JP2004218815A - 転がり摺動部材およびその製造方法、並びにそれを用いた転がり軸受 - Google Patents
転がり摺動部材およびその製造方法、並びにそれを用いた転がり軸受 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004218815A JP2004218815A JP2003010161A JP2003010161A JP2004218815A JP 2004218815 A JP2004218815 A JP 2004218815A JP 2003010161 A JP2003010161 A JP 2003010161A JP 2003010161 A JP2003010161 A JP 2003010161A JP 2004218815 A JP2004218815 A JP 2004218815A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- compressive stress
- residual compressive
- rolling
- sliding member
- manufacturing
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C33/00—Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
- F16C33/30—Parts of ball or roller bearings
- F16C33/58—Raceways; Race rings
- F16C33/64—Special methods of manufacture
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16C—SHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
- F16C19/00—Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
- F16C19/02—Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
- F16C19/04—Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly
- F16C19/06—Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for radial load mainly with a single row or balls
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Manufacturing & Machinery (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Rolling Contact Bearings (AREA)
Abstract
【解決手段】所定形状に形成された合金鋼製の中間素材3を作製し、この中間素材3に対し、圧縮応力の解放を抑制する冷却を行いながら残留圧縮応力付与加工を施すようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転がり軸受、滑り軸受、一方向クラッチ等の構成部材のように相手部材との間で転がり接触若しくは滑り接触または両接触を含む接触をする転がり摺動部材およびその製造方法、並びにそれを用いた転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば、転がり軸受の軌道面は、繰り返し荷重がかかるために寿命が短いという問題がある。この問題の対応策として、軌道面に対しショットピーニング加工を施して残留圧縮応力を付与し、転がり疲れ寿命を向上させる方策が知られている(特許文献1参照)。また、ショットピーニング加工よりも深い部分に高い残留圧縮応力を付与できるローラバニシング加工を施す方策も知られている(特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−65576号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開2002−168256号公報(第3頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ショットピーニング加工やローラバニシング加工により残留圧縮応力を付与すると、加工面が200℃を超えるような温度となり、付与された残留圧縮応力が解放されるので、軌道面における残留圧縮応力が、深くなっていくにつれて、徐々に減少し、極小値を経て増大し、極大値を経てさらに減少していくような分布となってしまう(図2、流量2リットル/min参照)。そして、残留圧縮応力の極小値が発生する部分と最大剪断応力が作用する部分とが一致してしまうと、残留圧縮応力付与による内部起点剥離防止効果が充分に得られず、短寿命なものになってしまうという問題がある。この問題を解消するため、残留圧縮応力の極小値が発生する部分を研磨により除去する方策が考えられるが、工程数が増加する等のため製造コストがかかり、また残留圧縮応力の極小値が発生する部分にばらつきがあるため均質な製品供給が難しいという新たな問題が生じる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、残留圧縮応力の小さくなる部分の発生を抑制することにより長寿命化を実現した転がり摺動部材およびその製造方法、並びにそれを用いた転がり軸受の提供をその目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の転がり摺動部材の製造方法は、残留圧縮応力付与加工が施された合金鋼製の転がり摺動部材を製造する方法であって、所定形状に形成された合金鋼製の中間素材を作製し、この中間素材に対し、圧縮応力の解放を抑制する冷却を行いながら残留圧縮応力付与加工を施すことにより、残留圧縮応力付与加工面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおいて、当該加工面における残留圧縮応力と残留圧縮応力の最小値との差を150MPa以下に設定する工程を含むことを特徴としている(請求項1)。
上記の第1の製造方法によれば、圧縮応力の解放を抑制する冷却を行いながら残留圧縮応力付与加工を施すので、残留圧縮応力が小さくなる部分(極小値)の発生を抑制できる。そのため、最大剪断応力が作用する部分の残留圧縮応力が小さいために短寿命になるということがなくなるので、従来以上に長寿命な転がり摺動部材が得られる。また、残留圧縮応力の小さい部分を研磨により除去する場合、研磨量が少なくてよいので、製造コストを低く抑えることができるという利点がある。
ここで、本発明において、残留圧縮応力付与加工とは、加工面に対し強制的に大きな残留圧縮応力を付与できる全ての機械加工を含むが、切削や研削など外形形成過程で必然的にある程度の残留圧縮応力が付与される加工を除く概念であり、ローラバニシング加工やショットピーニング加工を含む。
【0007】
上記の製造方法において、前記圧縮応力の解放を抑制する冷却は、前記中間素材の残留圧縮応力付与加工面の温度が100℃を超え200℃以下となる冷却であるのが好ましい(請求項2)。このような冷却であれば、確実に加工面における残留圧縮応力と残留圧縮応力の最小値との差が150MPa以下となるので、従来よりも長寿命な転がり摺動部材が得られる。
ここで、本発明において、前記中間素材の残留圧縮応力付与加工面における温度の測定は、加工時に加工面を直接測定することができないので、加工面の近傍を測定することにより行う。そして、このようにして測定した温度が上記した特定の温度範囲であれば上記した効果が得られる。
また、本発明において、残留圧縮応力の各数値は、後記の図2以外は、絶対値で表している。
【0008】
本発明の第2の転がり摺動部材の製造方法は、残留圧縮応力付与加工が施された合金鋼製の転がり摺動部材を製造する方法であって、所定形状に形成された合金鋼製の中間素材を作製し、この中間素材に対し、圧縮応力の解放を抑制する冷却を行いながら残留圧縮応力付与加工を施すことにより、残留圧縮応力付与加工面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおける残留圧縮応力を常に増大するように設定する工程を含むことを特徴としている(請求項3)。
上記の第2の製造方法によれば、圧縮応力の解放を抑制する冷却を行いながら残留圧縮応力付与加工を施して、残留圧縮応力が常に増大するようにするので、残留圧縮応力の極小値がなくなる。そのため、残留圧縮応力の極小値と最大剪断応力が作用する部分とが一致して短寿命になるということがなくなるので、従来以上に長寿命な転がり摺動部材が得られる。また、残留圧縮応力の小さい部分を研磨により除去する場合、研磨量が少なくてよいので、製造コストを低く抑えることができるという利点がある。
【0009】
上記の第2の製造方法において、前記圧縮応力の解放を抑制する冷却は、前記中間素材の残留圧縮応力付与加工面の温度が100℃以下となる冷却であるのが好ましい(請求項4)。このような冷却であれば、確実に残留圧縮応力が常に増大するようになるので、従来よりも長寿命な転がり摺動部材が得られる。
また、上記の第2の製造方法において、前記加工面における残留圧縮応力を600MPa以上に設定することが好ましい。この場合には、加工面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおける残留圧縮応力が確実に600MPa以上となるので、非常に長寿命な転がり摺動部材が得られる。そして、上記の製造方法において、前記加工面における残留圧縮応力と残留圧縮応力が最大となる部分の残留圧縮応力との差を300MPa以下に設定することが好ましい。この場合には、残留圧縮応力がより平均化されているので、適用範囲の広い長寿命な転がり摺動部材が得られる。上記の製造方法において、前記圧縮応力の解放を抑制する冷却は、前記中間素材の残留圧縮応力付与加工面の温度が50℃以下となる冷却であるのが好ましい。このような冷却であれば、従来よりも長寿命で適用範囲の広い転がり摺動部材が得られる。
【0010】
上記した第1、第2の製造方法において、前記残留圧縮応力付与加工が、残留圧縮応力の最大値が800MPa以上となる加工であることが好ましい。このような加工の場合に改善効果が顕著に現れるからである。また、残留圧縮応力付与加工としてローラバニシング加工やショットピーニング加工を用いた場合には、(請求項5)、より深い位置に高い残留圧縮応力を付与できるので、得られる転がり摺動部材をより広い用途に用いることができるという利点がある。
【0011】
本発明の第1の転がり摺動部材は、相手部材との間で相対的に転がり接触若しくは滑り接触または両接触を含む接触をし、その接触面に対し最終機械加工工程として残留圧縮応力付与加工が施されてなる合金鋼製の転がり摺動部材であって、前記相手部材との接触面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおいて、当該接触面における残留圧縮応力と残留圧縮応力の最小値との差が150MPa以下に設定されていることを特徴としている(請求項6)。
上記の構成によれば、残留圧縮応力が小さい部分においても従来よりも高い残留圧縮応力が付与されているので、たとえその部分と最大剪断応力が作用する部分とが一致したとしても、内部起点剥離がより防止された長寿命な転がり摺動部材となる。
【0012】
本発明の第2の転がり摺動部材は、相手部材との間で相対的に転がり接触若しくは滑り接触または両接触を含む接触をし、その接触面に最終機械加工工程として残留圧縮応力付与加工が施されてなる合金鋼製の転がり摺動部材であって、前記相手部材との接触面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおける残留圧縮応力が常に増大するように設定されていることを特徴としている(請求項7)。
上記の構成によれば、最大剪断応力が作用する部分の残留圧縮応力は接触面よりも確実に大きいので、内部起点剥離がより防止された長寿命な転がり摺動部材となる。
上記の第2の転がり摺動部材において、前記相手部材との接触面における残留圧縮応力が600MPa以上に設定されていることが好ましい。上記の構成によれば、最大剪断応力が作用する部分が確実に600MPa以上になるので、非常に長寿命な転がり摺動部材となる。また、上記の第2の転がり摺動部材において、前記相手部材との接触面における残留圧縮応力と残留圧縮応力が最大となる部分の残留圧縮応力との差が300MPa以下に設定されていることが好ましい。残留圧縮応力がより平均化されているので、適用範囲の広い長寿命な転がり摺動部材となる。
【0013】
上記の第1、第2の転がり摺動部材において、前記残留圧縮応力の最大値が800MPa以上である場合には、特に長寿命な転がり摺動部材となる。また、上記の転がり摺動部材において、相手部材との接触面が非研磨面の場合は、工程数減少によって安価な製品を提供できる。
【0014】
本発明の転がり軸受は、上記した転がり摺動部材を転がり軸受の内輪、外輪および転動体の少なくとも1つとして用いてなり、この転がり摺動部材の前記残留圧縮応力の最大値を800MPa以上に設定したことを特徴としている(請求項8)。このような転がり軸受によれば、特に疲労強度が要求される内輪、外輪、転動体として前記した長寿命な転がり摺動部材を用いているので、長期にわたって使用することが可能な転がり軸受となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明の一実施形態にかかる転がり摺動部材の製造方法を示す工程図である。この製造方法は、玉軸受の内輪の製造に適用されるものであり、まず、軸受鋼(SUJ2)からなる環状素材1(図1(a)参照)に旋削加工を施して、端面2a、外周2b、軌道2cおよび内周2d等を所定形状に加工する(図1(b)参照)。ついで、この旋削加工されたブランク2に浸炭焼入を含む熱処理を施して、その表面硬さが例えばロックウェルC硬さ60以上となるように硬化させる(図1(c)参照)。その後、熱処理が完了したブランク2の端面2a、軌道2cおよび内周2dを、研削によって所定精度に仕上げ、中間素材3を得る(図1(d)参照)。
【0016】
研削による仕上げ加工が完了すると、前記軌道2cの表面にローラバニシング加工を施す(図1(e)参照)。このローラバニシング加工は、油圧で保持されたセラミックス製の鏡面ボール4を、軌道2cの表面に強圧で押し付けて転がり接触させながら、軌道2cの軸方向断面に沿って移動させるものである。そして、転がり接触は、冷却液供給装置のノズル5から冷却液を一定の流量となるよう吐出させながら行う。これにより、加工面の温度が低くなり、ローラバニシング加工用の鏡面ボール4と軌道2cとの接触による摩擦熱によって圧縮応力が解放されることが抑えられる。冷却液の流量は、加工面の温度が200℃以下となるようにするのが好ましく、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは50℃以下となるように設定する。すなわち、100℃を超え200℃以下であると、残留圧縮応力の解放が抑制されて残留圧縮応力が小さくなる度合いが減り、また100℃以下であると、残留圧縮応力の極小値がなくなり、さらに50℃以下であると加工面における残留圧縮応力が600MPa以上となるからである。なお、このローラバニシング加工においては、軌道2c表面に対し、残留圧縮応力の最大値が800MPa以上、より好ましくは900MPa以上となるように、そのバニシング量や加圧力等の加工条件を選択する。
【0017】
このようにして得られた内輪は、軌道における残留圧縮応力が小さくなる部分(極小値)の発生が抑制または消失するようになっているので、より長寿命なものになっている。
【0018】
図2は前記ローラバニシング加工後における加工面からの各深さにおける残留圧縮応力を測定した結果を示すグラフ図である。この図には、冷却液の流量が2リットル/minの場合(1.0倍の流量の場合、比較例)、1.5倍の流量の場合、2.0倍の流量の場合、3.0倍の流量の場合について記載している。なお、冷却液の流量以外の実験条件は、840℃で45分間、油焼入れ、180℃で2時間の焼戻し処理を行ったSUJ2製のスラスト円板を用い、冷却液を用いながら、ワーク回転数100rpm/min、ツール送り0.1mm/rev、使用加工液:エマルカットDC64(協同油脂社製)、直径6.3mmのセラミックス鏡面ボールを用いたローラバニシング加工を施す、とした。
【0019】
図2から明らかなように、1.5倍の流量の場合は、加工面からの深さ0.01mmにおいて残留圧縮応力の極小値が存在するが、1.0倍の流量の場合に比べて、圧縮応力の解放が抑制されてより大きな残留圧縮応力が付与されていることがわかる。すなわち、1.0倍のときは152MPaで、1.5倍の流量の場合は320MPaであり、2倍以上付与されていることがわかる。よって、1.5倍の流量にした方が、より長寿命なものになることがわかる。
また、2.0倍の流量の場合は、加工面における残留圧縮応力が424MPaで、深さ0.09mm(残留圧縮応力が最大となる深さ)における残留圧縮応力が913MPaであり、加工面から残留圧縮応力が最大となる深さまでにおいて、常に残留圧縮応力が増大するようになっているので、最大剪断応力が作用する部分が残留圧縮応力の極小値と一致することがないことがわかる。よって、2.0倍の流量にした場合には、より長寿命なものになることがわかる。
さらに、3.0倍の流量の場合は、加工面における残留圧縮応力が630MPaで、深さ0.09mm(残留圧縮応力が最大となる深さ)における残留圧縮応力が896MPaで、その差が266MPaとなっており、流量が1.0倍、1.5倍、2.0倍の場合に比べて、より最大値と最小値との差が小さくなっていることがわかる。よって、3.0倍の流量にした場合には、より適用範囲の広い長寿命なものになることがわかる。
なお、流量が1.0倍の場合は加工面の温度が210℃であり、流量が1.5倍の場合は加工面の温度が132℃であり、流量が2.0倍の場合は加工面の温度が85℃であり、流量が3.0倍の場合は加工面の温度が43℃であった。
【0020】
(その他の事項)
上記では、残留圧縮応力付与加工としてローラバニシング加工を用いた場合を説明したが、ショットピーニング加工であっても同様に適用することができる。
また、上記では、冷却液を用いたが、これに限定するものではなく、可能であれば、冷却液に代えて冷却気体を用いてもよい。
さらに、ローラバニシング加工に鏡面ボールを用いたが、これに限定するものではなく、鏡面ローラを用いてもよい。また、材質として、セラミックスに限定するものではなく、加工する素材の表面よりも硬いものであればよく、例えば、高硬度の鋼であってもよい。
また、上記では、転がり摺動部材の材料として軸受鋼を用いたが、これに限定するものではなく、肌焼き鋼等のその他の合金鋼を用いてもよい。
なお、上記では、加工面を研磨しない場合について説明したが、必要に応じて研磨してもよい。残留圧縮応力の解放を抑制しているので、従来よりも研磨量を少なく済ますことができるという利点がある。
さらに、上記では、玉軸受用の内輪について説明したが、外輪であっても同様に適用することができる。また、転動体も同様にして製造することができる。さらに、玉軸受だけでなく、その他の各種のころ軸受、滑り軸受、一方向クラッチ等の転がり接触若しくは滑り接触または両接触を含む接触をする構成部材についても、同様に適用することが可能である。
【0021】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の転がり摺動部材の製造方法によれば、残留圧縮応力が小さい部分の発生を抑制できるので、その部分と最大剪断応力が作用する部分とが一致したとしても従来よりも長寿命な転がり摺動部材が得られる。上記の製造方法において、圧縮応力を解放する冷却として中間素材の残留圧縮応力付与加工面の温度が100℃を超え200℃以下となる冷却を行う場合には、確実に残留圧縮応力が小さい部分の発生が抑制されて従来よりも長寿命な転がり摺動部材が得られる。
【0022】
請求項3の転がり摺動部材の製造方法によれば、残留圧縮応力の極小値がなくなるので、残留圧縮応力の極小値と最大剪断応力が作用する部分とが一致して短寿命になるということがなく、従来以上に長寿命な転がり摺動部材が得られる。上記の製造方法において、圧縮応力の解放を抑制する冷却として中間素材の残留圧縮応力付与加工面の温度が100℃以下となる冷却を行う場合には、確実に残留圧縮応力が常に増大するようになるので、従来よりも長寿命な転がり摺動部材が得られる。また、上記の製造方法において、加工面における残留圧縮応力を600MPa以上に設定するようにした場合には、非常に長寿命な転がり摺動部材が得られる。さらに、加工面における残留圧縮応力と残留圧縮応力が最大となる部分の残留圧縮応力との差を300MPa以下に設定するようにした場合には、適用範囲の広い長寿命な転がり摺動部材が得られる。そして、圧縮応力の解放を抑制する冷却として中間素材の残留圧縮応力付与加工面の温度が50℃以下となる冷却を行う場合には、従来よりも長寿命で適用範囲の広い転がり摺動部材が得られる。
【0023】
上記した製造方法において、前記残留圧縮応力付与加工が、残留圧縮応力の最大値が800MPa以上となる加工である場合には、顕著に寿命の改善効果が現れる。また、残留圧縮応力付与加工としてローラバニシング加工やショットピーニング加工を用いた場合には、より適用範囲の広いものが得られるという利点がある。
【0024】
請求項6に記載の転がり摺動部材によれば、残留圧縮応力が小さい部分においても従来よりも高い残留圧縮応力が付与されているので、たとえその部分と最大剪断応力が作用する部分とが一致したとしても、内部起点剥離がより防止された長寿命な転がり摺動部材となる。
【0025】
請求項7に記載の転がり摺動部材によれば、最大剪断応力が作用する部分の残留圧縮応力は接触面よりも確実に大きいので、内部起点剥離がより防止された長寿命な転がり摺動部材となる。上記の転がり摺動部材において、前記相手部材との接触面における残留圧縮応力が600MPa以上に設定されている場合には、非常に長寿命な転がり摺動部材となる。また、上記の転がり摺動部材において、前記相手部材との接触面における残留圧縮応力と残留圧縮応力が最大となる部分の残留圧縮応力との差が300MPa以下に設定されている場合には、適用範囲の広い長寿命な転がり摺動部材となる。
【0026】
上記した転がり摺動部材において、前記残留圧縮応力の最大値が800MPa以上である場合には、特に長寿命な転がり摺動部材となる。また、上記の転がり摺動部材において、相手部材との接触面が非研磨面の場合は、工程数減少によって安価な製品を提供できる。
【0027】
請求項8に記載の転がり軸受によれば、特に疲労強度が要求される内輪、外輪、転動体として前記した長寿命な転がり摺動部材を用いているので、長期にわたって使用することが可能な転がり軸受となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転がり摺動部材の製造方法の一例を示す模式的な工程図である。
【図2】ローラバニシング加工後における加工面からの各深さにおける残留圧縮応力を測定した結果を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 環状素材
2 ブランク
2a 端面
2b 外周
2c 軌道
2d 内周
3 中間素材
4 鏡面ボール
5 ノズル
Claims (8)
- 残留圧縮応力付与加工が施された合金鋼製の転がり摺動部材を製造する方法であって、
所定形状に形成された合金鋼製の中間素材を作製し、この中間素材に対し、圧縮応力の解放を抑制する冷却を行いながら残留圧縮応力付与加工を施すことにより、
残留圧縮応力付与加工面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおいて、当該加工面における残留圧縮応力と残留圧縮応力の最小値との差を150MPa以下に設定する工程を含むことを特徴とする転がり摺動部材の製造方法。 - 前記圧縮応力の解放を抑制する冷却は、前記中間素材の残留圧縮応力付与加工面の温度が100℃を超え200℃以下となる冷却である請求項1記載の転がり摺動部材の製造方法。
- 残留圧縮応力付与加工が施された合金鋼製の転がり摺動部材を製造する方法であって、
所定形状に形成された合金鋼製の中間素材を作製し、この中間素材に対し、圧縮応力の解放を抑制する冷却を行いながら残留圧縮応力付与加工を施すことにより、
残留圧縮応力付与加工面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおける残留圧縮応力を常に増大するように設定する工程を含むことを特徴とする転がり摺動部材の製造方法。 - 前記圧縮応力の解放を抑制する冷却は、前記中間素材の残留圧縮応力付与加工面の温度が100℃以下となる冷却である請求項3記載の転がり摺動部材の製造方法。
- 前記残留圧縮応力付与加工が、ローラバニシング加工またはショットピーニング加工である請求項1〜4のいずれか一項に記載の転がり摺動部材の製造方法。
- 相手部材との間で相対的に転がり接触若しくは滑り接触または両接触を含む接触をし、その接触面に対し最終機械加工工程として残留圧縮応力付与加工が施されてなる合金鋼製の転がり摺動部材であって、
前記相手部材との接触面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおいて、当該接触面における残留圧縮応力と残留圧縮応力の最小値との差が150MPa以下に設定されていることを特徴とする転がり摺動部材。 - 相手部材との間で相対的に転がり接触若しくは滑り接触または両接触を含む接触をし、その接触面に最終機械加工工程として残留圧縮応力付与加工が施されてなる合金鋼製の転がり摺動部材であって、
前記相手部材との接触面から残留圧縮応力が最大となる部分までの深さにおける残留圧縮応力が常に増大するように設定されていることを特徴とする転がり摺動部材。 - 請求項6または7に記載の転がり摺動部材を転がり軸受の内輪、外輪および転動体の少なくとも1つとして用いてなり、この転がり摺動部材の前記残留圧縮応力の最大値を800MPa以上に設定したことを特徴とする転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003010161A JP4186626B2 (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 転がり摺動部材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003010161A JP4186626B2 (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 転がり摺動部材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004218815A true JP2004218815A (ja) | 2004-08-05 |
JP4186626B2 JP4186626B2 (ja) | 2008-11-26 |
Family
ID=32899451
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003010161A Expired - Fee Related JP4186626B2 (ja) | 2003-01-17 | 2003-01-17 | 転がり摺動部材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4186626B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006129934A (ja) * | 2004-11-02 | 2006-05-25 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
JP2006129967A (ja) * | 2004-11-04 | 2006-05-25 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
-
2003
- 2003-01-17 JP JP2003010161A patent/JP4186626B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006129934A (ja) * | 2004-11-02 | 2006-05-25 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
JP2006129967A (ja) * | 2004-11-04 | 2006-05-25 | Nsk Ltd | 転がり軸受 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4186626B2 (ja) | 2008-11-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7685717B2 (en) | Method for manufacturing a bearing raceway member | |
JP3321228B2 (ja) | 転がり軸受の軌道輪製造方法 | |
US9273727B2 (en) | Method for producing a track element of a bearing assembly | |
JP2009204024A (ja) | 大型転がり軸受 | |
JP2006329319A (ja) | 転がり摺動部品、転がり軸受、カムフォロア及び転がり摺動部品の表面改質方法 | |
US20180156275A1 (en) | Method for producing rolling bearing rings and rolling bearing | |
JP2001065576A (ja) | 軸受部品素材 | |
JP4186568B2 (ja) | 転がり軸受及び転がり軸受の内輪の製造方法 | |
JP2007239837A (ja) | トリポード型等速自在継手及びその製造方法 | |
JP2004218815A (ja) | 転がり摺動部材およびその製造方法、並びにそれを用いた転がり軸受 | |
JP2007186760A (ja) | 転がり軸受用軌道輪の製造方法及び転がり軸受 | |
JP2003329048A (ja) | 軸受軌道部材の製造方法 | |
JP2016151352A (ja) | 転がり軸受 | |
JP4026472B2 (ja) | 軸受部品の製造方法 | |
JP2004100867A (ja) | 転がり軸受用軌道輪の製造方法および転がり軸受用軌道輪 | |
WO2019103039A1 (ja) | 転動部品、軸受およびそれらの製造方法 | |
JP2004116766A (ja) | 転がり摺動部材の製造方法およびそれにより得られた転がり摺動部材、並びにそれを用いた転がり軸受 | |
JP4026514B2 (ja) | 転がり軸受部材及び転がり軸受部材の製造方法 | |
JP4284956B2 (ja) | 転がり摺動部材の製造方法 | |
JP2000234658A (ja) | トロイダル式無段変速機用パワーローラおよびその製造方法 | |
JP7363663B2 (ja) | 転がり軸受及びその製造方法 | |
WO2021166577A1 (ja) | 転がり軸受及びその製造方法 | |
JP2022169996A (ja) | スラスト玉軸受 | |
CN112005021A (zh) | 滚动部件、轴承及它们的制造方法 | |
JP2007232033A (ja) | 固定式等速自在継手及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050926 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070607 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070612 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070808 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080129 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080328 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080425 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20080509 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080610 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080729 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080819 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080901 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110919 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120919 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130919 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |