JP2004221951A - 伝送データのジッター補正方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】独立したクロックで動作する機器相互間で、リアルタイム性が要求される音声、音楽等のデータをパケットとして伝送し、そのデータを再生する場合に、機器相互間のクロックの差により生じるジッターを補正する。
【解決手段】受信側機器内のデータバッファ43に送信側機器からデータが送信側機器のクロックに従って格納される。データバッファ43の格納データ量が上限閾値Aを超えて大きくなった場合、受信側機器の基準クロックの周波数を上げ、データの読み出し速度を上げてデータを読み出して、その読み出しデータをD/A変換、オーディオアンプ部21に転送する。また、格納データ量が上限閾値Aを下回ったとき、受信側機器の基準クロックの周波数を元の周波数に戻して読み出しを続ける。また、下限閾値Bが設定されており、格納データ量が下限閾値を超えて少なくなった場合、受信側機器の基準クロックの周波数を下げる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、伝送データのジッター補正方法に係り、特に、独立したクロックで動作する機器相互間で、リアルタイム性が要求される音声、音楽等のデータをパケットとして伝送し、そのデータを再生する場合に、機器相互間のクロックの差により生じるジッターを補正する伝送データのジッター補正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、家庭内機器相互間等で、ブルートゥース、無線LAN等の無線通信により情報の送受信を行うことを可能にし、機器相互間で音声、音楽等のワイヤレス伝送を行うことができるようになってきている。その例として、映像を再生、表示するDVDプレーヤ、PC等の機器、CDプレーヤ、FMチューナ等と、その音声を出力するスピーカとの相互間を無線により接続し、機器からの音声信号をスピーカに無線により送信して出力させるような映像音響システム、音響システムが各種提案されている。
【0003】
図4は従来技術による音響システムの構成例と音声データの伝送、再生とについて説明する図である。図4において、41は送信側機器、42は受信側機器、43はデータバッファである。
【0004】
図4に示す従来技術による音響システムは、DVDプレーヤ、PC等の機器、CDプレーヤ、FMチューナ等の音声データ、音楽データ(以下では、音声データ、音楽データを代表して音楽データとする)を再生あるいは生成する送信側機器41と、図示しないD/A変換器、オーディオアンプ、スピーカが接続され、送信側機器41からパケット化されて送信されてくる音楽データ等を受信し、そのデータを一旦記憶するデータバッファ43を備え、データバッファ内のデータをD/A変換器に転送して、スピーカ等から出力させる受信側機器41とにより構成される。
【0005】
前述において、送信側機器41と受信側機器42とは、それぞれ、独立した基準クロックを備え、この基準クロックにより制御されて動作しているものとする。いま、送信側機器41が、音楽データのサンプリング周波数44.1KHzを自機器41の基準クロックとし、この基準クロック44.1KHzに合わせて、音楽データをパケット化して受信側機器42に送信してるいものとする。このとき、受信側機器42は、送信側機器41からの音楽データのパケットを受信し、受信したデータを送信側のクロックに従って順次データバッファに格納していく。このデータバッファは、FIFO構成とされており、通常、200msec程度のデータの格納が可能にされている。
【0006】
受信側機器42は、データバッファ43に格納された音楽データを、自機器42の基準クロックの44.1KHzに合わせて、データバッファ43から読み出して、図示しないD/A変換器に転送する。D/A変換器によりアナログ信号に変換された音楽信号は、オーディオアンプ等により増幅されて、スピーカから出力される。
【0007】
なお、前述したような機器相互間で音声、音楽等のワイヤレス伝送を行うことを可能にした技術に関する従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−128171号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述で説明した従来技術によるデータ伝送方法は、送信側機器41と受信側機器42とが、それぞれ、独立した基準クロックを備えて動作しているので、送信側機器41と受信側機器42との基準クロックとを完全に一致させることができず、この基準クロックの差を吸収するために、受信側機器42内に設けられたデータバッファ43が使用されている。
【0010】
しかし、前述した従来技術は、受信側においてデータバッファ43に格納した音楽データを読み出して、連続して再生していると、お互いの基準クロックの差によって、データバッファ43内のデータが無くなってしまったり、データバッファ43が満杯になったりしてジッターを生じ、再生される音楽に音切れ等が生じ、耳ざわりな再生音となってしまうという問題点を有している。
【0011】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、独立したクロックで動作する機器相互間で、リアルタイム性が要求される音声、音楽等のデータをパケットとして伝送し、そのデータを再生する場合に、機器相互間のクロックの差により生じるジッターを補正することができる伝送データのジッター補正方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば前記目的は、独立したクロックで動作する機器相互間で伝送されるデータの機器相互間のクロックの差により生じるジッターを補正する伝送データのジッター補正方法において、受信側機器に備えられるデータバッファに格納された受信データを読み出す際、受信側機器の基準クロックを変動させて読み出しを行い、データバッファに格納されているデータ量が一定の範囲内となるように制御することにより達成される。
【0013】
また、前記目的は、前記受信側機器の基準クロックの変動の制御が、前記データバッファ内の格納データ量に上限閾値と下限閾値とを設定し、前記格納データ量が上限閾値を超えたときに基準クロックの周波数を高くし、前記格納データ量が下限閾値より低下したときに基準クロックの周波数を低くするように行うことにより達成される。
【0014】
また、前記目的は、前記上限閾値及び下限閾値として、それぞれ2つの閾値を設定し、基準クロックの周波数の変更にヒステリシス特性を持たせたことにより達成される。
【0015】
さらに、前記目的は、独立したクロックで動作する機器相互間で伝送されるデータの機器相互間のクロックの差により生じるジッターを補正する伝送データのジッター補正方法において、受信側機器に備えられるデータバッファに格納された受信データを読み出す際、読み出し出力データをリサンプリング処理し、データ成分の周波数を変動させ、データバッファに格納されているデータ量が一定の範囲内となるように制御することにより達成される。
【0016】
また、前記目的は、前記データ成分の周波数を変動させる制御が、前記データバッファ内の格納データ量に上限閾値と下限閾値とを設定し、前記格納データ量が上限閾値を超えたときにデータ成分の周波数を高くし、前記格納データ量が下限閾値より低下したときにデータ成分の周波数を低くするように行うことにより達成される。
【0017】
また、前記目的は、前記上限閾値及び下限閾値として、それぞれ2つの閾値を設定し、データ成分の周波数の変更にヒステリシス特性を持たせたことにより達成される。
【0018】
前述した本発明の各解決手段によれば、データバッファ内の格納データ量を、常に、上限閾値と下限閾値との間になるうよに制御することができ、データバッファ内のデータが無くなってしまったり、データバッファが満杯になったりすることを防止してジッターの発生を抑えることができる。また、データバッファの大きさを小さくすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による伝送データのジッター補正方法の実施形態を図面により詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施形態によるデータのジッター補正を行う受信側機器の構成を示す図、図2は本発明の一実施形態によるデータのジッター補正方法の概要を説明する図である。図1、図2において、21はD/A変換、オーディオアンプ部、22はスピーカである。
【0021】
本発明が適用される音響システムは、図4により説明したと同様の構成を備えるものであってよく、また、データの伝送も従来技術の場合と同様に行われてよい。そして、本発明の実施形態は、受信側機器42に、D/A変換、オーディオアンプ部21とスピーカ22とが接続されて構成される。受信側機器42は、内部に備えられるデータバッファ43内に格納された送信側機器41から送信されたきた音楽データを読み出して、そのデータをデータラインを介してD/A変換、オーディオアンプ部21に転送すると共に、クロック信号をクロックラインを介して転送する。
【0022】
本発明の実施形態は、前述した構成において、データバッファ43内の格納データ量に応じて、受信側機器42が持つ基準クロックを変動させ、これにより、常に、データバッファ43に格納されているデータ量を一定の範囲内となるように制御し、データバッファ43内のデータが無くなってしまったり、データバッファ43が満杯になったりすることを防止してジッターの発生を抑えるようにしている。
【0023】
すなわち、本発明の実施形態は、図2に示すように、データバッファ43に格納されるデータに対して、そのデータ量に上限の閾値Aと下限の閾値Bとを設け、通常、格納データ量が上限の閾値Aと下限の閾値Bとの間にあるように、データバッファ43からデータの読み出しを行うこととしている。
【0024】
このため、本発明の実施形態は、データバッファ43の格納データ量が上限の閾値Aを超えて大きくなった場合、受信側機器の基準クロックの周波数を上げ、データの読み出し速度を上げてデータを読み出して、その読み出しデータをD/A変換、オーディオアンプ部21に転送する。これにより、データバッファ43内の格納データは、新たに格納されるデータの速度より早い速度で読み出されることになるので、データバッファ43内の格納データは、次第に減少して上限の閾値Aを下回るようになる。そして、格納データ量が上限の閾値Aを下回ったとき、受信側機器の基準クロックの周波数を元の周波数、例えば、41.1KHzとして、データバッファ43からの読み出しを続ける。
【0025】
一方、データバッファ43の格納データ量が下限の閾値Bを超えて少なくなった場合、受信側機器の基準クロックの周波数を下げ、データの読み出し速度を下げてデータを読み出して、その読み出しデータをD/A変換、オーディオアンプ部21に転送する。これにより、データバッファ43内の格納データは、新たに格納されるデータの速度より遅い速度で読み出されることになるので、データバッファ43内の格納データは、次第に増加して下限の閾値Bを上回るようになる。そして、格納データ量が上限の閾値Bを上回ったとき、受信側機器の基準クロックの周波数を元の周波数、例えば、41.1KHzとして、データバッファ43からの読み出しを続ける。
【0026】
なお、前述では、上限の閾値Aと下限の閾値Bとをそれぞれ1つだけ設定しているので、データバッファ43内の格納データ量が上限の閾値Aあるいは下限の閾値Bをまたいで上下に変化する度に、基準クロックの周波数の変更が行われることになり、頻繁な基準クロックの周波数の変更が行われることになる。このようなことを回避するため、本発明は、上限及び下限の閾値として、それぞれ2つの閾値を設け、基準クロックの周波数の変更にヒステリシス特性を持たせるようにすることができる。
【0027】
例えば、上限の閾値として、閾値A、A’(A>A’)を設定し、データバッファ43内の格納データ量が閾値Aを超えたときに受信側機器の基準クロックの周波数を上げ、この結果、データバッファ43内の格納データ量が次第に少なくなって、データバッファ43内の格納データ量が閾値A’より少なくっなったときに、受信側機器の基準クロックの周波数を元の周波数に戻すようにし、また、下限の閾値として、閾値B、B’(B>B’)を設定し、データバッファ43内の格納データ量が閾値B’より少なくなったときに受信側機器の基準クロックの周波数を下げ、この結果、データバッファ43内の格納データ量が次第に多くなって、データバッファ43内の格納データ量が閾値B’を超えたときに、受信側機器の基準クロックの周波数を元の周波数に戻すようにすればよい。
【0028】
前述した本発明の実施形態における基準クロックの周波数から上げる周波数及び下げる周波数は、送信側機器及び受信側機器のそれぞれの持つ基準クロックの精度にもよるが、基準クロックを作成する発振器が水晶発振器により構成されるのが一般的であることを考えると、各基準クロック相互間の周波数差が大きくなることは考えにくく、例えば、上げる周波数として、41.2KHz〜41.5KHz程度、下げる周波数として、41.0KHz〜39.7KHz程度に設定すればよい。
【0029】
本発明による実施形態は、前述したような読み出しの制御を行うことにより、データバッファ43内の格納データ量を、常に、前述の上限の閾値Aと下限の閾値Bとの間になるうよに制御することができ、データバッファ43内のデータが無くなってしまったり、データバッファ43が満杯になったりすることを防止してジッターの発生を抑えることができる。また、データバッファの大きさを小さくすることができる。
【0030】
前述した本発明の実施形態は、受信側機器内に設けられたデータバッファ内のデータを、データバッファ内の格納データ量に応じて、基準クロックを変更して読み出すとしたものであり、ソフトウェアによる処理により実現することができるものであるが、本発明は、データバッファ内の格納データを読み出した後、リサンプル処理を行うことにより、ハードウェア的にデータ成分の周波数を変更することにより、前述した場合と同様な効果を得ることができる。
【0031】
図3は本発明の他の実施形態によるデータのジッター補正方法の概要を説明する図である。ここで説明する本発明の他の実施形態は、リサンプル処理を行うことにより、ハードウェア的にデータ成分の周波数を変更するようにしたものであり、次に、これについて説明する。
【0032】
本発明の実施形態は、データバッファ43の格納データ量が上限の閾値Aを超えて大きくなった場合、データバッファ43からの出力データをリサンプリング処理し、データ成分の周波数を高くして、そのデータをD/A変換、オーディオアンプ部21に転送する。これにより、データバッファ43内の格納データは、新たに格納されるデータの速度より早い速度で読み出すことができ、データバッファ43内の格納データは、次第に減少して上限の閾値Aを下回るようになる。そして、格納データ量が上限の閾値Aを下回ったとき、リサンプリングを行わずに、データバッファ43からの読み出しデータをD/A変換、オーディオアンプ部21に転送する。
【0033】
一方、データバッファ43の格納データ量が下限の閾値Bを超えて少なくなった場合、データバッファ43からの出力データをリサンプリング処理し、データ成分の周波数を低くして、そのデータをD/A変換、オーディオアンプ部21に転送する。これにより、データバッファ43内の格納データは、新たに格納されるデータの速度より遅い速度で読み出すことができ、データバッファ43内の格納データは、次第に増加して下限の閾値Bを上回るようになる。そして、格納データ量が上限の閾値Bを上回ったとき、リサンプリングを行わずに、データバッファ43からの読み出しデータをD/A変換、オーディオアンプ部21に転送する。
【0034】
前述した本発明の他の実施形態において、リサンプリングにより変更する周波数は、図2により説明した場合と同様であってよく、また、上下限の閾値を、それぞれ2つ設定して、ヒステリシスを持たせるようにしてよいことも、図2により説明した場合と同様である。
【0035】
そして、前述した本発明のダイオードの実施形態によっても、図1、図2により説明した本発明の実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0036】
前述で制御した本発明の実施形態は、機器相互間でのデータ伝送をブルートゥース、無線LAN等の無線通信を使用して行うとして説明したが、本発明は、送信側及び受信側の機器が独立した基準クロックを備えて動作している場合であれば、機器相互間のデータ伝送を有線による通信を用いて行う場合にも適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、独立したクロックで動作する機器相互間で、リアルタイム性が要求される音声、音楽等のデータをパケットとして伝送し、そのデータを再生する場合に、機器相互間のクロックの差により生じるジッターを補正するすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるデータのジッター補正を行う受信側機器の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるデータのジッター補正方法の概要を説明する図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるデータのジッター補正方法の概要を説明する図である。
【図4】従来技術による音響システムの構成例と音声データの伝送、再生とについて説明する図である。
【符号の説明】
21 D/A変換、オーディオアンプ部
22 スピーカ
41 送信側機器
42 受信側機器
43 データバッファ

Claims (6)

  1. 独立したクロックで動作する機器相互間で伝送されるデータの機器相互間のクロックの差により生じるジッターを補正する伝送データのジッター補正方法において、受信側機器に備えられるデータバッファに格納された受信データを読み出す際、受信側機器の基準クロックを変動させて読み出しを行い、データバッファに格納されているデータ量が一定の範囲内となるように制御することを特徴とする伝送データのジッター補正方法。
  2. 前記受信側機器の基準クロックの変動の制御は、前記データバッファ内の格納データ量に上限閾値と下限閾値とを設定し、前記格納データ量が上限閾値を超えたときに基準クロックの周波数を高くし、前記格納データ量が下限閾値より低下したときに基準クロックの周波数を低くするように行われることを特徴とする請求項1記載の伝送データのジッター補正方法。
  3. 前記上限閾値及び下限閾値として、それぞれ2つの閾値を設定し、基準クロックの周波数の変更にヒステリシス特性を持たせたことを特徴とする請求項2記載の伝送データのジッター補正方法。
  4. 独立したクロックで動作する機器相互間で伝送されるデータの機器相互間のクロックの差により生じるジッターを補正する伝送データのジッター補正方法において、受信側機器に備えられるデータバッファに格納された受信データを読み出す際、読み出し出力データをリサンプリング処理し、データ成分の周波数を変動させ、データバッファに格納されているデータ量が一定の範囲内となるように制御することを特徴とする伝送データのジッター補正方法。
  5. 前記データ成分の周波数を変動させる制御は、前記データバッファ内の格納データ量に上限閾値と下限閾値とを設定し、前記格納データ量が上限閾値を超えたときにデータ成分の周波数を高くし、前記格納データ量が下限閾値より低下したときにデータ成分の周波数を低くするように行われることを特徴とする請求項4記載の伝送データのジッター補正方法。
  6. 前記上限閾値及び下限閾値として、それぞれ2つの閾値を設定し、データ成分の周波数の変更にヒステリシス特性を持たせたことを特徴とする請求項5記載の伝送データのジッター補正方法。
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