JP2004222381A - スイッチギヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁ガスを充填するタンク2の内部に収容され軸方向一端部が該タンクに固定された絶縁筒8と、この絶縁筒の内部に略同軸に配設され可動側通電軸7bが上記絶縁筒の一端部方向に向けられた真空バルブ7と、上記絶縁筒の他端部近傍に該絶縁筒の軸方向と交差する方向に設けられ母線側導体14を絶縁支持する母線固定部8bとを備えるように構成したものである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、真空バルブを用いたスイッチギヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の真空バルブを用いたスイッチギヤでは、絶縁ガスを密封したタンク内壁に母線側導体を固定するために、タンク内壁に支持碍子などの取付部材が設置されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−185577号公報(第6頁、図3)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来のスイッチギヤにおいては、タンク内壁に支持碍子などの取付部材を設置していることにより、絶縁物沿面が存在し、絶縁耐力が、単なるガスギャップよりも低下するため、それを補うためにガスギャップよりも大きな絶縁距離を設ける必要が生じ、装置をさらに小型化することが困難であるという課題があった。
【0005】
この発明は、母線側導体をタンクに固定するための支持碍子の設置を不要にし、タンクを一層コンパクトにすることができるスイッチギヤを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかるスイッチギヤは、絶縁ガスを充填するタンクの内部に収容され軸方向一端部が該タンクに固定された絶縁筒と、この絶縁筒の内部に略同軸に配設され可動側通電軸が上記絶縁筒の一端部方向に向けられた真空バルブと、上記絶縁筒の他端部近傍に該絶縁筒の軸方向と交差する方向に設けられ母線側導体を絶縁支持する母線固定部とを備えるようにしたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1および図2は、この発明の実施の形態1によるスイッチギヤを概略的に示すもので、図1は側面断面図、図2は図1の矢視II−II線における要部断面図である。スイッチギヤを構成する筐体1は、図の左側が前面部、右側が後方部として用いられてなり、後方(奥側)上方部に絶縁ガスが充填されるタンク2、前方上方部に制御室3、その下部の前方中央部に操作機構室4、および最下部にケーブル室5がそれぞれ設けられ、内部が区画されている。
【0008】
上記タンク2内の下部には、真空バルブ7を各相別にそれぞれ収容した3つの絶縁筒8が水平方向に並設され、各絶縁筒8は、一端部である前方(図の左方)側端部に設けられたフランジ様の取付部8aで、操作機構室4との仕切りを兼ねる取付部としての取付板6に固定されている。上記絶縁筒8は、例えばエポキシ樹脂などの固体絶縁物で作られており、他端部である後方(図の右方)側端部近傍には該絶縁筒8の中心軸と交差する方向に突設された母線固定部8bが一体的に形成されている。また、軸方向略中央部に貫通孔8cが設けられ、さらにその貫通孔8c近傍の外周部にブレード支持部8dが一体的に形成されている。
【0009】
上記真空バルブ7は、真空容器の内部に、詳細図示を省略している固定電極と可動電極が収容されてなり、固定電極には固定側通電軸7aが、可動電極には可動側通電軸7bがそれぞれ接続され、真空バルブ端板7cから軸方向の互いに反対側に突出されている。そして、上記絶縁筒8の他端部である後方(図の右方)側に固定側通電軸7aを、一端部、即ちタンク2内への絶縁筒8の固定部(図の左方)側に可動側通電軸7bを向けて収容され、固定側通電軸7aは絶縁筒8の他端部に固定された負荷側導体9に電気的、物理的に接続固定されている。
【0010】
また、可動側通電軸7bは、取付板6を貫通する真空バルブ操作部材10に対し、絶縁ロッド11を介して連結されている。さらに、真空バルブ7の中心軸方向に延びている上記絶縁筒8の略中央部より前方(図の左方)の部分は、真空バルブ7と取付板6との絶縁距離を確保するために役立っている。
【0011】
次に、この実施の形態1の断路器・接地開閉器部分の構成について説明する。絶縁筒8の略中央外周部に設けられたブレード支持部8dには、ブレード支持部材20が固着されている。例えば、注型時に埋金として直接埋め込み、あるいは図示を省略しているナット部材を埋め込み、そのナット部材に対してねじ締結するなどして固定されており、ブレード12はこのブレード支持部材20に回動可能に枢支されている。また、該ブレード12は、絶縁筒8に設けられた貫通孔8cを挿通して設けられた可撓性の接続導体13によって真空バルブ7の可動側通電軸7bと電気的に接続されている。
【0012】
また、絶縁筒8の他端部側に設けられた母線固定部8bは、負荷側導体9と母線側導体14との沿面絶縁距離を確保するために、図の上下方向に所定長突き出すようにして形成されており、その先端部に母線側導体14の下端部が固定されている。
【0013】
上記母線側導体14の所定部には、通電時にブレード12と接触する母線端子14aが設けられ、また、取付板6のタンク2の内側所定部には接地時にブレード12と接触する接地端子15が設けられている。そしてブレード12は絶縁ロッドからなるブレード操作部材16により、タンク2前方の操作機構室4から破線で示すように回動操作され、図1の実線で示すように先端部が母線端子14aと接触している位置では通電時の状態となり、また、ブレード12の先端部が破線Aで示す接地端子15と接触している位置では接地の状態であり、上記通電位置と接地位置の中間の破線Bで示す位置に保持したときは断路の状態となる。
【0014】
なお、上記のように真空バルブ7、絶縁筒8、ブレード12などを用いて構成された断路器と接地開閉器の一体機構は、各相とも同様に構成され、3相分で1セットとなっており、一括操作される。また、真空バルブ7を固定している負荷側導体9はブッシング18を介してケーブル19と接続されている。また、母線側導体14は母線17と接続されている。
【0015】
次に上記のように構成された実施の形態1の動作について説明する。スイッチギヤでは、断路器と接地開閉器を兼ねるように構成されたブレード12と母線端子14aとの接触点は、短絡電流通電時に接触点が電磁力反発力により離れることを防止するため、図示しないバネにより十分な接点接圧が与えられている。そのため断路器の開閉時には接点の摩擦力により母線端子14aおよび母線側導体14に相当の力がかかる。
【0016】
また、短絡電流通電時には母線側導体14や断路・接地に用いるブレード12に大きな電磁力が発生するため、母線側導体14やブレード12の固定が不十分な場合、これらを変形させる要因となる。しかし、この実施の形態になるスイッチギヤでは、母線側導体14は絶縁筒8に直接固定されているので、以上のような機械力、電磁力に対しても十分耐えることが出来る。
【0017】
また、従来のように支持碍子を用いて母線側導体14と母線端子14aをタンク2の内壁に固定した場合には、支持碍子を用いることにより沿面絶縁物が導体とタンク内壁との間に入ることとなり絶縁耐力が低下するため、絶縁距離を大きく取る必要があったが、この発明によるスイッチギヤ構成では支持碍子を用いていないので、母線側導体14とタンク2の距離を小さくすることができる。
【0018】
上記説明したように、実施の形態1によれば、真空バルブを収納する絶縁筒に断路器・母線側導体・負荷側導体を配置することにより、電界が高い真空バルブ端部における部分放電や絶縁破壊を絶縁筒の放電バリア効果で抑制し、また断路器の機能をコンパクトに配置してスイッチギヤのコンパクト化を可能にするとともに、母線側導体14や母線端子14aをタンク1に固定するための支持碍子無しでも断路器の挿抜力や通電電流による電磁力に耐える母線側導体の支持方法を得ることが出来るため、部品点数の削減ができるほか、絶縁距離縮小によるスイッチギヤのコンパクト化が出来、さらに、低コスト化もできるという効果が得られる。
【0019】
実施の形態2.
図3および図4は、実施の形態2になるスイッチギヤを概略的に説明する図であり、図3はタンク内部の主要構成部材を示す側面断面図、図4は図3のIV−IV線における矢視断面図である。この実施の形態2においては、絶縁筒81は、その内径が一端部であるタンク2内部への取付部8a側(図の左方)から、他端部である反取付部側(図の右方)に向けて徐々に小さくなるように内壁が傾斜して形成されている。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0020】
上記絶縁筒81は、例えばエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を注型することにより製造される。エポキシ樹脂の場合について説明すると、エポキシ樹脂は主剤と硬化剤を混合して一定温度以上にすると、化学反応により液体から固体へと変わる。この硬化反応ではエポキシ樹脂は硬化収縮する。また、注型の際は樹脂の初期の流動性を高くするとともに硬化反応を促進するため、金型温度を例えば摂氏100度以上に加熱するが、注型品を金型から取り出す作業時には温度が若干低下するためエポキシ樹脂は熱収縮する。
【0021】
このような注型時の硬化収縮や、温度が低下する際の熱収縮によって、絶縁筒81をくり抜く金型面を樹脂が締め付ける方向に応力が発生する。そのため絶縁筒81の内径が軸方向に一様な場合、金型から注型物が外れにくいが、この実施の形態2では、絶縁筒8の内壁が軸方向一端部から他端部方向に向けて傾斜し、内径が徐々に小さくなることから、製造時に金型から外し易い。
【0022】
上記のように、実施の形態2によれば、図示したように、絶縁筒81の内壁を、一端部である取付部8a側から他端部である反取付部側に向けて、内径が徐々に小さくなるように傾斜を設け、金型を内径が大径側の方向に抜くようにすることによって、絶縁筒の固体絶縁物材料が、製造時に硬化収縮や熱収縮を生じても金型から外れやすくなり、製造時の作業性が向上し、製造コストを削減することが出来る効果が得られる。また、取付部8a部分における上下方向のスパンを大きく出来ることから、取付状態での強度的にも有利である。
【0023】
実施の形態3.
図5および図6は、この発明の実施の形態3になるスイッチギヤを説明するもので、図5は真空バルブと接地・断路器の部分を拡大して示す要部側面断面図、図6は図5のVI−VI線における矢視断面図である。図に示すように、この実施の形態3では、真空バルブ7を固定する固体絶縁物である絶縁筒82は、内径が軸方向の中央部で最も小さく、両端部方向に向けて内径がそれぞれ徐々に大きくなるように形成されている。その他の構成は上記実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0024】
金属製のタンク内に真空バルブ7を絶縁筒82に固定し、水平方向に3相配置した構成の本スイッチギヤでは、タンク内壁に近接する真空バルブ7の端板7cがタンク2内壁と対向する部位、および隣接する真空バルブ端板7c同士の対向する部位の電界が最も高くなる。絶縁筒82は真空バルブ端板7cの電界集中部が基点となる絶縁破壊を抑制するバリア絶縁の効果を有するが、真空バルブ端板7c表面の局部電界は絶縁筒82の内壁が真空バルブ端板7cに接近するにつれて上昇するため、絶縁筒82の内壁と真空バルブ端板7cの間には一定距離以上の空隙を設ける必要がある。
【0025】
図3、図4に示す実施の形態2の絶縁筒81では、真空バルブ固定側(図の右方側)端部の内径が最も小さいため、真空バルブ7の固定端と絶縁筒81後方側の内壁との間が最も近接し、絶縁筒81の内径は一端部側(取付部8a側)に行くに従い大きくなるため、絶縁筒81の径方向の寸法は後方端側の最小内径と内壁の傾斜角度および軸方向寸法で決まる。一方、図5および図6に示す実施の形態3になる絶縁筒82では、中央部の内径が最も小さいため、真空バルブ7の可動端と絶縁筒82の内壁との間が最も接近し、絶縁筒82の内径は両端に行くに従い大きくなる。
【0026】
そのため絶縁筒82の径方向の寸法は中央部の最小内径と内壁の傾斜角度および軸方向の半分の寸法で決まる。以上のことから、耐電圧性能が同等でも、図5および図6に示す絶縁筒82の形状にすると径方向の寸法が小さくなり、これを水平に盤幅方向に3相分並べるスイッチギヤの構成では、絶縁筒82製造の作業性を確保した上に、盤幅Wをコンパクトにすることが可能となる。
【0027】
また、絶縁筒82は真空バルブ7を支持するとともに、隣接相の真空バルブ7同士や真空バルブ7と図示を省略しているタンク内壁との間の絶縁耐力を高くする絶縁バリアとして働くが、真空バルブと近接しすぎると局所電界が高くなり絶縁耐力が低下するため、絶縁筒の内径の縮小には限界がある。一方、絶縁筒の内壁に傾斜を付けることにより、絶縁筒の最大径が大きくなり、スイッチギヤのコンパクト化が困難となる。そこで、絶縁筒の最小内径の位置を軸方向の略中央部にすることにより、側壁の傾斜形状とコンパクト化の両方を実現できる。
【0028】
上記説明したように、この実施の形態3によれば、絶縁筒製造時の作業性を向上させるとともに絶縁筒の径方向寸法を縮小し、従って盤幅Wを縮小化し、スイッチギヤを一層コンパクトにすることが出来る。
【0029】
ところで、上記実施の形態の説明では、母線固定部8bを絶縁筒8の軸方向に略直交する方向に設けた場合を図示したが、必ずしも直角に限定されるものではない。また、母線固定部8bを絶縁筒8と一体注型する場合について説明したが、必ずしも一体でなくても差し支えない。また、注型樹脂についても特にエポキシ樹脂に限定させず、同様の他の絶縁樹脂を特別な制限なく用いることが出来る。さらに、絶縁筒8の取付部8aの形状、ブレード12と可動側通電軸7bとの接続方法など、種々の変形や変更が可能であることは言うまでもない。
【0030】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、真空バルブを収容する絶縁筒の他端部近傍に該絶縁筒の軸方向と交差する方向に突出して設けられた母線側導体を上記タンクに対して絶縁支持する母線固定部を備えるようにしたことにより、母線側導体をタンクに固定するための支持碍子の設置を不要にし、一層コンパクトにしたスイッチギヤを提供できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1によるスイッチギヤを概略的に示す要部側面断面図である。
【図2】図1のII−II線における矢視断面図である。
【図3】実施の形態2によるスイッチギヤの要部であるタンク内部の主要構成部材を示す側面断面図である。
【図4】図3のIV−IV線における矢視断面図である。
【図5】実施の形態3によるスイッチギヤの真空バルブと接地・断路器の部分を拡大して示す要部側面断面図である。
【図6】図5のVI−VI線における矢視断面図である。
【符号の説明】
1 筐体、 2 タンク、 4 操作機構室、 6 取付部(取付板)、 7真空バルブ、 7a 固定側通電軸、 7b 可動側通電軸、 7c 真空バルブ端板、 8、81、82 絶縁筒、 8a 取付部、 8b 母線固定部、8d ブレード支持部、 9 負荷側導体、 10 真空バルブ操作部材、 12 ブレード、 20 ブレード支持部材、 13 接続導体、 14 母線側導体、 14a 母線端子、 15 接地端子、 16 ブレード操作部材、17 母線、 20 ブレード支持部材。
Claims (4)
- 絶縁ガスを充填するタンクの内部に収容され軸方向一端部が該タンクに固定された絶縁筒と、この絶縁筒の内部に略同軸に配設され可動側通電軸が上記絶縁筒の一端部方向に向けられた真空バルブと、上記絶縁筒の他端部近傍に該絶縁筒の軸方向と交差する方向に設けられ母線側導体を絶縁支持する母線固定部とを備えたことを特徴とするスイッチギヤ。
- 上記絶縁筒は、上記母線固定部と一体的に形成されてなるとともに、軸方向中央部外周にブレード支持部材を設けてなり、かつ、上記母線側導体の所定部に設けられた母線端子と、上記タンク内部の所定部に設けられた接地端子と、上記ブレード支持部材に回動自在に枢支され通電時には上記母線端子に接触し、接地時には上記接地端子に接触し、断路時には上記母線端子と接地端子との間の位置に保持されるように設けられたブレードとを備えたことを特徴とする請求項1に記載のスイッチギヤ。
- 上記絶縁筒は、内径が上記一端部側から他端部側に向けて小さくなるようにその内壁が傾斜したものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチギヤ。
- 上記絶縁筒は、軸方向略中央部内径が狭く、両端部内径がそれよりそれぞれ広くなるようにその内壁が傾斜して形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチギヤ。
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