JP2004217820A - Cdqにおけるバイオマス処理時のガス導入方法 - Google Patents
Cdqにおけるバイオマス処理時のガス導入方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】CDQにおいて、冷却室5上部のプレチャンバー4に、木材、下水汚泥ケーキ等のバイオマスを装入し、前記バイオマスの所持している熱量を熱分解及び燃焼により回収し利用するにあたり、バイオマスの熱分解により生成した可燃性ガスを燃焼させるための燃焼用空気と、冷却室5をバイパスさせたボイラー13からの冷却ガスと混合し、その混合されたバイパスガスを環状ダクト6及び/又は煙道9より導入する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス乾式消火設備(Coke Dry Quencher 本明細書ではCDQという)における木材、下水汚泥ケーキ等のバイオマス処理時のガス導入方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CDQでは、赤熱コークスをCDQ本体のプレチャンバーに装入し冷却室に下降させ、冷却室下部より導入した冷却ガスである不活性ガスを赤熱コークスと熱交換させ、赤熱コークスの熱を回収した高温の不活性ガスを環状ダクト及び煙道を経由してボイラーに導入して熱交換した後、循環ブロワーで再度冷却室へ圧送して循環させるようになっている。ボイラーで熱交換により得られた蒸気は発電機に送られ電気エネルギーとして回収される。
【0003】
このCDQを利用したバイオマスの処理方法として、CDQ本体のプレチャンバーにバイオマス(下水汚泥ケーキ)を装入して熱分解処理する方法が例えば特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されている熱分解処理方法は、赤熱コークスの顕熱を利用しプレチャンバー内で下水汚泥ケーキの有機成分を熱分解するとともに、下水汚泥ケーキ中の水分と赤熱コークスとを水性ガス化反応させ、CO、H2等の可燃ガスとして煙道に導き、煙道にて燃焼用空気を導入し燃焼させるものである。
【0005】
CDQの煙道には、ダストキャッチャーと呼ばれる重力沈降式の固気分離機構が、ボイラー保護のために設けられている。重力沈降式の固気分離機構は、固体の慣性力を利用し沈降させるものであり、ガス流れを乱流にすると固体の慣性力が阻害され、固気分離効率が著しく低下するため、CDQの煙道ではガス流速を極力低下させ、ガスを層流状態に保っている。そのため、固気分離性能を維持したまま煙道にて可燃ガスと燃焼用空気を混合し燃焼させるのは非常に困難であり、また滞留時間も短いため、その燃焼量には限界があった。また、可燃ガスが完全燃焼せずに可燃ガスが残留すると、H2S等の腐食成分が生成し、ボイラー及び冷却室下部等にて金属が腐食し、大きな設備トラブルを引き起こす。
【0006】
木材、下水汚泥ケーキ等のバイオマスに含まれる灰分は、石炭の灰分に比べNa、K等のアルカリ金属成分が多く含まれており、その融点が低く付着性が高い。また、燃焼用空気導入部近傍では、局部的に燃焼が促進されるため、局部的な高温部分が生成される。この高温部では、木材、下水汚泥ケーキ等のバイオマスから発生したバイオマス灰分が溶融し、粘着性を発し炉壁への付着による煉瓦への悪影響やボイラーの伝熱管表面に付着し熱効率を低下させるトラブルを生じる。
【0007】
一方、大量の木材、下水汚泥ケーキ等のバイオマスをCDQ本体のプレチャンバーに投入し、熱分解後の可燃ガスを煙道にて燃焼させる場合は、バイオマス灰分の溶融による上述のトラブルを回避するため、燃焼温度に制約がある(通常900℃)。そこで、燃焼温度を維持するために、温度を下げるための冷却ガス(希釈ガス)が導入されている。この冷却ガスは、バイパスガスと呼ばれ、赤熱コークス冷却用の冷却ガスを循環ブロワー出側からCDQ本体の冷却室をバイパスさせて、環状ダクトや煙道に導入され、ボイラー入口ガス温度を一定に維持している。
【0008】
しかし、このような方式でバイパスガスを環状ダクトや煙道に導入する場合、燃焼空気導入部近傍での局部燃焼による局部高温部の生成を避けることができず、バイオマス中の灰分が溶融し、粘着性を発する。また、滞留時間が短く層流状態であり、混合性が悪いため、バイパスガス導入部近傍では、低温となり燃焼が促進されないため、可燃ガスの残留が生じる。その結果、ボイラー伝熱管へのバイオマス灰分の溶融による付着、可燃ガス残留による腐食トラブルが発生する。
【0009】
【特許文献1】
特許第2789988号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、可燃ガス残留による腐食トラブル、燃焼用空気導入部近傍での局部高温によるバイオマス灰分の溶融トラブル、バイオマス灰分の溶融による伝熱管への付着トラブル等の発生を防止することができる、CDQにおけるバイオマス処理時のガス導入方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のCDQにおけるバイオマス処理時のガス導入方法は、赤熱コークスをCDQ本体の冷却室に装入し、冷却室下部より冷却ガスを導入して、この冷却ガスと赤熱コークスを冷却室内で接触させて冷却ガスを昇熱させ、この昇熱したガスを冷却室から環状ダクト及び煙道を経由してボイラーに搬送して昇熱ガスの熱を回収して冷却ガスとし、再度循環させて冷却室下部に導入する冷却ガスとして再利用するCDQにおいて、前記冷却室上部のプレチャンバーに、木材、下水汚泥ケーキ等のバイオマスを装入し、前記バイオマスの所持している熱量を熱分解及び燃焼により回収し利用するにあたり、前記バイオマスの熱分解により生成した可燃性ガスを燃焼させるための燃焼用空気と、冷却室をバイパスさせたボイラーからの冷却ガスとを混合し、その混合されたバイパスガスを環状ダクト及び/又は煙道より導入することを特徴とする。
【0012】
バイパスガスは、環状ダクト及び/又は煙道における2ケ所以上の複数箇所から導入することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づき説明する。
【0014】
実施例1
図1は、本発明に係るガス導入方法を実施するCDQの構成図である。CDQでは、赤熱コークス1をCDQ本体2上部のコークス装入口3から、蓋3aを開放した後プレチャンバ4に装入して冷却室5に下降させ、冷却室5下部の冷却ガス管14から供給する冷却ガスとしての不活性ガスを赤熱コークス1と熱交換させ、赤熱コークス1の熱を回収した高温の不活性ガスを環状ダクト6から煙道9を経由してボイラー13に導入して熱交換した後、循環ブロワー15で冷却室5下部へ圧送して循環させるようになっている。冷却されたコークスはCDQ本体2最下部のコークス排出口7から排出される。
【0015】
プレチャンバー4には、木材、下水汚泥ケーキ等のバイオマス装入口8が設けられている。バイオマスのうち、木材は10〜50mm程度にハンマークラッシャー等(図示せず)により粗粉砕してバイオマス装入口8より連続的に装入される。煙道9には、衝突壁10と、衝突壁10によって分離されたダストを回収するためのダストキャッチャ11と、煙道9内のガス温度を計測するための温度センサ12が設けられている。また、ボイラー13と循環ブロワー15との間の配管にはダスト分離のためのサイクロン17が設けられ、サイクロン17の出側には冷却ガス中のCO、H2等の可燃ガス濃度を計測するための可燃ガス濃度センサ16が設けられている。
【0016】
さらに、循環ブロワー15の出側と環状ダクト6を連結するバイパス管18が設けられており、バイパス管18の途中には、燃焼用空気導入口19が設けられている。これによりバイパスされた冷却ガスと燃焼用空気とが混合され、この混合ガス、すなわちバイパスガスが環状ダクト6より導入されるようになっている。
【0017】
以上の構成を有するCDQにおいて、プレチャンバー4に投入されたバイオマスは、赤熱コークス1の顕熱により熱分解され、CO、H2等の可燃ガスが発生する。可燃ガスは、冷却室5にて赤熱コークス1と熱交換した冷却ガスと混合され、環状ダクト6に導入される。一方、循環ブロワー15を出てバイバス管18によりバイパスされた冷却ガスの一部は、燃焼温度を維持・低減するためのバイパスガスとしてバイパス管18の途中で燃焼用空気と予混合された後、環状ダクト6に導入される。循環ブロワー15からの冷却ガスのバイパス量及び燃焼用空気の導入量は、温度センサ12による計測温度が所定温度範囲内に維持され、かつ、可燃ガス濃度センサによる可燃ガス濃度が所定濃度以下となるように図示しない制御装置によりフィードバック制御される。具体的には、図示しない制御装置により、流量調整弁18a、19aの開閉度を調整する。
【0018】
環状ダクト6に導入されたバイパスガスは、燃焼用空気との混合によって酸素を含んでいるため、冷却室5上部より排出された冷却ガス中の可燃成分と反応・燃焼し、煙道9に導かれる。この際、バイパスガス中の酸素濃度は十分希釈されているため、局部的に燃焼が促進されることはないので、局部的な高温部分を生じることなく燃焼が行われる。そのため、バイオマス灰分の溶融によるトラブルを生じることはない。
【0019】
また、バイパスガスにより燃焼用空気は十分に希釈されその流量を増大させているため、十分に拡散しながら燃焼を生じ、温度分布が均一となり、滞留時間が短く層流状態の煙道9にても十分均一に混合される。
【0020】
実施例2
図2は、本発明に係る他のガス導入方法を実施するCDQの構成図である。図1に示したCDQと同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0021】
図2では、バイパスガスが環状ダクト6及び煙道9に6分割されて導入されている。このように複数箇所に分割して導入することにより、さらにガスの混合効果が高まり、実施例1よりも滞留時間が短く層流状態の煙道であっても、ガスは十分均一に混合される。
【0022】
【発明の効果】
本発明のCDQにおけるバイオマス処理時のガス導入方法によれば、滞留時間が短く層流状態の煙道にてもガスが十分均一に混合されるので、可燃ガスが局部的に燃焼したり、逆に未燃となることがなくなり、可燃ガス残留による腐食トラブル、燃焼用空気導入部近傍での局部高温によるバイオマス灰分の溶融トラブル、バイオマス灰分の溶融による伝熱管への付着トラブル等の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガス導入方法を実施するCDQの構成図である。
【図2】本発明に係る他のガス導入方法を実施するCDQの構成図である。
【符号の説明】
1 赤熱コークス
2 CDQ本体
3 コークス装入口
3a コークス装入口の蓋
4 プレチャンバ
5 冷却室
6 環状ダクト
7 コークス排出口
8 バイオマス装入口
9 煙道
10 衝突壁
11 ダストキャッチャ
12 温度センサ
13 ボイラー
14 冷却ガス管
15 循環ブロワー
16 可燃ガス濃度センサ
17 サイクロン
18 バイパス管
18a 流量調整弁
19 燃焼用空気導入口
19a 流量調整弁
Claims (2)
- 赤熱コークスをCDQ本体の冷却室に装入し、冷却室下部より冷却ガスを導入して、この冷却ガスと赤熱コークスを冷却室内で接触させて冷却ガスを昇熱させ、この昇熱したガスを冷却室から環状ダクト及び煙道を経由してボイラーに搬送して昇熱ガスの熱を回収して冷却ガスとし、再度循環させて冷却室下部に導入する冷却ガスとして再利用するCDQにおいて、前記冷却室上部のプレチャンバーに、木材、下水汚泥ケーキ等のバイオマスを装入し、前記バイオマスの所持している熱量を熱分解及び燃焼により回収し利用するにあたり、
前記バイオマスの熱分解により生成した可燃性ガスを燃焼させるための燃焼用空気と、冷却室をバイパスさせたボイラーからの冷却ガスとを混合し、その混合されたバイパスガスを環状ダクト及び/又は煙道より導入することを特徴とするCDQにおけるバイオマス処理時のガス導入方法。 - 前記バイパスガスを、環状ダクト及び/又は煙道における2ケ所以上の複数箇所から導入することを特徴とする請求項1記載のCDQにおけるバイオマス処理時のガス導入方法。
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