条件が否定された場合、低電圧バッテリ7に対しては、高圧バッテリ4からDC/DCコンバータ8を介して低電圧バッテリ7に電力が供給されることにより、低電圧系の電力が確保される。また、ステップS32において排気エネルギ回収装置5から低電圧バッテリ7に電力が供給された場合において、図2のステップS13〜S17の処理が行われてもよい。DC/DCコンバータ8の故障時に図4のステップS22〜S24の処理が行われてもよい。
【0046】
以上の実施形態によれば、高電圧バッテリ4から低電圧バッテリ7への電力供給が可能な状態において排気エネルギ回収装置5の電力が高電圧系のインバータ3に供給されるので、低電圧バッテリ7へ供給する場合と比較して発電量の制約が緩和され、排気エネルギ回収装置5による発電量を可能な限り大きくして(例えば数百W〜十数KW)、車両のエネルギ効率を向上させることができる。また、インバータ3等が故障した場合には排気エネルギ回収装置5からの電力を利用して低電圧系の電力を確実に確保し、燃料がなくなるまで補機に電力を供給して退避走行を続けることができる。
【0047】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態は、図5のハイブリッド車両において、インバータ3、高電圧バッテリ4又はDC/DCコンバータ8のいずれかが故障した場合、故障した部品に応じて排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先を変更することを特徴とする。
【0048】
図7はそのような制御を実現するためにECU9が実行する高電圧系故障時制御ルーチンを示すフローチャートである。このルーチンはエンジン1が始動されると実行され、所定の周期で繰り返し実行される。
【0049】
図7のルーチンにおいて、ECU9はまずステップS41でインバータ3が故障しているか否かを判定する。故障していない場合はステップS42に進み、高電圧バッテリ4が故障しているか否かを判定する。故障していないと判断した場合はステップS43に進み、DC/DCコンバータ8が故障しているか否かを判定する。故障していないと判断した場合はステップS44において排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先を高電圧バッテリ4に設定し、その後、今回の制御ルーチンを終える。
【0050】
ステップS41で故障と判断した場合はステップS45に進み、排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先を低電圧バッテリ7に設定する。この場合、車両はエンジン1のみで走行駆動される。ステップS42で故障と判断した場合はステップS46に進み、低電圧バッテリ7のSOCが所定の値よりも低いか否かを判定する。所定の値は例えば80%とする。低くないと判断した場合はステップS47に進み、スロットル開度等を参照して車両の加速が要求されているか否かを判定する。加速が要求されている場合はステップS48に進み、インバータ3を制御して排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先をMG2に設定し、MG2を動作させて車両の走行駆動力をアシストする。なお、この場合高電圧バッテリ4に対して充電ができないので、MG2は駆動力のアシストのみを行い、発電は行わない。ステップS46でSOCが所定の値よりも低い場合、又はステップS47で車両の加速が要求されていない場合はステップS45に進み、低電圧バッテリ7への電力供給を実行する。ステップS43で故障と判断した場合はステップS49に進み、排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先を低電圧バッテリ7に設定する。この場合、車両の駆動力は通常時と同様にエンジン1及びMG2によって適宜に分担され、駆動力が余る減速時等にはMG2が発電して高電圧バッテリ4が充電される。
【0051】
ステップS45、S48、又はS49において電力の供給先を設定した後はステップS50に進み、イグニッションキーがオフにされない限りにおいて、エンジン1に対するECU9からの停止指示の出力を禁止する。その後、今回のルーチンを終える。なお、ステップS49の処理後にステップS50をスキップしてもよいが、エンジン1の停止を禁止することにより排気エネルギ回収装置5による発電量を相対的に増加させることができるので、低電圧バッテリ7の充電不足を回避する上で好都合である。
【0052】
以上の実施形態によれば、排気エネルギ回収装置5で発電した電力の供給先が故障箇所に応じて適切に変更されるので、電力をより合理的に管理することができる。すなわち、高電圧系のインバータ3が故障した場合にはMG2の力行も発電も不可能であるため、排気エネルギ回収装置5で回収した電力を専ら低電圧系で利用して(ステップS41→S45)、エネルギを有効に活用することができる。
【0053】
また、高電圧バッテリ4が故障しても、インバータ3が正常でMG2の力行制御が可能な場合は、低電圧バッテリ7のSOCが一定以上確保されていることを条件として排気エネルギ回収装置5からMG2へ電力を供給してMG2による駆動力のアシストを可能とし(ステップS42→S46→S47→S48)、加速要求時のように大きな駆動力が必要な場合にも確実に対応することができる。
【0054】
さらに、DC/DCコンバータ8が故障して高電圧バッテリ4から低電圧バッテリ7への電力供給が不可能となっても、MG2と高電圧バッテリ4との間に異常がない場合には、高電圧系のインバータ3を利用してMG2を通常通り力行又は発電(回生)制御を切り替えつつ使用するとともに、排気エネルギ回収装置5が発電した電力を利用して低電圧バッテリ7が充電されてエンジンの補機に必要な電力が確実に供給される(S43→S49)。これにより、エンジン1とMG2とを併用した駆動力の管理を故障のない場合とほぼ同様に柔軟に実行することができるとともに、低電圧系の電力不足によるエンジン停止を回避して長時間の退避走行を実現することができる。
【0055】
本発明は以上の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的思想と実質的同一の範囲内にある限り種々の形態にて実施してよい。例えば、上記の各実施形態では高電圧系部品としてインバータ3と高電圧バッテリ4とを対象としたが、MG2とDC/DCコンバータ8との間に配置されて高電圧が印加される各種の部品を高電圧系部品に含めてよい。蓄電器はバッテリに限らず、キャパシタであってもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の制御装置を搭載したハイブリッド車両によれば、排気エネルギ回収装置が発電した電力を低電圧蓄電器に供給することにより、高電圧系から低電圧系へ電力が供給できない状態でも低電圧系の電力を確保し、エンジンの補機に十分な電力を供給して長時間に亘る退避走行を実現することができる。しかも、排気エネルギを回収して低電圧系に電力を供給するので、車両のエネルギ効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す図。
【図2】図1のECUが排気エネルギ回収装置を制御するために実行する排気エネルギ回収制御ルーチンを示すフローチャート。
【図3】低電圧バッテリの充電率と排気エネルギ回収装置の目標発電量との関係の一例を示した図。
【図4】図1のECUがDC/DCコンバータ周りが故障したときにエンジン及びモータジェネレータを制御するために実行するDC/DCコンバータ故障時制御ルーチンを示すフローチャート。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車両の要部を示す図。
【図6】図5のECUが排気エネルギ回収装置で発電した電力の供給先を制御するために実行する電力供給先設定ルーチンを示すフローチャート。
【図7】図5のECUが故障箇所に応じて排気エネルギ回収装置で発電した電力の供給先を変更するために実行する高電圧系故障時制御ルーチンを示すフローチャート。
【符号の説明】
1 エンジン
2 モータジェネレータ
3 インバータ(高電圧用供給制御手段)
4 高電圧バッテリ(高電圧蓄電器)
5 排気エネルギ回収装置
6 インバータ(低電圧用供給制御手段)
7 低電圧バッテリ(低電圧蓄電器)
8 DC/DCコンバータ(変換制御手段)
9 電子制御ユニット(発電量制御手段、供給先制御手段、運転制御手段)
10 高電圧バッテリSOCセンサ
11 低電圧バッテリSOCセンサ
Claims (9)
- 燃料の燃焼によって作動するエンジンと、前記エンジンの出力を用いて発電可能かつ動力を出力可能なモータジェネレータと、前記モータジェネレータにより発電した電力を充電可能かつ前記モータジェネレータに電力を供給可能な高電圧蓄電器と、前記エンジンの補機に電力を供給可能な低電圧蓄電器と、前記エンジンの排気エネルギを回収して発電する排気エネルギ回収装置とを備えたハイブリッド車両に適用される制御装置において、前記排気エネルギ回収装置が発電した電力を前記低電圧蓄電器に供給する低電圧用供給制御手段を備えたことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
- 前記高電圧蓄電器と前記低電圧蓄電器との間には両蓄電器間の電力の授受を制御する変換制御手段が設けられ、前記モータジェネレータと前記変換制御手段との間に配置される高電圧系部品、又は前記変換制御手段が故障した場合に前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧用供給制御手段を介して前記低電圧蓄電器に電力が供給されることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記高電圧系部品及び前記変換制御手段がそれぞれ正常に動作している場合にも前記排気エネルギ回収装置の発電した電力が前記低電圧蓄電器に一旦供給され、前記変換制御手段は、前記低電圧蓄電器に供給された電力の余剰分を前記高電圧蓄電器に供給することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記排気エネルギ回収装置に対して前記低電圧用供給制御手段と並列に接続されて前記排気エネルギ回収装置が発電した電力を前記高電圧蓄電器に供給する高電圧用供給制御手段と、前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記高電圧用供給制御手段と前記低電圧用供給制御手段との間で切り替える供給先制御手段とが設けられ、前記供給先制御手段は、前記高電圧系部品又は前記変換制御手段が故障した場合に前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記低電圧用供給制御手段に設定することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記高電圧用供給制御手段が前記排気エネルギ回収装置からの電力を前記モータジェネレータにも供給可能であり、前記高電圧蓄電器への充電が不可能となる故障が前記高電圧系部品に生じ、かつ前記低電圧蓄電器の充電率が所定レベル以上確保されている場合には、前記供給先制御手段が前記排気エネルギ回収装置からの電力の供給先を前記高電圧用供給制御手段に設定し、前記高電圧用供給制御手段はその排気エネルギ回収装置からの電力を前記モータジェネレータに供給することを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記高電圧系部品又は前記変換制御手段の故障時であってかつ前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧蓄電器に電力が供給されている場合に、前記低電圧蓄電器の充電状態に応じて前記排気エネルギ回収装置の発電量を制御する発電量制御手段を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記高電圧系部品又は前記変換制御手段が故障して前記排気エネルギ回収装置から前記低電圧蓄電器に電力が供給されている場合、前記発電量制御手段は、前記エンジンに対する負荷の高い時には低い時よりも同一充電状態に対する発電量が大きくなるように、前記充電状態と前記発電量との対応関係を前記負荷に応じて変化させることを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記変換制御手段が故障している場合に、前記低電圧蓄電器の充電状態に応じて前記エンジンの出力を制御する運転制御手段を備えたことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記運転制御手段は、前記変換制御手段が故障している場合に、前記エンジン出力の余剰分が前記モータジェネレータの発電に使用されるように前記エンジン出力に応じて前記モータジェネレータの発電量を制御することを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車両の制御装置。
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CN111717044A (zh) * | 2019-03-19 | 2020-09-29 | 株式会社斯巴鲁 | 车辆的电力系统、电力控制装置及方法以及存储介质 |
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2003
- 2003-01-17 JP JP2003009137A patent/JP2004222461A/ja active Pending
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