JP2004218078A - リチウムの分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウムアマルガムからリチウムを回収する方法を提供する。
【解決手段】本発明は、固体リチウムイオン伝導体を用いた電気分解によりリチウムアマルガムからリチウムを分離する方法であって、使用されるリチウムイオン伝導体がLi4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)の組成を有していることを特徴とする方法である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、固体リチウムイオン伝導体を用いた電気分解によりリチウムアマルガムからリチウムを分離する方法であって、使用されるリチウムイオン伝導体がLi4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)の組成を有していることを特徴とする方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、リチウムの製造方法に関する。本発明は、特に、リチウムイオンを伝導する固体電解質を用いた電気分解によってリチウムアマルガムからリチウムを分離する方法に関する。本発明はまた、リチウムイオンを伝導する固体電解質の製造方法に関する。
リチウムは重要な塩基性無機化学物質であり、多様な工業的用途において必要とされている。例えば、リチウムは、同様に強塩基として働きまたは特別な合成における出発物質となる有機リチウム化合物の製造のために使用され、また合金添加物として使用され、またはリチウム電池において使用される。“Ullmann's Encyclopedia of industrial Chemistry, 6th edition, 2000 Electronic Release”における“Lithium and Lithium Compounds”をキーワードとした検索事項、特に5.1節の“Production of Lithium Metal”および5.2節の“Uses of Lithium Metal”には、リチウムの製造および使用に関する先行技術がまとめられている。工業的なリチウムの製造方法としての一般法は、塩化リチウムと塩化カリウムの共融混合物を400〜460℃の温度で溶融電解する方法である。この方法は、比較的多くのエネルギー量(リチウム1kg当たり28〜32kWh)を必要とし、その上、この方法で使用することができるのは無水塩化リチウムのみである。塩化リチウムは吸湿性であるから乾燥させる必要があり、この点がこの方法の経済性に関する別の問題点である。
DE−19914221−A1号公報(対応米国出願US6287448号)は、水溶液からリチウムを製造するための比較的経済的な方法を開示しており、この方法では、リチウム塩水溶液からまずリチウムアマルガムを製造し、第2工程として、リチウムイオンを伝導する固体電解質を有する電解セル中でアノードとしてのアマルガムをリチウムカソードと接続することによってアマルガムからリチウムを分離する。上記固体電解質、即ちセラミック材料またはガラスは、アノード空間とカソード空間をヘリウムが透過しない状態に分離するが、リチウムイオンは透過させることができる。多くのタイプの好適なリチウムイオンを伝導する固体電解質、即ち、a)Li−β"−Al2O3またはLi−β―Al2O3、b)特別な構造および組成を有するNASICONセラミックスのリチウム類似体、c)特別な構造および組成を有するLISICON、d)ペロブスカイト構造および特別な組成を有するリチウムイオン伝導体、およびe)硫化物ガラス、が開示されている。
リチウムイオン伝導体の他の群として、珪酸リチウムから誘導された伝導体が知られており、この伝導体ではケイ素の一部がアルミニウム、燐および/またはイオウによって置換されている。例えば、US4042482号は、一般式Li4+W-X-YSi1-W-X-YAlWPXSYO4(但し、Wは0〜0.45であり、Xは0〜0.5であり、Yは0〜0.35であり、Wと(X+2Y)の値のうちの少なくとも一方の値は0.1以上である。)で表される単斜晶系の化合物を開示している。R.A.Hugginsは、“Electrochimica Acta 22(1977)773−781”において、LiSiO4とLi3PO4の固溶体を、水酸化リチウム、二酸化ケイ素および燐酸二水素アンモニウムの化学量論的混合物を熱間プレス成形することによって製造する方法を開示している。“Mat.Res.Bull.11(1976)1227−1230”および“J.Electrochem.Soc.124(1977)1240−1242”において、Y.-W Hu、I.D.RaistrickおよびR.A.Hugginsは、このような化合物を燐酸リチウムおよび珪酸リチウムの混合物を熱間プレス成形することによって製造する方法を開示している。R.D.Shannon、B.E.Taylor、A.D.EnglishおよびT.Berzinsは、“Electrochimica Acta 22(1977)783−796”において、このような化合物を水酸化リチウム、二酸化ケイ素および水酸化アルミニウムを850℃で混合することによって製造する方法を開示している。これらの文献では、得られた化合物がリチウム電池におけるイオン伝導体として使用可能であることを示してはいるものの、実際にはこの目的のために使用されていない。
DE−19948548−A1号公報は、Li0.5Si0.5P0.5O4を含む、超微結晶物質とマトリックスを含む電気化学部品のためのペースト状組成物を開示しており、この組成物に含まれるLi0.5Si0.5P0.5O4は粒径が10μm未満であってマトリックスが存在しなくてもペースト状である。
リチウムの製造に用いるイオン伝導体は、多くの要求を満足しない限り、適当なものであるとはいえない。好適な電気化学的性能(例えば、適用されるリチウム製造条件下で良好なリチウムイオン伝導性を示すこと、液体リチウムおよびリチウムアマルガムに対して安定であること、および電気伝導性がほとんど無いこと)の他に、製造するのが簡単で安価であり、貯蔵安定性が良好で、取り扱いが容易で、安定性が極めて高くて長寿命である必要がある。特に問題になるのは、微小亀裂の形成である。微小亀裂は電気化学的応力の下で形成されまたはさらに発展し、やがては製造されたリチウム中に水銀が漏れるようになる。リチウムの分離に用いる公知のイオン伝導体は、これらの要求の全てを充分満足するようなものではない。例えば、Li−β"−Al2O3、Li−β―Al2O3またはNASICONセラミックスのリチウム類似体は、電気化学的性能の点では好ましいが、比較的高価であり、また吸水性であるため、リチウム製造工程における性能が低下しないようにするために取り扱う際および貯蔵する際に特別な注意が必要である。
従って、本発明の目的は、改良されたリチウムの分離方法を発見することであり、特にリチウム製造工程において使用することができかつ上述の要求を満足することができる別のリチウムイオン伝導体を発見することである。また別の目的は、このようなイオン伝導体の製造方法を発見することである。
発明者等は、上述の課題は、組成Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)を有する固体リチウムイオン伝導体を用いた電気分解によってリチウムアマルガムからリチウムを分離する方法によって達成されることを発見した。発明者等はまた、組成Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)の固体リチウムイオン伝導体を、Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)および/またはか焼の間にこの物質に転化する化合物を成形してか焼することにより製造する方法であって、Li4−XSi1−XPXO4および/またはか焼の間にこの物質に転化する化合物を平均粒径が5μm以下の粉末の形態で使用することを特徴とする方法を発見した。
本発明は、第1に、本発明において使用される珪燐酸リチウムがリチウムアマルガムからリチウムを回収する目的に適した良好なリチウムイオン伝導体である、という認識に基づいている。第2には、比較的微細なリチウム塩を使用することにより、特に透過性が低くかつ特に亀裂形成に耐久性があり従って不透過性であり極めて安定である珪燐酸リチウムが得られるという認識に基づいている。
本発明の固体リチウムイオン伝導体を用いて電気分解することによりリチウムアマルガムからリチウムを分離する方法は、アノード空間とカソード空間とがリチウムイオンを伝導する組成Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは一般的には少なくとも0.3、好ましくは少なくとも0.4であり、そして一般的には0.7以下、好ましくは0.6以下である。)によって分離されている電解セル中で行なわれる。好ましい固体電解質は、Xが約0.5であるLi4−XSi1−XPXO4であり、特に好ましい固体電解質は、Xが0.5であるLi4−XSi1−XPXO4である。
電解セルのアノード空間とカソード空間を分離する固体リチウムイオン伝導体を用いて電気分解することによりリチウムアマルガムからリチウムを分離する方法は、公知である。本発明の方法は、本発明において使用されるべきリチウムイオン伝導体Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)がカソード空間およびアノード空間を分離する壁(膜)として使用される点を除いて、公知の方法と同様に行われる。特に、本発明のリチウムアマルガムからリチウムを分離するための方法は、本発明において使用されるべきリチウムイオン伝導体Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)が電解セルのカソード空間およびアノード空間を分離する壁(膜)として使用される点を除いて、DE−19914221−A1号公報(またはこれに相当するEP1041177号およびUS6287448号)に開示されている方法とまさに同様に行なわれる。従って、上記公報による教示は、特別に参考として本明細書に組入れられる。
本発明のリチウムを分離するための方法において使用されるリチウムアマルガムは、水銀中にリチウムが溶解した使用反応温度下で液体のものである。このリチウムアマルガムは、水銀に対して、一般的には少なくとも0.02質量%(約0.5原子%)、好ましくは少なくとも0.04質量%(約1原子%)であり、そして一般的には0.19質量%(5原子%)以下、好ましくは0.1質量%(約3原子%)以下の量のリチウムを含む。このアマルガムの製造方法に関しては制限がなく、例えばアマルガム法によって電解セル中でリチウム塩水溶液から製造することができる。この目的のために、例えば世界的に塩素とナトリウムを大量に生産するために用いられている公知の塩化アルカリ電解のためのアマルガム法と全く同様に、塩化リチウム含有量が220〜350g/lである塩化リチウム溶液を供給し、カソードでリチウムアマルガムを生成させ、アノードで塩素を生成させる。ナトリウムアマルガムをしばしば水で分解して水酸化ナトリウムを製造する。同様に他のリチウム源、例えば電池のリチウム廃棄物および有機リチウム化合物とハロゲン置換化合物の反応およびこれに続く水による精製において形成されたリチウム塩溶液のような反応溶液、を使用することもできる。この反応溶液は一般的には塩化リチウム水溶液になるが、この他に別のリチウムのハロゲン化物および硫酸リチウム、スルホン酸リチウムまたは有機酸のリチウム塩のような別のリチウム塩を使用することもできる。塩化リチウムを使用する場合には、リチウムアマルガムの製造においてアノードで塩素が生成し、塩素は慣用的な方法で後処理される。他のリチウム塩を使用する場合には、工程において何らかの技術的対策を施さなければならない場合もある。(例えば、硫酸リチウムを使用するとアノードで酸素が生成し、リチウム含有塩基を添加することにより一般的にはpH2〜4の液に設定調整されなければならない)。これらの対策も公知である。
リチウムアマルガムから金属リチウムを分離するために、リチウムアマルガムを液体アノードとして使用する。この液体アノードは、電解セル中で流動し続けるようになっているのが好ましい。リチウムアマルガムのアノードは、液体リチウムが存在するカソード空間から、リチウムイオンを伝導するが他の物質に対する透過性が極めて低い隔壁によって分離される。このような電解セル中での電気分解の間に、リチウムはアマルガムからリチウムイオンの形態でリチウムイオンを伝導する膜を通ってカソード空間に運搬され、そこで金属に還元される。アノード電圧は、リチウムより貴である金属が事実上酸化されないように、特に水銀が水銀イオンに酸化されないように設定される。得られたリチウム金属は、カソード空間から排出され、慣用的な方法で後処理される。新しい液体アマルガムをアノード空間に供給し、リチウムが減少したアマルガムまたは水銀をアノード空間から排出する。この水銀またはリチウムが減少したアマルガムは、リチウムアマルガム合成のために循環される。この方法は、リチウムとリチウムアマルガムの両方が液体であり、かつリチウムイオンを伝導する隔壁のリチウムイオン伝導率が充分に大きいような温度で行なわれる。反応温度は、典型的には少なくとも150℃であり、好ましくは少なくとも180℃であり、特に好ましくは少なくとも200℃であり、そして一般的には450℃以下であり、好ましくは400℃以下であり、特に好ましくは350℃以下である。得られたリチウムに水銀が漏れるのを防止するために、アノード側の圧力よりわずかに大きい圧力をカソード側に負荷する。この圧力差は、一般的には少なくとも0.1bar、好ましくは少なくとも0.5barであり、そして一般的には5bar以下、好ましくは1bar以下である。
リチウムイオンを伝導する隔壁(単に“膜”、“イオン伝導体”、“セラミック”または“固体電解質”とも表現される。)が、アノード空間とカソード空間とを互いに分離する。分離の密閉度合いは、イオンとしてのリチウム以外の物質がアノード空間とカソード空間の間で交換されないように、“ヘリウム不透過”な状態に行われる。
隔壁のために選択される形状は、電解セルの形状に依存する。リチウムイオンを伝導する隔壁の形状として有利にそして頻繁に使用される形状は、一端が閉鎖されておりかつ円状または他の形状の断面を有しておりかつ開放された端部には電気絶縁性の密封材、例えばヘリウム不透過な電気絶縁性のガラスはんだ接続部を備えた電気絶縁環、が設けられているようなチューブ形状である。このような構成は、例えばGB22075645A、EP482785A1に示されている。隔壁の厚さは、充分な機械的強度(安定性および耐圧性)および不透過性が得られるが、隔壁を通るリチウムイオンの移動が必要以上に困難にならないように選択される。厚さは、一般的には少なくとも0.3mm、好ましくは少なくとも1mmであり、そして一般的には5mm以下、好ましくは3mm以下、特に好ましくは2mm以下である。
隔壁の不透過性は、得られたリチウム中に金属水銀が漏れるのを防止するために、高水準の要請を満たさなければならない。ヘリウム漏れ試験で1秒1リットル当たり10−9mbar未満の漏れ速度を有する“ヘリウム不透過”隔壁が望ましい。系における他の密閉材もまた、水銀蒸気が環境中にまたは得られたリチウム中に拡散するのを防止するために、液密性および気密性でなければならない。
リチウムイオンを伝導しかつ本発明において使用される隔壁を製造するために、Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)に所望の隔壁形状が与えられる。この工程は、考えられるいずれかの方法、例えばLi4−XSi1−XPXO4粉末を成形する方法または所望形状でこの物質を合成する方法によって実行することができる。単純で好ましい方法は、反応して最終的にLi4−XSi1−XPXO4を与える化合物または化合物の混合物を粉末形態で所望の化学量論比で成形し、続いて成形体の状態の上記粉末または粉末混合物を反応させてLi4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)を得る方法である。
原則として、イオン伝導体の製造の間に反応して最終生成物としてLi4−XSi1−XPXO4を与える化合物または化合物の混合物の全てを使用することができる。無水オルト化合物としての燐酸リチウムLi3PO4および珪酸リチウムLi4SiO4を使用するのが簡便で好ましい。しかしながら、イオン伝導体の製造の間にこれらの物質に転化する化合物を使用することもできる。Li3O4・1/2H2Oのような水和物または結晶水を含む化合物、Li2SiO3またはLiPO3のような重合化合物またはLi2HPO4またはLiH2PO4のような水素塩を使用することもできる。化学量論比は、P2O5またはP2O3のような燐酸化物、水和されたまたは部分的に水和された形態で水酸化ケイ素を含む二酸化ケイ素(“シリカゲル”)、酸化リチウムおよび/または水酸化リチウムを添加することによって調整することもできる。
本発明では、特別な平均粒径を有する粉末状の出発物質を使用するのが好ましい。平均粒径(しばしば“d50”とも表される。)とは、粉末の重量の50%がこの平均粒径以下の粒径を有する粒子形態で存在していることを示す粒径である。比較的粗い粒子の場合には、平均粒径は篩を使用して測定されるが、数μmにすぎない粒径範囲のより細かい粒子の場合には、一般的にはレーザー光散乱法(ISO/DIS基準13320“レーザー回折に対する粒径分析ガイド”に従う)が使用される。球状粒子の場合には、測定された粒径は球の直径に相当する。一方、非球状粒子の場合には、同体積を有する球状粒子の直径に相当する粒子の有効直径が測定により得られる。同様に、d90とは、この粉末の重量の90%がこの値以下の有効直径を有する粒子形態で存在していることを示す粒径である。
使用される粉末状出発物質の平均粒径は、一般的には5μm以下である。平均粒径は3μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのが特に好ましい。
必須ではないが好ましくは、使用する粉末は比較的粗い粒子を含まないかまたはほとんど含まない。換言すれば、d90の値はd50の値より顕著に大きくないのが好ましい。d90の値は、d50の値の5倍以下であるのが好ましく、d50の値の3倍以下であるのが特に好ましい。
使用される粉末が上述の範囲の粒径を有していない場合には、成形に先立って粒径を上述の範囲に調整する。これは、公知の粉砕法を使用して行なうことができる。この目的のために特に有用な装置は、ボールミルまたはアトリッションミルであり、一般的には粉末を不活性懸濁媒(例えば水、アルコール、エーテルまたは炭化水素)中に懸濁させた懸濁液の形態でミル中に導入する。アルコール、特にC1−C4−アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール)を懸濁媒として使用するのが好ましい。アトリッションミルにより、約0.5μmのd50値が達成され得る。ボールミルまたはアトリッションミルを使用する際の最も重要な因子は、粉砕時間である。粉砕は、常に所望の微細度に到達するまで継続される。化合物の混合物が使用される場合には、混合して粉砕することにより、同時に簡便に成形前に必要とされる十分な混練を行なうことができる。
イオン伝導体またはこのイオン伝導体を得るための物質混合物を所望の形状にするための成形は、公知の成形法、例えば冷間静水圧プレス成形、熱間静水圧プレス成形、スリップキャスティングまたはテープキャスティングを使用して行なわれる。この目的のために、粉末を、場合により粉砕した後および場合により懸濁媒を除去した後、適当な工程で処理する。好ましい成形法は、冷間静水圧プレス成形である。この目的のために、粉末を成形型内で一般的には少なくとも1000bar、好ましくは少なくとも2000バール、特に好ましくは少なくとも3000barの圧力下で圧縮成形する。
成形に続いてまたは成形と同時に(例えば熱間静水圧プレス成形の場合)、イオン伝導体を加熱(“熱処理”、“か焼”または“焼結”とも表される。)して最高密度に高め、最終的な電解セルの隔壁を製造する。成形をLi4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)自体を使用して行なわなかった場合には、このイオン伝導体は使用される粉末混合物から焼結の間にも製造される。焼結は、成形体を一般的には少なくとも700℃、好ましくは少なくとも800℃、特に好ましくは少なくとも900℃の温度に加熱することによって行われる。焼結は、設定された温度で所望の密度のイオン伝導体が得られるまで継続される。一般的には、少なくとも15分間、好ましくは少なくとも30分間、特に好ましくは少なくとも1時間、焼結温度に維持する。焼結は、一般的には10時間以内に完了する。焼結は6時間以内に行なうのが好ましく、4時間以内に行なうのが特に好ましい。成形体を焼結温度まで加熱しまたは焼結温度から冷却する際は、温度変化による応力により亀裂が生じないように注意する必要がある。加熱速度または冷却速度は、従って一般的には20℃/分以下、好ましくは10℃/分以下、特に好ましくは5℃/分以下である。
高密度を有しておりかつ亀裂発生に対して耐久性があり、リチウム製造のために極めて好適なリチウムイオン伝導体は、このようにして製造することができる。
例1:組成Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.5である。)のリチウムイオン伝導体の製造
15.0g(0.125モル)のLiSiO4および14.49g(0.125モル)のLi3PO4を二酸化ジルコニウム容器内に導入し、20mlのイソプロパノールでスラリーにした。直径0.5cmおよび2cmの球状の粉砕手段をそれぞれ3個ずつ容器内に導入した。容器を密閉してボールミル上で12時間保持した。続いてイソプロパノールを蒸発させて除去し、残った粉末を篩に通した。粉末を冷間静水圧プレス成形により圧力3500barで坩堝型に成形し、1℃/分の加熱速度で1000℃に加熱し、この温度で2時間焼結し、続いて1℃/分の冷却速度で冷却した。
15.0g(0.125モル)のLiSiO4および14.49g(0.125モル)のLi3PO4を二酸化ジルコニウム容器内に導入し、20mlのイソプロパノールでスラリーにした。直径0.5cmおよび2cmの球状の粉砕手段をそれぞれ3個ずつ容器内に導入した。容器を密閉してボールミル上で12時間保持した。続いてイソプロパノールを蒸発させて除去し、残った粉末を篩に通した。粉末を冷間静水圧プレス成形により圧力3500barで坩堝型に成形し、1℃/分の加熱速度で1000℃に加熱し、この温度で2時間焼結し、続いて1℃/分の冷却速度で冷却した。
例2:組成Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.5である。)のリチウムイオン伝導体の製造
15.0g(0.125モル)のLiSiO4および14.49g(0.125モル)のLi3PO4を二酸化ジルコニウム容器内に導入し、20mlのイソプロパノールでスラリーにした。直径0.5cmおよび2cmの球状の粉砕手段をそれぞれ3個ずつ容器内に導入した。容器を密閉してボールミル上で1時間保持した後、スラリーをアトリッションミル(直径2mmの球状ZrO2粉砕手段を1.5kg使用)でさらに30分間粉砕した。続いてイソプロパノールを蒸発させて除去し、残った粉末を篩に通した。粉末を冷間静水圧プレス成形により圧力3500barで坩堝型に成形し、1℃/分の加熱速度で1000℃に加熱し、この温度で2時間焼結し、続いて1℃/分の冷却速度で冷却した。
15.0g(0.125モル)のLiSiO4および14.49g(0.125モル)のLi3PO4を二酸化ジルコニウム容器内に導入し、20mlのイソプロパノールでスラリーにした。直径0.5cmおよび2cmの球状の粉砕手段をそれぞれ3個ずつ容器内に導入した。容器を密閉してボールミル上で1時間保持した後、スラリーをアトリッションミル(直径2mmの球状ZrO2粉砕手段を1.5kg使用)でさらに30分間粉砕した。続いてイソプロパノールを蒸発させて除去し、残った粉末を篩に通した。粉末を冷間静水圧プレス成形により圧力3500barで坩堝型に成形し、1℃/分の加熱速度で1000℃に加熱し、この温度で2時間焼結し、続いて1℃/分の冷却速度で冷却した。
例3:モデル系におけるリチウムイオン伝導
例1で製造されたセラミックについて、リチウム−リチウムモデル系によって195℃でリチウム移動の測定を行なった。このモデル系はリチウムアマルガムの電気分解における手順に相当するが、液体リチウムを隔壁の両側に使用した系である。電極の極性を、リチウムイオン伝導体の坩堝の外側から内側に向けてリチウム移動が起こるように設定した。1mAの電流を、70時間印加した。達成された電流収率は、測定精度を考慮に入れると定量的であった。イオン伝導体の亀裂は認められなかった。
例1で製造されたセラミックについて、リチウム−リチウムモデル系によって195℃でリチウム移動の測定を行なった。このモデル系はリチウムアマルガムの電気分解における手順に相当するが、液体リチウムを隔壁の両側に使用した系である。電極の極性を、リチウムイオン伝導体の坩堝の外側から内側に向けてリチウム移動が起こるように設定した。1mAの電流を、70時間印加した。達成された電流収率は、測定精度を考慮に入れると定量的であった。イオン伝導体の亀裂は認められなかった。
Claims (5)
- 固体リチウムイオン伝導体を用いた電気分解によりリチウムアマルガムからリチウムを分離する方法であって、使用されるリチウムイオン伝導体がLi4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)の組成を有していることを特徴とする方法。
- 使用されるリチウムイオン伝導体がLi4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.4〜0.6である。)の組成を有していることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
- 使用されるリチウムイオン伝導体がLi4−XSi1−XPXO4(但し、Xは約0.5である。)の組成を有していることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
- 使用されるリチウムイオン伝導体が、Li4−XSi1−XPXO4(但し、Xは0.3〜0.7である。)および/またはか焼の間にこの物質に転化する化合物を成形してか焼することにより製造し、かつ前記Li4−XSi1−XPXO4および/またはか焼の間にこの物質に転化する化合物を平均粒径が5μm以下の粉末の形態で使用することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- Li4−XSi1−XPXO4および/またはか焼の間にこの物質に転化する化合物を、平均粒径が3μm以下の粉末の形態で使用することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
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