JP2004220823A - 燃料電池のセル異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【目的】燃料電池を構成するセルの異常の検出の信頼性を高め、安価に構成することのできるセル異常検出装置に関する。
【構成】電解質薄膜1の両側を一対のガスセパレータ2によって挟んで、燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bを分離する燃料電池のセル3を構成し、該セル3を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、この燃料電池スタック4によって所定の出力電圧を得る。所定個数のセル3を直列に積層したセルブロック5を設け、該セルブロック5を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、あらかじめ基準とする出力電圧を決めずに、同じセル数を持つセルブロック5毎の出力電圧を比較し、または、特定のセル3の出力電圧を基準としてこれにセル数を乗算して各セルブロック5の出力電圧を比較する。電圧比較器8は電圧の相違によって燃焼電池スタック4内の異常セル3の存在を検出して、安全作動手段9を作動させるものである。
【選択図】 図1
【構成】電解質薄膜1の両側を一対のガスセパレータ2によって挟んで、燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bを分離する燃料電池のセル3を構成し、該セル3を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、この燃料電池スタック4によって所定の出力電圧を得る。所定個数のセル3を直列に積層したセルブロック5を設け、該セルブロック5を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、あらかじめ基準とする出力電圧を決めずに、同じセル数を持つセルブロック5毎の出力電圧を比較し、または、特定のセル3の出力電圧を基準としてこれにセル数を乗算して各セルブロック5の出力電圧を比較する。電圧比較器8は電圧の相違によって燃焼電池スタック4内の異常セル3の存在を検出して、安全作動手段9を作動させるものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、燃料電池スタック内のセルの異常を検知するための電圧検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は一般に、一対のガスセパレータに挟まれた電解質薄膜からなるセルを構成し、このセルを複数個直列に積み重ねて燃料電池スタックを構成し、該ガスセパレータを電極として出力電圧を取出している。
【0003】
一対のガスセパレータは電解質薄膜に接する部分に燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とを形成していて、電解質薄膜を挟んだ一方のガス流路に水素を含む燃料ガスを供給し、他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給することにより水素と酸素が結合して水が生成されるが、このとき外部回路を経由して電子が移動するので電解質薄膜を挟んだセパレータ間に起電力が発生する。
【0004】
このように発電を行う燃料電池であるが、発電中にセルの電解質薄膜が破損するなどして単一または複数のセルにトラブルがおきると極の反転が起きて異常発熱したり、水素ガス漏れによる発火や爆発の危険があるため、セルの故障を速やかに検知しガス供給を停止する安全装置が不可欠である。
【0005】
セルの故障を検出する方法としては、セルの電圧を監視して異常な電圧低下を検出したときに安全作動手段を作動させる出力電圧検出器を設ければよく、該安全作動手段が負荷及び燃料の供給を速やかに遮断し、安全に発電を停止させればよい。
【0006】
即ち、燃料電池スタック両端に電圧出力端子を設け、該電圧出力端子間に出力電圧検出器を設置してスタック全体の総電圧を検出し、該検出電圧を規定の電圧値と比較して、該検出電圧が規定の電圧値に満たない場合にセル異常と判定して安全作動手段を作動させる方法がある。
【0007】
より正確にセル電圧の異常を検出するために、全てのセパレータに電圧出力端子を設けて個々のセル電圧を検出するように各々出力電圧検出器を設置し、それぞれ電圧比較器によって規定の電圧値と比較して、単一または複数のセル電圧が規定の電圧値を下回ると安全作動手段を作動させる方法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池スタック全体の総電圧を検出して、スタック電圧を規定の電圧値と比較する一般的な検出方法では、セルの異常を検出することが可能であるが、燃料電池は正常運転中でも温度や負荷の変動によりスタック電圧が変動するので、例えば単一セルの電圧低下をスタック電圧の正常時の電圧変動と区別させることは難しかった。
【0009】
このため、セル電圧の異常を速やかに、かつ正確に検出する為には、全てのセルの電圧を検出し、各々電圧比較器によって規定の電圧値と比較する方法が望ましいのであるが、このためにはセル数分の出力電圧検出器及び電圧比較器が必要であるので、コストが高く複雑な構造となっていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するもので、電解質薄膜1の両側を一対のガスセパレータ2によって挟んで、燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bを分離する燃料電池のセル3を構成し、該セル3を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、この燃料電池スタック4によって所定の出力電圧を得る燃料電池において、所定個数のセル3を直列に積層したセルブロック5を設け、該セルブロック5を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成すると共に、それぞれのセルブロック5に設けた出力電圧を取出す電圧出力端子6と、該セルブロック5ごとの電圧出力端子6間に配置する出力電圧検出器7と、該複数の出力電圧検出器7の電圧を比較する電圧比較器8と、該電圧比較器8が出力電圧検出器7間の電圧差を検出したときに作動する安全作動手段9と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、前記燃料電池スタック4の中で所定個数のセル3を直列に積層するセルブロック5と、このセルブロック5の出力電圧を取出す電圧出力端子6と、この電圧出力端子6間に配置する出力電圧検出器7と、前記燃料電池スタック4を構成するセル3のひとつから出力電圧を取出すセル電圧出力端子10と、該セル電圧出力端子10に接続するセル出力電圧検出器11で取出す電圧を前記セルブロック5のセル数で乗算する乗算器12と、該乗算器12の乗算出力と出力電圧検出器7の電圧を比較する電圧比較器8と、該電圧比較器8が電圧差を検出したときに作動する安全作動手段9と、を備えることによっても燃料電池のセル異常を検出して安全作動させることができる。
【0012】
また、前記燃料電池スタック4は複数のセルブロック5で構成してそれぞれに出力電圧検出器7を備え、前記乗算器12はそれぞれのセルブロック5を構成するセル3の個数で乗算すると共に、前記電圧比較器8はそれぞれの乗算出力と前記出力電圧検出器7の出力電圧とを比較するようにすれば、前記燃料電池スタック4を同数のセルブロック5で構成する必要がなくなった。
【0013】
更に、前記燃料電池スタック4の全個数のセル3によって1個のセルブロック5を構成することによって、特定のセル3のセル電圧出力端子10に接続するセル出力電圧検出器11で取出す電圧を、セルブロック5の全セル数で乗算する乗算器12の乗算出力と、前記セルブロック5の出力電圧検出器7の電圧とを比較してもよく、細かくセルブロック5を分けた時に比べて異常セルの位置が特定しにくくなるもののセル異常の存在は簡単に見つけることができる。
【0014】
【作用】
燃料電池スタックを構成する一部のセルの電解質薄膜が破損すると、電解質薄膜が破損したセルの出力電圧は急激に低下して燃料電池としての性能が低下するばかりか、燃料ガスすなわち水素ガス漏れによる爆発事故に結びつく恐れがある。このようなセル異常をすばやく検出するための、燃料電池スタック全体の出力電圧の監視する方法は、燃焼電池の正常運転中は温度や負荷の変動によりスタック電圧が変動しているので検出結果の信頼性が劣ってしまっている。
【0015】
この発明では、正常に発電が行われていれば全てのそれぞれのセルがほぼ等しい起電力を発生するから、あらかじめ基準とする出力電圧を決めずに、同じセル数を持つブロック毎の出力電圧を比較し、または、特定のセルの出力電圧を基準としてこれにセル数を乗算して各ブロックの出力電圧を比較することで、該電圧比較器は電圧の相違によって燃焼電池スタック内の異常セルの存在を検出して、安全作動手段を作動させるものである。
【0016】
【実施例】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は電解質薄膜、2は電解質薄膜1を挟むガスセパレータ、2aは一方のガスセパレータ2の電解質薄膜1との接合部において形成した水素ガスを供給する燃料ガス流路、2bは他方のガスセパレータ2と上記の電解質薄膜1との接合部において形成した酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路、3は燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bを形成しながら電解質薄膜1を挟んだ一対のセパレータ2で構成するセルであり、該セル3が最小発電単位になっている。
【0017】
13はn個の電解質薄膜1とn+1個のガスセパレータ2を交互に積層してその外側に配置する一対の締め付け板、4は締め付け板13の間で前記セル3を複数個直列積層して構成した燃料電池スタック、14は締め付け板13に接するガスセパレータ2に取付けた燃料電池出力端子であり、燃料電池スタック4の電池出力は燃料電池出力端子14から取出すことができる。
【0018】
15は上部の締め付け板13に接続するガス供給ライン、15aはガス供給ライン15と接続しながらガスセパレータ2の中に形成したガス供給マニホールドであり、前記ガスセパレータ2の燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bはそれぞれのガス供給マニホールド15aを介して燃料ガス用と酸化剤ガス用のそれぞれのガス供給ライン15に接続される。16は下部の締め付け板13に接続するガス排出ライン、16aはガス排出ライン16と接続しながらガスセパレータ2の中に形成したガス排出マニホールドであり、前記ガスセパレータ2の燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bはそれぞれのガス排出マニホールド16aを介してガス排出ライン16に接続される。
【0019】
一方のガス供給ライン15から供給される水素ガスはガス供給マニホールド15aからそれぞれの燃料ガス流路2aに送られ、他方のガス供給ライン15から供給される酸化剤ガスはガス供給マニホールド15aからそれぞれの酸化剤ガス流路2bに送られ、燃料ガス流路2a内の水素原子は水素イオンとなって電解質薄膜1に浸透し、酸化剤ガス流路2bに到達すると酸素原子と結合して水を生成し、この時電解質薄膜1を挟んだガスセパレータ2間に電位差が発生し、燃料ガス流路2a側のガスセパレータ2から酸化剤ガス流路2b側のガスセパレータ2に向かって外部回路を経由して電子が流れようとするので、燃料電池スタック4の燃料電池出力端子14間に所定の起電力を得ることができる。また、発生した水と残余の水素ガスと酸化剤ガスはガス排出マニホールド16aを介してガス排出ライン16に廃棄される。
【0020】
このように、ガス供給ライン15から供給された燃料ガスと酸化剤ガスはガス供給マニホールド15aによって、すべてのセル3に均等な圧力で燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bにそれぞれ供給され、2枚のガスセパレータ2間に発生するセル3の起電力はほぼ決まっている。このため、セル3を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、両端のガスセパレータ2の燃料電池出力端子14を外部回路に接続すれば、全てのセル3において前記の起電力が得られる化学反応が行われ、所定の出力電圧を外部回路に供給することができる。
【0021】
ところが、ガス供給ライン15から供給された燃料ガスと酸化剤ガスの供給圧力が大きく変動したときなどにおいて、単一または複数のセル3において電解質薄膜1が破損するトラブルが起こる場合がある。この時は当該セル3の出力電圧が低下して十分な出力電圧が得られないだけでなく、当該セル3において極の反転や燃料ガス漏れによる発火など、大変危険な状態になる恐れがあり、これを検知する装置が必要である。
【0022】
この発明の実施例を示す図1において、5は前記燃料電池スタック4を構成する直列接続された所定数個のセル3で構成するセルブロック、6はセルブロック5の両端にあたるガスセパレータ2に設けた電圧出力端子であり、前記燃料電池スタック4は所定数個のセル3で構成するセルブロック5を複数個直列接続することで構成されている。7はセルブロック5ごとの電圧出力端子6間に接続した出力電圧検出器、8は入力部をそれぞれの出力電圧検出器7に接続した電圧比較器である。
【0023】
セル3の異常を検出する仕組みを説明すると、燃料電池は正常に発電しているときでも、負荷の変動や燃料ガスや酸化剤ガスの圧力変化、温度変化によって燃料電池スタック4の出力電圧が変動しているが、全てのセル3はほぼ等しい起電力を発生しているから、各セルブロック5は同数のセル3で構成すると、セルブロック5ごとの出力電圧検出器7の出力電圧も相対的に変化してほぼ等しくなっている。
【0024】
ところが、いま単一のセル3または複数のセル3に障害が発生してこのセル3の起電力が低下すると、故障したセル3を含んだセルブロック5の出力電圧は他の正常なセルブロック5の出力電圧より低い電圧となって、両者の出力電圧がアンバランスになるから、出力電圧検出器7を入力部に接続した電圧比較器8によって出力電圧の異常が検出できるものである。
【0025】
9は電圧比較器8の出力部に接続した安全作動手段であって、電圧比較器8のセルブロック5間の出力電圧に相違があることを電圧比較器8が検知すると、電圧比較器8は安全作動手段9を作動する信号を出力し、安全作動手段9が作動することによって、燃料ガスと酸化剤ガスの供給を停止して安全かつ速やかに発電を中止すると共に、燃料電池出力端子14の出力電力を遮断機などで停止する。
【0026】
この発明によれば、燃料電池スタック4全体の出力電圧を検出することで燃料電池のセル3の異常を検出するときよりも、少なくとも1個の出力電圧検出器7と電圧比較器8を追加するだけで、燃料電池の負荷による電圧変動に影響されずにセル3の異常を検出するセル異常検出装置をシンプルな構造で実現することができた。
【0027】
また、電圧比較器8の出力で安全作動手段9を動作させるから、燃料電池スタック4を構成するセル3の電解質薄膜1が破損するなどしてひとつでも故障すると、出力電圧が低下するだけでなく極の反転やガス漏れの危険が発生するが、セル3の異常時にはそのトラブルが重大トラブルになる前に止め、その被害の拡大を速やかに防止できるようになった。
【0028】
一方、図2に示す実施例において、10は燃料電池スタック4を構成するセル3のひとつから出力電圧が取出せるようにこのセル3のガスセパレータ2に設けたセル電圧出力端子、11はセル電圧出力端子10の出力を接続したセル出力電圧検出器であり、この燃料電池スタック4内のセルブロック5の電圧出力端子6にも同様に出力電圧検出器7が接続されている。12は該セル出力電圧検出器11の出力を燃料電池スタック4内のセルブロック5のセル数で乗算する乗算器であり、該乗算器12の出力は燃料電池スタック4内のセルブロック5のブロック電圧を検出している出力電圧検出器7と並列に、出力電圧を比較する電圧比較器8に接続している。
【0029】
この場合のセル3の異常を検出する仕組みを説明すると、正常に発電しているときは、セルブロック5を構成するセル3も、セル電圧出力端子10に接続されたセル3もほぼ等しい出力電圧を発生しているから、nセルからなるあるセルブロック5内の特定のセル3の出力電圧を検出して、この出力電圧をn倍した値をセルブロック3の出力電圧とみなすことができ、正常に発電が行われていれば、セルブロック5を構成するセル数を乗算するセル電圧をn倍した乗算器12の出力電圧とセルブロック5の出力電圧検出器7の出力電圧とはほぼ等しくなっている。このため、これらの出力電圧を比較する電圧比較器8によって、セル電圧出力端子10に接続されたセル3の出力電圧と、セルブロック5の出力電圧が正常な出力電圧であるかを検出できる。
【0030】
即ち、該セルブロック5内の単一または複数のセル3が故障すると、前記n倍した乗算器12の出力電圧と該セルブロック3の出力電圧がアンバランスとなるから、電圧比較器8は乗算器12の出力電圧とセルブロック3の出力電圧の差を検出することができ、電圧比較器8は安全作動手段9に作動信号を出力し、該安全作動手段9が作動することによって燃料電池スタック4は安全かつ速やかに発電を中止し、セル3の異常による事故を未然に防ぐことができる。
【0031】
この実施例によれば、セルブロック5を構成しているセル3に異常があるときの出力電圧は、乗算器12の出力電圧とは異なった電圧となるのでセルブロック5の異常を速やかに検出でき、このように乗算器12を用いるときには、セル電圧出力端子10に接続するセル3の故障も、セルブロック5のセル3の故障も検出できるから、セル3の異常の検出の確実性が高まるものである。
【0032】
また、上記の構成において、セルブロック5が複数集まって燃料電池スタック4を構成しているときに、複数のセルブロック5が同数個のセル3で構成されておれば、先の実施例のようにセルブロック5の出力電圧を比較することによって、燃料電池スタック4全体の異常が検出できる。しかし、セルブロック5を構成するセル3の数が異なるときにはセル3の故障の検出が難しくなる。
【0033】
この実施例では、セルブロック5のそれぞれに出力電圧検出器7を備え、乗算器12はそれぞれのセルブロック5を構成するセル3の個数で乗算した出力電圧が得られるようになっており、電圧比較器8は前記出力電圧検出器7の出力電圧とこのセルブロック5に対応するそれぞれの乗算出力とを比較するから、異なったセル数のセルブロック5であっても、それぞれのセルブロック5の電圧異常が検出できるようになり、燃料電池スタック4内のセル3の数を任意に設定できるようになった。
【0034】
一方、上記の構成において、燃料電池スタック4内のすべてのセル3でセルブロック5を構成するときには、セルブロック5は一個であるから電力出力端子6は燃料電池スタック4の燃料電池出力端子14が利用でき、特別に電力出力端子6を追加設置する必要がなく、また、セルブロック5の出力電圧検出器7も1個でよく、安価な装置でセル3の異常が検出できるようになった。
【0035】
【発明の効果】
上記のように、燃料電池スタック4を構成するセル3のうち、電解質薄膜1が破損するなどしてひとつでも故障して出力電圧が低下すると、安定した出力電圧を得られないばかりか極の反転やガス漏れの危険がある。
【0036】
この発明では、燃料電池スタック4を同数のセル3からなる複数のセルブロック5の集合とみなし、各セルブロック5の両端にあたるガスセパレータ2に電圧出力端子6を設け、電圧比較器8で各セルブロック5の出力電圧を比較しているから、特定のセル3または複数のセル3が破損すると、全てのセルブロック5で同数のセル3が故障していない限り出力電圧のアンバランスが検出でき、安全作動手段9を作動させることが可能なので、シンプルでありながら負荷による電圧変動に影響されないセル異常検出装置を実現することができた。
【0037】
また、各セルブロック5内で同数のセル3が故障した場合に対応するために、n個のセル3からなるセルブロック5において、特定のセル3の出力電圧を乗算器12でn倍したものを電圧比較器8に入力する構成とすれば、特定のセルブロック5内においてひとつでもセル3が破損していれば乗算器12の出力と該セルブロック5の出力電圧はアンバランスとなって電圧比較器8で検出することができるようになった。このため、電圧比較器8は1個のセル3の異常でも安全作動手段9を作動させることができるから、セル異常検出装置としての信頼性をより高めることができた。
【0038】
また、燃料電池スタック4を構成する複数のセルブロック5のセル数が異なっていても、セルブロック5のそれぞれに備え付けた出力電圧検出器7の出力電圧に対して、乗算器12はそれぞれのセルブロック5を構成するセル3の個数で乗算した出力電圧が得られるから、前記電圧比較器8の出力によって異なったセル数のセルブロック5であっても電圧異常が検出できるようになり、燃料電池スタック4内におけるセル3の数の制限がなくなった。
【0039】
更に、セルブロック5は燃料電池スタック4のすべてのセル3で構成し、この中の特定のセル3の出力電圧を乗算器12で乗算する構成とすれば、セル異常検出装置のシステムが非常に安価に構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す燃料電池スタックのブロック図である。
【図2】この発明の他の実施例を示す燃料電池スタックのブロック図である。
【図3】燃料電池のセル部分の詳細断面図である。
【符号の説明】
1 電解質薄膜
2 ガスセパレータ
2a 燃料ガス流路
2b 酸化剤ガス流路
3 セル
4 燃料電池スタック
5 セルブロック
6 電圧出力端子
7 出力電圧検出器
8 電圧比較器
9 安全作動手段
10 セル電圧出力端子
11 セル出力電圧検出器
12 乗算器
【産業上の利用分野】
この発明は、燃料電池スタック内のセルの異常を検知するための電圧検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は一般に、一対のガスセパレータに挟まれた電解質薄膜からなるセルを構成し、このセルを複数個直列に積み重ねて燃料電池スタックを構成し、該ガスセパレータを電極として出力電圧を取出している。
【0003】
一対のガスセパレータは電解質薄膜に接する部分に燃料ガス流路と酸化剤ガス流路とを形成していて、電解質薄膜を挟んだ一方のガス流路に水素を含む燃料ガスを供給し、他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給することにより水素と酸素が結合して水が生成されるが、このとき外部回路を経由して電子が移動するので電解質薄膜を挟んだセパレータ間に起電力が発生する。
【0004】
このように発電を行う燃料電池であるが、発電中にセルの電解質薄膜が破損するなどして単一または複数のセルにトラブルがおきると極の反転が起きて異常発熱したり、水素ガス漏れによる発火や爆発の危険があるため、セルの故障を速やかに検知しガス供給を停止する安全装置が不可欠である。
【0005】
セルの故障を検出する方法としては、セルの電圧を監視して異常な電圧低下を検出したときに安全作動手段を作動させる出力電圧検出器を設ければよく、該安全作動手段が負荷及び燃料の供給を速やかに遮断し、安全に発電を停止させればよい。
【0006】
即ち、燃料電池スタック両端に電圧出力端子を設け、該電圧出力端子間に出力電圧検出器を設置してスタック全体の総電圧を検出し、該検出電圧を規定の電圧値と比較して、該検出電圧が規定の電圧値に満たない場合にセル異常と判定して安全作動手段を作動させる方法がある。
【0007】
より正確にセル電圧の異常を検出するために、全てのセパレータに電圧出力端子を設けて個々のセル電圧を検出するように各々出力電圧検出器を設置し、それぞれ電圧比較器によって規定の電圧値と比較して、単一または複数のセル電圧が規定の電圧値を下回ると安全作動手段を作動させる方法がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
燃料電池スタック全体の総電圧を検出して、スタック電圧を規定の電圧値と比較する一般的な検出方法では、セルの異常を検出することが可能であるが、燃料電池は正常運転中でも温度や負荷の変動によりスタック電圧が変動するので、例えば単一セルの電圧低下をスタック電圧の正常時の電圧変動と区別させることは難しかった。
【0009】
このため、セル電圧の異常を速やかに、かつ正確に検出する為には、全てのセルの電圧を検出し、各々電圧比較器によって規定の電圧値と比較する方法が望ましいのであるが、このためにはセル数分の出力電圧検出器及び電圧比較器が必要であるので、コストが高く複雑な構造となっていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するもので、電解質薄膜1の両側を一対のガスセパレータ2によって挟んで、燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bを分離する燃料電池のセル3を構成し、該セル3を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、この燃料電池スタック4によって所定の出力電圧を得る燃料電池において、所定個数のセル3を直列に積層したセルブロック5を設け、該セルブロック5を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成すると共に、それぞれのセルブロック5に設けた出力電圧を取出す電圧出力端子6と、該セルブロック5ごとの電圧出力端子6間に配置する出力電圧検出器7と、該複数の出力電圧検出器7の電圧を比較する電圧比較器8と、該電圧比較器8が出力電圧検出器7間の電圧差を検出したときに作動する安全作動手段9と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
また、前記燃料電池スタック4の中で所定個数のセル3を直列に積層するセルブロック5と、このセルブロック5の出力電圧を取出す電圧出力端子6と、この電圧出力端子6間に配置する出力電圧検出器7と、前記燃料電池スタック4を構成するセル3のひとつから出力電圧を取出すセル電圧出力端子10と、該セル電圧出力端子10に接続するセル出力電圧検出器11で取出す電圧を前記セルブロック5のセル数で乗算する乗算器12と、該乗算器12の乗算出力と出力電圧検出器7の電圧を比較する電圧比較器8と、該電圧比較器8が電圧差を検出したときに作動する安全作動手段9と、を備えることによっても燃料電池のセル異常を検出して安全作動させることができる。
【0012】
また、前記燃料電池スタック4は複数のセルブロック5で構成してそれぞれに出力電圧検出器7を備え、前記乗算器12はそれぞれのセルブロック5を構成するセル3の個数で乗算すると共に、前記電圧比較器8はそれぞれの乗算出力と前記出力電圧検出器7の出力電圧とを比較するようにすれば、前記燃料電池スタック4を同数のセルブロック5で構成する必要がなくなった。
【0013】
更に、前記燃料電池スタック4の全個数のセル3によって1個のセルブロック5を構成することによって、特定のセル3のセル電圧出力端子10に接続するセル出力電圧検出器11で取出す電圧を、セルブロック5の全セル数で乗算する乗算器12の乗算出力と、前記セルブロック5の出力電圧検出器7の電圧とを比較してもよく、細かくセルブロック5を分けた時に比べて異常セルの位置が特定しにくくなるもののセル異常の存在は簡単に見つけることができる。
【0014】
【作用】
燃料電池スタックを構成する一部のセルの電解質薄膜が破損すると、電解質薄膜が破損したセルの出力電圧は急激に低下して燃料電池としての性能が低下するばかりか、燃料ガスすなわち水素ガス漏れによる爆発事故に結びつく恐れがある。このようなセル異常をすばやく検出するための、燃料電池スタック全体の出力電圧の監視する方法は、燃焼電池の正常運転中は温度や負荷の変動によりスタック電圧が変動しているので検出結果の信頼性が劣ってしまっている。
【0015】
この発明では、正常に発電が行われていれば全てのそれぞれのセルがほぼ等しい起電力を発生するから、あらかじめ基準とする出力電圧を決めずに、同じセル数を持つブロック毎の出力電圧を比較し、または、特定のセルの出力電圧を基準としてこれにセル数を乗算して各ブロックの出力電圧を比較することで、該電圧比較器は電圧の相違によって燃焼電池スタック内の異常セルの存在を検出して、安全作動手段を作動させるものである。
【0016】
【実施例】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は電解質薄膜、2は電解質薄膜1を挟むガスセパレータ、2aは一方のガスセパレータ2の電解質薄膜1との接合部において形成した水素ガスを供給する燃料ガス流路、2bは他方のガスセパレータ2と上記の電解質薄膜1との接合部において形成した酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路、3は燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bを形成しながら電解質薄膜1を挟んだ一対のセパレータ2で構成するセルであり、該セル3が最小発電単位になっている。
【0017】
13はn個の電解質薄膜1とn+1個のガスセパレータ2を交互に積層してその外側に配置する一対の締め付け板、4は締め付け板13の間で前記セル3を複数個直列積層して構成した燃料電池スタック、14は締め付け板13に接するガスセパレータ2に取付けた燃料電池出力端子であり、燃料電池スタック4の電池出力は燃料電池出力端子14から取出すことができる。
【0018】
15は上部の締め付け板13に接続するガス供給ライン、15aはガス供給ライン15と接続しながらガスセパレータ2の中に形成したガス供給マニホールドであり、前記ガスセパレータ2の燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bはそれぞれのガス供給マニホールド15aを介して燃料ガス用と酸化剤ガス用のそれぞれのガス供給ライン15に接続される。16は下部の締め付け板13に接続するガス排出ライン、16aはガス排出ライン16と接続しながらガスセパレータ2の中に形成したガス排出マニホールドであり、前記ガスセパレータ2の燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bはそれぞれのガス排出マニホールド16aを介してガス排出ライン16に接続される。
【0019】
一方のガス供給ライン15から供給される水素ガスはガス供給マニホールド15aからそれぞれの燃料ガス流路2aに送られ、他方のガス供給ライン15から供給される酸化剤ガスはガス供給マニホールド15aからそれぞれの酸化剤ガス流路2bに送られ、燃料ガス流路2a内の水素原子は水素イオンとなって電解質薄膜1に浸透し、酸化剤ガス流路2bに到達すると酸素原子と結合して水を生成し、この時電解質薄膜1を挟んだガスセパレータ2間に電位差が発生し、燃料ガス流路2a側のガスセパレータ2から酸化剤ガス流路2b側のガスセパレータ2に向かって外部回路を経由して電子が流れようとするので、燃料電池スタック4の燃料電池出力端子14間に所定の起電力を得ることができる。また、発生した水と残余の水素ガスと酸化剤ガスはガス排出マニホールド16aを介してガス排出ライン16に廃棄される。
【0020】
このように、ガス供給ライン15から供給された燃料ガスと酸化剤ガスはガス供給マニホールド15aによって、すべてのセル3に均等な圧力で燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bにそれぞれ供給され、2枚のガスセパレータ2間に発生するセル3の起電力はほぼ決まっている。このため、セル3を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、両端のガスセパレータ2の燃料電池出力端子14を外部回路に接続すれば、全てのセル3において前記の起電力が得られる化学反応が行われ、所定の出力電圧を外部回路に供給することができる。
【0021】
ところが、ガス供給ライン15から供給された燃料ガスと酸化剤ガスの供給圧力が大きく変動したときなどにおいて、単一または複数のセル3において電解質薄膜1が破損するトラブルが起こる場合がある。この時は当該セル3の出力電圧が低下して十分な出力電圧が得られないだけでなく、当該セル3において極の反転や燃料ガス漏れによる発火など、大変危険な状態になる恐れがあり、これを検知する装置が必要である。
【0022】
この発明の実施例を示す図1において、5は前記燃料電池スタック4を構成する直列接続された所定数個のセル3で構成するセルブロック、6はセルブロック5の両端にあたるガスセパレータ2に設けた電圧出力端子であり、前記燃料電池スタック4は所定数個のセル3で構成するセルブロック5を複数個直列接続することで構成されている。7はセルブロック5ごとの電圧出力端子6間に接続した出力電圧検出器、8は入力部をそれぞれの出力電圧検出器7に接続した電圧比較器である。
【0023】
セル3の異常を検出する仕組みを説明すると、燃料電池は正常に発電しているときでも、負荷の変動や燃料ガスや酸化剤ガスの圧力変化、温度変化によって燃料電池スタック4の出力電圧が変動しているが、全てのセル3はほぼ等しい起電力を発生しているから、各セルブロック5は同数のセル3で構成すると、セルブロック5ごとの出力電圧検出器7の出力電圧も相対的に変化してほぼ等しくなっている。
【0024】
ところが、いま単一のセル3または複数のセル3に障害が発生してこのセル3の起電力が低下すると、故障したセル3を含んだセルブロック5の出力電圧は他の正常なセルブロック5の出力電圧より低い電圧となって、両者の出力電圧がアンバランスになるから、出力電圧検出器7を入力部に接続した電圧比較器8によって出力電圧の異常が検出できるものである。
【0025】
9は電圧比較器8の出力部に接続した安全作動手段であって、電圧比較器8のセルブロック5間の出力電圧に相違があることを電圧比較器8が検知すると、電圧比較器8は安全作動手段9を作動する信号を出力し、安全作動手段9が作動することによって、燃料ガスと酸化剤ガスの供給を停止して安全かつ速やかに発電を中止すると共に、燃料電池出力端子14の出力電力を遮断機などで停止する。
【0026】
この発明によれば、燃料電池スタック4全体の出力電圧を検出することで燃料電池のセル3の異常を検出するときよりも、少なくとも1個の出力電圧検出器7と電圧比較器8を追加するだけで、燃料電池の負荷による電圧変動に影響されずにセル3の異常を検出するセル異常検出装置をシンプルな構造で実現することができた。
【0027】
また、電圧比較器8の出力で安全作動手段9を動作させるから、燃料電池スタック4を構成するセル3の電解質薄膜1が破損するなどしてひとつでも故障すると、出力電圧が低下するだけでなく極の反転やガス漏れの危険が発生するが、セル3の異常時にはそのトラブルが重大トラブルになる前に止め、その被害の拡大を速やかに防止できるようになった。
【0028】
一方、図2に示す実施例において、10は燃料電池スタック4を構成するセル3のひとつから出力電圧が取出せるようにこのセル3のガスセパレータ2に設けたセル電圧出力端子、11はセル電圧出力端子10の出力を接続したセル出力電圧検出器であり、この燃料電池スタック4内のセルブロック5の電圧出力端子6にも同様に出力電圧検出器7が接続されている。12は該セル出力電圧検出器11の出力を燃料電池スタック4内のセルブロック5のセル数で乗算する乗算器であり、該乗算器12の出力は燃料電池スタック4内のセルブロック5のブロック電圧を検出している出力電圧検出器7と並列に、出力電圧を比較する電圧比較器8に接続している。
【0029】
この場合のセル3の異常を検出する仕組みを説明すると、正常に発電しているときは、セルブロック5を構成するセル3も、セル電圧出力端子10に接続されたセル3もほぼ等しい出力電圧を発生しているから、nセルからなるあるセルブロック5内の特定のセル3の出力電圧を検出して、この出力電圧をn倍した値をセルブロック3の出力電圧とみなすことができ、正常に発電が行われていれば、セルブロック5を構成するセル数を乗算するセル電圧をn倍した乗算器12の出力電圧とセルブロック5の出力電圧検出器7の出力電圧とはほぼ等しくなっている。このため、これらの出力電圧を比較する電圧比較器8によって、セル電圧出力端子10に接続されたセル3の出力電圧と、セルブロック5の出力電圧が正常な出力電圧であるかを検出できる。
【0030】
即ち、該セルブロック5内の単一または複数のセル3が故障すると、前記n倍した乗算器12の出力電圧と該セルブロック3の出力電圧がアンバランスとなるから、電圧比較器8は乗算器12の出力電圧とセルブロック3の出力電圧の差を検出することができ、電圧比較器8は安全作動手段9に作動信号を出力し、該安全作動手段9が作動することによって燃料電池スタック4は安全かつ速やかに発電を中止し、セル3の異常による事故を未然に防ぐことができる。
【0031】
この実施例によれば、セルブロック5を構成しているセル3に異常があるときの出力電圧は、乗算器12の出力電圧とは異なった電圧となるのでセルブロック5の異常を速やかに検出でき、このように乗算器12を用いるときには、セル電圧出力端子10に接続するセル3の故障も、セルブロック5のセル3の故障も検出できるから、セル3の異常の検出の確実性が高まるものである。
【0032】
また、上記の構成において、セルブロック5が複数集まって燃料電池スタック4を構成しているときに、複数のセルブロック5が同数個のセル3で構成されておれば、先の実施例のようにセルブロック5の出力電圧を比較することによって、燃料電池スタック4全体の異常が検出できる。しかし、セルブロック5を構成するセル3の数が異なるときにはセル3の故障の検出が難しくなる。
【0033】
この実施例では、セルブロック5のそれぞれに出力電圧検出器7を備え、乗算器12はそれぞれのセルブロック5を構成するセル3の個数で乗算した出力電圧が得られるようになっており、電圧比較器8は前記出力電圧検出器7の出力電圧とこのセルブロック5に対応するそれぞれの乗算出力とを比較するから、異なったセル数のセルブロック5であっても、それぞれのセルブロック5の電圧異常が検出できるようになり、燃料電池スタック4内のセル3の数を任意に設定できるようになった。
【0034】
一方、上記の構成において、燃料電池スタック4内のすべてのセル3でセルブロック5を構成するときには、セルブロック5は一個であるから電力出力端子6は燃料電池スタック4の燃料電池出力端子14が利用でき、特別に電力出力端子6を追加設置する必要がなく、また、セルブロック5の出力電圧検出器7も1個でよく、安価な装置でセル3の異常が検出できるようになった。
【0035】
【発明の効果】
上記のように、燃料電池スタック4を構成するセル3のうち、電解質薄膜1が破損するなどしてひとつでも故障して出力電圧が低下すると、安定した出力電圧を得られないばかりか極の反転やガス漏れの危険がある。
【0036】
この発明では、燃料電池スタック4を同数のセル3からなる複数のセルブロック5の集合とみなし、各セルブロック5の両端にあたるガスセパレータ2に電圧出力端子6を設け、電圧比較器8で各セルブロック5の出力電圧を比較しているから、特定のセル3または複数のセル3が破損すると、全てのセルブロック5で同数のセル3が故障していない限り出力電圧のアンバランスが検出でき、安全作動手段9を作動させることが可能なので、シンプルでありながら負荷による電圧変動に影響されないセル異常検出装置を実現することができた。
【0037】
また、各セルブロック5内で同数のセル3が故障した場合に対応するために、n個のセル3からなるセルブロック5において、特定のセル3の出力電圧を乗算器12でn倍したものを電圧比較器8に入力する構成とすれば、特定のセルブロック5内においてひとつでもセル3が破損していれば乗算器12の出力と該セルブロック5の出力電圧はアンバランスとなって電圧比較器8で検出することができるようになった。このため、電圧比較器8は1個のセル3の異常でも安全作動手段9を作動させることができるから、セル異常検出装置としての信頼性をより高めることができた。
【0038】
また、燃料電池スタック4を構成する複数のセルブロック5のセル数が異なっていても、セルブロック5のそれぞれに備え付けた出力電圧検出器7の出力電圧に対して、乗算器12はそれぞれのセルブロック5を構成するセル3の個数で乗算した出力電圧が得られるから、前記電圧比較器8の出力によって異なったセル数のセルブロック5であっても電圧異常が検出できるようになり、燃料電池スタック4内におけるセル3の数の制限がなくなった。
【0039】
更に、セルブロック5は燃料電池スタック4のすべてのセル3で構成し、この中の特定のセル3の出力電圧を乗算器12で乗算する構成とすれば、セル異常検出装置のシステムが非常に安価に構成できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す燃料電池スタックのブロック図である。
【図2】この発明の他の実施例を示す燃料電池スタックのブロック図である。
【図3】燃料電池のセル部分の詳細断面図である。
【符号の説明】
1 電解質薄膜
2 ガスセパレータ
2a 燃料ガス流路
2b 酸化剤ガス流路
3 セル
4 燃料電池スタック
5 セルブロック
6 電圧出力端子
7 出力電圧検出器
8 電圧比較器
9 安全作動手段
10 セル電圧出力端子
11 セル出力電圧検出器
12 乗算器
Claims (4)
- 電解質薄膜1の両側を一対のガスセパレータ2によって挟んで、燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bを分離する燃料電池のセル3を構成し、該セル3を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、この燃料電池スタック4によって所定の出力電圧を得る燃料電池において、
所定個数のセル3を直列に積層したセルブロック5を設け、該セルブロック5を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成すると共に、
それぞれのセルブロック5に設けた出力電圧を取出す電圧出力端子6と、該セルブロック5ごとの電圧出力端子6間に配置する出力電圧検出器7と、該複数の出力電圧検出器7の電圧を比較する電圧比較器8と、該電圧比較器8が出力電圧検出器7間の電圧差を検出したときに作動する安全作動手段9と、を備えたことを特徴とする燃料電池のセル異常検出装置。 - 電解質薄膜1の両側を一対のガスセパレータ2によって挟んで、燃料ガス流路2aと酸化剤ガス流路2bを分離する燃料電池のセル3を構成し、該セル3を複数個直列に積層して燃料電池スタック4を構成し、この燃料電池スタック4によって所定の出力電圧を得る燃料電池において、
前記燃料電池スタック4の中で所定個数のセル3を直列に積層するセルブロック5と、このセルブロック5の出力電圧を取出す電圧出力端子6と、この電圧出力端子6間に配置する出力電圧検出器7と、前記燃料電池スタック4を構成するセル3のひとつから出力電圧を取出すセル電圧出力端子10と、該セル電圧出力端子10に接続するセル出力電圧検出器11で取出す電圧を前記セルブロック5のセル数で乗算する乗算器12と、該乗算器12の乗算出力と出力電圧検出器7の電圧を比較する電圧比較器8と、該電圧比較器8が電圧差を検出したときに作動する安全作動手段9と、を備えたことを特徴とする燃料電池のセル異常検出装置。 - 前記燃料電池スタック4は複数のセルブロック5で構成してそれぞれに出力電圧検出器7を備え、前記乗算器12はそれぞれのセルブロック5を構成するセル3の個数で乗算すると共に、前記電圧比較器8はそれぞれの乗算出力と前記出力電圧検出器7の出力電圧とを比較する請求項2に記載の燃料電池のセル異常検出装置。
- 前記燃料電池スタック4の全個数のセル3を直列に積層してセルブロック5を構成した請求項2に記載の燃料電池のセル異常検出装置。
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- 2003-01-10 JP JP2003003938A patent/JP2004220823A/ja active Pending
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