JP2004217602A - 抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有するアズレン誘導体及びその製造方法並びにそれを含有する薬剤 - Google Patents

抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有するアズレン誘導体及びその製造方法並びにそれを含有する薬剤 Download PDF

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泰 冨山
Saki Miyazawa
紗貴 宮沢
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昌幸 横田
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Abstract

【課題】ヘリコバクター・ピロリ菌に対し殺菌作用を有し、消化器疾患の治療、予防或は再発予防に有用なアズレン誘導体を提供する。
【解決手段】次式の一般式(I):
【化1】
Figure 2004217602

[式中、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)、置換基を有してもよいベンゼン環、スルホン酸基又は一般式(II):−NHCOCH−B(式中、Bは置換基を有してもよいナフタレン環又は置換基を有してもよいアズレン環を示す。)、Rは水素原子又は低級アルキル基(C1〜C8)、Aは低級アルキル基(C1〜C8)又は一般式(III):
【化2】
Figure 2004217602

(式中、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は低級アルコキシ基(C1〜C8)、R及びRは同一又は異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は置換基を有してもよいベンゼン環を示す。)、nは0から5までを示す。]
で表されるアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩である。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はヘリコバクター・ピロリに対して特異的な抗菌作用を有する新規アズレン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワーレンにより胃炎又は胃潰瘍患者の胃生検材料中にカンピロバクター・ピロリが高率に検出されることが報告されて以来(Lancet,1273,1983)、胃炎や胃もしくは十二指腸潰瘍等の胃腸疾患の発症に該菌が深く関与することが明らかとなった。更に胃ガンとの関連が示唆される報告も数多く発表されている。該菌はその後、カンピロバクター属の他の菌とは別属に属する事が証明され、ヘリコバクター・ピロリと改名された。
【0003】
上記ピロリ菌による胃粘膜障害メカニズムはピロリ菌が口から入って胃に到達し、鞭毛を使って粘膜層を泳いで胃粘膜に至り、胃粘膜細胞に接着(癒着)する。ここで自らが産生するウレアーゼにより尿素を分解してアンモニアを生成して胃酸を中和し、好ましい生活環境を整備して増殖を開始する。上記ピロリ菌の胃粘膜上皮細胞への接着(癒着)によれば、第1に、胃粘膜細胞から好中球の化学走性因子であるインターロイキン−8が放出され、感染部位に好中球が集まる。第2に、ピロリ菌が好中球の活性化因子を産生、放出し、これによって活性化された上記好中球は血管内皮細胞に癒着しやすくなり、これが粘膜の微小循環障害の原因となるに加え、同微小循環障害の起因物質として知られているプロテアーゼ、フリーラジカル、ロイコトリエン等を産生する。第3に、ピロリ菌が産生するウレアーゼの作用により生成したアンモニアがフリーラジカルと反応して胃粘膜細胞等を傷害する毒物であるモノクロラミンを生成する。この様にして、炎症が惹起され、進展する。また、ピロリ菌による胃粘膜障害は上記炎症反応の他にも、例えば、ウレアーゼにより産生されるアンモニア自体の胃粘膜への攻撃、ピロリ菌が産生するサイトトキシンによる粘膜細胞の空胞化変性等もその要因と考えられている。
【0004】
従来より、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の潰瘍性疾患の治療のため抗潰瘍剤、胃酸分泌抑制剤、プロトンポンプ阻害剤が用いられてきたが、ヘリコバクター・ピロリ感染と胃潰瘍の関連が明らかになりつつあるため、特に再発予防の観点からアモキシシリン等の抗菌剤が併用されるようになってきている。しかし、現在用いられている抗菌剤で完全に除菌できた例は少なく、また、抗菌スペクトルが広いために腸内細菌等にも影響を与え、下痢等の副作用が頻発している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような背景のもとに、消化管内での抗菌活性が高く、更にヘリコバクター・ピロリに対して特異的な抗菌剤の開発が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は鋭意検討を行った結果、一般式(I)で表されるアズレン誘導体がヘリコバクター・ピロリに対して優れた抗菌作用を有しており、消化管内で強い抗菌作用を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次式の一般式(I):
【0007】
【化15】
Figure 2004217602
【0008】
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)、置換基を有してもよいベンゼン環、スルホン酸基又は一般式(II):−NHCOCH−B(式中、Bは置換基を有してもよいナフタレン環又は置換基を有してもよいアズレン環を示す。)、Rは水素原子又は低級アルキル基(C1〜C8)、Aは低級アルキル基(C1〜C8)又は一般式(III):
【0009】
【化16】
Figure 2004217602
【0010】
(式中、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は低級アルコキシ基(C1〜C8)、R及びRは同一又は異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は置換基を有してもよいベンゼン環を示す。)、nは0から5までを示す。]
で表されるアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩を提供するものである。
また、本発明は、上記アズレン誘導体又は医薬上許容される塩からなる群から選ばれた物質を有効成分として含有する抗菌剤である。殊に、ヘリコバクター属(例えば、ヘリコバクター・ピロリ菌)、カンピロバクター属(例えば、カンピロバクター・ジェジュニ菌)に対する殺菌剤である。この医薬は、ヘリコバクター・ピロリの感染が関与する消化器疾患(例えば,胃炎、胃潰瘍、胃ガン、胃の悪性リンパ腫、MALTリンパ腫、十二指腸潰瘍、十二指腸ガン及び腸炎)の治療、予防又は再発予防に使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
一般式(I)で表される化合物について詳述する。なお、本明細書の一般式の定義において、特に断らない限り、「低級」なる言葉は分岐枝を有することのある炭素1から8を意味する。
一般式(I)のRは水素原子、低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基)置換基を有してもよいベンゼン環又はスルホン酸基である。Rは水素原子又は低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基)である。
【0012】
一般式(I)のRは水素原子、低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基)又は低級アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基)である。また、R及びRは同一又は異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基)又は置換基を有してもよいベンゼン環である。Bは置換基を有してもよいナフタレン環又は置換基を有してもよいアズレン環である。nは0から5の整数である。
【0013】
本発明において、「医薬上許容される塩」の用語は、本発明化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的又はその他の面においても不都合ではない本発明化合物の塩である。塩は無機及び有機塩基から誘導してもよい。塩基付加塩は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア等の無機塩基から誘導してもよい。有機塩基から誘導される塩としては、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ピリジン、リジン、アルギニン、ピペリジン等の第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミン、天然に存在するアミノ酸、並びに環状アミンから形成されものなどが挙げられる。
本発明の化合物をより具体的に示すと、例えば次式の一般式(VI)と(V)に示す化合物である。すなわち、
【0014】
【化17】
Figure 2004217602
(式中、各記号は前記と同義である。)
【0015】
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)、置換基を有してもよいベンゼン環又はスルホン酸基、Rは水素原子又は低級アルキル基(C1〜C8)、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は低級アルコキシ基(C1〜C8)、R及びRは同一又は異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は置換基を有してもよいベンゼン環、Bは置換基を有してもよいナフタレン環又は置換基を有してもよいアズレン環、nは0から5までを示す。]
で表されるアズレン誘導体又は医薬上許容される塩である。
【0016】
次に上記一般式(I)で表される化合物を具体的に以下に例示する。
(1)N−(3−メチルカルバモイルフェニル)−1−アズレニルカルボキシアミド
(2)N−メチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(3)N−エチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(4)N−n−プロピル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(5)N−シクロヘキシル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(6)N−フェニル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(7)N−ベンジル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(8)N,N−ジメチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(9)N−メチル−3−[2−(5−イソプロピルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(10)N−メチル−3−[2−(6−メチルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(11)N−メチル−3−[2−(6−イソプロピルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
【0017】
(12)N−メチル−3−[2−(6−メチル−3−フェニルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(13)N−メチル−3−[2−(3−メチルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(14)N−メチル−3−[2−(3−エチルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(15)3−[(3−メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)メチル]アズレン−1−スルホン酸ナトリウム塩
(16)N−メチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]−4−メチルベンズアミド
(17)N−メチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]−4−メトキシベンズアミド
(18)N−メチル−3−[3−(1−アズレニル)プロピオニルアミノ]ベンズアミド
(19)N−メチル−3−[2−(2−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
(20)3−[(2−ナフチル)アセチルアミノ]アズレン−1−カルボン酸メチルアミド
【0018】
上記(1)、(2)、・・・・(20)の化合物は以下においてそれぞれ化合物1、化合物2、・・・・化合物20として引用する。
本発明のアズレン誘導体は以下の方法で製造することができる。一般式(II)で表される化合物の製造方法を下記に示す。
【0019】
【化18】
Figure 2004217602
(式中、各記号は前記と同義である。)
【0020】
一般式(VI)で表されるカルボン酸誘導体は、公知の文献記載の方法(例えば、Tetrahedron Letters,4275,1971.,Journal of Organic Chemistry,40,1689,1975.,Journal of Organic Chemistry,41,1811,1976.,Bull.Chem.Soc.Jpn,66,892,1993.)に依るか、又はこれらの文献記載の方法を基にする慣用の手法に依り調製できる。
【0021】
工程1:カルボン酸誘導体(VI)とアニリン誘導体(VII)との縮合によりアミド化合物(IV)を得る工程である。化合物(VI)を活性化する縮合剤としてはジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド(EDC)又はその塩酸塩、2−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキシキノリン(EEDQ)、カルボジイミダゾール(CDI)、ジエチルホスホリルシアニド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリスピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、クロロギ酸イソブチル、塩化ジエチルアセチル、塩化トリメチルアセチル等が挙げられる。これらの縮合剤を単独で、あるいはN−ヒドロキシスクシンイミド(HONSu)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、3−ヒドロキシ−4−オキソ−3,4−ジヒドロ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBT)、又は4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)等の添加剤と組み合わせて用いる。反応は通常不活性溶媒中で行われ、用いられる溶媒は非プロトン性溶媒であればいかなるものでもよく、好適なものとしてはアセトニトリル、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF等が挙げられる。また、反応は通常−20℃から80℃の温度で行われ、好ましくは0℃から25℃で行われる。
【0022】
また、アミド化合物(IV)は別の方法、すなわち以下に述べる工程2、工程3及び工程4を経ても製造できる。
工程2:カルボン酸誘導体(VI)とアニリン誘導体(VIII)との縮合によりアミド化合物(IX)を得る工程である。化合物(VI)を活性化する縮合剤としてはDCC、EDC又はその塩酸塩、EEDQ、CDI、ジエチルホスホリルシアニド、PyBOP、クロロギ酸イソブチル、塩化ジエチルアセチル、塩化トリメチルアセチル等が挙げられる。これらの縮合剤を単独で、あるいはHONSu、HOBt、HOOBT、又はDMAP等の添加剤と組み合わせて用いる。反応は通常不活性溶媒中で行われ、用いられる溶媒は非プロトン性溶媒であればいかなるものでもよく、好適なものとしてはアセトニトリル、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF等が挙げられる。また、反応は通常−20℃から80℃の温度で行われ、好ましくは0℃から25℃で行われる。
【0023】
工程3:化合物(IX)のエステル加水分解によりカルボン酸誘導体(X)を得る工程である。アルカリに水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を用い、反応はメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等の有機溶媒中、0℃から25℃で行われる。
工程4:カルボン酸誘導体(X)とアミン誘導体(XI)との縮合によりアミド化合物(II)を得る工程である。化合物(X)を活性化する縮合剤としてはDCC、EDC又はその塩酸塩、EEDQ、CDI、ジエチルホスホリルシアニド、PyBOP、クロロギ酸イソブチル、塩化ジエチルアセチル、塩化トリメチルアセチル等が挙げられる。これらの縮合剤を単独で、あるいはHONSu、HOBt、HOOBT、又はDMAP等の添加剤と組み合わせて用いる。反応は通常不活性溶媒中で行われ、用いられる溶媒は非プロトン性溶媒であればいかなるものでもよく、好適なものとしてはアセトニトリル、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF等が挙げられる。また、反応は通常−20℃から80℃の温度で行われ、好ましくは0℃から25℃で行われる。
一般式(III)で表される化合物の製造方法を下記に示す。
【0024】
【化19】
Figure 2004217602
(式中、各記号は前記と同義である。)
【0025】
式(XII)で表されるカルボン酸誘導体は文献記載の方法(例えば、Tetrahedron Letters,4275,1971.,Bull.Chem.Soc.Jpn,66,892,1993.)に基づいて調製できる。
工程1:カルボン酸誘導体(XII)とメチルアミンとの縮合によりアミド化合物(XIII)を得る工程である。化合物(XII)を活性化する縮合剤としてはDCC、EDC又はその塩酸塩、EEDQ、CDI、ジエチルホスホリルシアニド、PyBOP、クロロギ酸イソブチル、塩化ジエチルアセチル、塩化トリメチルアセチル等が挙げられる。これらの縮合剤を単独で、あるいはHONSu、HOBt、HOOBT又はDMAP等の添加剤と組み合わせて用いる。反応は通常不活性溶媒中で行われ、用いられる溶媒は非プロトン性溶媒であればいかなるものでもよく、好適なものとしてはアセトニトリル、THF、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF等が挙げられる。また、反応は通常−20℃から80℃の温度で行われ、好ましくは0℃から25℃で行われる。
【0026】
工程2:アミド誘導体(XIII)ニトロ化によりアミド化合物(XIV)を得る工程である。反応はピリジン−エタノール混合溶媒中でテトラニトロメタンを用い、通常0℃から室温で行われる。また、硝酸−硫酸系も使用することができる。
工程3:化合物(XIV)のニトロ基の還元によりアミン酸誘導体(XV)を得る工程である。反応は亜鉛、スズ、鉄等の金属粉存在下、酢酸、塩酸水溶液、塩化アンモニウム水溶液−アルコール混合溶媒中で0℃から溶媒沸点付近の温度で行われる。又、メタノール、エタノール、THF、1,4−ジオキサン、酢酸エチル等の不活性溶媒中、パラジウム等の触媒の存在下に接触水素還元反応に付すことで還元できる。
【0027】
工程4:アミン酸誘導体(XV)とカルボン酸クロリド(XVI)との塩基存在下で反応させてアミド化合物(III)を得る工程である。塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−エチルモルホリン、ピリジン等が挙げられる。反応は通常不活性溶媒中で行われ、用いられる溶媒は非プロトン性溶媒であればいかなるものでもよく、好適なものとしてはベンゼン、トルエン、アセトニトリル、エーテル、THF、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、DMF等が挙げられる。また、反応は通常0℃から80℃の温度で行われ、好ましくは0℃から25℃で行われる。
【0028】
この様にして製造される本発明のアズレン誘導体は公知の分離精製手段、例えば抽出、濃縮、留去、結晶化、ろ過、再結晶、各種クロマトグラフィー等の手段を適宜付すことにより任意の純度のものとして単離できる。また、本発明の一般式(I)のアズレン誘導体は必要により水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア等の無機塩基及びイソプロピルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、ピリジン、リジン、アルギニン、ピペリジン等の有機塩基との塩基付加塩とすることができる。また、水和物等の溶媒和物としても存在する。
【0029】
本発明の一般式(I)で表されるアズレン誘導体又はその薬理学的に許容される塩はヘリコバクター・ピロリに対して優れた抗菌作用を有しており、胃内に存在するヘリコバクター・ピロリに対して高い除菌効果を発揮できる。従って、本発明の一般式(I)で表されるアズレン誘導体又はその薬理学的に許容される塩は、ヘリコバクター・ピロリの感染が関与する各種消化器疾患、例えば胃炎、胃潰瘍、胃ガン、胃の悪性リンパ腫、MALTリンパ腫、十二指腸潰瘍、十二指腸ガン及び腸炎からなる群から選ばれる疾患の治療、予防或は再発予防剤として有用である。
【0030】
本発明の一般式(I)のアズレン誘導体を上記の医薬品として用いる場合、適宜の薬理学的に許容される担体、すなわち賦形剤(例えば、デンプン、乳糖、白糖、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム等)、結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピリドン等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク等)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、タルク等)、希釈剤(例えば、生理食塩水等)等と混合し、常法により散剤、細粒剤、カプセル剤、錠剤、外用剤又は注射剤等の形態で経口的又は非経口的に投与することができる。
【0031】
この発明の前記組成物の投与量は投与ルート、対象疾患、患者の症状、体重あるいは年齢、用いる化合物によっても異なり、投与目的に応じて適宜設定することができる。通常、成人に経口投与する場合、0.01から1000mg/kg体重/日、好ましくは0.05から500mg/kg体重/日を、一日1から数回に分けて投与するのが好ましいが、これらは単なる例であってこれらに限定されるものではないことは勿論である。
【0032】
〔ヘリコバクター・ピロリ増殖抑制試験〕
ヘリコバクター・ピロリ(ATCC43504株)を10%ウシ胎児血清を含むブレインハートインヒュージョンブロスを用いて5×10CFU/mLに調製し、種々の濃度(1ng/mL〜1mg/mL)の被験物質溶液を加えて37℃で24時間振とう培養した。培養後、菌液100μLをウマ血液寒天培地上に塗布し、37℃で更に培養した。5日後に寒天培地上に形成されたコロニー数を計測し、被験物質を含まない対照と比較して、ヘリコバクター・ピロリの増殖を90%抑制する被験物質濃度(MIC90)を算出した。本発明化合物のヘリコバクター・ピロリ増殖抑制活性を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 2004217602
【0034】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明化合物の製造方法を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。核磁気共鳴スペクトルは400MHzで測定した。ケミカルシフトは内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用い、相対的なデルタ(δ)値をパーツパーミリオン(ppm)で表した。s(シングレット)、d(ダブレット)、t(トリプレット)、q(カルテット)、dd(ダブレット オブ ダブレット)、bs(ブロードシングレット)等と表した。
【0035】
実施例1
N−メチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド(化合物2)の製造
アズレン−1−酢酸0.53gのDMF 10.0mL溶液に室温でHOBT・HO 0.53g、DMAP 0.42g、EDC・HCl 0.66gを加え、20分撹拌した後に、3−アミノ−N−メチルベンズアミド0.52gを加え、15時間撹拌する。反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸水溶液にて酸性にする。酢酸エチルにて抽出し、抽出液を水、2%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥する。ろ過後、溶媒を留去して得られた残留物を酢酸エチルにて結晶化してN−メチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド(化合物2)0.55gを紫色結晶として得た。
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.74(3H,d,J=4Hz), 4.12(2H,s), 7.19(1H,t,J=10Hz), 7.26(1H,t,J=10Hz), 7.33−7.37(2H,m), 7.45(1H,d,J=8Hz), 7.91(1H,d,J=4Hz), 8.02(1H,s), 8.34−8.36(2H,m), 8.53(1H,d,J=10Hz), 10.35(1H,s).
【0036】
同様の方法により化合物1、9〜14、16〜19を合成した。以下に、それぞれの化合物の核磁気共鳴スペクトルを示す。
化合物1:N−(3−メチルカルバモイルフェニル)−1−アズレニルカルボキシアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.74(3H,d,J=5Hz), 7.40(1H,t,J=8Hz), 7.44(1H,t,J=9Hz), 7.51(1H,t,J=6Hz), 7.56(1H,d,J=6Hz), 7.60(1H,d,J=4Hz), 7.94(1H,t,J=10Hz), 8.01(1H,d,J=7Hz), 8.30(1H,s), 8.40(1H,d,J=5Hz), 8.59(1H,d,J=4Hz), 8.62(1H,d,J=10Hz), 9.67(1H,d,J=10Hz), 10.19(1H,s).化合物9:N−メチル−3−[2−(5−イソプロピルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 1.30(6H,d,J=7Hz), 2.74(3H,d,J=4Hz), 3.07−3.10(1H,m), 4.07(2H,s), 7.17(1H,t,J=10Hz), 7.28(1H,d,J=4Hz), 7.35(1H,t,J=8Hz), 7.46(1H,d,J=6Hz), 7.61(1H,d,J=10Hz), 7.76(1H,d,J=7Hz), 7.86(1H,d,4Hz), 8.01(1H,s), 8.34(1H,s), 8.33−8.35(1H,m), 8.40(1H,d,J=10Hz), 10.30(1H,s).
【0037】
化合物10:N−メチル−3−[2−(6−メチルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.51(3H,s), 2.74(3H,d,J=4Hz), 4.07(2H,s), 7.08(1H,d,J=10Hz), 7.12(1H,d,J=10Hz), 7.26(1H,d,J=4Hz), 7.35(1H,t,J=8Hz), 7.44(1H,d,J=8Hz), 7.74−7.78(2H,m), 8.01(1H,s), 8.19(1H,d,J=10Hz), 8.35−8.39(2H,m), 10.33(1H,s).
化合物11:N−メチル−3−[2−(6−イソプロピルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 1.30(6H,d,J=7Hz), 2.74(3H,d,J=4Hz), 3.05−3.09(1H,m), 4.04(2H,s), 7.15(1H,d,J=10Hz), 7.20(1H,d,J=10Hz), 7.26(1H,d,J=4Hz), 7.35(1H,t,J=8Hz), 7.44(1H,d,J=8Hz), 7.75(1H,d,J=7Hz), 7.79(1H,d,J=4Hz), 8.01(1H,s), 8.27(1H,d,J=10Hz), 8.35−8.39(1H,m), 8.43(1H,d,J=10Hz), 10.32(1H,s).
【0038】
化合物12:N−メチル−3−[2−(6−メチル−3−フェニルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 1.30(6H,d,J=7Hz), 2.74(3H,d,J=4Hz), 3.05−3.09(1H,m), 4.13(2H,s), 7.16(2H,d,J=9Hz),7.20−7.59(7H,m),7.76(1H,d,J=8Hz), 7.94(1H,s), 8.03(1H,s), 8.29−8.31(1H,m), 8.39(1H,d,J=10Hz), 8.45(1H,d,J=10Hz), 10.36(1H,s).
化合物13:N−メチル−3−[2−(3−メチルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.60(3H,s), 2.74(3H,d,J=4Hz), 4.07(2H,s), 7.05(1H,t,J=9Hz), 7.35(1H,t,J=8Hz), 7.45(1H,d,J=7Hz), 7.57(1H,t,J=10Hz), 7.73−7.76(2H,m), 8.01(1H,s), 8.21(1H,d,J=9Hz), 8.35(1H,t,J=6Hz), 8.36(1H,d,J=10Hz), 10.31(1H,s).
【0039】
化合物14:N−メチル−3−[2−(3−エチルアズレン−1−イル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 1.31(3H,t,J=7Hz),2.75(3H,d,J=4Hz), 3.02(2H,q,J=7Hz), 4.09(2H,s), 7.06(1H,t,J=10Hz), 7.09(1H,t,J=10Hz), 7.35(1H,d,J=8Hz), 7.45 (1H,d,J=8Hz), 7.55(1H,t,J=10Hz), 7.75(1H,d,J=8Hz), 7.82(1H,s), 8.02(1H,s), 8.26(1H,d,J=9Hz), 8.35(1H,t,J=4 Hz), 8.38(1H,d,J=10Hz), 10.33(1H,s).
化合物16:N−メチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]−4−メチルベンズアミド
H−NMR (DMSO−d)δ=2.16(3H,s),2.72(3H,d,J=4Hz),4.15(2H,s),7.16−7.26(3H,m), 7.39(1H,d,J=10Hz),7.53(1H,d,J=7Hz),7.67(1H,t,J=10Hz),7.82(1H,s),7.94(1H,s), 8.31(1H,d,J=9Hz), 8.38(1H,t,J=10Hz), 8.54(1H,d,J=10Hz), 9.58(1H,s).
【0040】
化合物17:N−メチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]−4−メトキシベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.70(3H,d,J=5Hz), 3.83(3H,s), 4.22(2H,s), 7.05(1H,d,J=8Hz), 7.20(1H,t,J=10Hz), 7.23(1H,t,J=10Hz),7.38(1H,d,J=4Hz), 7.54(1H,d,J=8Hz), 7.68(1H,t,J=10Hz), 7.93(1H,s), 8.20(1H,d,J=5Hz), 8.35(1H,d,J=2Hz), 8.36(1H,d,J=10Hz), 8.54(1H,d,J=10Hz), 9.28(1H,s).
化合物18:N−メチル−3−[3−(1−アズレニル)プロピオニルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.73−2.75(5H,m), 3.37−3.39(2H,m), 7.13(1H,t,J=9Hz), 7.17(1H,t,J=10Hz), 7.32−7.34(2H,m), 7.44(1H,d,J=8Hz), 7.63(1H,t,J=10Hz), 7.74(1H,t,J=8Hz), 7.83(1H,d,J=4Hz), 8.00(1H,s), 8.30(1H,d,J=9Hz), 8.36(1H,d,J=5Hz), 8.42(1H,d,J=10Hz), 10.05(1H,s).
化合物19:N−メチル−3−[2−(2−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミドH−NMR (DMSO−d) δ= 2.76(3H,d,J=4Hz), 4.02(2H,s), 7.23(2H,t,10Hz), 7.36(1H,s),7.38(1H,t,J=8Hz),8.05(1H,s),8.34(2H,d,J=10Hz),8.38(1H,d,J=4Hz),10.39(1H,s).
【0041】
実施例2
N−エチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド(化合物3)の製造
(1)[2−(2−アズレニル)アセチルアミノ]安息香酸エチルエステル
アズレン−1−酢酸 1.10gのDMF 20.0mL溶液に室温でHOBT・HO 1.10g、DMAP 0.87g、EDC・HCl 1.40gを加え、20分撹拌した後に、3−アミノ安息香酸エチルエステル1.20gを加え、8時間撹拌する。反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸水溶液にて酸性にする。酢酸エチルにて抽出し、抽出液を水、2%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥する。ろ過後、溶媒を留去して得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製して表題化合物1.23gを紫色結晶として得た。
H−NMR (CDCl) δ= 1.34(3H,t,J=7Hz),4.24(2H,s),4.33(2H,q,J=7Hz),7.09(1H,s), 7.22−7.28(2H,m), 7.32(1H,t,J=8Hz),7.44(1H,d,J=3Hz), 7.65−7.72(2H,d,J=8Hz), 7.80(1H,d,J=7Hz), 7.90(1H,d,J=4Hz), 8.32(1H,d,J=9Hz), 8.39(1H,d,J=9Hz).
【0042】
(2)[2−(2−アズレニル)アセチルアミノ]安息香酸
[2−(2−アズレニル)アセチルアミノ]安息香酸エチルエステル1.00gのメタノール22.0mL溶液に氷冷下で10%水酸化ナトリウム水溶液11.0mLを加え、室温で3時間撹拌する。メタノールを減圧留去し、残留水層をエーテルにて洗浄する。水層を10 % 塩酸水溶液にて酸性にした後に析出物をろ取する。水にて洗浄した後に乾燥し、表題化合物0.91gを紫色結晶として得た。
H−NMR (CDOD) δ= 4.18(2H,s), 7.13−7.23(2H,m), 7.62(1H,t,J=10Hz), 7.72(1H,d,J=8Hz), 7.81(1H,d,J=7Hz), 7.91(1H,d,J=3Hz), 8.19(1H,s), 8.31(1H,d,J=10Hz), 8.45(1H,d,J=10Hz).
【0043】
(3)N−エチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド(化合物3)
[2−(2−アズレニル)アセチルアミノ]安息香酸0.30gのDMF6.0mL溶液に室温でHOBT・HO 0.19g、DMAP 0.15g、EDC・HCl 0.23gを加え、20分撹拌した後に、エチルアミン0.14gを加え、15時間撹拌する。反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸水溶液にて酸性にする。酢酸エチルにて抽出し、抽出液を水、2%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥する。ろ過後、溶媒を留去して得られた残留物を酢酸エチルにて結晶化してN−エチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド(化合物3)0.29gを紫色結晶として得た。
H−NMR (DMSO−d) δ= 1.09(3H,t,J=7Hz), 3.25−3.27(2H,m), 4.12(2H,s), 7.18(1H,t,J=10Hz), 7.23(1H,t,J=10Hz), 7.33−7.37(2H,m), 7.46(1H,d,J=7Hz), 7.67(1H,t,J=10Hz), 7.76(1H,d,J=8Hz), 7.91(1H,d,J=3Hz), 7.99(1H,s), 8.35−8.39(2H,m), 8.51(1H,d,J=9Hz).
【0044】
同様の方法で化合物4〜8を合成した。以下に、それぞれの化合物の核磁気共鳴スペクトルを示す。
化合物4:N−n−プロピル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 0.86(3H,t,J=7Hz), 1.48−1.52(2H,m), 3.15−3.17(2H,m), 4.12(2H,s), 7.18(1H,t,J=10Hz), 7.23(1H,t,J=10Hz), 7.33−7.37(2H,m), 7.46(1H,d,J=8Hz), 7.67(1H,t,J=10Hz), 7.77(1H,d,J=8Hz), 7.91(1H,d,J=4Hz), 7.99(1H,s), 8.35−8.38(2H,m), 8.51(1H,d,J=9Hz), 10.43(1H,s).
【0045】
化合物5:N−シクロヘキシル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 1.12−1.79(10H,m), 3.71−3.73(1H,m), 4.12(2H,s), 7.19(1H,t,J=10 Hz), 7.23(1H,t,J=10Hz), 7.32(1H,d,J=8Hz), 7.37(1H,t,J=7Hz),7.46(1H,d,J=8Hz), 7.67(1H,t,J=10Hz), 7.79(1H,d,J=8Hz), 7.91(1H,d,J=4Hz), 7.94(1H,s), 8.14(1H,d,J=8Hz), 8.35(1H,d,J=9Hz), 8.51(1H,d,J=9Hz), 10.33(1H,s).
化合物6:N−フェニル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 4.15(2H,s), 7.09(1H,t,J=7Hz), 7.19(1H,t,J=9Hz), 7.24(1H,d,J=10Hz), 7.36(2H,t,J=8Hz), 7.37(1H,d,J=4Hz), 7.44(1H,t,J=8Hz), 7.59(1H,d,J=8Hz), 7.68(1H,t,J=10Hz), 7.73(H,d,J=8Hz), 7.84(1H,d,J=8Hz), 7.93(1H,d,J=3Hz), 8.09(1H,s), 8.36(1H,d,J=9Hz), 8.53(1H,d,J=9Hz), 10.23(1H,s), 10.42(1H,s).
【0046】
化合物7:N−ベンジル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 4.12(2H,s), 4.44(2H,d,J=6Hz), 7.16−7.24(2H,m), 7.25−7.32(5H,m), 7.33−7.39(2H,m), 7.53(1H,d,J=8Hz), 7.67(1H,t,J=10Hz), 7.78(1H,d,J=8Hz), 7.91(1H,d,J=4Hz), 8.06(1H,s), 8.35(1H,d,J=10Hz), 8.51(1H,d,J=10Hz), 8.99(1H,t,J=6Hz), 10.36(1H,s).
化合物8:N,N−ジメチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.87(3H,s), 2.95(3H,s), 4.12(2H,s), 7.03(1H,t,J=8Hz), 7.19(1H,t,J=10Hz), 7.23(1H,t,J=9Hz), 7.32−7.37(2H,m), 7.58(1H,d,J=9Hz), 7.65(1H,s), 7.69(1H,t,J=4Hz), 7.90(1H,d,J=4Hz), 8.35(1H,d,J=9Hz), 8.50(1H,d,J=10Hz), 10.33(1H,s).
【0047】
実施例3
3−[(3−メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)メチル]アズレン−1−スルホン酸ナトリウム塩(化合物15)の製造
N−メチル−3−[2−(1−アズレニル)アセチルアミノ]ベンズアミド0.20gのベンゼン6.3mL懸濁液に三酸化イオウ・ピリジン錯体0.31gを加えて1時間加熱還流する。反応液を室温まで冷却し、ベンゼンを留去する。残留物をメタノール10.0mLに溶解した後、28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液1.5mLを加え、室温で15分撹拌する。メタノールを留去し、残留物を水に溶解した後にエーテルにて洗浄する。水層を10%塩酸水溶液にて中和した後にTHF抽出し、抽出液を無水硫酸ナトリウムにて乾燥する。ろ過し、溶媒を留去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、3−[(3−メチルカルバモイル)フェニルカルバモイル)メチル]アズレン−1−スルホン酸ナトリウム塩(化合物15)0.17gを紫色結晶として得た。
H−NMR (CDOD) δ= 2.87(3H,s),4.14(2H,s),7.34−7.43(3H,m),7.49(1H,d,J=7Hz), 7.66(1H,d,J=1Hz), 7.77(1H,t,J=10Hz), 7.96(1H,s), 8.20(1H,s), 8.60(1H,d,J=10Hz), 9.15(1H,d,J=10Hz).
【0048】
実施例4
3−[(2−ナフチル)アセチルアミノ]アズレン−1−カルボン酸メチルアミド(化合物20)の製造
(1)アズレン−1−カルボン酸メチルアミド
アズレン−1−カルボン酸2.00gのDMF 40.0mL溶液に室温でHOBT・HO 2.20g、DMAP 1.80g、EDC・HCl 2.70gを加え、20分撹拌した後に、メチルアミン塩酸塩0.95gを加え、8時間撹拌する。反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸水溶液にて酸性にする。酢酸エチルにて抽出し、抽出液を水、2%水酸化ナトリウム水溶液、飽和食塩水にて洗浄後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥する。ろ過後、溶媒を留去して得られた残留物を酢酸エチル/n−ヘキサンにて結晶化して表題化合物1.81gを紫色結晶として得た。
H−NMR (CDCl) δ= 3.09(3H,d,J=4Hz), 6.12(1H,s), 7.28(1H,d,J=4Hz), 7.36(1H,t,J=10Hz), 7.48(1H,t,J=10Hz), 7.77(1H,t,J=10Hz), 8.00(1H,d,J=4Hz), 8.43(1H,d,J=10Hz), 9.71(1H,d,J=10Hz).
【0049】
(2)3−ニトロアズレン−1−カルボン酸メチルアミド
アズレン−1−カルボン酸メチルアミド1.80gのピリジン53.2mL溶液に室温でテトラニトロメタン2.29gのエタノール26.6mL溶液を加え、30時間撹拌する。反応液を氷水中に注ぎ、10%塩酸水溶液にて酸性にする。析出結晶をろ取し、水にて洗浄した後に乾燥し、表題化合物0.85gを赤褐色結晶として得た。
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.84(3H,d,J=4Hz), 8.11(1H,t,J=10Hz), 8.15(1H,t,J=10Hz), 8.36(1H,t,J=10Hz), 8.63(1H,d,J=4Hz), 8.96(1H,s), 9.75(1H,d,J=10Hz), 10.05(1H,d,J=10Hz).
【0050】
(3)3−アミノアズレン−1−カルボン酸メチルアミド
3−ニトロアズレン−1−カルボン酸メチルアミド0.85gの酢酸15.0mL懸濁液に室温で亜鉛末1.50gを加え、0.5時間撹拌する。ろ過にて亜鉛末を除き、10%水酸化ナトリウム水溶液にてアルカリ性にする。クロロホルムにて抽出し、抽出液を水洗した後、無水硫酸ナトリウムにて乾燥する。ろ過し、溶媒を留去した後に得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、表題化合物0.38gを緑色結晶として得た。
H−NMR (DMSO−d) δ= 2.77(3H,d,J=4Hz), 5.42(2H,s), 6.64(1H,t,J=9Hz), 6.74(1H,t,J=10Hz), 7.29(1H,t,J=10Hz), 7.60(1H,s), 8.03(2H,d,J=9Hz), 9.00(1H,d,J=9Hz).
【0051】
(4)3−[(2−ナフチル)アセチルアミノ]アズレン−1−カルボン酸メチルアミド(化合物20)
3−アミノアズレン−1−カルボン酸メチルアミド0.37gのジクロロメタン10.0mL溶液に氷冷下でピリジン0.20g、2−ナフチルアセチルクロリド0.42gを加え、15分撹拌する。反応液に水を加え、ジクロロメタンを留去する。析出結晶をろ取した後に乾燥し、3−[(2−ナフチル)アセチルアミノ]アズレン−1−カルボン酸メチルアミド(化合物20)0.53gを緑色結晶として得た。
H−NMR(DMSO−d) δ= 2.77(3H,d,J=10Hz), 3.98(2H,s), 7.31(1H,t,J=10Hz), 7.35(1H,d,J=9Hz), 7.77(1H,t,J=10Hz), 8.25(1H,d,J=4Hz), 8.60 (1H,d,J=10Hz), 8.66(1H,s), 9.56(1H,d,J=10Hz), 10.43(1H,s).
上記の実施例で得られた各化合物を表2にまとめて示す。
【0052】
【表2】
Figure 2004217602
【0053】
【発明の効果】
本発明の一般式(I)で表されるアズレン誘導体又はその薬理学的に許容される塩は、ヘリコバクター・ピロリに対して優れた抗菌作用を有しており、胃内に存在するヘリコバクター・ピロリに対して高い除菌効果を発揮できる。そのため、本発明の一般式(I)で表されるアズレン誘導体又はその薬理学的に許容される塩は、ヘリコバクター・ピロリの感染が関与する各種消化器疾患、例えば胃炎、胃潰瘍、胃ガン、胃の悪性リンパ腫、MALTリンパ腫、十二指腸潰瘍、十二指腸ガン及び腸炎からなる群から選ばれる疾患の治療、予防或は再発予防剤として有用である。

Claims (10)

  1. 次式の一般式(I):
    Figure 2004217602
    [式中、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)、置換基を有してもよいベンゼン環、スルホン酸基又は一般式(II):−NHCOCH−B(式中、Bは置換基を有してもよいナフタレン環又は置換基を有してもよいアズレン環を示す。)、Rは水素原子又は低級アルキル基(C1〜C8)、Aは低級アルキル基(C1〜C8)又は一般式(III):
    Figure 2004217602
    (式中、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は低級アルコキシ基(C1〜C8)、R及びRは同一又は異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は置換基を有してもよいベンゼン環を示す。)、nは0から5までを示す。]
    で表されるアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩。
  2. 請求項1記載の一般式(I)の化合物が次式一般式(IV):
    Figure 2004217602
    [式中、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)、置換基を有してもよいベンゼン環又はスルホン酸基、Rは水素原子又は低級アルキル基(C1〜C8)、Rは水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は低級アルコキシ基(C1〜C8)、R及びRは同一又は異なってもよく、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基(C1〜C8)又は置換基を有してもよいベンゼン環、nは0から5までを示す。]
    で表される化合物であるアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩。
  3. 請求項1記載の一般式(I)の化合物が次式の一般式(V):
    Figure 2004217602
    (式中、R、Bは前記と同義である。)
    で表される化合物であるアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩。
  4. 次式の一般式(VI):
    Figure 2004217602
    (式中、R、R及びnは前記と同義である。)
    で表されるカルボン酸誘導体と、次式の一般式(VII):
    Figure 2004217602
    (式中、R、R及びRは前記と同義である。)
    で表されるアニリン誘導体とを反応させることを特徴とする請求項1記載のアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩の製造方法。
  5. 前記一般式(VI)で表されるカルボン酸誘導体を、次式の一般式(VIII):
    Figure 2004217602
    (式中、Rは低級アルキル基(C1〜C8)を示し、Rは前記と同義である。)
    で表されるアニリン誘導体との反応により次式の一般式(IX):
    Figure 2004217602
    (式中、R、R、R、R及びnは前記と同義である。)
    で表されるアミド誘導体に変換した後にエステル加水分解して得られる次式の一般式(X):
    Figure 2004217602
    (式中、R、R、R及びnは前記と同義である。)
    で表されるカルボン酸誘導体と次式の一般式(XI):
    Figure 2004217602
    (式中、R及びRは前記と同義である。)
    で表されるアミン誘導体とを反応させることを特徴とする請求項1記載のアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩の製造方法。
  6. 次式(XII):
    Figure 2004217602
    で表されるカルボン酸誘導体とメチルアミンとの反応により次式(XIII):
    Figure 2004217602
    で表されるアミド誘導体へ変換した後に、ニトロ化により次式(XIV):
    Figure 2004217602
    で表されるニトロ化合物を得た後に、還元により次式(XV):
    Figure 2004217602
    で表されるアミン誘導体へ変換した後に、次式の一般式(XVI):ClCOCH−B(式中、Bは前記と同義である。)で表される化合物と反応させることを特徴とする請求項1記載のアズレン誘導体の製造方法。
  7. 請求項1記載のアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩を有効成分とする抗菌剤。
  8. ヘリコバクター属及び/又はカンピロバクター属に属する微生物に対する抗菌剤である請求項7記載の抗菌剤。
  9. 請求項1記載のアズレン誘導体又はその医薬上許容される塩と薬理学上許容しうる担体とを含有する消化器疾患の治療又は予防剤又は再発予防剤。
  10. 消化器疾患が、胃炎、胃潰瘍、胃ガン、胃の悪性リンパ腫、MALTリンパ腫、十二指腸潰瘍、十二指腸ガン及び腸炎からなる群から選ばれる1種又は2種以上の疾患である請求項9記載の消化器疾患の治療又は予防剤又は再発予防剤。
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JP2010241745A (ja) * 2009-04-07 2010-10-28 Kotobuki Seiyaku Kk 小腸粘膜障害の予防・治療薬剤としての医薬組成物
CN113248399A (zh) * 2020-02-13 2021-08-13 贵州省中国科学院天然产物化学重点实验室(贵州医科大学天然产物化学重点实验室) 邻氨基芳香酰胺衍生物及其制备方法和应用
CN113773494A (zh) * 2021-10-08 2021-12-10 许翔 一种树脂组合物、树脂膜及显示装置

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