JP2004219461A - 撮像装置およびオートフォーカス装置 - Google Patents

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JP2004219461A JP2003003404A JP2003003404A JP2004219461A JP 2004219461 A JP2004219461 A JP 2004219461A JP 2003003404 A JP2003003404 A JP 2003003404A JP 2003003404 A JP2003003404 A JP 2003003404A JP 2004219461 A JP2004219461 A JP 2004219461A
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Shinichi Fujii
真一 藤井
Akio Nakamaru
晃男 中丸
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Abstract

【課題】主被写体としての人物をより的確に合焦状態にすることが可能なオートフォーカス装置を提供する。
【解決手段】デジタルカメラ1のオートフォーカス制御部20は、被写体像を光電変換して得た画像信号で構成される画像に基づいて、撮影レンズのフォーカス制御を行う。オートフォーカス制御部20は、画像内に設定された複数の合焦評価領域のそれぞれにおける合焦状態を示す評価値を算出するコントラスト演算部22,エッジ演算部23と、複数の合焦評価領域のそれぞれにおける肌色情報を検出する肌色画素数演算部24と、被写体の撮影倍率を求める撮影倍率演算部25と、評価値と肌色情報と撮影倍率とに基づいて複数の合焦評価領域の中からフォーカス制御の対象領域を選択し、当該選択された対象領域に関する情報に基づいてフォーカス制御を行う合焦制御部29とを備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像信号を入力して、撮影レンズのフォーカス制御を行うオートフォーカス装置および撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、デジタルカメラにおけるオートフォーカス制御では、被写体を撮影して得られる画像信号より、画像のコントラストを検出し、そのコントラスト値がピークを示すレンズ位置に撮影レンズを駆動することで、画像を合焦状態に導く方法が用いられている。
【0003】
この方法は、主被写体の画像がぼけた状態であると画像のコントラストは低く、主被写体の画像が合焦状態に近づくにつれて次第にコントラストが上昇し、完全な合焦状態となったところでコントラストが最大になるという原理に基づくものである。そのため、このオートフォーカス制御においては、撮影レンズを所定ピッチで駆動しつつ各レンズ位置においてコントラストの検出を行い、コントラストがピークを示すレンズ位置を撮影レンズの合焦位置として特定し、その合焦位置に撮影レンズ(より厳密にはフォーカシングレンズ)を移動させるような制御形態が採用されている。このような制御形態は、フォーカシングレンズを移動させながら、コントラストなどのAF用の評価値が最適化(多くの場合、最大化)される位置を撮影レンズの合焦位置として特定することから、「コントラスト方式(ないし山登り方式)」と称せられているものである。
【0004】
このような制御技術においては、撮像装置までの距離が互いに異なる主被写体と非主被写体とを撮影する場合に、非主被写体を合焦状態にするフォーカシングレンズのレンズ位置を、主被写体を合焦状態にするレンズ位置として誤検出してしまう問題、いわゆる「擬合焦」の問題が存在する。
【0005】
たとえば、主被写体として人物を撮影する場合、その人物以外の被写体である非主被写体(背景被写体など)を対象とするAFエリアに関するAF用評価値を用いてAF制御を行うときには、そのAFエリア内の非人物の被写体が合焦状態になる一方で、本来合焦状態とすべき主被写体が非合焦状態(いわゆるピンぼけ状態)になってしまうことがある。これは、AF用評価値の本来の最大値ではない局所的な極大値がそのAFエリアで検出され、その極大値に対応するレンズ位置が主被写体を合焦状態にするレンズ位置として誤って検出されてしまうことなどに起因する。
【0006】
これに対して、人物を検出してオートフォーカスを行う技術として、特許文献1に記載の技術が存在する。特許文献1では、画像内の肌色領域を検出することによって人物を検出している。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−146405号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、画像全体を演算対象にして肌色領域を検出している。そのため、演算量が膨大になってしまい、処理負荷が増大するという問題がある。
【0009】
そこで、この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、処理負荷の増大を抑制しつつ、主被写体としての人物をより的確に合焦状態にすることが可能なオートフォーカス装置(自動合焦装置)および撮像装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、被写体像を光電変換して得た画像信号で構成される画像に基づいて、撮影レンズのフォーカス制御を行う撮像装置であって、前記画像内に設定された複数の合焦評価領域のそれぞれにおける合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、前記複数の合焦評価領域のそれぞれにおける肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、前記複数の合焦評価領域のそれぞれにおける対応被写体の撮影倍率を求める撮影倍率取得手段と、前記撮影倍率と前記評価値と前記肌色情報とに基づいて前記複数の合焦評価領域の中から前記フォーカス制御の対象領域を選択し、当該選択された対象領域に関する情報に基づいて前記フォーカス制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る撮像装置において、前記肌色情報は、肌色画素数であり、前記制御手段は、前記複数の合焦評価領域のうち、所定の第1閾値よりも大きな肌色画素数を有するという第1条件と対応被写体の撮影倍率が所定範囲内の値であるという第2条件との両方の条件を満たす合焦評価領域を、前記対象領域として選択することを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る撮像装置において、前記第2条件は、対応被写体の撮影倍率が1/200より大きく1/8より小さいという条件であることを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、被写体像を光電変換して得た画像信号で構成される画像に基づいて、撮影レンズのフォーカス制御を行うオートフォーカス装置であって、前記画像内に設定された複数の合焦評価領域のそれぞれにおける合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、前記複数の合焦評価領域のそれぞれにおける肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、前記複数の合焦評価領域のそれぞれにおける対応被写体の撮影倍率を求める撮影倍率取得手段と、前記撮影倍率と前記評価値と前記肌色情報とに基づいて前記複数の合焦評価領域の中から前記フォーカス制御の対象領域を選択し、当該選択された対象領域に関する情報に基づいて前記フォーカス制御を行う制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
<A.構成>
<構成概要>
図1はこの発明にかかるオートフォーカス装置が適用されたデジタルカメラ1(撮像装置)の構成を示すブロック図である。
【0016】
デジタルカメラ1は、被写体を撮影するための撮影機能を実現する撮影機能部10と、撮影機能部10において撮影動作が行われて生成される画像信号を入力して、撮影レンズ11のフォーカス制御を行うオートフォーカス制御部20と、撮影機能部10及びオートフォーカス制御部20を含むデジタルカメラ1の全体的な動作を制御する全体制御部50と、シャッタボタン等の操作ボタンを含む操作部60と、オートフォーカス制御部20からの制御信号に基づいて撮影レンズ11を駆動するレンズ駆動部70とを備えて構成される。
【0017】
撮影機能部10は、レンズ駆動部70の駆動によって光軸方向に沿って移動可能なフォーカシングレンズ12を含む撮影レンズ11、撮影レンズ11を介して入射する被写体像を光電変換して画像データ(画素ごとの画素データの配列からなるデータ)を生成するCCD撮像素子13、CCD撮像素子13からの画像データを一時的に格納するための画像メモリ14、画像メモリ14から得られる画像データに対して色変換処理や画像圧縮処理等の所定の画像処理を行う画像処理部15、画像処理部15において画像表示用の画像処理が施された表示用画像を表示する液晶表示部16、及び、画像処理部15において画像記録用の画像処理が施された撮影画像を記録する記録メディア17、を備えて構成される。
【0018】
撮影機能部10は、全体制御部50の制御によって、本撮影前にライブビュー画像を液晶表示部16に表示させるためのライブビュー画像撮影動作と、シャッタボタンが全押しされたときに記録メディア17に記録するための画像撮影を行う本撮影動作とを行うように構成される。なお、ライブビュー画像撮影動作時には、本撮影動作時に比べて画像処理部15において比較的簡単な画像処理が施される。また、液晶表示部16がオフ状態であったとしても、少なくともオートフォーカス制御時にはCCD撮像素子13による撮影動作が行われる。
【0019】
また、オートフォーカス制御部20は、画像の合焦状態を評価するために予め設定された複数の合焦評価領域(以下、「AFエリア」とも称する)に基づいて画像メモリ14から合焦評価領域の画像成分を抽出する合焦評価領域抽出部21と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像のコントラスト値Cを求めるコントラスト演算部22と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像のエッジ成分に関する演算を行い、エッジ数ENとエッジ幅重心値EWを求めるエッジ演算部23と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて画像の肌色画素数を求める肌色画素数演算部24と、各合焦評価領域の画像成分に基づいて対応被写体の撮影倍率βを求める撮影倍率演算部25と、コントラスト値C、エッジ数EN、エッジ幅重心値EW、肌色画素数SV、および撮影倍率βに基づいて画像の合焦状態を判定し、撮影レンズ11の合焦位置を特定するとともに、レンズ駆動部70に対してレンズ駆動のための制御信号を送出する合焦制御部29とを備えて構成される。なお、オートフォーカス制御部20における上記各部の機能は、CPUが所定のプログラムを実行することによって実現されるように構成してもよい。
【0020】
全体制御部50は、例えばシャッタボタンが半押し状態にされたときに合焦評価領域の画像成分が適切な合焦状態となるようにオートフォーカス制御部20を機能させ、全押し状態にされたときに撮影機能部10において本撮影動作を行うように制御する。また、全体制御部50は本撮影前にはライブビュー画像撮影動作として撮影機能部10において逐次画像撮影を行わせ、逐次更新される画像を液晶表示部16に表示させたり、オートフォーカス制御部20に与えるように制御する。
【0021】
レンズ駆動部70はオートフォーカス制御部20の合焦制御部29から与えられる制御信号に基づいてフォーカシングレンズ12を例えば遠側から近側に向けて移動させる。このときの駆動ピッチは合焦制御部29によって指定される。そしてオートフォーカス制御部20において合焦評価領域の画像成分が合焦状態となるレンズ位置(合焦位置)が特定され、レンズ駆動部70が合焦制御部29よりその合焦位置が指定された場合には、その指定されたレンズ位置にフォーカシングレンズ12を移動させて合焦評価領域の画像成分が合焦した状態の画像をCCD撮像素子13に結像させる。
【0022】
以上のような構成のデジタルカメラ1においてオートフォーカス制御を行う際には、フォーカシングレンズ12が駆動されるごとにオートフォーカス制御部20において合焦評価領域の画像成分から画像のコントラストを評価するだけでなく、その画像成分のエッジ成分からフォーカシングレンズ12が合焦位置の近傍にあるか否かを判断し、エッジ成分からフォーカシングレンズ12が合焦位置近傍にないと判断される場合には、コントラストがピークを示す場合であってもそのピーク位置を合焦位置に採用しないように構成される。また、複数の合焦評価領域の中から、撮影レンズのフォーカス制御の対象となるエリア(以下、対象エリアないし対象領域とも称する)が選択され、この対象エリアの情報(コントラスト値など)に基づいてオートフォーカス制御が行われる。なお、対象領域は、「合焦動作に用いるべき合焦評価領域」とも表現することができる。
【0023】
<合焦評価領域>
図2(a)は複数の合焦評価領域の一例を示す図である。ここでは、合焦評価領域FRとして、7つの合焦評価領域FR1〜FR7が例示されている。画像G1は、CCD撮像素子13の撮影動作によって得られる画像である。
【0024】
この実施の形態では、図2(a)に示すように画像G1のほぼ中央部分に合焦評価領域FR1〜FR7が設定され、オートフォーカス制御部20においてはこの合焦評価領域FR1〜FR7に含まれる画像成分に基づいて、画像のコントラスト及びエッジ成分などが評価される。なお、図2(a)に示す合焦評価領域FR1〜FR7は一例であり、実際にデジタルカメラ1等に適用する際には他の合焦評価領域を設定してもよい。また、複数の合焦評価領域は、互いに重ね合わせられて設けられてもよい。たとえば、図2(b)に示すように、複数の合焦評価領域FR1〜FR11が、その一部が互いに重ね合わせられた状態で設けられてもよい。ただし、肌色領域演算の処理負荷の増大を抑制するため、合焦評価領域FRiの合計面積(合計画素数)は画像全体領域の面積(画素数)よりも小さいことが好ましい。
【0025】
合焦制御部29は、これらの複数の合焦評価領域FRi(i=1,...,K;ここではK=7)の中から、所定の条件(後述)を満たす領域を撮影レンズのフォーカス制御の対象エリア(対象領域)として選択し、当該選択された対象エリアに関するコントラスト値に基づいて撮影レンズのフォーカス制御を行う。
【0026】
オートフォーカス制御部20においては、まず、合焦評価領域抽出部21が画像メモリ14に格納された画像から複数の合焦評価領域FRiに対応する画像成分を抽出する。
【0027】
CCD撮像素子13は、いわゆるベイヤー配列の画素配列構造となっており、CCD撮像素子13で撮影動作が行われると、ベイヤー配列に従った全画面分のR(赤),G(緑),B(青)各色成分の画素データが画像メモリ14に格納される。
【0028】
このため、合焦評価領域抽出部21が合焦評価領域FRiの画像成分を抽出する際には、合焦評価領域FRiに対応する各色成分の画素データを抽出することになる。
【0029】
そして、合焦評価領域抽出部21によって抽出された画像成分は、コントラスト演算部22、エッジ演算部23、および肌色画素数演算部24に与えられる。コントラスト演算部22によりコントラスト値Cが算出され、エッジ演算部23によりエッジ数ENおよびエッジ幅重心値EWが算出され、肌色画素数演算部24により肌色画素数SVが算出される。また、撮影倍率演算部25は、合焦状態と判定されるときのフォーカシングレンズの位置などに基づいて、各合焦評価領域FRiに関する対応被写体の撮影倍率βを算出する。
【0030】
つぎに、これらの各値C,EN,EW,SV,βおよび各値の算出動作等について説明する。
【0031】
<肌色エリア>
まず、肌色画素数SVについて説明する。
【0032】
肌色画素数演算部24は、色成分(R,G,B)の画素データを次の数1に基づいて別の色空間表現(Y,U,V)に変換し、変換後のUV空間の所定範囲内にある画素を肌色画素として検出する。
【0033】
【数1】
Figure 2004219461
【0034】
より具体的には、肌色画素数演算部24は、肌色画素に対応する(U,V)の組合せがUV空間における第2象限の所定範囲内に存在するという性質を利用して、肌色画素を検出する。詳細には、肌色画素数演算部24は、その(U,V)の組合せが領域RAおよび領域RB(図3参照)の少なくとも一方に存在する画素を、肌色画素として検出する。ここで、図3に示すように、領域RAは、TH14<U<TH12、且つ、TH16<V<TH18、を満たす矩形領域であり、領域RBは、TH13<U<TH11、且つ、TH15<V<TH17、を満たす矩形領域である。領域RAおよび領域RBの和領域(領域RAおよび領域RBの両方を包含する領域)は、UV平面における肌色領域を近似した領域に相当する。このような近似を用いることにより、合焦評価領域FRiの各画素が肌色画素であるか否かを的確かつ高速に検出することができる。
【0035】
そして、合焦制御部29は、各合焦評価領域FRi内の肌色画素数SVが所定の閾値TH20よりも大きい(SV>TH20)ときに、その合焦評価領域FRiが肌色成分を多く含む領域(以下、肌色エリア(ないし肌色領域)とも称する)であると判定する。言い換えれば、各合焦評価領域FRi内の全画素に対する肌色画素数の割合が所定の閾値よりも大きくなると、その合焦評価領域FRiは肌色エリアと判定される。このように、合焦制御部29は、SV>TH20という条件D1を満たす領域を肌色エリアとして判定する。
【0036】
また、合焦制御部29は、複数の合焦評価領域FRiの中に肌色エリアが存在するか否かに応じてフォーカス制御を変更する。この実施形態においては、この肌色エリアの有無に加えて、条件D2,D3(後述)等をも考慮してフォーカス制御を行う。
【0037】
具体的には、合焦制御部29は、少なくとも1つの肌色エリアが存在する場合には、その少なくとも1つの肌色エリアのうち条件D2(後述)を満たすものが存在することなどを条件に、主被写体の画像が合焦状態に近いと判定する。これにより、肌色の被写体(主被写体)と肌色でない被写体(非主被写体)とが存在する場合において、肌色でない被写体(非主被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減して、肌色の人物をより的確に合焦状態にすることができる。
【0038】
一方、複数の合焦評価領域FRiのうち1つも肌色エリアが存在しない場合には、条件D2(後述)を満たす合焦評価領域FRiが存在するときにのみ主被写体の画像が合焦状態に近いと判定する。これにより、人物以外のみを被写体とする場合において、その被写体をより的確に合焦状態にすることができる。
【0039】
<コントラスト値>
次に、コントラスト値Cについて説明する。
【0040】
コントラスト演算部22は、図4に示すような構成となっている。すなわち、コントラスト演算部22は、注目画素と、その注目画素の近隣に位置し、かつ注目画素と一定の位置関係を有する画素との差分絶対値を求める差分演算部221、及び、その差分演算結果を累積加算していく累積加算部222、を備えて構成される。差分演算部221は合焦評価領域FRiに含まれる全ての画素が注目画素として選択されるまで演算を行い、累積加算部222は合焦評価領域FRiに含まれる各画素が注目画素として選択されたときに求められる差分絶対値を順次累積加算していき、最終的に合焦評価領域FRiについてのコントラスト値Cを求める。
【0041】
なお、コントラスト演算部22においてコントラスト値Cを求める際には、画像メモリ14から得られるR,G,Bの各色成分の画素データに基づいて演算を行うようにしてもよいし、また、R,G,Bの各色成分の画素データから一旦輝度データを生成し、その輝度データに基づいて演算を行うようにしてもよい。
【0042】
図5は、フォーカシングレンズ12のレンズ位置を遠側から近側に移動させた場合に、各レンズ位置において撮影される画像からコントラスト演算部22がコントラスト値Cを求めた場合のコントラスト値Cの変化を示す図である。図5に示すように、コントラスト値Cは合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態となるときに最大値を示す。このため、図5に示すコントラスト曲線においては、レンズ位置PAが合焦位置となる。
【0043】
また、図5に示すように、レンズ位置PBにおいてコントラスト値Cの疑似ピークが発生している。この疑似ピークは、たとえば、手ぶれ等のために瞬間的に別の被写体が画像中に含まれるなどの原因によって生じるものである。一般に、コントラスト方式のオートフォーカス制御を行う場合においてコントラスト値Cが一定値C1よりも小さい場合にはローコントラストであると判断してそのようなピーク位置を合焦位置と特定することはないが、疑似ピークが一定値C1以上の値を示している場合には、そのような疑似ピークを誤って合焦位置と判断する可能性がある。
【0044】
このような疑似ピークに起因する悪影響は、次述するエッジ成分を考慮することによって低減することができる。この実施の形態では、上記のような疑似ピークを誤って合焦位置と判断することがないようにするために、エッジ演算部23においてエッジ成分に関する演算が行われる。
【0045】
<エッジ数、エッジ幅重心値>
次に、エッジ数EN、エッジ幅重心値EWについて説明する。
【0046】
図6はエッジ演算部23の構成を示すブロック図である。エッジ演算部23は合焦評価領域FRiの画像成分について水平方向に隣接画素間での差分値を求めることによってエッジ成分が存在するか否かを判定し、エッジ成分が存在する場合にはそのエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを求めるように構成される。このため、エッジ演算部23は、差分演算部231、エッジ幅検出部232、エッジ数カウント部233、ヒストグラム作成部234、及びエッジ幅重心値演算部235を備える。
【0047】
図7はエッジ演算部23における演算処理の概念を示す図である。なお、図7において画素X1〜X9は合焦評価領域FRiにおいて水平方向に連続して配置される画素を示している。
【0048】
差分演算部231は水平方向に隣接する画素の各色成分の画素データを入力すると、その画素に対応する輝度値を求め、その直前の画素の輝度値との差分値を求める。例えば、図7において差分演算部231が画素X2についての各色成分の画素データを入力すると、画素X2の輝度値を求め、画素X1の輝度値と画素X2の輝度値との差分値(X2−X1)を求める。
【0049】
このときの差分演算は、例えば、注目画素の輝度値からその直前の画素の輝度値を減算するという演算が行われ、演算結果となる差分値の符号が正であれば右肩上がりのエッジ成分が検出され、負であれば右肩下がりのエッジ成分が検出されることになる。ただし、この実施の形態では最終的にエッジ数ENとエッジ幅重心値EWとを求めればよく、各エッジ成分が右肩上がりか右肩下がりかを厳密に区別する必要はない。
【0050】
そして差分演算部231は画素X3についての画素データを入力すると、その輝度値を求めて、画素X3の輝度値と画素X2の輝度値との差分値を求める。以後、差分演算部231は、水平方向に分布する画素X4,X5,X6,…の画素データを順次入力する都度、輝度値の算出演算を行うとともに、その画素の輝度値とその直前の画素の輝度値との差分演算処理を行う。
【0051】
差分演算部231で算出される差分値はエッジ幅検出部232に与えられる。エッジ幅検出部232には、第1の閾値TH1と第2の閾値TH2とが予め設定されている。第1の閾値TH1は隣接画素間での差分値がエッジ成分を構成するか否かを判断するための閾値であり、第2の閾値TH2はそのエッジ成分が十分な強度を有しているか否かを判断するための閾値である。
【0052】
エッジ幅検出部232は、差分演算部231から輝度値の差分値が得られると、その差分値と閾値TH1とを比較する。この結果、差分値が閾値TH1以上であれば、その画素はエッジ成分を構成するものとしてエッジ幅カウント値を1だけ増加させる。例えば、図7に示す画素X4と画素X3との差分値を入力した場合、その差分値は閾値TH1を超えているため、エッジ幅検出部232はエッジ幅カウント値を1だけ増加させる。以後同様の処理を繰り返し、画素X5と画素X4との差分値、画素X6と画素X5との差分値、及び、画素X7と画素X6との差分値のそれぞれは、閾値TH1を超えているため、エッジ幅検出部232はそれぞれの判定処理においてエッジ幅カウント値を1だけ増加させることになる。
【0053】
そして、画素X8と画素X7との差分値が得られると、その差分値は閾値TH1よりも小さいため、エッジ成分の終端部であることを認識し、それまでエッジ幅カウント値を増加させてきた、差分値の総和と第2の閾値TH2とを比較する。図7の場合は、画素X7と画素X3との輝度値の差分値が閾値TH2以上であるため、十分な強度を有するエッジ成分であることが検出される。そして、エッジ幅検出部232はそれまでカウントされたエッジ幅カウント値をそのエッジ成分のエッジ幅として特定する。このように隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さくなった場合であってエッジ幅カウント値が1以上である場合には、エッジ成分が検出されていることとなり、そのエッジ成分の強度が所定の強度(閾値TH2)以上であれば、そのエッジ成分を有効なエッジ成分として認識する。
【0054】
一方、隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さくなった場合であってエッジ幅カウント値が1以上である場合であっても、そのエッジ成分の強度が所定の強度(閾値TH2)未満であれば、そのエッジ成分は有効なエッジ成分ではないものと認定する。
【0055】
なお、隣接画素間の差分値が閾値TH1よりも小さい場合であってもエッジ幅カウント値が0であれば、エッジ成分が有効であるか否かの判断は行う必要がなく、順次に入力する差分値が閾値TH1以上であるか否かの判定を進めていけばよい。
【0056】
図7の例の場合は、画素X4と画素X3との差分値が得られたときにはじめてエッジ幅カウント値が1となり、その後順次エッジ幅カウント値が増加していき、最終的に画素X8と画素X7との差分値が得られてエッジ成分の終端部が認識されたときにはエッジ幅カウント値は4となっている。そして、画素X3〜X7によって構成されるエッジ成分が閾値TH2を超えているため、該エッジ成分は有効なものとして認識されることになる。
【0057】
そして、エッジ幅検出部232において有効なエッジ成分が検出された場合には、その検出されたエッジ成分のエッジ幅カウント値がヒストグラム作成部234に与えられるとともに、エッジ数カウント部233にエッジ数のカウント指示が与えられる。
【0058】
エッジ幅検出部232はヒストグラム作成部234に対してエッジ幅カウント値を与えると、エッジ幅カウント値を0にリセットし、それ以後に入力する差分値に基づいてエッジ幅検出処理を繰り返すことで、合焦評価領域FRiの画像成分全体について有効なエッジ成分の検出を行う。
【0059】
エッジ数カウント部233は、予めエッジ数カウント値を0に初期化しており、エッジ幅検出部232からエッジ数のカウント指示が与えられる度に、エッジ数カウント値を1だけ増加させていく。これにより、合焦評価領域FRiの画像成分に含まれる有効なエッジ成分を計数していくことが可能になり、最終的にエッジ数ENが出力される。
【0060】
図8はフォーカシングレンズ12の各レンズ位置において得られる画像からエッジ数ENを求めた場合のレンズ位置とエッジ数との関係を示す図である。図8に示すように、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態にあるときには鮮鋭な画像が得られるため、エッジ数は最大値を示す。このため、フォーカシングレンズ12のレンズ位置PAが合焦位置となる。また、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下し、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなる。このため、ノイズの影響がないものとすると、フォーカシングレンズ12がレンズ位置PC〜PDの範囲内の位置にあるときにはエッジ数ENは0以外の値を示すが、レンズ位置PC〜PDの範囲外の位置にあるときにはエッジ数ENは0となる。
【0061】
また、ノイズの影響をある程度考慮したとしても、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、エッジ数ENは閾値N1より大きな値をとり、合焦状態に近い状態にないときには、エッジ数ENは閾値N1以下の値をとることが多いと考えられる。
【0062】
したがって、エッジ数カウント部233においてカウントされるエッジ数ENの値を参照すれば、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときに、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるか否かを判断することが可能になる。
【0063】
また、ヒストグラム作成部234は、エッジ幅検出部232から得られるエッジ幅カウント値に基づいて、合焦評価領域FRiに含まれるエッジ成分のヒストグラムを作成する。
【0064】
図9はエッジ成分のヒストグラムを示す図である。なお、図9において分布曲線H1は合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときを示しており、また、分布曲線H2は合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にないときを示している。
【0065】
図9に示すように、ヒストグラム作成部234は、エッジ幅検出部232から得られるエッジ幅カウント値に基づいて、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときの画像成分からエッジ幅に関するヒストグラムを作成すると、エッジ幅の分布状態は画像成分の合焦状態に応じた分布を示す。つまり、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、画像の鮮鋭度が増すのでエッジ幅は全体的に小さくなり、エッジ幅の分布状態もエッジ幅の比較的小さい領域に分布することになる。これに対して、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下し、エッジ幅の分布状態はエッジ幅の比較的大きな領域に分布するように移行する。そして、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなるため、エッジ幅分布曲線は全く得られなくなる。
【0066】
ヒストグラム作成部234においてエッジ成分のヒストグラムが作成されると、エッジ幅重心値演算部235が機能し、そのヒストグラムからエッジ幅重心値EWが求められる。エッジ幅重心値演算部235は、エッジ成分のヒストグラム分布に基づいて加重平均演算を行うことにより、エッジ幅の平均値を求め、その結果得られる値をエッジ幅重心値EWとする。
【0067】
例えば、図9の分布曲線H2に示すヒストグラム分布の場合、エッジ幅重心値演算部235は加重平均演算を行うことによってエッジ幅重心値EW2を求める。また、図9の分布曲線H1に示すヒストグラム分布の場合、エッジ幅重心値演算部235は加重平均演算を行うことによってエッジ幅重心値EW1を求める。
【0068】
なお、エッジ幅重心値EW1は、画像成分が合焦状態に近づくにつれて次第に小さくなり、ある値に収束していくこととなる。
【0069】
図10は、フォーカシングレンズ12の各レンズ位置において得られる画像からエッジ幅重心値EWを求めた場合のレンズ位置とエッジ幅重心値との関係を示す図である。図10に示すように、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態にあるときには鮮鋭な画像が得られるため、エッジ幅重心値は極小値を示す。このため、フォーカシングレンズ12のレンズ位置PAが合焦位置となる。また、合焦評価領域FRiに含まれる画像成分が合焦状態から遠ざかるにつれて画像の鮮鋭度は低下するのでエッジ幅重心値EWは増加し、ある程度ぼけた状態となると、合焦評価領域FRiの画像成分からは有効なエッジ成分は検出されなくなる。つまり、エッジ幅重心値EWとレンズ位置との関係をみると、図10に示すようにエッジ幅重心値EWはM字型特性を示す。
【0070】
このため、ノイズの影響がないものとすると、フォーカシングレンズ12がレンズ位置PE〜PFの範囲内の位置にあるときにはエッジ幅重心値EWは0以外の値を示すが、レンズ位置PE〜PFの範囲外の位置にあるときにはエッジ幅重心値EWは0となる。なお、レンズ位置PEは図8に示したレンズ位置PCにほぼ一致し、レンズ位置PFは図8に示したレンズ位置PDにほぼ一致する。
【0071】
また、ノイズの影響をある程度考慮したとしても、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるときには、エッジ幅重心値EWは閾値W1より大きくかつ閾値W2より小さな値をとり、合焦状態に近い状態にないときには、エッジ幅重心値EWは閾値W1以下又は閾値W2以上の値をとることが多いと考えられる。
【0072】
したがって、エッジ幅重心値演算部235において求められるエッジ幅重心値EWの値を参照すれば、フォーカシングレンズ12があるレンズ位置にあるときに、合焦評価領域FRiの画像成分が合焦状態に近い状態にあるか否かを判断することが可能になる。
【0073】
合焦制御部29は、エッジ演算部23から得られるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWに基づいて合焦評価領域FRiの合焦状態を評価する。
【0074】
合焦制御部29は撮影レンズ11に含まれるフォーカシングレンズ12を段階的に駆動させ、或るレンズ位置における画像内の或る合焦評価領域FRiから導かれるエッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示し、かつ、そのときのエッジ幅重心値EWが所定範囲(図10に示す閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値を示すという条件D2を満たす場合には、そのレンズ位置が合焦位置PAに近い位置にあると判断する。つまり、合焦制御部29は、エッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示し、かつ、そのときのエッジ幅重心値EWが所定範囲(図10に示す閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値を示すという条件が、レンズ位置が合焦位置の近傍にあると判定する条件(合焦位置近傍判定条件)であるとして、合焦位置近傍判定を行うのである。
【0075】
そして合焦位置近傍判定によってレンズ位置が合焦位置PAに近い位置にないと判断した場合には、コントラスト値Cが増加するようなレンズ駆動方向を特定してその方向にフォーカシングレンズ12を高速駆動する。この高速駆動によって、効率的に合焦位置近傍にフォーカシングレンズ12を移動させることができ、効率的にオートフォーカス制御を行って合焦評価領域FRiの画像成分を迅速に合焦状態に導くことが可能になる。
【0076】
上記のような構成により、合焦評価領域抽出部21はフォーカシングレンズ12が或るレンズ位置にあるときの画像信号から合焦評価領域の画像成分を抽出し、そしてコントラスト演算部22はその画像成分に基づいてコントラスト値Cを求めて、合焦制御部29に与えることができる。また、エッジ演算部23はその画像成分に基づいてエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを求め、合焦制御部29に与えることができる。そして合焦制御部29は、エッジ演算部23から得られるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWに基づいてフォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断し、合焦位置近傍に位置しないと判断される場合にはコントラスト値Cがピークを示していてもそのレンズ位置を合焦位置として採用しないように実現される。
【0077】
この結果、疑似ピークを示すレンズ位置が合焦位置として誤検知されることを良好に防止することが可能になる。これは、デフォーカス量が大きい場合にはエッジ成分が検出されない、という性質を利用するものである。より具体的には、デフォーカス量が大きい場合には、エッジ数ENおよびエッジ幅重心値EWが、それぞれ、ゼロないし非常に小さな値となるため、合焦位置近傍に位置すると判断するための条件が満たされなくなるのである。
【0078】
<撮影倍率>
つぎに、撮影倍率βについて説明する。
【0079】
撮影倍率βは、図11に示すように、レンズによってできる像の大きさy1と物体の大きさy2との比であり、被写体距離(被写体までの距離、あるいは撮影距離とも称する)Lとレンズの焦点距離fとを用いて次の数2で表される。
【0080】
【数2】
Figure 2004219461
【0081】
ここで、被写体距離Lは、合焦状態(ないし合焦状態近傍)におけるフォーカシングレンズの位置に基づいて求められる。合焦状態(ないし合焦状態近傍)であるか否かは、コントラスト値C、エッジ数EN、エッジ幅重心値EWを用いて判定すればよい。より詳細には、被写体距離Lは、コントラスト値Cの変化曲線のピークに対応するフォーカシングレンズ位置を合焦位置として用いるとともに、合焦位置と被写体距離との関係が規定されたテーブルを用いることによって、求められる。あるいは、条件D2を満たすAFエリアは合焦状態であるとみなして、そのフォーカシングレンズ位置を合焦位置として用いて同様に求めてもよい。
【0082】
また、レンズの焦点距離fは、ズームレンズの位置に基づいて求められる。ただし、レンズ焦点距離fは、35mmフィルム換算値で表すものとする。
【0083】
ところで、人物撮影を行う際には、画面内における人物の大きさが適度のものとなるような撮影倍率が用いられることが多い。そこで、この実施形態においては、このような特性を利用し、各AFエリアの対応被写体の撮影倍率βが所定範囲内の値である(βmin<β<βmax)という条件D3をも、対象エリア選択のための条件として考慮するものとする。
【0084】
ここで、値βmin,βmaxは、それぞれ、撮影倍率βに関する判断に用いられる下限値、上限値である。具体的には、値βminは、1/200とすることが好ましく、1/150とすることがさらに好ましい。また、値βmaxは、1/8とすることが好ましく、1/10とすることがさらに好ましい。
【0085】
たとえば、焦点距離fが40mm(35mmフィルム換算値)の場合には、β=1/200となるのは被写体距離Lが8000mm(8m)のときであり、β=1/8となるのは被写体距離Lが320mmのときである。また、β=1/150となるのは被写体距離Lが6000mm(6m)のときであり、β=1/10となるのは被写体距離Lが400mmのときである。
【0086】
また、焦点距離fが100mm(35mmフィルム換算値)の場合には、β=1/200となるのは被写体距離Lが20000mm(20m)のときであり、β=1/8となるのは被写体距離Lが800mmのときである。また、β=1/150となるのは被写体距離Lが15000mm(15m)のときであり、β=1/10となるのは被写体距離Lが1000mmのときである。
【0087】
上記の条件D3を満たせば、そのAFエリアの対応被写体が人物であるという確実性がより高まることになる。この実施形態では、条件D3をさらに条件D1,D2とも組み合せることによって、人物被写体が合焦状態となっているか否かをより的確に判定する。
【0088】
具体的には、合焦制御部29は、複数の合焦評価領域FRiの中に肌色エリアが存在する場合には、さらに条件D2,D3をも満たすか否かを考慮してフォーカス制御を行う。より詳細には、合焦制御部29は、少なくとも1つの肌色エリアが存在する場合には、その少なくとも1つの肌色エリアのうち、上述の条件D2を満たし且つ撮影倍率βについての条件D3を満たすものが存在することを条件に、主被写体の画像が合焦状態に近いと判定する。
【0089】
これにより、その肌色エリアの被写体が主被写体の人物であることをさらに的確に判定することができる。たとえば、非主被写体(人物あるいは他の物体)が主被写体の人物よりも非常に近い位置あるいは非常に遠い位置に存在する場合を想定する。この場合において、肌色エリアの撮像倍率βが条件D3を満たすときには、その肌色エリアの対応被写体が主被写体としての人物である確率は非常に高い。したがって、条件D3を考慮することによれば、その肌色エリアの被写体が主被写体の人物であることをさらに的確に判定することができる。一方、肌色エリアの撮像倍率βが条件D3を満たさないときには、その肌色エリアは非主被写体に対応するエリアであるとみなし、その肌色エリアを対象エリアとして選択しないことによって、擬合焦の発生を回避できる。
【0090】
<B.動作>
次に、上記のような構成のデジタルカメラ1においてオートフォーカス制御を行う際の処理シーケンスについて説明する。図12〜図15はオートフォーカス制御の処理シーケンスを示すフローチャートである。図12は、オートフォーカス制御の全体の流れを示すフローチャートであり、図13、図14、図15は、それぞれ、その一部の流れを示す図である。
【0091】
まず、シャッタボタンが半押し状態にされてオートフォーカス制御が開始されると、オートフォーカス制御部20は撮影レンズ11内のフォーカシングレンズ12をレンズ初期位置に移動させ、そのレンズ初期位置においてCCD撮像素子13から得られる画像からコントラスト値を求める。
【0092】
そして、レンズ微小駆動ルーチン(ステップS10)が実行される。具体的には、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12をレンズ初期位置から近側に12Fδ分移動させる方向判定駆動を行う(図13、ステップS11)。ここで、Fは撮影レンズ11のFナンバであり、δはいわゆる許容錯乱円であり、デジタルカメラ1の場合はCCD撮像素子13の1〜2画素間のピッチに相当する。そしてオートフォーカス制御部20は、そのレンズ位置においてCCD撮像素子13から得られる画像からコントラスト値を求める。
【0093】
なお、ステップS11においてコントラスト値を求める際には、オートフォーカス制御部20においてコントラスト演算部22が機能することになる。また、方向判定駆動量は12Fδ分に限るものではない。
【0094】
次に、オートフォーカス制御部20において合焦制御部29が機能し、レンズ初期位置におけるコントラスト値と12Fδ駆動後のレンズ位置におけるコントラスト値とを比較してフォーカシングレンズ12のレンズ駆動方向を決定する(ステップS12)。すなわち、レンズ初期位置におけるコントラスト値と12Fδ駆動後のレンズ位置におけるコントラスト値とのうちのコントラスト値が大きくなる方向にフォーカシングレンズ12の合焦位置が存在するものと推定し、コントラスト値が大きくなる方向をレンズ駆動方向として決定する。
【0095】
続いて、オートフォーカス制御部20はレンズ駆動形態を決定する(ステップS13,S14,S21〜S23)。レンズ駆動形態には、フォーカシングレンズ12の合焦位置を検出するためにフォーカシングレンズ12を微小駆動させる駆動形態と、フォーカシングレンズ12を粗いピッチで高速駆動することによってフォーカシングレンズ12を合焦位置近傍に高速移動させる駆動形態とがある。
【0096】
オートフォーカス制御部20のエッジ演算部23は、その時点で得られる画像に基づいて、各合焦評価領域FRiにおけるエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを算出する(ステップS13)。また、肌色画素数演算部24は、その時点で得られる画像に基づいて、各合焦評価領域FRiにおける肌色画素数SVを算出する(ステップS14)。
【0097】
その後、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断する(ステップS21〜S23)。
【0098】
具体的には、まず、複数の合焦評価領域FRiの中で「肌色エリア」が存在するか否かが判定される(ステップS21)。より詳細には、上述したように、その肌色画素数SVが所定の閾値TH20よりも大きい(SV>TH20)という条件D1を満たす合焦評価領域FRiは、肌色エリアであると判定される。
【0099】
このような肌色エリアが少なくとも1つ存在するときにはステップS22に進み、肌色エリアが1つも存在しないときにはステップS23に進む。
【0100】
ステップS22においては、高速スキャンルーチン(ステップS30)に移行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。
【0101】
具体的には、「肌色エリア(すなわち、条件D1を満たす合焦評価領域FRi)」のうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たし且つ条件D3(すなわち、βmin<β<βmax)を満たすものが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体(より正確には被写体の画像)が合焦状態に近いと判定し、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。上述したように、条件D2は、エッジ数ENが所定値N1より大きな値であり、かつ、エッジ幅重心値EWが所定範囲(閾値W1より大きくかつ閾値W2未満)内の値であるという条件である。また、条件D3は、撮影倍率βが下限値βminよりも大きく上限値βmaxよりも小さいという条件である。
【0102】
一方、肌色エリアは存在するにもかかわらず、いずれの肌色エリアも条件D2,D3の少なくとも一方を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近くないものと判定し、高速スキャンルーチン(ステップS30)へ進む。
【0103】
このように、肌色エリアが存在する場合において、近傍スキャンルーチンへ進むのは、条件D2,D3を満たす肌色エリアが存在するときのみである。そして、肌色エリアが存在する場合には、「肌色エリア以外の合焦評価領域」(以下、非肌色エリアとも称する)のみが条件D2,D3の両方を満たすときであっても、近傍スキャンルーチンには進まず、高速スキャンルーチンに進む。すなわち、非肌色エリアの情報を基準にして近傍スキャンルーチンに進むことがないので、非肌色エリアの被写体(たとえば背景被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0104】
ステップS23においても、高速スキャンルーチン(ステップS30)に移行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。ここで、ステップS23に進んでくるのは、肌色エリアが存在しないときである。
【0105】
このステップS23では、複数の合焦評価領域FRiのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たす合焦評価領域FRiが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定して、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、いずれの合焦評価領域FRiもこの条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体は合焦状態に近くないものと判定して、高速スキャンルーチン(ステップS30)へ進む。
【0106】
つぎに、高速スキャンルーチン(ステップS30)について説明する。高速スキャンルーチンの詳細な処理手順は図14のフローチャートに示されている。
【0107】
まず、合焦制御部29はレンズ駆動方向に対してフォーカシングレンズ12を高速駆動するための残り駆動量が十分にあるかどうかを判定し(ステップS31)、十分な残り駆動量が存在する場合にはステップS33に進み、十分な残り駆動量が存在しない場合にはステップS32に進んでレンズ駆動方向を反転させる。この実施の形態では、高速駆動を行う際の駆動量として駆動ピッチが20Fδに設定されるため、ステップS31における判断では、フォーカシングレンズ12の残り駆動量が20Fδ以上存在するか否かを確認する処理となる。そして20Fδ以上の残り駆動量が存在しない場合には、ステップS32においてレンズ駆動方向を反転させてステップS33に進む。
【0108】
そして、合焦制御部29は、決定されたレンズ駆動方向にフォーカシングレンズ12を駆動ピッチ=20Fδで高速駆動する(ステップS33)。これにより、合焦位置近傍にないフォーカシングレンズ12が微小ピッチ(例えば4Fδ)で駆動されて合焦位置を検出するまでに長時間を要することを回避することができ、オートフォーカス制御の効率化を図ることが可能になる。
【0109】
つぎに、複数の合焦評価領域(AFエリア)FRiのそれぞれについて、コントラスト値Cが算出される(ステップS34)。コントラスト値Cは、コントラスト演算部22によって、高速駆動後のレンズ位置において得られる画像に基づいて算出される。
【0110】
そして、このとき得られたコントラスト値が前回求められたコントラスト値よりも小さいか否かの判定を行う(ステップS35)。この判定によって、高速駆動によってフォーカシングレンズ12が合焦位置を超えたかどうかを判定すること、言い換えれば、コントラストの変化曲線におけるピークを超えたかどうかを判定することができる。
【0111】
このレンズ移動前後のコントラスト値の比較動作(ステップS35)は、複数の合焦評価領域FRiの全てについて行われる。
【0112】
そして、いずれの合焦評価領域FRiのコントラスト値も前回求められたコントラスト値よりも小さくならない場合には、コントラストの変化曲線におけるピークを越えていない、すなわちフォーカシングレンズ12が合焦位置を未だ超えていないと判断し、ステップS33に戻り、再び、ステップS33,S34,S35の処理が繰り返される。
【0113】
一方、いずれかの合焦評価領域FRiのコントラスト値が前回求められたコントラスト値よりも小さくなった場合には、コントラストの変化曲線におけるピークを越えた、すなわちフォーカシングレンズ12が合焦位置を超えたと判断し、ステップS36に進む。
【0114】
ステップS36においては、複数の合焦評価領域(AFエリア)FRiのそれぞれについて、エッジ数EN、エッジ幅重心値EW、肌色画素数SV、および撮影倍率βが算出される(ステップS34)。エッジ数ENはエッジ数カウント部233により算出され、エッジ幅重心値EWはエッジ幅重心値演算部235により算出され、肌色画素数SVは肌色画素数演算部24により算出される。複数の合焦評価領域FRiにおける各値は、高速駆動後のレンズ位置において得られる画像に基づいて算出される。また、撮影倍率βは、数2にしたがって被写体距離Lと焦点距離fとを用いて撮影倍率演算部25により算出される。なお、被写体距離Lは、コントラスト値Cの変化曲線のピークに対応するフォーカシングレンズ位置を合焦位置として用いるとともに、合焦位置と被写体距離との関係が規定されたテーブルを用いることによって、求められる。また、コントラスト値Cの変化曲線が複数のピークを有するときには、エッジ数ENおよびエッジ幅重心値EWに関する条件D2を満たす方のピーク値に対応するフォーカシングレンズ位置を合焦位置として用いて求めればよい。
【0115】
その後、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断する(ステップS37〜S39)。これらの動作は、ステップS21〜ステップS23と同様の動作である。
【0116】
具体的には、まず、複数の合焦評価領域FRiの中で「肌色エリア」が存在するか否かが判定される(ステップS37)。より詳細には、上述したように、条件D1(SV>TH20)を満たす合焦評価領域FRiは、肌色エリアであると判定される。
【0117】
このような肌色エリアが少なくとも1つ存在するときにはステップS38に進み、肌色エリアが1つも存在しないときにはステップS39に進む。
【0118】
ステップS38においては、高速スキャンルーチン(ステップS30)を続行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。具体的には、肌色エリアのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たし且つ条件D3(すなわち、βmin<β<βmax)を満たすものが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定し、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、肌色エリアは存在するにもかかわらず、いずれの肌色エリアも条件D2,D3の少なくとも一方を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近くないものと判定し、ステップS40に進み、高速スキャンルーチンを続行する。
【0119】
このように、肌色エリアが存在する場合において、近傍スキャンルーチンへ進むのは、肌色エリアのうち条件D2,D3を満たすものが少なくとも1つ存在するときのみである。そして、肌色エリアが存在する場合には、「肌色エリア以外の合焦評価領域」(すなわち非肌色エリア)のみが条件D2,D3の両方を満たすときであっても、近傍スキャンルーチンには進まず、高速スキャンルーチンを続行する。すなわち、非肌色エリアの情報を基準にして近傍スキャンルーチンに進むことがないので、非肌色エリアの被写体(たとえば背景被写体)のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0120】
ステップS39においても、高速スキャンルーチン(ステップS30)を続行するか、近傍スキャンルーチン(ステップS50)に移行するかを決定する。ステップS39に進んでくるのは、肌色エリアが存在しないときである。ここでは、複数の合焦評価領域FRiのうち、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を満たす合焦評価領域FRiが1つでも存在する場合には、合焦制御部29は、主被写体が合焦状態に近いと判定して、近傍スキャンルーチン(ステップS50)へ進む。一方、いずれの合焦評価領域FRiもこの条件D2を満たさない場合には、合焦制御部29は、主被写体は合焦状態に近くないものと判定して、ステップS40に進み、高速スキャンルーチンを続行する。
【0121】
ステップS40において、合焦制御部29は、フォーカシングレンズ12の移動可能範囲内の全域についてフォーカシングレンズ12を高速駆動したか、すなわち全域スキャンを終了したかを判断する。
【0122】
そしてフォーカシングレンズ12を高速駆動するための可動範囲が未だ残されている場合には、ステップS33に戻って、フォーカシングレンズ12を駆動ピッチ=20Fδで高速駆動し、ステップS34以降の処理を再び行う。
【0123】
これに対し、現在のレンズ駆動方向に対して高速駆動するための可動領域が残されていない場合には、ステップS41に進む。ステップS41においては、合焦制御部29は、それまでに得られたコントラスト値のうちから最大値を決定し、その最大値を示すレンズ位置近傍へフォーカシングレンズ12を駆動させる。
【0124】
デジタルカメラ1で被写体を撮影する場合、被写体の種類によってはエッジ成分を良好に抽出することが出来ない場合もある。そのため、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWが合焦位置近傍判定条件(条件D2)を満たさない場合に、オートフォーカス制御が不可能であるとするよりも、コントラスト値に基づいてオートフォーカス制御を行う方が好ましいと考えられる。そのため、この実施の形態では、フォーカシングレンズ12を全域スキャンさせても合焦位置近傍判定条件D2を満足するような合焦位置近傍のレンズ位置を特定することができなかった場合に、ステップS41においてコントラスト値が最大値を示すレンズ位置近傍にフォーカシングレンズ12を駆動することで、エッジ成分を良好に抽出することができないような被写体を撮影する場合にも、合焦位置近傍にフォーカシングレンズ12を移動させてオートフォーカス制御を行うことができるように構成している。
【0125】
以上のような処理が終了すると、高速スキャンルーチンの処理は終了する。
【0126】
続いて図15のフローチャートを参照しながら、近傍スキャンルーチンについて説明する。図15は、近傍スキャンルーチンの詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【0127】
まず、合焦制御部29は所定の微小ピッチp(例えばp=4Fδ)でフォーカシングレンズ12をコントラスト値が大きくなる方向に駆動させる(ステップS51)。そしてコントラスト演算部22が、その移動後のレンズ位置においてCCD撮像素子13から得られる画像に基づいてコントラスト値を求める(ステップS52)。また、コントラスト値Cとともにエッジ数ENも求められる。エッジ数ENは、エッジ数カウント部233により算出される。
【0128】
ここで、値C,ENは、全ての合焦評価領域FRiについて求める必要はない。たとえば、条件D1を満たす合焦評価領域FRi(すなわち肌色エリア)が存在する場合には、複数の合焦評価領域FRiのうち肌色エリアについてのみ値C,ENを求めるようにしてもよい。たとえば、複数の合焦評価領域FRiのうちに3つの肌色エリアが存在する場合には、この3つの肌色エリアについてのみ値C,ENを求めるようにしてもよい。あるいは、条件D2をさらに満たす肌色エリアについてのみ値C,ENを求めるようにしてもよい。このように、値C,ENを算出すべき合焦評価領域FRiの数を減らすことにより、演算処理の負荷を軽減することができる。
【0129】
ステップS53に進み、合焦制御部29は、複数のエリアの中から、撮影レンズのフォーカス制御の対象となるエリア(対象エリア)を選択する。
【0130】
具体的には、条件D1を満たす合焦評価領域FRi(すなわち肌色エリア)が存在する場合には、肌色エリアが対象エリアとして選択される。
【0131】
また、複数の肌色エリアが存在する場合には、それら複数の肌色エリアのうち、最もそのエッジ数ENが大きな肌色エリアが対象エリアとして選択されることが好ましい。これは、人物をより鮮明な画像(いわゆるピントがあった画像)として表現するためには、コントラスト曲線におけるピーク値が大きくなるような被写体に対応する肌色エリアを選択し、その選択した肌色エリアの情報を基準にしてオートフォーカス制御を行うことが好ましいからである。たとえば、人物の顔のうち、目、鼻、口、などのエッジ数が大きくなる部分の方が、頬などのエッジ数が小さくなる部分に比べて、そのコントラスト曲線のピーク値も高くなると考えられる。そのため、エッジ数が大きな肌色エリアを対象エリアとして選択することによって、コントラスト曲線のピーク値が大きくなるエリアを対象エリアとして選択することを意図するのである。このように、被写体の状況をエッジ数で判別することによって、対象エリアを複数の合焦評価領域の中からより的確に選択することが可能である。
【0132】
また、条件D1を満たす合焦評価領域FRi(すなわち肌色エリア)が存在しない場合には、好ましくは、複数の合焦評価領域FRiのうち、最もそのエッジ数ENが大きな合焦評価領域FRiが対象エリアとして選択される。
【0133】
つぎに、ステップS54,S55において、合焦制御部29は対象エリアのコントラスト値の評価処理(ステップS54)を行うとともに、その評価結果に基づいて分岐処理(ステップS55)を行う。
【0134】
具体的には、合焦制御部29は、対象エリアのコントラスト値がピークを示すレンズ位置(合焦位置)を特定することが可能かどうかを判断する。
【0135】
今回算出されたコントラスト値が前回値に比べて大きくなっている場合には、合焦制御部29は、未だピーク位置は検知されておらず合焦位置を特定することができないと判断する。この場合には、ステップS51に戻り、コントラスト値が増加するレンズ駆動方向に対して微小ピッチ(p=4Fδ)でのレンズ駆動およびコントラスト値の演算処理等(ステップS52〜S55)を繰り返すことになる。
【0136】
これに対して今回算出されたコントラスト値が前回値よりも小さくなった場合には、合焦制御部29は、前回のコントラスト値に対応するレンズ位置をピーク位置として検知する。そして、ステップS56に進んで、特定された合焦位置へ撮影レンズ11のフォーカシングレンズ12を駆動する。なお、このとき必要に応じてコントラスト値の補間処理を行ってコントラスト値が最大値を示すレンズ位置を求め、そのレンズ位置を合焦位置として特定するようにしてもよい。
【0137】
なお、微小ピッチでのレンズ駆動を所定回数行っても合焦位置を特定することができない場合には、被写体自体のコントラストが低いものとして特定のレンズ位置にフォーカシングレンズ12を駆動するように構成してもよい。なお、特定のレンズ位置としては、例えばオートフォーカス制御を開始する前のレンズ位置や、無限遠方に被写体が存在するものと仮定して最も遠側のレンズ位置等とすることが考えられる。
【0138】
このように、近傍スキャンルーチンにおいては、対象エリアに関する情報(具体的にはコントラスト値)に基づいてフォーカス制御が行われる。
【0139】
以上で、この実施の形態におけるオートフォーカス制御が終了する。上記のオートフォーカス制御では、各合焦評価領域の肌色情報および評価値に基づいて複数の合焦評価領域の中から対象エリアを選択し、選択された対象エリアに関する情報に基づいて撮影レンズのフォーカス制御が行われる。したがって、フォーカス制御の対象となるエリアである対象エリアを複数の合焦評価領域の中から的確に選択することが可能になる。すなわち、主被写体としての人物をより的確に合焦状態にすることが可能である。
【0140】
また、肌色情報は、画像内に設定された複数の合焦評価領域について算出されるので、画像の全体領域を処理対象とする場合に比べて処理負荷を軽減することができる。
【0141】
さらに、上記のオートフォーカス制御では、各合焦評価領域の撮影倍率にも基づいて複数の合焦評価領域の中から対象エリアを選択し、選択された対象エリアに関する情報に基づいて撮影レンズのフォーカス制御が行われる。したがって、主被写体としての人物をさらに的確に合焦状態にすることが可能である。
【0142】
また、上記のオートフォーカス制御では、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWを評価した上で対象エリアを選択して、フォーカシングレンズ12が合焦位置近傍に位置するか否かを判断しているので、コントラスト値Cが疑似ピークを示す場合であってもそのような疑似ピークが存在するレンズ位置付近は合焦位置近傍であると判断される可能性は低い。そのため、この実施の形態におけるオートフォーカス制御を適用することによって、疑似ピーク位置を合焦位置と誤認識することを防止することができ、疑似ピークによる影響を解消して被写体を適切に合焦状態とすることが可能になる。このように、このデジタルカメラ1によれば、疑似ピークによる影響を解消しつつ、主被写体としての人物をより的確に合焦状態にすることが可能である。すなわち、より正確なAF制御を行うことが可能である。
【0143】
また、上記のオートフォーカス制御では、複数の合焦評価領域FRiのうち、所定の閾値TH20よりも大きな肌色画素数SVを有するという条件D1(SV>TH20)を満たす合焦評価領域(すなわち肌色エリア)が少なくとも1つ存在する場合において、条件D2(すなわち、EN>N1、且つ、W1<EW<W2)を全ての肌色エリアが満たさないときには、この条件D2を肌色エリアのいずれかが満たす場合に比べて撮影レンズが高速に駆動される。したがって、フォーカシングレンズ12を合焦位置近傍に迅速に移動させることができ、オートフォーカス制御の迅速化を達成することができる。また、肌色エリアが少なくとも1つ存在する場合において、条件D2を満たす非肌色エリアが仮に存在したとしても全ての肌色エリアが条件D2を満たさないときには、合焦制御部29は、そのような非肌色エリアを対象エリアとして選択せず且つ主被写体の画像が合焦状態に近くないと判定するので、人物以外の背景被写体のみが合焦状態になる「擬合焦」の発生確率を低減することができる。
【0144】
<C.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0145】
たとえば、判定処理における等号成立時には、いずれの分岐処理を行うようにしてもよい。具体的には、条件D1として、SV>TH20ではなく、SV≧TH20を採用するようにしてもよい。あるいは、条件D2として、EN≧N1、且つ、W1≦EW≦W2、などを採用するようにしてもよい。
【0146】
また、上記実施形態においては、合焦制御部29がエッジ成分の評価を行う際にエッジ数EN及びエッジ幅重心値EWの双方を評価対象としている。具体的には、条件D2として、EN>N1、且つ、W1<EW<W2、を採用している。これは、一般に、画像のエッジ成分は画像の高周波成分であることからノイズの影響を受けやすいという性質を有しているためである。このように、上記実施形態では、エッジ成分に関する異なる指標値として、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWという2つの指標値を用いることにより、ノイズの影響を低減して、より信頼性の高い合焦位置近傍判定を行うように実現しているのである。
【0147】
ただし、これに限定されず、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWのうちの一方のみに基づいて合焦位置近傍判定を行うようにしてもよい。たとえば、エッジ数ENが所定値(図8に示す閾値N1)より大きな値を示すこと(EN>N1)のみを条件D2として採用してもよい。なお、エッジ幅重心値EWはエッジ数ENに比べて合焦位置近傍でノイズの影響を受けやすくなるので、エッジ数EN及びエッジ幅重心値EWのうちの一方を評価対象とする場合には、エッジ数ENを評価対象とすることが好ましい。
【0148】
また、上記実施形態においては、コントラスト値Cだけでなく、エッジ数およびエッジ幅等をも考慮して、複数の合焦評価領域FRiの中から対象エリアを選択する場合について説明したが、これに限定されない。たとえば、エッジ数およびエッジ幅等を考慮せずに、コントラスト値Cを考慮して対象エリアを選択するようにしてもよい。
【0149】
さらに、上記実施形態においては、高速スキャンルーチンと近傍スキャンルーチンとを組み合わせてオートフォーカス制御を行っているが、これに限定されない。ただし、上記実施形態のように両ルーチンを組み合わせることによれば、より高速なオートフォーカス制御を実現することが可能になる。
【0150】
また、上記実施形態においては、図14のステップS34,S35において、コントラスト値がピークを越えたか否かを判定しているが、このような判定処理を行わないようにしても良い。
【0151】
さらに、上記実施形態においては、図15のステップS53において、1つの合焦評価領域を対象エリアとして選択しているが、これに限定されない。たとえば、所定の閾値N1より大きなエッジ数ENを有する複数の肌色エリアを選択しておき、その後、選択した複数の肌色エリアについてのコントラストのピーク値のうちの最大値に対応するレンズ位置にフォーカシングレンズ12を駆動するようにしてもよい。
【0152】
また、上記実施形態においては、近傍スキャンルーチンにおいて、対象エリアのコントラスト値Cに基づいてフォーカス制御を行う場合について例示したが、これに限定されない。たとえば、対象エリアのコントラスト値Cを考慮せず、対象エリアのエッジ数EN(およびエッジ幅重心値EW)に基づいて、フォーカス制御を行うようにしてもよい。ただし、一般に、エッジ成分はノイズの影響を受けやすいのに対してコントラスト値はノイズの影響を受けにくいため、合焦位置近傍ではコントラスト値に基づいて合焦状態の評価を行うことが好ましい。合焦位置近傍に到達すれば擬合焦の発生可能性は少なくなるので、合焦位置近傍ではコントラスト値Cに基づいてフォーカス制御を行うことにより、さらに高精度に合焦位置を特定することが可能である。
【0153】
さらに、上記実施形態では近傍スキャンルーチンにおいては撮影倍率βをもう一度考慮することなく対象エリアを決定しているが、これに限定されない。たとえば、近傍スキャンルーチンにおいて、撮影倍率βを再び考慮して対象エリアを決定するようにしてもよい。たとえば、複数の肌色エリアが存在する場合において、撮影倍率βについての条件D3を満たすという基準と他の基準とを組み合わせて対象エリアを選択するようにしてもよい。より詳細には、条件D3を満たす肌色エリアのうち、最も大きなエッジ数ENを有する肌色エリアを対象エリアとして選択するようにしてもよい。
【0154】
また、上記実施形態においては、複数の合焦評価領域のそれぞれにおける対応被写体の撮影倍率を求めるための被写体距離Lは、各合焦評価領域の画像データから求めたコントラスト値C等に基づいて算出しされいるが、これに限定されない。たとえば、各合焦評価領域の対応被写体の被写体距離Lは、各合焦評価領域に対応する測距センサ等を用いて測定されるようにしてもよい。
【0155】
また、上述したオートフォーカス制御部20はオートフォーカス制御を行うためのオートフォーカス装置としても機能し、カメラ等の撮影装置に適用されれば、複数の合焦評価領域の中から適切に対象エリアを選択し、疑似ピークを合焦位置として誤認識することのない適切なオートフォーカス制御を行うことが可能になる。そのため、上述したオートフォーカス制御部20はデジタルカメラ1以外の装置に対しても適用することが可能である。
【0156】
さらに、上記実施形態においては、シャッタボタンが半押し状態とされたタイミングでオートフォーカス制御を行う場合を例示したが、オートフォーカス制御を行うタイミングはそれに限定されるものではない。たとえば、撮影時のライブビュー画像の表示時において常にオートフォーカス制御を行うようにしてもよい。
【0157】
【発明の効果】
以上のように、請求項1ないし請求項4に記載の発明によれば、評価値と肌色情報と撮影倍率とに基づいて、複数の合焦評価領域の中からフォーカス制御の対象領域が選択され、当該選択された対象領域に関する情報に基づいてフォーカス制御が行われるので、主被写体としての人物をより的確に合焦状態にすることが可能である。また、肌色情報は、画像内に設定された複数の合焦評価領域について算出されるので、画像の全体領域を処理対象とする場合に比べて処理負荷を軽減することができる。さらに、撮像倍率を考慮しているので、各合焦評価領域に対応する被写体が主被写体の人物であるか否かをさらに的確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】デジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】合焦評価領域の一例を示す図である。
【図3】UV平面における肌色画素の分布状態を示す図である。
【図4】コントラスト演算部の詳細構成を示すブロック図である。
【図5】コントラスト値の変化の一例を示す図である。
【図6】エッジ演算部の詳細構成を示すブロック図である。
【図7】エッジ演算部における演算処理の概念を示す図である。
【図8】レンズ位置とエッジ数との関係を示す図である。
【図9】エッジ幅のヒストグラムを示す図である。
【図10】レンズ位置とエッジ幅重心値との関係を示す図である。
【図11】撮影倍率を説明する図である。
【図12】オートフォーカス制御動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】レンズ微小駆動ルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図14】高速スキャンルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【図15】近傍スキャンルーチンにおける動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 デジタルカメラ
10 撮影機能部
11 撮影レンズ
12 フォーカシングレンズ
20 オートフォーカス制御部
C コントラスト値
EN エッジ数
EW エッジ幅重心値
FRi 合焦評価領域(AFエリア)
HM 人物
SV 肌色画素数
TR 樹木
X1〜X9 画素
β 撮影倍率

Claims (4)

  1. 被写体像を光電変換して得た画像信号で構成される画像に基づいて、撮影レンズのフォーカス制御を行う撮像装置であって、
    前記画像内に設定された複数の合焦評価領域のそれぞれにおける合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、
    前記複数の合焦評価領域のそれぞれにおける肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、
    前記複数の合焦評価領域のそれぞれにおける対応被写体の撮影倍率を求める撮影倍率取得手段と、
    前記撮影倍率と前記評価値と前記肌色情報とに基づいて前記複数の合焦評価領域の中から前記フォーカス制御の対象領域を選択し、当該選択された対象領域に関する情報に基づいて前記フォーカス制御を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とする撮像装置。
  2. 請求項1に記載の撮像装置において、
    前記肌色情報は、肌色画素数であり、
    前記制御手段は、前記複数の合焦評価領域のうち、所定の第1閾値よりも大きな肌色画素数を有するという第1条件と対応被写体の撮影倍率が所定範囲内の値であるという第2条件との両方の条件を満たす合焦評価領域を、前記対象領域として選択することを特徴とする撮像装置。
  3. 請求項2に記載の撮像装置において、
    前記第2条件は、対応被写体の撮影倍率が1/200より大きく1/8より小さいという条件であることを特徴とする撮像装置。
  4. 被写体像を光電変換して得た画像信号で構成される画像に基づいて、撮影レンズのフォーカス制御を行うオートフォーカス装置であって、
    前記画像内に設定された複数の合焦評価領域のそれぞれにおける合焦状態を示す評価値を算出する評価値算出手段と、
    前記複数の合焦評価領域のそれぞれにおける肌色情報を検出する肌色情報検出手段と、
    前記複数の合焦評価領域のそれぞれにおける対応被写体の撮影倍率を求める撮影倍率取得手段と、
    前記撮影倍率と前記評価値と前記肌色情報とに基づいて前記複数の合焦評価領域の中から前記フォーカス制御の対象領域を選択し、当該選択された対象領域に関する情報に基づいて前記フォーカス制御を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とするオートフォーカス装置。
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