JP2004219009A - 空気調和機 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定の構成を追加するだけで、冷風あるいは温風を室内の特定領域に集中的に吹き出すことを可能とする。
【解決手段】壁掛け式の室内機の下部側に複数の空気吹出口3〜5を設け、主室内熱交換器1を各空気吹出口3〜5の全範囲にわたって共通に配置し、特定の一つの空気吹出口4に位置的に対応して副室内熱交換器2を主室内熱交換器1に重ねて配置し、主室内熱交換器1と副室内熱交換器2をバイパス開閉弁を含むバイパス配管にて直列的に接続し、所定の運転モード(集中吹出しモード)時にバイパス開閉弁を開いて、冷媒を副室内熱交換器2のみに循環させる。
【選択図】 図1
【解決手段】壁掛け式の室内機の下部側に複数の空気吹出口3〜5を設け、主室内熱交換器1を各空気吹出口3〜5の全範囲にわたって共通に配置し、特定の一つの空気吹出口4に位置的に対応して副室内熱交換器2を主室内熱交換器1に重ねて配置し、主室内熱交換器1と副室内熱交換器2をバイパス開閉弁を含むバイパス配管にて直列的に接続し、所定の運転モード(集中吹出しモード)時にバイパス開閉弁を開いて、冷媒を副室内熱交換器2のみに循環させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機に係り、さらに詳しく言えば、複数の空気吹出口を有し、そのうちの一つから集中的に空気を吹き出し可能としたスポット空気吹き出し機能を備えた空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機の室内機は、多くの場合、空気吹出口は一つであって、その空気吹出口内に上下風向板および左右風向板を設けて、熱交換した空気を所定の方向に吹き出すようにしている。例えば、暖房運転時には、暖風が上昇しやすく足元が温まりにくいことから、温風の吹き出し方向をほぼ水平とし、また、冷房運転時には、冷風の吹き出し方向を下向きとなるように、上下風向板の向きを制御するようにしている。
【0003】
このように、上下風向板や左右風向板の向きを制御することにより、室内環境を快適状態とし、また、その維持を可能としているが、室内の特定領域に対して集中的に冷風や温風などを吹き出すことが要求される場合がある。そこで、複数個の吹出口を有する空気調和機が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の発明では、冷房時および暖房時における室内の温度差を低減し、室温のムラを軽減するため、室内機の正面に正面風量制御弁を有する正面吹出口を設けるとともに、その上面に上方風量制御弁を有する上方吹出口を設け、それらの各風量制御弁を制御して、正面および上面からの吹き出し風量を変えるようにしている。
【0005】
すなわち、人に対して風を当てたくない場合には、正面吹出口からの吹き出し風量を極端に減らして、もっぱら上方吹出口からのみ空気を吹き出すようにし、逆に人に対して風を集中的に送りたい場合には、上方吹出口からの吹き出し風量を極端に減らし、正面吹出口からのみ空気吹き出させる。
【0006】
【特許文献1】
特開平7―158881号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかながら、上記従来例では、正面吹出口の開口面積が大きいために、吹出し空気を絞ることが困難であり、例えば室内機の前に立っている使用者などに対して強力冷風や温風などを集中的に吹き出すことができない。
【0008】
また、上方吹出口からの吹き出し風量を増やすと、暖房運転時には、暖かい空気が天井付近に留まってしまい、その暖かい空気がなかなか床面付近に達せず、肌寒さを感じることがある。また、冷房運転時には、上吹き出しの冷風が降下して空気吸入口に吸い込まれるため、冷房能力の低下を招くことにもなる。
【0009】
したがって、本発明の課題は、必要に応じて室内の特定領域に対して集中的(スポット的)に冷風や温風などを吹き出すことができ、また、暖め過ぎ、冷やし過ぎなどを抑えて室内環境を適切に維持し得るようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の空気調和機は、空気吸入口と空気吹出口とを有し、それらの間を結ぶ空気通路内に室内ファンおよび冷凍サイクルに含まれる室内熱交換器が配置され、上記室内ファンの運転により、上記空気吸入口から吸い込まれた空気を上記室内熱交換器にて熱交換して、上記空気吹出口より吹き出して室温コントロールを行う壁掛け式の室内機を備える空気調和機において、上記室内機の下部側に設けられ、それぞれが上下風向板を有する複数の個別的に区画された空気吹出口と、上記各空気吹出口の全範囲にわたって共通に配置された主室内熱交換器と、上記複数の空気吹出口のうち、特定の一つの空気吹出口に位置的に対応して上記主室内熱交換器に重ねて配置された副室内熱交換器と、上記主室内熱交換器と上記副室内熱交換器とを直列にして上記冷凍サイクルに接続し、かつ、所定の運転モード時には、上記冷凍サイクルの冷媒を上記主室内熱交換器をバイパスして上記副室内熱交換器のみに流すためのバイパス配管および同バイパス配管を開閉するバイパス開閉弁と、上記所定の運転モード時に上記バイパス開閉弁を開いて上記冷凍サイクルの冷媒を上記副室内熱交換器のみに循環させるとともに、上記上下風向板を所定の向きに制御する制御手段とを備え、上記所定の運転モード時には、上記副室内熱交換器のみによって熱交換された空気を上記特定の空気吹出口から室内に向けて集中的に吹き出すようにしたことを特徴としている。
【0011】
本発明の好ましい態様によると、上記空気吹出口が3個以上の奇数個として横一列に配置されているとともに、上記主室内熱交換器が上記室内機の背面から前面にかけてΛ型に少なくとも2つに分割的に配置されており、上記複数の空気吹出口のうち中央の特定空気吹出口に位置的に対応して上記副室内熱交換器が上記主室内熱交換器に対して重ねて配置され、上記主室内熱交換器のうちの背面側の主室内熱交換器と前面側の主室内熱交換器とを接続する配管内に絞り可能な除湿用開閉弁が設けられる。
【0012】
本発明によれば、上記バイパス開閉弁を開くことにより、上記副室内熱交換器のみに冷媒が流れるため、中央の特定空気吹出口から、上記副室内熱交換器によって熱交換された空気を吹き出すことができる。
【0013】
上記冷凍サイクルを冷房サイクルあるいは暖房サイクルとした運転中に、上記バイパス開閉弁を開き、上記除湿用開閉弁を全閉として、冷媒を上記副室内熱交換器のみに循環させ、上記特定空気吹出口内の上下風向板を制御し、残りの空気吹出口内の上下風向板を閉じることにより、強力なスポット吹き出しの冷風や温風を得ることができる。
【0014】
また、冷房サイクルあるいは暖房サイクルによる運転時において、室温と設定温度の差が大きくなったときには、冷媒を室内機側のすべての室内熱交換器に循環するように上記バイパス開閉弁を閉じるとともに、中央の特定空気吹出口以外の空気吹出口内の各上下風向板を上向きとして吹き出し空気を室内機の空気吸入口から内部に取り込むショートサーキットを形成することにより、冷房時には吹き出される冷風の温度がより下がり、また、暖房時には吹き出される温風の温度が上がるようになり、特に運転開始時の急速冷房あるいは急速暖房が可能となる。
【0015】
また、上記中央の特定空気吹出口からの集中的に空気を吹き出す場合、冷媒を室内機側のすべての室内熱交換器に循環するように上記バイパス開閉弁を閉じ、その中央の特定空気吹出口以外の空気吹出口を塞ぐように各上下風向板を閉じるようにしてもよい。
【0016】
冷え過ぎや温まり過ぎを防止して、室内環境を快適なものとするため、上記上下風向板の開閉制御は、リモコンによる遠隔操作,設定温度と室内温度との差、もしくは運転時間に応じて適宜行うことができる。
【0017】
上記冷凍サイクルを冷房サイクルあるいは暖房サイクルとした運転中に、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を全開として、冷媒を上記主室内熱交換器および副室内熱交換器の室内機側のすべての熱交換器に循環させ、上記各空気吹出口内の上下風向板を制御して、そのすべての熱交換器によって熱交換した空気を吹き出すようにすることにより、上記スポット吹き出し以外の冷房や暖房時において、より低い温度の冷風やより高い温度の温風による強力な冷房運転や暖房運転を行うことができる。
【0018】
また、除霜運転時においては、上記バイパス開閉弁を開き、上記除湿用開閉弁を全閉とし、上記冷凍サイクルに含まれている室外機側の電子膨張弁を全開として、冷媒を上記副室内熱交換器にのみに循環させ、上記集中的吹き出しのための特定空気吹出口内の上下風向板を制御し、残りの空気吹出口内の上下風向板を閉じることにより、暖房サイクルによる高圧冷媒がそのまま室外熱交換器に循環され、その室外熱交換器の霜が速やかに除去される。
【0019】
冷房サイクル再熱除湿運転時においては、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を所定の絞り状態として、冷媒を上記主室内熱交換器および副室内熱交換器に循環させ、上記背面側の主室内熱交換器を室外熱交換器と同じ凝縮器とし、残りの熱交換器を蒸発器とすることにより、室温の低下を抑えながら冷房除湿運転を適切に行うことができる。
【0020】
また、暖房サイクル再熱除湿運転時においては、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を所定の絞り状態として、冷媒を上記主室内熱交換器および副室内熱交換器に循環させ、上記背面側の主室内熱交換器を室外熱交換器と同じ蒸発器とし、残りの熱交換器を凝縮器とすることにより、暖房の低下を抑えながら暖房除湿運転を適切に行うことができる。
【0021】
上記冷房サイクル再熱除湿運転において、室温が設定温度より高い場合には、中央の特定空気吹出口内の上下風向板を閉じるとともに、それ以外空気吹出口内の各上下風向板を開くようにし、室温が設定温度より低い場合には、中央の特定空気吹出口内の上下風向板を開くとともに、それ以外空気吹出口内の各上下風向板を閉じることが好ましく、これによれば、冷房除湿運転時に除湿効果に加え、高い室温が下げられ、あるいは低い室温が上げられる。
【0022】
また、上記暖房サイクル再熱除湿運転において、室温が設定温度より高い場合には、中央の空気吹出口内の上下風向板を開くとともに、それ以外空気吹出口内の各上下風向板を閉じ、室温が設定温度より低い場合には、中央の特定空気吹出口内の上下風向板を閉じるとともに、それ以外空気吹出口内の各上下風向板を開くようにすることが好ましく、これによれば、暖房除湿運転時に除湿効果に加え、高い室温が下げられ、あるいは低い室温が上げられる。
【0023】
上記冷房サイクル再熱除湿運転あるいは暖房サイクル再熱除湿運転において、室温と設定温度の差が所定値以内である場合には、すべて空気吹出口内の各上下風向板を開くことにより、冷房除湿運転時あるいは暖房除湿運転時にあっても、室温が設定温度に維持され、室内環境の向上が図られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図17により、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0025】
まず、図1ないし図4を参照して、本発明による空気調和機の室内機は、横長の主室内熱交換器1および横幅を同主室内熱交換器1よりも短くて、その中央に重ねて配置された副室内熱交換器2と、室内機本体下部側に横一列に設けられ、それぞれが上下風向板6,7,8を有する奇数個(この例では3個)の空気吹出口3,4,5とを備えており、この例において、3つの空気吹出口3,4,5のうち、副室内熱交換器2に対応して中央に位置する空気吹出口4が集中的吹き出し(スポット吹き出し)用の特定空気吹出口である。なお、この例とは異なり、空気吹出口は偶数個であってもよい。
【0026】
この例において、主室内熱交換器1は、室内機の図示しない空気吸入口と空気吹出口3,4,5との間の空気通路内で、室内機の背面側から前面側にかけてラムダ(Λ)型に配置された3つの主室内熱交換器1a,1b,1cを備えており、この主室内熱交換器1a,1b,1cの内面側には、クロスフローファンからなる室内ファン6が配置されている。
【0027】
副室内熱交換器2は、横幅が主室内熱交換器1の横幅の1/3程度であり、主室内熱交換器1a,1b,1cの外面側のほぼ中央に重ねて配置された副室内熱交換器2a,2b,2cを備えている。なお、副室内熱交換器2a,2b,2cは、主室内熱交換器1a,1b,1cの内面側に配置されてもよい。
【0028】
主室内熱交換器1および副室内熱交換器2は、それぞれ冷媒配管で接続されているが、背面側の主室内熱交換器1aと前面側の主室内熱交換器1bは除湿用開閉弁10を含む二股配管11,12で接続されている。
【0029】
また、ともに前面側に配置されている主室内熱交換器1bと主室内熱交換器1c同士は配管13で接続され、かつ、二股配管14を介して冷凍サイクルの四方弁15に接続されている。なお、除湿用開閉弁10は絞り弁だけでなく、全閉,全開可能な電子膨張弁を用いるか、あるいは絞り機能を有するキャリラリーチューブと電磁弁とを並列に接続したものを用いてもよい。
【0030】
3つの副室内熱交換器2a,2b,2cは、配管16,17を介して順次接続され、そのうちの一方の端部側の副室内熱交換器2aは、膨張弁18,室外熱交換器19を経て四方弁15に接続されている。また、他方の端部側の副室内熱交換器2cは、二股配管20を介して主室内熱交換器1aに接続されるとともに、バイパス開閉弁22を含むバイパス配管21の一端に接続されている。
【0031】
バイパス配管21の他端は、上記二股配管14を介して四方弁15に接続されている。バイパス開閉弁22が閉のとき、冷媒は副室内熱交換器2a,2b,2cと主室内熱交換器1a,1b,1cを直列的に流れるが、バイパス開閉弁22が開のとき、冷媒は主室内熱交換器1a,1b,1cをバイパスして副室内熱交換器2a,2b,2cのみに流れる。
【0032】
なお、上記二股配管11,12,14,20を用いた理由は、図2および図3に示すように、主室内熱交換器1a,1bの容量を大きくして、冷媒配管を2パス方式としているためで、これは本発明にとって必須要件ではない。
【0033】
この室内機は壁掛け型であり、その本体下部側に設けられている複数の空気吹出口3,4,5内には、上下風向板6,7,8の他に、図示しない左右風向板が設けられてもよい。また、3つの空気吹出口3,4,5のうち、中央に配置されている集中的吹き出し用の特定空気吹出口4を他の空気吹出口3,5よりも大きくして中央のスポット吹き出し風量を多くすることが好ましい。
【0034】
図5に示すように、この空気調和機の制御系については、室内機側の制御回路25および室外機側の制御回路26とを備え、リモコン27からのリモコン信号に応じて室温コントロールに必要な制御を行い、また、上下風向板6,7,8を制御して空気吹出口3,4,5を開閉制御して、中央の空気吹出口4から室内の特定領域に対して集中的に冷風あるいは温風などを吹き出す制御(スポット冷風あるいは温風運転)を行う。リモコン27からのリモコン信号を受信するため、室内機の本体前面側には、リモコン信号を受信する受信部(図示しない)などが備えられている。
【0035】
上記室内機側の制御回路25は、リモコン27の設定操作に応じて上下風向板6,7,8および室内ファン9を制御し、室温と設定温度の差に応じた圧縮機の運転コードなどを室外機側の制御回路26に送信するとともに、その制御回路26との間で室温コントロールに必要な信号の授受を行い、また、リモコン27の設定操作に応じてスポット吹き出し制御を実行する。
【0036】
そのために、室内機側の制御回路25は、リモコン信号により制御を判別し、左側,中央および右側の上下風向板6,7,8、室内ファン9、除湿用開閉弁10およびバイパス開閉弁22などを制御する機能を備えている。また、室外機側の制御回路27は、室内機側からの運転モードなどを判別し、四方弁15,電子膨張弁18,圧縮機23および室外ファン24を制御する機能を備えている。
【0037】
次に、この空気調和機の動作を、図6,図8および図14の冷凍サイクル構成図、図7,図9ないし図13および図15ないし図17の室内機正面図を参照して説明する。
【0038】
まず、リモコン27によって所定の設定操作が行われると、その設定操作に応じて、室内機側の制御回路25および室外機側の制御回路26は、室温と設定温度の差に基づいて室温コントロールに必要な制御を行う。
【0039】
この運転時において、上記バイパス開閉弁22を閉じる制御が行われると(全閉状態にされると)、圧縮機23からの冷媒は主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cのすべてに循環され、例えば冷房運転であれば、主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cのすべてが蒸発器として作用し、室外熱交換器19が凝縮器として作用する。また、暖房運転であれば、主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cのすべてが凝縮器として作用し、室外熱交換器19が蒸発器として作用する。
【0040】
冷房運転中であるときに、リモコン27によってスポット冷房運転が設定されると、除湿用開閉弁10を閉じ(全閉とし)、バイパス開閉弁22を開く制御(全開制御)を行う。すると、図6の実線矢印に示すように、圧縮機15からの冷媒は、四方弁15→室外熱交換器19→電子膨張弁18→副室内熱交換器2a〜2c→バイパス開閉弁22→バイパス配管21→四方弁15の順に流れる。
【0041】
すなわち、冷媒は主室内熱交換器1a〜1cをバイパスして副室内熱交換器2a〜2cのみに流れ、室外熱交換器19を凝縮器とし、副室内熱交換器2a〜2cを蒸発器とする。そして、図7に示すように、左右両側の空気吹出口3,5を塞ぐように、その上下風向板6,8を閉じ、中央の上下風向板7を開く。
【0042】
これにより、中央の空気吹出口4からスポット冷風が吹き出される。このとき、上記したように、冷媒が副室内熱交換器2a〜2cのみに流れることから、熱交換温度が低下し、スポット冷風の温度(吹き出し温度)が通常の冷房運転時よりも冷やされ、室内の特定領域に対して集中的に冷風を吹き出し、強力な冷風を使用者などに当てることができる。
【0043】
また、暖房運転中であるとき、リモコン27によってスポット暖房運転が設定されると、除湿用開閉弁10を閉じ(全閉とし)、バイパス開閉弁22を開く制御(全開とする制御)を行う。すると、図6の破線矢印に示すように、冷媒は冷房運転と逆に流れ、四方弁15→バイパス開閉弁22→バイパス配管21→副室内熱交換器2a〜2c→電子膨張弁18→室外熱交換器19→四方弁15に流れ圧縮機23に戻る。
【0044】
すなわち、冷媒は主室内熱交換器1a〜1cをバイパスして副室内熱交換器2a〜2cのみに流れ、副室内熱交換器2a〜2cを凝縮器とし、室外熱交換器19を蒸発器とする。そして、左右両側の空気吹出口3,5を塞ぐように、その上下風向板6,8を閉じ、中央の上下風向板7を開く(図7参照)。
【0045】
これにより、中央の空気吹出口4からスポット温風が吹き出される。このとき、上記したように冷媒が副室内熱交換器2a〜2cのみに流れることから、熱交換温度が上昇し、スポット温風の温度(吹き出し温度)が通常の暖房運転時よりも暖められ、室内の特定領域に対して集中的に温風を吹き出し、強力な温風を使用者などに当てることができる。
【0046】
なお、通常の冷房運転時には、除湿用開閉弁10を開き、バイパス開閉弁22を閉じたまま(全閉)とする。これにより、図8の実線矢印に示すように、冷媒が四方弁15→室外熱交換器19→電子膨張弁18→副室内熱交換器2a〜2c→二股配管20→主室内熱交換器1a〜1c→二股配管14→四方弁15に流れ圧縮機23に戻る。すなわち、室外熱交換器19が凝縮器となり、主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cが蒸発器となり、フルパス冷房運転が行われる。
【0047】
そして、図9に示すように、上下風向板6,7,8を制御し、室内ファン9を通常通りに制御すれば、各空気吹出口3,4,5からは各上下風向板6,7,8に応じた向きに冷風が室内に吹き出される。例えば、すべての上下風向板6,7,8を開くことにより、室温が速やかに設定温度に達するようになり、夏季において強力な冷房運転が可能となる。また、左右両側の空気吹出口3,5内の上下風向板6,8を閉じ、中央の空気吹出口4からのみ冷気を吹き出すようにすれば、集中的吹き出しをより強力なものとすることができる。
【0048】
また、通常の暖房運転時には、除湿用開閉弁10を開き(全開とし)、バイパス開閉弁22を閉じたまま(全閉状態)とすることにより、図8の破線矢印に示すように、冷媒は四方弁15→二股配管14→主室内熱交換器1a〜1c→二股配管20→副室内熱交換器2a〜2c→電子膨張弁18→室外熱交換器19→四方弁15に流れ圧縮機23に戻る。これにより、室外熱交換器19が蒸発器となり、主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器22a〜2cが凝縮器となり、フルパス暖房運転が行われる。
【0049】
そして、上記フルパス冷房運転と同様に、上下風向板6,7,8を制御し、室内ファン9を通常通りに制御すれば、各空気吹出口3,4,5からは各上下風向板6,7,8の向きに応じた温風が室内に吹き出される。例えば、すべての上下風向板6,7,8を開くことにより、室温が速やかに設定温度に達するようになり、冬季において強力な暖房運転が可能となる。また、左右両側の空気吹出口3,5内の上下風向板6,8を閉じ、中央の空気吹出口4からのみ温風を吹き出すことにより、集中的吹き出しを強力なものとすることができる。
【0050】
上記スポット冷房やスポット暖房の運転時において、図10に示すように、左右両側の上下風向板6,8を水平の向きに開くようにすると、スポット冷房運転時にあっては、中央の空気吹出口4からのスポット冷風だけなく、左右両側の空気吹出口3,5から室内に向けて送風が行われる。これをスポット冷房全送風運転というが、これによると、左右両側からの送風が室温と同じ温度であることから、その送風が扇風機の機能を果たし、中央からスポット冷風が床付近に留まることなく、室内全体に拡散して他の領域(スポット領域以外の領域)の温度が下がり、室内環境が向上する。
【0051】
また、スポット暖房運転時にあっても同様のことが言え、中央の空気吹出口4からのスポット温風だけなく、左右両側の空気吹出口3,5からの送風が行われる。このスポット暖房全送風運転によれば、左右両側からの送風が室温と同じ温度であることから、中央からスポット温風が天井付近に留まることもなく、その送風がサーキュレータのような機能を果し、室内全体に拡散して他の領域(スポット領域以外の領域)の温度が上がり、室内環境が向上する。なお、左右両側の上下風向板6,8はやや上向きにする好ましい。
【0052】
上記スポット冷房あるいはスポット暖房の運転時に、左右両側の上下風向板6,8の向きをリモコン27の操作によって行えるようにすることもできる。その場合、リモコン27に各上下風向板6,8の向きを設定するボタンを設け、室内機側の制御回路25によって、そのボタン操作に応じて各上下風向板の駆動モータを制御する。これにより、使用者の要望に応じてスポット冷風(またはスポット暖房)のみを行うか、スポット冷風全送風(またはスポット暖房全送風)を行うかの選択ができる。
【0053】
上記左右両側の空気吹出口3,5から送風を行うか、送風しないか否かについて、リモコン27の操作によらず、設定温度と室温との温度差あるいはスポット冷房運転時間(またはスポット暖房運転時間)に応じて自動的に選択可能としてもよい。例えば、暑い夏季や寒い冬季にあっては、どうしても設定温度と室温の差が大きくなりがちであるため、このような場合に、冷風あるいは温風を集中して身体に当てることにより、すばやく快適な体感温度を与え、しかる後スポット冷風あるいはスポット温風を抑える送風を追加して室内全体の冷やし過ぎあるいは暖め過ぎを防止し、快適な空調を維持することができる。
【0054】
また、上記スポット冷房やスポット暖房の運転を行っているとき、あるいはそれら運転時にすべての上下風向板6,7,8を開いているときにおいて、リモコン27のボタン操作により、バイパス開閉弁22の開閉,除湿用開閉弁10の開閉を行うようにすることもできる。なお、リモコン27のボタン操作に代え、室内機側の制御回路25にて、設定温度と室温との差、あるいは運転時間に基づいてバイパス開閉弁22の開閉、除湿用開閉弁10の開閉を行うようにすることもできる。
【0055】
例えば、設定温度と室温の差が大きいときには、室温が速やかに設定温度に達するように、バイパス開閉弁22を閉じ、除湿用開閉弁10を開いてフルパス冷房あるいはフルパス暖房運転を行い、室内を一気に冷やしあるいは暖める。そして、室温が設定温度に達したときに、バイパス開閉弁22を開き、除湿開閉弁10を閉じて(あるいは極力絞って)、冷媒を主に副室内熱交換器2a〜2cに循環させて、弱めの冷房あるいは弱めの暖房運転を行い、室温の安定化を図る。
【0056】
なお、上記フルパス冷房あるいはフルパス暖房運転中に室温が設定温度に達したとき、従来であれば圧縮機23の回転数を下げて室温を設定温度に維持、安定させる。この圧縮機23の回転数を下げる方法によると、冷房時には蒸発器の温度が上昇し、その蒸発器の温度が露点温度以上になると、室内除湿の効果が低下し、また、暖房時には凝縮器の温度が低下し、吹き出し温度が低下して使用者に肌寒さを感じさせることになる。そこで、冷媒を副室内熱交換器2a〜2cのみに流すようにし、冷房時には蒸発器の温度を低く保ち、暖房時には凝縮器の温度を高く保つようにすることが好ましい。
【0057】
除霜運転時においては、バイパス開閉弁22を開き、冷媒を凝縮器としての副室内熱交換器2a〜2cのみに流し、室外機側の電子膨張弁18を全開とし、高圧冷媒を減圧しないまま蒸発器としての室外熱交換器19に流す暖房サイクルを行う。このとき、図11に示すように、中央の上下風向板7を水平とし、左右両側の上下風向板6,8を閉じ、中央の空気吹出口4からのみ温風を吹き出すようにする。これにより、室外熱交換器19に付着した霜を効果的に溶かすことができ、また、除霜運転時にあっても弱めの暖房運転が行われ、室温の低下が小さく快適な空調が維持される。
【0058】
上記した運転の開始時における上下風向板6,7,8の他の制御例について説明する。例えば、設定温度と室温との差が大きい場合(冷房時には室温が設定温度よりかなり高く、暖房時には室温が設定温度よりかなり低い場合)には、冷媒が主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cに循環するように、バイパス開閉弁22を閉じるとともに、除湿用開閉弁10を全開状態とし、左右両側の上下風向板6,8を上向きとし、中央の上下風向板7を水平方向にする。
【0059】
すると、このフルパス冷房あるいはフルパス暖房運転にあっては、図12に示すように、中央の空気吹出口4からは冷風(あるいは温風)が室内に吹き出され、左右両側の空気吹出口3,5からは冷風(あるいは温風)が上方向に吹き出される。しかも、その上方向に吹き出された冷風(あるいは温風)は室内機の前面側空気吸入口から同室内機内部に取り込まれて再度熱交換される。
【0060】
すなわち、吹き出された空気の一部がショートサーキットにより直接的に室内機内部に戻されるため、冷房時には中央の空気吹出口4から吹き出される冷風の温度がより下がり、また、暖房時にはその吹き出される温風の温度が上がるようになり、運転開始時の急速冷房あるいは急速暖房が実現される。
【0061】
また、バイパス開閉弁22を閉じ、除湿用開閉弁10を全開状態としたフルパス冷房あるいはフルパス暖房運転時において、中央の上下風向板7を開くとともに、それ以外の左右風向板6,8を閉じることにより、中央の空気吹出口7からは冷風あるいは温風が吹き出される。このフルパス運転によれば、冷房あるいは暖房の最大能力が発揮され、冷房時には蒸発器の温度が極低温になり、暖房時には凝縮器の温度が極高温度となる。
【0062】
これにより、図13に示すように、中央の空気吹出口7からのスポット吹き出し空気は、冷房時には上述したバイパス冷房運転時よりも超冷風となり、暖房時には上述したバイパス暖房運転時よりも高温風となる。つまり、室内の特定領域を集中的に冷やし、あるいは暖める効果が大きいものとなる。
【0063】
この場合、中央の上下風向板7以外の上下風向板6,8を閉じるか、開くか否かの選択は、リモコン27からの指示,設定温度と室温との差、あるいは運転時間に基づいて行うようにしてもよい。
【0064】
この空気調和機は、上述した運転の他に、冷房サイクルの再熱除湿運転(冷房除湿運転)モードと、暖房サイクルの再熱除湿運転(暖房除湿運転)モードとを備えている。これらのモードはリモコン27によって選択される。
【0065】
冷房除湿運転が選択された場合には、電子膨張弁18を全開状態にする一方、除湿用開閉弁10を所定の絞り状態にするとともに、バイパス開閉弁22を閉じ、四方弁15を冷房サイクルに切り替える。
【0066】
すると、図14の実線矢印に示すように、圧縮機23からの冷媒は、四方弁15→室外熱交換器19→電子膨張弁18→副室内熱交換器2a〜2c→主室内熱交換器1a〜1c→配管14→四方弁15→圧縮機23へと循環するが、電子膨張弁18の全開および除湿用開閉弁10の絞りによって、副室内熱交換器2および主室内熱交換器1のうちの背面側の主室内熱交換器1aが、室外熱交換器19と同じ凝縮器となり、主室内熱交換器1の残りの主室内熱交換器1b,1cのみが蒸発器となる。
【0067】
そして、各上下風向板6,7,8については、図15に示すように、中央の空気吹出口4内の上下風向板7を全閉とし、左右両側の空気吹出口3,5内の上下風向板6,8を例えば水平向きとする。これにより、室内側の熱交換器が凝縮器と蒸発器の混合形式となり、冷房能力の低下を抑えながら、冷房除湿運転を行うことができる。なお、室内ファン9の制御については、通常の冷房除湿運転と同じく微風の回転数とする。
【0068】
なお、この場合、凝縮器として作用する副室内熱交換器2a〜2cおよび背面側の主室内熱交換器1aの熱交換面積は、蒸発器として作用する主室内熱交換器1b,1cの熱交換面積よりも大きいが、室温が設定温度より高い場合、中央の空気吹出口4内の上下風向板7を全閉とし、左右両側の空気吹出口3,5内の上下風向板6,8を例えば水平向きとすることにより、室温よりも低い冷風を吹き出して室温を下げることができる。
【0069】
また、上記冷房除湿運転において、室温と設定温度の差が所定値以内である場合には、図16に示すように、左右両側の空気吹出口3,5だけなく、中央の空気吹出口4も開く。これにより、空気吹出口4からは室温より若干高めの空気が吹き出されるが、他の空気吹出口3,5からは室温より若干低めの空気が吹き出されるため、その両方の空気が混合され、室温が既に設定温度に近いこともあって、室温が安定した室内環境が最適に維持される。
【0070】
また、上記冷房除湿運転において、室温が設定温度より低い場合には、図17に示すように、中央の空気吹出口4を開くように上下風向板7を水平方向とし、他の左右両側の空気吹出口3,5を塞ぐように各上下風向板6,8を閉じる。これにより、空気吹出口4からは室温より若干高めの空気が吹き出され、他の空気吹出口3,5からは空気が吹き出されないため、室温を上げることができる。このように、本発明での冷房除湿運転によれば、除湿だけなく、室内環境を適切に維持することができる。
【0071】
リモコン27によって暖房除湿運転が設定された場合、上記冷房除湿運転と同様に、電子膨張弁18を全開状態にする一方、除湿用開閉弁10を所定の絞り状態にするとともに、バイパス開閉弁22を閉じるが、四方弁15を暖房サイクルに切り替える。
【0072】
すると、図14の破線矢印に示すように、圧縮機23からの冷媒は、四方弁15→主室内熱交換器1a〜1c→副室内熱交換器2→電子膨張弁18→室外熱交換器19→四方弁15→圧縮機23へと循環するが、電子膨張弁18の全開および除湿用開閉弁10の絞りにより、主室内熱交換器1のうちの前面側の主室内熱交換器1b,1cが凝縮器となり、背面側の主室内熱交換器1aおよび副室内熱交換器2a〜2cが室外熱交換器19と同じ蒸発器となる。
【0073】
そして、各上下風向板6,7,8については、中央の空気吹出口4を塞ぐように上下風向板7を全閉とし、左右両側の空気吹出口3,5を開くように上下風向板6,8を例えば水平方向とする(図15参照)。これにより、暖房能力の低下を抑えながら、暖房除湿運転を行うことができる。なお、室内ファン9の制御については、通常の暖房除湿運転と同じく微風の回転数とする。
【0074】
なお、この場合、蒸発器として作用する背面側の主室内熱交換器1aおよび副室内熱交換器2a〜2cの熱交換面積は、凝縮器として作用する前面側の主室内熱交換器1b,1cの熱交換面積よりも大きいが、室温が設定温度より高い場合には、左右両側の空気吹出口3,5を塞ぐように各上下風向板6,8を全閉とし、室温よりも高い空気を遮断し、中央の空気吹出口4を開くように上下風向板7を例えば水平方向とすることにより、室温より低めの空気を吹き出して室温を下げることができる。
【0075】
また、上記暖房除湿運転において、室温と設定温度の差が所定値以内である場合には、左右両側の空気吹出口3,5だけなく、中央の空気吹出口4も開く(図16参照)。これにより、空気吹出口4からは室温より若干低めの空気が吹き出されるが、他の空気吹出口3,5からは室温より若干高めの空気が吹き出されるため、その両方の空気が混合され、室温が既に設定温度に近いこともあって、室温が安定した室内環境が最適に維持される。
【0076】
また、上記暖房除湿運転において、室温が設定温度より低い場合には、中央の空気吹出口4内の上下風向板7を閉じ、他の左右両側の空気吹出口3,5内の各上下風向板6,8を例えば水平方向とする(図17参照)。これにより、空気吹出口6,8のみからは室温より若干高めの空気が吹き出されるため、室温を上げることができる。このように、本発明の暖房除湿運転によれば、除湿だけなく、室内環境を適切に維持することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、壁掛け式の室内機の下部側に複数の個別的に区画された空気吹出口を設け、主室内熱交換器を各空気吹出口の全範囲にわたって共通に配置し、特定の一つの空気吹出口に位置的に対応して副室内熱交換器を主室内熱交換器に重ねて配置し、主室内熱交換器と副室内熱交換器をバイパス開閉弁を含むバイパス配管にて直列的に接続し、所定の運転モード時にバイパス開閉弁を開いて冷凍サイクルの冷媒を副室内熱交換器のみに循環させる構成としたことにより、新たに副室内熱交換器とバイパス開閉弁を含むバイパス配管を追加するだけの構成で、必要に応じて室内の特定領域に対して集中的に冷風や温風などを吹き出すことができる。
【0078】
また、主室内熱交換器を背面側熱交換器と前面側熱交換器として、それらを絞り可能な除湿用開閉弁を介して接続することにより、適切な除霜運転,冷房除湿運転および暖房除湿運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気調和機の室内機の構成を示す概略的な斜視図。
【図2】上記室内機の正面を概略的に示す正面図。
【図3】本発明による空気調和機の冷凍サイクルを示す模式図。
【図4】上記冷凍サイクルの回路図。
【図5】本発明による空気調和機が備える制御系を示す概略的ブロック線図。
【図6】上記冷凍サイクルの冷媒の流れ方向を説明するための回路図。
【図7】図6に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図8】上記冷凍サイクルの冷媒の流れ方向を説明するための回路図。
【図9】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図10】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図11】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図12】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図13】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図14】上記冷凍サイクルの冷媒の流れ方向を説明するための回路図。
【図15】図14に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図16】図14に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図17】図14に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【符号の説明】
1(1a,1b,1c) 主室内熱交換器
2(2a,2b,2c) 副室内熱交換器
3,4,5 空気吹出口
6,7,8 上下風向板
9 室内ファン
10 除湿用開閉弁
15 四方弁
18 電子膨張弁
19 室外熱交換器
21 バイパス配管
22 バイパス開閉弁
23 圧縮機
25 室内機制御回路
26 室外機制御回路
27 リモコン
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機に係り、さらに詳しく言えば、複数の空気吹出口を有し、そのうちの一つから集中的に空気を吹き出し可能としたスポット空気吹き出し機能を備えた空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機の室内機は、多くの場合、空気吹出口は一つであって、その空気吹出口内に上下風向板および左右風向板を設けて、熱交換した空気を所定の方向に吹き出すようにしている。例えば、暖房運転時には、暖風が上昇しやすく足元が温まりにくいことから、温風の吹き出し方向をほぼ水平とし、また、冷房運転時には、冷風の吹き出し方向を下向きとなるように、上下風向板の向きを制御するようにしている。
【0003】
このように、上下風向板や左右風向板の向きを制御することにより、室内環境を快適状態とし、また、その維持を可能としているが、室内の特定領域に対して集中的に冷風や温風などを吹き出すことが要求される場合がある。そこで、複数個の吹出口を有する空気調和機が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載の発明では、冷房時および暖房時における室内の温度差を低減し、室温のムラを軽減するため、室内機の正面に正面風量制御弁を有する正面吹出口を設けるとともに、その上面に上方風量制御弁を有する上方吹出口を設け、それらの各風量制御弁を制御して、正面および上面からの吹き出し風量を変えるようにしている。
【0005】
すなわち、人に対して風を当てたくない場合には、正面吹出口からの吹き出し風量を極端に減らして、もっぱら上方吹出口からのみ空気を吹き出すようにし、逆に人に対して風を集中的に送りたい場合には、上方吹出口からの吹き出し風量を極端に減らし、正面吹出口からのみ空気吹き出させる。
【0006】
【特許文献1】
特開平7―158881号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかながら、上記従来例では、正面吹出口の開口面積が大きいために、吹出し空気を絞ることが困難であり、例えば室内機の前に立っている使用者などに対して強力冷風や温風などを集中的に吹き出すことができない。
【0008】
また、上方吹出口からの吹き出し風量を増やすと、暖房運転時には、暖かい空気が天井付近に留まってしまい、その暖かい空気がなかなか床面付近に達せず、肌寒さを感じることがある。また、冷房運転時には、上吹き出しの冷風が降下して空気吸入口に吸い込まれるため、冷房能力の低下を招くことにもなる。
【0009】
したがって、本発明の課題は、必要に応じて室内の特定領域に対して集中的(スポット的)に冷風や温風などを吹き出すことができ、また、暖め過ぎ、冷やし過ぎなどを抑えて室内環境を適切に維持し得るようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の空気調和機は、空気吸入口と空気吹出口とを有し、それらの間を結ぶ空気通路内に室内ファンおよび冷凍サイクルに含まれる室内熱交換器が配置され、上記室内ファンの運転により、上記空気吸入口から吸い込まれた空気を上記室内熱交換器にて熱交換して、上記空気吹出口より吹き出して室温コントロールを行う壁掛け式の室内機を備える空気調和機において、上記室内機の下部側に設けられ、それぞれが上下風向板を有する複数の個別的に区画された空気吹出口と、上記各空気吹出口の全範囲にわたって共通に配置された主室内熱交換器と、上記複数の空気吹出口のうち、特定の一つの空気吹出口に位置的に対応して上記主室内熱交換器に重ねて配置された副室内熱交換器と、上記主室内熱交換器と上記副室内熱交換器とを直列にして上記冷凍サイクルに接続し、かつ、所定の運転モード時には、上記冷凍サイクルの冷媒を上記主室内熱交換器をバイパスして上記副室内熱交換器のみに流すためのバイパス配管および同バイパス配管を開閉するバイパス開閉弁と、上記所定の運転モード時に上記バイパス開閉弁を開いて上記冷凍サイクルの冷媒を上記副室内熱交換器のみに循環させるとともに、上記上下風向板を所定の向きに制御する制御手段とを備え、上記所定の運転モード時には、上記副室内熱交換器のみによって熱交換された空気を上記特定の空気吹出口から室内に向けて集中的に吹き出すようにしたことを特徴としている。
【0011】
本発明の好ましい態様によると、上記空気吹出口が3個以上の奇数個として横一列に配置されているとともに、上記主室内熱交換器が上記室内機の背面から前面にかけてΛ型に少なくとも2つに分割的に配置されており、上記複数の空気吹出口のうち中央の特定空気吹出口に位置的に対応して上記副室内熱交換器が上記主室内熱交換器に対して重ねて配置され、上記主室内熱交換器のうちの背面側の主室内熱交換器と前面側の主室内熱交換器とを接続する配管内に絞り可能な除湿用開閉弁が設けられる。
【0012】
本発明によれば、上記バイパス開閉弁を開くことにより、上記副室内熱交換器のみに冷媒が流れるため、中央の特定空気吹出口から、上記副室内熱交換器によって熱交換された空気を吹き出すことができる。
【0013】
上記冷凍サイクルを冷房サイクルあるいは暖房サイクルとした運転中に、上記バイパス開閉弁を開き、上記除湿用開閉弁を全閉として、冷媒を上記副室内熱交換器のみに循環させ、上記特定空気吹出口内の上下風向板を制御し、残りの空気吹出口内の上下風向板を閉じることにより、強力なスポット吹き出しの冷風や温風を得ることができる。
【0014】
また、冷房サイクルあるいは暖房サイクルによる運転時において、室温と設定温度の差が大きくなったときには、冷媒を室内機側のすべての室内熱交換器に循環するように上記バイパス開閉弁を閉じるとともに、中央の特定空気吹出口以外の空気吹出口内の各上下風向板を上向きとして吹き出し空気を室内機の空気吸入口から内部に取り込むショートサーキットを形成することにより、冷房時には吹き出される冷風の温度がより下がり、また、暖房時には吹き出される温風の温度が上がるようになり、特に運転開始時の急速冷房あるいは急速暖房が可能となる。
【0015】
また、上記中央の特定空気吹出口からの集中的に空気を吹き出す場合、冷媒を室内機側のすべての室内熱交換器に循環するように上記バイパス開閉弁を閉じ、その中央の特定空気吹出口以外の空気吹出口を塞ぐように各上下風向板を閉じるようにしてもよい。
【0016】
冷え過ぎや温まり過ぎを防止して、室内環境を快適なものとするため、上記上下風向板の開閉制御は、リモコンによる遠隔操作,設定温度と室内温度との差、もしくは運転時間に応じて適宜行うことができる。
【0017】
上記冷凍サイクルを冷房サイクルあるいは暖房サイクルとした運転中に、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を全開として、冷媒を上記主室内熱交換器および副室内熱交換器の室内機側のすべての熱交換器に循環させ、上記各空気吹出口内の上下風向板を制御して、そのすべての熱交換器によって熱交換した空気を吹き出すようにすることにより、上記スポット吹き出し以外の冷房や暖房時において、より低い温度の冷風やより高い温度の温風による強力な冷房運転や暖房運転を行うことができる。
【0018】
また、除霜運転時においては、上記バイパス開閉弁を開き、上記除湿用開閉弁を全閉とし、上記冷凍サイクルに含まれている室外機側の電子膨張弁を全開として、冷媒を上記副室内熱交換器にのみに循環させ、上記集中的吹き出しのための特定空気吹出口内の上下風向板を制御し、残りの空気吹出口内の上下風向板を閉じることにより、暖房サイクルによる高圧冷媒がそのまま室外熱交換器に循環され、その室外熱交換器の霜が速やかに除去される。
【0019】
冷房サイクル再熱除湿運転時においては、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を所定の絞り状態として、冷媒を上記主室内熱交換器および副室内熱交換器に循環させ、上記背面側の主室内熱交換器を室外熱交換器と同じ凝縮器とし、残りの熱交換器を蒸発器とすることにより、室温の低下を抑えながら冷房除湿運転を適切に行うことができる。
【0020】
また、暖房サイクル再熱除湿運転時においては、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を所定の絞り状態として、冷媒を上記主室内熱交換器および副室内熱交換器に循環させ、上記背面側の主室内熱交換器を室外熱交換器と同じ蒸発器とし、残りの熱交換器を凝縮器とすることにより、暖房の低下を抑えながら暖房除湿運転を適切に行うことができる。
【0021】
上記冷房サイクル再熱除湿運転において、室温が設定温度より高い場合には、中央の特定空気吹出口内の上下風向板を閉じるとともに、それ以外空気吹出口内の各上下風向板を開くようにし、室温が設定温度より低い場合には、中央の特定空気吹出口内の上下風向板を開くとともに、それ以外空気吹出口内の各上下風向板を閉じることが好ましく、これによれば、冷房除湿運転時に除湿効果に加え、高い室温が下げられ、あるいは低い室温が上げられる。
【0022】
また、上記暖房サイクル再熱除湿運転において、室温が設定温度より高い場合には、中央の空気吹出口内の上下風向板を開くとともに、それ以外空気吹出口内の各上下風向板を閉じ、室温が設定温度より低い場合には、中央の特定空気吹出口内の上下風向板を閉じるとともに、それ以外空気吹出口内の各上下風向板を開くようにすることが好ましく、これによれば、暖房除湿運転時に除湿効果に加え、高い室温が下げられ、あるいは低い室温が上げられる。
【0023】
上記冷房サイクル再熱除湿運転あるいは暖房サイクル再熱除湿運転において、室温と設定温度の差が所定値以内である場合には、すべて空気吹出口内の各上下風向板を開くことにより、冷房除湿運転時あるいは暖房除湿運転時にあっても、室温が設定温度に維持され、室内環境の向上が図られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図1ないし図17により、本発明の実施形態について説明するが、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。
【0025】
まず、図1ないし図4を参照して、本発明による空気調和機の室内機は、横長の主室内熱交換器1および横幅を同主室内熱交換器1よりも短くて、その中央に重ねて配置された副室内熱交換器2と、室内機本体下部側に横一列に設けられ、それぞれが上下風向板6,7,8を有する奇数個(この例では3個)の空気吹出口3,4,5とを備えており、この例において、3つの空気吹出口3,4,5のうち、副室内熱交換器2に対応して中央に位置する空気吹出口4が集中的吹き出し(スポット吹き出し)用の特定空気吹出口である。なお、この例とは異なり、空気吹出口は偶数個であってもよい。
【0026】
この例において、主室内熱交換器1は、室内機の図示しない空気吸入口と空気吹出口3,4,5との間の空気通路内で、室内機の背面側から前面側にかけてラムダ(Λ)型に配置された3つの主室内熱交換器1a,1b,1cを備えており、この主室内熱交換器1a,1b,1cの内面側には、クロスフローファンからなる室内ファン6が配置されている。
【0027】
副室内熱交換器2は、横幅が主室内熱交換器1の横幅の1/3程度であり、主室内熱交換器1a,1b,1cの外面側のほぼ中央に重ねて配置された副室内熱交換器2a,2b,2cを備えている。なお、副室内熱交換器2a,2b,2cは、主室内熱交換器1a,1b,1cの内面側に配置されてもよい。
【0028】
主室内熱交換器1および副室内熱交換器2は、それぞれ冷媒配管で接続されているが、背面側の主室内熱交換器1aと前面側の主室内熱交換器1bは除湿用開閉弁10を含む二股配管11,12で接続されている。
【0029】
また、ともに前面側に配置されている主室内熱交換器1bと主室内熱交換器1c同士は配管13で接続され、かつ、二股配管14を介して冷凍サイクルの四方弁15に接続されている。なお、除湿用開閉弁10は絞り弁だけでなく、全閉,全開可能な電子膨張弁を用いるか、あるいは絞り機能を有するキャリラリーチューブと電磁弁とを並列に接続したものを用いてもよい。
【0030】
3つの副室内熱交換器2a,2b,2cは、配管16,17を介して順次接続され、そのうちの一方の端部側の副室内熱交換器2aは、膨張弁18,室外熱交換器19を経て四方弁15に接続されている。また、他方の端部側の副室内熱交換器2cは、二股配管20を介して主室内熱交換器1aに接続されるとともに、バイパス開閉弁22を含むバイパス配管21の一端に接続されている。
【0031】
バイパス配管21の他端は、上記二股配管14を介して四方弁15に接続されている。バイパス開閉弁22が閉のとき、冷媒は副室内熱交換器2a,2b,2cと主室内熱交換器1a,1b,1cを直列的に流れるが、バイパス開閉弁22が開のとき、冷媒は主室内熱交換器1a,1b,1cをバイパスして副室内熱交換器2a,2b,2cのみに流れる。
【0032】
なお、上記二股配管11,12,14,20を用いた理由は、図2および図3に示すように、主室内熱交換器1a,1bの容量を大きくして、冷媒配管を2パス方式としているためで、これは本発明にとって必須要件ではない。
【0033】
この室内機は壁掛け型であり、その本体下部側に設けられている複数の空気吹出口3,4,5内には、上下風向板6,7,8の他に、図示しない左右風向板が設けられてもよい。また、3つの空気吹出口3,4,5のうち、中央に配置されている集中的吹き出し用の特定空気吹出口4を他の空気吹出口3,5よりも大きくして中央のスポット吹き出し風量を多くすることが好ましい。
【0034】
図5に示すように、この空気調和機の制御系については、室内機側の制御回路25および室外機側の制御回路26とを備え、リモコン27からのリモコン信号に応じて室温コントロールに必要な制御を行い、また、上下風向板6,7,8を制御して空気吹出口3,4,5を開閉制御して、中央の空気吹出口4から室内の特定領域に対して集中的に冷風あるいは温風などを吹き出す制御(スポット冷風あるいは温風運転)を行う。リモコン27からのリモコン信号を受信するため、室内機の本体前面側には、リモコン信号を受信する受信部(図示しない)などが備えられている。
【0035】
上記室内機側の制御回路25は、リモコン27の設定操作に応じて上下風向板6,7,8および室内ファン9を制御し、室温と設定温度の差に応じた圧縮機の運転コードなどを室外機側の制御回路26に送信するとともに、その制御回路26との間で室温コントロールに必要な信号の授受を行い、また、リモコン27の設定操作に応じてスポット吹き出し制御を実行する。
【0036】
そのために、室内機側の制御回路25は、リモコン信号により制御を判別し、左側,中央および右側の上下風向板6,7,8、室内ファン9、除湿用開閉弁10およびバイパス開閉弁22などを制御する機能を備えている。また、室外機側の制御回路27は、室内機側からの運転モードなどを判別し、四方弁15,電子膨張弁18,圧縮機23および室外ファン24を制御する機能を備えている。
【0037】
次に、この空気調和機の動作を、図6,図8および図14の冷凍サイクル構成図、図7,図9ないし図13および図15ないし図17の室内機正面図を参照して説明する。
【0038】
まず、リモコン27によって所定の設定操作が行われると、その設定操作に応じて、室内機側の制御回路25および室外機側の制御回路26は、室温と設定温度の差に基づいて室温コントロールに必要な制御を行う。
【0039】
この運転時において、上記バイパス開閉弁22を閉じる制御が行われると(全閉状態にされると)、圧縮機23からの冷媒は主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cのすべてに循環され、例えば冷房運転であれば、主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cのすべてが蒸発器として作用し、室外熱交換器19が凝縮器として作用する。また、暖房運転であれば、主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cのすべてが凝縮器として作用し、室外熱交換器19が蒸発器として作用する。
【0040】
冷房運転中であるときに、リモコン27によってスポット冷房運転が設定されると、除湿用開閉弁10を閉じ(全閉とし)、バイパス開閉弁22を開く制御(全開制御)を行う。すると、図6の実線矢印に示すように、圧縮機15からの冷媒は、四方弁15→室外熱交換器19→電子膨張弁18→副室内熱交換器2a〜2c→バイパス開閉弁22→バイパス配管21→四方弁15の順に流れる。
【0041】
すなわち、冷媒は主室内熱交換器1a〜1cをバイパスして副室内熱交換器2a〜2cのみに流れ、室外熱交換器19を凝縮器とし、副室内熱交換器2a〜2cを蒸発器とする。そして、図7に示すように、左右両側の空気吹出口3,5を塞ぐように、その上下風向板6,8を閉じ、中央の上下風向板7を開く。
【0042】
これにより、中央の空気吹出口4からスポット冷風が吹き出される。このとき、上記したように、冷媒が副室内熱交換器2a〜2cのみに流れることから、熱交換温度が低下し、スポット冷風の温度(吹き出し温度)が通常の冷房運転時よりも冷やされ、室内の特定領域に対して集中的に冷風を吹き出し、強力な冷風を使用者などに当てることができる。
【0043】
また、暖房運転中であるとき、リモコン27によってスポット暖房運転が設定されると、除湿用開閉弁10を閉じ(全閉とし)、バイパス開閉弁22を開く制御(全開とする制御)を行う。すると、図6の破線矢印に示すように、冷媒は冷房運転と逆に流れ、四方弁15→バイパス開閉弁22→バイパス配管21→副室内熱交換器2a〜2c→電子膨張弁18→室外熱交換器19→四方弁15に流れ圧縮機23に戻る。
【0044】
すなわち、冷媒は主室内熱交換器1a〜1cをバイパスして副室内熱交換器2a〜2cのみに流れ、副室内熱交換器2a〜2cを凝縮器とし、室外熱交換器19を蒸発器とする。そして、左右両側の空気吹出口3,5を塞ぐように、その上下風向板6,8を閉じ、中央の上下風向板7を開く(図7参照)。
【0045】
これにより、中央の空気吹出口4からスポット温風が吹き出される。このとき、上記したように冷媒が副室内熱交換器2a〜2cのみに流れることから、熱交換温度が上昇し、スポット温風の温度(吹き出し温度)が通常の暖房運転時よりも暖められ、室内の特定領域に対して集中的に温風を吹き出し、強力な温風を使用者などに当てることができる。
【0046】
なお、通常の冷房運転時には、除湿用開閉弁10を開き、バイパス開閉弁22を閉じたまま(全閉)とする。これにより、図8の実線矢印に示すように、冷媒が四方弁15→室外熱交換器19→電子膨張弁18→副室内熱交換器2a〜2c→二股配管20→主室内熱交換器1a〜1c→二股配管14→四方弁15に流れ圧縮機23に戻る。すなわち、室外熱交換器19が凝縮器となり、主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cが蒸発器となり、フルパス冷房運転が行われる。
【0047】
そして、図9に示すように、上下風向板6,7,8を制御し、室内ファン9を通常通りに制御すれば、各空気吹出口3,4,5からは各上下風向板6,7,8に応じた向きに冷風が室内に吹き出される。例えば、すべての上下風向板6,7,8を開くことにより、室温が速やかに設定温度に達するようになり、夏季において強力な冷房運転が可能となる。また、左右両側の空気吹出口3,5内の上下風向板6,8を閉じ、中央の空気吹出口4からのみ冷気を吹き出すようにすれば、集中的吹き出しをより強力なものとすることができる。
【0048】
また、通常の暖房運転時には、除湿用開閉弁10を開き(全開とし)、バイパス開閉弁22を閉じたまま(全閉状態)とすることにより、図8の破線矢印に示すように、冷媒は四方弁15→二股配管14→主室内熱交換器1a〜1c→二股配管20→副室内熱交換器2a〜2c→電子膨張弁18→室外熱交換器19→四方弁15に流れ圧縮機23に戻る。これにより、室外熱交換器19が蒸発器となり、主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器22a〜2cが凝縮器となり、フルパス暖房運転が行われる。
【0049】
そして、上記フルパス冷房運転と同様に、上下風向板6,7,8を制御し、室内ファン9を通常通りに制御すれば、各空気吹出口3,4,5からは各上下風向板6,7,8の向きに応じた温風が室内に吹き出される。例えば、すべての上下風向板6,7,8を開くことにより、室温が速やかに設定温度に達するようになり、冬季において強力な暖房運転が可能となる。また、左右両側の空気吹出口3,5内の上下風向板6,8を閉じ、中央の空気吹出口4からのみ温風を吹き出すことにより、集中的吹き出しを強力なものとすることができる。
【0050】
上記スポット冷房やスポット暖房の運転時において、図10に示すように、左右両側の上下風向板6,8を水平の向きに開くようにすると、スポット冷房運転時にあっては、中央の空気吹出口4からのスポット冷風だけなく、左右両側の空気吹出口3,5から室内に向けて送風が行われる。これをスポット冷房全送風運転というが、これによると、左右両側からの送風が室温と同じ温度であることから、その送風が扇風機の機能を果たし、中央からスポット冷風が床付近に留まることなく、室内全体に拡散して他の領域(スポット領域以外の領域)の温度が下がり、室内環境が向上する。
【0051】
また、スポット暖房運転時にあっても同様のことが言え、中央の空気吹出口4からのスポット温風だけなく、左右両側の空気吹出口3,5からの送風が行われる。このスポット暖房全送風運転によれば、左右両側からの送風が室温と同じ温度であることから、中央からスポット温風が天井付近に留まることもなく、その送風がサーキュレータのような機能を果し、室内全体に拡散して他の領域(スポット領域以外の領域)の温度が上がり、室内環境が向上する。なお、左右両側の上下風向板6,8はやや上向きにする好ましい。
【0052】
上記スポット冷房あるいはスポット暖房の運転時に、左右両側の上下風向板6,8の向きをリモコン27の操作によって行えるようにすることもできる。その場合、リモコン27に各上下風向板6,8の向きを設定するボタンを設け、室内機側の制御回路25によって、そのボタン操作に応じて各上下風向板の駆動モータを制御する。これにより、使用者の要望に応じてスポット冷風(またはスポット暖房)のみを行うか、スポット冷風全送風(またはスポット暖房全送風)を行うかの選択ができる。
【0053】
上記左右両側の空気吹出口3,5から送風を行うか、送風しないか否かについて、リモコン27の操作によらず、設定温度と室温との温度差あるいはスポット冷房運転時間(またはスポット暖房運転時間)に応じて自動的に選択可能としてもよい。例えば、暑い夏季や寒い冬季にあっては、どうしても設定温度と室温の差が大きくなりがちであるため、このような場合に、冷風あるいは温風を集中して身体に当てることにより、すばやく快適な体感温度を与え、しかる後スポット冷風あるいはスポット温風を抑える送風を追加して室内全体の冷やし過ぎあるいは暖め過ぎを防止し、快適な空調を維持することができる。
【0054】
また、上記スポット冷房やスポット暖房の運転を行っているとき、あるいはそれら運転時にすべての上下風向板6,7,8を開いているときにおいて、リモコン27のボタン操作により、バイパス開閉弁22の開閉,除湿用開閉弁10の開閉を行うようにすることもできる。なお、リモコン27のボタン操作に代え、室内機側の制御回路25にて、設定温度と室温との差、あるいは運転時間に基づいてバイパス開閉弁22の開閉、除湿用開閉弁10の開閉を行うようにすることもできる。
【0055】
例えば、設定温度と室温の差が大きいときには、室温が速やかに設定温度に達するように、バイパス開閉弁22を閉じ、除湿用開閉弁10を開いてフルパス冷房あるいはフルパス暖房運転を行い、室内を一気に冷やしあるいは暖める。そして、室温が設定温度に達したときに、バイパス開閉弁22を開き、除湿開閉弁10を閉じて(あるいは極力絞って)、冷媒を主に副室内熱交換器2a〜2cに循環させて、弱めの冷房あるいは弱めの暖房運転を行い、室温の安定化を図る。
【0056】
なお、上記フルパス冷房あるいはフルパス暖房運転中に室温が設定温度に達したとき、従来であれば圧縮機23の回転数を下げて室温を設定温度に維持、安定させる。この圧縮機23の回転数を下げる方法によると、冷房時には蒸発器の温度が上昇し、その蒸発器の温度が露点温度以上になると、室内除湿の効果が低下し、また、暖房時には凝縮器の温度が低下し、吹き出し温度が低下して使用者に肌寒さを感じさせることになる。そこで、冷媒を副室内熱交換器2a〜2cのみに流すようにし、冷房時には蒸発器の温度を低く保ち、暖房時には凝縮器の温度を高く保つようにすることが好ましい。
【0057】
除霜運転時においては、バイパス開閉弁22を開き、冷媒を凝縮器としての副室内熱交換器2a〜2cのみに流し、室外機側の電子膨張弁18を全開とし、高圧冷媒を減圧しないまま蒸発器としての室外熱交換器19に流す暖房サイクルを行う。このとき、図11に示すように、中央の上下風向板7を水平とし、左右両側の上下風向板6,8を閉じ、中央の空気吹出口4からのみ温風を吹き出すようにする。これにより、室外熱交換器19に付着した霜を効果的に溶かすことができ、また、除霜運転時にあっても弱めの暖房運転が行われ、室温の低下が小さく快適な空調が維持される。
【0058】
上記した運転の開始時における上下風向板6,7,8の他の制御例について説明する。例えば、設定温度と室温との差が大きい場合(冷房時には室温が設定温度よりかなり高く、暖房時には室温が設定温度よりかなり低い場合)には、冷媒が主室内熱交換器1a〜1cおよび副室内熱交換器2a〜2cに循環するように、バイパス開閉弁22を閉じるとともに、除湿用開閉弁10を全開状態とし、左右両側の上下風向板6,8を上向きとし、中央の上下風向板7を水平方向にする。
【0059】
すると、このフルパス冷房あるいはフルパス暖房運転にあっては、図12に示すように、中央の空気吹出口4からは冷風(あるいは温風)が室内に吹き出され、左右両側の空気吹出口3,5からは冷風(あるいは温風)が上方向に吹き出される。しかも、その上方向に吹き出された冷風(あるいは温風)は室内機の前面側空気吸入口から同室内機内部に取り込まれて再度熱交換される。
【0060】
すなわち、吹き出された空気の一部がショートサーキットにより直接的に室内機内部に戻されるため、冷房時には中央の空気吹出口4から吹き出される冷風の温度がより下がり、また、暖房時にはその吹き出される温風の温度が上がるようになり、運転開始時の急速冷房あるいは急速暖房が実現される。
【0061】
また、バイパス開閉弁22を閉じ、除湿用開閉弁10を全開状態としたフルパス冷房あるいはフルパス暖房運転時において、中央の上下風向板7を開くとともに、それ以外の左右風向板6,8を閉じることにより、中央の空気吹出口7からは冷風あるいは温風が吹き出される。このフルパス運転によれば、冷房あるいは暖房の最大能力が発揮され、冷房時には蒸発器の温度が極低温になり、暖房時には凝縮器の温度が極高温度となる。
【0062】
これにより、図13に示すように、中央の空気吹出口7からのスポット吹き出し空気は、冷房時には上述したバイパス冷房運転時よりも超冷風となり、暖房時には上述したバイパス暖房運転時よりも高温風となる。つまり、室内の特定領域を集中的に冷やし、あるいは暖める効果が大きいものとなる。
【0063】
この場合、中央の上下風向板7以外の上下風向板6,8を閉じるか、開くか否かの選択は、リモコン27からの指示,設定温度と室温との差、あるいは運転時間に基づいて行うようにしてもよい。
【0064】
この空気調和機は、上述した運転の他に、冷房サイクルの再熱除湿運転(冷房除湿運転)モードと、暖房サイクルの再熱除湿運転(暖房除湿運転)モードとを備えている。これらのモードはリモコン27によって選択される。
【0065】
冷房除湿運転が選択された場合には、電子膨張弁18を全開状態にする一方、除湿用開閉弁10を所定の絞り状態にするとともに、バイパス開閉弁22を閉じ、四方弁15を冷房サイクルに切り替える。
【0066】
すると、図14の実線矢印に示すように、圧縮機23からの冷媒は、四方弁15→室外熱交換器19→電子膨張弁18→副室内熱交換器2a〜2c→主室内熱交換器1a〜1c→配管14→四方弁15→圧縮機23へと循環するが、電子膨張弁18の全開および除湿用開閉弁10の絞りによって、副室内熱交換器2および主室内熱交換器1のうちの背面側の主室内熱交換器1aが、室外熱交換器19と同じ凝縮器となり、主室内熱交換器1の残りの主室内熱交換器1b,1cのみが蒸発器となる。
【0067】
そして、各上下風向板6,7,8については、図15に示すように、中央の空気吹出口4内の上下風向板7を全閉とし、左右両側の空気吹出口3,5内の上下風向板6,8を例えば水平向きとする。これにより、室内側の熱交換器が凝縮器と蒸発器の混合形式となり、冷房能力の低下を抑えながら、冷房除湿運転を行うことができる。なお、室内ファン9の制御については、通常の冷房除湿運転と同じく微風の回転数とする。
【0068】
なお、この場合、凝縮器として作用する副室内熱交換器2a〜2cおよび背面側の主室内熱交換器1aの熱交換面積は、蒸発器として作用する主室内熱交換器1b,1cの熱交換面積よりも大きいが、室温が設定温度より高い場合、中央の空気吹出口4内の上下風向板7を全閉とし、左右両側の空気吹出口3,5内の上下風向板6,8を例えば水平向きとすることにより、室温よりも低い冷風を吹き出して室温を下げることができる。
【0069】
また、上記冷房除湿運転において、室温と設定温度の差が所定値以内である場合には、図16に示すように、左右両側の空気吹出口3,5だけなく、中央の空気吹出口4も開く。これにより、空気吹出口4からは室温より若干高めの空気が吹き出されるが、他の空気吹出口3,5からは室温より若干低めの空気が吹き出されるため、その両方の空気が混合され、室温が既に設定温度に近いこともあって、室温が安定した室内環境が最適に維持される。
【0070】
また、上記冷房除湿運転において、室温が設定温度より低い場合には、図17に示すように、中央の空気吹出口4を開くように上下風向板7を水平方向とし、他の左右両側の空気吹出口3,5を塞ぐように各上下風向板6,8を閉じる。これにより、空気吹出口4からは室温より若干高めの空気が吹き出され、他の空気吹出口3,5からは空気が吹き出されないため、室温を上げることができる。このように、本発明での冷房除湿運転によれば、除湿だけなく、室内環境を適切に維持することができる。
【0071】
リモコン27によって暖房除湿運転が設定された場合、上記冷房除湿運転と同様に、電子膨張弁18を全開状態にする一方、除湿用開閉弁10を所定の絞り状態にするとともに、バイパス開閉弁22を閉じるが、四方弁15を暖房サイクルに切り替える。
【0072】
すると、図14の破線矢印に示すように、圧縮機23からの冷媒は、四方弁15→主室内熱交換器1a〜1c→副室内熱交換器2→電子膨張弁18→室外熱交換器19→四方弁15→圧縮機23へと循環するが、電子膨張弁18の全開および除湿用開閉弁10の絞りにより、主室内熱交換器1のうちの前面側の主室内熱交換器1b,1cが凝縮器となり、背面側の主室内熱交換器1aおよび副室内熱交換器2a〜2cが室外熱交換器19と同じ蒸発器となる。
【0073】
そして、各上下風向板6,7,8については、中央の空気吹出口4を塞ぐように上下風向板7を全閉とし、左右両側の空気吹出口3,5を開くように上下風向板6,8を例えば水平方向とする(図15参照)。これにより、暖房能力の低下を抑えながら、暖房除湿運転を行うことができる。なお、室内ファン9の制御については、通常の暖房除湿運転と同じく微風の回転数とする。
【0074】
なお、この場合、蒸発器として作用する背面側の主室内熱交換器1aおよび副室内熱交換器2a〜2cの熱交換面積は、凝縮器として作用する前面側の主室内熱交換器1b,1cの熱交換面積よりも大きいが、室温が設定温度より高い場合には、左右両側の空気吹出口3,5を塞ぐように各上下風向板6,8を全閉とし、室温よりも高い空気を遮断し、中央の空気吹出口4を開くように上下風向板7を例えば水平方向とすることにより、室温より低めの空気を吹き出して室温を下げることができる。
【0075】
また、上記暖房除湿運転において、室温と設定温度の差が所定値以内である場合には、左右両側の空気吹出口3,5だけなく、中央の空気吹出口4も開く(図16参照)。これにより、空気吹出口4からは室温より若干低めの空気が吹き出されるが、他の空気吹出口3,5からは室温より若干高めの空気が吹き出されるため、その両方の空気が混合され、室温が既に設定温度に近いこともあって、室温が安定した室内環境が最適に維持される。
【0076】
また、上記暖房除湿運転において、室温が設定温度より低い場合には、中央の空気吹出口4内の上下風向板7を閉じ、他の左右両側の空気吹出口3,5内の各上下風向板6,8を例えば水平方向とする(図17参照)。これにより、空気吹出口6,8のみからは室温より若干高めの空気が吹き出されるため、室温を上げることができる。このように、本発明の暖房除湿運転によれば、除湿だけなく、室内環境を適切に維持することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、壁掛け式の室内機の下部側に複数の個別的に区画された空気吹出口を設け、主室内熱交換器を各空気吹出口の全範囲にわたって共通に配置し、特定の一つの空気吹出口に位置的に対応して副室内熱交換器を主室内熱交換器に重ねて配置し、主室内熱交換器と副室内熱交換器をバイパス開閉弁を含むバイパス配管にて直列的に接続し、所定の運転モード時にバイパス開閉弁を開いて冷凍サイクルの冷媒を副室内熱交換器のみに循環させる構成としたことにより、新たに副室内熱交換器とバイパス開閉弁を含むバイパス配管を追加するだけの構成で、必要に応じて室内の特定領域に対して集中的に冷風や温風などを吹き出すことができる。
【0078】
また、主室内熱交換器を背面側熱交換器と前面側熱交換器として、それらを絞り可能な除湿用開閉弁を介して接続することにより、適切な除霜運転,冷房除湿運転および暖房除湿運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による空気調和機の室内機の構成を示す概略的な斜視図。
【図2】上記室内機の正面を概略的に示す正面図。
【図3】本発明による空気調和機の冷凍サイクルを示す模式図。
【図4】上記冷凍サイクルの回路図。
【図5】本発明による空気調和機が備える制御系を示す概略的ブロック線図。
【図6】上記冷凍サイクルの冷媒の流れ方向を説明するための回路図。
【図7】図6に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図8】上記冷凍サイクルの冷媒の流れ方向を説明するための回路図。
【図9】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図10】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図11】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図12】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図13】図8に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図14】上記冷凍サイクルの冷媒の流れ方向を説明するための回路図。
【図15】図14に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図16】図14に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【図17】図14に示す冷凍サイクル時における上下風向板の制御状態を示す室内機の概略的正面図。
【符号の説明】
1(1a,1b,1c) 主室内熱交換器
2(2a,2b,2c) 副室内熱交換器
3,4,5 空気吹出口
6,7,8 上下風向板
9 室内ファン
10 除湿用開閉弁
15 四方弁
18 電子膨張弁
19 室外熱交換器
21 バイパス配管
22 バイパス開閉弁
23 圧縮機
25 室内機制御回路
26 室外機制御回路
27 リモコン
Claims (17)
- 空気吸入口と空気吹出口とを有し、それらの間を結ぶ空気通路内に室内ファンおよび冷凍サイクルに含まれる室内熱交換器が配置され、上記室内ファンの運転により、上記空気吸入口から吸い込まれた空気を上記室内熱交換器にて熱交換して、上記空気吹出口より吹き出して室温コントロールを行う壁掛け式の室内機を備える空気調和機において、
上記室内機の下部側に設けられ、それぞれが上下風向板を有する複数の個別的に区画された空気吹出口と、上記各空気吹出口の全範囲にわたって共通に配置された主室内熱交換器と、上記複数の空気吹出口のうち、特定の一つの空気吹出口に位置的に対応して上記主室内熱交換器に重ねて配置された副室内熱交換器と、上記主室内熱交換器と上記副室内熱交換器とを直列にして上記冷凍サイクルに接続し、かつ、所定の運転モード時には、上記冷凍サイクルの冷媒を上記主室内熱交換器をバイパスして上記副室内熱交換器のみに流すためのバイパス配管および同バイパス配管を開閉するバイパス開閉弁と、上記所定の運転モード時に上記バイパス開閉弁を開いて上記冷凍サイクルの冷媒を上記副室内熱交換器のみに循環させるとともに、上記上下風向板を所定の向きに制御する制御手段とを備え、上記所定の運転モード時には、上記副室内熱交換器のみによって熱交換された空気を上記特定の空気吹出口から室内に向けて集中的に吹き出すようにしたことを特徴とする空気調和機。 - 上記空気吹出口が3個以上の奇数個として横一列に配置されているとともに、上記主室内熱交換器が上記室内機の背面から前面にかけてΛ型に少なくとも2つに分割的に配置されており、上記複数の空気吹出口のうち中央の特定空気吹出口に位置的に対応して上記副室内熱交換器が上記主室内熱交換器に対して重ねて配置され、上記主室内熱交換器のうちの背面側の主室内熱交換器と前面側の主室内熱交換器とを接続する配管内に絞り可能な除湿用開閉弁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
- 上記集中的吹き出しのための特定空気吹出口は、上記室内機の中央に設けられており、上記副室内熱交換器は、上記特定空気吹出口に位置的に対応して上記主室内熱交換器の中央に設けられ、上記バイパス開閉弁を開いて上記副室内熱交換器によって熱交換された空気が、上記室内機の中央部分から吹き出されるようにした請求項1または2に記載の空気調和機。
- 上記冷凍サイクルを冷房サイクルあるいは暖房サイクルとした運転中に、上記バイパス開閉弁を開き、上記除湿用開閉弁を全閉として冷媒を上記副室内熱交換器のみに循環し、上記集中的吹き出しのための特定空気吹出口内の上下風向板を制御し、残りの空気吹出口を塞ぐように同空気吹出口内の上下風向板を閉じるようにした請求項2または3に記載の空気調和機。
- 上記冷凍サイクルを冷房サイクルあるいは暖房サイクルとした運転中に、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を全開として、冷媒を上記主室内熱交換器および上記副室内熱交換器のすべての熱交換器に循環させ、上記各空気吹出口内の上記上下風向板を制御して、上記すべての熱交換器によって熱交換した空気を吹き出し可能とした請求項2または3に記載の空気調和機。
- 除霜運転時には、上記バイパス開閉弁を開き、上記除湿用開閉弁を全閉とし、上記冷凍サイクルに含まれている室外機側の電子膨張弁を全開として、冷媒を上記副室内熱交換器にのみに循環させ、上記集中的吹き出しのための特定空気吹出口内の上下風向板を制御し、残りの空気吹出口を塞ぐように同空気吹出口内の上下風向板を閉じるようにした請求項2または3に記載の空気調和機。
- 冷房サイクル再熱除湿運転時には、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を所定の絞り状態として、冷媒を上記主室内熱交換器および副室内熱交換器に循環させ、上記副室内熱交換器および上記背面側の主室内熱交換器を上記室外熱交換器と同じ凝縮器とし、残りの主室内熱交換器を蒸発器とする請求項2または3に記載の空気調和機。
- 暖房サイクル再熱除湿運転時には、上記バイパス開閉弁を閉じ、上記除湿用開閉弁を所定の絞り状態として、上記主室内熱交換器および副室内熱交換器に循環させ、上記副室内熱交換器および上記背面側の主室内熱交換器を上記室外熱交換器と同じ蒸発器とし、残りの主室内熱交換器を凝縮器とする請求項2または3に記載の空気調和機。
- 冷房サイクルあるいは暖房サイクルによる運転時において、室温と設定温度の差が大きい場合には、上記バイパス開閉弁を閉じて冷媒をすべての上記室内熱交換器に循環させるとともに、上記中央の特定空気吹出口以外の空気吹出口内の各上下風向板を上向きとして、そこから吹き出される空気を上記空気吸入口から内部に取り込むショートサーキットを形成するようにした請求項2または3に記載の空気調和機。
- 上記中央の特定空気吹出口からの集中的に吹き出す場合、上記バイパス開閉弁を閉じて冷媒をすべての上記室内熱交換器に循環させるとともに、上記中央の特定空気吹出口以外の空気吹出口を塞ぐように、その上下風向板を閉じる請求項2または3に記載の空気調和機。
- 上記上下風向板の開閉制御を、リモコンによる遠隔操作,設定温度と室内温度との差、もしくは運転時間に応じて行う請求項1ないし10のいずれか1項に記載の空気調和機。
- 上記冷房サイクル再熱除湿運転時において、室内温度が設定温度より高い場合、上記中央の特定空気吹出口内の上下風向板を閉じ、それ以外の空気吹出口内の各上下風向板を開く請求項7に記載の空気調和機。
- 上記冷房サイクル再熱除湿運転時あるいは暖房サイクル再熱除湿運転時において、室内温度と設定温度の差が所定値以内である場合、すべての空気吹出口内の各上下風向板を開く請求項7または8に記載の空気調和機。
- 上記冷房サイクル再熱除湿運転時において、室内温度が設定温度より低い場合、上記中央の特定空気吹出口内の上下風向板を開き、それ以外の空気吹出口内の各上下風向板を閉じる請求項7に記載の空気調和機。
- 上記暖房サイクル再熱除湿運転時において、室内温度が設定温度より高い場合、上記中央の特定空気吹出口内の上下風向板を開き、それ以外の空気吹出口内の各上下風向板を閉じる請求項8に記載の空気調和機。
- 上記暖房サイクル再熱除湿運転時において、室内温度が設定温度より低い場合、上記中央の特定空気吹出口内の上下風向板を閉じ、それ以外の空気吹出口内の各上下風向板を開く請求項8に記載の空気調和機。
- 上記上下風向板を上向きとして空気のショートサーキットを形成する場合、その後に上記上下風向板の向きを他の方向に変えるか否かを、リモコンによる遠隔操作,設定温度と室内温度との差,もしくは運転時間に応じて制御する請求項9に記載の空気調和機。
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