JP2004217757A - 緩衝性カバーフィルムを備えた接着シートならびに半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルム状接着剤とダイシングテープの機能を併せ持つ接着シートのプリカット加工品の巻き取り時に発生する様々な問題を解決し、プリカット加工品の良好な巻き取り状態を提供する。
【解決手段】少なくとも緩衝性カバーフィルム(1)、熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)とを、この順に積層した構造を有してなる接着シートであって、
上記熱硬化型接着剤層(2)、上記放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)のうち少なくとも一つは所定の形状に加工されてなる接着シートならびに半導体装置およびその製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも緩衝性カバーフィルム(1)、熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)とを、この順に積層した構造を有してなる接着シートであって、
上記熱硬化型接着剤層(2)、上記放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)のうち少なくとも一つは所定の形状に加工されてなる接着シートならびに半導体装置およびその製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、緩衝性カバーフィルムを備えた接着シートならびに半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子と半導体素子搭載用支持部材の接合にはフィルム状の接着剤を用いる方法が主流である。フィルム状接着剤は、個片貼付け方式あるいはウェハ裏面貼付け方式において使用されている。個片貼付け方式とは、リール状の接着フィルムをカッティングあるいはパンチングによって個片に切り出し、その個片を支持部材に接着し、ダイシング工程によって個片化された半導体素子を接着して半導体素子付き支持部材を作製し、ワイヤボンド工程、封止工程を経て半導体装置を得る。しかしながら、個片貼付け方式では接着フィルムを切り出して個々に支持部材に接着した後、半導体素子の接着工程が必要なため、作業工程の多さや、専用の組立装置が必要であることから、製造コストが高くなるという問題があった。
【0003】
一方、ウェハ裏面貼付け方式では、まずフィルム状接着剤を半導体ウェハの裏面に貼付け、さらにフィルム状接着剤の他面にダイシングテープを貼り合わせ、ダイシングによって半導体素子を個片化することでフィルム状接着剤付き半導体素子を作製した後、半導体素子のピックアップ工程を行い、支持部材へ半導体素子を直接の接着する。その後、加熱、硬化、ワイヤボンドなどの工程を経ることにより半導体装置を得ることが出来る。このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤は、フィルム状接着剤を個片化する専用の装置を必要とせず、従来の組立装置の転用が容易であるため、製造コストが安く抑えられる方法として注目されている。
【0004】
このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤と共に用いられるダイシングテープは、感圧型と紫外線型ダイシングテープに大別される。
【0005】
感圧型ダイシングテープとは、ポリ塩化ビニル系やポリオレフィン系のベースフィルムに粘着剤を塗布したものが一般的である。感圧型のダイシングテープは、ダイシング工程における半導体素子の切断時にはダイシングソウによる回転で各素子が飛散しないような十分な粘着力が求められ、切断された半導体素子のピックアップ時には各素子に接着剤が付着することなく、また素子を傷つけずにピックアップが可能となる低い粘着力が求められる。しかしながら半導体素子の大きさ、厚み等によりダイシング工程時の切断加工に耐えうる粘着力とピックアップできる粘着力は変わってしまうため、半導体素子サイズや加工条件毎にダイシングテープの選定・切替え作業が必要であった。また所有すべきダイシングテープの種類も多種に渡るため、在庫管理等の問題を抱える事も少なくなかった。
【0006】
一方、紫外線型ダイシングテープはダイシング時には高粘着力を有するものの、ピックアップする前に紫外線(UV)を照射することにより低粘着力になる。そのため、前記感圧型テープが有する課題が改善されることより、ダイシングテープとして広く採用されるに至っている。紫外線型ダイシングテープを用いることにより前記感圧型ダイシングテープの課題は大部分改善される。
【0007】
しかしながら従来の方法では、ウェハ裏面貼付け方式でフィルム状接着剤を用いる場合、前記ダイシング工程までに、フィルム状接着剤のウェハ裏面への貼り付けとフィルム状接着剤を貼り付けたウェハとダイシングテープの貼り合わせといった2つの貼付工程が必要であった。更にダイシングテープに貼り合わせられるフィルム状接着剤表面へダイシングテープの粘着剤が転写し、半導体素子が装着される支持基板への接着性が低下する等の問題があった。そのため、フィルム状接着剤とダイシングテープを積層した接着シートが開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0008】
このようなフィルム状接着剤とダイシングテープの機能を併せ持つ接着シートはウエハへの貼り付け、及びダイシング後のウェハリングへの作業性を考慮し、プレカット加工がなされているのが一般的である。ここで言うプレカット加工とは接着シートにあらかじめ打ち抜き加工を施すことを指す。貼り付けるウェハの形状に合わせ、接着剤層側より少なくとも接着剤層と粘着剤層界面部分までを円形に打ち抜き、円形に加工された接着剤層を残し、円形に加工された以外の部分は剥離するのが一般的である。
【0009】
プレカット加工により、ウェハ裏面貼り付け工程においては、ウェハに貼り付ける側の接着剤層の保護フィルムを剥離し、ウェハへの貼り付けを実施する。その後ダイシング工程に入り、接着剤層が剥離され粘着剤層剥き出しになった面をウェハーリングに貼り付け、半導体素子の切断を行った後、基材フィルムをエキスパンドさせて半導体素子のピックアップ工程を行う事ができるため、作業工程を大幅に短縮することが出来る。
【0010】
【特許文献1】
特許登録3348923号公報(リンテック(株))
【特許文献2】
特開平10−33527号公報(リンテック(株))
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの様なプリカット加工を行ったフィルムを所定の巻き芯を軸にして巻き取った場合、巻き芯に近い側の部分には強い巻き締めの圧力がかかるため、所定の形状(円形が一般的)に成形された接着剤層の凹凸が基材フィルム表面に転写し、外観の悪化は勿論、転写した凹凸により接着剤層が段々になり、巻き取り時の位置ズレを発生する原因となっていた。また、このように接着剤層表面に凹凸の転写したフィルムを用いて、接着剤層をウェハ面に貼り付けた場合は、接着剤層の表面凹凸に起因するボイドを巻き込む等の不具合を生じる問題があった。
【0012】
巻き締めの圧力を低減するには巻き取り時のテンションを弱めに設定することで可能だが、その場合、同じプリカット加工された接着剤層と粘着剤層間の段差が原因で巻き取り時の蛇行、しわの発生といった問題が生じることがわかった。
【0013】
更に、同じくプリカット加工による凹凸は特に巻き取りフィルムの外側部分において積層されるフィルム間に隙間を生じ、隙間部分からの異物混入、外観低下といった問題を発生させる原因となっていた。
【0014】
本発明は、上記した従来技術の問題に鑑み、フィルム状接着剤とダイシングテープの機能を併せ持つ接着シートのプリカット加工品の巻き取り時に発生する様々な問題を解決し、プリカット加工品の良好な巻き取り状態を提供する事を目的とする。
【0015】
【問題を解決するための手段】
本発明は、少なくともカバーフィルム、熱硬化型接着剤層、放射線硬化型粘着剤層及び基材フィルムとを備えた接着シートであって、上記カバーフィルムを凹凸を緩衝することのできる緩衝性カバーフィルムとすることによって、接着シート表面の凹凸を吸収することができるようにし、その結果、上記の課題を解決したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の接着シートは、少なくとも緩衝性カバーフィルム(1)、熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)とを、この順に積層した構造を有してなる接着シートであって、上記熱硬化型接着剤層(2)、上記放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)のうち少なくとも一つは所定の形状に加工されてなる接着シートである。
【0017】
本発明の緩衝性カバーフィルム(1)に用いる材料は特に制限されるものではなく、緩衝能力を有する高分子フィルム、紙、及びそれらの発泡体であれば何でも良い。好ましくはポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム及びその発泡体、ウレタン系フィルム及びその発泡体、緩衝能力を有するゴム成分を含んだフィルム及びその発泡体等が好ましいが、本発明に記載の緩衝性カバーフィルム(1)は上記の素材に限定される物ではない。
【0018】
緩衝性カバーフィルム(1)の緩衝性としては、室温で厚み方向に50%圧縮し24時間放置された後、圧縮荷重を解放し、室温で30分後の圧縮量に対する歪みを測定した場合の歪み量の割合が5〜90%の範囲である事が好ましく、好ましくは10〜80%、より好ましくは20〜60%であることが好ましい。歪み量が5%以下の場合はカバーフィルムが固すぎて巻き締めの圧力により生じるフィルム表面凹凸を吸収出来ない。また90%以上の歪み量ではカバーフィルムが巻き締めの圧力で圧縮されすぎるため、これもフィルム表面の段差凹凸が吸収できなくなる。
【0019】
上記緩衝性カバーフィルム(1)は、複数のカバーフィルムを積層したものであってもよい。すなわち、後述する基材フィルム(4)で使用されるような材質の片面又は両面に上記した緩衝性フィルムを積層したものであってもよい。
【0020】
本発明の接着シートに用いる熱硬化型接着剤層(2)は、例えば、熱可塑性樹脂及び熱重合性成分を含有してなるのが好ましい。また、熱硬化性に加えて放射線硬化性を持たせることも可能で、このような放射線及び熱硬化型粘接着層は、例えば、熱可塑性樹脂、熱重合性成分及び放射線重合性成分を含有してなるのが好ましい。また、例えば、熱可塑性樹脂、熱重合性成分及び放射線照射によって塩基を発生する化合物を含有してなるのが好ましい。
【0021】
本発明の接着シートに用いる放射線硬化型粘着剤層(3)は、例えば、熱可塑性樹脂、熱重合性成分及び放射線重合性成分を含有してなるのが好ましい。また、例えば、熱可塑性樹脂、熱重合性成分及び放射線照射によって塩基を発生する化合物を含有してなるのが好ましい。
【0022】
以下、本発明の接着シートについて、具体的構成を例示しながらより詳細に説明する。
【0023】
(熱可塑性樹脂)
本発明の接着シートに用いる前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂、または少なくとも、未硬化状態において熱可塑性を有し、加熱後に架橋構造を形成する樹脂であれば特に制限はないが、Tg(ガラス転移温度)がTgが10〜100℃でかつ重量平均分子量が5000〜200000であるもの、又は、−50〜10℃で重量平均分子量が100000〜1000000であることが好ましい。
【0024】
前者の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられ、中でもポリイミド樹脂使用することが好ましく、後者の熱可塑性樹脂としては、官能性モノマーを含む重合体を使用することが好ましい。
【0025】
上記熱可塑性樹脂のうち、好ましいものの一つであるポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。すなわち、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを等モル又はほぼ等モル用い(各成分の添加順序は任意)、反応温度80℃以下、好ましくは0〜60℃で付加反応させる。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。
【0026】
上記ポリアミド酸は、50〜80℃の温度で加熱して解重合させることによって、その分子量を調整することもできる。
ポリイミド樹脂は、上記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法と、脱水剤を使用する化学閉環法で行うことができる。
【0027】
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限は無く、例えば、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、ピロメリット酸ニ無水物、3,3′、4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′、3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタンニ無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタンニ無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−〔2,2,2〕−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2、−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
【0028】
また、ポリイミドの原料として用いられるジアミンとしては特に制限は無く、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルケトン、3,4′−ジアミノジフェニルケトン、4,4′−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2′−(3,4′−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4′−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3′−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4′−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4′−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は炭素原子数1〜30の二価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R3及びR4は一価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1以上の整数である)
で表されるジアミノポリシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、サン テクノケミカル(株)製 ジェファーミン D−230,D−400,D−2000,D−4000,ED−600,ED−900,ED−2001,EDR−148等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。前記ポリイミド樹脂のTgとしては、0〜200℃であることが好ましく、重量平均分子量としては、1万〜20万であることが好ましい。
【0029】
上記熱可塑性樹脂のうち、好ましいものの一つである官能性モノマーを含む重合体における官能基としては、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、中でもグリジシル基が好ましい。より具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートなどの官能性モノマーを含有するグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体などが好ましく、さらにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と非相溶であることが好ましい。
【0030】
上記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分としては、例えば、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーを含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体等が挙げられ、そのうちでもエポキシ樹脂と非相溶であるものが好ましい。
【0031】
上記グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、(メタ)アクリルエステル共重合体、アクリルゴム等を使用することができ、アクリルゴムがより好ましい。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
【0032】
上記官能性モノマーとは官能記を有するモノマーのことをいい、このようなものとしては、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等を使用することが好ましい。このような重量平均分子量が10万以上であるグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、ナガセケムテックス(株)製HTR−860P−3等が挙げられる。
【0033】
上記グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等のエポキシ樹脂含有反復単位の量は、0.5〜6.0重量%が好ましく、0.5〜5.0重量%がより好ましく、0.8〜5.0重量%が特に好ましい。グリシジル基含有反復単位の量がこの範囲にあると、接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
【0034】
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート以外の上記官能性モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体のTgを考慮して決定し、Tgは−10℃以上であることが好ましい。Tgが−10℃以上であると、Bステージ状態での粘接着剤層のタック性が適当であり、取り扱い性に問題を生じないからである。
【0035】
上記モノマーを重合させて、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、例えば、パール重合、溶液重合等の方法を使用することができる。
【0036】
本発明において、官能性モノマーを含む高分子量成分の重量平均分子量は、10万以上であるが、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、シート状又はフィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が適当であり、また、フロー性が適当のため配線の回路充填性が確保できる。なお、本発明において、重量平均分子量とは、後に評価方法の欄で説明するようにゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
【0037】
また、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分の使用量は、熱重合性成分100重量部に対して、10〜400重量部が好ましい。この範囲にあると、貯蔵弾性率及び成型時のフロー性抑制が確保でき、また高温での取り扱い性も充分に得られる。高分子量成分の使用量は、15〜350重量部がより好ましく、20〜300重量部が特に好ましい。
【0038】
(熱重合性成分)
本発明の接着シートに用いる熱重合性成分としては、熱により重合するものであれば特に制限は無く、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ化合物が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができるが、接着シートとしての耐熱性を考慮すると、熱によって硬化し接着作用を及ぼす熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、特に、耐熱性、作業性、信頼性に優れる接着シートが得られる点でエポキシ樹脂を使用することが最も好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
【0039】
エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。ビスフェノールA型エポキシなどの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
【0040】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製、DER−330、DER−301、DER−361、及び東都化成(株)製、YD8125、YDF8170等が挙げられる。
【0041】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート152、エピコート154、日本化薬(株)製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が、またo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027や、東都化成(株)製、YDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。
【0042】
多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート604、東都化成(株)製のYH−434、三菱ガス化学(株)製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学(株)製のELM−120等が挙げられる。
【0043】
複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
【0044】
エポキシ樹脂を使用する際は、エポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ジシアンジアミド、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。
【0045】
前記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成(株)製、商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65及び三井化学(株)製、商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
【0046】
(放射線重合性成分)
本発明の接着シートに用いる放射線重合性成分としては、特に制限は無く、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、ペンテニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式(2)
【化2】
(式中、Rは水素又はメチル基を示し、q及びrは1以上の整数である)
で表される化合物、(a)ジオール類及び(b)一般式(3)
【化3】
(式中、nは0〜1の整数であり、R1は炭素原子数が1〜30の2価あるいは価の有機性基である)
で表されるイソシアネート化合物及び(c)一般式(4)
【化4】
(式中、R2は水素又はメチル基であり、R3はエチレン基あるいはプロピレン基である)
で表される化合物からなるウレタン(メタ)アクリレート化合物、(d)一般式(5)
【化5】
(式中、R1は炭素原子数が2〜30の2価の有機基を示す)
で表されるジアミン及び(b)一般式(6)で表されるイソシアネート化合物及び(e)一般式(6)
【化6】
(式中、nは0〜1の整数である)
で表される化合物からなる尿素メタクリレート化合物及び側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体が挙げられる。これらの放射線重合性化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
【0047】
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができ、その溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0048】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0049】
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を構成する(a)ジオール類としては、特に制限がなく、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテタラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール・ブロックコポリマー、エチレングリコール−テトラメチレングリコール・ブロックコポリマー、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ポリ1,2−ブチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチルヘキサンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、3−メチルー1,3−ペンタンジオール等のアルキレンジオールやポリオキシアルキレンジオール類、シクロペンタンジオール、シクロペンタンジメタノール、シクロペンタンジエタノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、ノルボルナンジオール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール類、下記一般式(7)で表される、例えば、ダイセル化学(株)製 PLACCEL CD−205、210、220等のカーボネートジオール類、
【化7】
(式中、R4及びR5は各々独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を示し、mは1〜20の整数である)
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピレン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メエチルプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシヘキサデカン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、酒石酸等のカルボキシル基含有ジオール類、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の多塩基酸と、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオールとのエステル化反応により得られる化合物等を使用することができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0050】
また、(b)イソシアネート化合物としては、特に制限がなく、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4′−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。また、これらのジイソシアネートの二量体、三量体を用いても良く、経日変化を避けるために適当なブロック剤で安定化したものを使用しても良い。
【0051】
また、(c)化合物としては、特に制限がなく、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ等を使用でき、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0052】
また、上記尿素メタクリレート化合物の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができ、その溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0053】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0054】
また、上記尿素メタクリレート化合物を構成する一般式(5)で表される(d)ジアミン類としては、特に制限がなく、例えば、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルメタン、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルスルフィド、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、o−トリジン、o−トリジンスルホン、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジエチレアニリン)、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4−ジアミノメシチレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4′−ベンゾフェノンジアミン、ビス〔4−(4′−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス〔4−(4′−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジfニルメタン、ビス〔4−(3′−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、下記一般式(8)
【化8】
(式中、R3及びR4は炭素原子数1〜30の二価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5及びR6は一価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1以上の整数である)
で表されるジアミノポリシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、サン テクノケミカル(株)製 ジェファーミン D−230,D−400,D−2000,D−4000,ED−600,ED−900,ED−2001,EDR−148等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0055】
また、一般式(6)で表される(e)化合物としては、特に制限がなく、例えば、イソシアネートエチルメタクリレート、メタクリロイルイソシアネート等を使用でき、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0056】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体は、例えば、官能基を含むビニル共重合体に、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物等から選ばれる官能基を有する化合物、を付加反応させて得ることができる。
【0057】
上記の官能基を含むビニル重合体における官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等が挙げられる。上記ビニル共重合体の製造に用いられるビニル単量体としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、レイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、イソシアン酸エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マビニル単量体等が挙げられる。これらの単量体は単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
また、上記ビニル共重合体の製造には、必要に応じ、その他のビニル単量体を共重合させることができる。このような単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−iso−プロピル、メタクリル酸−iso−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−iso−ブチル、メタクリル酸−iso−ブチル、アクリル酸−sec−ブチル、メタクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸−2−フルオロエチル、アクリル酸−2−シアノエチル、メタクリル酸−2−シアノエチル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
上記の、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物等の1個の官能基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリルグリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル、イソクロトン酸グリシジル、イソシアン酸エチルメタクリレート、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。
【0060】
また、その使用量としては、エチレン性不飽和基濃度が3.0×10−4〜6.0×10−3モル/gとなるように設定することが好ましく、6.0×10−4〜5.5×10−3モル/gとすることがより好ましく、9×10−4〜5.0×10−3モル/gとすることが特に好ましい。エチレン性不飽和基濃度が3.0×10−4モル/g未満では、粘着層の保存安定性が低下する傾向があり、6.0×10−3モル/gを超えると側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体を製造する際にゲル化を起こす傾向がある。
【0061】
また側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体の重量平均分子量は、1000〜50万が好ましく、5000〜30万がより好ましい。重量平均分子量が1000未満でも50万を超えても作業性が低下する傾向がある。また側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができ、その溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0062】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0063】
(放射線照射によって塩基を発生する化合物)
放射線照射によって塩基を発生する化合物は、放射線照射時に塩基を発生する化合物であって、発生した塩基が、熱硬化性樹脂の硬化反応速度を上昇させるものであり、光塩基発生剤ともいう。発生する塩基としては、反応性、硬化速度の点から強塩基性化合物が好ましい。一般的には、塩基性の指標として酸解離定数の対数であるpKa値が使用され、水溶液中でのpKa値が7以上の塩基が好ましく、さらに9以上の塩基がより好ましい。
【0064】
また、前記放射線照射によって塩基を発生する化合物は、波長150〜750nmの光照射によって塩基を発生する化合物を用いることが好ましく、一般的な光源を使用した際に効率良く塩基を発生させるためには250〜500nmの光照射によって塩基を発生する化合物がより好ましい。
【0065】
このような塩基性を示す例としては、イミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン誘導体、ピペリジン、1,2−ジメチルピペリジン等のピペリジン誘導体、プロリン誘導体、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のトリアルキルアミン誘導体、4−メチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の4位にアミノ基又はアルキルアミノ基が置換したピリジン誘導体、ピロリジン、n−メチルピロリジン等のピロリジン誘導体、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1(DBU)等の脂環式アミン誘導体、ベンジルメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等のベンジルアミン誘導体などが挙げられる。
【0066】
前記放射線照射によって塩基を発生するものとしては、例えば、Journal of Photopolymer Science and Technology 12巻、313〜314項(1999年)やChemistry of Materials 11巻、170〜176項(1999年)等に記載されている4級アンモニウム塩誘導体を用いることができる。これらは、活性光線の照射により高塩基性のトリアルキルアミンを生成するため、エポキシ樹脂の硬化には最適である。
【0067】
また、Journal of American Chemical Society 118巻 12925頁(1996年)やPolymer Journal 28巻 795頁(1996年)等に記載されているカルバミン酸誘導体や、活性光線の照射により1級のアミノ基を発生するオキシム誘導体用いることができる。
【0068】
また、前記放射線照射により塩基を発生する化合物として、α−アミノケトン化合物は本発明に最も好適に用いることができる。具体的には、光ラジカル発生剤として市販されている2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製イルガキュア369)、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体(ハロゲン、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等の置換基がフェニル基に置換されていてもよい)、ベンゾイソオキサゾロン誘導体、等を用いることができる。
【0069】
上記α−アミノケトン化合物は、放射線を照射する前は、立体障害のため熱硬化性樹脂の硬化促進作用を有しないが、放射線を照射することにより、α−アミノケトン化合物が解離して前記立体障害が低下するため、熱硬化性樹脂の硬化促進作用を有すると類推される。
【0070】
前記活性光線による塩基発生剤の他に、光フリース転位、光クライゼン転位(光Cleisen転位)やクルチウス転位(Curtius転位)、スチーブンス転位(Stevens転位)によって塩基性化合物を発生させ、エポキシ樹脂の硬化を行うことができる。
【0071】
放射線照射によって塩基を発生する化合物としては前記化合物以外にも、アミンイミド化合物を用いることができる。アミンイミド化合物は、活性光線の照射によって、塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けない。
アミンイミド化合物は、活性光線の照射によって、塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けない。例えば、代表的なアミンイミド化合物としては、下記一般式(9)または(10)
【化9】
(式中R1、R2、R3は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖上のアルキル基の他に、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等も含む。これらの置換基の中で、合成の簡便性、アミンイミドの溶解性等の点から、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基が好ましい。また、R4は独立に炭素数1〜5のアルキル基、水酸基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基を表す)で表され、また、上記一般式(9)中のAr1は一般式(11)〜(23)で表される芳香族基であり、また、前記一般式(10)中のAr2は、次式(24)〜(32)で示される芳香族基である。Ar1と同様に熱的な安定性、吸収波長の点から、R29〜R36の置換基としては、電子吸引性基である炭素数1〜6のカルボニル基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。
【0072】
アミンイミド化合物の合成は、公知の方法を用いることができる。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、John Wiley & Sons Ltd.、(1985年)、第1巻、p740に記載されているように、対応するカルボン酸エステルとハロゲン化ヒドラジン及びナトリウムアルコキサイドとの反応やカルボン酸エステルとヒドラジン及びエポキシ化合物との反応から得ることができる。合成の簡便性、安全性を考慮すると、対応するカルボン酸エステルとヒドラジン及びエポキシ化合物からの合成法が特に好ましい。合成温度、合成時間に関しては、使用する出発物質の分解等が無ければ特に制限を受けないが、一般的には0〜100℃の温度で30分〜7日間攪拌することによって目的のアミンイミド化合物を得ることができる。
【0073】
また、アミンイミド化合物を使用する際は増感剤を使用することもできる。増感剤としては特に制限はなく、硬化性組成物に悪影響を及ぼさない限り、公知の一重項増感剤、三重項増感剤を用いることができる。例えば、ナフタレン、アントラセン、ピレン等の芳香族化合物誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族カルボニル化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体等が好適に用いられる。特にこの中でも、一重項増感剤としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、三重項増感剤としては、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体が最も好ましい。
【化10】
(式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ベンゾイル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中U〜Zは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子である)
【化11】
(R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中Wは、炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基が置換した窒素、酸素、硫黄であり、X〜Zは独立に、炭素、窒素、酸素、硫黄原子である)
【0074】
例えば、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−フルオロナフタレン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジシアノナフタレン、アントラセン、1,2−ベンズアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9−シアノアントラセン、9,10−ジシアノアントラセン、2,6,9,10−テトラシアノアントラセン、カルバゾール、9−メチルカルバゾール、9−フェニルカルバゾール、9−プロペ−2−イニル−9H−カルバゾール、9−プロピル−9H−カルバゾール、9−ビニルカルバゾール、9H−カルバゾール−9−エタノール、9−メチル−3−ニトロ−9H−カルバゾール、9−メチル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−オクタノイルカルバゾール、9−カルバゾールメタノール、9−カルバゾールプロピオン酸、9−カルバゾールプロピオニトリル、9−デシル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−エチル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−エチル−3−ニトロカルバゾール、9−エチルカルバゾール、9−イソプロピルカルバゾール、9−(エトキシカルボニルメチル)カルバゾール、9−(モルホリノメチル)カルバゾール、9−アセチルカルバゾール、9−アリルカルバゾール、9−ベンジル−9H−カルバゾール、9−カルバゾール酢酸、9−(2−ニトロフェニル)カルバゾール、9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール、9−(1−エトキシ−2−メチル−プロピル)−9H−カルバゾール、3−ニトロカルバゾール、4−ヒドロキシカルバゾール、3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール、2−ヒドロキシカルバゾール、3,6−ジアセチル−9−エチルカルバゾール、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、3,3‘−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタノン、2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタノンが挙げられる。これらは、単独で用いるほかに、複数を組み合わせて用いても良い。
【0075】
増感剤の使用量は、増感剤の吸収波長及びモル吸光係数を参考にする必要があるが、一般的にアミンイミド化合物1重量部に対して0.01〜10重量部であり、0.1〜5重量部が特に好ましい。増感剤が0.01重量部以下になると光吸収の効率が低くなり、10重量部を超えると硬化性組成物全体に光が届かない恐れがある。
【0076】
放射線照射によって塩基を発生する化合物としては前記化合物以外にも、150〜750nmの光照射によって塩基を発生することを特徴とする一般式(33)または(34)で示されるイミダゾリウム塩化合物を使用することもできる。
【化12】
(式中R1、R2、R3、R4は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基、炭素数1〜6のフェニルアルキル基、炭素数1〜6のシアノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、チオメチル基、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を示す。また、Ar1は次式(I)〜(XIV)で表される芳香族基であり、またAr2は、次式(XV)〜(XXIII)で示される芳香族基であり、また、X−は、炭素数1〜6のジアルキルジチオカルバミド酸、次式(XXIV)であらわされるほう酸である。
【化13】
式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中A〜Fは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかを示す。
【化14】
R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中A〜Dは、独立に炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかであり、それらは炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基、酸素、硫黄と結合しても良い。
【化15】
R37〜R40は、独立に水素、フッ素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、フッ素が少なくとも1つ以上置換したフルオロフェニル基、イミダゾール基である)
【0077】
(その他の成分)
本発明の接着シートに用いる基材フィルム(4)層を構成する成分としては、放射線を透過すれば特に制限は無く、使用工程等(例えば、ピックアップ時にエキスパンドするかどうか等)に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポイエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0078】
また前記基材フィルム(4)層は、異なる2種類以上のフィルムを積層したものであっても良い。この場合、粘接着層に接する側のフィルムは、半導体素子のピックアップ作業性が向上する点で、25℃での引張弾性率が2000MPa以上であることが好ましく、2200MPa以上であることがより好ましく、2400MPa以上であることが特に好ましい。
【0079】
また、もう一方の、直接粘接着層に接しない側の基材フィルム(4)フィルムは、フィルムの伸びが大きく、エキスパンド工程での作業性がよい点で、25℃での引張弾性率が1000MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましく、600MPa以下であることが特に好ましい。この引張弾性率は、JIS K7113号に準じて測定されたものである。
【0080】
2種以上の基材フィルム(4)フィルムを積層した基材フィルム(4)層を使用する場合、その積層方法としては特に制限はなく、別々に作製した基材フィルム(4)フィルムをラミネートする方法、ある基材フィルム(4)フィルム上にもう一方の基材フィルム(4)フィルムを押出しラミネートする方法、2種類以上の基材フィルム(4)フィルムを押出し塗工しながら貼り合せる方法、ある基材フィルム(4)フィルムの原料となるポリマーを溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし別の基材フィルム(4)フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去する方法、及び接着剤を用いて貼り合わせる方法等公知の方法を使用することができる。
【0081】
また、本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)、放射線及び熱硬化型粘接着層には、それぞれ、さらに硬化促進剤を添加することもできる。硬化促進剤としては、特に制限はなく、例えば、イミダゾール類等が挙げられる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0082】
硬化促進剤の添加量は、熱重合性成分の総量100重量部に対して5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましい。添加量が5重量部を超えると保存安定性が低下する傾向がある。
【0083】
また、本発明の接着シートを形成する放射線硬化型粘着剤層(3)又は放射線重合性を兼ね備える熱硬化型粘接着層(2)には、それぞれ、活性光の照射によって遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を添加することもできる。このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体などが挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。上記光重合開始剤の使用量としては、特に制限はないが、放射線重合性成分の総量100重量部に対して通常0.01〜30重量部である。
【0084】
また熱硬化型接着剤層(2)及び放射線重合性を兼ね備える熱硬化型粘接着層(2)の貯蔵弾性率を大きくする方法として、例えばエポキシ樹脂の使用量を増やしたり、グリシジル基濃度の高いエポキシ樹脂又は水酸基濃度の高いフェノール樹脂を使用する等してポリマー全体の架橋密度を上げたり、フィラーを添加することによって、増加させることができる。
【0085】
本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)あるいは放射線重合性を兼ね備える熱硬化型粘接着層(2)には、可とう性や耐リフロークラック性を向上させる目的で、熱重合性成分と相溶性がある高分子量樹脂を添加することができる。このような高分子量樹脂としては、特に限定されず、たとえばフェノキシ樹脂、高分子量熱重合性成分、超高分子量熱重合性成分などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0086】
熱重合性成分と相溶性がある高分子量樹脂の使用量は、熱重合性成分の総量100重量部に対して、40重量部以下とすることが好ましい。この範囲であると、熱重合性成分層のTgを確保できる。
【0087】
また、本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)には、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整およびチキソトロピック性付与などを目的として、無機フィラーを添加することもできる。無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられ、フィラーの形状は特に制限されるものではない。これらのフィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0088】
中でも、熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカなどが好ましい。
【0089】
無機フィラーの使用量は、熱硬化型接着剤層(2)の総量100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。1重量部未満だと添加効果が得られない傾向があり、20重量部を超えると、熱硬化型接着剤層(2)粘接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
【0090】
また、本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
【0091】
上記シラン系カップリング剤としては、特に制限はなく、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0092】
また、チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアエチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタンチリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テタラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0093】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトイス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0094】
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、熱重合性成分の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部とするのが好ましい。
【0095】
本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、さらにイオン捕捉剤を添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤などが挙げられる。
【0096】
上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果や耐熱性、コスト等の点から、熱重合性成分の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
【0097】
本発明の接着シートは、ダイシング工程終了後、放射線を接着シートに照射し、放射線重合性を有する接着シートを重合硬化せしめ、熱硬化型接着剤層(2)と放射線硬化型粘着剤層(3)界面、あるいは放射線重合性を兼ね備える熱硬化型粘接着層(2)と基材フィルム(4)界面の接着力を低下させて半導体素子のピックアップを可能にするものである。
【0098】
本発明の接着シートは、接着シートを形成する組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、基材フィルム(4)フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去することによって得ることができる。
【0099】
また、上記のワニス化するための溶剤としては、特に限定されないが、フィルム作製時の揮発性などを考慮すると、たとえば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどの比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させるなどの目的で、たとえば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどの比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0100】
無機フィラーを添加した際のワニスの製造には、無機フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用するのが好ましく、また、これらを組み合わせて使用することもできる。また、無機フィラーと低分子量の原料をあらかじめ混合した後、高分子量の原料を配合することによって、混合する時間を短縮することもできる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
【0101】
本発明の接着シートの製造法としては、特に制限がなく、例えば、熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)と基材フィルム(4)層からなる接着シートの場合、熱硬化型接着剤層と放射線硬化型粘着剤層(3)をそれぞれ基材フィルム(4)層に別々に塗布、加熱し溶剤を除去した後貼り合せる方法、熱硬化型接着剤層(2)を基材フィルム(4)層に塗布、加熱し溶剤を除去した後、その熱硬化型接着剤層(2)上に放射線硬化型粘着剤層(3)を塗布、加熱し溶剤を除去する方法、放射線硬化型粘着剤層(3)を基材フィルム(4)層に塗布、加熱し溶剤を除去した後、その放射線硬化型粘着剤層(3)上に熱硬化型接着剤層(2)を塗布、加熱し溶剤を除去する方法などを使用することができる。
【0102】
基材フィルム(4)層へのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
また、放射線及び熱硬化型粘接着層と基材フィルム(4)層からなる接着シートの場合、基材フィルム(4)層上に放射線及び熱硬化型粘接着層のワニスを例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等の方法で塗布、加熱し溶剤を除去する方法などを使用することができる。
【0103】
基材フィルム(4)層の厚みは、特に制限はないが、緩衝性カバーフィルム(1)については5〜3000μmが好ましい、5μm以下ではカバーフィルムの緩衝能力が十分に発揮できず、3000μmより厚いとフィルム総厚が厚くなり製品の巻き径が大きくなりすぎる。25〜1000μmの範囲がフィルムの緩衝能力、巻き取り時の厚みのバランスから好ましく、50〜300μmの範囲がなお好ましい。
【0104】
熱硬化型接着剤層(2)、放射線及び熱硬化型粘接着層、基材フィルム(4)フィルム層ともに5〜250μmが好ましい。5μmより薄いと応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、250μmより厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられない。
【0105】
また、放射線硬化型粘着剤層(3)の厚みは、特に制限はないが、0.1〜20μmが好ましい。0.1μmよる薄いと放射線硬化型粘着剤層(3)と基材フィルム(4)層の粘着力が低下する傾向があるため、ダイシング時に半導体素子が飛散する可能性があり、20μmより厚い経済的でなくなる上に、特性上特に有利な点はない。
【0106】
また、本発明の接着シートは、所望のシート厚を得るために、熱硬化型接着剤層(2)と放射線硬化型粘着剤層(3)との間に従来公知の方法によって調製された接着層を挟むように設けてもよい。従来公知の方法によって調製された接着層としては、商業的に入手可能な接着シート、例えば、ポリイミド系、シリコンオリゴマー系、ゴム−エポキシ系、エポキシ系接着剤を用いることができる。但し、粘接着剤層同士の剥離が発生しないような貼り合わせ条件を従来公知の技術に基づいて考慮する必要がある。
【0107】
以上説明したような構成の接着シートに放射線照射すると、放射線照射後には熱硬化型接着剤層(2)と放射線硬化型粘着剤層(3)界面、あるいは、放射線及び熱硬化型粘接着層と基材フィルム(4)層界面の粘着力は大きく低下し、容易に半導体素子に接着層あるいは粘接着層を保持したまま該接着シートの基材フィルム(4)フィルムからピックアップすることができる。
【0108】
本発明の接着シートの粘接着層は、放射線照射のみで基材フィルム(4)の接着力を低下させる方法以外に放射線照射と同時あるいは放射線照射後に硬化反応を促進する目的で加熱を併用しても良い。加熱を併用することにより、より低温短時間での接着力低下が可能となる。加熱温度は、粘接着剤層の分解点以下であれば特に制限は受けないが、50〜170℃の温度が好ましい。
【0109】
本発明の接着シートの巻き取り時の張力としては0.1kg/cm〜10kg/cmの範囲であることが望ましい。0.1kg/cmより低いと巻き取り時の張力が不足し、フィルム巻き取り時のたわみ発生、巻き取りフィルムの蛇行等の問題がある。また10kg/cmを超えるとフィルムに過度の張力がかかり緩衝性カバーフィルムの能力を超えた圧力がかかるため、表面凹凸の段差を解消しきれず、接着剤層面への凹凸の転写等の問題を生じる可能性がある。緩衝性カバーフィルムの能力発現、巻き取り時のたわみ、蛇行発生防止のバランスから、0.5kg/cm〜7kg/cmがより好ましく、1kg/cm〜5kg/cmが
なお好ましい。
【0110】
【実施例】
以下本発明の実施例より詳細に報告する。本発明は、これらに限定されるものではない。
【0111】
(合成例1)〔アクリル系ポリマーの合成〕
攪拌機、滴下ロート、温度計及び冷却管を備えた500ml四つ口セパラブルフラスコに、2−ブタノン 126.0gを加え、窒素ガスを吹き込みながら(100ml/min)、80℃まで昇温し、約30分間保温した。その後、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.6gを、2−ブタノン 14.8g、メタクリル酸 15.0g、メタクリル酸メチル 15.0g及びアクリル酸2−エチルヘキシル 70.0gに溶解した溶液を、4時間かけて滴下し、2時間保温した後、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.06gを2−ブタノン 8.5gに溶解した溶液を滴下し、5.5時間保温し、重量平均分子量60,000(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値)、不揮発分40%のアクリル系ポリマー(AC−1)を得た。
【0112】
(製造例1)
合成例1で得られたアクリル系ポリマー(AC−1)100重量部、NK−ESTER BPE−200(新中村化学工業(株)製商品名、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン22.05重量部及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.5重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この粘着層用ワニスを、厚さ75μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンピューレックス:S31)上に塗布し、100℃で5分間加熱乾燥した後、ソフタッチ SPA−01(タマポリ(株)製商品名、ポリオレフィン系フィルム、膜厚100μm)を粘着層上に貼り合せ、基材(ポリオレフィン系フィルム)を備えた膜厚が10μmのフィルム状粘着層(F−1)を作製した。
【0113】
(実施例1)
エポキシ樹脂としてYDCN−703(東都化成株式会社製商品名、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量220)60重量部、硬化剤としてXLC−LL(三井化学株式会社製商品名、フェノ−ルキシレングリコ−ルジメチルエ−テル縮合物)40重量部にシクロヘキサノンを加え、攪拌混合したワニスに、カップリング剤としてNUC A−189(日本ユニカ−株式会社製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)1重量部、NCU A−1160(日本ユニカー株式会社製商品名、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン)1重量部及び、R972V(日本アエロジル株式会社製商品名、シリカフィラー)10体積%を混合攪拌し、ビーズミル分散処理を行ったのちHTR−860−P3(ナガセケムテックス株式会社製商品名、エポキシ基含有アクリール系共重合体)を250重量部、硬化促進剤としてキュアゾ−ル2PZ−CN(四国化成株式会社製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)を0.5重量部加えて攪拌混合し、この接着剤の組成物ワニスを得た。この接着層用ワニスを、厚さ75μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テイジンピューレックス:S31)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、基材フィルムを備えた膜厚が50μmのBステージ状態のフィルム状熱硬化型接着剤層(3)を得た。このキャリアフィルムを備えた接着層を半導体素子の大きさにプリカットし、上記製造例1で得られたフィルム状放射線硬化型粘着剤層(2)に室温、線圧1kg/cm、速度0.5m/分で接合した後、緩衝性カバーフィルム(4)として厚さ0.5mmの発泡エチレンシート(日立化成工業株式会社製商品名、ハイエチレン)と線圧1kg/cm、速度0.5m/分の条件でラミネートして、紙管を中心に巻取り張力3kgでロール状に巻き取った時のフィルムのしわ、段差による凹凸の転写及び蛇行の評価を行った。その後、熱硬化型接着剤層(3)と半導体素子を50℃、線圧20kg/cm2、速度0.5m/分で接合し、半導体素子に対する貼付の評価を行った。
【0114】
(比較例1)
上記実施例1と同様の組成、方法にてポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンピューレックス:S31)上に膜厚が50μmのBステージ状態のフィルム状熱硬化型接着剤層(3)を得た。このキャリアフィルムを備えた接着層を半導体素子の大きさにプリカットし、上記製造例1で得られたフィルム状放射線硬化型粘着剤層(2)に室温、線圧1kg/cm、速度0.5m/分で接合し、紙管を中心に巻取り張力3kgでロール状に巻き取った。この時のフィルムのしわ、段差による凹凸の転写及び蛇行の評価を行った。その後、熱硬化型接着剤層(3)と半導体素子を50℃、線圧20kg/cm2、速度0.5m/分で接合し、半導体素子に対する貼付の評価を行った。
【0115】
これらの2つの例より得られた評価結果を表1に示す。
表1から、本発明からなる接着シートは熱硬化型接着剤層(3)のプリカット後の巻圧による凹凸の転写を抑え、巻き取り時のしわをなくし、半導体素子と接合した際のボイドを軽減する効果があることが分かった。また、プリカットの際の段差から出る隙間を小さくし、異物の侵入を防ぎ、半導体素子との接合を良好にする効果も見られた。
【表1】
【0116】
【発明の効果】
本発明からなる接着シートはプレカット後ロール状に巻き取った際に接着剤のはみ出しや紙軸などの軸に近いフィルムにかかる巻圧変化と段差を軽減し、膜圧精度を向上させ、凹凸の転写や異物の侵入を防ぐことができ、半導体素子と接合した際のボイドを軽減することができる。さらに、半導体素子と接着剤層との間のボイドの軽減はダイシング時のチップ飛び、チッピングを減少させ、その後の支持部材への接合時のボイドを軽減させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接着シートの1実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 緩衝性カバーフィルム
2 熱硬化型接着剤層
3 放射線硬化型粘着剤層
4 基材フィルム
【発明の属する技術分野】
本発明は、緩衝性カバーフィルムを備えた接着シートならびに半導体装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体素子と半導体素子搭載用支持部材の接合にはフィルム状の接着剤を用いる方法が主流である。フィルム状接着剤は、個片貼付け方式あるいはウェハ裏面貼付け方式において使用されている。個片貼付け方式とは、リール状の接着フィルムをカッティングあるいはパンチングによって個片に切り出し、その個片を支持部材に接着し、ダイシング工程によって個片化された半導体素子を接着して半導体素子付き支持部材を作製し、ワイヤボンド工程、封止工程を経て半導体装置を得る。しかしながら、個片貼付け方式では接着フィルムを切り出して個々に支持部材に接着した後、半導体素子の接着工程が必要なため、作業工程の多さや、専用の組立装置が必要であることから、製造コストが高くなるという問題があった。
【0003】
一方、ウェハ裏面貼付け方式では、まずフィルム状接着剤を半導体ウェハの裏面に貼付け、さらにフィルム状接着剤の他面にダイシングテープを貼り合わせ、ダイシングによって半導体素子を個片化することでフィルム状接着剤付き半導体素子を作製した後、半導体素子のピックアップ工程を行い、支持部材へ半導体素子を直接の接着する。その後、加熱、硬化、ワイヤボンドなどの工程を経ることにより半導体装置を得ることが出来る。このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤は、フィルム状接着剤を個片化する専用の装置を必要とせず、従来の組立装置の転用が容易であるため、製造コストが安く抑えられる方法として注目されている。
【0004】
このウェハ裏面貼付け方式のフィルム状接着剤と共に用いられるダイシングテープは、感圧型と紫外線型ダイシングテープに大別される。
【0005】
感圧型ダイシングテープとは、ポリ塩化ビニル系やポリオレフィン系のベースフィルムに粘着剤を塗布したものが一般的である。感圧型のダイシングテープは、ダイシング工程における半導体素子の切断時にはダイシングソウによる回転で各素子が飛散しないような十分な粘着力が求められ、切断された半導体素子のピックアップ時には各素子に接着剤が付着することなく、また素子を傷つけずにピックアップが可能となる低い粘着力が求められる。しかしながら半導体素子の大きさ、厚み等によりダイシング工程時の切断加工に耐えうる粘着力とピックアップできる粘着力は変わってしまうため、半導体素子サイズや加工条件毎にダイシングテープの選定・切替え作業が必要であった。また所有すべきダイシングテープの種類も多種に渡るため、在庫管理等の問題を抱える事も少なくなかった。
【0006】
一方、紫外線型ダイシングテープはダイシング時には高粘着力を有するものの、ピックアップする前に紫外線(UV)を照射することにより低粘着力になる。そのため、前記感圧型テープが有する課題が改善されることより、ダイシングテープとして広く採用されるに至っている。紫外線型ダイシングテープを用いることにより前記感圧型ダイシングテープの課題は大部分改善される。
【0007】
しかしながら従来の方法では、ウェハ裏面貼付け方式でフィルム状接着剤を用いる場合、前記ダイシング工程までに、フィルム状接着剤のウェハ裏面への貼り付けとフィルム状接着剤を貼り付けたウェハとダイシングテープの貼り合わせといった2つの貼付工程が必要であった。更にダイシングテープに貼り合わせられるフィルム状接着剤表面へダイシングテープの粘着剤が転写し、半導体素子が装着される支持基板への接着性が低下する等の問題があった。そのため、フィルム状接着剤とダイシングテープを積層した接着シートが開発されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0008】
このようなフィルム状接着剤とダイシングテープの機能を併せ持つ接着シートはウエハへの貼り付け、及びダイシング後のウェハリングへの作業性を考慮し、プレカット加工がなされているのが一般的である。ここで言うプレカット加工とは接着シートにあらかじめ打ち抜き加工を施すことを指す。貼り付けるウェハの形状に合わせ、接着剤層側より少なくとも接着剤層と粘着剤層界面部分までを円形に打ち抜き、円形に加工された接着剤層を残し、円形に加工された以外の部分は剥離するのが一般的である。
【0009】
プレカット加工により、ウェハ裏面貼り付け工程においては、ウェハに貼り付ける側の接着剤層の保護フィルムを剥離し、ウェハへの貼り付けを実施する。その後ダイシング工程に入り、接着剤層が剥離され粘着剤層剥き出しになった面をウェハーリングに貼り付け、半導体素子の切断を行った後、基材フィルムをエキスパンドさせて半導体素子のピックアップ工程を行う事ができるため、作業工程を大幅に短縮することが出来る。
【0010】
【特許文献1】
特許登録3348923号公報(リンテック(株))
【特許文献2】
特開平10−33527号公報(リンテック(株))
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこの様なプリカット加工を行ったフィルムを所定の巻き芯を軸にして巻き取った場合、巻き芯に近い側の部分には強い巻き締めの圧力がかかるため、所定の形状(円形が一般的)に成形された接着剤層の凹凸が基材フィルム表面に転写し、外観の悪化は勿論、転写した凹凸により接着剤層が段々になり、巻き取り時の位置ズレを発生する原因となっていた。また、このように接着剤層表面に凹凸の転写したフィルムを用いて、接着剤層をウェハ面に貼り付けた場合は、接着剤層の表面凹凸に起因するボイドを巻き込む等の不具合を生じる問題があった。
【0012】
巻き締めの圧力を低減するには巻き取り時のテンションを弱めに設定することで可能だが、その場合、同じプリカット加工された接着剤層と粘着剤層間の段差が原因で巻き取り時の蛇行、しわの発生といった問題が生じることがわかった。
【0013】
更に、同じくプリカット加工による凹凸は特に巻き取りフィルムの外側部分において積層されるフィルム間に隙間を生じ、隙間部分からの異物混入、外観低下といった問題を発生させる原因となっていた。
【0014】
本発明は、上記した従来技術の問題に鑑み、フィルム状接着剤とダイシングテープの機能を併せ持つ接着シートのプリカット加工品の巻き取り時に発生する様々な問題を解決し、プリカット加工品の良好な巻き取り状態を提供する事を目的とする。
【0015】
【問題を解決するための手段】
本発明は、少なくともカバーフィルム、熱硬化型接着剤層、放射線硬化型粘着剤層及び基材フィルムとを備えた接着シートであって、上記カバーフィルムを凹凸を緩衝することのできる緩衝性カバーフィルムとすることによって、接着シート表面の凹凸を吸収することができるようにし、その結果、上記の課題を解決したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の接着シートは、少なくとも緩衝性カバーフィルム(1)、熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)とを、この順に積層した構造を有してなる接着シートであって、上記熱硬化型接着剤層(2)、上記放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)のうち少なくとも一つは所定の形状に加工されてなる接着シートである。
【0017】
本発明の緩衝性カバーフィルム(1)に用いる材料は特に制限されるものではなく、緩衝能力を有する高分子フィルム、紙、及びそれらの発泡体であれば何でも良い。好ましくはポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム及びその発泡体、ウレタン系フィルム及びその発泡体、緩衝能力を有するゴム成分を含んだフィルム及びその発泡体等が好ましいが、本発明に記載の緩衝性カバーフィルム(1)は上記の素材に限定される物ではない。
【0018】
緩衝性カバーフィルム(1)の緩衝性としては、室温で厚み方向に50%圧縮し24時間放置された後、圧縮荷重を解放し、室温で30分後の圧縮量に対する歪みを測定した場合の歪み量の割合が5〜90%の範囲である事が好ましく、好ましくは10〜80%、より好ましくは20〜60%であることが好ましい。歪み量が5%以下の場合はカバーフィルムが固すぎて巻き締めの圧力により生じるフィルム表面凹凸を吸収出来ない。また90%以上の歪み量ではカバーフィルムが巻き締めの圧力で圧縮されすぎるため、これもフィルム表面の段差凹凸が吸収できなくなる。
【0019】
上記緩衝性カバーフィルム(1)は、複数のカバーフィルムを積層したものであってもよい。すなわち、後述する基材フィルム(4)で使用されるような材質の片面又は両面に上記した緩衝性フィルムを積層したものであってもよい。
【0020】
本発明の接着シートに用いる熱硬化型接着剤層(2)は、例えば、熱可塑性樹脂及び熱重合性成分を含有してなるのが好ましい。また、熱硬化性に加えて放射線硬化性を持たせることも可能で、このような放射線及び熱硬化型粘接着層は、例えば、熱可塑性樹脂、熱重合性成分及び放射線重合性成分を含有してなるのが好ましい。また、例えば、熱可塑性樹脂、熱重合性成分及び放射線照射によって塩基を発生する化合物を含有してなるのが好ましい。
【0021】
本発明の接着シートに用いる放射線硬化型粘着剤層(3)は、例えば、熱可塑性樹脂、熱重合性成分及び放射線重合性成分を含有してなるのが好ましい。また、例えば、熱可塑性樹脂、熱重合性成分及び放射線照射によって塩基を発生する化合物を含有してなるのが好ましい。
【0022】
以下、本発明の接着シートについて、具体的構成を例示しながらより詳細に説明する。
【0023】
(熱可塑性樹脂)
本発明の接着シートに用いる前記熱可塑性樹脂は、熱可塑性を有する樹脂、または少なくとも、未硬化状態において熱可塑性を有し、加熱後に架橋構造を形成する樹脂であれば特に制限はないが、Tg(ガラス転移温度)がTgが10〜100℃でかつ重量平均分子量が5000〜200000であるもの、又は、−50〜10℃で重量平均分子量が100000〜1000000であることが好ましい。
【0024】
前者の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルイミド樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂等が挙げられ、中でもポリイミド樹脂使用することが好ましく、後者の熱可塑性樹脂としては、官能性モノマーを含む重合体を使用することが好ましい。
【0025】
上記熱可塑性樹脂のうち、好ましいものの一つであるポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを公知の方法で縮合反応させて得ることができる。すなわち、有機溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを等モル又はほぼ等モル用い(各成分の添加順序は任意)、反応温度80℃以下、好ましくは0〜60℃で付加反応させる。反応が進行するにつれ反応液の粘度が徐々に上昇し、ポリイミドの前駆体であるポリアミド酸が生成する。
【0026】
上記ポリアミド酸は、50〜80℃の温度で加熱して解重合させることによって、その分子量を調整することもできる。
ポリイミド樹脂は、上記反応物(ポリアミド酸)を脱水閉環させて得ることができる。脱水閉環は、加熱処理する熱閉環法と、脱水剤を使用する化学閉環法で行うことができる。
【0027】
ポリイミド樹脂の原料として用いられるテトラカルボン酸二無水物としては特に制限は無く、例えば、1,2−(エチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,3−(トリメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,4−(テトラメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,5−(ペンタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,6−(ヘキサメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,7−(ヘプタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,8−(オクタメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9−(ノナメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10−(デカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12−(ドデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,16−(ヘキサデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、1,18−(オクタデカメチレン)ビス(トリメリテート無水物)、ピロメリット酸ニ無水物、3,3′、4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′、3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸ニ無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパンニ無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタンニ無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタンニ無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,6−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,7−ジクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−テトラクロロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナンスレン−1,8,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ピラジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、チオフェン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,3,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,3′,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2′,3′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メチルフェニルシラン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルジメチルシリル)ベンゼン二無水物、1,3−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,3,3−テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリテート無水物)、エチレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、デカヒドロナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、4,8−ジメチル−1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ピロリジン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ビス(エキソ−ビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン−2,3−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ−〔2,2,2〕−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2、−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェニル)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン二無水物、4,4′−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、1,4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、1,3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼンビス(トリメリット酸無水物)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。
【0028】
また、ポリイミドの原料として用いられるジアミンとしては特に制限は無く、例えば、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3′−ジアミノジフェニルエーテル、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ジアミノジフェニルメタン、3,4′−ジアミノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルエーテメタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノ−3,5−ジイソプロピルフェニル)メタン、3,3′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,4′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、4,4′−ジアミノジフェニルジフルオロメタン、3,3′−ジアミノジフェニルスルフォン、3,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4′−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノジフェニルケトン、3,4′−ジアミノジフェニルケトン、4,4′−ジアミノジフェニルケトン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2′−(3,4′−ジアミノジフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−(3,4′−ジアミノジフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3,3′−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、3,4′−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、4,4′−(1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン))ビスアニリン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフィド、ビス(4−(3−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノエノキシ)フェニル)スルフォン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、1,2−ジアミノエタン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、下記一般式(1)
【化1】
(式中、R1及びR2は炭素原子数1〜30の二価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R3及びR4は一価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1以上の整数である)
で表されるジアミノポリシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、サン テクノケミカル(株)製 ジェファーミン D−230,D−400,D−2000,D−4000,ED−600,ED−900,ED−2001,EDR−148等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等を使用することができ、これらの1種又は2種以上を併用することもできる。前記ポリイミド樹脂のTgとしては、0〜200℃であることが好ましく、重量平均分子量としては、1万〜20万であることが好ましい。
【0029】
上記熱可塑性樹脂のうち、好ましいものの一つである官能性モノマーを含む重合体における官能基としては、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等が挙げられ、中でもグリジシル基が好ましい。より具体的には、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートなどの官能性モノマーを含有するグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体などが好ましく、さらにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂と非相溶であることが好ましい。
【0030】
上記官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分としては、例えば、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等の官能性モノマーを含有し、かつ重量平均分子量が10万以上であるグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体等が挙げられ、そのうちでもエポキシ樹脂と非相溶であるものが好ましい。
【0031】
上記グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、(メタ)アクリルエステル共重合体、アクリルゴム等を使用することができ、アクリルゴムがより好ましい。アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とし、主として、ブチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体や、エチルアクリレートとアクリロニトリル等の共重合体等からなるゴムである。
【0032】
上記官能性モノマーとは官能記を有するモノマーのことをいい、このようなものとしては、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等を使用することが好ましい。このような重量平均分子量が10万以上であるグリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、ナガセケムテックス(株)製HTR−860P−3等が挙げられる。
【0033】
上記グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレート等のエポキシ樹脂含有反復単位の量は、0.5〜6.0重量%が好ましく、0.5〜5.0重量%がより好ましく、0.8〜5.0重量%が特に好ましい。グリシジル基含有反復単位の量がこの範囲にあると、接着力が確保できるとともに、ゲル化を防止することができる。
【0034】
グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート以外の上記官能性モノマーとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、エチル(メタ)アクリレートとは、エチルアクリレートとエチルメタクリレートの両方を示す。官能性モノマーを組み合わせて使用する場合の混合比率は、グリシジル基含有(メタ)アクリル共重合体のTgを考慮して決定し、Tgは−10℃以上であることが好ましい。Tgが−10℃以上であると、Bステージ状態での粘接着剤層のタック性が適当であり、取り扱い性に問題を生じないからである。
【0035】
上記モノマーを重合させて、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分を製造する場合、その重合方法としては特に制限はなく、例えば、パール重合、溶液重合等の方法を使用することができる。
【0036】
本発明において、官能性モノマーを含む高分子量成分の重量平均分子量は、10万以上であるが、30万〜300万であることが好ましく、50万〜200万であることがより好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、シート状又はフィルム状としたときの強度、可とう性、及びタック性が適当であり、また、フロー性が適当のため配線の回路充填性が確保できる。なお、本発明において、重量平均分子量とは、後に評価方法の欄で説明するようにゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値を示す。
【0037】
また、官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分の使用量は、熱重合性成分100重量部に対して、10〜400重量部が好ましい。この範囲にあると、貯蔵弾性率及び成型時のフロー性抑制が確保でき、また高温での取り扱い性も充分に得られる。高分子量成分の使用量は、15〜350重量部がより好ましく、20〜300重量部が特に好ましい。
【0038】
(熱重合性成分)
本発明の接着シートに用いる熱重合性成分としては、熱により重合するものであれば特に制限は無く、例えば、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアヌレート基、アミノ基、アミド基等の官能基を持つ化合物が挙げられ、これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができるが、接着シートとしての耐熱性を考慮すると、熱によって硬化し接着作用を及ぼす熱硬化性樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられ、特に、耐熱性、作業性、信頼性に優れる接着シートが得られる点でエポキシ樹脂を使用することが最も好ましい。熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合には、エポキシ樹脂硬化剤を合わせて使用することが好ましい。
【0039】
エポキシ樹脂は、硬化して接着作用を有するものであれば特に限定されない。ビスフェノールA型エポキシなどの二官能エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂などを使用することができる。また、多官能エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、複素環含有エポキシ樹脂又は脂環式エポキシ樹脂など、一般に知られているものを適用することができる。
【0040】
ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製エピコートシリーズ(エピコート807、エピコート815、エピコート825、エピコート827、エピコート828、エピコート834、エピコート1001、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009)、ダウケミカル社製、DER−330、DER−301、DER−361、及び東都化成(株)製、YD8125、YDF8170等が挙げられる。
【0041】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート152、エピコート154、日本化薬(株)製のEPPN−201、ダウケミカル社製のDEN−438等が、またo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、日本化薬(株)製のEOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、EOCN−1012、EOCN−1025、EOCN−1027や、東都化成(株)製、YDCN701、YDCN702、YDCN703、YDCN704等が挙げられる。
【0042】
多官能エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のEpon 1031S、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイト0163、ナガセケムテックス(株)製のデナコールEX−611、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−421、EX−411、EX−321等が挙げられる。アミン型エポキシ樹脂としては、ジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート604、東都化成(株)製のYH−434、三菱ガス化学(株)製のTETRAD−X及びTETRAD−C、住友化学(株)製のELM−120等が挙げられる。
【0043】
複素環含有エポキシ樹脂としては、チバスペシャリティーケミカルズ社製のアラルダイトPT810、UCC社製のERL4234、ERL4299、ERL4221、ERL4206等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
【0044】
エポキシ樹脂を使用する際は、エポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としては、通常用いられている公知の硬化剤を使用することができ、例えば、アミン類、ポリアミド、酸無水物、ポリスルフィド、三フッ化ホウ素、ジシアンジアミド、ビスフェノールA、ビスフェノールF,ビスフェノールSのようなフェノール性水酸基を1分子中に2個以上有するビスフェノール類、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂等のフェノール樹脂などが挙げられる。特に吸湿時の耐電食性に優れる点で、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂又はクレゾールノボラック樹脂などのフェノール樹脂が好ましい。
【0045】
前記フェノール樹脂硬化剤の中で好ましいものとしては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製、商品名:フェノライトLF2882、フェノライトLF2822、フェノライトTD−2090、フェノライトTD−2149、フェノライトVH−4150、フェノライトVH4170、明和化成(株)製、商品名:H−1、ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピキュアMP402FPY、エピキュアYL6065、エピキュアYLH129B65及び三井化学(株)製、商品名:ミレックスXL、ミレックスXLC、ミレックスRN、ミレックスRS、ミレックスVR等が挙げられる。
【0046】
(放射線重合性成分)
本発明の接着シートに用いる放射線重合性成分としては、特に制限は無く、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、ペンテニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、スチレン、ジビニルベンゼン、4−ビニルトルエン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1,3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパン、メチレンビスアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリアクリレート、下記一般式(2)
【化2】
(式中、Rは水素又はメチル基を示し、q及びrは1以上の整数である)
で表される化合物、(a)ジオール類及び(b)一般式(3)
【化3】
(式中、nは0〜1の整数であり、R1は炭素原子数が1〜30の2価あるいは価の有機性基である)
で表されるイソシアネート化合物及び(c)一般式(4)
【化4】
(式中、R2は水素又はメチル基であり、R3はエチレン基あるいはプロピレン基である)
で表される化合物からなるウレタン(メタ)アクリレート化合物、(d)一般式(5)
【化5】
(式中、R1は炭素原子数が2〜30の2価の有機基を示す)
で表されるジアミン及び(b)一般式(6)で表されるイソシアネート化合物及び(e)一般式(6)
【化6】
(式中、nは0〜1の整数である)
で表される化合物からなる尿素メタクリレート化合物及び側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体が挙げられる。これらの放射線重合性化合物は、単独で又は2種類以上を組み合わせても、使用することができる。
【0047】
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができ、その溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0048】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0049】
また、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を構成する(a)ジオール類としては、特に制限がなく、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリテタラメチレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール・ブロックコポリマー、エチレングリコール−テトラメチレングリコール・ブロックコポリマー、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ポリ1,2−ブチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチルヘキサンジオール、2−エチルー1,3−ヘキサンジオール、3−メチルー1,3−ペンタンジオール等のアルキレンジオールやポリオキシアルキレンジオール類、シクロペンタンジオール、シクロペンタンジメタノール、シクロペンタンジエタノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、ノルボルナンジオール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、水素化ビスフェノールA等の脂環式ジオール類、下記一般式(7)で表される、例えば、ダイセル化学(株)製 PLACCEL CD−205、210、220等のカーボネートジオール類、
【化7】
(式中、R4及びR5は各々独立に、炭素数1〜12のアルキレン基を示し、mは1〜20の整数である)
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピレン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、2,3−ジヒドロキシ−2−メエチルプロピオン酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)ブタン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)ブタン酸、2,3−ジヒドロキシブタン酸、2,4−ジヒドロキシ−3,3−ジメチルブタン酸、2,3−ジヒドロキシヘキサデカン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、酒石酸等のカルボキシル基含有ジオール類、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の多塩基酸と、グリセリン、ペンタエリスリトール等のポリオールとのエステル化反応により得られる化合物等を使用することができ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0050】
また、(b)イソシアネート化合物としては、特に制限がなく、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4′−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。また、これらのジイソシアネートの二量体、三量体を用いても良く、経日変化を避けるために適当なブロック剤で安定化したものを使用しても良い。
【0051】
また、(c)化合物としては、特に制限がなく、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレ等を使用でき、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0052】
また、上記尿素メタクリレート化合物の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができ、その溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0053】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0054】
また、上記尿素メタクリレート化合物を構成する一般式(5)で表される(d)ジアミン類としては、特に制限がなく、例えば、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルメタン、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−(又は3,4′−、3,3′−、2,4′−、2,2′−)ジアミノジフェニルスルフィド、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、p−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、o−トリジン、o−トリジンスルホン、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジエチレアニリン)、4,4′−メチレン−ビス(2,6−ジイソプロピルアニリン)、2,4−ジアミノメシチレン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4′−ベンゾフェノンジアミン、ビス〔4−(4′−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2′−ビス〔4−(4′−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′,5,5′−テトラメチル−4,4′−ジアミノジfニルメタン、ビス〔4−(3′−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、3,5−ジアミノ安息香酸等の芳香族ジアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、下記一般式(8)
【化8】
(式中、R3及びR4は炭素原子数1〜30の二価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、R5及びR6は一価の炭化水素基を示し、それぞれ同一でも異なっていてもよく、mは1以上の整数である)
で表されるジアミノポリシロキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、サン テクノケミカル(株)製 ジェファーミン D−230,D−400,D−2000,D−4000,ED−600,ED−900,ED−2001,EDR−148等のポリオキシアルキレンジアミン等の脂肪族ジアミン等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0055】
また、一般式(6)で表される(e)化合物としては、特に制限がなく、例えば、イソシアネートエチルメタクリレート、メタクリロイルイソシアネート等を使用でき、これらを単独で又は2種以上組み合わせて使用することもできる。
【0056】
また、側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体は、例えば、官能基を含むビニル共重合体に、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物等から選ばれる官能基を有する化合物、を付加反応させて得ることができる。
【0057】
上記の官能基を含むビニル重合体における官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等が挙げられる。上記ビニル共重合体の製造に用いられるビニル単量体としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、オキシラン環、酸無水物等の官能基を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、レイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリルアミド、メタクリルアミド、イソシアン酸エチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、無水マビニル単量体等が挙げられる。これらの単量体は単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0058】
また、上記ビニル共重合体の製造には、必要に応じ、その他のビニル単量体を共重合させることができる。このような単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸−n−プロピル、メタクリル酸−n−プロピル、アクリル酸−iso−プロピル、メタクリル酸−iso−プロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−iso−ブチル、メタクリル酸−iso−ブチル、アクリル酸−sec−ブチル、メタクリル酸−sec−ブチル、アクリル酸−tert−ブチル、メタクリル酸−tert−ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、メタクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル、メタクリル酸エイコシル、アクリル酸ドコシル、メタクリル酸ドコシル、アクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘプチル、メタクリル酸シクロヘプチル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシジエチレングリコール、メタクリル酸メトキシジエチレングリコール、アクリル酸メトキシジプロピレングリコール、メタクリル酸メトキシジプロピレングリコール、アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、メタクリル酸メトキシトリエチレングリコール、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノプロピル、アクリル酸2−クロロエチル、メタクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸2−フルオロエチル、メタクリル酸−2−フルオロエチル、アクリル酸−2−シアノエチル、メタクリル酸−2−シアノエチル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0059】
上記の、少なくとも1個のエチレン性不飽和基と、オキシラン環、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、酸無水物等の1個の官能基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリルグリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジル、イソクロトン酸グリシジル、イソシアン酸エチルメタクリレート、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ケイ皮酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用される。
【0060】
また、その使用量としては、エチレン性不飽和基濃度が3.0×10−4〜6.0×10−3モル/gとなるように設定することが好ましく、6.0×10−4〜5.5×10−3モル/gとすることがより好ましく、9×10−4〜5.0×10−3モル/gとすることが特に好ましい。エチレン性不飽和基濃度が3.0×10−4モル/g未満では、粘着層の保存安定性が低下する傾向があり、6.0×10−3モル/gを超えると側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体を製造する際にゲル化を起こす傾向がある。
【0061】
また側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体の重量平均分子量は、1000〜50万が好ましく、5000〜30万がより好ましい。重量平均分子量が1000未満でも50万を超えても作業性が低下する傾向がある。また側鎖にエチレン性不飽和基を有する放射線重合性共重合体の合成は、有機溶媒の存在下で行うことができ、その溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、ジエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶媒、トルエン、キシレン、p−シメン等の芳香族炭化水素系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド等を使用することができる。
【0062】
反応温度は、0〜150℃とすることが好ましく、20〜130℃とすることがより好ましく、30〜120℃とすることが特に好ましい。反応時間は、バッチの規模、採用される反応条件等により適宜選択できる。
【0063】
(放射線照射によって塩基を発生する化合物)
放射線照射によって塩基を発生する化合物は、放射線照射時に塩基を発生する化合物であって、発生した塩基が、熱硬化性樹脂の硬化反応速度を上昇させるものであり、光塩基発生剤ともいう。発生する塩基としては、反応性、硬化速度の点から強塩基性化合物が好ましい。一般的には、塩基性の指標として酸解離定数の対数であるpKa値が使用され、水溶液中でのpKa値が7以上の塩基が好ましく、さらに9以上の塩基がより好ましい。
【0064】
また、前記放射線照射によって塩基を発生する化合物は、波長150〜750nmの光照射によって塩基を発生する化合物を用いることが好ましく、一般的な光源を使用した際に効率良く塩基を発生させるためには250〜500nmの光照射によって塩基を発生する化合物がより好ましい。
【0065】
このような塩基性を示す例としては、イミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン等のピペラジン誘導体、ピペリジン、1,2−ジメチルピペリジン等のピペリジン誘導体、プロリン誘導体、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のトリアルキルアミン誘導体、4−メチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の4位にアミノ基又はアルキルアミノ基が置換したピリジン誘導体、ピロリジン、n−メチルピロリジン等のピロリジン誘導体、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビスシクロ(5,4,0)ウンデセン−1(DBU)等の脂環式アミン誘導体、ベンジルメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等のベンジルアミン誘導体などが挙げられる。
【0066】
前記放射線照射によって塩基を発生するものとしては、例えば、Journal of Photopolymer Science and Technology 12巻、313〜314項(1999年)やChemistry of Materials 11巻、170〜176項(1999年)等に記載されている4級アンモニウム塩誘導体を用いることができる。これらは、活性光線の照射により高塩基性のトリアルキルアミンを生成するため、エポキシ樹脂の硬化には最適である。
【0067】
また、Journal of American Chemical Society 118巻 12925頁(1996年)やPolymer Journal 28巻 795頁(1996年)等に記載されているカルバミン酸誘導体や、活性光線の照射により1級のアミノ基を発生するオキシム誘導体用いることができる。
【0068】
また、前記放射線照射により塩基を発生する化合物として、α−アミノケトン化合物は本発明に最も好適に用いることができる。具体的には、光ラジカル発生剤として市販されている2−メチル−1(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製イルガキュア907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1−オン(Ciba Speciality Chemicals社製イルガキュア369)、ヘキサアリールビスイミダゾール誘導体(ハロゲン、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等の置換基がフェニル基に置換されていてもよい)、ベンゾイソオキサゾロン誘導体、等を用いることができる。
【0069】
上記α−アミノケトン化合物は、放射線を照射する前は、立体障害のため熱硬化性樹脂の硬化促進作用を有しないが、放射線を照射することにより、α−アミノケトン化合物が解離して前記立体障害が低下するため、熱硬化性樹脂の硬化促進作用を有すると類推される。
【0070】
前記活性光線による塩基発生剤の他に、光フリース転位、光クライゼン転位(光Cleisen転位)やクルチウス転位(Curtius転位)、スチーブンス転位(Stevens転位)によって塩基性化合物を発生させ、エポキシ樹脂の硬化を行うことができる。
【0071】
放射線照射によって塩基を発生する化合物としては前記化合物以外にも、アミンイミド化合物を用いることができる。アミンイミド化合物は、活性光線の照射によって、塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けない。
アミンイミド化合物は、活性光線の照射によって、塩基を発生する化合物であれば特に制限は受けない。例えば、代表的なアミンイミド化合物としては、下記一般式(9)または(10)
【化9】
(式中R1、R2、R3は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖上のアルキル基の他に、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等も含む。これらの置換基の中で、合成の簡便性、アミンイミドの溶解性等の点から、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基が好ましい。また、R4は独立に炭素数1〜5のアルキル基、水酸基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フェニル基を表す)で表され、また、上記一般式(9)中のAr1は一般式(11)〜(23)で表される芳香族基であり、また、前記一般式(10)中のAr2は、次式(24)〜(32)で示される芳香族基である。Ar1と同様に熱的な安定性、吸収波長の点から、R29〜R36の置換基としては、電子吸引性基である炭素数1〜6のカルボニル基、シアノ基、ニトロ基が好ましい。
【0072】
アミンイミド化合物の合成は、公知の方法を用いることができる。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、John Wiley & Sons Ltd.、(1985年)、第1巻、p740に記載されているように、対応するカルボン酸エステルとハロゲン化ヒドラジン及びナトリウムアルコキサイドとの反応やカルボン酸エステルとヒドラジン及びエポキシ化合物との反応から得ることができる。合成の簡便性、安全性を考慮すると、対応するカルボン酸エステルとヒドラジン及びエポキシ化合物からの合成法が特に好ましい。合成温度、合成時間に関しては、使用する出発物質の分解等が無ければ特に制限を受けないが、一般的には0〜100℃の温度で30分〜7日間攪拌することによって目的のアミンイミド化合物を得ることができる。
【0073】
また、アミンイミド化合物を使用する際は増感剤を使用することもできる。増感剤としては特に制限はなく、硬化性組成物に悪影響を及ぼさない限り、公知の一重項増感剤、三重項増感剤を用いることができる。例えば、ナフタレン、アントラセン、ピレン等の芳香族化合物誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族カルボニル化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体等が好適に用いられる。特にこの中でも、一重項増感剤としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、カルバゾール誘導体、三重項増感剤としては、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾイン誘導体が最も好ましい。
【化10】
(式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、ベンゾイル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中U〜Zは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子である)
【化11】
(R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中Wは、炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基が置換した窒素、酸素、硫黄であり、X〜Zは独立に、炭素、窒素、酸素、硫黄原子である)
【0074】
例えば、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1−フルオロナフタレン、1−クロロナフタレン、2−クロロナフタレン、1−ブロモナフタレン、2−ブロモナフタレン、1−ヨードナフタレン、2−ヨードナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、1−メトキシナフタレン、2−メトキシナフタレン、1,4−ジシアノナフタレン、アントラセン、1,2−ベンズアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジフェニルアントラセン、9−シアノアントラセン、9,10−ジシアノアントラセン、2,6,9,10−テトラシアノアントラセン、カルバゾール、9−メチルカルバゾール、9−フェニルカルバゾール、9−プロペ−2−イニル−9H−カルバゾール、9−プロピル−9H−カルバゾール、9−ビニルカルバゾール、9H−カルバゾール−9−エタノール、9−メチル−3−ニトロ−9H−カルバゾール、9−メチル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−オクタノイルカルバゾール、9−カルバゾールメタノール、9−カルバゾールプロピオン酸、9−カルバゾールプロピオニトリル、9−デシル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−エチル−3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、9−エチル−3−ニトロカルバゾール、9−エチルカルバゾール、9−イソプロピルカルバゾール、9−(エトキシカルボニルメチル)カルバゾール、9−(モルホリノメチル)カルバゾール、9−アセチルカルバゾール、9−アリルカルバゾール、9−ベンジル−9H−カルバゾール、9−カルバゾール酢酸、9−(2−ニトロフェニル)カルバゾール、9−(4−メトキシフェニル)カルバゾール、9−(1−エトキシ−2−メチル−プロピル)−9H−カルバゾール、3−ニトロカルバゾール、4−ヒドロキシカルバゾール、3,6−ジニトロ−9H−カルバゾール、3,6−ジフェニル−9H−カルバゾール、2−ヒドロキシカルバゾール、3,6−ジアセチル−9−エチルカルバゾール、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジメトキシ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−ベンゾイル安息香酸メチルエステル、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、3,3‘−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、[4−(4−メチルフェニルチオ)フェニル]−フェニルメタノン、キサントン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、4−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタノン、2,2−ジエトキシ−1,2−ジフェニルエタノンが挙げられる。これらは、単独で用いるほかに、複数を組み合わせて用いても良い。
【0075】
増感剤の使用量は、増感剤の吸収波長及びモル吸光係数を参考にする必要があるが、一般的にアミンイミド化合物1重量部に対して0.01〜10重量部であり、0.1〜5重量部が特に好ましい。増感剤が0.01重量部以下になると光吸収の効率が低くなり、10重量部を超えると硬化性組成物全体に光が届かない恐れがある。
【0076】
放射線照射によって塩基を発生する化合物としては前記化合物以外にも、150〜750nmの光照射によって塩基を発生することを特徴とする一般式(33)または(34)で示されるイミダゾリウム塩化合物を使用することもできる。
【化12】
(式中R1、R2、R3、R4は独立に水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、炭素数1〜6のフェノキシアルキル基、炭素数1〜6のフェニルアルキル基、炭素数1〜6のシアノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、ベンジル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、チオメチル基、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を示す。また、Ar1は次式(I)〜(XIV)で表される芳香族基であり、またAr2は、次式(XV)〜(XXIII)で示される芳香族基であり、また、X−は、炭素数1〜6のジアルキルジチオカルバミド酸、次式(XXIV)であらわされるほう酸である。
【化13】
式中R5〜R28は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中A〜Fは、炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかを示す。
【化14】
R29〜R36は独立に、水素、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基、炭素数1〜8のアルキリデン基、炭素数4〜8のシクロアルキル基、炭素数4〜8のシクロアルケニル基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数1〜3のジアルキルアミノ基、モルフォリノ基、メルカプト基、水酸基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン、炭素数1〜6のエステル基、炭素数1〜6のカルボニル基、アルデヒド基、シアノ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、フェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したフェニル基、電子供与性基および/または電子吸引性基が置換したベンジル基である。また式中A〜Dは、独立に炭素、窒素、酸素、硫黄原子のいずれかであり、それらは炭素、窒素、炭素数1〜6のアルキル基、酸素、硫黄と結合しても良い。
【化15】
R37〜R40は、独立に水素、フッ素、炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基、フッ素が少なくとも1つ以上置換したフルオロフェニル基、イミダゾール基である)
【0077】
(その他の成分)
本発明の接着シートに用いる基材フィルム(4)層を構成する成分としては、放射線を透過すれば特に制限は無く、使用工程等(例えば、ピックアップ時にエキスパンドするかどうか等)に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポイエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリビニルアセテートフィルム等のポリオレフィン系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム等が挙げられる。
【0078】
また前記基材フィルム(4)層は、異なる2種類以上のフィルムを積層したものであっても良い。この場合、粘接着層に接する側のフィルムは、半導体素子のピックアップ作業性が向上する点で、25℃での引張弾性率が2000MPa以上であることが好ましく、2200MPa以上であることがより好ましく、2400MPa以上であることが特に好ましい。
【0079】
また、もう一方の、直接粘接着層に接しない側の基材フィルム(4)フィルムは、フィルムの伸びが大きく、エキスパンド工程での作業性がよい点で、25℃での引張弾性率が1000MPa以下であることが好ましく、800MPa以下であることがより好ましく、600MPa以下であることが特に好ましい。この引張弾性率は、JIS K7113号に準じて測定されたものである。
【0080】
2種以上の基材フィルム(4)フィルムを積層した基材フィルム(4)層を使用する場合、その積層方法としては特に制限はなく、別々に作製した基材フィルム(4)フィルムをラミネートする方法、ある基材フィルム(4)フィルム上にもう一方の基材フィルム(4)フィルムを押出しラミネートする方法、2種類以上の基材フィルム(4)フィルムを押出し塗工しながら貼り合せる方法、ある基材フィルム(4)フィルムの原料となるポリマーを溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし別の基材フィルム(4)フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去する方法、及び接着剤を用いて貼り合わせる方法等公知の方法を使用することができる。
【0081】
また、本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)、放射線及び熱硬化型粘接着層には、それぞれ、さらに硬化促進剤を添加することもできる。硬化促進剤としては、特に制限はなく、例えば、イミダゾール類等が挙げられる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート等が挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0082】
硬化促進剤の添加量は、熱重合性成分の総量100重量部に対して5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましい。添加量が5重量部を超えると保存安定性が低下する傾向がある。
【0083】
また、本発明の接着シートを形成する放射線硬化型粘着剤層(3)又は放射線重合性を兼ね備える熱硬化型粘接着層(2)には、それぞれ、活性光の照射によって遊離ラジカルを生成する光重合開始剤を添加することもできる。このような光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパノン−1、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン等の芳香族ケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体などが挙げられ、これらは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。上記光重合開始剤の使用量としては、特に制限はないが、放射線重合性成分の総量100重量部に対して通常0.01〜30重量部である。
【0084】
また熱硬化型接着剤層(2)及び放射線重合性を兼ね備える熱硬化型粘接着層(2)の貯蔵弾性率を大きくする方法として、例えばエポキシ樹脂の使用量を増やしたり、グリシジル基濃度の高いエポキシ樹脂又は水酸基濃度の高いフェノール樹脂を使用する等してポリマー全体の架橋密度を上げたり、フィラーを添加することによって、増加させることができる。
【0085】
本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)あるいは放射線重合性を兼ね備える熱硬化型粘接着層(2)には、可とう性や耐リフロークラック性を向上させる目的で、熱重合性成分と相溶性がある高分子量樹脂を添加することができる。このような高分子量樹脂としては、特に限定されず、たとえばフェノキシ樹脂、高分子量熱重合性成分、超高分子量熱重合性成分などが挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することもできる。
【0086】
熱重合性成分と相溶性がある高分子量樹脂の使用量は、熱重合性成分の総量100重量部に対して、40重量部以下とすることが好ましい。この範囲であると、熱重合性成分層のTgを確保できる。
【0087】
また、本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)には、その取り扱い性向上、熱伝導性向上、溶融粘度の調整およびチキソトロピック性付与などを目的として、無機フィラーを添加することもできる。無機フィラーとしては、特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が挙げられ、フィラーの形状は特に制限されるものではない。これらのフィラーは単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0088】
中でも、熱伝導性向上のためには、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ほう素、結晶性シリカ、非晶性シリカ等が好ましい。また、溶融粘度の調整やチキソトロピック性の付与の目的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、結晶性シリカ、非晶性シリカなどが好ましい。
【0089】
無機フィラーの使用量は、熱硬化型接着剤層(2)の総量100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。1重量部未満だと添加効果が得られない傾向があり、20重量部を超えると、熱硬化型接着剤層(2)粘接着性の低下、ボイド残存による電気特性の低下等の問題を起こす傾向がある。
【0090】
また、本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)には、異種材料間の界面結合を良くするために、各種カップリング剤を添加することもできる。カップリング剤としては、例えば、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられ、中でも効果が高い点でシラン系カップリング剤が好ましい。
【0091】
上記シラン系カップリング剤としては、特に制限はなく、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピル−トリス(2−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、3−4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル−プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピル−トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルジメトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリクロロシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、アミルトリクロロシラン、オクチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリ(メタクリロイルオキエトキシ)シラン、メチルトリ(グリシジルオキシ)シラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド、γ−クロロプロピルメチルジクロロシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、トリメチルシリルイソシアネート、ジメチルシリルイソシアネート、メチルシリルトリイソシアネート、ビニルシリルトリイソシアネート、フェニルシリルトリイソシアネート、テトライソシアネートシラン、エトキシシランイソシアネートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0092】
また、チタン系カップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリス(n−アミノエチル)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアエチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタンチリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート、テトラメチルオルソチタネート、テトラエチルオルソチタネート、テタラプロピルオルソチタネート、テトライソブチルオルソチタネート、ステアリルチタネート、クレシルチタネートモノマー、クレシルチタネートポリマー、ジイソプロポキシ−ビス(2,4−ペンタジオネート)チタニウム(IV)、ジイソプロピル−ビス−トリエタノールアミノチタネート、オクチレングリコールチタネート、テトラ−n−ブトキシチタンポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートポリマー、トリ−n−ブトキシチタンモノステアレートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0093】
アルミニウム系カップリング剤としては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトイス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム−ジ−iso−プロポキシド−モノエチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノ−sec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム−sec−ブチレート、アルミニウムエチレート等のアルミニウムアルコレートなどを使用することができ、単独で又は二種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0094】
上記カップリング剤の使用量は、その効果や耐熱性及びコストの面から、熱重合性成分の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部とするのが好ましい。
【0095】
本発明の接着シートを形成する熱硬化型接着剤層(2)には、イオン性不純物を吸着して、吸湿時の絶縁信頼性をよくするために、さらにイオン捕捉剤を添加することもできる。このようなイオン捕捉剤としては、特に制限はなく、例えば、トリアジンチオール化合物、ビスフェノール系還元剤等の、銅がイオン化して溶け出すのを防止するため銅害防止剤として知られる化合物、ジルコニウム系、アンチモンビスマス系マグネシウムアルミニウム化合物等の無機イオン吸着剤などが挙げられる。
【0096】
上記イオン捕捉剤の使用量は、添加による効果や耐熱性、コスト等の点から、熱重合性成分の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
【0097】
本発明の接着シートは、ダイシング工程終了後、放射線を接着シートに照射し、放射線重合性を有する接着シートを重合硬化せしめ、熱硬化型接着剤層(2)と放射線硬化型粘着剤層(3)界面、あるいは放射線重合性を兼ね備える熱硬化型粘接着層(2)と基材フィルム(4)界面の接着力を低下させて半導体素子のピックアップを可能にするものである。
【0098】
本発明の接着シートは、接着シートを形成する組成物を溶剤に溶解あるいは分散してワニスとし、基材フィルム(4)フィルム上に塗布、加熱し溶剤を除去することによって得ることができる。
【0099】
また、上記のワニス化するための溶剤としては、特に限定されないが、フィルム作製時の揮発性などを考慮すると、たとえば、メタノール、エタノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどの比較的低沸点の溶媒を使用するのが好ましい。また、塗膜性を向上させるなどの目的で、たとえば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどの比較的高沸点の溶媒を使用することもできる。これらの溶媒は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0100】
無機フィラーを添加した際のワニスの製造には、無機フィラーの分散性を考慮して、らいかい機、3本ロール、ボールミル及びビーズミルなどを使用するのが好ましく、また、これらを組み合わせて使用することもできる。また、無機フィラーと低分子量の原料をあらかじめ混合した後、高分子量の原料を配合することによって、混合する時間を短縮することもできる。また、ワニスとした後、真空脱気等によってワニス中の気泡を除去することもできる。
【0101】
本発明の接着シートの製造法としては、特に制限がなく、例えば、熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)と基材フィルム(4)層からなる接着シートの場合、熱硬化型接着剤層と放射線硬化型粘着剤層(3)をそれぞれ基材フィルム(4)層に別々に塗布、加熱し溶剤を除去した後貼り合せる方法、熱硬化型接着剤層(2)を基材フィルム(4)層に塗布、加熱し溶剤を除去した後、その熱硬化型接着剤層(2)上に放射線硬化型粘着剤層(3)を塗布、加熱し溶剤を除去する方法、放射線硬化型粘着剤層(3)を基材フィルム(4)層に塗布、加熱し溶剤を除去した後、その放射線硬化型粘着剤層(3)上に熱硬化型接着剤層(2)を塗布、加熱し溶剤を除去する方法などを使用することができる。
【0102】
基材フィルム(4)層へのワニスの塗布方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
また、放射線及び熱硬化型粘接着層と基材フィルム(4)層からなる接着シートの場合、基材フィルム(4)層上に放射線及び熱硬化型粘接着層のワニスを例えば、ナイフコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、バーコート法、カーテンコート法等の方法で塗布、加熱し溶剤を除去する方法などを使用することができる。
【0103】
基材フィルム(4)層の厚みは、特に制限はないが、緩衝性カバーフィルム(1)については5〜3000μmが好ましい、5μm以下ではカバーフィルムの緩衝能力が十分に発揮できず、3000μmより厚いとフィルム総厚が厚くなり製品の巻き径が大きくなりすぎる。25〜1000μmの範囲がフィルムの緩衝能力、巻き取り時の厚みのバランスから好ましく、50〜300μmの範囲がなお好ましい。
【0104】
熱硬化型接着剤層(2)、放射線及び熱硬化型粘接着層、基材フィルム(4)フィルム層ともに5〜250μmが好ましい。5μmより薄いと応力緩和効果が乏しくなる傾向があり、250μmより厚いと経済的でなくなる上に、半導体装置の小型化の要求に応えられない。
【0105】
また、放射線硬化型粘着剤層(3)の厚みは、特に制限はないが、0.1〜20μmが好ましい。0.1μmよる薄いと放射線硬化型粘着剤層(3)と基材フィルム(4)層の粘着力が低下する傾向があるため、ダイシング時に半導体素子が飛散する可能性があり、20μmより厚い経済的でなくなる上に、特性上特に有利な点はない。
【0106】
また、本発明の接着シートは、所望のシート厚を得るために、熱硬化型接着剤層(2)と放射線硬化型粘着剤層(3)との間に従来公知の方法によって調製された接着層を挟むように設けてもよい。従来公知の方法によって調製された接着層としては、商業的に入手可能な接着シート、例えば、ポリイミド系、シリコンオリゴマー系、ゴム−エポキシ系、エポキシ系接着剤を用いることができる。但し、粘接着剤層同士の剥離が発生しないような貼り合わせ条件を従来公知の技術に基づいて考慮する必要がある。
【0107】
以上説明したような構成の接着シートに放射線照射すると、放射線照射後には熱硬化型接着剤層(2)と放射線硬化型粘着剤層(3)界面、あるいは、放射線及び熱硬化型粘接着層と基材フィルム(4)層界面の粘着力は大きく低下し、容易に半導体素子に接着層あるいは粘接着層を保持したまま該接着シートの基材フィルム(4)フィルムからピックアップすることができる。
【0108】
本発明の接着シートの粘接着層は、放射線照射のみで基材フィルム(4)の接着力を低下させる方法以外に放射線照射と同時あるいは放射線照射後に硬化反応を促進する目的で加熱を併用しても良い。加熱を併用することにより、より低温短時間での接着力低下が可能となる。加熱温度は、粘接着剤層の分解点以下であれば特に制限は受けないが、50〜170℃の温度が好ましい。
【0109】
本発明の接着シートの巻き取り時の張力としては0.1kg/cm〜10kg/cmの範囲であることが望ましい。0.1kg/cmより低いと巻き取り時の張力が不足し、フィルム巻き取り時のたわみ発生、巻き取りフィルムの蛇行等の問題がある。また10kg/cmを超えるとフィルムに過度の張力がかかり緩衝性カバーフィルムの能力を超えた圧力がかかるため、表面凹凸の段差を解消しきれず、接着剤層面への凹凸の転写等の問題を生じる可能性がある。緩衝性カバーフィルムの能力発現、巻き取り時のたわみ、蛇行発生防止のバランスから、0.5kg/cm〜7kg/cmがより好ましく、1kg/cm〜5kg/cmが
なお好ましい。
【0110】
【実施例】
以下本発明の実施例より詳細に報告する。本発明は、これらに限定されるものではない。
【0111】
(合成例1)〔アクリル系ポリマーの合成〕
攪拌機、滴下ロート、温度計及び冷却管を備えた500ml四つ口セパラブルフラスコに、2−ブタノン 126.0gを加え、窒素ガスを吹き込みながら(100ml/min)、80℃まで昇温し、約30分間保温した。その後、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.6gを、2−ブタノン 14.8g、メタクリル酸 15.0g、メタクリル酸メチル 15.0g及びアクリル酸2−エチルヘキシル 70.0gに溶解した溶液を、4時間かけて滴下し、2時間保温した後、2,2−アゾビス(イソブチロニトリル)0.06gを2−ブタノン 8.5gに溶解した溶液を滴下し、5.5時間保温し、重量平均分子量60,000(ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレン検量線を用いて換算した値)、不揮発分40%のアクリル系ポリマー(AC−1)を得た。
【0112】
(製造例1)
合成例1で得られたアクリル系ポリマー(AC−1)100重量部、NK−ESTER BPE−200(新中村化学工業(株)製商品名、2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン22.05重量部及び1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 0.5重量部からなる組成物に、メチルエチルケトンを加えて攪拌混合し、真空脱気した。この粘着層用ワニスを、厚さ75μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンピューレックス:S31)上に塗布し、100℃で5分間加熱乾燥した後、ソフタッチ SPA−01(タマポリ(株)製商品名、ポリオレフィン系フィルム、膜厚100μm)を粘着層上に貼り合せ、基材(ポリオレフィン系フィルム)を備えた膜厚が10μmのフィルム状粘着層(F−1)を作製した。
【0113】
(実施例1)
エポキシ樹脂としてYDCN−703(東都化成株式会社製商品名、クレゾ−ルノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量220)60重量部、硬化剤としてXLC−LL(三井化学株式会社製商品名、フェノ−ルキシレングリコ−ルジメチルエ−テル縮合物)40重量部にシクロヘキサノンを加え、攪拌混合したワニスに、カップリング剤としてNUC A−189(日本ユニカ−株式会社製商品名、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)1重量部、NCU A−1160(日本ユニカー株式会社製商品名、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン)1重量部及び、R972V(日本アエロジル株式会社製商品名、シリカフィラー)10体積%を混合攪拌し、ビーズミル分散処理を行ったのちHTR−860−P3(ナガセケムテックス株式会社製商品名、エポキシ基含有アクリール系共重合体)を250重量部、硬化促進剤としてキュアゾ−ル2PZ−CN(四国化成株式会社製商品名、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール)を0.5重量部加えて攪拌混合し、この接着剤の組成物ワニスを得た。この接着層用ワニスを、厚さ75μmの離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テイジンピューレックス:S31)上に塗布し、140℃で5分間加熱乾燥して、基材フィルムを備えた膜厚が50μmのBステージ状態のフィルム状熱硬化型接着剤層(3)を得た。このキャリアフィルムを備えた接着層を半導体素子の大きさにプリカットし、上記製造例1で得られたフィルム状放射線硬化型粘着剤層(2)に室温、線圧1kg/cm、速度0.5m/分で接合した後、緩衝性カバーフィルム(4)として厚さ0.5mmの発泡エチレンシート(日立化成工業株式会社製商品名、ハイエチレン)と線圧1kg/cm、速度0.5m/分の条件でラミネートして、紙管を中心に巻取り張力3kgでロール状に巻き取った時のフィルムのしわ、段差による凹凸の転写及び蛇行の評価を行った。その後、熱硬化型接着剤層(3)と半導体素子を50℃、線圧20kg/cm2、速度0.5m/分で接合し、半導体素子に対する貼付の評価を行った。
【0114】
(比較例1)
上記実施例1と同様の組成、方法にてポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テイジンピューレックス:S31)上に膜厚が50μmのBステージ状態のフィルム状熱硬化型接着剤層(3)を得た。このキャリアフィルムを備えた接着層を半導体素子の大きさにプリカットし、上記製造例1で得られたフィルム状放射線硬化型粘着剤層(2)に室温、線圧1kg/cm、速度0.5m/分で接合し、紙管を中心に巻取り張力3kgでロール状に巻き取った。この時のフィルムのしわ、段差による凹凸の転写及び蛇行の評価を行った。その後、熱硬化型接着剤層(3)と半導体素子を50℃、線圧20kg/cm2、速度0.5m/分で接合し、半導体素子に対する貼付の評価を行った。
【0115】
これらの2つの例より得られた評価結果を表1に示す。
表1から、本発明からなる接着シートは熱硬化型接着剤層(3)のプリカット後の巻圧による凹凸の転写を抑え、巻き取り時のしわをなくし、半導体素子と接合した際のボイドを軽減する効果があることが分かった。また、プリカットの際の段差から出る隙間を小さくし、異物の侵入を防ぎ、半導体素子との接合を良好にする効果も見られた。
【表1】
【0116】
【発明の効果】
本発明からなる接着シートはプレカット後ロール状に巻き取った際に接着剤のはみ出しや紙軸などの軸に近いフィルムにかかる巻圧変化と段差を軽減し、膜圧精度を向上させ、凹凸の転写や異物の侵入を防ぐことができ、半導体素子と接合した際のボイドを軽減することができる。さらに、半導体素子と接着剤層との間のボイドの軽減はダイシング時のチップ飛び、チッピングを減少させ、その後の支持部材への接合時のボイドを軽減させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接着シートの1実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 緩衝性カバーフィルム
2 熱硬化型接着剤層
3 放射線硬化型粘着剤層
4 基材フィルム
Claims (11)
- 少なくとも緩衝性カバーフィルム(1)、熱硬化型接着剤層(2)、放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)とを、この順に積層した構造を有してなる接着シートであって、
上記熱硬化型接着剤層(2)、上記放射線硬化型粘着剤層(3)及び基材フィルム(4)のうち少なくとも一つは所定の形状に加工されてなる接着シート。 - 緩衝性カバーフィルム(1)が、室温で厚み方向に50%圧縮され24時間放置された後、圧縮荷重を解放し、室温で30分後の圧縮量に対する歪みを測定した場合の歪み量の割合が5〜90%の範囲である請求項1記載の接着シート。
- 熱硬化型接着剤層(2)が、熱可塑性樹脂及び熱重合性成分を含有してなる請求項1又は2記載の接着シート。
- 熱可塑性樹脂が官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分である請求項3記載の接着シート。
- 官能性モノマーを含む重量平均分子量が10万以上である高分子量成分が、エポキシ基含有反復単位を0.5〜6重量%含有するエポキシ基含有(メタ)アクリル共重合体である請求項4記載の接着シート。
- 熱重合性成分が、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂硬化剤からなる請求項3〜5のいずれか1項記載の接着シート。
- 前記熱硬化型接着剤層(2)が、25℃で10〜10,000MPa、および260℃で0.5〜30MPaの加熱硬化後の貯蔵弾性率を有する、請求項1〜6のいずれか1項記載の接着シート。
- 放射線の照射により、前記熱硬化型接着剤層(2)と放射線硬化型粘着剤層(3)との間の接着力を制御可能である請求項1〜7のいずれか1項記載の接着シート。
- 放射線の照射により、前記放射線硬化型粘着剤層(3)と基材フィルム(4)との間の接着力を制御可能である請求項1〜8のいずれか1項記載の接着シート。
- 請求項1〜9いずれか1項記載の接着シートの熱硬化型接着剤層(2)を介して、半導体素子と半導体搭載用支持部材とを接着した構造を有してなる半導体装置。
- (I)請求項1〜10のいずれか1項記載の接着シートを、前記熱硬化型接着剤層(2)の放射線硬化型粘着剤層(3)と接していない面を介して半導体ウエハに貼り付ける工程と、
(II)前記半導体ウエハをダイシングする工程と、
(III)ダイシング後において、前記接着シートに放射線を照射して前記放射線硬化型粘着剤層(3)を硬化させ半導体素子を形成、放射線硬化型粘着剤層(3)と熱硬化型接着剤層(2)界面で剥離する工程と、
(IV)前記接着層付き半導体素子と半導体素子搭載用の支持部材とを、前記接着シートを会して接着する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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