JP2004220545A - 複層窓材用防犯システム及び複層窓材 - Google Patents

複層窓材用防犯システム及び複層窓材 Download PDF

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Abstract

【課題】この発明は、所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板を備えた複層窓材において、窓からの空き巣や強盗等の侵入を簡単かつ確実に検知することができる防犯システムの提供を目的とする。
【解決手段】複層窓材1は、所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板12、12を備え、窓板12、12間の隙間13が真空状態となされている。空き巣や強盗等により複層窓材1の窓板12が割れると、窓板12、12間の隙間13の真空状態が崩されて、隙間13における気体の圧力が変化する。圧力検知装置2は、その隙間13における気体の圧力の変化を検知し、それに伴って警報出力装置3が警報を出力する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板を備える複層窓材に用いられる複層窓材用防犯システムおよび複層窓材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、邸宅、店舗、あるいは事務所等において、空き巣や強盗等が窓を割る等して侵入する事件が多発しているが、そのようは窓からの空き巣や強盗等の侵入を防止するために様々な防犯システムが提案されている。
【0003】
例えば、窓材に開閉センサを取り付けておいて、空き巣や強盗等が窓材を開放した場合、開閉センサが窓材の開放を検知するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、窓材に小型の振動センサを取り付けておいて、空き巣や強盗等が窓材を開けたり、あるいは窓板を割った場合、振動センサがそのときの窓材の振動を検知するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、窓枠の施錠ハンドル近傍に集音マイクと取り付けておいて、空き巣や強盗等が窓板を切削した場合、集音マイクが切削音を検知するものが知られている(例えば、特許文献3参照)。さらにまた、窓板の錠の回りに保護シートを貼着しておいて、窓板を割れにくくしたものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−162354号公報
【特許文献2】
特開2002−190069号公報
【特許文献3】
特開2001−307238号公報
【特許文献4】
特開2003−20826号公報
【0005】
ところで、近年、所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板を備えた複層窓材が普及している。これによれば、2枚の窓板により従来の1枚だけの窓板に比べて断熱効果が向上し、特に前記窓板間の隙間を真空状態にした場合は断熱効果がより一層向上することができる。そして、このような複層窓材についても、一般に上述のような防犯システムが適用されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の第1の防犯システムでは、窓材を移動させないで窓板をそのまま割れば、開閉センサは空き巣や強盗等の侵入を検知することができない。また、上述の第2の防犯システムでは、ガラスカッター等により振動しないように窓板をカットすれば、振動センサは空き巣や強盗等の侵入を検知することができない。さらに、上述の第3の防犯システムでは、同じくガラスカッター等により音が立たないように窓板を切削すれば、集音マイクは空き巣や強盗等の侵入を検知することができない。さらにまた、上述の第4の防犯システムでは、窓板を割れにくくするだけであり、空き巣や強盗等の侵入を何ら検知するわけではない。
【0007】
従って、上述のものも含め従来の防犯システムでは、窓からの空き巣や強盗等の侵入を確実に検知することが難しいという問題があった。
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであって、所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板を備えた複層窓材において、窓からの空き巣や強盗等の侵入を簡単かつ確実に検知することができる複層窓材用防犯システムおよび複層窓材の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述の目的を達成するために、所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板を備え、前記窓板間の隙間における気体の圧力が一定に保たれた複層窓材に用いられる複層窓材用防犯システムであって、
前記窓板間の隙間における気体の圧力の変化を検知する圧力検知手段と、該圧力検知手段により前記窓板間の隙間における気体の圧力の変化が検知された場合に警報を出力する警報出力手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0010】
これによれば、複層窓材の少なくともいずれか一方の窓板が割られれば、前記窓板間の隙間と外気とが連通し、前記窓板間の隙間における気体の圧力が変化するので、前記圧力検知手段がその気体の圧力の変化を検知し、その検知に伴って前記警報出力手段が警報を出力することができる。このため、空き巣や強盗等が、窓板をそのまま割った場合は勿論、振動させずあるいは切削音を立てずに窓板を専用カッター等によりカットした場合でも、窓からの空き巣や強盗などの侵入を簡単かつ確実に検知することが可能となる。
【0011】
また、前記圧力検知手段は、前記窓板に穿設された圧力取出孔に連通する気体抜出孔が設けられているのが好ましい。
【0012】
これによれば、前記圧力検知手段の気体抜出孔から、窓板の圧力取出孔を介して、前記窓板間の隙間における気体を抜き出すことができる。なお、前記窓板の圧力取出孔は、窓板に新規に穿設してもよいし、あるいは窓板に既に穿設されている既存の気体抜出孔を流用してもよい。
【0013】
また、前記複層窓材が、壁の窓穴に設けられた窓縁材に対して開閉可能に設けられ、
前記圧力検知手段に結線されたマグネットプラグの雄部材または雌部材の一方が前記複層窓材に設けられるとともに、前記警報出力手段に結線されたマグネットプラグの雄部材または雌部材の他方が前記窓縁材に設けられ、前記複層窓材が前記窓縁材に対して閉鎖された場合に、前記マグネットプラグの雄部材および雌部材が通電可能な状態で接触するものとなされているのが好ましい。
【0014】
これによれば、複層窓材が前記窓縁材に対して閉鎖されると、前記マグネットプラグの雄部材および雌部材が通電可能な状態で接触するので、前記圧力検知手段と警報出力手段も通電することができる。このため、窓縁材に対して開閉可能に設けられた複層窓材についても、この防犯システムを容易に適用することが可能となる。
【0015】
また、前記警報出力手段は、前記マグネットプラグの雄部材および雌部材の通電状態が遮断された場合に警報を出力するものとなされているのが好ましい。
【0016】
これによれば、空き巣や強盗等が窓板を割らずにそのまま窓材を開放した場合でも、窓からの空き巣や強盗等の侵入を簡単かつ確実に検知することができる。
【0017】
また、前記マグネットプラグは、雄部材または雌部材の少なくともいずれか一方の接触端子が弾性部材により他方の接触端子の接近離間方向に付勢されているのが好ましい。
【0018】
これによれば、複層窓材が窓縁材に対して閉鎖されて、マグネットプラグの雄部材および雌部材が接触した際に、マグネットプラグの雄部材および雌部材の各接触端子の距離や位置のずれが吸収され、圧力検知手段と警報出力手段を確実に通電させることができる。なお、弾性部材には、スプリング、ばね、ゴム等が挙げられる。
【0019】
また、前記窓板間の隙間は真空状態に保たれているのが好ましい。
【0020】
これによれば、複層窓材における断熱効果を向上させることができるとともに、前記窓板間の隙間における気体の圧力変化をより簡単かつ確実に検知することができる。なお、真空状態とは、前記窓板間の隙間における気体の圧力が0である完全な真空状態のみならず、気体の圧力が極めて低く完全な真空状態に近い状態も含むものとする
【0021】
また、前記警報出力手段は、前記圧力検知手段により前記窓板間の隙間における気体の圧力の変化が検知された場合に、警備会社のコンピュータに対して警報をネットワークを介して出力するものとなされているのが好ましい。
【0022】
これによれば、警備会社においても空き巣や強盗等の侵入を検知することができ、防犯システムの信頼性がより一層向上することが可能となる。
【0023】
また、この発明に係る複層窓材は、所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板を備え、前記窓板間の隙間における気体の圧力が一定に保たれた複層窓材であって、前記窓板間の隙間における気体の圧力の変化を検知する圧力検知手段が設けられてなることを特徴とする。
【0024】
これによれば、複層窓材に設けられた圧力検知手段を、所定の箇所に配置された警報出力手段に通電させれば、上述の複層窓材用防犯システムを簡単かつ確実に実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
[実施形態1]
次にこの発明の一実施形態に係る複層窓板用防犯システムについて説明する。
【0026】
図1は、前記複層窓材用防犯システムの構成概略図である。
【0027】
図1において、(1)は壁面に固定された複層窓材、(2)は前記複層窓材(1)に設けられた圧力検知装置、(3)は前記圧力検知装置(2)に電気線(4)を介して接続された警報出力装置である。
【0028】
前記複層窓材(1)は、矩形状の窓枠(11)と、該窓枠(11)内に保持された2枚の窓板(12)(12)とを備える。
【0029】
前記窓枠(11)は、横断面コ字形状の上窓枠材(11a)、下窓枠材(11b)、左窓枠材(11c)、および右窓枠材(11d)から構成される金属製の窓枠で、壁面に形成された同形の窓穴(5)に固定されている。
【0030】
前記窓板(12)(12)は、それぞれ所定の厚さ(例えば、6mm)の矩形状に形成されたガラス製の窓板であり、図2に示すように、互いに所定の隙間(13)(例えば0.2mm)をあけて対向する態様で前記窓枠(11)に保持部材(14)を介して保持されている。
【0031】
また、前記窓板(12)(12)は、図3に示すように、周縁部の隙間(13)にスペーサ(15)が配設されるとともに、隙間(13)の各部に小径(例えば0.5mm)のマイクロスペーサ(16)が等間隔で複数配設されており、これらスペーサ(15)およびマイクロスペーサ(16)により前記隙間(13)の距離が一定に保たれている。
【0032】
また、窓板(12)(12)の右下隅部には小径の圧力取出孔(12a)が穿設されている。この圧力取出孔(12a)は、前記窓板(12)(12)間の隙間(13)における気体の圧力を取り出すとともに、前記圧力検知装置(2)を取り付けるための孔であり、取付側の内周面には螺旋が形成されている。
【0033】
また、窓板(12)(12)の前記圧力取出孔(12a)の上方には小径の気体抜出孔(12b)が穿設されている。この気体抜出孔(12b)は、前記窓板(12)(12)間の隙間(13)における気体(この実施形態では空気)を抜き出すための孔であり、この気体抜出孔(12a)から前記隙間(13)における空気がほぼ全て抜き出されることにより、該隙間(13)は真空状態(真空に近い状態も含む)となされる。このように前記窓板(12)(12)の隙間(13)が真空状態となると、複層窓材(1)の断熱効果が向上することができる。
【0034】
また、(17)は、前記気体抜出孔(12b)に嵌着される保護キャップであり、前記気体抜出孔(12a)から空気が抜き出されて前記隙間(13)が真空状態となされたあと、前記気体抜出孔(12b)を閉蓋するものである。なお、前記窓板(12)(12)の耐久性を向上するために、前記保護キャップ(17)を前記気体抜出孔(12a)に差し込んで取り付けるに際し、その差し込み深さが窓板(12)(12)の厚さの1/2を越えないように前記気体抜出孔(12b)を形成するのが好ましい。
【0035】
前記圧力検知装置(2)は、直方体状のケーシング(21)と、該ケーシング(21)内に横方向に収容された圧力スイッチ(22)とを備えてなる。
【0036】
前記圧力スイッチ(22)は、図3に示すように、圧力スイッチ本体部(22a)に、マイクロスイッチ(22b)、調整ねじ(22c)、調圧ばね(22d)、ダイヤフラム(22e)、リンク板(22f)、および周面に螺旋が形成された接続ポート(22g)がそれぞれ設けられている。そして、前記圧力検知装置(2)は、前記ケーシング(21)から突出した接続ポート(22g)を前記窓板(12)(12)の圧力取出孔(12a)に螺着させながら差し込むことにより、前記窓板(12)に取り付けられている。
【0037】
前記圧力スイッチ(22)の機能について具体的に説明する。
【0038】
前記圧力スイッチ(22)は、前記接続ポート(22g)が前記圧力取出孔(12a)を介して前記窓板(12)(12)の隙間(13)と連通しており、前記隙間(13)における気体の圧力を取り込めるようになっている。このとき、前記窓板(12)(12)の隙間(13)が真空状態に保たれている場合には、マイクロスイッチ(22a)のC−NC端子間が通電状態となる。
【0039】
そして、前記窓板(12)(12)のいずれか少なくとも一方が割られた場合、前記隙間(13)の真空状態が崩されて気体の圧力が上がり、前記隙間(13)における気体の圧力は前記圧力取出孔(12a)を介して前記接続ポート(22g)から入り、ダイヤフラム(22e)およびリンク板(22f)に作用して調圧ばね(22d)を圧縮し、リンク板(22f)がマイクロスイッチ(22a)のピン釦を押してスイッチを切り替える。このとき、マイクロスイッチ(22a)はCOM−NO端子間が通電状態となる。
【0040】
しかして、前記圧力検知装置(2)は、圧力スイッチ(22)におけるマイクロスイッチ(22a)の端子の切り替わりにより、前記隙間(13)の圧力変化を検知することができる。
【0041】
前記警報出力装置(3)は、図4に示すように、各部を統括的に制御する制御部(31)と、前記圧力検知装置(2)のC−NC端子間またはC−NO端子間の通電状態を受信する受信部(32)と、警報を画面表示により出力する表示部(33)と、警報を音声により出力するスピーカ部(34)と、各種操作を行う操作部(35)とを備えてなる。
【0042】
しかして、前記制御部(31)は、前記受信部(32)により前記圧力検知装置(2)のC−NC端子間またはC−NO端子間の通電状態を受信し、前記圧力検知装置(2)のC−NC端子間が通電状態にある場合は、表示部(33)およびスピーカ部(35)に特に出力させることはない。
【0043】
一方、前記制御部(31)は、前記圧力検知装置(2)のC−NO端子間が導通状態になった場合は、警報を画面表示により表示部に出力させるとともに、警報を音声によりスピーカ部に出力させる。なお、防犯システムの作動の切り替えは前記操作部(35)により行う。
【0044】
次に前記複層窓材用防犯システムの動作について説明する。
【0045】
通常時の場合、前記窓板(12)(12)間の隙間(13)は真空状態となされているので、前記圧力検知装置(2)はC−NC端子間が通電状態となっている。
【0046】
そして、前記警報出力装置(3)は、前記圧力検知装置(2)のC−NC端子間の通電状態を受信部(32)により受信し、即ち前記圧力検知装置(2)は前記隙間(13)における気体の圧力の変化を検知していないので、前記表示部(33)およびスピーカ部(34)を特に作動させない。
【0047】
一方、前記窓板(12)(12)が空き巣や強盗等に割られた緊急時の場合、前記窓板(12)(12)間の隙間(13)と外気とが連通し、前記隙間(13)の圧力が高まるので、前記圧力検知装置(2)は上述のスイッチ切替作用によりC−NO端子間が通電状態となり、前記隙間(13)における気体の圧力の変化を検知する。
【0048】
そして、前記警報出力装置(3)は、前記前記圧力検知装置(2)のC−NC端子間の通電状態を受信部(32)により受信することにより前記隙間(13)における気体の圧力の変化を検知し、制御部(31)により警報を画面表示により表示部(33)に出力させるとともに、警報を音声によりスピーカ部(34)に出力させる。
【0049】
このように、複層窓材(1)の少なくともいずれか一方の窓板(12)が割られれば、前記窓板(12)(12)間の隙間(13)と外気とが連通し、前記窓板(12)(12)間の隙間(13)における気体の圧力が変化するので、前記圧力検知装置(2)がその気体の圧力の変化を検知し、その検知に伴って前記警報出力装置(3)が警報を出力することができる。このため、空き巣や強盗等が、窓板(12)をそのまま割った場合は勿論、振動させずあるいは切削音を立てずに窓板(12)を専用カッター等によりカットした場合でも、窓からの空き巣や強盗などの侵入を簡単かつ確実に検知することが可能となる。
【0050】
なお、この実施形態では、前記窓板(12)(12)の隙間(13)を真空状態(真空に近い状態も含む)としたが、隙間(13)に所定の気体を充填して一定の気圧に保つものとしてもよい。
【0051】
また、前記圧力検知装置(2)は、圧力によりスイッチが切り替わるスイッチ型のものを用いたが、電圧出力型、あるいはデジタル出力型等のその他の方式のものであってもよく、要は前記窓板(12)(12)間の隙間(13)の圧力変化を検知するものであればよい。
【0052】
また、前記圧力検知装置(2)は、前記窓板(12)に直接取り付けるものとしたが、配管等を介するものとしてもよい。
【0053】
また、前記圧力検知装置(2)は、前記窓板(12)の右下隅部に取り付けるものとしたが、窓板(12)のその他の箇所、あるいは窓枠、または壁等に取り付けるものとしてもよい。
【0054】
また、前記警報出力装置(3)は、前記圧力検知装置(2)と別々に構成したが、前記圧力検知装置(2)と一体に構成してもよい。
【0055】
また、前記警報出力装置(3)は、画面表示と音声により警報を出力するものとしたが、いずれか一方の方法により警報を出力するものしてもよい。
【0056】
また、前記警報出力装置(3)は、図8に示すように、前記圧力検知装置(2)により前記窓板(12)(12)間における気体の圧力変化が検知された場合に、前記画面表示または音声による警報の出力と共にあるいは代えて、警備会社のサーバコンピュータ(8)に対して警報をネットワークを介して出力(送信)するものとしてもよい。これによれば、警備会社においても空き巣や強盗等の侵入を検知することができ、防犯システムの信頼性がより一層向上することが可能となる。
【0057】
[実施形態2]
次にこの発明の他の実施形態に係る複層窓材用防犯システムについて説明する。
【0058】
この実施形態では、圧力検知装置(2’)に、前記窓板(12)(12)間の隙間(13)における気体を抜き出すための気体抜出孔(23)が設けられている。
【0059】
即ち、前記圧力検知装置(2’)は、図5に示すように、前記圧力スイッチ(22)がケーシング(21)内において縦方向に収容され、該圧力スイッチ(22)の接続ポート(22g)が配管(24)を介して記窓板(12)の圧力取出孔(12a)に連通している。なお、この圧力取出孔(12a)は、窓板に新規に穿設された孔であってもよいし、あるいは窓板に予め穿設されている既存の気体抜出孔であってもよい。
【0060】
そして、前記圧力検知装置(27)に気体抜出孔(23)が設けられており、該気体抜出孔(23)は前記配管(24)を介して圧力取出孔(12a)に連通している。(17)は前記気体抜出孔(23)を閉蓋するための保護キャップである。
【0061】
なお、実施形態1で説明したものと同一のものは、同一符号を付してその説明を省略する。
【0062】
これによれば、これによれば、前記圧力検知装置(2)の気体抜出孔(23)から、窓板(12)の圧力取出孔(12a)を介して、前記窓板(12)(12)間の隙間(13)における気体を抜き出すことができる。特に前記圧力取出孔(12a)が窓板に予め穿設されている既存の気体抜出孔の場合、圧力検知装置(2’)を従来の複層窓材(1)の窓板(12)にも取り付けることができ、本防犯システムを既存の複層窓材に容易に設置することが可能となる。
【0063】
[実施形態3]
次のこの発明のさらに他の実施形態について説明する。
【0064】
この実施形態では、図6に示すように、前記複層窓材(1)が、壁の窓孔(5)に固定された窓縁材(6)に対して開閉可能に設けられている。そして、前記圧力検知装置(2)と警報出力装置(3)との通電をマグネットプラグ(7)を用いて行うものとしている。
【0065】
前記マグネットプラグ(7)は、前記圧力検知装置(2)に結線された雄部材(71)と、前記警報出力装置(3)に結線された雌部材(72)とから構成される。
【0066】
前記雄部材(71)は、図7に示すように、前記複層窓材(1)の窓枠(11)の右角部において前面(71b)を露出する態様で埋設されており、2個の接触端子(71a)(71a)が設けられている。これら接触端子(71a)(71a)は、それぞれ雄部材(71)の胴体部(71c)を水平方向に平行に貫通する態様で設けられており、先端部が雄部材(71)の前面(71b)を突出し、基端部には前記圧力検知装置(2)に通電するための電気線(4a)の一端が固着されている。なお、(71d)は、前記雄部材(71)の前面(71a)の中央部に設けられた鉄板である。
【0067】
一方、前記雌部材(72)は、図7に示すように、前記窓縁材(6)の右隅部において前面(72b)を露出する態様で埋設されており、2個の接触端子(72a)(72a)が設けられている。この接触端子(72a)(72a)は、それぞれ雌部材(72)の胴体部(72c)に形成された端子穴(72d)に設けられており、スプリングバネ(72e)により前記雄部材(71)の接触端子(71a)(71a)の接近離間方向に付勢されている。
【0068】
また、前記雌部材(72)は、前記スプリングバネ(72e)の基端部には端子片(72f)が接続されており、該端子片(72f)には前記警報出力装置(3)に通電するための電気線(4b)の一端が固着されている。なお、(72g)(72h)は、前記雌部材(72)の前面(72b)の中央部に設けられた鉄板と磁石である。
【0069】
しかして、複層窓材(1)が前記窓縁材(6)に対して閉鎖されると、前記マグネットプラグ(7)の雄部材(71)と雌部材(72)は前記磁石(72h)の作用により密着するとともに、前記雄部材(71)の接触端子(71a)(71a)と雌部材(72)の接触端子(72a)(72a)とが通電可能な状態で接触する。このとき、前記雌部材(72)の接触端子(72a)がスプリングバネ(72e)に付勢されているので、マグネットプラグ(7)の雄部材(71)および雌部材(71)の各接触端子(71a)(72a)の距離や位置のずれが吸収され、圧力検知装置(2)と警報出力装置(3)を確実に通電させることができる。
【0070】
なお、実施形態1および実施形態2と同一のものは同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
このように、複層窓材(1)が窓縁材(6)に対して閉鎖されると、前記マグネットプラグ(7)の雄部材(71)および雌部材(72)が通電可能な状態で接触するので、前記圧力検知装置(2)と警報出力装置(3)も通電することができる。このため、窓縁材(6)に対して開閉可能に設けられた複層窓材(1)についても、この防犯システムを容易に適用することが可能となる。
【0072】
なお、マグネットプラグはこの実施形態のものに限定されるものではなく、その他のマグネットプラグであってもよい。
【0073】
また、マグネットプラグ(7)の雄部材(71)および雌部材(72)をそれぞれ窓枠(11)および窓縁材(6)に埋設するものとしたが、窓枠(11)および窓縁材(6)の表面にそれぞれ視認可能な状態で設けるものとしてもよい。これによれば、マグネットプラグ(7)を既存の複層窓材(1)に簡単に設けることができる上に、複層窓材(1)に本防犯システムが適用されていることが一目瞭然となり、空き巣や強盗等に対して侵入を断念させる効果を奏する。
【0074】
また、前記警報装置(3)は、さらに前記マグネットプラグ(7)の雄部材(71)および雌部材(72)の通電状態が遮断された場合に警報を出力するものとなされていてもよい。これによれば、空き巣や強盗等が窓板を割らずにそのまま窓材を開放した場合でも、窓からの空き巣や強盗等の侵入を簡単かつ確実に検知することができる。
【0075】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、複層窓材の少なくともいずれか一方の窓板が割られれば、前記窓板間の隙間と外気とが連通し、前記窓板間の隙間における気体の圧力が変化するので、前記圧力検知手段がその気体の圧力の変化を検知し、その検知に伴って前記警報出力手段が警報を出力することができる。このため、空き巣や強盗等が、窓板をそのまま割った場合は勿論、振動させずあるいは切削音を立てずに窓板を専用カッター等によりカットした場合でも、窓からの空き巣や強盗などの侵入を簡単かつ確実に検知することが可能となる。
【0076】
請求項2に係る発明によれば、前記圧力検知手段の気体抜出孔から、窓板の圧力取出孔を介して、前記窓板間の隙間における気体を抜き出すことができる。なお、前記窓板の圧力取出孔は、窓板に新規に穿設してもよいし、あるいは窓板に既に穿設されている既存の気体抜出孔を流用してもよい。
【0077】
請求項3に係る発明によれば、複層窓材が前記窓縁材に対して閉鎖されると、前記マグネットプラグの雄部材および雌部材が通電可能な状態で接触するので、前記圧力検知手段と警報出力手段も通電することができる。このため、窓縁材に対して開閉可能に設けられた複層窓材についても、この防犯システムを容易に適用することが可能となる。
【0078】
請求項4に係る発明によれば、空き巣や強盗等が窓板を割らずにそのまま窓材を開放した場合でも、窓からの空き巣や強盗等の侵入を簡単かつ確実に検知することができる。
【0079】
請求項5に係る発明によれば、複層窓材が窓縁材に対して閉鎖されて、マグネットプラグの雄部材および雌部材が接触した際に、マグネットプラグの雄部材および雌部材の各接触端子の距離や位置のずれが吸収され、圧力検知手段と警報出力手段を確実に通電させることができる。なお、弾性部材には、スプリング、ばね、ゴム等が挙げられる。
【0080】
請求項6に係る発明によれば、複層窓材における断熱効果を向上させることができるとともに、前記窓板間の隙間における気体の圧力変化をより簡単かつ確実に検知することができる。なお、真空状態とは、前記窓板間の隙間における気体の圧力が0である完全な真空状態のみならず、気体の圧力が極めて低く完全な真空状態に近い状態も含むものとする
【0081】
請求項7に係る発明によれば、警備会社においても空き巣や強盗等の侵入を検知することができ、防犯システムの信頼性がより一層向上することが可能となる。
【0082】
請求項8に係る発明によれば、複層窓材に設けられた圧力検知手段を、所定の箇所に配置された警報出力手段に通電させれば、上述の複層窓材用防犯システムを簡単かつ確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る複層窓材用防犯システムの構成概略図である。
【図2】図1の複層窓材および圧力検知装置の一部切欠き斜視図である。
【図3】図1の要部拡大断面図である。
【図4】図1の警報出力装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の他の実施形態に係る複層窓材用防犯システムの要部拡大断面図である。
【図6】この発明のさらに他の実施形態に係る複層窓材用防犯システムにおける複層窓材および圧力検知装置の一部切欠き斜視図である。
【図7】図6の要部拡大断面図である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態に係る複層窓材用防犯システムの構成概略図である。
【符号の説明】
1・・・複層窓材
2・・・圧力検知装置
3・・・警報出力装置
4・・・電気線
11・・・窓枠
12・・・窓板
13・・・隙間

Claims (8)

  1. 所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板を備え、前記窓板間の隙間における気体の圧力が一定に保たれた複層窓材に用いられる複層窓材用防犯システムであって、
    前記窓板間の隙間における気体の圧力の変化を検知する圧力検知手段と、
    該圧力検知手段により前記窓板間の隙間における気体の圧力の変化が検知された場合に警報を出力する警報出力手段と、
    を備えてなることを特徴とする複層窓材用防犯システム。
  2. 前記圧力検知手段は、前記窓板に穿設された圧力取出孔に連通する気体抜出孔が設けられている請求項1に記載の複層窓材用防犯システム。
  3. 前記複層窓材が、壁の窓穴に設けられた窓縁材に対して開閉可能に設けられ、
    前記圧力検知手段に結線されたマグネットプラグの雄部材または雌部材の一方が前記複層窓材に設けられるとともに、前記警報出力手段に結線されたマグネットプラグの雄部材または雌部材の他方が前記窓縁材に設けられ、前記複層窓材が前記窓縁材に対して閉鎖された場合に、前記マグネットプラグの雄部材および雌部材が通電可能な状態で接触するものとなされている請求項1または請求項2に記載の複層窓材用防犯システム。
  4. 前記警報出力手段は、前記マグネットプラグの雄部材および雌部材の通電状態が遮断された場合に警報を出力するものとなされている請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の複層窓用防犯システム。
  5. 前記マグネットプラグは、雄部材または雌部材の少なくともいずれか一方の接触端子が弾性部材により他方の接触端子の接近離間方向に付勢されている請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の複層窓材用防犯システム。
  6. 前記窓板間の隙間は真空状態に保たれている請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の複層窓材用防犯システム。
  7. 前記警報出力手段は、前記圧力検知手段により前記窓板間の隙間における気体の圧力の変化が検知された場合に、警備会社のコンピュータに対して警報をネットワークを介して出力するものとなされている請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の複層窓材用防犯システム。
  8. 所定の隙間をあけて互いに対向する態様で配置された2枚の窓板を備え、前記窓板間の隙間における気体の圧力が一定に保たれた複層窓材であって、
    前記窓板間の隙間における気体の圧力の変化を検知する圧力検知手段が設けられてなることを特徴とする複層窓材。
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