JP2004217994A - 磁性材料の製造方法及び磁性材料 - Google Patents
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Abstract
【効果】永久磁石や電力トランス用のコア等になどに用いることのできる高密度で電気抵抗率の高い磁性材料を容易に製造する。この結果、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料のコストの低減を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性材料の製造方法及び磁性材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
耐摩耗性若しくは潤滑性を改善した磁性材料の製造方法及び磁性材料が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−222424号公報(第5頁、図1)
【0004】
同公報の図1の一部を再掲し上記技術を説明する。ただし、同公報に記載の符号を新しく振り直すとともに記載の名称も一部変更した。
図7(a)〜(d)は特開平8−222424号公報の図1再掲図である。
(a)において、磁性粉111を用意する。
(b)において、磁性粉111を耐摩耗性若しくは潤滑性のある材料112でコーティングする。耐摩耗性のある材料として、酸化シリコン、窒化シリコン等が知られ、潤滑性のある材料として、フッ素、金雲母等が知られる。
(c)において、耐摩耗性若しくは潤滑性のある材料112でコーティングした磁性粉111を高温・高圧にて焼結する。
(d)において、コーティングした磁性粉を焼結した磁性材料110を示す。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1の磁性材料の製造方法では、磁性粉を耐摩耗性若しくは潤滑性を有する材料でコーティングする。磁性粉をコーティングするためには、薄膜半導体を製造するときに使用するPVD(physical vapor deposisyon)法やCVD(chemical vapor deposisyon)法を用いる必要があり、高価な設備が必要となる。すなわち、もっと簡素な方法を用いて磁性材料を製造したいものである。
【0006】
一方、特許文献1の磁性材料を、永久磁石や電力トランス用のコア等になどに用いる場合には、高密度で電気抵抗率の高いことが望まれる。一般的に、磁性材料を高密度にすることで、磁気的特性を向上させることができることが知られ、磁気材料の電気抵抗率を高くすることで、鉄損(iron loss)を小さいくし、磁気材料の発熱を防ぐことができることが知られる。
ここで、鉄損とは、例えば交流磁界で磁性材料を磁化するときに、磁性材料に熱が発生し、この熱となって消費されるエネルギーを言う。なお、鉄損は、渦電流(板状若しくは塊状の導体中に磁界の変化によって誘導される電流)による損出と、磁気余効(磁気材料に磁界を加えるときに、磁界の変化が終わった後に磁化の値が徐々に変化する現象)よる損出と、に分けられる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、永久磁石や電力トランス用のコア等になどに用いることのできる磁性材料を容易に製造する技術を提供するとともに、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の磁性材料の製造方法は、粒径と厚さとの比をアスペクト比と呼ぶときに、このアスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉と、鱗片状の白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択した雲母とを用意して、磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で混合する工程と、この工程で得た混合粉末を熱間成形法にて所定形状に成形する工程と、から構成ことを特徴とする。
【0009】
一般的に、アスペクト比とは、翼の翼高さと翼弦長との比を言うが、ここでは、磁性粉の粒径と厚さとの比を言う。また、鱗片状とは、魚の鱗(うろこ)のような薄い細片を言う。
磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で混合する工程と、この工程で得た混合粉末を熱間成形法にて所定形状に成形する工程と、から構成することで、永久磁石や電力トランス用のコア等になどに用いることのできる高密度で電気抵抗率の高い磁性材料を容易に製造する。この結果、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料のコストの低減を図ることができる。
【0010】
請求項2の磁性材料の製造方法は、鱗片状の磁性粉に、Nd(ネオジム)−Fe(鉄)−B(ホウ素)相の金属相を有するもの用いることを特徴とする。
一般的に、Nd−Fe−B相の金属相を有する鱗片状の磁性粉は、例えばロール鋳造法を用いて急冷させることで、容易に得ることができる。すなわち、鱗片状の磁性粉に、Nd−Fe−B相の金属相を有するもの用いることで、磁性材料の生産性の向上を図ることができる。
【0011】
請求項3は、粒径と厚さとの比をアスペクト比と呼ぶときに、このアスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉と、鱗片状の白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択した雲母と、からなる磁性材料であって、磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で構成したことを特徴とする。
【0012】
例えば、磁性粉が99重量%を超え雲母が1重量%未満では電気抵抗率を高めることはできない。また、磁性粉が85重量%未満で雲母が15重量%を超えると積層した部分に剥離が発生し、バルク体(成形体)としての形状の維持が困難になる。
そこで、磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で構成することで、電気抵抗率の向上と磁性材料としての形状の維持の両立を図ることができる。
【0013】
請求項4は、磁性粉が、Nd−Fe−Bの金属相であることを特徴とする。
Nd−Fe−B相の金属相を有する磁性粉は、鱗片状の磁性粉にしやすいので、磁性粉に雲母(マイカ)を介在させ電気抵抗率の向上を図るための最適な磁性粉と言える。磁性粉にNd−Fe−B相の金属相の用いることで、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料を実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1(a),(b)は本発明に係る磁性材料の顕微鏡写真の模写図である。なお、(a)は磁性材料の50倍の顕微鏡写真の模写図であり、(b)は磁性材料の400倍の顕微鏡写真の模写図である。
磁性材料10は、粒径と厚さとの比をアスペクト比と呼ぶときに、このアスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉11と、鱗片状の白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択した雲母12と、からなる磁性材料であって、磁性粉11を85〜99重量%、雲母12を15〜1重量%の割合で構成したものである。
【0015】
一般的に、アスペクト比とは、翼高さと翼弦長との比を言うが、ここでは、磁性粉の粒径と厚さとの比を言う。また、鱗片状とは、魚の鱗(うろこ)のような薄い細片を言う。
磁性粉11は、組織的にはNd(ネオジム)−Fe(鉄)−B(ホウ素)の金属相の粉末を用いた。
【0016】
例えば、磁性材料の電気抵抗率を組織的に向上させ、鉄損を改善するためには磁性粉の中に高抵抗率を有する材料を介在させることが好ましい。そこで、一般的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム又は酸化シリコンなどの酸化物を介在させることが多い。
一方、磁性材料の磁気的特性を向上させるためには酸化物などを介在させることなく、可能ならば磁性粉だけで高密度に成形することが好ましい。
後述するように、雲母(マイカ)は、絶縁性のある材料であるとともに、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム又は酸化シリコンなどの酸化物に比べ変形が容易な材料であることが知られる。
【0017】
そこで、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉11と、鱗片状の白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択した雲母12と、から磁性材料10を構成することで、これらの磁性粉11と雲母12の混合粉末に圧力を加えるときに、雲母(マイカ)12は磁性粉11の間で変形することができる。従って、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料10を得ることができる。
【0018】
例えば、磁性粉11が99重量%を超え雲母12が1重量%未満では電気抵抗率を高めることはできない。また、磁性粉11が85重量%未満で雲母12が15重量%を超えると積層した部分に剥離が発生し、バルク体(成形体)としての形状の維持が困難になる。
そこで、磁性粉11を85〜99重量%、雲母12を15〜1重量%の割合で構成することで、電気抵抗率の向上と磁性材料10としての形状の維持の両立を図るようにした。
【0019】
図2は本発明に係る磁性材料に用いる雲母の一例を示す顕微鏡写真の模写図であり、白雲母の顕微鏡写真の模写図である。
一般的に、雲母(マイカ;mica)は、造岩ケイ酸塩鉱物のもっとも一般的なものであり、白雲母、ソーダ雲母、紅雲母、黒雲母、金雲母、鉄雲母等がある。また、絶縁破壊強度が高く、誘電損出が低い材用であり、絶縁材料、断熱材料、保温材として利用される。なお、合成雲母にはフッ素添加金雲母を含む。
また、雲母(マイカ)は、絶縁性のある材料であるとともに、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム又は酸化シリコンなどの酸化物に比べ変形が容易な材料であることが知られる。
磁性材料10(図1参照)に用いた雲母12は、粒径1000μm、厚さ1μm鱗片状のものを用いた。
【0020】
図3(a),(b)は本発明に係る磁性材料の作用説明図であり、(a)は比較例の磁性材料を示し、(b)は実施例の磁性材料を示す。
(a)において、磁性材料100は、粒径と厚さとの比をアスペクト比と呼ぶときに、このアスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)101と、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム又は酸化シリコンなどの酸化物102と、から構成したものである。
磁性材料100は、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム又は酸化シリコンなどの酸化物102を用いるので、熱間成形時にNd−Fe−Bの母相から低融点のNd(ネオジム)が溶出し、この溶出したNdが酸化物102の粒子間に混在し、成形体(バルク体)の電気抵抗率の向上を図ることができないことがある。
【0021】
(b)において、磁性材料10は、磁性粉11に雲母(マイカ)12を介在させることで、雲母12は柔らかいため、加圧により変形しやすく、雲母(マイカ)12同士の重なり合いにより、熱間成形時にNd−Fe−Bの母相から溶出するNd(ネオジム)を母相同士の境界面に侵入することを防ぐことができると考えられ、成形体(バルク体)の電気抵抗率の向上を図ることができる。
Nd−Fe−B相の金属相を有する磁性粉11は、鱗片状の磁性粉にしやすく、磁性粉11に雲母(マイカ)12を介在させ電気抵抗率の向上を図るためには最適な磁性粉と言える。すなわち、磁性粉にNd−Fe−B相の金属相の用いることで、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料10にすることができる。
【0022】
図4は本発明に係る磁性材料の発熱抑制効果を検証するための検査装置の原理図である。
検査装置20は、電源21と、この電源21に接続したコイル22と、このコイル22の下部に設定することで検査用のサンプル23を載置する載置台24と、この載置台24に置いたサンプル23の表面温度を測定する表面温度計25と、から構成したものである。
前述したように、コイル22に電流を流すと磁性材料(サンプル)23に渦電流が発生し、この渦電流が熱に変わる。従って、鉄損の小さい磁性材料は熱の発生の少ない材料と言える。
【0023】
図5は本発明に係る磁性材料の剥離状態を検証するための剥離検査治具の原理である。
剥離検査治具30は、定盤31と、所定距離Hからサンプル23に矢印の如く落下させるための鋼球32と、この鋼球32をガイドするとともに所定距離Hを規定するガイドパイプ33と、からなり、サンプル23に鋼球32を落下させた後に、顕微鏡(不図示)にて剥離の有無を判断するための治具である。
以下、磁性材料の電気抵抗率、温度変化及び剥離の有無を検証する。
【0024】
【表1】
【0025】
表1は本発明に係る磁性材料の電気抵抗率、温度変化及び剥離の有無を示す比較図である。
電気抵抗率測定:
電気抵抗率測定方法:4探針法にて測定する。
4探針法とは、サンプル(磁性材料)の表面に、4本の針を等間隔に押付け、両端の2本の針に電流を流し、中の2本に発生する電圧を測定することで、電気抵抗率(Ω・m)を算出する測定方法である。
【0026】
温度変化測定:
検査装置20(図4参照)にて温度変化を測定する。
温度変化測定条件 :
サンプルの大きさ:20×10×3 mm
サンプル数 :1個
電源電圧:60 V
電流 :45 A
周波数 :3.2 kHz
通電時間:1 min
評価:
温度変化が0℃を超え10℃未満のサンプルを合格(◎表示)、温度変化が10℃を超え20℃未満のサンプルを実用域(○表示)、温度変化が20℃を超えるサンプルを不合格(△表示)と判定した。
【0027】
剥離検査:
剥離検査治具30を用いてサンプル23に鋼球32を落下させた後に顕微鏡(不図示)にて剥離の有無を検証する。
鋼球落下条件:
サンプルの大きさ:20×10×3 mm
サンプル数 :10個
鋼球径 :20mm
落下高さ :30cm
顕微鏡倍率:100倍
評価:
剥離したサンプルが0の場合を合格(◎表示)、剥離したサンプルが3個未満の場合を実用域(○表示)、剥離したサンプルが4個を超える場合を不合格(△表示)と判定した。
【0028】
比較例1は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に添加物を混入することなく、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は1.3×10−6Ω・m、温度変化30℃(不合格)、剥離個数0(合格)であった。
【0029】
比較例2は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を0.5重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は3.0×10−6Ω・m、温度変化22℃(不合格)、剥離個数0(合格)であった。
【0030】
実施例1は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を1重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は7.4×10−6Ω・m、温度変化14℃(実用域)、剥離個数0(合格)であった。
【0031】
実施例2は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を5重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は10.0×10−6Ω・m、温度変化9℃(合格)、剥離個数0(合格)であった。
【0032】
実施例3は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を10重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は15.0×10−6Ω・m、温度変化6℃(合格)、剥離個数0(合格)であった。
【0033】
実施例4は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を12重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は22.0×10−6Ω・m、温度変化5℃(合格)、剥離個数0(合格)であった。
【0034】
実施例5は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を15重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は30.0×10−6Ω・m、温度変化4℃(合格)、剥離個数1(実用域)であった。
【0035】
比較例3は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を18重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は32.0×10−6Ω・m、温度変化2℃(合格)、剥離個数4(不合格)であった。
【0036】
比較例4は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を20重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は40.0×10−6Ω・m、温度変化は変化なし(合格)、剥離個数5(不合格)であった。
【0037】
比較例5は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に平均粒径1mm、厚さ1μm鱗片状の白雲母を25重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は40.0×10−6Ω・m、温度変化は変化なし(合格)、剥離個数7(不合格)であった。
【0038】
参考例1は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に酸化ジスプロシウム(Dy2O3)を5重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は1.8×10−6Ω・mであった(電気抵抗率のみ測定)。
【0039】
参考例2は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に酸化アルミニウム(Al2O3)を5重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は2.0×10−6Ω・mであった(電気抵抗率のみ測定)。
【0040】
参考例3は、アスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉(Nd−Fe−Bの金属相)の磁性粉に酸化ホウ素(B2O3)を5重量%添加し、750℃で熱間成形法にて成形したサンプルであり、電気抵抗率は1.8×10−6Ω・mであった(電気抵抗率のみ測定)。
【0041】
上記に述べたように、温度変化測定及び剥離試験の両方で実用域若しくは合格と評価できるサンプル(磁性材料)は、実施例1〜5であると言える。
また、温度変化測定及び剥離試験の両方で合格と評価できるサンプル(磁性材料)は、実施例2〜4であると言える。
【0042】
すなわち、磁性粉11(図1参照)が99重量%を超え雲母12が1重量%未満では電気抵抗率を高めることはできない。また、磁性粉11が85重量%未満で雲母12が15重量%を超えると積層した部分に剥離が発生し、バルク体(成形体)としての形状の維持が困難になることを示す。
そこで、磁性粉11を85〜99重量%、雲母12を15〜1重量%の割合で構成することで、電気抵抗率の向上と磁性材料10としての形状の維持の両立を図るようにした。
【0043】
次に、本発明に係る磁性材料の製造方法を説明する。
図6は本発明に係る磁性材料の製造方法を示すフローチャートである。なお、ST××はステップ番号を示す。
ST01:混合工程
粒径と厚さとの比をアスペクト比と呼ぶときに、このアスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉と、鱗片状の白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択した雲母とを用意して、磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で混合する。
なお、鱗片状の磁性粉に、Nd(ネオジム)−Fe(鉄)−B(ホウ素)相の金属相を有するもの用いる。
ST02:成形工程
混合工程で得た混合粉末を熱間成形法にて所定形状に成形する。
【0044】
すなわち、本発明に係る磁性材料の製造方法は、粒径と厚さとの比をアスペクト比と呼ぶときに、このアスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉と、鱗片状の白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択した雲母とを用意して、磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で混合する工程と、この工程で得た混合粉末を熱間成形法にて所定形状に成形する工程と、から構成したものであると言える。
【0045】
磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で混合する工程と、この工程で得た混合粉末を熱間成形法にて所定形状に成形する工程と、から構成することで、永久磁石や電力トランス用のコア等になどに用いることのできる高密度で電気抵抗率の高い磁性材料を容易に製造する。この結果、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料のコストの低減を図ることができる。
一般的に、熱間成形法では加工温度を750〜800℃に設定し、焼結法では加工温度を1100℃に設定することが多い。そこで、混合粉末を熱間成形法にて所定形状に成形することで、例えば、焼結法に比べ低温にて成形することができる。
【0046】
また、磁性材料の製造方法は、鱗片状の磁性粉に、Nd(ネオジム)−Fe(鉄)−B(ホウ素)相の金属相を有するもの用いるものであるとも言える。
一般的に、Nd−Fe−B相の金属相を有する鱗片状の磁性粉は、例えばロール鋳造法を用いて急冷させることで、容易に得ることができる。すなわち、鱗片状の磁性粉に、Nd−Fe−B相の金属相を有するもの用いることで、磁性材料の生産性の向上を図ることができる。
なお、ロール鋳造法とは、連続鋳造法の一種で鋳型としてロールを用いる鋳造法であり、アルミニウムなどの薄板製造に使用される方法である。
【0047】
磁性材料に用いた白雲母は、粒径10μm〜1000μm、厚さ1μm鱗片状のものを用いた。
尚、実施の形態では図2に示すように、磁性材料に粒径1000μmの白雲母を添加したが、これに限るものではなく、雲母(マイカ)は白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択したものであってよく、粒径は10μm〜1000μmの範囲のものであればよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で混合する工程と、この工程で得た混合粉末を熱間成形法にて所定形状に成形する工程と、から構成したので、永久磁石や電力トランス用のコア等になどに用いることのできる高密度で電気抵抗率の高い磁性材料を容易に製造する。この結果、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料のコストの低減を図ることができる。
【0049】
一般的に、Nd−Fe−B相の金属相を有する鱗片状の磁性粉は、例えばロール鋳造法を用いて急冷させることで、容易に得ることができる。
請求項2では、Nd(ネオジム)−Fe(鉄)−B(ホウ素)相の金属相を有するもの用いたので、磁性材料の生産性の向上を図ることができる。
【0050】
例えば、磁性粉が99重量%を超え雲母が1重量%未満では電気抵抗率を高めることはできない。また、磁性粉が85重量%未満で雲母が15重量%を超えると積層した部分に剥離が発生し、バルク体(成形体)としての形状の維持が困難になる。
請求項3では、磁性粉を85〜99重量%、雲母を15〜1重量%の割合で構成したので、電気抵抗率の向上と磁性材料としての形状の維持の両立を図ることができる。
【0051】
Nd−Fe−B相の金属相を有する磁性粉は、鱗片状の磁性粉にしやすいので、磁性粉に雲母(マイカ)を介在させ電気抵抗率の向上を図るための最適な磁性粉と言える。
請求項4では、磁性粉にNd−Fe−B相の金属相の用いたので、高密度で電気抵抗率の高い磁性材料を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁性材料の顕微鏡写真の模写図
【図2】本発明に係る磁性材料に用いる雲母の一例を示す顕微鏡写真の模写図
【図3】本発明に係る磁性材料の作用説明図
【図4】本発明に係る磁性材料の発熱抑制効果を検証するための検査装置の原理図
【図5】本発明に係る磁性材料の剥離状態を検証するための剥離検査治具の原理図
【図6】本発明に係る磁性材料の製造方法を示すフローチャート
【図7】特開平8−222424号公報の図1再掲図
【符号の説明】
10…磁性材料、11…磁性粉、12…雲母。
Claims (4)
- 粒径と厚さとの比をアスペクト比と呼ぶときに、このアスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉と、鱗片状の白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択した雲母とを用意して、前記磁性粉を85〜99重量%、前記雲母を15〜1重量%の割合で混合する工程と、
この工程で得た混合粉末を熱間成形法にて所定形状に成形する工程と、からなることを特徴とする磁性材料の製造方法。 - 前記磁性粉に、Nd−Fe−B相の金属相を有するもの用いることを特徴とする請求項1記載の磁性材料の製造方法。
- 粒径と厚さとの比をアスペクト比と呼ぶときに、このアスペクト比5を超える鱗片状の磁性粉と、鱗片状の白雲母、金雲母若しくは合成雲母の中から選択した雲母と、からなる磁性材料であって、
前記磁性粉を85〜99重量%、前記雲母を15〜1重量%の割合で構成したことを特徴とする磁性材料。 - 前記磁性粉は、Nd−Fe−Bの金属相であることを特徴とする請求項3記載の磁性材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003006034A JP4133354B2 (ja) | 2003-01-14 | 2003-01-14 | 磁性材料の製造方法 |
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